(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504498
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】曳航装置及び曳航方法
(51)【国際特許分類】
E02D 23/02 20060101AFI20190415BHJP
B63B 21/56 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
E02D23/02 B
B63B21/56 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-61069(P2015-61069)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-180248(P2016-180248A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】中村 友邦
(72)【発明者】
【氏名】菅野 泰雅
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−098292(JP,U)
【文献】
実開平01−069840(JP,U)
【文献】
特開昭59−034331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 23/02
B63B 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上に浮かべた構造体を曳航するための曳航装置において、
水上に浮かべられ、前記構造体の曳航方向後側に前記構造体に対し高さ方向で拘束されない状態でその幅方向両端に亘って宛がわれる後方部材と、該後方部材の端部に取付けられ、先端側が前記構造体の側面に沿って曳航方向前方に引き出された一対の後方部材用曳航索とを備え、前記構造体の前方に配置された曳船で前記両後方部材用曳航索を引っ張り、前記後方部材で前記構造体を押すようにしていることを特徴とする曳航装置。
【請求項2】
水上に浮かべられ、前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って配置される前方部材を備え、前記後方部材用曳航索は、その一端が前記前方部材に固定され、他端側が前記後方部材前面部の掛回し支持具に掛け回して前方に引き出され、該後方部材用曳航索を曳船で引くことにより前記前方部材が前記構造体側に引き寄せられ、前記後方部材と前方部材とで前記構造体を挟持するようにしている請求項1に記載の曳航装置。
【請求項3】
水上に浮かべられ、前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って配置される前方部材を備え、該前方部材と前記後方部材とを前記各後方部材用曳航索で連結し、前記前方部材を介して前記両後方部材用曳航索を曳船で引っ張るようにしている請求項1に記載の曳航装置。
【請求項4】
水上に浮かべた構造体を曳航する曳航方法において、
前記構造体の曳航方向後側で水上に浮かべた後方部材を前記構造体に対し高さ方向で拘束されない状態で前記構造体背面にその幅方向両端に亘って宛がい、前記後方部材の両端部に取付けられ、先端側が前記構造体の側面に沿って曳航方向前方に引き出された一対の後方部材用曳航索を前記構造体の前方に配置された曳船で引っ張ることを特徴とする曳航方法。
【請求項5】
前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って前方部材を配置し、一端を前記前方部材に固定した前記後方部材用曳航索の他端側を前記後方部材前面部の掛回し支持具に掛け回して前方に引き出し、該後方部材用曳航索を曳船で引っ張り、前記前方部材を前記構造体側に引き寄せ、前記後方部材と前方部材とで前記構造体を挟持しつつ曳航する請求項4に記載の曳航方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防波堤や護岸等の海洋構造物を構成するケーソン等の構造体を水上に浮かべた状態で据付水域まで曳航するための曳航装置及び曳航方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防波堤や護岸等の海洋構造物の構築に際しては、当該海洋構造物を構成するケーソン等の構造体を陸上の製作ヤードにて製作し、当該構造体を進水させて浮かせた状態とし、それを据付水域まで曳航により運搬する方法が広く用いられている。
【0003】
従来、このようなケーソン等の構造体を曳航するには、
図4に示すように、構造体30の天端に予め取り付けられた鉄筋又は鋼索からなる各連結具31に曳航索32の一端を接続し、曳航索32の他端を曳船33で引っ張り曳航していた(例えば、特許文献1、
図4を参照)。
【0004】
また、他の曳航手段には、ケーソン等の構造体の周囲に大回しロープを予め艤装しておき、大回しロープに接続させた曳航索を曳船で引き曳航するものもある(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
