(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る横軸水中ポンプの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における吸込カバーの形状を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における吸込カバーの他の形状を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における吸込カバーの他の形状を示す図である。
【
図5】
図5は、横軸水中ポンプを用いたポンプゲートシステムの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る横軸水中ポンプの運転モードを説明する図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態での全量排水モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態での気水混合排出モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態でのアイドリングモード時のポンプ動作を示す図である。
【
図10】
図10は、横軸水中ポンプに設置されたエア抜機構の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態における吸込カバーの形状を示す図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態における吸気部の形状を示す図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態における吸気部の他の形状を示す図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態における吸気部の他の形状を示す図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る横軸水中ポンプの運転モードを説明する図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態での全量排水モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態での気水混合排出モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態でのアイドリングモード時のポンプ動作を示す図である。
【
図20】
図20は、第3実施形態に係る横軸水中ポンプの外形を示す図である。
【
図21】
図21は、第3実施形態に係る横軸水中ポンプの他の外形を示す図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態に係る横軸水中ポンプの運転モードを説明する図である。
【
図23】
図23は、第3実施形態での全量排水モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図24】
図24は、第3実施形態での気水混合排出モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図25】
図25は、第3実施形態でのアイドリングモード時のポンプ動作を示す図である。
【
図26】
図26は、第4実施形態における横軸水中ポンプの外形を示す図である。
【
図27】
図27は、第4実施形態における横軸水中ポンプの他の外形を示す図である。
【
図28】
図28は、第4実施形態における横軸水中ポンプの他の外形を示す図である。
【
図29】
図29は、第4実施形態に係る横軸水中ポンプの運転モードを説明する図である。
【
図30】
図30は、第4実施形態での全量排水モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図31】
図31は、第4実施形態での気水混合排出モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図32】
図32は、第4実施形態でのアイドリングモード時のポンプ動作を示す図である。
【
図33】
図33は、第5実施形態における横軸水中ポンプの外形を示す図である。
【
図34B】
図34Bは、第5実施形態における空気調整機構の他の構成を示す図である。
【
図35】
図35は、第5実施形態に係る横軸水中ポンプの運転モードを説明する図である。
【
図36】
図36は、第5実施形態での全量排水モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図37】
図37は、第5実施形態での気水混合排出モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図38】
図38は、第5実施形態でのアイドリングモード時のポンプ動作を示す図である。
【
図39】
図39は、第6実施形態における横軸水中ポンプの構成を示す図である。
【
図40B】
図40Bは、吸込カバーの前縁の高さ位置における羽根車の展開図である。
【
図41】
図41は、第6実施形態における吸込カバーの形状を示す図である。
【
図42】
図42は、横軸水中ポンプの性能曲線を表すグラフである。
【
図43】
図43は、第6実施形態に係る横軸水中ポンプの運転モードを説明する図である。
【
図44】
図44は、第6実施形態での全量排水モード時のポンプ動作を示す図である。
【
図45】
図45は、第6実施形態でのアイドリングモード時のポンプ動作を示す図である。
【
図46】
図46は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図47】
図47は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図48】
図48は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図49】
図49は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図50】
図50は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図51】
図51は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図52】
図52は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図53】
図53は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図54】
図54は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【
図55】
図55は、他の実施形態としての吸込カバーの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る横軸水中ポンプ1の構成を示す側断面図である。横軸水中ポンプ1は、大容量の排水を行うことが可能な横軸軸流型の水中ポンプであり、ケーシング2と、羽根車3と、主軸4と、案内羽根5と、水中電動機6とを備える。
【0034】
ケーシング2は、吸込口と排出口とを有する筒体であり、その内部を流体(水及び空気)が通過する。ケーシング2の内部には、吸込側から、羽根車3、案内羽根5及び水中電動機6が配置される。羽根車3は、排水機場の仕様に応じて選択されるものであり、例えば、軸流羽根又は斜流羽根である。主軸4は、水中電動機6で発生された回転力を羽根車3に伝達するものであり、一端が水中電動機6に接続され、他端が羽根車3に接続される。すなわち、羽根車3は、ケーシング2に保持されている水中電動機6により、主軸4を介して支持されている。案内羽根5は、ケーシング2内を流通する流体の流れ方向を規定する。
