(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504343
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】使用制限システム
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20190415BHJP
H01Q 3/04 20060101ALI20190415BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20190415BHJP
G01S 5/12 20060101ALI20190415BHJP
H04W 48/04 20090101ALI20190415BHJP
【FI】
H04M1/00 R
H01Q3/04
G01S5/14
G01S5/12
H04W48/04 110
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-10327(P2015-10327)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-134885(P2016-134885A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 達男
(72)【発明者】
【氏名】小谷 展也
(72)【発明者】
【氏名】松本 康彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 由美子
(72)【発明者】
【氏名】田中 智裕
【審査官】
白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−262332(JP,A)
【文献】
特開2002−165267(JP,A)
【文献】
特開2002−330470(JP,A)
【文献】
特開2007−060521(JP,A)
【文献】
特開2012−134930(JP,A)
【文献】
特開2012−161040(JP,A)
【文献】
特開2000−152310(JP,A)
【文献】
特開2002−071777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S5/00−5/14
19/00−19/55
H01Q3/00−3/46
21/00−25/04
H04B7/24−7/26
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波又は音の送受信が可能な移動制御器と、該移動制御器の使用制限区域の近傍に複数設けられ、電波又は音の送受信が可能な固定制御器と、該複数の固定制御器を制御する制御手段とによって構成される使用制限システムにおいて、
前記移動制御器は、携帯電話機若しくは携帯無線機に具備されること、
前記移動制御器は、所定の強さの電波又は音を発信すること、
前記固定制御器は、前記移動制御器から発信された電波又は音を受信すること、
前記制御手段は、複数の前記固定制御器の位置データと前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データとを有すること、
前記制御手段は、前記固定制御器が受信した電波又は音の強さと前記複数の固定制御器の位置データから前記移動制御器の位置を特定する位置特定手段を具備すること、
前記制御手段は、前記位置特定手段によって特定された前記移動制御器の位置と前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データとを比較して前記移動制御器が制限エリア内か否かを判定する判定手段を具備すること、
前記制御手段は、前記判定手段によって前記移動制御器が制限エリア内にあると判定された場合に、前記固定制御器から前記移動制御器の無線機能を制限するデータを送信する送信手段を具備すること、且つ、
前記移動制御器は、前記送信手段から送信されたデータを受信し、前記携帯電話機若しくは前記携帯無線機の電波の発信を制限する無線機能制限手段を具備することを特徴とする使用制限システム。
【請求項2】
電波又は音の送受信が可能な移動制御器と、該移動制御器の使用制限区域の近傍に複数設けられ、電波又は音の送受信が可能な固定制御器と、該複数の固定制御器を制御する制御手段とによって構成される使用制限システムにおいて、
前記移動制御器は、携帯電話機若しくは携帯無線機に具備されること、
前記制御手段は、複数の前記固定制御器の位置データと前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データとを有すること、
前記固定制御器は、前記制御手段が有する複数の前記固定制御器の位置データと前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データと共に、所定の強さの電波又は音を送信すること、
