(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両用空調装置の変更可能なパラメータを直観的に分かりやすい手の動作に基づいて変更することができる車両用空調装置の操作入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、車両用空
調の変更可能なパラメータを増大させる第1操作部、及び前記パラメータを減少させる第2操作部を有する空調操作部と、所定領域内の検出対象物の動作を検出可能な動作検出部と、前記第2操作部側から前記第1操作部側に向かう方向を増大方向、前記第1操作部側から前記第2操作部側に向かう方向を減少方向とし、前記動作検出部により検出された検出対象物の動作が前記増大方向に対応付けした動作であるときは前記パラメータを増大させ、前記動作検出部により検出された検出対象物の動作が前記減少方向に対応付けした動作であるときは前記パラメータを減少させる制御部とを備え
、前記車両用空調は、運転席側及び助手席側に送風可能であり、前記制御部は、前記動作検出部により検出された前記検出対象物として人体の手の動作が運転席方向又は助手席方向に向かうならば当該動作を席指示動作と認識し、当該席指示動作に基づいて指示された運転席側及び助手席側において、前記動作検出部により検出された前記動作に応じて前記パラメータを増大又は減少させることを特徴とする車両用空
調の操作入力装置にある。
【0009】
かかる第1の態様では、検出対象物の動作が増大方向又は減少方向に対応付けした動き
であるか否かを認識することで、車両用空調装置のパラメータを変更する。これらの方向
は、空調操作部の第1操作部及び第2操作部の配置に基づいて定められた方向である。し
たがって、空調操作部を操作する操作者は、第1操作部が空調操作部にて相対的に例えば
上方に配置されていることをみれば、上方がパラメータの増大に関係する、と直観的に把
握できる。これにより、パラメータを増大させるための動作として、増大方向(上方)に
対応付けした動作を習得し易くすることができる。このように、操作入力装置は、空調操
作部の第1操作部及び第2操作部の配置に基づいた直観的な動作によりパラメータを変更
することができる。これにより、車両用空調装置のパラメータを動作に基づいて変更する
ことを操作者にとって容易なものとすることができる。
また、席指示動作により運転席側又は助手席側において車両用空調のパラメータを増大又は減少させることができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する車両用空
調の操作入力装置において、前記車両用空
調は、前記パラメータとして温度及び風量を調整可能であり、運転席側と助手席側とに送風する温度を個別
に設定可能であり、前記第1操作部は、運転席側の温度用第1操作部、助手席側の温度用第1操作部及び風量を増大させる風量用第1操作部を備え、前記第2操作部は、温度を減少させる運転席側の温度用第2操作部、助手席側の温度用第2操作部、及び風量を減少させる風量用第2操作部を備えることを特徴とする車両用空
調の操作入力装置にある。
【0011】
かかる第2の態様では、運転席側及び助手席側について個別に温度設定でき、乗員に充分な快適さを提供することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載する車両用空調の操作入力装置において、前記第1操作部は、運転席又は助手席の一方側に配置され、前記第2操作部は、運転席又は助手席の他方側に配置され、前記制御部は、前記席指示動作と認識された前記手の動作とは異なり、前記増大方向又は前記減少方向へ向かう前記手の動作を、前記パラメータを増大又は減少させる動作と認識することを特徴とする車両用空調の操作入力装置にある。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載する車両用空調の操作入力装置において、前記席指示動作として認識する前記手の動作は、フリック動作又はスライド動作の一方であり、前記パラメータを増大又は減少させる動作と認識する前記手の動作は、フリック動作又はスライド動作の他方であることを特徴とする車両用空調の操作入力装置にある。
