(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における工程監視装置、工程監視システム、工程監視方法、工程監視プログラム及び記録媒体について詳細に説明する。
【0022】
先ず、
図1を用いて、工程監視システムのハードウェア構成を説明する。
図1は、実施形態における工程監視システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図1において、工程監視システム1は、工程監視装置10、中継装置30、操作装置40、産業装置50を有する。工程監視装置10は、中継装置30を介して、産業装置50及び操作装置40と接続されている。
【0024】
工程監視装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、入力部15、表示部16、及び通信部17を有する。
【0025】
工程監視装置10は、例えば、サーバ装置、デスクトップPC、ノート型PC、タブレット型PC、PDA、又はスマートフォン等の汎用のコンピュータ、又は工程監視用のコンピュータである。
【0026】
CPU11は、RAM12、ROM13又はHDD14に記憶された工程を監視するためのプログラム(工程監視プログラム)を実行することにより、工程監視装置10の制御を行う。工程監視プログラムは、例えば、工程監視プログラムを記録した記録媒体、又はネットワークを介した工程監視プログラムを提供するサーバ等から取得されて、HDD14等にインストールされ、RAM12にCPU11から読出し可能に記憶される。
【0027】
入力部15は、工程監視装置10にデータを入力する機能を有する。入力部15は、例えば、利用者の入力操作によるデータを入力するキーボード、マウス等のポインティングデバイス、画像データを読み取るスキャナ、又は記録媒体に記録されたデータを読み取るI/F(Interface)等である。表示部16は、データを表示する機能を有する。表示部16は、例えば、ディスプレイ、又はランプ等である。なお、入力部15及び表示部16は、タッチパネルのように入力操作と表示を行う装置を用いて実施してもよい。
【0028】
通信部17は、有線通信又は無線通信を介した、中継装置30との通信を制御する。通信部17は、例えば、有線通信又は無線通信のネットワークアダプタである。通信部17は、中継装置30を介して産業装置50と通信する。通信部17は、中継装置30と、ISA(International Society of Automation:国際計測制御学会)の無線通信規格であるISA100、HART(Highway Addressable Remote Transducer)(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等の工業計器専用の通信プロトコルを使用した通信を制御してもよい。また、通信部17は、無線LAN通信、有線LAN通信、赤外線通信、近距離無線通信等の汎用通信プロトコルを制御してもよい。
【0029】
中継装置30は、工程監視装置10と産業装置50の通信を中継する。中継装置30は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)、FA(Factory Automation)コンピュータ、DCS(Distributed Control System:分散型制御システム)制御装置、又はサーバ装置である。以下の説明においては、中継装置30がPLCである場合を説明する。
【0030】
中継装置30は、工程監視装置10と産業装置30の通信を中継することにより、産業装置50の動作に影響を与えないようにする。例えば、産業装置50が工程情報を工程監視装置10に直接送信する場合、産業装置50には工程情報を送信する送信負荷が発生し、産業装置50の情報処理能力又は電力状況等に影響を与える可能性がある。中継装置30は、産業装置50の入出力に合せた出入力部を有することにより、産業装置50の情報処理能力等に影響を与えないように通信を中継することができる。例えば、中継装置30をPLCで実施した場合、入出力モジュール、通信モジュール、光通信モジュール等、様々なモジュールを選択して組込むことができる。入出力モジュールにおいては、例えば、無電圧接点入力、AC電圧入力、DC電圧入力、トライアック接点出力、有接点出力、トランジスタ出力等を用いることができる。通信モジュールや光通信モジュールにおいては、上述のような各種の通信仕様を選択して組込むことができる。PLCを用いることにより、産業装置50の入出力に適合した入出力仕様のモジュールを選択して組込むことが可能となるので産業装置50の情報処理能力等に影響を与えないようにすることが可能となる。また、中継装置30は、産業装置50と工程監視装置10とを電気的に絶縁することにより、ノイズを遮断することができる。