【0035】
更に、横軸水中ポンプ1は、ケーシング2の吐出側に開閉可能に支持されたフラップゲート9を備え得る。なお、フラップゲート9は、ケーシング2の排出口に直接的又は間接的に設けられ得る。例えば、ケーシング2とフラップゲート9とは、横軸水中ポンプ1の被取り付け対象である水門壁を介して互いに接続されてもよい。ここで、水門壁の一例としては、後述するようなポンプゲートシステムのゲート扉体が挙げられる。フラップゲート9は、横軸水中ポンプ1の吐出圧力が低いときには自重により閉じ、吐出圧力が高いときには上部の支点を軸として開くことで排水を可能とする。なお、用途に応じては、ケーシング2の吐出側に吐出配管を接続して排水することも可能である。
【0036】
また、横軸水中ポンプ1は、ケーシング2の吸込側に、開口部8を下方に向けた吸込カバー7を備える。吸込カバー7は、例えば鋳物製であり、開口部8から吸い込んだ流体をケーシング2の吸込口に導く。
【0037】
図2は、本実施形態における吸込カバー7の形状を示す三面図である。吸込カバー7は、上壁10と、上壁10の両側端からそれぞれ下方に延設される2つの側壁11と、ケーシング2に接続し、排出開口を有するフランジ12とを有する。上壁10は、吸込側(側面図の左方向)に向かって下方に傾斜している。側壁11の下端は、上壁10の前縁13の両端から横軸水中ポンプ1のケーシング2下方近傍までそれぞれ傾斜している。
【0038】
吸込カバー7の開口部8は、吸込側の方が他の側よりも高くなるように傾いた状態で設けられている、本実施形態における第1吸込開口である。上壁10の前縁13は、中央部分が両端部より高い凸部を形成している。そして、吸込カバー7の吸気部14は、前縁13の両端部を結ぶ直線(2点鎖線)と凸形の前縁13とで囲まれた空間であり、本実施形態における第2吸込開口である。なお、前縁13は、一直線に限らず、前縁13の中央部分が吸込側に突出していてもよい。また、吸気部14の最も高い位置にある始端14aと、最も低い位置にある終端14bとは、排水機場や横軸水中ポンプ1の仕様に応じて、後述する気水混合排出モードで運転可能な位置に設定される。
【0039】
図3は、本実施形態における吸込カバー7の他の形状を示す二面図である。本実施形態において、吸込カバー7の形状は、
図2に示すようなものに限定されず、
図3に示すようなものであってもよい。
図3に示す吸込カバー7は、上壁10の前縁13から下方に向かって延設される前壁15を有する。この場合、本実施形態における第2吸込開口は、前壁15を貫通する複数の吸気孔16である。側壁11の下端(端部)は、前壁15の下端からフランジ12に向かって所定の傾斜角度を有する。前壁15の延設長さは、後述する気水混合排出モードやアイドリングモードの運転状況により適宜設定される。また、吸気孔16の形状は、円状、長孔状、スリット状等、適宜選択可能であり、吸気孔16の孔径やスリットの幅なども、運転条件に応じて適宜決定される。
【0040】
図4は、本実施形態における吸込カバー7の他の形状を示す二面図である。
図4に示す吸込カバー7は、上壁10の前縁13を水平とし、前縁13から下方に向かって延設される前壁15を有する。前壁15は、開口部8に連通する、少なくとも1以上の切り欠きを有し、これらの切り欠きを全体として見ると、その形状は、鋸状又は波状である。この場合、本実施形態における第2吸込開口は、切り欠きと、前壁15の下端を結ぶ直線(2点鎖線)とで囲まれる開口としての吸気部14である。側壁11の形状や、前壁15の延設長さについては、
図3に示す吸込カバー7と同様である。
【0041】
図5は、横軸水中ポンプ1を用いたポンプゲートシステム17の構成を示す概略図である。ポンプゲートシステム17は、ポンプゲート19と、天壁20から垂下し、ゲート扉体18を吊り上げるラック棒21と、ラック棒21を上下動させることでポンプゲート19を昇降させる開閉機22とを備える。
【0042】
ポンプゲート19は、ゲート扉体18に横軸水中ポンプ1を着脱自在に組み込み、河川等の水路を開閉するものであり、上流側(図左方)から下流側(図右方)へ水を排水する。具体的には、平時は、ゲート扉体18を上昇させた状態で、ポンプ吸込側(上流側)の水路の水をポンプ吐出側(下流側)の水路に自然排水する。一方、大雨等で下流側の外水位が上昇した際には、開閉機22の駆動によりゲート扉体18を下降させて水路を閉じ、横軸水中ポンプ1は、上流側の水を下流側に強制的に排水する。なお、本実施形態におけるポンプゲートシステム17は、ポンプゲート19を垂直に降下させて水路を閉止しているが、揺動又は回転等の公知技術により水路を閉止してもよい。
【0043】
次に、ポンプゲートシステム17に用いられる横軸水中ポンプ1の運転モードについて説明する。
図6は、横軸水中ポンプ1の運転モードを説明する図である。なお、
図6では、吸込カバー7の形状が
図3に示すものであるとして説明するが、
図2又は
図4に示す吸込カバー7であっても同様である。
【0044】
横軸水中ポンプ1は、予め設定された吸込側の2つの水位H,M(H>M)を基準とした3つの運転モードを有する。具体的には、全量排水モードM1と、気水混合排出モードM2と、アイドリングモードM3とである。全量排水モードM1は、吸込側の水位が水位Hを超えているときに実施される。気水混合排出モードM2は、吸込側の水位が、水位H以下で、かつ、水位Mを超えているときに実施される。アイドリングモードM3は、吸込側の水位が水位M以下であるときに実施される。なお、不図示であるが、吸込側の水位が特定の水位L(L<M)以下であるときは、横軸水中ポンプ1は、運転を停止する。
【0045】
吸込カバー7が
図3に示す形状である場合、水位Hは、吸込カバー7の吸気孔16の上端16aの位置に設定される。水位Mは、吸込カバー7の開口部8の上端に設定される。また、水位Lは、羽根車3が回転していても、水中電動機6に十分な水が供給できない水位の上限に設定される。なお、吸込カバー7が
図2に示す形状である場合には、水位Hは、吸込カバー7の吸気部14の始端14aの位置に設定され、水位Mは、吸気部14の終端14bの位置に設定される。
【0046】
<全量排水モード>
図7は、運転モードが全量排水モードM1(吸込側水位>水位H)であるときの横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。全量排水モードM1は、上流側で吸い込んだ水を下流側に全量排出させる運転モードである。大雨等によりゲート下流側(吐出側)の水位が上昇すると、逆流を抑止するために、ゲート扉体18が降下され、水路が閉止される。そして、ゲート上流側(吸込側)の水位が水位Hを越えると、横軸水中ポンプ1が起動され、横軸水中ポンプ1は、全量排水モードM1で、定格回転数で運転して下流側に排水する。このとき、横軸水中ポンプ1の内部に連通する開口(吸気孔16及び開口部8)は全て没水しており、横軸水中ポンプ1の吐出圧力により吐出側のフラップゲート9は開放した状態となっている。ここで、横軸水中ポンプ1の運転開始のタイミングは、不図示の制御装置が、公知の水位計等により水位Hを超えていることを検知した上で判断してもよいし、実際に水位Hを検知することなく、予め設定された開始時間等に基づいて自動で判断してもよい。
【0047】
<気水混合排出モード>
図8は、運転モードが気水混合排出モードM2(水位H≧吸込側水位>水位M)であるときの横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。横軸水中ポンプ1が全量排水モードM1でゲート上流側の貯留水を排水した結果、ゲート上流側の水位が徐々に低下して水位H以下になると、運転モードが気水混合排出モードM2に移行する。気水混合排出モードM2は、水とともに少量の空気を吸気しつつ、定格回転数での運転で排水を行う運転モードである。