本発明の第
5の態様は、第2の態様に記載する車両用空
調の操作入力装置において、前記動作検出部は、前記検出対象物として人体の手のフリック動作及びスライド動作を検出可能であり、前記制御部は、前記風量用第2操作部側から前記風量用第1操作部側に向かう方向を風量増大方向、前記風量用第1操作部側から前記風量用第2操作部側に向かう方向を風量減少方向とし、前記温度用第2操作部側から前記温度用第1操作部側に向かう方向を温度増大方向、前記温度用第1操作部側から前記温度用第2操作部側に向かう方向を温度減少方向とし、運転席側から助手席側に向かう方向を助手席方向、助手席側から運転席側に向かう方向を運転席方向とし、前記動作検出部により検出されたフリック動作が前記風量増大方向又は前記風量減少方向に対応付けられているならば当該フリック動作を風量指示動作と認識し、前記動作検出部により検出されたスライド動作が前記運転席方向又は前記助手席方向に対応付けられているならば当該スライド動作を席指示動作と認識し、前記動作検出部により検出されたスライド動作が前記温度増大方向又は前記温度減少方向に対応付けられているならば当該スライド動作を温度指示動作と認識し、これらの風量指示動作、席指示動作及び温度指示動作に基づいて運転席側又は助手席側に供給する気体の温度及び風量を増大又は減少させることを特徴とする車両用空
調の操作入力装置にある。
【0013】
かかる第
5の態様では、フリック動作で風量を変更し、スライド動作で運転席側又は助
手席側の温度を変更することができる。
【0014】
本発明の第
6の態様は、第
5の態様に記載する車両用空
調の操作入力装置において、前記制御部は、左右のフリック動作である前記風量指示動作、上下のスライド動作である前記温度指示動作、及び左右のスライド動作である前記席指示動作の順で認識することを特徴とする車両用空
調の操作入力装置にある。
【0015】
かかる第
6の態様では、同一方向の動作となる風量指示動作と席指示動作との間に異な
る方向のスライド動作である温度指示動作を挟むことで、各動作の識別をより確実に行う
ことができる。
【0016】
本発明の第
7の態様は、第1から第
6のいずれか1つの態様に記載する車両用空
調の操作入力装置において、前記第1操作部及び前記第2操作部は上下方向に位置しており、且つ、前記増大方向に対応付けした動作及び前記減少方向に対応付けした動作は上下方向に行われることを特徴とする車両用空
調の操作入力装置にある。
【0017】
かかる第
7の態様のように、第1操作部及び第2操作部が上下方向に位置していれば、操作者は各々の動作(増大方向に対応付けした動作や、減少方向に対応付けした動作)を同じ方向、すなわち上下方向において直感的に把握でき、そうした動作を瞬時に習得して実行しやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両用空調装置の変更可能なパラメータを直観的に分かりやすい手の動作に基づいて変更することができる車両用空調装置の操作入力装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0021】
〈実施形態1〉
図1(a)は車両用空調装置の操作入力装置の外観を示す正面図であり、
図1(b)は
図1(a)の空調操作部を拡大した正面図であり、
図2は車両用空調装置の外観を示す側面図であり、
図3は車両用空調装置の操作入力装置のブロック図である。図面中の前方又は後方は車両の前後方向における前方又は後方であり、上方又は下方は車両の高さ方向における上方又は下方であり、左方又は右方は車両の幅方向における左方又は右方であることを意味する。以降の図面についても同様である。
【0022】
操作入力装置1の操作対象となる車両用空調装置9は、操作入力装置1の空調操作部2に対して行われた操作、例えば、温度や風量を設定する操作に基づいて、当該温度及び風量の気体を生成する。そして、車両用空調装置9は、運転席のハンドルの右側方に設けられた吹き出し口5や、特に図示しない助手席の正面などに設けられた吹き出し口から、気体を運転席側及び助手席側に供給する。
【0023】
