特許第6504518号(P6504518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504518
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】洗い場フロア構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/20 20060101AFI20190415BHJP
【FI】
   E03C1/20 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-238572(P2014-238572)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-98621(P2016-98621A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤行
(72)【発明者】
【氏名】小田川 智
(72)【発明者】
【氏名】樋元 佐紀
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−199648(JP,A)
【文献】 特開平07−189310(JP,A)
【文献】 特開平08−158439(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0036697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
E03C 1/18−1/184
E03C 1/20−1/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口の上側に上面開口状の凹状部が設けられている洗い場フロアと、
前記凹状部に嵌入して設置される排水口用の蓋と、
を備えている、洗い場フロア構造であって、
前記蓋の側壁部には、水平方向および上下高さ方向に幅を有する下部開口状の切り欠き凹部が設けられ、かつこの切り欠き凹部の幅方向両端部の内壁面は、水平方向に間隔を隔てて位置し、かつ上方に進むほど互いに接近するように傾斜する一対の下向き傾斜面されており、
前記凹状部の内側には、前記凹状部の内方に向けて突出し、かつ水平方向において互いに離間する一対の突起部が設けられ、かつこれら一対の突起部には、上方に進むほど互いに接近するように傾斜する一対の上向き傾斜面が形成されており、
前記蓋が前記凹状部に嵌入された際には、前記一対の下向き傾斜面が前記一対の上向き傾斜面上に載るようにして、前記蓋の前記切欠き凹部に前記一対の突起部がともに嵌入し、前記蓋を前記一対の突起部によって支持することが可能な構成とされていることを特徴とする、洗い場フロア構造。
【請求項2】
請求項1に記載の洗い場フロア構造であって、
前記蓋は、前記一対の下向き傾斜面が前記一対の上向き傾斜面上に載る向きとは異なる向きに設定された状態で前記凹状部に嵌入される際には、前記蓋と前記突起部とが干渉し、前記蓋の略全体を前記凹状部に嵌入させることができない構成とされている、洗い場フロア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗い場フロア構造に関し、より詳しくは、浴室の洗い場フロアの排水口用の蓋の取り付け状態を良好にするための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室の洗い場フロアには、洗い場フロア上に流れ落ちた使用済み湯水などを浴室外部に排水するための排水口が設けられている。一般的には、この排水口の上側に凹状部を形成し、かつこの凹状部に排水口用の蓋を嵌入して設置させることにより、排水口が不体裁な状態で開口したままにならないようにしている。
このような排水口の蓋の取り付け構造においては、蓋に大きなガタツキがないようにすることが望まれる。たとえば、蓋に水平方向の大きなガタツキがあると、入浴者が蓋を踏んだ際に蓋が水平方向に位置ずれし、入浴者が足を滑らせる虞がある。
そこで、従来においては、たとえば特許文献1,2に記載された手段のように、蓋の周壁部に突起部を設け、かつこの突起部を排水口上側の凹状部の内壁に当接させることによって、蓋のガタツキを抑制する手段がある。
【0003】
