(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(E)成分が、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン及び4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタンからなる群から選択される1種又は2種以上を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の二層型化粧料。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における二層型化粧料は、静置時には水相、油相からなる二層に分離し、水相は下層を構成し、油相は上層を構成する。使用時に振盪等により混合して使用される二層型化粧料である。
【0013】
本発明の二層型化粧料においては、UV防御能、使用感(べたつき感のなさ)、保湿性、つや感の点から、水相と油相の含有質量比が、2.5:97.5〜50:50であることが必要であり、好ましくは15:85〜45:55、より好ましくは20:80〜40:60である。
【0014】
本発明の二層型化粧料は、水相中に、(A)スルホン酸基を有する水溶性紫外線吸収剤、(B)塩基性物質、(C)水及び(D)水相全量100質量部に対し40質量部以上の多価アルコールを含有する。
【0015】
本発明に用いる(A)スルホン酸基を有する水溶性紫外線吸収剤は、未中和の状態で水への溶解性が0.01%以上を有する紫外線吸収剤である。具体的には、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸等が挙げられ、それぞれ商品名として、Eusolex 232(Merck社製)又はNeo Heliopan Hydro(Symrise社製)、Mexoryl SX(ロレアル社製)が知られている。これらのうち、市場での入手の容易さから、好ましくはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸である。
【0016】
成分(A)の二層型化粧料中における含有量は、特に限定されるものではないが、UV防御能の点、使用感(べたつき感のなさ)、安定性の点から、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、また10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。具体的に、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.3〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。
【0017】
本発明に用いる(B)塩基性物質は、前記(A)成分を中和させる成分であり、具体的には、(A)成分のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩を形成する物質、(A)成分のカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩を形成する物質、(A)成分のトリエタノ−ルアミン、モノエタノールアミン、トリエチルアミン、アミノメチルプロパノール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン等の有機アミン塩を形成する物質、(A)成分のアンモニウム塩を形成する物質、アルギニンやリジン等の塩基性アミノ酸塩を形成する物質が好ましく例示できる。
これらのうち、(C)水への溶解性、安定性の点から、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン、アルギニン、トリスヒドロキシメチルアミノメタンの塩を形成する物質が好ましく、ナトリウム、トリエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタンの塩を形成する物質がより好ましい。これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0018】
(B)成分の二層型化粧料中の含有量は、UV防御能、安定性の点から、二層型化粧料の水相のpH値を6.8以上とする量を適宜含有することが好ましく、またpH値の上限は9以下とすることが好ましく、7.5以下とすることがより好ましい。具体的に、好ましくは6.8〜9とする量、より好ましくは6.8〜7.5とする量である。
尚、本発明の水相のpH値は、25℃にて、pHメーター(堀場製作所製、型番F−22)を用いて、pH測定を行うことができる。
【0019】
本発明に用いる(C)水は、前記(B)成分で中和された(A)成分を溶解させる溶剤として作用する成分である。成分(C)の二層型化粧料中の含有量は、(A)成分の溶解性、安定性の点から、(A)成分の含有量に対して少なくとも等量含有することが好ましい。また、(A)成分の含有量に対して20質量倍以下であることが好ましく、15質量倍以下がより好ましい。具体的に、好ましくは1〜20質量倍、より好ましくは1〜15質量倍である。
【0020】
本発明に用いる(D)多価アルコールとしては、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マンニトール、グルコース、スクロース、フルクトース、キシリトール、ラクトース、マルチトール、トレハロース等が挙げられる。
これらのうち、振盪時の分散性、振盪後の二層への分離のしやすさの点から、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリンが好ましく、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリンがより好ましく、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリンがさらに好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
さらに、これらの(D)多価アルコールのうち、振盪時の分散性、振盪後の二層への分離のしやすさ及び使用感の点から、グリセリンと、他の多価アルコールの1種又は2種以上との組み合わせが好ましく、グリセリンと、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上との組み合わせがより好ましく、グリセリンと、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上との組み合わせがさらに好ましく、グリセリンと、1,3−ブチレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種との組み合わせがさらに好ましい。
【0021】