また、車両用空調装置9は、運転席側及び助手席側に供給する気体の温度を個別に設定することが可能となっている。風量については、運転席側及び助手席側の何れについても共通した風量で気体を供給することが可能となっている。
【0024】
図3に示すように、操作入力装置1は、空調操作部2と、検出対象物である運転者の手の動作を検出する動作検出部3と、動作検出部3が検出した動作に基づいて車両用空調装置を制御する制御部4とを備えている。
【0025】
空調操作部2は、車両用空調装置9の変更可能なパラメータを増大させる第1操作部10と、当該パラメータを減少させる第2操作部20とを備えている。本実施形態のパラメータは、温度及び風量である。温度については、運転席側に供給する気体、及び助手席側に供給する気体のそれぞれについて設定可能なパラメータである。
【0026】
本実施形態に係る第1操作部10は、温度を増大させるための運転席側の温度用第1操作部の一例である温度増大ボタン11R、及び助手席側の温度用第1操作部の一例である温度増大ボタン11L、並びに風量を増大させるための風量用第1操作部の一例である風量増大ボタン31を備えている。
【0027】
本実施形態に係る第2操作部20は、温度を減少させるための運転席側の温度用第2操作部の一例である温度減少ボタン21R、及び助手席側の温度用第2操作部の一例である温度減少ボタン21L、並びに風量を減少させるための風量用第2操作部の一例である風量減少ボタン32を備えている。
【0028】
温度増大ボタン11R、温度増大ボタン11L、温度減少ボタン21R、温度減少ボタン21L、風量増大ボタン31、及び風量減少ボタン32は、それらが押されたことを表す信号を制御部4に伝達するように構成されている。
【0029】
運転席側の温度増大ボタン11Rと、温度減少ボタン21Rとは、上方・下方に若干離れて一体的に配置されている。同様に、助手席側の温度増大ボタン11Lと、温度減少ボタン21Lとは、上方・下方に若干離れて一体的に配置されている。下方の温度減少ボタン21R側から上方の温度増大ボタン11R側に向かう方向を温度増大方向(請求項の増大方向に相当する)と称する。上方の温度増大ボタン11R側から下方の温度減少ボタン21R側に向かう方向を温度減少方向(請求項の減少方向に相当する)と称する。本実施形態では、温度増大方向は車両の上方に向く方向であり、温度減少方向は車両の下方に向く方向である。
【0030】
風量増大ボタン31と、風量減少ボタン32とは、左方・右方に若干離れて一体的に配置されている。左方の風量減少ボタン32側から右方の風量増大ボタン31側に向かう方向を風量増大方向(請求項の増大方向に相当する)と称する。右方の風量増大ボタン31側から左方の風量減少ボタン32側に向かう方向を風量減少方向(請求項の減少方向に相当する)と称する。本実施形態では、風量増大方向は車両の右方に向く方向であり、風量減少方向は車両の左方に向く方向である。
【0031】
インストルメントパネル8には、空調操作部2の上方に車両用空調装置9の設定状態を表示可能なディスプレイ6が設けられている。ディスプレイ6には、車両用空調装置9に設定されている温度及び風量が表示されている。具体的には、ディスプレイ6の右側には、運転席側に供給される気体の設定温度「24℃」が表示されている。また、ディスプレイ6の左側には、助手席側に供給される気体の設定温度「24℃」が表示されている。
【0032】
さらに、ディスプレイ6の中央部には、運転席側及び助手席側に供給される気体の風量の設定値が表示されている。本実施形態では、左右方向に並設した矩形の個数により風量の設定値を表示している。風量は5段階で設定可能となっており、この段階の数だけ矩形が左右方向に並設されている。
【0033】
動作検出部3は、検出対象物の動作を非接触で検出可能な装置である。例えば、動作検出部3は、赤外線を発光し、その赤外線が検出対象物で反射した反射光を撮像して画像解析し、検出対象物がどのような動作をしているかを認識する装置である。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、動作検出部3が検出対象物の動作を認識可能な領域である認識領域7(請求項の所定領域に対応する)において、検出対象物として人体の手の動作を認識する。
【0034】