前記移動制御器は、前記固定制御器から発信された複数の前記固定制御器の位置データと、前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データと、前記所定の強さの電波又は音とを受信すること、
前記移動制御器は、受信した電波又は音の強さと前記複数の固定制御器の位置データから前記移動制御器の位置を特定する位置特定手段を具備すること、
前記移動制御器は、前記位置特定手段によって特定された前記移動制御器の位置と前記移動制御器の作動制限が必要な制御エリアの位置データとを比較して前記移動制御器が前記制限エリア内か否かを判定する判定手段を具備すること、
前記移動制御器は、前記判定手段によって前記移動制御器が前記制限エリア内にあると判定された場合に、前記携帯電話若しくは前記携帯無線機の電波の発信を制限する無線機能制限手段を具備することを特徴とする使用制限システム。
【請求項3】
前記固定制御器は、前記使用制限区域の四隅に配置されると共に、それぞれ送受信用のアンテナを具備することを特徴とする請求項1又は2記載の使用制限システム。
【請求項4】
前記固定制御器は、前記使用制限区域の対向する2箇所に配置されると共に、それぞれ一対のアンテナが回転する回転アンテナを具備することを特徴とする請求項1又は2記載の使用制限システム。
【請求項5】
前記固定制御器は、前記使用制限区域の対向する2箇所に配置されると共に、それぞれ一対のアンテナが回転する回転アンテナを具備し、
前記固定制御器は、回転アンテナの90°毎に方向データを発信し、
前記制御手段は、前記回転アンテナの90°毎の方向データを加味して前記移動制御器の位置を特定することを特徴とする請求項1記載の使用制限システム。
【請求項6】
前記固定制御器は、前記使用制限区域の対向する2箇所に配置されると共に、それぞれ一対のアンテナが回転する回転アンテナを具備し、
前記固定制御器は、回転アンテナの90°毎に方向データを発信し、
前記移動制御器は、前記回転アンテナの90°毎の方向データを加味して前記移動制御器の位置を特定することを特徴とする請求項2記載の使用制限システム。
【請求項7】
前記移動制御器は、携帯電話機又は携帯無線機に一体取り付けられる装置であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の使用制限システム。
【請求項8】
前記移動制御器は、携帯電話機又は携帯無線機に読み込まれたアプリケーションであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の使用制限システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用禁止若しくは使用制限エリアにおいて、携帯電話や無線機の位置を検出し、そのエリア内においてのみ携帯電話や無線機の使用を制限する使用制限システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2000−287259号公報)は、携帯電話機の使用が禁止されている区域で確実に携帯電話の電源を切断し、あるいは不用意な電源投入による電磁波輻射を阻止乃至は警報を発することができる携帯電話システムを提供するもので、携帯電話機の使用可能区域と使用禁止区域との境界に携帯電話機の電源使用状態とID番号を更新するために質問器が接地されたゲートを設け、このゲート部通過時に質問器は携帯電話機に備えられた応答器を介して電源切断信号を送り、携帯電話機を次にゲートを通過するまで使用不可の状態にすることを開示する。また、使用不可の状態にする時に、携帯電話機は警報を発し使用者に注意を促すことが開示される。
【0003】
特許文献2(特開2000−333245号公報)は、簡単な構成で使用禁止区域において携帯電話機による送信が自動的に禁止するようにした携帯電話システムを開示する。この特許文献2において、送信手段が、使用禁止区域に設置され、特定周波数の微弱な無線信号を送信しており、携帯電話機の受信回路が送信手段から特定周波数の無線信号をアンテナを通じて周期的に受信して前記無線信号の強さを検出すること、携帯電話機の情報処理部は、受信回路が周期的に受信して検出した無線信号の強さが所定の回数連続して閾値以上となったとき、無線部電源処理部からの送信部に対する電源供給を遮断して、送信部からの無線信号の送信を停止させることが開示される。
【0004】
特許文献3(特開2002−291036号公報)は、携帯無線機の使用禁止区域又は使用自粛区域を無線通信範囲とし、携帯無線機から発信される電波を検出すると、携帯無線機使用の自粛を促す警報を行う警報装置であって、任意の携帯無線機から発信される電波を受信し、前記受信した電波の種類及び特徴を解析し、前記種類及び特徴に対応付けられた内容の警報を出力する警報装置を開示する。
【0005】
