特許第6504008号(P6504008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504008
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】コネクタ嵌合部材及びコネクタ嵌合構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/518 20060101AFI20190415BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   H01R13/518
   H01R13/631
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-192378(P2015-192378)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-69005(P2017-69005A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2017年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】河島 祐二
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−004840(JP,A)
【文献】 特開2010−267488(JP,A)
【文献】 特開2014−127308(JP,A)
【文献】 特開2001−006808(JP,A)
【文献】 特開2004−268674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/518
H01R 13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気機器に設けられた機器側コネクタに保持側コネクタを嵌合させるためのコネクタ嵌合部材であって、
嵌合方向と交差する方向に複数並列に配置され、前記保持側コネクタを保持するコネクタ保持部と、
前記コネクタ保持部に隣接して配置され、前記電気機器に当接して前記電気機器の動きを規制し、前記保持側コネクタを前記機器側コネクタとの嵌合可能な位置に合わせる規制部とを備え
前記規制部は、前記電気機器の外周面を切り欠くようにして平面状に形成した規制受部に対して当接することで前記規制受部を前記規制部の突出方向に沿うように配置可能に、突出して設けられていることを特徴とするコネクタ嵌合部材。
【請求項2】
前記規制部が、前記コネクタ嵌合部材の長さ方向において前記コネクタ保持部を挟んだ両側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ嵌合部材。
【請求項3】
全体が長尺板状のプレートによって構成され、前記コネクタ保持部が前記プレートの長さ方向に沿った一縁に間隔をあけて開口する凹所とされ、前記規制部が前記プレートの長さ方向に沿った他縁から前記プレートの板面に沿って突出する形態になっていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ嵌合部材。
【請求項4】
前記規制部が、嵌合時に前記保持側コネクタの嵌合方向で前記電気機器と当接可能なストッパ面を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載のコネクタ嵌合部材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のコネクタ嵌合部材における複数の前記コネクタ保持部に保持された前記保持側コネクタが対応する前記機器側コネクタに嵌合されていることを特徴とするコネクタ嵌合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器側コネクタに保持側コネクタを嵌合させるためのコネクタ嵌合部材及びコネクタ嵌合部材により嵌合されたコネクタ嵌合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケースに固定されるアウタハウジングが開示されている。アウタハウジングは、インナハウジングを収容する筒状の収容部を有している。収容部内には、インナハウジングを変位可能に収容するバネ部材が設けられている。バネ部材は、収容部の内壁とインナハウジングとの間に複数配置されている。インナハウジングが相手側コネクタに嵌合されるときに、インナハウジングと相手側コネクタとの間に発生した位置ずれはバネ部材によって吸収されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5303378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、相手側コネクタが電気機器に設けられ、仮に、電気機器がバネ部材の弾性範囲を超えて動き得る状態にあると、インナハウジングが相手側コネクタとの嵌合可能な位置に至るのが困難になり、嵌合作業をスムーズに行うことができないおそれがある。