(D)成分の水相全量に対する含有量は、振盪時の分散性、振盪後の二層への分離のしやすさの点、使用感(べたつき感のなさ)の点から、水相全量100質量部に対して40質量部以上必要であり、好ましくは50〜90質量部、より好ましくは60〜80質量部である。
【0022】
特に振盪時の分散性、振盪後の分離状態の良さ、使用感(べたつき感のなさ)の点から、前述のようにグリセリンと他の多価アルコールとの組み合わせが好ましく、その場合、(D)多価アルコール100質量部中のグリセリンが、40質量部以上であることが好ましく、好ましくは50〜90質量部であり、より好ましくは60〜80質量部であり、さらに好ましくは70〜80質量部である。
【0023】
本発明の二層型化粧料の水相には、前記(A)、(B)、(C)及び(D)以外に必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で通常、化粧料に使用されている他の任意の親水性成分を水相に適宜配合することができる。例えば低級アルコール、水溶性高分子、糖類、水溶性動植物エキス、アミノ酸類、ペプチド類、水溶性ビタミン類、水溶性殺菌・防腐剤、水溶性酸化防止剤、キレート剤等が挙げられる。
【0024】
これら任意の親水性成分のうち、振盪後の分離状態への変化を早くさせるため、低級アルコールを含有させることができる。低級アルコールとしては、炭素数1〜3の飽和1価アルコールが好適に挙げられる。具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールであり、より好ましくはエチルアルコールである。
【0025】
また、振盪後の分離状態への変化を遅くさせるため、水溶性高分子を含有させることができる。水溶性高分子としては、水溶性のカチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子、及び、両性高分子又は双極性高分子等が挙げられる。
【0026】
カチオン性高分子としては、具体的には、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]基を有するヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム−10)、(ビニルピロリドン-ジメチルアミノメチルエチルメタクリレート共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム−11)、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体などが挙げられる。
アニオン性高分子としては、具体的には、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、カラゲーナン、キサンタンガム、ポリスチレンスルホネート、寒天、ガッチガム、カラヤガム、ペクチン、アルギネート塩、同じくアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ポリ(アクリル酸)及び又はアクリル酸、又はメタクリル酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩などのアクリル酸また又はメタクリル酸誘導体、ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩が挙げられる。
非イオン性高分子としては、具体的には、セルロースエーテル(ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、プロピレングリコールアルギネート、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンオキシド)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーゴム、ローカストビーンゴム、アミロース、ヒドロキシエチルアミロース、ヒアルロン酸及びそのアルカリ金属塩、澱粉及び澱粉誘導体及びこれらの混合物などが挙げられる。
両性高分子又は双極性高分子として、具体的には、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−43などが挙げられる。
【0027】
これらの水溶性高分子は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。様々な剤形への応用のしやすさから、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ヒアルロン酸及び又はそのアルカリ金属塩が好ましく挙げられる。
【0028】
本発明の二層型化粧料は、油相中に、(E)油溶性紫外線吸収剤及び(F)液状油を含有する。
【0029】
本発明に用いる(E)油溶性紫外線吸収剤は、水への溶解性が0.01%未満である紫外線吸収剤である。
具体的には、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のパラアミノ安息香酸系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(ユビナールMC80;BASF社製)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン(ユビナールT150;BASF社製)、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(パラソール1789;DSM ニュートリション ジャパン社製)等のベンゾイルメタン系;オクトクリレン(パラソール340;DSM ニュートリション ジャパン社製)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(ソフトシェードDH;味の素社製)、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル(ユビナールAplus;BASF社製)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソーブS;BASF社製)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(チノソーブM;BASF社製)が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0030】
これらのうち、UV防御効果、安定性の点から、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、オクトクリレン、2−(4―ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタンが好ましく、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンからなる群から選択される1種又は2種以上がよりこのましい。