特許文献4(特開平10−178467号公報)は、携帯式電話装置の電波の受信装置と、受信装置の出力を受けて発光する発光装置と、発光装置と共に設けた表示部と、受信装置の出力を受けて音を発する報音装置とから成る警報装置を開示する。
【0006】
特許文献5(特開平10−200958号公報)は、電磁波または音波による単信または複信の通信を行う第1の通信手段を用いる第1の通信機と、この第1の通信機と単信または複信の通信を行う前記第1の通信手段及び電磁波による複信の通信を行う第2の通信手段を具備する第2の通信機と、前記第2の通信手段を用いて前記第2の通信機と通信を行う第3の通信機と、前記第1の通信機と前記第2の通信機の通信状態を判断し、前記第2の通信機に具備される前記第2の通信手段の停止または機動を行う停止起動手段とからなり、前記第1の通信機と前記第2の通信機の通信状態により前記停止起動手段が動作し、前記第2の通信機と前記第3の通信機の間で行われる通信の停止または起動を行う無線通信装置を開示する。
【0007】
特許文献6(特開平11−41644号公報)は、移動局の使用禁止地域の内部または入口に小型基地局を設置し、この小型基地局が移動局の電波を監視し移動局の進入を感知すると、既存の基地局に一斉呼出しチャネル(PCH)の送信停止を要求すること、その後、停止中のPCHを用いて移動局を呼出し、使用禁止であることを文字メッセージで送信した後、強制電源断を命令し移動局の電源を強制的に切ることを特徴とする移動通信システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−287259号公報
【特許文献2】特開2000−333245号公報
【特許文献3】特開2002−291036号公報
【特許文献4】特開平10−178467号公報
【特許文献5】特開平10−200958号公報
【特許文献6】特開平11−41644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
携帯電話や無線機は、一部を除き未使用時にも電波を出している。そのため、その電波を検出するか、音波などを発射したものを検出し、携帯電話や無線機を自動で電波の停止、電源の切り、または手動による電波の停止操作を促すことにより、電源の切り忘れを防止できる。
【0010】
特許文献1では、使用禁止区域に進入する場合にゲートを通過するようにし、このゲートを通過した時に携帯電話機が電源切断信号を受信して電源を切断するもので、次にゲートを通過するまで、使用不可状態が維持されるものであるが、使用禁止区域の入る場合に必ずゲートを通過しなければならないこと、使用禁止を解除するためには再びゲートを通過する必要があること、ID番号を設定する必要があることなど、多くの条件が必要となるという不具合がある。
【0011】
特許文献2では、使用禁止区域に設置された送信手段が、微弱な無線信号が発信すること、携帯電話機の受信回路が送信手段からの特定周波数の無線信号を周期的に受信し、無線信号の強さが所定の回数連続して閾値以上となったときに電源供給を遮断し、携帯電話機の送信部の無線信号の送信を停止させるものであるが、送信手段から常に微弱な電波を送信し続けることから、使用禁止区域において、微弱といえども常に無線信号が存在するという不具合がある。
【0012】
特許文献3は、携帯無線機の使用禁止区域又は使用自粛区域内を通信範囲とする程度の受信感度を有する受信アンテナを設け、携帯無線機から発信された信号が、800MHzで連続した電波が発信されている場合には、携帯電話で通話を行っていることが判断されるために、「車内での携帯電話のご使用はお控え下さい。」というアナウンスを行うようにするものであり、また1800MHz帯で時々短時間の電波が発信されている場合には、PHSの電源が入っていることが判断できるため、「車内ではPHSの電源はお切り下さい。」とのアナウンスを行うようにするものであるが、アンテナの受信範囲がアンテナを中心とした円形の範囲となることから、車両等に使用した場合、車両全体をカバーするには、広い範囲を受信できるアンテナを用意するか、狭い範囲内をカバーする複数のアンテナを設ける必要があった。広い範囲を受信できるアンテナを設けた場合には、広い範囲が使用禁止区域となるという不具合が有り、複数のアンテナを設ける場合には、多くの装置を設けるか、アンテナを接続する複数の配線が必要となるという不具合があった。
【0013】
特許文献4は、携帯電話の電波を受信して発光する発光装置と、それと同時に表示する表示部と、音を発する報音装置とを設けたものであるが、携帯電話の電波を受信する受信装置の範囲を、携帯電話の使用禁止区域又は使用自粛区域と合致させることが難しいという不具合がある。このことは、使用禁止区域以外に存在する携帯電話の電波を受信して発光し,音を発する可能性があることも意味する。
【0014】