図4(a)は、動作検出部で検出可能な動作を示す平面図であり、
図4(b)は、動作検出部で検出可能な動作を示す側面図である。本実施形態の動作検出部3は、少なくとも、手(図面の40)のフリック動作、スライド動作を検出することができる。
【0035】
フリック動作とは、手首を中心として指先を回動させる動きをいう。動作検出部3は、
図4(a)の円弧状の矢印に示すように、手首をほぼ水平にした状態で指先を左方又は右方に回動させる動作や、
図4(b)の円弧状の矢印に示すように、手首をほぼ水平にした状態で指先を上方又は下方に回動させる動作を検出することができる。また、特に図示しないが、動作検出部3は、手のひらをほぼ垂直にした状態で指先を前方若しくは後方又は左方若しくは右方に回動させる動作を検出することもできる。
【0036】
指先を左方に回動したフリック動作を左フリック動作と称する。同様に指先を右方、上方、下方に回動したフリック動作を右フリック動作、上フリック動作、下フリック動作と称する。
【0037】
スライド動作とは、手全体を上下方向、左右方向に移動させる動きをいう。動作検出部3は、
図4(a)の直線状の矢印に示すように、手首をほぼ水平にした状態で手全体を左方又は右方に移動させる動作や、
図4(b)の直線状の矢印に示すように、手首をほぼ水平にした状態で手全体を上方又は下方に移動させる動作を検出することができる。
【0038】
手全体を左方に移動したスライド動作を左スライド動作と称する。同様に手全体を右方、上方、下方に移動したスライド動作を右スライド動作、上スライド動作、下スライド動作と称する。
【0039】
制御部4は、動作検出部3で検出された手の動作が、所定の動作である場合に、車両用空調装置9の温度及び風量を変更する制御を行う。制御部4は、例えばマイクロプロセッサやROM、RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインに接続されている。
【0040】
制御部4は、車載ネットワークを介して車両用空調装置9と通信可能に接続されている。上述した空調操作部2の温度増大ボタン11R及び温度増大ボタン11Lが押されると、それらのボタンが押されたことを表す信号が制御部4に送信される。制御部4は、当該信号を受信すると、運転席側及び助手席側に供給する気体の温度を1℃増大させるように車両用空調装置9を制御する。同様に、温度減少ボタン21R及び温度減少ボタン21Lが押されると、それらのボタンが押されたことを表す信号が制御部4に送信される。制御部4は、当該信号を受信すると、運転席側及び助手席側に供給する気体の温度を1℃減少させるように車両用空調装置9を制御する。
【0041】
また、風量増大ボタン31又は風量減少ボタン32が押されると、それらのボタンが押されたことを表す信号が制御部4に送信される。制御部4は、当該信号を受信すると、運転席側及び助手席側に供給する気体の風量を増大又は減少させるように車両用空調装置9を制御する。
【0042】
制御部4は、このような空調操作部2の各ボタン操作に基づいて車両用空調装置9の制御を行うとともに、動作検出部3により検出された手の動作に基づいても車両用空調装置9の制御を行う。
【0043】
制御部4は、動作検出部3により検出された手の動作が増大方向の一つである温度増大方向や風量増大方向に対応付けした動作であるときは、温度や風量を増大させるように車両用空調装置9を制御する。また、制御部4は、動作検出部3により検出された手の動作が減少方向の一つである温度減少方向や風量減少方向に対応付けした動作であるときは、温度や風量を減少させるように車両用空調装置9を制御する。
【0044】
また、本実施形態に係る操作入力装置1は、温度は運転席側又は助手席側とで個別に設定可能であるが、温度を変更する対象が運転席側又は助手席側の何れであるかを、手の動作により指定可能となっている。
【0045】
図5〜
図7を用いて、手の動作により、風量及び温度を設定する一連の処理について説明する。
図5は風量を変更する際の空調操作部及び手の動作を示す概略図であり、
図6は運転席側の温度を変更する際の空調操作部及び手の動作を示す概略図であり、
図7は助手席側の温度を変更する際の空調操作部及び手の動作を示す概略図である。