また、相手側コネクタが複数並列に配置されている場合に、それぞれの相手側コネクタ毎にインナハウジングを嵌合させるとすると、作業負担が大きいという事情がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複数の機器側コネクタに対して保持側コネクタを容易に嵌合させることができるコネクタ嵌合部材及びコネクタ嵌合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の電気機器に設けられた機器側コネクタに保持側コネクタを嵌合させるためのコネクタ嵌合部材であって、嵌合方向と交差する方向に複数並列に配置され、前記保持側コネクタを保持するコネクタ保持部と、前記コネクタ保持部に隣接して配置され、前記電気機器に当接して前記電気機器の動きを規制し、前記保持側コネクタを前記機器側コネクタとの嵌合可能な位置に合わせる規制部とを備え、前記規制部は、前記電気機器の外周面を切り欠くようにして平面状に形成した規制受部に対して当接することで前記規制受部を前記規制部の突出方向に沿うように配置可能に、突出して設けられているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
複数のコネクタ保持部に保持側コネクタを保持させ、その状態で、コネクタ嵌合部材を各機器側コネクタに近づけることにより、各機器側コネクタに対して各保持側コネクタを一括して嵌合させることができる。この場合に、コネクタ嵌合部材の規制部が電気機器に当接して電気機器の動きを規制し、保持側コネクタが機器側コネクタとの嵌合可能な位置に合わせられるから、両コネクタの嵌合作業を迅速且つ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1において、コネクタ嵌合部材に保持側コネクタが保持され電気機器に設けられた機器側コネクタに保持側コネクタが嵌合される前の状態を示す斜視図である。
図2図1の状態からコネクタ嵌合部材の規制部が電気機器に当接して電気機器の動きが規制された状態を示す斜視図である。
図3図2の状態から保持側コネクタと機器側コネクタとが正規嵌合された状態を示す斜視図である。
図4図3の状態を後方から見た図である。
図5図2の状態を上方から見た図である。
図6図3の状態を上方から見た図である。
図7図6における一対の保持側コネクタ及び機器側コネクタの嵌合構造を拡大した図である。
図8】コネクタ嵌合部材によって電気機器の動きが規制される状態を説明するための図である。
図9】コネクタ嵌合部材に保持側コネクタが保持された状態を示す斜視図である。
図10】保持側コネクタのハウジングの斜視図である。
図11】コネクタ嵌合部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
前記規制部が、前記コネクタ嵌合部材の長さ方向において前記コネクタ保持部を挟んだ両側に配置されている。これら規制部によって電気機器の動きを確実に規制することができる。また、とくに構造が複雑になることもない。
【0010】
全体が長尺板状のプレートによって構成され、前記コネクタ保持部が前記プレートの長さ方向に沿った一縁に間隔をあけて開口する凹所とされ、前記規制部が前記プレートの長さ方向に沿った他縁から前記プレートの板面に沿って突出する形態になっている。コネクタ保持部と規制部が簡易な構造で長尺板状のプレートにまとめて設けられるため、コネクタ嵌合部材の構造が複雑にならずに済み、コネクタ嵌合部材と周辺部品との干渉を回避し易くなる。
【0011】
前記規制部が、嵌合時に前記保持側コネクタの嵌合方向に前記電気機器と当接可能なストッパ面を有している。規制部のストッパ面が電気機器と当接することで、コネクタ嵌合部材及び保持側コネクタの嵌合方向への抜け出しを防止することができる。
【0012】
上記のコネクタ嵌合部材における複数の前記コネクタ保持部に保持された前記保持側コネクタが対応する前記機器側コネクタに嵌合されている。これによれば、複数の保持側コネクタが対応する機器側コネクタと嵌合された後もその整列状態を維持することができる。
【0013】
<実施例1>
本発明の実施例1を図1図11によって説明する。実施例1は、ソレノイド90(電気機器)に設けられた機器側コネクタ80の嵌合相手となる保持側コネクタ60を複数保持して、各保持側コネクタ60を、対応する機器側コネクタ80に一括して嵌合させるコネクタ嵌合部材10と、そのコネクタ嵌合部材10を用いた嵌合されたコネクタ嵌合構造を例示するものである。なお、以下の説明において、上下方向は、使用状態が基準となり、重力方向に対応している。また、前後方向は、保持側コネクタ60の嵌合方向前側を前側とする。
【0014】
ソレノイド90は、自動車の自動変速機に搭載されて油圧を制御するものである。自動変速機は、図1に示すように、ボディ70(自動変速機のケースを含む)を有し、このボディ70に、複数のソレノイド90が幅方向(コネクタの嵌合方向と交差する方向)に並列に組み付けられている。ソレノイド90は、円柱状(円筒状)をなし、ボディ70の前面に開口するバルブ挿入部71に挿入される。バルブ挿入部71に挿入されたソレノイド90は、図示しないピン等の固定具によってボディ70に固定されるが、軸周りに多少なりとも回転可能とされている。
【0015】
図7に示すように、ソレノイド90の外周面の幅方向両側で且つ略後半側の領域には、一対の規制受部91が切り欠くようにして設けられている。両規制受部91は、互いに平行に上下方向に沿って配置される矩形平面状の奥面92と、奥面92の前端に直交して幅方向(径方向)に沿って配置される弦形平面状のストッパ受面93と、奥面92の後端に直交してストッパ受面93と平行に配置される対向面94とを有している。
【0016】