【0048】
具体的な水位としては、吸込カバー7の吸気孔16の一部又は全部が大気開放しているが、開口部8は没水している水位である。吸込カバー7の吸気孔16の上端16aを水位Hに設定することにより、開口部8から水を吸い込みながら、吸気孔16から空気を吸い込むことができる。排水量は、水位と吸気量との関係より決定される。この気水混合排出モードM2を設けることにより、低水位での不安定運転を緩和することができる。
【0049】
なお、気水混合排出モードM2では、横軸水中ポンプ1の吐出圧力は、全量排水モードM1のときよりも低下している。ただし、フラップゲート9は、開放されたままである。
【0050】
<アイドリングモード>
図9は、運転モードがアイドリングモードM3(水位M≧吸込側水位>水位L)であるときの横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。横軸水中ポンプ1が排水を続けることで、更に水位が低下して水位M以下になると、運転モードは、気水混合排出モードM2からアイドリングモードM3に移行する。アイドリングモードM3は、いわゆる待機運転となるモードであり、水とともに大量の空気を吸気しつつ、定格回転数での運転を維持する運転モードである。
【0051】
具体的な水位としては、吸込カバー7の開口部8の一部が大気開放しているものの、羽根車3の一部が没水している水位である。吸込カバー7の開口部8の上端を水位Mに設定することにより、水位が水位M低下になったときに、吸込カバー7の吸気孔16と開口部8とから大量の空気を吸い込むことができる。その結果、横軸水中ポンプ1の吐出圧力は低下するが、ケーシング2内で水と空気とが混合した状態で運転が継続される。ケーシング2内の水量は、吸込側水位に応じて変動する。このアイドリングモードM3では、ケーシング2内で攪拌される水により、水中電動機6が冷却されるため、過度の発熱を抑えることができる。
【0052】
なお、アイドリングモードM3では、水と空気とがケーシング2内で循環流動し、吐出圧力が低いため、フラップゲート9は、基本的には閉塞した状態にある。ただし、下流側の水位が低下すると、フラップゲート9が開放する場合もある。また、フラップゲート9を閉塞した締切状態で定格回転数での運転を行っても、大量の空気が混入しているため、水動力が低く、ポンプ動力の上昇を抑制することができる。
【0053】
ここで、アイドリングモードM3では、基本的には水を排出しないので、吸込側の水位の低下はない。しかし、下流側の水位の低下により横軸水中ポンプ1の吐出圧力がフラップゲート9を開放するだけの圧力になると、排水により吸込側の水位が低下してくる。吸込側の水位が低下して水位L以下になると、横軸水中ポンプ1は、吸込側の流入予測量にもよるが、再排水の可能性が低いと判断して運転を停止する。横軸水中ポンプ1の運転停止のタイミングは、不図示の制御装置が、公知の水位計等により、水位L以下の水位を一定時間継続した状態を検知した上で判断してもよいし、実際に水位Lを検知することなく、予め設定された開始時間等に基づいて自動で判断してもよい。
【0054】
一方、いずれかの運転モード中に上流側の流入量が増大して水位が上昇したときも、別の運転モードに移行する。例えば、水位L以下の状態で水位が上昇し、吸込側の水位が水位Lを超えたとする。この場合、運転モードは、開口部8からは水と空気を、吸気孔16からは空気を吸気しつつ、フラップゲート9を閉じた状態でケーシング2内の水を攪拌するアイドリングモードM3に移行する。また、アイドリングモードM3中に水位が上昇し、吸込側の水位が水位Mを超えると、運転モードは、開口部8からは水を、吸気孔16からは空気を吸気しながら排水する気水混合排出モードM2に移行する。更に、気水混合排出モードM2中に水位が上昇し、吸込側の水位が水位Hを超えると、運転モードは、開口部8及び吸気孔16から水を吸い込む全量排水モードM1に移行する。
【0055】
なお、横軸水中ポンプ1は、運転停止後、吸込側の流入予測量や、排水機場又は横軸水中ポンプ1の仕様に応じて、運転再開を適宜判断する。運転再開のタイミングは、吸込側の水位がどの水位であっても構わない。
【0056】
横軸水中ポンプ1は、更に、エア抜機構を備える。
図10は、横軸水中ポンプ1に設置されたエア抜機構23の構成を示す概略図である。例えば、水位が上昇して、気水混合排出モードM2から全量排水モードM1に運転モードが移行する際には、ケーシング2内に滞留していた空気が、エア抜機構23により外部に排出される。エア抜機構23は、例えば、横軸水中ポンプ1の排出側に取り付けたフラップゲート9の上方に設置され得る、小さな開口を有するフラップ式のゲートである。ケーシング2内の水分の増大に伴い、内圧が所定の圧力に達すると、フラップ式のゲートが開放し、ケーシング2内のエアが外部に排出される。なお、エア抜機構23は、ケーシング2内の水分の増大に伴い、内圧が所定の圧力に達すると自動的に作動する機構を備えたものであればよいもので、例えば、ケーシング2の上部に設置されるエア抜弁等であってもよい。
【0057】
次に、横軸水中ポンプ1の作用及び効果について説明する。横軸水中ポンプ1は、上記のように、第1吸込開口(開口部8)の上端よりも高い位置に開口する第2吸込開口(吸気部14等)を有するので、吸込側の水位の変化に応じて運転モードを自動的に切り替えることができる。具体的には、横軸水中ポンプ1は、吸込側の水位が第2吸込開口の上端よりも高いときには、第1及び第2吸込開口を没水させて、全量排水モードで運転する。また、横軸水中ポンプ1は、吸込側の水位が、第2吸込開口の上端よりも低く、かつ、第1吸込開口の上端よりも高いときには、第1吸込開口から水を吸い込みつつ第2吸込開口から空気を吸い込む気水混合排水モードで運転を行う。更に、横軸水中ポンプ1は、吸込側の水位が第1吸込開口の上端よりも低いときには、第1及び第2吸込開口から空気を吸い込んでケーシング内で水を循環流動させるアイドリングモードで運転を行う。
【0058】
例えば、吸込側の水位が急速に低下した場合には、全量排水モードから気水混合排水モードへ、又は、気水混合排水モードからアイドリングモードへ移行する。これにより、横軸水中ポンプ1は、羽根車3を駆動する水中電動機6の定格回転数での運転を維持したまま、吸込側の水位の低下速度を抑制することができる。また、例えば、吸込側の水位が急速に上昇した場合には、アイドリングモードから気水混合排水モードへ、又は、気水混合排水モードから全量排水モードへ移行する。これにより、横軸水中ポンプ1は、水中電動機6の定格回転数での運転を維持したまま、吸込側の水位の上昇速度を抑制することができる。したがって、水中電動機6すなわちポンプのON/OFFの繰り返し頻度を低下させることができる。
【0059】
また、羽根車3が完全に没水しない気水混合排水モード及びアイドリングモードの各運転モードでは、空気を吸気しつつ運転するので、羽根車3に大きな負圧がかからず、また、水面からの空気吸込渦を抑制することができる。
【0060】
更に、横軸水中ポンプ1は、水位に応じた各運転モード間の移行を、複雑な制御装置等を設けることなく実現することができる。
【0061】
また、
図2に示すような吸込カバー7によれば、水面からの空気吸込渦の発生を抑止して、振動・騒音を抑制することができる。また、気水混合排水モードでは、例えば、吸込側の水位の低下に伴って第2吸込開口での吸気面積が拡大するので、空気の吸込量を好適に増やし、また、各運転モード間を滑らかに移行させることができる。
【0062】
さらに、
図3又は