【0031】
本発明で用いる(E)成分の二層型化粧料中における含有量は、紫外線防御効果の点、使用感(べたつき感のなさ)の点から、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、8質量%以上がさらに好ましい。また30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、18質量%以下であることがさらに好ましく、16質量%以下であることがさらに好ましい。
具体的には、(E)成分の二層型化粧料中における含有量は、0.5〜30質量%が好ましく、2〜25質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、8〜18質量%がさらに好ましく、8〜16質量%がよりさらに好ましい。
【0032】
本発明に用いる(F)液状油(但し、(E)成分は除く)は、1気圧下、25℃にて流動性を有する状態の油剤である。
具体的には、α−オレフィンオリゴマー、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;トリオクタン酸グリセリル、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、綿実油、ミンク油等のトリグリセリド;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、安息香酸アルキル(C12〜C15)等のエステル油;2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の分岐又は不飽和の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、フェニルトリメチコン、メチルトリメチコンなどのシリコーン油を挙げることができる。これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0033】
これらのうち、振盪時の分散性、振盪後の分離状態の良さ、使用感(べたつき感のなさ)の点から、好ましくは炭化水素油、IOB値が0.05〜0.8のエステル油及びシリコーン油から選択される1種又は2種以上である。
なお、IOB値とは、Inorganic/organic balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、「IOB値=無機性値/有機性値」として表される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、藤田著、「化学の領域」第11巻、第10号、第719頁〜第725頁、1957年参照)。
【0034】
より好ましくは、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、安息香酸アルキル(C12〜C15)、イソヘキサデカン、スクワラン、水添ポリイソブテン、フェニルトリメチコン、メチルトリメチコン及びジメチルポリシロキサンから選択される1種又は2種以上である。
【0035】
(E)成分と(F)成分の合計含有量は、油溶性紫外線吸収剤の溶解性、振盪後の分離の良さ、安定性の点から、油相全量100質量部に対して85質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、95質量部以上がさらに好ましく、具体的には85〜100質量部が好ましく、90〜100質量部がより好ましく、95〜100質量部がさらに好ましい。
【0036】
本発明の二層型化粧料の油相には、前記(E)及び(F)成分以外に必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で化粧料に使用されている他の任意の親油性成分を油相に適宜配合することができる。例えばロウ、固形炭化水素、固形油脂、高級アルコール、油溶性高分子、界面活性剤、粉体、油溶性動植物エキス、油溶性ビタミン、油溶性殺菌・防腐剤、油溶性酸化防止剤、香料等が挙げられる。
【0037】
本発明において、界面活性剤を配合すると、振盪後に二層分離状態に戻りにくくなる、製剤の透明性が低下する、塗布後にべたつき感を感じやすいという点から、その含有量は、二層型化粧料全量に対して、好ましくは5質量%未満であり、より好ましくは3質量%未満であり、さらに好ましくは2質量%未満であり、さらに好ましくは1質量%未満であり、さらに好ましくは0.5質量%未満であり、さらに好ましくは0.1質量%未満である。尚、本発明には、界面活性剤の含有量が0の場合が含まれる。
【0038】
本発明において、粉体を二層型化粧料中に含有させる場合、その含有量は、製剤の透明性(透明から半透明)、振盪後の分離状態の点から、二層型化粧料全量に対して、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0.8質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以下である。尚、本発明には、粉体の含有量が0の場合が含まれる。
なお、本発明における透明から半透明とは、二層型化粧料をガラス瓶(500mlビーカー、寸法:胴外経92mm、高さ120mm、肉厚2mm)に入れ、水相及び油相のいずれの相においても、ガラス瓶の後ろに置いた8ポイント文字が読み取れる状態をいい、当該文字が読み取れれば、二層型化粧料が色を有していても良い。
【0039】
粉体には、有機粉末や、紫外線散乱剤等の無機粉末、有機粉末に無機粉末を被覆したような複合粉末等が挙げられる。具体的には、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、酸化チタン、酸化鉄などの無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄などの無機赤色系顔料;黄酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、コバルトチタン酸などの無機緑色系顔料;群青、紺青などの無機青色系顔料;酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ酸化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、魚鱗箔、着色酸化チタンコーテッド雲母などのパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダーなどの金属粉末顔料;合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、α−酸化鉄、水和酸化鉄、シリカ、ヒドロキシアパタイトなどの無機粉末;ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、微結晶性セルロース、シリコーンパウダーなどの有機粉末等が挙げられる。また、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛などの紫外線散乱剤や、有機粉末に無機粉末を被覆した複合粉末なども挙げられる。