しかしながら、前記従来の手段においては、突起部と凹状部の内壁との間には、幾らかの隙間がある。このため、蓋のガタツキを十分に無くすことは難しい。前記の隙間を実質的にゼロとするように製作すれば、ガタツキを無くすことは可能であるものの、そのように寸法精度を高めることは難しく、また寸法管理を厳しくしなければならない必要から、生産性が悪くなり、製造コストが高くなる不利がある。さらに、前記の隙間を実質的にゼロにした場合には、蓋を凹状部に出し入れする際の突起部と凹状部の内壁との摩擦抵抗が大きくなるため、蓋の着脱作業性が悪いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3881979号公報
【特許文献2】特開2006−291564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、排水口用の蓋の着脱作業性を悪化させるなどの不具合を回避しつつ、前記蓋のガタツキを適切に防止または抑制することが可能な洗い場フロア構造を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明により提供される洗い場フロア構造は、排水口の上側に上面開口状の凹状部が設けられている洗い場フロアと、前記凹状部に嵌入して設置される排水口用の蓋と、を備えている、洗い場フロア構造であって、前記蓋の側壁部には、水平方向および上下高さ方向に幅を有する下部開口状の切り欠き凹部が設けられ、かつこの切り欠き凹部の幅方向両端部の内壁面は、水平方向に間隔を隔てて位置し、かつ上方に進むほど互いに接近するように傾斜する一対の下向き傾斜面されており、前記凹状部の内側には、前記凹状部の内方に向けて突出し、かつ水平方向において互いに離間する一対の突起部が設けられ、かつこれら一対の突起部には、上方に進むほど互いに接近するように傾斜する一対の上向き傾斜面が形成されており、前記蓋が前記凹状部に嵌入された際には、前記一対の下向き傾斜面が前記一対の上向き傾斜面上に載るようにして、前記蓋の前記切欠き凹部に前記一対の突起部がともに嵌入し、前記蓋を前記一対の突起部によって支持することが可能な構成とされていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、蓋に形成された一対の下向き傾斜面が、洗い場フロアの凹状部側に形成された一対の上向き傾斜面上に載せられた状態においては、前記一対の下向き傾斜面に対して前記一対の上向き傾斜面が楔作用、または楔作用に類する位置決め作用を発揮することとなり、蓋が前記下向き傾斜面や上向き傾斜面が離間する水平方向に位置ずれすることは適切に阻止される。このため、蓋のガタツキを防止または抑制し、入浴者が蓋を踏んだ際に、この蓋が不用意に位置ずれして足を滑らせるといった事態を防ぐのに好適なものとなる。
第2に、前記したような蓋のガタツキ防止を図るには、一対の下向き傾斜面と上向き傾斜面とが互いに対向接触するように形成されていればよく、これらの傾斜面の形成に際し、傾斜面の長さなどについてはさほど高い寸法精度は要求されない。むろん、蓋と凹状部との嵌合精度もさほど高める必要はない。したがって、製造が容易であり、製造コストを廉価にすることが可能である。
第3に、蓋を凹状部に出し入れする際に、一対の下向き傾斜面と上向き傾斜面との相互間で、前記出し入れを困難とするような大きな摩擦抵抗が生じるようなこともない。したがって、凹状部への蓋の出し入れ操作(着脱操作)は容易であり、取り扱い性にも優れたものとなる。
【0010】
さらに、前記構成によれば、一対の下向き傾斜面が、蓋の側壁部に切り欠き凹部を設けることによって形成されているために、蓋のサイズ、重量、および部品点数などが増大または増加することを回避する上で、好ましいものとなる。
【0012】
さらに、前記構成によれば、凹状部に設けられる突起部の小サイズ化を図りつつ、一対の上向き傾斜面を適切に形成することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記蓋は、前記一対の下向き傾斜面が前記一対の上向き傾斜面上に載る向きとは異なる向きに設定された状態で前記凹状部に嵌入される際には、前記蓋と前記突起部とが干渉し、前記蓋の略全体を前記凹状部に嵌入させることができない構成とされている。
【0014】