図4に示すような吸込カバー7によれば、前壁15に吸気孔16又は吸気部14を設けているので、前縁13に沿って均一に空気が流入する。したがって、急激な空気の流入を抑え、振動・騒音を抑制できる。また、前壁15に吸気孔16等を設けることで、流入空気量の調整が容易になるとともに、異物の流入を抑止できる。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、吸込側の水位が全量排水運転時の水位以下でも、定格回転数での運転を維持し、ポンプの停止と起動との繰り返しを抑えることが可能な横軸水中ポンプを提供することができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る横軸水中ポンプについて説明する。本実施形態に係る横軸水中ポンプでは、吸込カバー7の形状が、第1実施形態に係る横軸水中ポンプ1と異なる。以下、第1実施形態に係る横軸水中ポンプ1と同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0065】
図11は、本実施形態における吸込カバー7の形状を示す三面図である。
図2に示す第1実施形態における吸込カバー7と比較して、吸込カバー7の全体形状はほぼ同一であるが、吸気部14の形状及び形成位置が異なる。
【0066】
図12は、本実施形態における第2吸込開口の一例として、上壁10に設けられた吸気部14の形状を示す平面図である。吸気部14は、所定の幅でフランジ12近傍に位置する始端14aから前縁13近傍に位置する終端14bに向かって形成され、上壁10の表面と裏面とを貫通する開口であり、水及び空気が流入自在である。なお、吸気部14の開口による応力集中を軽減するために、各角を円弧状に形成してもよい。吸気部14が没水している時は、吸気部14からも吸水し、水位が低下してくると、空気が吸気部14の始端14a側から徐々に吸込カバー7内に流入する。特に本実施形態では、水位低下時に始端14aから終端14bに向かって開口面積が増大するように、上壁10の前縁13側(吸気部14の終端14b側)に幅を漸増させている。これにより、水位の低下に伴って滑らかに運転モードを移行させることができる。また、吸気部14の始端14a、終端14b及び幅は、上壁10の傾斜角度やポンプ口径等の条件から適宜決定される。
【0067】
図13は、本実施形態における第2吸込開口の他の一例として、上壁10に設けられた複数の吸気孔30の形状を示す平面図である。複数の吸気孔30の形成条件は、
図12に示す吸気部14と同様の条件を満たす。また、吸気孔30の孔径等も、ポンプの運転条件に応じて適宜決定される。
【0068】
図14Aは、本実施形態における第2吸込開口の他の一例として、上壁10に設けられた複数のスリット32の形状を示す平面図であり、1つのスリット32の形状が三角形で、かつ、そのようなスリット32が複数、主軸4と平行となる方向に並んでいる例を示す。一方、
図14Bは、1つのスリット32の形状が矩形で、かつ、そのようなスリット32が複数、主軸4に対して垂直となる方向に並んでいる例を示す。複数のスリット32の形成条件も、
図12に示す吸気部14と同様の条件を満たす。また、スリット32の幅等も、ポンプの運転条件に応じて適宜決定される。
図13及び
図14に示すように、吸気部14に相当する部分を複数の開口で形成することにより、吸込カバー7の上壁10の強度を保つことができ、吸込カバー7を薄板で構成することができる。
【0069】
図15は、本実施形態における第2吸込開口の他の一例として、側壁11に設けられた吸気部14の形状を示す側面図である。吸気部14は、上部(水位が上昇する方向)に位置する始端14aから下部(水位が低下する方向)に位置する終端14bに向かって、徐々に吸込側へ向かう幅が広くなるように形成され、側壁11の表面と裏面とを貫通する開口であり、水及び空気が流入自在である。なお、吸気部14の開口による応力集中を軽減するために、各角を円弧状に形成してもよい。吸気部14が没水している時は、吸気部14からも吸水し、水位が低下してくると、空気が吸気部14の始端14a側から徐々に吸込カバー7内に流入する。この場合も、水位低下時に始端14aから終端14bに向かって開口面積が増大するように、側壁11の下部側に幅を漸増させることで、水位の低下に伴って滑らかに運転モードを移行させることができる。なお、側壁11に形成される吸気部14は、上壁10に形成される場合と同様に、多数の吸気孔30や、複数のスリット32等であってもよい。
【0070】
図16は、本実施形態における横軸水中ポンプ1の運転モードを説明する図である。なお、
図16では、吸込カバー7の形状が
図12に示すものであるとして説明するが、
図13〜
図15に示す吸込カバー7であっても同様である。横軸水中ポンプ1が、予め設定された吸込側の2つの水位H,M(H>M)を基準とした3つの運転モード、全量排水モードM1、気水混合排出モードM2及びアイドリングモードM3を有する点は、第1実施形態と同様である。この場合、水位Hは、吸込カバー7の吸気部14の始端14aの位置に設定される。水位Mは、前縁13の頂部の位置に設定される。また、水位Lは、羽根車3が回転していても、水中電動機6に十分な水が供給できない水位の上限に設定される。
【0071】
図17は、運転モードが全量排水モードM1(吸込側水位>水位H)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この全量排水モードM1では、横軸水中ポンプ1は、
図7に示した第1実施形態における全量排水モードM1と同様に動作する。
【0072】
図18は、運転モードが気水混合排出モードM2(水位H≧吸込側水位>水位M)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この気水混合排出モードM2では、横軸水中ポンプ1は、
図8に示した第1実施形態における気水混合排出モードM2と同様に動作する。
【0073】
図19は、運転モードがアイドリングモードM3(水位M≧吸込側水位>水位L)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。このアイドリングモードM3では、横軸水中ポンプ1は、
図9に示した第1実施形態におけるアイドリングモードM3と同様に動作する。
【0074】
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0075】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る横軸水中ポンプについて説明する。本実施形態に係る横軸水中ポンプでは、第2吸込開口としての吸気部14が、吸込カバー7ではなくケーシング2に形成されている点が、第1及び第2実施形態に係る横軸水中ポンプ1と異なる。以下、第1実施形態に係る横軸水中ポンプ1と同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0076】
図20は、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1の外形を示す側断面図である。この場合、吸込カバー7の全体形状は、
図2に示す第1実施形態における吸込カバー7とほぼ同一であるが、本実施形態における吸込カバー7には、吸気部14が存在しない。一方、ケーシング2の側面のうち、上半分で、かつ、羽根車3の設置位置よりも上流側には、ケーシング2の外部と内部とを貫通する複数の吸気孔からなる吸気部14が形成されている。複数の吸気孔は、筒状のケーシング2の頂部近傍の始端14aから、円周方向に沿ってケーシング2の筒幅中心近傍の終端14bまで形成される。この場合の始端14aは、最も高水位に位置する吸気孔となり、終端14bは、最も低水位に位置する吸気孔となる。
図20に示す例では、複数の吸気孔は、始端14aから終端14bまで同じ数量(同じ開口面積)で並んでいる。ここでも、吸気部14が没水しているときは、吸気部14からも吸水し、水位が低下してくると、空気が吸気部14の始端14a側から徐々に吸込カバー7内に流入する。
【0077】
図21は、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1の他の外形を示す平面図である。