【0046】
まず、制御部4は、手の動作が風量増大方向又は風量減少方向に対応付けした動作であるかを認識する。
【0047】
図5に示すように、本実施形態では、風量増大方向は車幅方向の右方への向きであるので、手の動作が右方に変位していれば、手の動作が風量増大方向に対応付けした動作であると認識する。つまり、手の動作が、車両の前後方向や上下方向の動きを含むか否かに関わらず、右方に変位していれば、風量増大方向に対応付けした動きと認識する。風量減少方向についても同様である。なお、風量増大方向又は風量減少方向に対応付けした手の動作を風量指示動作とも称する。
【0048】
手の動作がフリック動作であれば、指先が回動する方向が風量増大方向に対応付けした動きであるかを認識し、スライド動作であれば手全体が移動する方向が風量増大方向に対応付けした動きであるかを認識する。
【0049】
本実施形態では、風量の調節はフリック動作により行うことにしたので、例えば右フリック動作であれば、制御部4は右フリック動作を風量増大方向に該当する動作であると認識する。風量は5段階で設定可能であるので、一回の右フリック動作は、風量を一段階増大させる指示が与えられたと認識する。また、制御部4は、風量指示動作に基づいて変更した風量をディスプレイ6に表示する。これにより、手の動作が風量指示動作として認識されたことを確認することができる。
【0050】
次に、制御部4は、手の動作が温度増大方向又は温度減少方向に対応付けした動作であるかを認識する。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、本実施形態では、温度増大方向は車両の上方への向きであるので、手の動作が上方に変位していれば、手の動作が温度増大方向に対応付けした動作であると認識する。つまり、手の動作が、車両の前後方向や左右方向の動きを含むか否かに関わらず、上方に変位していれば、温度増大方向に対応付けした動きと認識する。温度減少方向についても同様である。なお、温度増大方向又は温度減少方向に対応付けした手の動作を温度指示動作とも称する。
【0051】
手の動作がフリック動作であれば、指先が回動する方向が温度増大方向に対応付けした動きであるかを認識し、スライド動作であれば手全体が移動する方向が温度増大方向に対応付けした動きであるかを認識する。
【0052】
本実施形態では、温度の調節はスライド動作により行うことにしたので、例えば上スライド動作であれば、制御部4は上スライド動作を温度増大方向に該当する動作であると認識する。一回の上スライド動作を認識したら、制御部4は温度を1℃増大させる指示が与えられたと認識する。
【0053】
ここで、運転席側から助手席側に向かう方向を助手席方向、助手席側から運転席側に向かう方向を運転席方向と称する。右ハンドル車であれば、車幅方向の右方から左方に向かう方向が助手席方向であり、左方から右方に向かう方向が運転席方向である。
【0054】
次に、制御部4は、手の動作が運転席方向又は助手席方向に対応付けした動作であるかを認識する。
図6(c)に示すように、手の動作が右方に変位していれば、手の動作が運転席方向に対応付けした動作であると認識する。つまり、手の動作が、車両の前後方向や上下方向の動きを含むか否かに関わらず、右方に変位していれば、運転席方向に対応付けした動きと認識する。なお、運転席方向又は助手席方向に対応付けした手の動作を席指示動作とも称する。
【0055】
手の動作がフリック動作であれば、指先が回動する方向が運転席方向に対応付けした動きであるかを認識し、スライド動作であれば手全体が移動する方向が運転席方向に対応付けした動きであるかを認識する。
本実施形態では、席の指定はスライド動作により行うことにしたので、例えば右スライド動作であれば、制御部4は右スライド動作を運転席方向に該当する動作であると認識する。
【0056】
制御部4は、このような温度指示動作及び席指示動作を認識したら、温度指示動作に基づいて変更した運転席側の温度をディスプレイ6に表示する。これにより、手の動作が温度指示動作及び席指示動作として認識されたことを確認することができる。
【0057】