このような構成によれば、蓋を凹状部に嵌入させる際に、蓋の向きが正しい向きに設定されていない場合には、蓋の略全体を凹状部に適切に嵌入させることができないため、このことにより入浴者などは、蓋の向きが正しい向きではない旨を適切に察知することができる。このことにより、入浴者などは蓋の向きを正しい向きに設定し直すことが期待できることとなり、蓋が誤った向き(一対の下向き傾斜面が上向き傾斜面上に載らない位置関係の向き)で凹状部に嵌入されたままにされないようにする効果が得られる。前記構成においては、一対の上向き傾斜面が形成された突起部を、蓋の向きを正しい向きに設定するための手段として用いられており、その構成は合理的である。
【0015】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る洗い場フロア構造の一例を示す斜視図である。
図2図1の構造において、蓋を凹状部に嵌入設置した状態の要部断面である。
図3】(a)は、図2のIIIa−IIIa断面図であり、(b)は、(a)の分解断面図である。
図4図1に示す構造の要部平面図である。
図5図1に示す構造で用いられている蓋の前方側からの斜視図である。
図6】(a)は、蓋を不適切な向きに設定した場合の一例を示す要部平面図であり、(b)は、その際の蓋の設置状態を示す要部断面図である。
図7】本発明の他の例を示す要部平面図である。
図8】(a)は、図7に示す構造において、蓋を不適切な向きに設定した場合の例を示す要部平面図であり、(b)は、その際の蓋の設置状態を示す要部断面図である。
図9】本発明の他の例を示す要部平面図である。
図10】本発明の他の例を示す要部平面図である
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
図1に示す洗い場フロア構造Cは、ユニットバスなどの浴室の構成要素として用いられる洗い場防水パンPと、排水口用の蓋2とを備えている。洗い場防水パンPは、全体が樹脂製であり、洗い場フロア1を形成している。洗い場防水パンPは、浴槽一体型として構成することが可能であるが、本実施形態では、浴槽とは別体型とされている。洗い場防水パンPの横(図1の一側縁部90の向こう側)に浴槽が設置される。
【0019】
洗い場フロア1のうち、洗い場防水パンPの一側縁部90寄りの位置には、平面視略矩形の凹状部4、およびこの凹状部4の下方奥部に位置するたとえば平面視略円形の排水口3が設けられている。排水口3の下側には、排水トラップを介して排水パイプ(図示略)が接続される。凹状部4は、排水口用の蓋2を嵌入設置させるための部分であり、底壁部40、およびこの底壁部40から起立した複数の内側起立壁部41により形成されている。後述するように、複数の内側起立壁部41のうち、第1の内側起立壁部41(41a)には、後述する一対の上向き傾斜面42aが形成された一対の突起部42が設けられている。
【0020】
凹状部4の第2の内側起立壁部41b(洗い場防水パンPの一側縁部90側)には、互いに接近するように部分的に膨出する一対の内向き凸状部44が設けられている。図4に示すように、それら一対の内向き凸状部44の内幅L1は、凹状部4の他の部分の内幅L2よりも狭くされている。これは、後述するように、蓋2が本来の向きとは異なる向きに設置されることを防止するのに役立つ。
【0021】
図1において、蓋2は、平面視略矩形の平板状の蓋本体部20と、この蓋本体部20の外周縁から下向きに突出する複数の側壁部21とを有している。複数の側壁部21のうち、第1の側壁部21(21a)には、後述する一対の下向き傾斜面22が形成されている。図4および図5によく表われているように、第2の側壁部21(21b)には、蓋2を凹状部4から取り出す際に指を蓋2の裏側に差し込むのに利用される窪み部23、および左右一対の凸部24が設けられている。一対の凸部24の外幅L3は、一対の内向き凸状部44の内幅L1よりも小さくされている。このことにより、一対の凸部24の形成箇所
を、一対の内向き凸状部44の内側に配置させるようにして、蓋2の全体を凹状部4に嵌入させることが可能となっている(図2も参照)。
【0022】
図1および図3において、蓋2の第1の側壁部21aには、蓋2の横幅方向x(水平方向)に適当な幅を有する下部開口状の切り欠き凹部25が形成されており、この切り欠き凹部25の幅方向両端部の内壁面は、一対の下向き傾斜面22とされている。これら一対の下向き傾斜面22は、上方に進むほど互いに接近するように適当な角度αで傾斜した傾斜面である。なお、蓋2の他の側壁部21にも切り欠き凹部26が設けられているが、この切り欠き凹部26は、下向き傾斜面22を形成するためのものではなく、蓋2の軽量化や、凹状部4に流れ込んできた湯水を排水口3に導くための通路として役立たせる部分である。