【0031】
操作装置40は、操作データを中継装置30を介して工程監視装置10に出力する。操作装置40は、例えばタッチパネル、押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ等である。操作装置40は、例えば産業装置50の工程で作業する作業者によって操作される。操作装置40の操作は、例えば、その工程における作業の開始時、作業の終了時、産業装置50に対する所定の操作時等のタイミングで行われる。操作装置40は、産業装置50から取得できないデータを操作者の操作によって取得する。
【0032】
産業装置50は、工程毎に設置された装置であり、工程情報を出力する。工程とは、製造業、鉱業、農業、物流、医療、介護等、様々な産業分野において、製造、生産、作業等を管理する任意の単位である。例えば、プラントにおける1プロセス、セル方式の組立ラインにおける1セル、処置や作業の1つの区切り等を1工程とすることができる。本実施形態における工程は、不具合の兆候を発見等をするための、リアルタイムに監視すべき設備や作業の範囲である。産業装置50は、様々な産業分野の工程で用いられる装置である。産業装置50は、モータ、ポンプ等の単体装置であっても、複数の装置が組み合わされた複合的な装置であってもよい。産業装置50が出力する工程情報とは、工程の状態を示す情報である。例えば、産業装置50から取得される、温度、湿度、圧力、流量、流速、水質、振動、電圧、電流、電力、電力量、生産数量、工程時間等である。工程情報には、センサで測定された測定データ、予め記憶装置等に記憶されていた情報、産業装置50において算出された算出結果等を含んでいてもよい。
【0033】
なお、
図1に示す工程監視システム1においては、工程監視装置10、中継装置30、操作装置40、産業装置50がそれぞれ1台の装置で構成されるシステムを例示したが、工程監視システムの構成はこれに限定されるものではない。例えば、工程監視装置10、中継装置30、操作装置40又は産業装置50のいずれか1つの装置が複数台で構成されるシステムであってもよい。例えば、1台の工程監視装置10が1台の中継装置30を介して、複数台の操作装置40と複数台の産業装置50から工程情報を取得するものであってもよい。工程監視装置10が複数の工程から工程情報を取得するときには、それぞれの工程情報は、工程を特定することができるものとする。
以上で、
図1を用いた、工程監視システム1のハードウェア構成の説明を終了する。
【0034】
次に、
図2を用いて、
図1で示した工程監視装置10の機能構成を説明する。
図2は、実施形態における工程監視装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
工程監視装置100は、工程情報取得部111、指標化情報生成部112、閾値取得部113、判定結果生成部114、判定結果通知部115、指標情報記録部116及び図表生成部117の各機能を有する。工程監視装置100の上記各機能は、
図1で示したCPU11においてプログラムを実行することによって実現することができる。すなわち、工程監視装置100の各機能は、ソフトウェアによって実現される機能モジュールである。
【0036】
工程情報取得部111は、産業装置50から出力される工程の状態を示す工程情報を、中継装置30を介して取得する。工程情報取得部111は、工程の開始と終了を示す情報を、例えば、産業装置50の状態を示す情報等によって取得することかできる。また、工程の開始と終了を示す情報は、操作装置40に対する操作情報を取得することにより行ってもよい。工程情報取得部111は、例えば予め定められた時間間隔で工程情報を取得する。工程情報取得部111は、取得した工程情報を指標化情報生成部112に出力する。