特許文献5は、携帯電話機に副通信部を設け、使用禁止場所に設置された送信機から送出された音波を携帯電話機が受信すると、通信部と空中線の接続を開放又は携帯電話機の電源供給の停止を行い、携帯電話機と基地局の通信を停止させるものであるが、使用禁止場所に設置された送信機からの音波を受信する範囲を、使用禁止場所と合致させることが難しいという不具合がある。このことは、使用禁止場所以外にある携帯電話機の通信が停止される可能性があることも意味する。
【0015】
特許文献6においても、使用禁止地域の内部又は入口に設置された小型基地局が、移動局の電波を監視し移動局の進入を感知するため、小型基地局の受信/送信範囲が使用禁止地域と一致させることが難しいため、使用禁止地域外部の移動局に対しても電源を強制的に遮断してしまうと言う不具合が生じる。
【0016】
以上のように、従来のシステムにおいては、電波を受信/送信するためのアンテナの受信可能範囲若しくは送信可能範囲は通常アンテナを中心とした球面状(平面的には円形状)となることから、使用禁止区域若しくは使用自粛区域と一致させることが不可能であることから、使用禁止区域若しくは使用自粛区域内の携帯電話機の電源を遮断できなかったり、携帯電話機に警報を発することができないとの不具合があり、また、使用禁止区域若しくは使用自粛区域以外の区域にある携帯電話機の電源が遮断されたり、警報が発せられるという不具合が生じるものである。
【0017】
このことから、本発明は、携帯電話、携帯無線機、PHS等の移動制御器の位置を特定し、使用禁止区域や使用自粛区域である特定エリアに限定して移動制御器の使用を確実に制限することのできる使用制限システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を達成するために、本発明に係る使用制限システムは、電波又は音の送受信が可能な移動制御器と、該移動制御器の使用制限区域の近傍に複数設けられ、電波又は音の送受信が可能な固定制御器と、該複数の固定制御器を制御する制御手段とによって構成される使用制限システムにおいて、
前記移動制御器は、携帯電話機若しくは携帯無線機に具備されること、
前記移動制御器は、所定の強さの電波又は音を発信すること、
前記固定制御器は、
前記移動制御器から発信された電波又は音を受信すること、
前記制御手段は、複数の
前記固定制御器の位置データと
前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データとを有すること、
前記制御手段は、
前記固定制御器が受信した電波又は音の強さと前記複数の固定制御器の位置データから
前記移動制御器の位置を特定する位置特定手段を具備すること、
前記制御手段は、前記位置特定手段によって特定された
前記移動制御器の位置と
前記移動制御器の作動制限が必要な
制限エリアの位置データとを比較して前記移動制御器が制限エリア内か否かを判定する判定手段を具備すること、
前記制御手段は、前記
判定手段によって
前記移動制御器が制限エリア内にあると判定された場合に、前記固定制御器から
前記移動制御器の無線機能を制限するデータを送信する送信手段を具備すること、且つ、
前記移動制御器は、前記送信手段から送信されたデータを受信し、
前記携帯電話機若しくは
前記携帯無線機の電波の発信を制限する無線機能制限手段を具備することを特徴としている。
【0019】
これによって、移動制御器からの電波又は音の強さと、複数の固定制御器の位置データとによって、移動制御器の位置を特定することができると共に、この移動制御器の位置データを使用制限区域の位置データと比較することによって、移動制御器が使用制限区域にあるか否かの判定を行うことができ、移動制御器が使用制限区域にある場合には、移動制御器を具備する携帯電話機又は携帯無線機の無線機能を制限することができる可能となるものである。
【0020】
また、本発明に係る使用制限システムは、電波又は音の送受信が可能な移動制御器と、該移動制御器の使用制限区域の近傍に複数設けられ、電波又は音の送受信が可能な固定制御器と、該複数の固定制御器を制御する制御手段とによって構成される使用制限システムにおいて、
前記移動制御器は、携帯電話機若しくは携帯無線機に具備されること、
前記制御手段は、複数の
前記固定制御器の位置データと
前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データとを有すること、
前記固定制御器は、前記制御手段が有する複数の
前記固定制御器の位置データと
前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データと共に、
所定の強さの電波又は音を送信すること、
前記移動制御器は、前記固定制御器から発信された複数の
前記固定制御器の位置データと、
前記移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データと、
前記所定の強さの電波又は音とを受信すること、
前記移動制御器は、受信した電波又は音の強さと前記複数の固定制御器の位置データから