ソレノイド90の外周面の上端側で且つ略前半側の領域には、機器側コネクタ80が一体に設けられている。機器側コネクタ80は、合成樹脂製のフード81を有している。フード81は、後方に開口する角筒状をなしている。フード81内には、タブ状の機器側端子82が対をなして突出して配置されている。機器側端子82の端部(フード81内に突出する端部とは反対側の端部)は、ソレノイド90の内部に収納されたコイルに電気的に接続されている。また、フード81の上壁には、略矩形のロック孔83が上下方向(上壁の厚み方向)に貫通して設けられている。
【0017】
保持側コネクタ60は、合成樹脂製のハウジング61を有している。図10に示すように、ハウジング61は、前後方向に長い角ブロック状をなしている。ハウジング61の内部には、幅方向に一対のキャビティ62が設けられている。キャビティ62は、ハウジング61の内部を前後方向に貫通する形態とされ、内部に、保持側端子63(図7を参照)が挿入されて収容される。保持側端子63は、導電性の金属板を細長く曲げ加工等して形成されている。保持側端子63の前端部は、筒状をなし、嵌合時に機器側端子82が挿入されて接続される。一方、保持側端子63の後端部は、オープンバレル状をなし、電線100の端末部に電気的及び機械的に接続されている。
【0018】
ハウジング61の上面には、ロック突起64が突設されている。ロック突起64は、嵌合過程でフード81内に進入してフード81の上壁を撓み変形させ、正規嵌合時に上壁の撓み状態が解消されるに伴いロック孔83に嵌って保持側コネクタ60及び機器側コネクタ80を離脱規制した状態に保持する。ハウジング61の両側面の後端側には、一対の係合部65が張り出して設けられている。係合部65は、上下方向に互いに平行に延出する前後一対のリブ66で構成されている。前後のリブ66のうち、後側のリブ66は、後面がハウジング61の後面と面一で連続するように配置されている。前後のリブ66間に区画される断面角凹状の溝には、コネクタ嵌合部材10の後述するコネクタ保持部12の両側縁部が嵌合可能とされている。
【0019】
続いて、コネクタ嵌合部材10について説明する。コネクタ嵌合部材10は、金属製であって、図11に示すように、幅方向に長い長尺板状のプレート11によって構成されている。プレート11は、平板を打ち抜いて形成され、全体が板面を前後方向に向けつつ幅方向及び上下方向に沿って配置されている。つまり、プレート11は、前後方向に屈曲する部分を有していない。また、プレート11は、ハウジング61における前後のリブ66間よりも少し大きな板厚を有している。
【0020】
プレート11の上端縁(長さ方向に沿った一縁)には、幅方向に間隔をあけて複数のコネクタ保持部12が凹設されている。各コネクタ保持部12は、ボディ70に各ソレノイド90が組み付けられた状態で、各機器側コネクタ80の並列方向のピッチと対応するように一定の間隔をあけて配置されている。また、コネクタ保持部12は、前後方向(プレート11の板厚方向)から見て矩形状に開口し、ハウジング61が上方から挿入可能とされている。図9に示すように、ハウジング61は、コネクタ保持部12の両側縁部(凹みの両側)を前後のリブ66間に挿入させた状態で、プレート11に保持される。
【0021】
プレート11の下端縁(長さ方向に沿った他縁)には、幅方向に間隔をあけて複数の規制部13が突出して設けられている。各規制部13は、幅方向に関し、コネクタ保持部12を挟んだ両側において、ソレノイド90における両規制受部91の幅方向の離間距離(奥面92間距離)と対応する間隔をあけて配置される。コネクタ保持部12を挟んで対をなす規制部13は、幅方向に大きな離間距離をあけて配置され、隣接するコネクタ保持部12間で対をなす規制部13は、幅方向に小さな離間距離をあけて配置される。また、規制部13は、プレート11の板面に沿って上下方向に細長く突出する帯片状の形態とされている。規制部13の前面(前側の板面)は、上下方向に沿ったストッパ面14として構成される。なお、プレート11の下端縁は、各規制部13と対応する部位を除いて、幅方向に沿って配置され、同じく、プレート11の上端縁は、各コネクタ保持部12と対応する部位を除いて、幅方向に沿って配置されている。
【0022】
次に、上記構造のコネクタ嵌合部材10を利用して保持側コネクタ60を機器側コネクタ80に嵌合させる方法と、コネクタ嵌合構造について説明する。
まず、プレート11のコネクタ保持部12に対し、上方から保持側コネクタ60を挿入する(図9を参照)。保持側コネクタ60の挿入過程では、ハウジング61の両係合部65における前後のリブ66間にコネクタ保持部12の両側縁部が摺動して、保持側コネクタ60のプレート11への取り付け動作が案内される。保持側コネクタ60の挿入完了時には、ハウジング61が全高に亘って前後のリブ66間に嵌り込み、保持側コネクタ60がプレート11に保持される。もっとも、保持側コネクタ60は、前後のリブ66間におけるクリアランスの範囲で動き得る状態にある。
【0023】
こうして複数のコネクタ保持部12に、対応する保持側コネクタ60を挿入したら、続いて、プレート11を各ソレノイド90の上方に位置させる。このとき、コネクタ保持部12の下方に、ソレノイド90の幅方向(径方向)中央部が位置するように大まかに位置決めされる(図1を参照)。その状態で、プレート11を下降させる。プレート11が下降する過程では、コネクタ保持部12を挟んだ両側で対をなす規制部13がソレノイド90の規制受部91の奥面92を摺動可能とされ、両規制部13間にソレノイド90が幅方向に挟まれるように位置する。ここで、ソレノイド90が正規位置から軸周りに回転していると(図8を参照)、プレート11が下降するのに伴い規制部13がソレノイド90の外周面を摺動したあと規制受部91の奥面92を摺動して、ソレノイド90が正規状態に戻る方向に回転し、規制受部91の奥面92が規制部13の突出方向となる上下方向に沿うように配置される。こうしてソレノイド90の姿勢が立てなおされ、且つ、両規制部13間にソレノイド90が拘束されることでソレノイド90の動き(回転)が規制される。