【0037】
指標化情報生成部112は、工程情報取得部111において取得された工程情報に基づき、所定の指標で指標化した指標化情報を生成する。指標とは、工程情報の処理方法(ロジック)である。指標化情報とは所定の処理方法で処理された処理結果である。指標の種類には、例えば、取得した工程情報の最大値、最小値、平均値、標準偏差、変化率、相関係数、回帰分析によってクラスタリングしたクラスターの変化等を生成する処理等がある。指標化情報生成部112は、取得された工程情報の中から指標化処理する対象と、指標の種類を利用者が選択できるようにUIを提供して、選択された指標の種類によって指標化をしてもよい。例えば、工程情報取得部111が工程情報として測温器で測定された「温度」を10秒間隔で5分間取得する場合、指標化情報生成部112は、指標化情報として選択された、「5分間における温度の最大値」、「5分間における温度の平均値」等を生成する。また、工程情報が「電圧」及び「電流」であった場合、指標化情報生成部112は、指標化情報として選択された「電力」を生成してもよい。本実施形態において指標化情報生成部112は、取得された工程情報をリアルタイムで指標化して指標化情報を生成する。指標化情報生成部112は、生成した指標化情報を指標情報記録部116に出力する。
【0038】
閾値取得部113は、指標化情報の閾値を取得する。指標化情報の閾値は、指標化情報がその閾値の範囲内にあるか否かによって指標化情報を判定するための情報である。閾値は1又は複数を設定してもよい。閾値が1つのときは、例えば、正常又は異常の2値の判定結果を生成することができる。また、閾値が2つのときは、例えば、正常、注意、異常の3値の判定結果を生成することができる。また、閾値は、複数の指標化情報の組み合わせであってもよい。また、閾値は定数ではなく、指標化情報を入力値とする関数であってもよい。さらに閾値は複数のパラメータによって分割される領域を示すものであってもよい。指標化情報の閾値は、利用者によって予め設定されてHDD14等に保存される。閾値取得部113は、HDD14等に保存された指標化情報の閾値を読み出して取得し、判定結果生成部114に出力する。
【0039】
判定結果生成部114は、閾値取得部113によって取得された指標化情報の閾値に基づき、指標化情報生成部112によって生成された指標化情報の判定結果を生成する。判定は、例えば、指標化情報の値が閾値を超えたか否かで判断する。判定結果生成部114は、指標化情報の値が閾値を超えたときに異常の判定結果を生成し、指標化情報の値が閾値を超えていないときに性状の判定結果を生成する。判定結果生成部114は、閾値が1つのときは、例えば、正常又は異常の2値の判定結果を生成する。また、判定結果生成部114は、閾値が2つのときは、例えば、正常、注意、異常の3値の判定結果を生成してもよい。判定結果生成部114は、指標化情報生成部112においてリアルタイムで指標化情報が生成された場合、判定結果をリアルタイムに生成することができる。判定結果生成部114は、生成した判定結果を判定結果通知部115に出力する。なお、判定結果生成部114は、判定結果が異常であった場合にのみ判定結果を出力するようにしてもよい。
【0040】
判定結果通知部115は、判定結果生成部114において生成された判定結果を通知する。判定結果通知部115は判定結果の通知を、例えば、表示部16、中継装置30を介した産業装置50に対して行う。判定結果通知部115は、判定結果が異常である場合のみ判定結果を通知するようにしてもよい。判定結果通知部115から判定結果を通知された産業装置50は、例えば、産業装置50の表示部、ランプ、ブザー等に通じて利用者に判定結果を報知するようにしてもよい。
【0041】
指標情報記録部116は、指標化情報生成部112において生成された指標化情報を工程毎にHDD14等に記録する。例えば、工程A〜Dからなる工程の指標化情報を記録する場合、指標情報記録部116は、工程A〜Dのそれぞれについて指標化情報を記録する。
【0042】