前記移動制御器の位置を特定する位置特定手段を具備すること、
前記移動制御器は、前記位置特定手段によって特定された
前記移動制御器の位置と
前記移動制御器の作動制限が必要な制御エリアの位置データとを比較して前記移動制御器が
前記制限エリア内か否かを判定する判定手段を具備すること、
前記移動制御器は、前記判定手段によって
前記移動制御器が
前記制限エリア内にあると判定された場合に、
前記携帯電話若しく
は前記携帯無線機の電波の発信を制限する無線機能制限手段を具備する
ようにしてもよい。
【0021】
これによって、移動制御器は、固定制御器からの固定制御器の位置データと移動制御器の作動制限が必要な制限エリアの位置データとを有すると共に、所定の強さの電波又は音を受信することによって、移動制御器の位置を演算して特定し、この移動制御器の位置が前記使用制限区域にあると判定した場合には、移動制御器を具備する携帯電話機又は携帯無線機の無線機能を制限することが
可能となるものである。
【0022】
また、前記固定制御器は、前記使用制限区域の四隅に配置されると共に、それぞれ送受信用のアンテナを具備することが望ましい。
【0023】
これによって、移動制御器の位置を、4点の固定制御器からの距離によって測定できるために、容易に移動制御器の位置を、二次元座標にて特定することができるものである。尚、固定制御器は最低3点あれば、移動制御器の位置を特定することができるが、4点設けた方が演算が容易で有り、検出精度を向上させることができるものである。
【0024】
さらに、前記固定制御器は、前記使用制限区域の対向する2箇所に配置されると共に、それぞれ一対のアンテナが回転する回転アンテナを具備することが望ましい。さらに、前記固定制御器は、回転アンテナの90°毎に方向データを発信し、
前記制御手段や前記移動制御器では、回転アンテナの90°毎の方向データを加味して移動制御器の位置を特定することが望ましい。
【0025】
これによって、2箇所の回転アンテナによって距離情報の他に方向を特定できることから、移動制御器の位置の特定をより確実に演算することが可能となるものである。
【0026】
前記移動制御器は、携帯電話機又は携帯無線機に一体取り付けられる装置であることが望ましく、さらに前記移動制御器は、携帯電話機又は携帯無線機に読み込まれたアプリケーションであってもよいものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、移動制御器の位置の特定をピンポイントで検出できるので、携帯電話機又は携帯無線機が使用制限区域内にあるかどうかを正確に判定できるため、使用制限区域外にある携帯電話機又は携帯無線機の使用が制限されることがなくなると共に、使用制限区域を狭い範囲で設定できるため、例えば部屋の中の一部を使用制限区域に設定することも可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】(a)は本発明の実施例1及び2に係る使用制限システムの概略構成図であり、(b)は本発明の実施例3及び4に係る使用制限システムの概略構成図である。
【
図2】(a)は本発明の移動制御器であって、携帯電話機又は携帯無線機に装着された状態を示した説明図であり、(b)は移動制御器がアプリケーションとして登録された場合を示した説明図である。
【
図3】
図3は本発明の「移動制御器側で発信、固定制御器側で受信した」場合のブロック構成図である。
【
図4】
図4は本発明の「固定制御器側で発信、移動制御側で受信した」場合のブロック構成図である。
【
図5】
図5は、本発明の回転アンテナの概略構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の実施例について図面により説明する。
【実施例1】
【0030】
本発明の実施例1に係る使用制限システム1は、例えば
図1(a)で示すように、所定の場所、例えば使用制限区域2の4隅に配置された固定制御器3と、それぞれの固定制御器3a,3b,3c,3dが接続される制御手段としてのコントロールユニット4と、移動制御器6が装着された携帯電話機又は携帯無線機(以下、携帯無線機等)5によって構成される。尚、この実施例では、コントロールユニット4を別に設置するように図示したが、固定制御器3a〜3dのいずれかがこのコントロールユニット4を具備するようにしても良いし、全ての固定制御器3a〜3dがこのコントロールユニット4を具備するようにしても良い。しかしながら、全ての固定制御器3a〜3dはお互いに連動することが望ましいものである。
【0031】
移動制御器6は、例えば
図2(a)で示すように、携帯電話機5に一体に装着されるか、その内部に一体に装着されるもので、携帯電話機5のアンテナ7、終端抵抗8及び電源9と携帯電話機5の間に配置されるものであり、携帯電話機、携帯無線機、無線LAN等の装置10からの電波や特定の音源(超音波を含む。)の発生源11からの信号を受信する機能を有するものである。