【0024】
プレート11が正規位置まで下降すると、各コネクタ保持部12に保持された保持側コネクタ60がソレノイド90に設けられた機器側コネクタ80と前後方向で正対する位置に至る(図2を参照)。その状態で、プレート11を前方に移動させる。プレート11の移動過程では、規制部13が規制受部91の奥面92を摺動可能となることで、両規制部13間にソレノイド90が回転規制された状態に維持され、同時に、保持側コネクタ60が機器側コネクタ80と正対する状態が維持される。
【0025】
プレート11がさらに前方に移動すると、規制部13のストッパ面14が規制受部91のストッパ受面93に面当たり状態で当接し、プレート11のそれ以上の前進が規制される(図7を参照)。また、保持側コネクタ60のハウジング61が機器側コネクタ80のフード81内に挿入されるが、このとき、ハウジング61がコネクタ保持部12とのクリアランスの範囲で動くことにより、ハウジング61がフード81内に円滑に誘い込まれる。プレート11の前進が規制された状態では、ハウジング61はフード81内に正規深さで挿入され、ロック突起64がロック孔83に嵌って保持側コネクタ60が機器側コネクタ80に離脱規制された状態で保持されるとともに、保持側端子63が機器側端子82と電気的に接続される。かくして、プレート11が移動するのに伴って、各コネクタ保持部12に保持された保持側コネクタ60が、対応する機器側コネクタ80とほぼ同時に一斉に嵌合される。その後、プレート11は、各保持側コネクタ60と各ソレノイド90との間に挟まれて組み付け状態が保持される。
【0026】
以上説明したように本実施例1によれば、プレート11の各コネクタ保持部12に保持側コネクタ60を保持させ、その状態で、プレート11全体を各ソレノイド90に設けられた機器側コネクタ80側に近づけることにより、各機器側コネクタ80に対して各保持側コネクタ60を一括して嵌合させることができる。この場合に、プレート11の各規制部13が規制受部91に当接してソレノイド90の動きを規制し、各保持側コネクタ60が各機器側コネクタ80との嵌合可能な位置に合わせられるから、各保持側コネクタ60及び各機器側コネクタ80の嵌合作業を迅速且つ容易に行うことができる。
【0027】
また、規制部13が幅方向(プレート11の長さ方向)においてコネクタ保持部12を挟んだ両側に配置されているから、ソレノイド90を幅方向両側から挟み込むようにして、ソレノイド90の動きを確実に規制することができる。また、プレート11全体の構造が複雑になることもない。
【0028】
また、コネクタ嵌合部材10の全体が長尺板状のプレート11によって構成され、コネクタ保持部12がプレート11の上縁に間隔をあけて開口する凹所とされ、規制部13がプレート11の下縁からプレート11の板面に沿って突出する形態になっているため、コネクタ保持部12と規制部13が長尺板状のプレート11に簡易な構造でまとめて設けられることになる。その結果、プレート11の構造が複雑にならずに済む。
【0029】
さらに、規制部13のストッパ面14が規制受部91のストッパ受面93と当接することで、プレート11のそれ以上の前進が規制され、プレート11及び各保持側コネクタ60が前方に抜け出るのを防止することができる。
【0030】
さらにまた、各保持側コネクタ60が各機器側コネクタ80と嵌合された後もコネクタ保持部12に保持されてその整列状態が維持されるため、嵌合状態の安定性を担保することができる。
【0031】
<他の実施例>
本発明の他の実施例を簡単に説明する。
(1)コネクタ嵌合部材は機器側コネクタに向けて一方向のみに移動するものであってもよい。
(2)各保持側コネクタが機器側コネクタと嵌合された後、コネクタ嵌合部材が各保持側コネクタから離脱する構成としてもよい。
(3)機器側コネクタは、ソレノイド以外に、例えば、自動変速機の油圧センサ等の電気機器に設けられるものであってもよい。
(4)コネクタ嵌合部材は、前後方向に屈曲する部分を有するプレートで構成されるものであってもよい。
(5)コネクタ嵌合部材は、プレートではなく、ブロック状に形成されるものであってもよい。
(6)コネクタ嵌合部材には、各保持側コネクタから引き出された電線を収容する電線収容部が設けられていてもよい。
(7)コネクタ保持部を挟んだ両側で対をなす規制部は、先端に向けて互いに拡開するように傾斜してソレノイド(電気機器)の外周面を誘い込むように形成されていてもよい。
(8)1つのソレノイド(電気機器)に対して1つの規制部が当接してソレノイドの動きを規制する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…コネクタ嵌合部材
11…プレート
12…コネクタ保持部
13…規制部
14…ストッパ面
60…保持側コネクタ
80…機器側コネクタ
90…ソレノイド(電気機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11