指標情報記録部116は、指標化情報を、例えば、表形式のデータとして記録する。表形式のデータとは、項目とレコードからなるデータ形式であり、例えば、CSV(Comma−Separated Values)形式のデータである。CSV形式のデータにおいては、カンマで項目を区切り、改行で1レコードを区切る。表形式のデータとしては、表計算アプリケーション用のデータ形式を用いてもよい。指標情報記録部116は、指標化情報を追加して記録する場合、指標化情報を表形式のレコードの追加として記録するようにしてもよい。例えば、指標情報記録部116は、工程Aの指標化情報を1レコードのデータとして記録した後に、工程B、工程C、さらには工程Dの指標化情報を1レコードずつ逐次追加して記録する。指標化情報をレコードによって追加して記録することにより、記録された指標化情報のデータ構造が簡素化されて、例えば記録された指標化情報の読出し、変更、削除等の利用・編集を容易にすることが可能となる。
【0043】
指標情報記録部116は、判定結果生成部114において生成された判定結果に基づき、指標化情報を区分して記録する。指標情報記録部116は、例えば、記録するレコードの項目として判定結果を記録してもよい。
【0044】
図表生成部117は、指標情報記録部116において工程毎に記録された指標化情報に基づき図表を生成する。図表とは、図又は表であり、図には、グラフ、相関図、分布図等を含む。図表生成部117において生成される図表は、予め利用者が指定できるようにしてもよい。例えば、利用者は、記録された指標化情報の中から、図表にする指標化情報の範囲と、作成するグラフの種類、表示方法等を指定しておくことができる。指標化情報の範囲は、例えば、指標化情報の種類、工程情報が取得された日時の範囲、指標化情報が生成された日時の範囲、データ数、閾値に対する判定結果等が指定できるようにしてもよい。また、グラフの種類は、棒グラフ、折線グラフ、円グラフ等が指定できるようにしてもよい。また、表示方法は、例えば、図表を表示するタイミング、表示先等が指定できるようにしてもよい。
【0045】
図表生成部117は、指標化情報のレコードが追加される度にリアルタイムで図表を作成する。指標化情報のレコードが追加される度にリアルタイムで図表を作成することにより、工程に異常等が発生した場合の対処を迅速に行うことが可能となる。
【0046】
また、図表生成部117は、判定結果に基づき、区分して記録された指標化情報に基づき図表を生成する。例えば、判定結果に基づき、指標化情報を色分け、又は凡例の形状の変更等して図表を作成してもよい。
【0047】
なお、
図2においては、工程監視装置100が有する、工程情報取得部111、指標化情報生成部112、閾値取得部113、判定結果生成部114、判定結果通知部115、指標情報記録部116及び図表生成部117の各機能がソフトウェアによって実現される場合を説明した。しかし、工程監視装置100が有する上記1つ以上の機能は、ハードウェア(例えば、ASICやゲートアレイ)によって実現されるものであっても良い。また、工程監視装置100が有する上記各機能は、1つの機能を複数の機能に分割して実施してもよい。また、工程監視装置10が有する上記各機能は、2つ以上の機能を1つの機能に集約して実施してもよい。
以上で、
図2を用いた、工程監視装置100の機能構成の説明を終了する。
【0048】
次に、
図3を用いて、工程監視装置100の動作を説明する。
図3は、実施形態における工程監視装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3のフローチャートに示す動作は、CPU11において実行されるソフトウェアによって実施されるものとする。
【0049】
図3において、先ず、CPU11は、工程が開始されたか否かを判断する(ステップS11)。工程が開始されたか否かは、例えば、産業装置50の状態を示す情報、又は操作装置40に対する操作情報等を取得することにより判断することができる。工程が開始されていないと判断した場合(ステップS11:NO)、CPU11は、ステップS11の処理を繰り返し、工程が開始されるのを待機する。
【0050】
一方、工程が開始されたと判断した場合(ステップS11:YES)、CPU11は、中継装置30を介して産業装置50から工程情報を取得する(ステップS12)。工程情報の取得は、例えば、中継装置30の特定の出力モジュールの値を読み取ることによって行うようにしてもよい。なお、ステップS12の処理においては1つの工程情報を取得するものであっても複数の工程情報を取得するものであってもよい。ステップS12においては、次のステップS13の処理において必要な工程情報を取得するものとする。