【0040】
本発明の二層型化粧料の用途は特に限定されるものではないが、経時安定性が高く、使用時の皮膚への塗布感触が良好であることから、皮膚用(頭皮を含む)化粧料として好適に用いることができ、さらにUV防御効果が高いことから、日焼け止め化粧料として好適に用いることができる。
【0041】
本発明の二層型化粧料の製造方法としては、下記(1)〜(4)の工程を含む製造方法が挙げられる。なお、下記(A)〜(F)成分及びその含有量は前述の通りである。
工程1:(A)、(B)及び(C)成分を混合する工程
工程2:(D)成分を工程1の調整物に加え、混合する工程
工程3:(E)及び(F)成分を混合する工程
工程4:工程2の調整物と工程3の調整物を含有質量比が2.5:97.5〜50:50として混合する工程
【0042】
工程1は、(A)スルホン酸基を有する水溶性紫外線吸収剤と(B)塩基性物質を(C)水に溶解混合させる工程である。(A)成分、(B)成分及び(C)成分を室温で混合させることが好ましい。
【0043】
工程2は、工程1の調整物に(D)多価アルコールを均一に混合し、水相を調整する工程である。必要により、任意の親水性成分を(D)成分と共に加えて混合することができる。任意の親水性成分が(C)成分に溶解しにくい成分を含む場合、(D)成分及び任意の親水性成分を室温で混合後、攪拌しながら加熱溶解させることが好ましい。前記加熱溶解させる時の温度は、親水性成分を十分溶解させることができる温度であれば、特に制限されないが、70〜90℃の温度で溶解することが好ましい。水相成分として(C)成分に溶解しにくい成分を含まない場合は、室温(20〜35℃)で均一に混合することが好ましい。
【0044】
工程3は、(E)油溶性紫外線吸収剤と(F)液状油を均一に混合し、油相を調整する工程である。必要により、任意の親油性成分を(E)成分、(F)成分と共に混合して油相を調整することができる。成分(E)が室温で固形の油溶性紫外線吸収剤を含む場合や任意の親油性成分が室温で固形の成分を含む場合、(E)成分、(F)成分及び任意の親油性成分を常温で混合後、攪拌しながら加熱溶解させる、又は(E)成分、(F)成分及び任意の親油性成分をそれぞれ加熱溶解してから混合させることが好ましい。前記加熱溶解させる時の温度は、固形の(E)成分や親油性成分を十分溶解させることができる温度であれば、特に制限されないが、70〜90℃の温度で溶解することが好ましい。油相成分として固形の(E)成分や親油性成分を含まない場合は、室温(20〜35℃)で均一に混合することが好ましい。
【0045】
工程4は、工程2で得られた水相と工程3で得られた油相を、含有質量比が2.5:97.5〜50:50の範囲で均一に混合する工程である。工程2又は工程3で加熱溶解を行った場合、室温(20〜35℃)まで攪拌しながら冷却し、その後、工程2で得られた水相と工程3で得られた油相を前記質量比で混合し、室温(20〜35℃)で均一に混合することが好ましい。また、工程4で得られた調整物は、適宜容器に充填される。
【0046】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の二層型化粧料を開示する。
【0047】
〔1〕水相中に下記(A)〜(D)成分を含有し、油相中に下記(E)成分及び(F)成分を含有し、水相と油相の含有質量比が2.5:97.5〜50:50である二層型化粧料。
(A)スルホン酸基を有する水溶性紫外線吸収剤
(B)塩基性物質
(C)水
(D)水相全量100質量部に対し40質量部以上の多価アルコール
(E)油溶性紫外線吸収剤
(F)液状油
【0048】
〔2〕成分(A)が、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びテレフタリリデンジカルボン酸から選ばれるものであり、好ましくはフェニルベンズイミダゾールスルホン酸である〔1〕記載の二層型化粧料。
〔3〕成分(A)の二層型化粧料中における含有量が、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、また10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である〔1〕又は〔2〕記載の二層型化粧料。
〔4〕成分(A)の二層型化粧料中における含有量が、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.3〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜3質量%である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔5〕成分(B)が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アミン塩又は塩基性アミノ酸塩を形成する物質であり、好ましくはナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン、アルギニン又はトリスヒドロキシメチルアミノメタンの塩を形成する物質である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔6〕(B)成分の二層型化粧料中の含有量が、好ましくは、二層型化粧料の水相のpH値を6.8以上とする量が好ましく、またpH値の上限を9以下とする量が好ましく、pH値を7.5以下とする量がより好ましく、さらに好ましくはpH値を6.8〜9とする量、さらに好ましくはpH値を6.8〜7.5とする量である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔7〕成分(C)の二層型化粧料中の含有量が、好ましくは(A)成分の含有量に対して少なくとも等量、より好ましくは1〜20質量倍、さらに好ましくは1〜15質量倍である〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載に二層型化粧料。