【0023】
一方、凹状部4の第1の内側起立壁部41aには、一対の突起部42が設けられ、かつこれら一対の突起部42に一対の上向き傾斜面42aが形成されている。図3によく表われているように、一対の突起部42は、横幅方向x(水平方向)に離間しており、かつたとえば正面視略三角形状に形成されている。これら一対の突起部42の外側の傾斜面は、上方に進むほど互いに接近するように傾斜する上向き傾斜面42aであり、既述した下向き傾斜面22の傾斜角αと同一の傾斜角である。図3(a)に示すように、一対の下向き傾斜面22および上向き傾斜面42aは、一対の下向き傾斜面22が一対の上向き傾斜面42a上に面接触状態で載り、このことにより蓋2の第1の側壁部21a側は、突起部42によって支持されるように構成されている。図2に示すように、蓋2の第2の側壁部21b側は、凹状部4の底壁部40上に載り、底壁部40によって支持される。なお、図面では示されていないが、蓋2の各側壁部21の下面部分には、蓋2の位置ずれ防止効果を高めるための手段、あるいは蓋2を底壁部40上に載せた際の衝撃を和らげるための手段として、ゴム材などを設けた構成とすることができる。
【0024】
次に、前記した洗い場フロア構造Cの作用について説明する。
【0025】
まず、蓋2を凹状部4に嵌入設置した状態においては、図2および図3(a)に示すように、蓋2の一対の下向き傾斜面22が、凹状部4の内側に設けられた一対の上向き傾斜面42a上に載せられた構成が構築される。このような構成によれば、単に傾斜面どうしが当接することによって横幅方向xにおける蓋2の移動が規制されるだけではなく、蓋2の重量がこれらの部分に作用することにより、上向き傾斜面42aと下向き傾斜面22とが互いに圧接する作用(楔作用またはこれに類する作用)が得られることとなる。このため、蓋2が横幅方向xに位置ずれすることは略完全に防止される。このような位置ずれ防止が図られると、蓋2の全体のがたつきが抑制される結果、入浴者が蓋2を踏んだ際に、この蓋2が不用意に位置ずれして足を滑らせるといった事態を好適に防ぐことが可能となる。
【0026】
前記したような蓋2のガタツキ防止を図るには、一対の下向き傾斜面22と上向き傾斜面42aとが互いに対向接触するように全体が構成されていればよい。それらの傾斜面22,42aの形成に際し、これらの寸法長などについてはさほど高い寸法精度は要求されない。蓋2と凹状部4との間には適当な遊び(隙間)を設けておくことが可能であり、それらの嵌合寸法精度をさほど高くする必要もない。したがって、蓋2や洗い場フロア1の製造が容易となり、それらの製造コストを廉価にすることが可能である。
【0027】
蓋2を凹状部4に嵌入させた際には、一対の下向き傾斜面22がそのまま一対の上向き傾斜面42aに載るようになっており、特殊な操作は不要である。蓋2を凹状部4から取り出す際も同様である。傾斜面22,42aの相互間において、凹状部4への蓋2の出し入れが困難となるような大きな摩擦抵抗が生じることもない。このため、凹状部4への蓋
2の出し入れ操作(着脱操作)も容易であり、取り扱い性にも優れたものとなる。
【0028】
一対の下向き傾斜面22は、蓋2の第1の側壁部21aに切り欠き凹部25を設けることによって形成されている。このため、下向き傾斜面22の形成は容易である。蓋2のサイズ増大、重量増大、および部品点数の増加などを生じないようにすることが可能である。また、切り欠き凹部25を排水用の湯水通過部として機能させ、凹状部4に流れ込んだ湯水の排水促進を図ることも可能である。一対の上向き傾斜面42aを形成した一対の突起部42は、凹状部4の第1の内側起立壁部41aに突設されたものであるため、やはりその成形などは容易である。各突起部42のサイズを小さくすることもできる。
【0029】
図6は、蓋2の向きが前後逆向きの誤った向きとされた例を示している。蓋2の第1の側縁部21a側の幅L4は、一対の内向き凸状部44の内幅L1よりも大きいために、この例の場合には、同図(b)に示すように、蓋2の第2の側縁部21b側が凹状部4からはみ出す。このことにより、入浴者などは蓋2の向きが誤っている旨を的確に察知することができ、蓋2を正しい向き(一対の下向き傾斜面22と上向き傾斜面42aとが対向接触する向き)に設定することが期待できる。
【0030】
