特許第6504340号(P6504340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504340
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】多気筒内燃機関の排気装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 35/00 20060101AFI20190415BHJP
   F01N 13/10 20100101ALI20190415BHJP
【FI】
   F02D35/00 368D
   F01N13/10
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-263186(P2014-263186)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-121651(P2016-121651A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】赤間 亮史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】堀 澄人
(72)【発明者】
【氏名】堤 宇史
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−208586(JP,A)
【文献】 実開昭60−095117(JP,U)
【文献】 実開昭60−159823(JP,U)
【文献】 特開2011−021539(JP,A)
【文献】 特開2014−009615(JP,A)
【文献】 特開平09−025841(JP,A)
【文献】 特開2007−321593(JP,A)
【文献】 特開2006−328995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 31/00−39/10,
F01N 1/00−1/24,3/10−3/38,
5/00−5/04,13/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多気筒内燃機関の各気筒の排気ガス通路と、
前記各気筒の排気ガス通路に連通して配され、管径が絞られて前記排気ガス通路の排気ガスが集合する排気集合管と、
前記排気集合管に配される排気ガスセンサと、
前記排気ガスセンサの上流側、且つ、前記各気筒が並ぶ方向で、内壁から離間した位置の前記排気集合管に配される柱状部材とを備え、
前記柱状部材は、前記排気集合管の前記内壁の反対側に角部を有し
前記角部の排気ガスの流れ方向後側の部位の前記柱状部材には、排気ガスの流れに沿って延びる延長部が形成されている
ことを特徴とする多気筒内燃機関の排気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多気筒内燃機関の排気装置において、
前記排気ガスセンサの長手方向に対する前記柱状部材の長さは、前記排気ガスセンサの長さ以上である
ことを特徴とする多気筒内燃機関の排気装置。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の多気筒内燃機関の排気装置において、
前記排気ガスセンサは、前記排気ガスが接触する素子が筒状のカバーで覆われた空燃比センサであり、
前記カバーの周面には前記排気ガスの流入口が形成され、
前記柱状部材は、前記排気ガスの流れの上流側で前記流入口の少なくとも一部が対向して配されている
ことを特徴とする多気筒内燃機関の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気集合管に排気ガスセンサを備えた多気筒内燃機関の排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多気筒内燃機関(多気筒エンジン)の排気ガスは、各気筒の排気ガス通路から排気集合管に送られ、排気浄化装置等を経て放出される。排気集合管には、排気ガス中の酸素濃度を検出して空燃比を求める排気ガスセンサ(空燃比センサ)が設けられている。排気集合管は、管径が絞られて複数の排気ガス通路の排気ガスが集合する形状となっている。このため、多気筒エンジンでは、端部の気筒からの排気ガスは、排気集合管の内壁の湾曲面に沿って案内され、空燃比センサに接触することになる。