【0051】
ステップS12の処理を実行した後、CPU11は、取得した工程情報に基づき、所定の指標で指標化した指標化情報を生成する(ステップS13)。ステップS13の処理において生成する指標化情報の指標は、予め利用者によって選択されて設定されているものとする。
【0052】
ステップS13の処理を実行した後、CPU11は、利用者によって予め設定された指標化情報の閾値を取得する(ステップS14)。閾値は上述の通り、常数であっても関数であってもよい。
【0053】
ステップS14の処理を実行した後、CPU11は、ステップS14において取得された閾値に基づき、ステップS13において生成された指標化情報の判定結果を生成する(ステップS15)。判定結果は、例えば、閾値が1つの常数のときは、正常又は異常の2値の判定結果となる。また、閾値が2つの常数のときは、正常、注意、異常の3値の判定結果を生成してもよい。また、閾値が指標化情報をクラスタリングするものである場合、判定結果はその指標化情報が分類されるクラスターとなる。
【0054】
ステップS15の処理を実行した後、CPU11は、ステップS15において生成された判定結果を通知するか否かを判断する(ステップS16)。判定結果を通知するか否かを判断は、設定される閾値とともに利用者が予め設定してもよい。例えば、利用者は、指標化情報が閾値を越えたときに通知するように設定してもよい。生成された判定結果を通知すると判断した場合(ステップS16:YES)、CPU11は、判定結果を通知する(ステップS17)。判定結果の通知は、例えば、表示部16、操作装置40、又は産業装置50に対して行うことができる。判定結果の通知は、例えば、文字の表示、ランプの点灯、音声の出力、産業装置50に対する制御信号等によって行うことができる。生成された判定結果を通知しないと判断した場合(ステップS16:NO)、ステップS17の処理はスキップされてステップS18の処理が実行される。
【0055】
生成された判定結果を通知しないと判断した場合(ステップS16:NO)、又はステップS17の処理を実行した後、CPU11は、工程が終了したか否かを判断する(ステップS18)。工程が終了したか否かの判断は、ステップS11の処理と同様に、産業装置50の状態を示す情報、又は操作装置40に対する操作情報等を取得することにより判断することができる。工程が終了していないと判断した場合(ステップS18:NO)、CPU11は、ステップS12の処理に戻って工程情報の取得を実行する。ステップS18の処理において工程の終了を判断することにより、1つの工程において、指標化情報の生成と判定値の生成を複数回実行することが可能となる。
【0056】
一方、工程が終了したと判断した場合(ステップS18:YES)、CPU11は、ステップS13において生成された指標化情報を工程毎に記録する(ステップS19)。ステップS19における工程毎の指標化情報の記録の詳細は
図6を用いて後述する。
【0057】
ステップS19の処理を実行した後、CPU11は、ステップS19において工程毎に記録された指標化情報に基づき図表を生成する(ステップS20)。生成される図表は利用者によって予め指定しておくことができる。
【0058】
ステップS20の処理を実行した後、CPU11は、生成された図表を表示する。図表の表示は、例えば、表示部16、操作装置40、又は産業装置50に対して行うことができる。
【0059】
図3において説明したように、CPU11が、工程毎に出力される工程情報を取得するステップと、取得された工程情報に基づき、所定の指標で指標化した指標化情報を生成するステップと、指標化情報の閾値を取得するステップと、取得された閾値に基づき生成された指標化情報の判定結果を生成するステップと、生成された判定結果を通知するステップと、生成された指標化情報を工程毎に記録するステップと、工程毎に記録された指標化情報に基づき図表を生成するステップとを実行することにより、リアルタイムに工程を監視することが可能となる。
以上で、
図3を用いた、工程監視装置100の動作の説明を終了する。
【0060】
次に、
図4を用いて、工程監視装置100で生成する指標と図表の設定を説明する。
図4は、実施形態における工程監視装置で生成する指標と図表の設定の一例を示す図である。