そして、制御部4は、風量指示動作及び温度指示動作により風量及び温度を増大又は減少させる指示を認識し、席指示動作により運転席側が指示されたことを認識したときは、運転席側に供給する気体の温度及び風量が温度指示動作及び風量指示動作に基づいて増大又は減少するように車両用空調装置9を制御する。
これにより、手の動作に基づいて運転席側に所望の温度及び風量で気体を供給させることができる。
【0058】
同様にして、助手席側の温度設定をする場合について説明する。ここでは、温度を減少させる場合について説明する。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、本実施形態では、温度減少方向は車両の下方への向きであるので、手の動作が下方に変位していれば、手の動作が温度減少方向に対応付けした動作であると認識する。つまり、手の動作が、車両の前後方向や左右方向の動きを含むか否かに関わらず、下方に変位していれば、温度減少方向に対応付けした動きと認識する。
【0059】
手の動作がフリック動作であれば、指先が回動する方向が温度減少方向に対応付けした動きであるかを認識し、スライド動作であれば手全体が移動する方向が温度減少方向に対応付けした動きであるかを認識する。
【0060】
本実施形態では、温度の調節はスライド動作により行うことにしたので、例えば下スライド動作であれば、制御部4は下スライド動作を温度減少方向に該当する動作であると認識する。一回の下スライド動作を認識したら、制御部4は温度を1℃減少させる指示が与えられたと認識する。
【0061】
図7(c)に示すように、手の動作が左方に変位していれば、手の動作が助手席方向に対応付けした動作であると認識する。つまり、手の動作が、車両の前後方向や上下方向の動きを含むか否かに関わらず、左方に変位していれば、助手席方向に対応付けした動きと認識する。
本実施形態では、席の指定はスライド動作により行うことにしたので、例えば左スライド動作であれば、制御部4は左スライド動作を助手席方向に該当する動作であると認識する。
【0062】
制御部4は、このような温度指示動作及び席指示動作を認識したら、温度指示動作に基づいて変更した助手席側の温度をディスプレイ6に表示する。これにより、手の動作が温度指示動作及び席指示動作として認識されたことを確認することができる。
【0063】
そして、制御部4は、風量指示動作及び温度指示動作により風量及び温度を増大又は減少させる指示を認識し、席指示動作により助手席側が指示されたことを認識したときは、助手席側に供給する気体の温度及び風量が温度指示動作及び風量指示動作に基づいて増大又は減少するように車両用空調装置9を制御する。
これにより、手の動作に基づいて助手席側に所望の温度及び風量で気体を供給させることができる。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態に係る車両用空調装置9の操作入力装置1は、手の動作が風量増大方向、風量減少方向、温度増大方向又は温度減少方向に対応付けした動きであるか否かを認識することで、温度及び風量を変更する。
【0065】
これらの方向は、空調操作部2の各ボタンの配置に基づいて定められた方向である。例えば、温度増大方向であれば、下方の温度減少ボタン21R側から上方の温度増大ボタン11R側に向かう方向である。すなわち、空調操作部2の温度増大ボタン11R及び温度減少ボタン21Rの配置は、上方が温度の増大を、下方が温度の減少を表している。したがって、空調操作部2を操作する操作者は、温度増大ボタン11Rが空調操作部2にて相対的に上方に配置されていることをみれば、上方が温度増大に関係する、と直観的に把握できる。これにより、温度を増大させるための手の動作として、温度増大方向(上方)に対応付けした動作を習得し易くすることができる。風量についても同様である。
【0066】
このように、本実施形態に係る操作入力装置1は、空調操作部2の第1操作部10及び第2操作部20を構成する各ボタンの配置に基づいた直観的な手の動作により温度及び風量を変更することができる。これにより、車両用空調装置9の温度や風量を手の動作に基づいて変更することを操作者にとって容易なものとすることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る車両用空調装置9は、運転席側及び助手席側について個別に温度設定できるものである。本実施形態に係る操作入力装置1は、手の動作が運転席方向又は助手席方向に対応付けした動きであるか否かを認識することで、どちらか一方の温度を変更する。