【0032】
また、移動制御器6は、
図2(b)で示されるように、多機能携帯電話機(スマートフォン)5aに登録されたアプリケーション14であっても良いものである。この場合、スマートフォン5aの無線LAN12の電波、又は特定の音源(超音波を含む。)の発生源11からの信号を受信するものであり、特に発生源11からの信号はマイク13を介して受信されるものである。
【0033】
本発明に係る実施例1の使用制限システム1は、
図1(a)の構成において、
図3で示すブロック図に従って制御が実行されるものである。
【0034】
本発明に係る実施例1では、固定制御器Aは固定制御器3a〜3dであり、移動制御器Bは移動制御器6である。通常、移動制御器6は所定の時間間隔で、所定の条件(電界強度や出力)を有する電波を発信する(ステップ100)。
【0035】
固定制御器3a〜3dは、ステップ110において、移動制御器6から発信された電波を受信し、受信した電波の電界強度又は受信電力を測定する。
【0036】
ステップ120では、前記四隅に置かれた固定制御器3a〜3dのそれぞれのアンテナの位置から移動制御器6の位置を演算により求める。例えば、それぞれのアンテナの位置を二次元座標として設定する。例えば、使用制限区域2の中心を(0,0)とした場合、固定制御器3aの位置を(X/2,Y/2)、固定制御器3bの位置を(−X/2,Y/2)、固定制御器3cの位置を(−X/2,−Y/2)、固定制御器3dの位置を(X/2,−Y/2)と設定し、移動制御器6の位置を二次元座標(x、y)として設定し、移動制御器6から発信される電波が距離の二乗に比例して減衰すること、電界の強度が距離の二乗に反比例することなどに基づいて、移動制御器6の位置(x、y)を演算により求めることができるものである。
【0037】
例えば、移動制御器6から発信された電波による固定制御器3cで検出された電界強度をE00、固定制御器3dで検出された電界強度を E01、固定制御器3bで検出された電界強度を10、固定制御器3aで検出された電界強度をE11とした場合、定数をk、移動制御器6の位置を(x、y)とした場合、
E00=k/[{x-(-X/2)}
2+{y-(-Y/2)}
2]
(1/2)
E01=k/[{x-(+X/2)}
2+{y-(-Y/2)}
2]
(1/2)
E10=k/[{x-(-X/2)}
2+{y-(+Y/2)}
2]
(1/2)
E11=k/[{x-(+X/2)}
2+{y-(+Y/2)}
2]
(1/2)
となる。これにより、
(x+X/2)
2+(y+Y/2)
2=k
2/E00
2
(x-X/2)
2+(y+Y/2)
2=k
2/E01
2
(x+X/2)
2+(y-Y/2)
2=k
2/E10
2
(x-X/2)
2+(y-Y/2)
2=k
2/E11
2
となり、その差分をとると、
xX/k
2=1/E01
2-1/E00
2=1/E11
2-1/E10
2
yY/k
2=1/E10
2-1/E00
2=1/E11
2-1/E01
2
となる。
3つの変数x,y,kに対して、4つの式があるため、最小二乗法により誤差が最小となるよう移動制御器6の位置(x、y)が求められるものである。尚、定数kについては、2回目以降は既知の定数として演算できるため、演算スピードが向上する。また、部屋に壁がある場合には、−X/2<x<+X/2、−Y/2<y<Y/2となるが、壁がない場合には、移動制御器6の位置(x、y)は無制限となる。
【0038】
ステップ130では、ステップ120で演算された移動制御器6の位置(x、y)が、使用制限区域2内にあるか否かの判定を行う。前記固定制御器3a〜3dが使用制限区域2の四隅に配置されている場合には、前記移動制御器6の位置(x、y)が、−X/2<x<+X/2、−Y/2<y<Y/2の条件を満たす場合には、移動制御器6が使用制限区域2内にあると判定できるものである。これによって、移動制御器6が使用制限区域2内にあると判定された場合には、ステップ140においてこの判定結果を移動制御器6に送信するものである。
【0039】
移動制御器6は、ステップ150において前記判定結果を受信し、携帯電話機又は携帯無線機5の電源を遮断する旨の警報を発すると共に、電源を遮断して電波の発信を停止するものである。
【0040】
また、本発明では、移動制御器6の位置をピンポイントで把握できるため、例えば
図1(a)で示すように、狭い範囲で使用禁止区域2aを設定して、その範囲内のみ使用禁止にすることも可能である。
【0041】
さらに、上述した方法において、移動制御器6の位置が、使用制限区域2内から外側に移動した場合には、ステップ140においてその旨のデータを送信し、ステップ150にて移動制御器6の電源を復帰させることも可能である。
【実施例2】
【0042】
本発明に係る実施例2の使用制限システム1は、
図1(a)の構成において、