【0003】
端部の気筒からの排気ガスが排気集合管の内壁の湾曲面に沿って案内されるため、排気ガスの流速が速い場合、湾曲面の上流側で排気ガスが内壁から剥離して空燃比センサに強く接触する。逆に、排気ガスの流速が遅い場合、湾曲面に沿って排気ガスが下流側に案内されて空燃比センサに接触する。
【0004】
排気ガスの流速が異なっていると、特に、端部の気筒で、排気ガスが空燃比センサに強く当たる場合、排気ガスの一部が空燃比センサの側部にあたり残りの排気ガスが空燃比センサを通過する場合が存在することになってしまう。
【0005】
空燃比センサへの排気ガスの接触状況が排気ガスの流速によって異なると、流速の変化により排気ガスの空燃比センサへの接触状況が不均一になり、空燃比センサの検出結果をフィードバックする際に、排気ガスの流速に応じて補正を行って空燃比を制御する必要があった。
【0006】
このため、排気ガスの流れを空燃比センサに指向させる突起部材を排気集合管の内壁に設けた技術が従来から提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の技術により、排気ガスの流速が遅い場合でも、排気集合管の内壁に沿った排気ガスをそのまま下流側に案内させずに、空燃比センサに接触させることができる。
【0007】
しかし、特許文献1の技術は、排気集合管の内壁の形状を工夫して、排気集合管の内壁に沿って流れる端部の気筒の排気ガスを良好に空燃比センサに接触させ、複数の気筒の排気ガスを均一に空燃比センサに接触させるものである。
【0008】
このため、排気ガスの流速が異なると、内壁に沿って流れる排気ガスの方向が異なることには変わりはなく、流速の変化により排気ガスの空燃比センサへの接触状況が不均一になってしまう。
【0009】
このため、排気ガスの流速に拘わらず、空燃比センサへの流通を均一することはできず、空燃比の検出を的確に行うには限度があり、排気ガスの流速に応じた空燃比の補正を簡素化することはできないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−25841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、排気ガスの流速に拘わらず、排気集合管の内壁に沿って流れる排気ガスの流れの状況を均一にして、排気ガスを排気ガスセンサに接触させることができる多気筒内燃機関の排気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の多気筒内燃機関の排気装置は、多気筒内燃機関の各気筒の排気ガス通路と、前記各気筒の排気ガス通路に連通して配され、管径が絞られて前記排気ガス通路の排気ガスが集合する排気集合管と、前記排気集合管に配される排気ガスセンサと、前記排気ガスセンサの上流側、且つ、前記各気筒が並ぶ方向で、内壁から離間した位置の前記排気集合管に配される柱状部材とを備え、前記柱状部材は、前記排気集合管の前記内壁の反対側に角部を有し、前記角部の排気ガスの流れ方向後側の部位の前記柱状部材には、排気ガスの流れに沿って延びる延長部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項1に係る本発明では、排気集合管の内壁に沿って流れる排気ガスは、柱状部材に
より内壁側を流通する流れと、内壁の反対側で排気ガスセンサに向かう流れとにより分け
られる。このため、流速が速い場合でも、遅い場合でも、内壁側を流通する流れと、排気
ガスセンサに向かう流れとを形成することができる。
そして、柱状部材に角部を形成したことにより、排気ガスを角部で確実に剥離させることができ、内壁側を流通する流れと、排気ガスセンサに向かう流れとを確実に形成することができる。
更に、角部の後側に延長部を形成したので、角部で剥離させた排気ガスを排気ガスの流れに沿って案内することができる。
【0014】
従って、排気ガスの流速に拘わらず、排気集合管の内壁に沿って流れる排気ガスの流れの状況を均一にして、排気ガスを排気ガスセンサに接触させることが可能になる。
【0019】
また、請求項2に係る本発明の多気筒内燃機関の排気装置は、請求項1に記載の多気筒内燃機関の排気装置において、前記排気ガスセンサの長手方向に対する前記柱状部材の長さは、前記排気ガスセンサの長さ以上であることを特徴とする。
【0020】