【0061】
図4において、指標設定表1000は、指標1001、指標の種類1002、閾値の種類1003、及び選択図表1004の各設定項目を有する。指標設定表1000は、利用者によって、例えば入力部15から設定可能に表示部16に表示される。
図4で示す指標設定表1000は、
図5において後述する産業装置50の工程A、工程B、工程C等の工程において共通的に利用されるものとする。
【0062】
指標1001は、指標を特定するためのIDである。
図4では、指標1〜指標7を例示しているが、指標の数はこれに限定されず任意である。指標1〜指標7は、
図5等において同じ指標を示す。
【0063】
指標の種類1002は、工程情報に基づき指標化情報を生成するときの指標の種類を示す設定項目である。産業装置50から取得された工程情報の指標化は、指標の種類1002の設定に基づき実行される。指標の種類は、例えば、電力量、温度A、温度B(温度Aと温度Bは異なる工程情報であることを示す)、生産量、工程時間、温度Aと温度Bの相関、クラスタリング等である。指標の種類1002は、例えば、表示部16において表示される、プルダウンメニューによる設定項目の選択、ラジオボタンやチェックボックスの押下による設定項目の選択等によって、利用者が指標の種類を選択させるものであってもよい。指標の種類は取得した工程情報の指標化の方法(処理方法)を指定するものであり、指標の種類の設定は、例えば工程情報に対する処理を表す数式を入力するものであってもよい。また、指標の種類の設定には、指標化に用いる工程情報の取得頻度、取得条件等を設定してもよい。
【0064】
閾値の種類1003は、指標の種類1002に対する閾値の種類を設定する設定項目である。閾値の種類1003は、例えばプルダウンメニュー等で利用者に閾値の種類を選択させるものであってもよい。
【0065】
例えば、指標1は、電力量の最大値に対して閾値が設定されていることを示している。電力量は例えば工程の負荷の大きさを示すことができる。電力量の最大値を閾値にすることにより、工程での過負荷をリアルタイムで判定することが可能となる。なお、最大値、最小値等の閾値の種類においては、瞬間最大値、所定期間内の平均値における最大値等を設定出来るようにしてもよい。
【0066】
指標4は、生産量の変化率に対して閾値が設定されていることを示している。変化率は、所定期間における変化率である。変化率を算出する期間は利用者によって設定出来るものとする。生産量の変化率に対して閾値を設定することにより、工程内における不具合の発生をリアルタイムで判定することが可能となる。また、変化率の代わりに変化量を設定するようにしてもよい。
【0067】
指標5は、工程時間の標準偏差に対して閾値が設定されていることを示している。例えば、工程内で同一の作業を行う場合、作業者のスキル等によって工程時間が異なる。工程時間の標準偏差を閾値とすることにより、作業者等による標準偏差が閾値を越えたときに工程の不具合をリアルタイムで判定することができる。
【0068】
指標6は、温度Aと温度Bの相関係数を閾値とするものである。例えば、加工工程における製品の入口温度の温度Aと出口温度の温度Bが相関の強い工程情報であった場合、温度Aと温度Bの相関係数を閾値とすることにより、加工工程の異常をリアルタイムで判定することができる。
【0069】
指標7は、クラスタリングにおけるクラスターの変動を閾値とするものである。例えば、工程が複数の工程情報によって運転状態がクラスタリングされる場合、工程の状態が変化して工程のクラスターが異なるクラスターに変動した場合、運転状態の異常をリアルタイムで判定することができる。なお、指標の種類にクラスタリングを例示したのは、指標化において回帰分析の手法を適用できることを示したものである。本実施形態においては、クラスタリング等の回帰分析の手法以外の分析手法を適用することができる。
【0070】
選択図表1004は、工程毎に記録された指標化情報に基づき生成される図表の設定項目である。例えば、指標1〜指標3は折線グラフが選択され、指標4は棒グラフが選択され、指標5及び指標7は表が選択され、さらに指標6は分布図が選択されている。
図4において選択される図表は1種類である場合を示したが、例えば複数種類の図表を選択可能にしておき、利用者の操作によって表示を切り替えるようにしてもよい。
以上で、