図4で示すブロック図に従って制御が実行されるものである。本発明に係る実施例2では、固定制御器Aは固定制御器3a〜3dであり、移動制御器Bは移動制御器6である。通常、固定制御器3a〜3dは所定の時間間隔で、所定の条件(電界強度や出力)を有する電波を発信する(ステップ200)。
【0043】
移動制御器6は、ステップ210において、固定制御器3a〜3dから発信された電波を受信し、受信した電波の電界強度又は受信電力を測定する。それぞれの測定結果を、例えば固定制御器3aからの電波の測定結果をE11、固定制御器3bからの電波の測定結果をE10、固定制御器3cからの電波の測定結果をE00、固定制御器3dからの電波の測定結果をE01とする。
【0044】
ステップ220では、前記四隅に置かれた固定制御器3a〜3dのそれぞれのアンテナの位置から移動制御器6の位置を演算により求める。例えば、それぞれのアンテナの位置を二次元座標として設定する。例えば、使用制限区域2の中心を(0,0)とした場合、固定制御器3aの位置を(X/2,Y/2)、固定制御器3bの位置を(−X/2,Y/2)、固定制御器3cの位置を(−X/2,−Y/2)、固定制御器3dの位置を(X/2,−Y/2)と設定し、移動制御器6の位置を二次元座標(x、y)として設定し、固定制御器3a〜3dから発信される電波が距離の二乗に比例して減衰すること、電界の強度が距離に反比例することなどに基づいて、移動制御器6の位置(x、y)を、例えば実施例1に開示された数式に基づいて演算により求めることができるものである。
【0045】
ステップ230では、ステップ220で演算された移動制御器6の位置(x、y)が、使用制限区域2内にあるか否かの判定を行う。前記固定制御器3a〜3dが使用制限区域2の四隅に配置されている場合には、前記移動制御器6の位置(x、y)が、−X/2<x<+X/2、−Y/2<y<Y/2の条件を満たす場合には、移動制御器6が使用制限区域2内にあると判定できるものである。これによって、移動制御器6が使用制限区域2内にあると判定された場合には、ステップ240において、携帯電話機又は携帯無線機5の電源を遮断する旨の警報を発すると共に、電源を遮断して電波の発信を停止するものである。
【0046】
また、本発明の実施例2においても、移動制御器6の位置をピンポイントで把握できるため、例えば
図1(a)で示すように、狭い範囲で使用禁止区域2aを設定して、その範囲内のみ使用禁止にすることも可能である。
【0047】
さらに、上述した方法において、移動制御器6の位置が、使用制限区域2内から外側に移動した場合には、ステップ240において移動制御器6の電源を復帰させることも可能である。
【実施例3】
【0048】
本発明に係る実施例3の使用制限システム1は、
図1(b)の構成において、
図3で示すブロック図に従って制御が実行されるものである。
【0049】
本発明に係る実施例3では、固定制御器Aは回転アンテナ50を具備する固定制御器30a,30bであり、移動制御器Bは移動制御器6である。通常、移動制御器6は所定の時間間隔で、所定の条件(電界強度や出力)を有する電波を発信する(ステップ100)。尚、前記回転アンテナ50は、
図5で示すように、回転台51に回転自在に設置された回転軸52と、この回転軸52の先端に、設置された一対のアンテナ53とによって少なくとも構成されるものである。
【0050】
固定制御器30a,30bは、ステップ110において移動制御器6からの信号をデータとして受信し、ステップ120において、固定制御器30a,30bが有する回転アンテナ50の位置情報と、回転アンテナ50の2本のアンテナ53の電界の差と和とを演算した結果として求められる移動制御器6の方向と距離とによって移動制御器6の位置を特定するものである。例えば、2本のアンテナ53の電界の差が0となる時のアンテナ53の方向から移動制御器6の方向が得られ、電界の差が0となるときに電界の和からアンテナ53の距離が得られるものである。このアンテナ53からの距離及び方向と、アンテナ53の位置情報から、移動制御器6の位置(x,y)を求めることができるものである。
【0051】
例えば、移動制御器6から固定制御器30a又は30bまでの距離をD、それぞれの固定制御器30a,30bの2本のアンテナ53の幅をdとした場合、いずれかの固定制御器30a又は30bの2本のアンテナ53への距離がD+d/2,D-d/2となる。さらに、位相差をθ、波長をλ、定数をkとすると、電界の和は、
E+=2*k/D*cosθ≒2*k/D, θ=2π*d/λ となり、電界の差は、
E-=2*k/D*sinθ≒2*k/D*θ,θ=2π*d/λ となり、E-=0の時、2本のアンテナと垂直方向で、E+の電界となる距離の場所に移動制御器6があるものであり、この移動制御器6の位置を(x、y)として求めることができるものである。尚、壁がある場合には、固定制御器30a,30bのいずれかがあれば移動制御器6の位置を特定することができるが、2セットあれば、壁に関係なく特定できるものである。