請求項2に係る本発明では、柱状部材の長さは、排気ガスセンサの長さ以上であるので、排気ガスセンサに向かう流れを的確に案内することができる。
【0021】
また、請求項3に係る本発明の多気筒内燃機関の排気装置は、請求項1もしくは請求項2に記載の多気筒内燃機関の排気装置において、前記排気ガスセンサは、前記排気ガスが接触する素子が筒状のカバーで覆われた空燃比センサであり、前記カバーの周面には前記排気ガスの流入口が形成され、前記柱状部材は、前記排気ガスの流れの上流側で前記流入口の少なくとも一部が対向して配されていることを特徴とする。
【0022】
請求項3に係る本発明では、排気ガスセンサとして、排気ガスが接触する素子が筒状のカバーで覆われた空燃比センサを適用し、排気ガスの流速に拘わらず、排気ガスセンサに向かう流れを形成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の多気筒内燃機関の排気装置は、排気ガスの流速に拘わらず、排気集合管の内壁に沿って流れる排気ガスの流れの状況を均一にして、排気ガスを排気ガスセンサに接触させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例に係る排気装置を備えた多気筒内燃機関の概略外観図である。
図2】本発明の一実施例に係る排気装置の概略平面図である。
図3図2中のIII−III線断面図である。
図4】排気ガスの流れを表す概略平面図である。
図5】本発明の他の実施例に係る排気装置の概略平面図である。
図6】本発明の他の実施例に係る排気装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1から図3に基づいて本発明の一実施例に係る排気装置を説明する。
図1には本発明の一実施例に係る排気装置を備えた多気筒内燃機関の要部を排気側から見た状態の概略外観状況、図2には本発明の一実施例に係る排気装置である排気通路と排気マニホールドの接続部位の平面状態の断面、図3には図2中のIII−III線断面であり、排気ガスセンサとしての空燃比センサと柱状部材の関係の側面視の状態を示してある。
【0026】
図1図2に基づいて排気装置の全体を説明する。
図1図2に示すように、多気筒内燃機関(多気筒エンジン)である3気筒エンジン1のシリンダヘッド2には3つの排気通路3が設けられ、排気ガス通路としての排気通路3の端部が外側に向けて開口している。
【0027】
シリンダヘッド2の排気通路3の部位には、ガスケット4を介して排気マニホールド5が接続されている。排気マニホールド5は、排気通路3に連続する排気ガス通路としての通路6と、管径が絞られて通路6(通路6の排気ガス)が集合される排気集合管7とで形成されている。
【0028】
図2に示すように、3つの排気通路3a、3b、3cに対し、排気マニホールド5の通路6a、6b、6cが連通し、排気通路3a、3b、3c及び通路6a、6b、6cにより排気ガス通路が構成されている。中央の排気通路3b、通路6b(排気ガス通路)に対向して排気集合管7が配されている。排気集合管7には排気ガスセンサ(空燃比センサ)11が設けられている。
【0029】
一方の端部の排気通路3aに連通する通路6aの内壁(内壁面)、及び、他方の端部の排気通路3cに連通する通路6cの内壁(内壁面)、管径が絞られた部位に向けて、それぞれ湾曲面とされている。
【0030】
通路6a、6cを流れる排気ガスの流速が速い場合、湾曲面の途中部で内壁面から剥離して流れる。通路6a、6cを流れる排気ガスの流速が遅い場合、湾曲面の最下流まで内壁面に沿って流れる。このため、流速に応じて排気ガスが流れる経路(流線)が異なり、空燃比センサ11への排気ガスの接触状況が流速によって異なってしまう。
【0031】
空燃比センサ11への排気ガスの接触状況を排気ガスの流速に拘わらず均一にするため、空燃比センサ11の上流側における通路6a、6cの側の排気集合管7には、柱状部材12がそれぞれ設けられている。柱状部材12は、通路6a、6cの内壁面から離間した位置に配されている。
【0032】
このため、通路6a、6cの内壁面(排気集合管7の内壁)に沿って流れる排気ガスは、柱状部材12により、内壁側を流通する流れと、内壁の反対側で空燃比センサ11に向かう流れとにより分けられる。
【0033】
図2図3に基づいて柱状部材12を具体的に説明する。