図4を用いた、工程監視装置100で生成する指標と図表の設定の説明を終了する。
【0071】
次に、
図5を用いて、
図4において説明した指標設定表1000の閾値の種類1003の指標化情報の閾値を説明する。
図5は、実施形態における工程監視装置で判定する指標化情報の閾値の一例を示す図である。
【0072】
図5において、閾値設定表1010は、工程1011、指標1(1012)、指標2(1013)、指標3(1014)、指標4(1015)、指標5(1016)の設定項目を有している。なお、
図4においては、指標1〜指標7について説明をしたが、工程A〜工程Dにおいては、指標1〜指標5を用いている。
【0073】
工程1011は、産業設備50の工程を特定する工程IDを設定する。
図5においては、工程A〜工程Dの4工程が例示されているが、工程の数はこれに限定されない。指標1(1012)〜指標5(1016)は、
図4で説明した指標1001の指標1〜指標5に相当している。すなわち、指標1(1012)は電力量についての最大値(W)の閾値の設定項目である。指標2(1013)は、温度Aについての最大値(℃)の閾値の設定項目である。指標3(1014)は、温度Bについての最小値(℃)の閾値の設定項目である。指標4(1015)は、生産量についての変化率(%)の閾値の設定項目である。また、指標5(1016)は、工程時間についての標準偏差(分)の閾値である。例えば、工程Aにおいては、電力量についての最大値の閾値が10Wに設定され、温度Aについての最大値の閾値が50℃に設定され、温度Bについての最小値の閾値が40℃に設定され、生産量についての変化率の閾値が5%に設定され、さらに、工程時間についての標準偏差の閾値が2分に設定されていることを示している。
図3のステップS15の処理において説明した判定結果は、指標1〜5における指標化情報がそれぞれ上記閾値を超えたか否かで判定されて生成される。
【0074】
閾値設定表1010を用いて工程ごとに閾値を設定することにより、同じ指標の種類に対して工程毎に異なる閾値を設定することが可能となる。なお、
図5は、工程A〜工程Dについてそれぞれ同じ指標の種類を用いる場合を示したが、工程ごとに異なる指標の種類を用いて閾値を設定してもよい。
以上で、
図5を用いた、指標化情報の閾値の説明を終了する。
【0075】
次に、
図6を用いて、
図3のステップS19の処理において説明した工程別の指標化情報の記録について説明する。
図6は、実施形態における工程監視装置で記録する指標化情報の一例を示す図である。
図6は、工程情報記録1020に記録された工程情報が指標化されて指標化情報記録1030に記録されることを示している。
【0076】
図6において、工程情報記録1020は、工程1021、時刻1022、情報1(1023)、情報2(1024)、情報3(1025)の記録項目を有する。工程情報記録1020の1行分の記録はデータベースにおける1レコードに相当する。
【0077】
工程1021は、
図5の工程1011と同様に、産業設備50の工程を特定する工程IDであり、工程A〜工程Dを例示している。
【0078】
時刻1022は、工程情報の取得時刻を示している。例えば、
図6においては、工程A〜工程Dにおいて、5分間隔で工程情報を取得する場合を例示している。工程Aにおいては、10:00、10:05、10:10、10:15の4回(4レコード)、工程情報が取得される。同様に、工程Bにおいては3回(3レコード)、工程Cにおいては2回(2レコード)、さらに工程Dにおいては2回(2レコード)、工程情報が取得される。
【0079】
情報1(1023)には取得された工程情報1、情報2(1024)には取得された工程情報2、及び情報3(1025)には取得された工程情報3が記録される。情報1(1023)、情報2(1024)、及び情報3(1025)の記録項目は、時刻1022において設定された工程情報の取得時刻において取得されたそれぞれの工程情報が記録される。
図6においては、工程情報1、工程情報2及び工程情報3の取得時刻が同じである場合を例示したが、工程情報の取得時刻の設定は任意である。例えば、工程情報によって取得間隔を異なるように設定してもよい。
【0080】