【0052】
ステップ130では、ステップ120で演算された移動制御器6の位置(x、y)が、使用制限区域2内にあるか否かの判定を行う。前記固定制御器30a,30bが使用制限区域2内の対向する2箇所に配置されている場合には、前記移動制御器6の位置(x、y)が、例えば使用制限区域を示す座標((−X/2,−Y/2),(−X/2,Y/2),(X/2,−Y/2),(X/2,Y/2))内にある場合には、移動制御器6が使用制限区域2内にあると判定できるものである。これによって、移動制御器6が使用制限区域2内にあると判定された場合には、ステップ140においてこの判定結果を移動制御器6に送信するものである。
【0053】
移動制御器6は、ステップ150において前記判定結果を受信し、携帯電話機又は携帯無線機5の電源を遮断する旨の警報を発すると共に、電源を遮断して電波の発信を停止するものである。
【0054】
また、本発明では、移動制御器6の位置をピンポイントで把握できるため、例えば
図1(a)で示すように、狭い範囲で使用禁止区域2aを設定して、その範囲内のみ使用禁止にすることも可能である。
【0055】
さらに、上述した方法において、移動制御器6の位置が、使用制限区域2内から外側に移動した場合には、ステップ140においてその旨のデータを送信し、ステップ150にて移動制御器6の電源を復帰させることも可能である。
【実施例4】
【0056】
本発明に係る実施例3の使用制限システム1は、
図1(b)の構成において、
図4で示すブロック図に従って制御が実行されるものである。
【0057】
本発明に係る実施例3では、固定制御器Aは回転アンテナ50を具備する固定制御器30a,30bであり、移動制御器Bは移動制御器6である。通常、固定制御器30a,30bは所定の時間間隔で、所定の条件(電界強度や出力)を有する電波を発信する(ステップ200)。尚、前記回転アンテナ50は、
図5で示すように、回転台51に回転自在に設置された回転軸52と、この回転軸52の先端に、設置された一対のアンテナ53とによって少なくとも構成されるものである。実施例4では、さらに、ステップ200において送信される電波に乗せられるデータとして、2組の2本のアンテナ53で、所定の角度毎に同相と逆相の所定の電界強度又は送信電力のデータを、固定制御器30a,30bの位置データと、使用制限区域2の位置データ(前述した使用制限区域2の座標)を、さらに、アンテナ53の回転角度90°毎の方向データを発信する。
【0058】
前記移動制御器6は、ステップ210において、固定制御器30a,30bからの信号をデータとして受信し、ステップ220において、固定制御器30a,30bが有する回転アンテナ50の位置情報と、回転アンテナ50の2本のアンテナ53の電界の差と和とを演算した結果として求められる移動制御器6の方向と距離とによって移動制御器6の位置を特定するものである。例えば、2本のアンテナ53の電界の差が0となる時のアンテナ53の方向データの時間比例から移動制御器6の方向を演算し、電界の差が0となるときに電界の和からアンテナ53の距離を演算するものである。前記アンテナ53からの距離及び方向と、回転アンテナ50の位置情報から、移動制御器6の位置(x,y)を、例えば実施例3で示された数式によって求めることができるものである。
【0059】
ステップ230では、ステップ220で演算された移動制御器6の位置(x、y)が、使用制限区域2内にあるか否かの判定を行う。前記固定制御器30a,30bが使用制限区域2内の対向する2箇所に配置されている場合には、前記移動制御器6の位置(x、y)が、例えば使用制限区域を示す座標((−X/2,−Y/2),(−X/2,Y/2),(X/2,−Y/2),(X/2,Y/2))内にある場合には、移動制御器6が使用制限区域2内にあると判定できるものである。これによって、移動制御器6が使用制限区域2内にあると判定された場合には、ステップ240において、携帯電話機又は携帯無線機5の電源を遮断する旨の警報を発すると共に、電源を遮断して電波の発信を停止するものである。
【0060】
また、本発明では、移動制御器6の位置をピンポイントで把握できるため、例えば
図1(b)で示すように、狭い範囲で使用禁止区域2aを設定して、その範囲内のみ使用禁止にすることも可能である。
【0061】
さらに、上述した方法において、移動制御器6の位置が、使用制限区域2内から外側に移動した場合には、ステップ240において、移動制御器6の電源を復帰させることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 使用制限システム
2 使用制限区域
2a 使用禁止区域
3a,3b,3c,3d 固定制御器
4 コントロールユニット
5 携帯電話機又は携帯無線機
6 移動制御器
7 アンテナ
8 終端抵抗
9 電源
30a,30b 固定制御器
50 回転アンテナ
51 回転台
52 回転軸
53 アンテナ