この曳航手段では、構造体の天端外縁に鉄筋又は鋼索からなる連結具を取り付けておき、その連結具に上端を接続した支持用ワイヤを構造体の側面に沿って垂下させ、当該支持用ワイヤの下端に大回しロープを支持させることで艤装している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−34331号公報
【特許文献2】実開平1−69840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図4に示す如き従来の曳航手段では、曳航索の一端が構造体の天端部に取り付けられ、曳航索の引張力が構造体の高い位置に作用するため、その引張力の作用点と構造体の浮心との間の上下方向距離が大きく、曳航時に構造体の没水部が前面側からの水圧を受けると曳航索の引張力によって構造体にモーメントが生じ図中一点鎖線で示すように構造体が傾くおそれがある。
【0008】
従って、このような構造体の傾きを低減させるためには、曳航速度を落としたり、曳航方向と逆向きの潮流、即ち、構造体の前面側に作用する水圧が大きい時には曳航を回避したりする必要が生じ、作業効率の低下を招く要因となっていた。
【0009】
一方、特許文献2の如き従来の曳航手段では、曳航中の構造体の傾きを抑制できるものの、大回しロープの艤装及びその取り外しに多大な手間を必要とし、作業効率が悪いという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、簡易且つ効率的に設置及び取り外しが可能で、ケーソン等の構造体を安定して曳航できる曳航装置の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、水上に浮かべた構造体を曳航するための曳航装置において、水上に浮かべられ、前記構造体の曳航方向後側に
前記構造体に対し高さ方向で拘束されない状態でその幅方向両端に亘って宛がわれる後方部材と、該後方部材の端部に取付けられ、先端側が前記構造体の側面に沿って曳航方向前方に引き出された一対の後方部材用曳航索とを備え、前記構造体の前方に配置された曳船で前記両後方部材用曳航索を引っ張り、前記後方部材で前記構造体を押すようにしている曳航装置にある。
【0012】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え水上に浮かべられ、前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って配置される前方部材を備え、前記後方部材用曳航索は、その一端が前記前方部材に固定され、他端側が前記後方部材前面部の掛回し支持具に掛け回して前方に引き出され、該後方部材用曳航索を曳船で引くことにより前記前方部材が前記構造体側に引き寄せられ、前記後方部材と前方部材とで前記構造体を挟持するようにしていることにある。
【0013】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って配置される前方部材を備え、該前方部材と前記後方部材とを前記各後方部材用曳航索で連結し、前記前方部材を介して前記両後方部材用曳航索を曳船で引っ張るようにしていることにある。
【0014】
請求項4に記載の発明の特徴は、水上に浮かべた構造体を曳航する曳航方法において、前記構造体の曳航方向後側で水上に浮かべた後方部材を
前記構造体に対し高さ方向で拘束されない状態で前記構造体背面にその幅方向両端に亘って宛がい、前記後方部材の両端部に取付けられ、先端側が前記構造体の側面に沿って曳航方向前方に引き出された一対の後方部材用曳航索を前記構造体の前方に配置された曳船で引っ張ることにある。
【0015】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項4の構成に加え、前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って前方部材を配置し、一端を前記前方部材に固定した前記後方部材用曳航索の他端側を前記後方部材前面部の掛回し支持具に掛け回して前方に引き出し、該後方部材用曳航索を曳船で引っ張り、前記前方部材を前記構造体側に引き寄せ、前記後方部材と前方部材とで前記構造体を挟持しつつ曳航することにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る曳航装置は、上述したように、水上に浮かべた構造体を曳航するための曳航装置において、水上に浮かべられ、前記構造体の曳航方向後側に
前記構造体に対し高さ方向で拘束されない状態でその幅方向両端に亘って宛がわれる後方部材と、該後方部材の端部に取付けられ、先端側が前記構造体の側面に沿って曳航方向前方に引き出された一対の後方部材用曳航索とを備え、前記構造体の前方に配置された曳船で前記両後方部材用曳航索を引っ張り、前記後方部材で前記構造体を押すようにしていることにより、構造体への設置及び取り外しが容易な簡便な構造で曳航時の構造体の傾倒を好適に抑制することができ、工期及び工費の削減を図ることができる。
【0017】