図20に示すような吸気部14を構成する複数の吸気孔を、
図21に示すように、水位低下時に始端14aから終端14bに向かって開口面積が増大するように吸気孔の数量を増加させることで、水位の低下に伴って滑らかに運転モードを移行させることができる。
【0078】
なお、吸気部14を構成する複数の吸気孔の形状は、円状に限らず、例えばスリット状でもよく、適宜選択可能である。また、吸気孔の孔径やスリットの幅等は、横軸水中ポンプ1の運転条件に応じて適宜決定される。更に、吸気部14の始端14a、終端14b及び幅は、機場や横軸水中ポンプ1の運転条件に応じて適宜決定される。
【0079】
図22は、本実施形態における横軸水中ポンプ1の運転モードを説明する図である。横軸水中ポンプ1が、予め設定された吸込側の2つの水位H,M(H>M)を基準とした3つの運転モード、全量排水モードM1、気水混合排出モードM2及びアイドリングモードM3を有する点は、第1及び第2実施形態と同様である。この場合、水位Hは、ケーシング2の吸気部14の始端14aの位置に設定される。水位Mは、前縁13の頂部の位置に設定される。また、水位Lは、羽根車3が回転していても、水中電動機6に十分な水が供給できない水位の上限に設定される。
【0080】
図23は、運転モードが全量排水モードM1(吸込側水位>水位H)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この全量排水モードM1では、横軸水中ポンプ1は、
図7に示した第1実施形態における全量排水モードM1と同様に動作する。
【0081】
図24は、運転モードが気水混合排出モードM2(水位H≧吸込側水位>水位M)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この気水混合排出モードM2では、横軸水中ポンプ1は、
図8に示した第1実施形態における気水混合排出モードM2と同様に動作する。
【0082】
図25は、運転モードがアイドリングモードM3(水位M≧吸込側水位>水位L)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。このアイドリングモードM3では、横軸水中ポンプ1は、
図9に示した第1実施形態におけるアイドリングモードM3と同様に動作する。
【0083】
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0084】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る横軸水中ポンプについて説明する。本実施形態に係る横軸水中ポンプは、一端が吸込カバー7又はケーシング2に接続され、他端が開放されている吸気口である吸気管を備え、他端の吸気口を第2吸込開口とする点が、第1〜第3実施形態に係る横軸水中ポンプ1と異なる。以下、第1実施形態に係る横軸水中ポンプ1と同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0085】
図26は、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1の外形を示す側面図である。この場合、吸込カバー7の全体形状は、
図2に示す第1実施形態における吸込カバー7とほぼ同一であるが、本実施形態における吸込カバー7には、吸気管14が接続されている。具体的には、例えば、吸気管14の一端は、吸込カバー7の側壁11に接続され、吸込カバー7の内部に連通する。吸気管14は、所定の長さだけ上方に延設されて、逆U字状に曲管される。そして、吸気管14の他端は、下方に向けて吸気口14aとして開放される。この構成によれば、吸気口14aから一旦上方へ向かって吸引するので、水面の浮遊物により吸気口14a及び管内が閉塞することが抑えられる。なお、他端を閉塞し、吸気管14の側面に吸気口14aを設けてもよい。
【0086】
なお、吸気管14の曲管方向は、特に限定されるものではないが、水面の浮遊物等との衝突による損傷を抑止するために、吸込カバー7の上壁10の上方で開口し、上壁10の前縁13から上方に防護壁31を突出させることが望ましい。また、吸気管14の吸気口14aの高さ方向の位置及び管径は、機場や横軸水中ポンプ1の仕様等の運転条件から適宜決定される。
【0087】
図27は、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1の他の外形を示す側面図である。吸気管14の一端は、
図27に示すように、吸込カバー7の上壁10に接続されるものとしてもよい。
【0088】
図28は、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1の他の外形を示す側面図である。吸気管14の一端は、
図28に示すように、ケーシング2の側壁に接続されるものとしてもよい。これらのように、吸気管14の一端が横軸水中ポンプ1の羽根車3の上流側に空気を吸入させる位置に接続されるならば、吸気管14の位置及び形状等は、限定されない。
【0089】
図29は、本実施形態における横軸水中ポンプ1の運転モードを説明する図である。横軸水中ポンプ1が、予め設定された吸込側の2つの水位H,M(H>M)を基準とした3つの運転モード、全量排水モードM1、気水混合排出モードM2及びアイドリングモードM3を有する点は、第1〜第3実施形態と同様である。この場合、水位Hは、吸気管14の吸気口14aの位置に設定される。水位Mは、前縁13の頂部の位置に設定される。また、水位Lは、羽根車3が回転していても、水中電動機6に十分な水が供給できない水位の上限に設定される。
【0090】
図30は、運転モードが全量排水モードM1(吸込側水位>水位H)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この全量排水モードM1では、横軸水中ポンプ1は、
図7に示した第1実施形態における全量排水モードM1と同様に動作する。
【0091】
図31は、運転モードが気水混合排出モードM2(水位H≧吸込側水位>水位M)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この気水混合排出モードM2では、横軸水中ポンプ1は、
図8に示した第1実施形態における気水混合排出モードM2と同様に動作する。
【0092】
図32は、運転モードがアイドリングモードM3(水位M≧吸込側水位>水位L)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。このアイドリングモードM3では、横軸水中ポンプ1は、
図9に示した第1実施形態におけるアイドリングモードM3と同様に動作する。
【0093】
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0094】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る横軸水中ポンプについて説明する。本実施形態に係る横軸水中ポンプにおいて、一端が吸込カバー7又はケーシング2に接続され、他端が開放されている吸気口である吸気管を備える点は、第4実施形態と同様である。その上で、本実施形態に係る横軸水中ポンプの特徴は、運転モードを決定するための水位判断に第2吸気開口を用いない点にある。以下、第1実施形態に係る横軸水中ポンプ1と同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0095】
図33は、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1の外形を示す側面図である。この場合、吸込カバー7の全体形状は、