指標化情報記録1030は、工程1031、開始日時1032、終了日時1033、指標1(1034)、指標2(1035)、指標3(1036)、指標4(1037)、及び指標5(1038)の記録項目を有する。指標化情報記録1030は、それぞれ工程毎に1レコードの記録項目が記録される。
【0081】
工程1031は、工程1021と同じである。工程1031の工程Aのレコードは、工程1021の工程Aにおいて4回目の工程情報が取得された後に、工程Aにおける工程情報の指標化が行われて指標化情報が記録される。同様に、工程1031の工程Bのレコードは、工程1021の工程Bにおいて3回目の工程情報が取得された後に、工程Bにおける工程情報の指標化が行われて指標化情報が記録される。工程1031の工程Cのレコードは、工程1021の工程Cにおいて2回目の工程情報が取得された後に、工程Cにおける工程情報の指標化が行われて指標化情報が記録される。工程1031の工程Dのレコードは、工程1021の工程Dにおいて2回目の工程情報が取得された後に、工程Dにおける工程情報の指標化が行われて指標化情報が記録される。すなわち、指標化情報記録1030の1レコードは、1つの工程が終了したときに(指標化された後に)リアルタイムで記録されることになる。
【0082】
開始日時1032は、それぞれの工程の開始日時の記録項目であり、また、終了日時1033は、それぞれの工程の終了日時の記録項目である。なお、開始日時1032又は終了日時1033は、工程情報を取得した時刻である時刻1022とは一致しない。
【0083】
指標1(1034)、指標2(1035)、指標3(1036)、指標4(1037)、及び指標5(1038)は、工程情報に基づき生成される指標化情報の記録項目である。
図6においては、5つの指標化情報が生成されて記録されることを例示している。
【0084】
例えば、
図4に示す指標設定表1000に基づき指標化情報を生成する場合、指標1(1034)の工程Aに対応する箇所には、工程Aにおいて情報1(1023)の4レコードにわたって取得された電力量の最大値が記録される。指標1(1034)の工程Bに対応する箇所には、工程Bにおいて情報1(1023)の3レコードにわたって取得された電力量の最大値が記録される。同様に、指標2(1035)の工程Aに対応する箇所には、工程Aにおいて情報2(1024)の4レコードにわたって取得された温度Aの最大値が記録される。指標2(1035)の工程Bに対応する箇所には、工程Bにおいて情報2(1024)の3レコードにわたって取得された温度Aの最大値が記録される。
【0085】
なお、工程情報記録1020又は指標化情報記録1030は、HDD14等に記録することができる。工程情報記録1020又は指標化情報記録1030は、CSV形式のデータ又は表形式のデータとして記録することができる。
【0086】
また、
図6は、工程情報記録1020と指標化情報記録1030とを別の表(データ)として記録していく場合を説明したが、工程情報記録1020と指標化情報記録1030とを同じ表として記録してもよい。例えば、工程情報のレコードと指標化情報のレコードにはそれぞれのレコードを区別する符号を付けることにより、両方のレコードを1つの表として記録することが可能となる。
以上で、
図6を用いた、工程別の指標化情報の記録についての説明を終了する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態においては、工程監視装置は、産業装置から出力される工程の状態を示す工程情報を取得する工程情報取得部と、取得された工程情報に基づき、所定の指標で指標化した指標化情報を生成する指標化情報生成部と、指標化情報の閾値を取得する閾値取得部と、取得された閾値に基づき、生成された指標化情報の判定結果を生成する判定結果生成部と、生成された判定結果を通知する判定結果通知部と、生成された指標化情報を記録する指標情報記録部と、記録された指標化情報に基づき図表を生成する図表生成部とを有することにより、リアルタイムに工程を監視することができる。
【0088】
また、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0089】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0090】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。