図2図3に示すように、柱状部材12は、矩形板状の長尺部材で形成され、通路6a、6cの内壁面(排気集合管7の内壁)の反対側に角部13が形成されている。即ち、柱状部材12は、通路6a、6cの上流側に配される上流矩形部14と、上流矩形部14の下流側に連続して配される下流矩形部15とで構成されている。
【0034】
そして、上流矩形部14の排気ガスの流れ方向の幅、即ち、図3中のA-A線断面の幅で図2中の紙面に沿った面の幅の延長線Xに対して、下流矩形部15の排気ガスの流れ方向の幅、即ち、図3中のA-A線断面の幅で図2中の紙面に沿った面の幅の方向Yは、角度α(例えば、45度)の傾きで傾斜して配され、上流矩形部14と下流矩形部15の境界部が角部13とされている。
【0035】
柱状部材12を上流矩形部14、下流矩形部15で構成し、角度αの傾きにより上流矩形部14、下流矩形部15を配して角部13を形成したので、排気ガスを角部13で確実に剥離させることができ、通路6a、6cの内壁面(排気集合管7の内壁)の側を流通する流れと、空燃比センサ11に向かう流れとを確実に形成することができる。
【0036】
柱状部材12は、角度αの傾きにより上流矩形部14、下流矩形部15を配して角部13を形成したので、角部13の後側に排気ガスの流れに沿って延びる延長部(下流矩形部15)が形成された状態になっている。このため、角部13で剥離させた排気ガスを排気ガスの流れに沿って通路6a、6cの後流側(排気集合管7の出口側)に案内することができる。
【0037】
図3に基づいて空燃比センサ11の概略構成、及び、柱状部材12の配置状況を説明する。
図3に示すように、空燃比センサ11は、排気ガスが接触する接触する素子21が筒状のカバー22で覆われて構成されている。カバー22の下部の周面には排気ガスの流入口23(流入部)が形成され、カバー22の底部には排気ガスの流出口24が形成されている。
【0038】
カバー22の内側には中筒25が設けられ、流入口23から流入した排気ガスは、中筒25の外周に案内されて上部から素子21に導かれ、素子21に接触した排気ガスは中筒25の内周に案内されて流出口24に導かれる。
【0039】
柱状部材12は通路6a、6cに設置されると共に、空燃比センサ11は排気集合管7に設置される。空燃比センサ11のカバー22の長手方向(図3中上下方向)に対する柱状部材12の長さHは、カバー22の長さhと同じとなっている(カバー22の長さh以上となっている)。尚、柱状部材12の長さHをカバー22の長さhよりも長くすることも可能である。
【0040】
柱状部材12の長さHは、カバー22の長さh以上であるので、空燃比センサ11に向かう排気ガスの流れを的確に案内することができる。
【0041】
図4に基づいて上述した排気装置の排気ガスの流れを説明する。
図4には排気ガスの流れ状況を表す排気通路と排気マニホールドの接続部位の平面状態の断面を示してあり、図中左側の気筒の通路(通路6a)は流速が遅い排気ガスの流れの状況、図中右側の気筒の通路(通路6c)は流速が速い排気ガスの流れの状況である。
【0042】
排気集合管7は、管径が絞られて3つの排気ガス通路の排気ガスが集合する形状となっているため、端部の気筒の排気通路3a、3cからの排気ガスは、通路6a、6cの内壁の湾曲面に沿って案内され、空燃比センサ11に接触することになる。
【0043】
端部の気筒の排気通路3a、3cからの排気ガスが通路6a、6cの内壁の湾曲面に沿って案内されるため、排気ガスの流速が速い場合、湾曲面の上流側で排気ガスが内壁から剥離して空燃比センサ11に強く接触する。逆に、排気ガスの流速が遅い場合、湾曲面に沿って排気ガスが下流側に案内されて空燃比センサ11には一部の排気ガスが接触する。
【0044】
柱状部材12を設けたことにより、排気ガスの流速が遅い場合、湾曲面に沿って下流側に流れる排気ガスが空燃比センサ11に案内されると共に、柱状部材12と通路6a、6cの内壁面との間に案内される。
【0045】
つまり、図4に実線で示したように、排気ガスの流速が遅い場合、湾曲面に沿って下流側に流れる排気ガスの一部が柱状部材12の角部13側に案内されて剥離し、空燃比センサ11に導かれる。残りの排気ガスは柱状部材12と通路6a、6cの内壁面との間に導かれる。
【0046】
これにより、排気ガスの流速が遅くても、流通抵抗を増加させることなく排気ガスを空燃比センサ11に案内して流通させることができる。
【0047】