図2に示す第1実施形態における吸込カバー7とほぼ同一であるが、本実施形態における吸込カバー7には、吸気管14が接続されている。具体的には、例えば、吸気管14の一端は、吸込カバー7の側壁11に接続され、吸込カバー7の内部に連通する。吸気管14は、所定の長さだけ上方に延設される。そして、吸気管14の他端は、水平に曲管されて吸気口14aとして開放される。なお、他端を閉塞し、吸気管14の側面に吸気口14aを設けてもよい。
【0096】
本実施形態では、気水混合排出モードM2時に吸気口14aから吸気することができるように、気水混合排出モードM2時の水位よりも上方に吸気口14aを位置させる。なお、水面の浮遊物等が吸気口14aを閉塞することを抑止するために、吸気口14aは、貯水槽の最大水位より上方位置に開放させておくことが望ましい。また、吸気管14と水面の浮遊物等との衝突による損傷を抑止するために、必要に応じて防護壁31等を設けてもよい。
【0097】
なお、吸気管14の一端が横軸水中ポンプ1の羽根車3の上流側に空気を吸入させる位置に接続されるならば、吸込カバー7の上壁10やケーシング2等に接続されてもよい。また、吸気管14の管径等は、機場や横軸水中ポンプ1の仕様等の運転条件から適宜決定される。
【0098】
また、吸気管14は、その内部に空気量調整機構を備える。
図34A及び
図34Bは、空気量調整機構33の構成を示す概略図である。上流側の水位に応じて、横軸水中ポンプ1の羽根車3へ押し込み圧力が変動し、ポンプ内圧が変動する。空気量調整機構33は、このポンプ内圧に応じて所定の空気量を横軸水中ポンプ1に供給するものである。空気量調整機構33としては、
図34Aに示すように、オリフィス板等の抵抗体33aを用いることができ、又は、
図34Bに示すように、所定の圧力を閾値にして開閉する圧力弁33bを用いることもできる。本実施形態では、吸込側の水位が低下した際に所定の空気量を流入させることで、横軸水中ポンプ1の運転モードが、気水混合排出モードM2に切り替わる。具体的には、吸込側の水位が低下すると、水頭による押し込み圧力が低下して定格回転数で運転している羽根車3の上流側(吸込側)が負圧となる。その負圧が空気量調整機構33の抵抗値より大きな負圧(又は設定圧力の検知による圧力弁開放)となった場合、大気に開放されている吸気口14aよりケーシング2内に空気が流入し、気水混合状態にて排出が行われる。なお、空気量調整機構33の抵抗値や設定圧力等は、横軸水中ポンプ1の仕様や運転条件等に応じて適宜設定される。
【0099】
図35は、本実施形態における横軸水中ポンプ1の運転モードを説明する図である。横軸水中ポンプ1が、予め設定された吸込側の2つの水位H,M(H>M)を基準とした3つの運転モード、全量排水モードM1、気水混合排出モードM2及びアイドリングモードM3を有する点は、第1〜第4実施形態と同様である。この場合、水位Hは、気水混合排出モードM2の上端として予め規定される。そして、空気量調整機構33は、吸込側水位が水位Hとなったときに気水混合排出モードM2となるよう、予め設定される。水位Mは、前縁13の頂部の位置に設定される。また、水位Lは、羽根車3が回転していても、水中電動機6に十分な水が供給できない水位の上限に設定される。
【0100】
図36は、運転モードが全量排水モードM1(吸込側水位>水位H)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この全量排水モードM1では、横軸水中ポンプ1は、
図7に示した第1実施形態における全量排水モードM1と同様に動作する。ただし、本実施形態では、空気量調整機構33の構成によっては、横軸水中ポンプ1の内部に連通する開口(空気量調整機構33及び開口部8)は、全て没水のみならず、全て閉止している場合も含まれる。
【0101】
図37は、運転モードが気水混合排出モードM2(水位H≧吸込側水位>水位M)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この気水混合排出モードM2では、横軸水中ポンプ1は、
図8に示した第1実施形態における気水混合排出モードM2と同様に動作する。ただし、本実施形態では、上記のとおり、空気量調整機構33が予め気水混合排出モードM2上端水位で吸気開始する抵抗値に設定されていることにより、運転モードが気水混合排出モードM2に切り替わる。
【0102】
図38は、運転モードがアイドリングモードM3(水位M≧吸込側水位>水位L)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。このアイドリングモードM3では、横軸水中ポンプ1は、
図9に示した第1実施形態におけるアイドリングモードM3と同様に動作する。
【0103】
このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0104】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る横軸水中ポンプについて説明する。従来の横軸水中ポンプにおいて、水位が低下したときにケーシング内で水と空気とを攪拌するアイドリングモードでの運転中は、水中電動機の冷却を行うことが難しかった。これに対して、本実施形態では、羽根車の下端から所定の吐出角度θ以上となる羽根車の位置に水位を合わせることで、アイドリングモードでの運転中でもケーシング内に水を滞留させて水中電動機が没水する状態を維持させることで、水中電動機を冷却する。以下、第1実施形態に係る横軸水中ポンプ1と同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0105】
なお、以下の説明では、羽根車3の位置を基準として吸込カバー7の前縁13等の高さ位置を規定する点について理解しやすいように、便宜上、横軸水中ポンプ1が、全量排水モードとアイドリングモードとの2つの運転モードのみを有するものとする。しかし、この場合でも、全量排水モードとアイドリングモードとの間の移行時には気水混合状態が存在する。ただし、本実施形態でいう気水混合状態は、上記各実施形態で説明した気水混合排出モードM2のような、本発明の各効果を得るために積極的に設けられた運転モードとは異なるものである。したがって、気水混合排出モードを含む3つの運転モードを有する上記各実施形態に係る横軸水中ポンプ1に対しても、本実施形態の内容は適用可能である。
【0106】
図39は、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1の構成を示す側断面図である。本実施形態に係る横軸水中ポンプ1では、第1実施形態の場合と比較して、吸込カバー7の前縁13の高さ位置Aが羽根車3の位置を基準として規定される点が異なる。
【0107】
図40Aは、羽根車3が有する1枚の羽根を回転軸方向から見た、羽根車3の要部正面図である。図中、吸込カバー7の前縁13の高さ位置に相当する位置を、前縁13の高さ位置の符号に合わせてAとし、羽根車3のボス部の位置をAiとし、羽根車3の外終端の位置をAoとしている。また、
図40Bは、
図40Aに示す各位置に対応した、羽根車3の展開図である。位置Aでの吐出角度はθであり、位置Aiでの吐出角度はθiであり、位置Aoでの吐出角度はθoである。中心に近づく程、吐出角度は大きくなり、中心から遠ざかる程(外周に近づく程)θは小さくなるため、θi>θ>θoとなる。一般的にθが大きい位置で排出される流体に付与される圧力は高く、θが小さい位置で排出される流体に付与される圧力は低い。
【0108】
主軸4の鉛直方向下方側では、水位が低下すると、吐出角度θが小さい位置で水と羽根車3とが接触するので、羽根車3が水に付与する圧力が小さくなる。特に、吸込カバー7の開口部8から空気が流入し、水と空気との混合流体を排出しようとするときは、水と空気との流入比に応じて運転モードが変化する。
【0109】
水の流入比が大きい場合は、吐出圧力にてケーシング2の吐出側に支持されたフラップゲート9が開いて排水するが、空気の流入比が大きい場合には、吐出圧力が低くなってフラップゲート9を開くことができず、ケーシング2内で水と空気とが攪拌される。