【0068】
運転席方向及び助手席方向は、車室内の実際の座席の配置に基づいて定められた方向である。したがって、空調操作部2を操作する操作者は、運転席が助手席よりも相対的に右方に配置されていることをみれば、右方が運転席に関係する、と直観的に把握できる。これにより、温度を変更する対象の席として運転席側を指定するための手の動作を、習得し易くすることができる。助手席側についても同様である。
【0069】
このように、本実施形態に係る操作入力装置1は、運転席及び助手席の配置に基づいた直観的な手の動作により温度を変更する対象の席を指定することができる。これにより、車両用空調装置9の温度を変更する対象の席を手の動作に基づいて変更することを操作者にとって容易なものとすることができる。
【0070】
ここで、本実施形態では、風量指示動作は左右方向のフリック動作であり、席指示動作は左右のスライド動作とした。したがって、仮にこれらを続けて認識するとなると、フリック動作とスライド動作という相違があるので識別は可能であるものの、いずれも左右の動きであるため識別が難しい。
【0071】
しかしながら、本実施形態に係る操作入力装置1では、温度や風量を設定する一連の手の動作を認識するに際し、動作検出部3で検出したフリック動作及びスライド動作を風量指示動作、温度指示動作及び席指示動作の順で認識するようにした。すなわち、左右の動きである風量指示動作と席指示動作とを認識する間に、上下の動きである温度指示動作を認識するようにした。
【0072】
これにより、温度指示動作は上下のスライド動作であるが、その前の風量指示動作では左右のフリック動作であるので、識別しやすい。また、席指示動作は左右のスライド動作であるが、その前の温度指示動作は上下のスライド動作であるので、識別しやすい。したがって、手の動作を、風量指示動作、温度指示動作及び席指示動作の順で認識することで各動作をより確実に認識することができる。
【0073】
もちろん、手の動作を、風量指示動作、温度指示動作及び席指示動作の順で認識する場合に限定されず、任意の順で認識してもよい。
【0074】
なお、上述した実施形態に係る操作入力装置1では、風量の設定の動作としてフリック動作、温度及び席の設定にスライド動作を認識するようにしたが、これに限定されず、風量、温度及び席を設定するための手の動作としてフリック動作及びスライド動作を任意に定めることができる。また、手は何れも水平方向におけるフリック動作及びスライド動作を例に挙げたが、手を垂直方向としたフリック動作及びスライド動作を用いてもよい。
【0075】
さらに、操作入力装置1は、手の動作について風量指示動作、温度指示動作及び席指示動作を認識したのち、実際に車両用空調装置9の温度及び風量を設定する制御を行ったが、これに限定されない。手の動作について風量指示動作を認識したのち、車両用空調装置9の風量を設定してもよい。同様に、温度指示動作及び席指示動作を認識したのち、車両用空調装置9の指示された運転席又は助手席について温度を設定してもよい。
【0076】
本実施形態に係る車両用空調装置9は、いわゆるデュアルエアコンであったが、これに限定されない。すなわち、運転席側及び助手席側も共通の温度とする構成の車両用空調装置9についても操作入力装置1を適用することができる。この場合における操作入力装置1は、風量及び温度を手の動作で設定する構成となる。
【0077】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、勿論、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0078】
例えば、空調操作部2の各ボタンの構成、形状、配置等は実施形態で例示したものに限定されず、任意の構成、形状、配置のものを採用することができる。また、動作検出部3は、手の動作を検出することができるものであればよく、赤外線を利用したものに限定されない。動作検出部3の配置や向きなどについても特に限定はない。