また、柱状部材12を設けたことにより、排気ガスの流速が速い場合、通路6a、6cの湾曲面の上流側で内壁面から剥離した排気ガスの一部が、柱状部材12と通路6a、6cの内壁面との間に案内されると共に、空燃比センサ11に案内される。
【0048】
つまり、図4に点線で示したように、排気ガスの流速が速い場合、通路6a、6cの湾曲面の上流側で内壁面から剥離する排気ガスの一部が、柱状部材12と通路6a、6cの内壁面との間に案内される。残りの排気ガスが角部13を通過して空燃比センサ11に案内される。
【0049】
これにより、排気ガスの流速が速くても、流通抵抗を増加させることなく排気ガスの一部を空燃比センサ11の側部に流通させることができる。
【0050】
従って、排気ガスの流速が遅い場合、速い場合の何れの場合であっても、通路6a、6cの内壁面(排気集合管7の内壁)に沿って流れる排気ガスは、柱状部材12により、内壁側を流通する流れと、内壁の反対側で空燃比センサ11に向かう流れとにより分けられ、空燃比センサ11に導かれる排気ガスの状況を均一にすることができる。
【0051】
この結果、排気ガスの流速に拘わらず、通路6a、6cの内壁面(排気集合管7の内壁)の内壁に沿って流れる排気ガスの流れの状況を均一にして、排気ガスを空燃比センサ11に接触させることが可能になり、安定した検出性能を得ることができる。
【0052】
尚、上述した実施例では、多気筒エンジンとして3気筒エンジン1を例に挙げて説明したが、2気筒エンジン、4気筒エンジン、直列6気筒エンジン、もしくはそれ以上の気筒数の多気筒エンジンに適用することも可能である。
【0053】
図5図6に基づいて本発明の他の実施例を説明する。
図5図6には本発明の他の実施例に係る排気装置の概略平面を示してある。図5図6に示した実施例は、柱状部材の形状が異なるものである。このため、図2図4に示した部材都と同一の部材には同一符号を付してある。
【0054】
図5に示した実施例は、断面が四角形の四角柱状の柱状部材31が設けられている例である。柱状部材31は、通路6a、6cの内壁面から離間した位置に配され、通路6a、6cの内壁面と反対側の角が角度90度の角部32とされている。
【0055】
四角柱状の柱状部材31を設けたことで、排気ガスの流速が遅い場合、速い場合の何れの場合であっても、通路6a、6cの内壁面(排気集合管7の内壁)に沿って流れる排気ガスは、柱状部材31により、内壁側を流通する流れと、内壁の反対側で空燃比センサ11に向かう流れとにより分けられ、空燃比センサ11に導かれる排気ガスの状況を均一にすることができる。
【0056】
図6に示した実施例は、断面が直角三角形の三角柱状の柱状部材35が設けられている例である。柱状部材35は、通路6a、6cの内壁面から離間した位置に配され、通路6a、6cの内壁面と反対側に頂点の部位が配されて角度90度の角部36とされ、通路6a、6cの内壁面と対向する側に底辺の部位が配されて直線状の壁となっている。
【0057】
三角柱状の柱状部材35設けたことで、排気ガスの流速が遅い場合、速い場合の何れの場合であっても、通路6a、6cの内壁面(排気集合管7の内壁)に沿って流れる排気ガスは、柱状部材35により、内壁側を流通する流れと、内壁の反対側で空燃比センサ11に向かう流れとにより分けられ、空燃比センサ11に導かれる排気ガスの状況を均一にすることができる。
【0058】
そして、通路6a、6cの内壁面と対向する側は直線状の壁に沿った流路となるので、圧力損失を最小限に抑制して、内壁側を流通する流れと、内壁の反対側で空燃比センサ11に向かう流れとにより排気ガスを分けることができる。
【0059】
尚、柱状部材としては、五角柱状、六角柱状等の多角柱状の部材を適用することも可能である。また、角部を有しない、例えば、円柱状や楕円柱状の部材を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、排気集合管に排気ガスセンサを備えた多気筒内燃機関の排気装置の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 3気筒エンジン
2 シリンダヘッド
3 排気通路
4 ガスケット
5 排気マニホールド
6 通路
7 排気集合管
11 排気ガスセンサ(空燃比センサ)
12、31、35 柱状部材
13、32、36 角部
21 素子
22 カバー
23 流入口
24 流出口
25 中筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6