図7図10は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0031】
図7に示す実施形態においては、洗い場フロア1に設けられた凹状部4が、蓋2と同様な平面視略矩形状に形成されており、前記実施形態における内向き凸状部44は設けられていない。
本実施形態においては、蓋2を図7に示す向きに設定した場合には、蓋2の一対の下向き傾斜面22を、凹状部4の一対の上向き傾斜面42a上に載せるようにして、蓋2の全体を凹状部4に嵌入させることが可能である。これに対し、図8に示すように、蓋2を前記とは逆向きにした場合には、蓋2の側縁部21bが一対の突起部42に干渉することとなる。このため、蓋2の略全体を凹状部4に適切に嵌入させることはできない。その結果、入浴者などは蓋2が逆向きであることを的確に察知することができ、蓋2の向きを正しい向きに設定することとなる。
本実施形態によれば、蓋2を誤った向きに設定することが、やはり適切に防止される。上向き傾斜面42aを形成するための突起部42が、蓋2を誤った向きに取り付けことを防止するための部位として利用されているため、その構成は合理的である。
【0032】
図9に示す実施形態においては、凹状部4の第1および第3の内側起立壁部41a,41cのそれぞれに、一対の上向き傾斜面42aが形成された突起部42が設けられている。これに対応し、蓋2の第1および第3の側縁部21a,21cのそれぞれには、一対の下向き傾斜面22を形成する切り欠き凹部25が設けられている。
このような構成によれば、横幅方向xのみならず、これと直交する縦幅方向yについても、蓋2の的確な位置決めを図ることができる。したがって、蓋2のがたつきをより徹底して防止することができる。
なお、図示説明は省略するが、図9において、蓋2のy方向のみの位置決め固定を図るべく、凹状部4の第1の内側起立壁部41a、および蓋2の第1の側壁部21aに、上向き傾斜面42aおよび下向き傾斜面22を設けない構成とし、かつ凹状部4の第3の内側起立壁部41c、および蓋2の第3の側壁部21cのみに、上向き傾斜面42aおよび下向き傾斜面22を設けた構成とすることもできる。本発明においては、一対の上向き傾斜面42aおよび下向き傾斜面22が、少なくとも一組設けられていればよい。
【0033】
図10に示す実施形態においては、蓋2のx方向の位置決め固定を図るべく、凹状部4
に設けられた上向き傾斜面42aを有する一対の突起部42のうち、一方は、第1の内側起立壁部41aに設けられ、かつ他方は、第2の内側起立壁部41bに設けられている。蓋2についても、これに対応して、第1および第2の側壁部21a,21bに、切り欠き凹部25が設けられ、かつ下向き傾斜面22が形成されている。
このような構成であっても、蓋2のx方向の位置決め固定を適切に図ることが可能である。本実施形態から理解されるように、一対の上向き傾斜面42aが形成された一対の突起部42や、蓋2の下向き傾斜面22は、必ずしも1つの共通の内側起立壁部41または側壁部21に形成されていなくてもよい。
【0037】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る洗い場フロア構造の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0038】
排水口用の蓋や、洗い場フロアの凹状部の具体的な形状は、平面視略矩形状に限定されず、たとえば円形や台形状などの他の形状にすることが可能である。蓋に、通水用の孔を貫通して設けるようなことも可能である。蓋の材質も限定されず、蓋全体を樹脂製にすることに代えて、たとえばステンレス製などの金属板と、この金属板を支持する樹脂とを組み合わせたような構成とすることもできる。
洗い場フロアは、必ずしも全体が樹脂成形された防水パンを利用して構成されていなくてもよい。また、本発明でいう洗い場フロアは、浴槽が設置された浴室のみならず、浴槽が設置されていないシャワールームのフロアも含む概念である。
【符号の説明】
【0039】
C 洗い場フロア構造
1 洗い場フロア
2 蓋(排水口用の蓋)
21 側壁部
22 下向き傾斜面
25 切り欠き凹部
3 排水口
4 凹状部
40 底壁部(凹状部の)
41 内側起立壁部(凹状部の)
42 突起部
42a 上向き傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10