【0110】
ここで、水位が、主軸4の鉛直方向下方側で、羽根車3の所定の吐出角度θの位置にあるときには、定格回転数にて、かつ、フラップゲート9を閉塞した状態で、ケーシング2内に水中電動機6が没水する水位まで水を滞留させた状態を維持させることができる。そして、このような所定の吐出角度θとなるときの水位は、羽根車3下端から羽根車直径比の10〜25%上方であり、望ましくは10〜20%上方である。
【0111】
なお、水位が上昇して羽根車3の吐出角度θより大きい位置で接触すると、フラップゲート9が開いて水が排出される。一方、水位が下降して羽根車3の吐出角度θより小さい位置で接触すると、水中電動機6が没水する高さまでケーシング2内の水を維持することができない。
【0112】
図41は、本実施形態における吸込カバー7の形状を示す三面図である。吸込カバー7は、上壁10と、上壁10の両側端からそれぞれ下方に延設される2つの側壁11と、ケーシング2に接続するフランジ12とを有する。上壁10は、吸込側(側面図の左方向)に向かって下方に傾斜している。側壁11の下端は、上壁10の前縁13の両端から横軸水中ポンプ1のケーシング2下方近傍までそれぞれ傾斜している。前縁13は、羽根車3下端近傍の水位まで位置している。より具体的には、羽根車下端から羽根車直径比の10〜25%上方に位置していることが望ましい。
【0113】
吸込カバー7の開口部8は、吸込側の方が他の側よりも高くなるように傾いた状態で設けられている、本実施形態における第1吸込開口である。水位が低下してくると開口部8の最上位に位置する前縁13下方から徐々に吸込カバー7内に空気が流入する。前縁13が羽根車3下端近傍の高さに位置しているので、低水位時まで全量排水モードでの運転が可能であり、アイドリングモードでの運転時には、騒音を抑制し、ケーシング2内からの水飛散を抑止し得る。
【0114】
なお、前縁13の位置を、羽根車3下端近傍の水位まで、具体的には、羽根車3下端から羽根車直径比の10〜25%上方とすることは、上記のように、本実施形態に限らず、上記の各実施形態で採用される各種の吸込カバー7に適用可能である。ただし、吸込カバー7が
図3に示すような前壁15を有する場合には、ここでいう前縁13の位置は、前壁15の下端の位置に相当する。これにより、各実施形態における吸込カバー7の形状特有の効果に加えて、上記と同様、低水位時まで全量排水モードでの運転が可能となるなどの効果も奏する。
【0115】
図42は、横軸水中ポンプ1の性能曲線を表すグラフであり、横軸に流量を取り、縦軸に揚程及び動力を取っている。通常時の全量排水運転の仕様点流量はQ1であり、揚程はH1となる。また、動力は流量Q1時のP1となる。排出側の水位が増加して背圧が高くなると、流量が減少して徐々にQ1の左側に移行してくる。このとき、横軸水中ポンプ1は、全量排水モードでの運転となる。
【0116】
吸込側の水位が低下して吸込カバー7の開口部8から空気が流入すると、ケーシング2内は気水混合状態となり、揚程曲線及び動力曲線は、グラフ中の波線のように、比例減少した曲線となる。減少比は、空気の流入量に応じて変動し、空気の流入量が多いほど曲線が減少する。
【0117】
更に水位が低下して吐出圧力が低下すると、横軸水中ポンプ1は、フラップゲート9を閉塞した状態での運転、すなわちアイドリングモードでの運転となる。このときの流量はゼロとなり、動力はP2となる。一般的に軸流羽根は流量がゼロ付近で動力が上昇するので、できるだけ多くの空気を吸入する低水位時にアイドリングモードに移行するように設定しておくことが望ましい。これにより、横軸水中ポンプ1は、仕様点動力P1より低動力P2(P2<P1)にて省エネ運転を行うことができる。
【0118】
空気の流入開始は、吸込カバー7の前縁13(又は前壁15の下端)の高さで決定される。前縁13の位置が高いと、早々に開口部8から空気が流入して気水混合状態となり、揚程が低下して排出側の水位増加に対応できず、低水位時の排出ができない。また、水位低下時のアイドリングモード中にケーシング2内の水が開口部8から吸込側に飛散しやすくなるとともに、ケーシング2内での攪拌に起因する騒音が発生する。そこで、吸込カバー7の前縁13の位置を所定の高さに設定しておくことで、水位が前縁13の高さに低下するまで水のみの全量排水モードで運転し、吸込側の水を早急に排出することが可能となる。また、水位低下時には、空気の流入開始に合わせてアイドリングモードとなり、ケーシング2内で水を維持させた状態で運転を継続するので、水中電動機6を冷却することができる。
【0119】
なお、前縁13の高さが低すぎると、空気の流入開始時には、ケーシング2内の水が不足するので、水中電動機6を冷却することが難しい。そこで、気水混合状態でフラップゲート9が開かない位置以下で空気の流入開始を行い、かつ、水中電動機6を冷却することができるだけの水量をケーシング2内に維持することができる位置以上の高さ位置に吸込カバー7の前縁13が設定される。具体的には、吸込カバー7の前縁13の高さ位置は、上記のとおり、羽根車3下端から羽根車直径比の10〜25%上方であり、望ましくは10〜20%上方である。
【0120】
図43は、本実施形態における横軸水中ポンプ1の運転モードを説明する図である。本実施形態では、上記の各実施形態とは異なり、横軸水中ポンプ1は、予め設定された吸込側の1つの水位Lを基準とした2つの運転モード、全量排水モードM1及びアイドリングモードM3のみを有する。この場合、水位Lは、前縁13の高さ位置に設定される。
【0121】
図44は、運転モードが全量排水モードM1(吸込側水位>水位L)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。この全量排水モードM1でも、横軸水中ポンプ1は、
図7に示した第1実施形態における全量排水モードM1と同様に動作する。
【0122】
図45は、運転モードがアイドリングモードM3(水位L≧吸込側水位)であるときの本実施形態における横軸水中ポンプ1の動作を説明する図である。このアイドリングモードM3でも、横軸水中ポンプ1は、
図9に示した第1実施形態におけるアイドリングモードM3と同様に動作する。
【0123】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。具体的には、本実施形態では、吸込カバー7の前縁13等の高さ位置を上記のとおり規定することで、アイドリングモードでの運転時も水中電動機6を冷却することができる。したがって、水中電動機6は、アイドリングモード中も定格回転数での運転を維持し、水中電動機6すなわちポンプのON/OFFの繰り返し頻度を低下させることができる。さらに、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1は、上記各実施形態のいずれかと組み合わせることで、気水混合排水モードM2を含む3つの運転モードを採用することが可能となる。これにより、本実施形態に係る横軸水中ポンプ1も、上記各実施形態による特有の効果を同時に奏することが可能となる。
【0124】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、吸込カバー7の形状に関して複数例示したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、以下のような変形も可能である。
【0125】
まず、上壁10は、上記各実施形態では排出側から吸込側に向かって下方に傾斜しているものとしたが、水平であってもよい。一方、側壁11の下端(端縁)も、上記各実施形態では前縁又は前壁側から排出側に向かって下方に傾斜しているものとしたが、水平であってもよい。
【0126】
図46は、上壁10が水平である吸込カバー7の形状を例示する二面図である。一方、
図47は、側壁11の下端11aが水平である吸込カバー7の形状を例示する二面図である。なお、