また、本発明において、水上に浮かべられ、前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って配置される前方部材を備え、前記後方部材用曳航索は、その一端が前記前方部材に固定され、他端側が前記後方部材前面部の掛回し支持具に掛け回して前方に引き出され、該後方部材用曳航索を曳船で引くことにより前記前方部材が前記構造体側に引き寄せられ、前記後方部材と前方部材とで前記構造体を挟持するようにしていることにより、後方部材の押し出しに対する構造体の揺動を抑制し、安定した曳航が可能となる。
【0018】
更に、本発明において、水上に浮かべられ、前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って配置される前方部材を備え、該前方部材と前記後方部材とを前記各後方部材用曳航索で連結し、前記前方部材を介して前記両後方部材用曳航索を曳船で引っ張るようにしていることにより、安定した状態で曳航することができる。
【0019】
また、本発明に係る曳航方法は、水上に浮かべた構造体を曳航する曳航方法において、前記構造体の曳航方向後側で水上に浮かべた後方部材を
前記構造体に対し高さ方向で拘束されない状態で前記構造体背面にその幅方向両端に亘って宛がい、前記後方部材の両端部に取付けられ、先端側が前記構造体の側面に沿って曳航方向前方に引き出された一対の後方部材用曳航索を前記構造体の前方に配置された曳船で引っ張ることにより、後方部材による推進力が構造体の浮心に近い位置で作用するので、構造体の傾倒を好適に抑制しつつ曳航することができる。
【0020】
更に、本発明において、前記構造体の曳航方向前側にその幅方向両端に亘って前方部材を配置し、一端を前記前方部材に固定した前記後方部材用曳航索の他端側を前記後方部材前面部の掛回し支持具に掛け回して前方に引き出し、該後方部材用曳航索を曳船で引っ張り、前記前方部材を前記構造体側に引き寄せ、前記後方部材と前方部材とで前記構造体を挟持しつつ曳航することにより、後方部材の押し出しに対する構造体の揺動を抑制し、安定して曳航することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は本発明に係る曳航装置の使用態様の一例を示す平面図、(b)は同曳航方向側面図である。
【
図2】
図1中の後方部材用曳航索の掛け回し状態を説明するための部分拡大平面図である。
【
図3】(a)は本発明に係る曳航装置の他の使用態様を示す平面図、(b)は同曳航方向側面図である。
【
図4】従来の曳航装置の概略を示す曳航方向側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る曳航装置の実施態様を
図1、
図2に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号Aは水面、符号1はケーソン等の構造体、符号2は構造体1を曳航するための曳航装置である。
【0023】
構造体1は、例えば、中空函状であってバラスト水量により浮力調整可能なケーソンであって、下側部が所望の喫水で水上に浮かべられるようになっている。尚、図中符号fは構造体1の浮心(浮力中心)である。
【0024】
曳航装置2は、構造体1の曳航方向後側に構造体1の幅方向両端に亘って宛がわれる後方部材3と、それぞれ後方部材3の端部に取付けられ、先端側が構造体1の側面に沿って曳航方向に前方に引き出された一対の後方部材用曳航索4,4と、各後方部材用曳航索4,4の先端4bが接続されている曳航索5とを備え、構造体1の前方に配置された曳船6で両後方部材用曳航索4,4を引き、水上に浮かべた構造体1を曳航するようになっている。
【0025】
また、この曳航装置2には、構造体1の曳航方向前側に構造体1の幅方向両端に亘って配置される前方部材7を備え、後方部材用曳航索4,4の先端4bが前方部材7を介して曳航索5に接続されている。
【0026】
後方部材3は、一定長さ以上のH形鋼や角形鋼管等の剛性を有する部材によって構成され、その前面には、構造体1の曳航方向背面にその幅方向両端に亘って宛がわれる押出し面9が形成されている。
【0027】
また、この後方部材3には、浮力を有する浮体8,8を一体又は一体的に備え、水面に浮かべられるようになっている。
【0028】
押出し面9は、上下に一定幅を有し、且つ、水平幅方向に長い矩形状に形成され、その前面には、ゴムマット等の緩衝材10,10...が固定され、押出し面9が構造体1背面に宛がわれる際の衝撃を緩衝するようになっている。
【0029】
また、後方部材3には、前面部、即ち押出し面9の両端に掛回し支持具11,11を備え、この掛回し支持具11,11に後方部材用曳航索4,4を掛け回して前方に引き出すことにより、後方部材用曳航索4が後方部材3に取り付けられている。
【0030】
掛回し支持具11,11は、上下に間隔を置いて押出し面9に突設された一対の軸受け材11a,11aと、両端をそれぞれ軸受け材11a,11aに支持させた丸棒状の掛け回し軸11bとを備え、この掛け回し軸11bに後方部材用曳航索4,4が掛け回わされるようになっている。尚、掛回し支持具11,11の態様は、上記実施例に限定されず、後方部材3の前面に回転自在に支持させた滑車等を用いてもよい。
【0031】
前方部材7は、後方部材3と同様に、一定長さ以上のH型鋼や角形鋼管等の剛性を有する部材により構成され、その背面には、構造体1の曳航方向前面に構造体1の幅方向両端に亘って宛がわれる当接面12が形成されている。