図46及び
図47に示す吸込カバー7は、それぞれ、
図3に示す吸込カバー7の形状を変形したものと想定している。特に、
図46に示す吸込カバー7のように上壁10が水平である場合でも、いずれかの位置に第2吸込開口としての吸気部を形成しておくことで、第1〜第5実施形態と同様に運転モードを設定することができる。例えば、
図46に示すように、上壁10から下方に延設されている前壁15に、第2吸込開口としての吸気孔16が形成されている場合には、
図3に示した吸込カバー7を用いる場合と同様に適用することができる。
【0127】
また、上壁10が水平で、かつ、前壁が存在しない場合、上壁10に第2吸込開口としての吸気部を形成しておくこともあり得る。例えば、上壁10の高さ位置、すなわち、第2吸込開口が形成されている位置に相当する水位をHとする。この場合、横軸水中ポンプ1の運転モードとしては、吸込側水位>水位Hのときに全量排水モードM1、吸込側水位=水位Hのときに気水混合排出モードM2、また、水位H>吸込側水位のときにアイドリングモードM3と、それぞれ設定し得る。
【0128】
また、側壁11は、上記各実施形態では上壁10の両端部から垂設されるものとしたが、下方に延設されるものであれば、吸込カバー7の外側又は内側に向かって傾斜するものであってもよいし、例えば、外側に丸みを帯びた形状であってもよい。また、ここでの上壁10の両端部は、厳密な端のみを表すのではなく、両端から内側にずれた位置も許容される。
【0129】
また、
図2に示した吸込カバー7では、凸部を構成する上壁10の前縁13の形状が弓形であるものとしたが、例えば山形であってもよい。また、ここでの凸部は、必ずしも前縁13の両端から開始される形状に限られるものではなく、前縁13の一部が凸部を構成してもよい。さらに、凸部の設置数は、複数でもよい。
【0130】
図48は、前縁13の一部が凸部40を構成している吸込カバー7の形状を例示する斜視図である。この例では、凸部40は、前縁13の中心部に形成されており、その形状は、弓形である。
図49は、前縁13の一部が凸部40を構成している吸込カバー7の他の形状を例示する斜視図である。この例では、凸部40は、前縁13の中心部に形成されているが、その形状は、山形である。
図50は、前縁13の一部が凸部40を構成している吸込カバー7の他の形状を例示する斜視図である。この例では、凸部40は、前縁13に2つ形成されており、その形状は、各々弓形である。また、
図51は、吸込カバー7の他の形状を例示する斜視図である。上記の吸込カバー7の形状以外にも、上壁10の前縁13と側壁11の前縁11bとの縁部の組み合わせを凸部とみなすこともできる。すなわち、この場合の前縁13の両端部は、前縁11bの下端に相当する。
【0131】
また、
図3及び
図4に示した吸込カバー7では、前壁15が上壁10の前縁13から下方に向かって延設されるものとしたが、前壁15は、必ずしも前縁13から延設されるものでなくてもよい。
【0132】
図52は、吸込カバー7の他の形状を例示する側断面図である。前壁15は、前縁13から下流側にずれた上壁10の内側から下方に向かって延設されるものとしてもよい。ここで、前壁15が上壁10の内側に連接される位置は、前壁15の存在によって生じ得る吸込抵抗が無視できる位置とすることが望ましい。そこで、吸込カバー7のケーシング2に接続される側の端部から前壁15までの間隔をXとし、羽根車3の直径をDとすると、間隔Xは、D〜1.5D以上とすることが望ましい。なお、
図52に示す吸込カバー7は、
図3及び
図4に示した吸込カバー7において、上壁10及び側壁11が、共に前壁15の位置から前側に突出するよう変形させたものと見なすこともできる。この場合、上壁10及び側壁11の突出量は、上記各実施形態で説明した効果を奏する限り、特に限定されるものではない。
【0133】
また、
図4に示した吸込カバー7では、第2吸込開口である吸気部14が複数の切り欠きで構成され、全体的に見ると鋸状又は波状であるものとしたが、例えば単一の切り欠きだけで構成される場合もあり得る。ただし、吸気時の騒音を抑える観点から、切り欠きは複数存在する方が有利である。また、1つの切り欠きの形状も、弓形、山形又は凸形等、様々な形状が適用され得る。
【0134】
また、
図4に示した吸込カバー7では、複数の切り欠きで構成される吸気部14が前壁15に形成される場合を例示したが、上壁10に形成されるものとしてもよく、更には、側壁11の下端(端縁)に形成されるものとしてもよい。
【0135】
図53は、吸気部14としての複数の切り欠き41が上壁10に設けられた吸込カバー7の形状を示す斜視図である。一方、
図54は、吸気部14としての複数の切り欠き41が側壁11の下端に設けられた吸込カバー7の形状を示す斜視図である。
【0136】
また、
図3及び
図4に示した吸込カバー7では、前壁15が上壁10の前縁13から垂設されるものとしたが、下方に向かって延設されるならば、必ずしも垂設されなくてもよい。前壁15は、例えば、吸込カバー7の内側に向かって傾斜するように延設されてもよいし、さらに上壁10と曲面を介して接続されるものであってもよい。
【0137】
図55は、前壁15が、吸込カバー7の内側に向かって傾斜し、かつ、上壁10と曲面を介して接続されている吸込カバー7の形状を示す斜視図である。なお、
図55に示す吸込カバー7は、
図4に示す吸込カバー7の形状を変形したものと想定している。前壁15を吸込カバー7の内側に向かって傾斜させることで、切り欠きを有する前壁15が上壁10の前縁13から垂設されている場合よりも、吸込カバー7の内部空間に対する開口部8の開口量が狭くなるので、騒音を外部に漏らしづらくなる。したがって、特に運転モードがアイドリングモードのときには、より騒音を抑制することができる。一方、吸込カバー7の先端に丸みを持たせることで、上流側から流れてくるゴミが、吸込カバー7の先端部に付着しづらくなる。
【0138】
なお、上記説明した各種の吸込カバー7の形状は、必ずしも個別に採用される必要はなく、各特徴を組み合わせた形状とすることも可能である。例えば、吸込カバー7は、
図53及び
図54に例示された2つの種類の吸気部14を双方有するものとしてもよい。
【0139】
次に、横軸水中ポンプ1の全体構成に関して、上記各実施形態では、ポンプ本体が水面に対して平行に、すなわち水平に設置されるものとした。なお、ここでいうポンプ本体とは、ケーシング2、より具体的には、ケーシング2内に配置されている主軸4と同義である。しかし、本発明は、このようなポンプ本体が水平に設置されるポンプに限られず、ポンプ本体が吸込側下方に向かって傾斜して設置されるポンプにも適用可能である。
【0140】
また、上記各実施形態では、ケーシング2と吸込カバー7とが別体であるものとした。これは、吸込カバー7が破損したり、目的に合わせて吸込カバー7を別形状のものに変更したりする場合に、容易に別の吸込カバー7に交換することができる点で有利である。しかし、これは必須の構成ではなく、ケーシング2と吸込カバー7とが一体であってもよい。
【0141】
また、上記各実施形態では、羽根車3は、
図1に示すように、ケーシング2内に収容されるよう支持されているが、主軸4を吸込カバー7に向けて延伸させることで、羽根車3が吸込カバー7内に延出している場合もあり得る。
【0142】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【0143】
特願2015−093983号(出願日:2015年5月1日)、特願2015−093984号(出願日:2015年5月1日)、特願2015−093985号(出願日:2015年5月1日)、特願2015−093986号(出願日:2015年5月1日)、特願2015−093987号(出願日:2015年5月1日)、特願2015−146260号(出願日:2015年7月24日)の全内容は、ここに援用される。