【0032】
また、前方部材7には、浮力を有する浮体8,8を一体又は一体的に備え、水面に浮かべられるようになっている。
【0033】
当接面12は、上下に一定幅を有し、且つ、水平幅方向に長い矩形状に形成され、その当接面12には、ゴムマット等の緩衝材10,10...が固定され、当接面12が構造体1背面に宛がわれる際の衝撃を緩衝するようになっている。
【0034】
この当接面12の両端部には、後方部材用曳航索4,4の一端4aが固定される接続金具13,13が突設されている。
【0035】
また、前方部材7の両端上面部には、掛回し支持具11,11で折り返して前方に引き出された後方部材用曳航索4を挿通させて前方に案内するガイド部14,14が形成され、ガイド部14,14より更に前方に引き出された後方部材用曳航索4の先端4bが曳航索5に接続されるようになっている。
【0036】
ガイド部14,14は、前方部材7の長手方向に間隔をおいて対向した平面視円弧板状の一対のガイド壁部14a,14aと、ガイド壁部14a,14a間に架け渡した棒状の押さえ棒14bとを備え、後方部材用曳航索4の水平移動を両ガイド壁部14a,14a間で規制するとともに、押さえ棒14bで後方部材用曳航索4の浮き上がりを防止している。
【0037】
後方部材用曳航索4,4は、ポリエチレン製ロープ等の水に浮くロープによって構成し、その後方部材用曳航索4の一端4aを前方部材7背面の接続金具13に固定し、その先端4b側を後方に向けて引き出した上、後方部材3前面部の掛回し支持具11,11に掛け回して前方に引き出し、その前方に引き出した先端4b側を前方部材7のガイド部14に通し、先端4bを曳航索5に接続させている。
【0038】
曳航索5には、後方部材用曳航索4と同様のポリエチレン製ロープ等の水に浮くロープを使用している。
【0039】
このように構成された曳航装置2を使用した曳航方法では、後方部材3を構造体1の曳航方法背面側に配置しておき、構造体1の前方に配置された曳船6で両後方部材用曳航索4,4を引っ張ると、水面に浮かべた後方部材3が構造体1の背面にその両端に亘って宛がわれ、その状態で曳船6を移動させると後方部材3の押出し面9に押されてケーソン等の構造体1に推進力が付与される。
【0040】
その際、後方部材3は、構造体1に対し構造的に高さ方向で拘束されておらず、水面A位置に浮かんだ状態にあるので、後方部材3による推進力が高さ方向において構造体1の浮心fに近い位置で作用する。
【0041】
よって、曳航時に構造体1の没水部が前面側からの水圧を受けても、後方部材3によって構造体1に作用するモーメントは小さく、構造体1の傾倒を好適に抑制できる。
【0042】
また、この曳航方法では、曳航索5を引いて後方部材用曳航索4,4を引っ張り、前方部材7を構造体1側に引き寄せて後方部材3と前方部材7とで構造体1を挟持し、その状態で曳航するので、後方部材3による推進力に起因する構造体1の前後方向の揺動を抑制することができ、より安定して曳航することができる。
【0043】
尚、上述の実施例では、後方部材3と前方部材7とにケーソン等の構造体1を挟持させるようにした例について説明したが、
図3に示すように、前方部材7を構造体1のやや前方に配置し、曳船6で前方部材7を介して両後方部材用曳航索20,20を引っ張るようにしてもよい。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
この実施例においては、後方部材3の前面両端及び前面部材7の背面両端にそれぞれ接続金具13,13を備え、構造体1の前後幅より長い後方部材用曳航索20,20の一端を後方部材3前面の接続金具13に、他端を前方部材7背面の接続金具13にそれぞれ接続し、後方部材3と前方部材7とを両後方部材用曳航索20,20で連結している。
【0045】
また、この実施例においては、構造体1の天端周縁に予め取り付けられた鉄筋又は鋼索からなる各連結具21,21...に一端を接続した連結索22,22の他端を前方部材7及び後方部材3に接続し、後方部材3による押し出しと前方部材7の牽引とにより構造体1を曳航するようにしてもよい。
【0046】
また、特に図示しないが、前方部材7を用いず、後方部材3の押し出しによる推進力のみで曳航するようにしてもよい。
【0047】
尚、上述の実施例では、構造体をケーソンとした例について説明したが、構造体1はケーソンに限定されず、他の構造物を構成する構造体1の曳航にも適用することができる。
【0048】
また、上述の実施例では、後方部材用曳航索4及び曳航索5にポリエチレン製ロープ等のように浮くものを使用したが、鋼索等を使用してもよい。
【0049】
尚、後方部材3及び前方部材7は、上述の実施例のように浮体8,8を別個に備えるものに限定されず、両端が閉鎖された中空の角形鋼管等によって構成し、部材自体に浮力を備えたものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
A 水面
1 構造体
2 曳航装置
3 後方部材
4 後方部材用曳航索
5 曳航索
6 曳船
7 前方部材
8 浮体
9 押出し面
10 緩衝材
11 掛回し支持具
12 当接面
13 接続金具
14 ガイド部
20 後方部材用曳航索
21 連結具
22 連結索