〔8〕(D)成分が、好ましくはプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マンニトール、グルコース、スクロース、フルクトース、キシリトール、ラクトース、マルチトール及びトレハロースから選ばれる1種又は2種以上、より好ましくはプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上、さらに好ましくは1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔9〕(D)成分が、好ましくはグリセリンと、プロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ヘキシレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上との組み合わせ、より好ましくはグリセリンと、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、イソプレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上との組み合わせである〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔10〕(D)多価アルコール100質量部中のグリセリンの含有量が、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50〜90質量部、さらに好ましくは60〜80質量部、さらに好ましくは70〜80質量部である〔9〕記載の二層型化粧料。
〔11〕(D)成分の水相全量に対する含有量が、水相全量100質量部に対して好ましくは50〜90質量部、より好ましくは60〜80質量部である〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔12〕(E)成分が、好ましくは、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、オクトクリレン、2−(4―ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン及び4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタンから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ジメチコジエチルベンザルマロネート、オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン及び4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンからなる群から選択される1種又は2種以上である〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔13〕(E)成分の二層型化粧料中における含有量が、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは8質量%以上であり、また好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは16質量%以下である〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔14〕(E)成分の二層型化粧料中における含有量が、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは2〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%、さらに好ましくは8〜18質量%、さらに好ましくは8〜16質量%である〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔15〕(F)成分が、炭化水素油、トリグリセリド、脂肪酸、エステル油、高級アルコール及びシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上である〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔16〕(F)成分が、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、イソヘキサデカン、スクワラン、水添ポリイソブテン、フェニルトリメチコン、メチルトリメチコン及びジメチルポリシロキサンから選択される1種又は2種以上である〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔17〕(E)成分と(F)成分の合計含有量が、油相全量100質量部に対して好ましく85質量部以上、より好ましくは90質量部以上、さらに好ましくは95質量部以上である〔1〕〜〔16〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔18〕(E)成分と(F)成分の合計含有量が、油相全量100質量部に対して好ましくは85〜100質量部、より好ましくは90〜100質量部、さらに好ましくは95〜100質量部である〔1〕〜〔17〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔19〕水相と油相の含有質量比が、好ましくは15:85〜45:55、より好ましくは20:80〜40:60である〔1〕〜〔18〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔20〕界面活性剤の含有量が二層型化粧料全量に対して、好ましくは5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、さらに好ましくは2質量%未満、さらに好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、さらに好ましくは0.1質量%未満である〔1〕〜〔19〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔21〕粉体の含有量が、二層型化粧料全量に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%、さらに好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である〔1〕〜〔20〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔22〕静置時には水相と油相の二層に分離しており、使用時に振盪して使用される化粧料である〔1〕〜〔21〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔23〕日焼け止め化粧料である〔1〕〜〔22〕のいずれかに記載の二層型化粧料。
〔24〕下記工程1〜4を含む二層型化粧料の製造方法。
工程1:(A)スルホン酸基を有する水溶性紫外線吸収剤、(B)塩基性物質及び(C)水を混合する工程
工程2:(D)水相全量100質量部に対し40質量部以上の多価アルコールを工程1の調整物に加え、混合する工程
工程3:(E)油溶性紫外線吸収剤及び(F)液状油を混合する工程
工程4:工程2の調整物と工程3の調整物を含有質量比が2.5:97.5〜50:50として混合する工程
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。まず、実施例及び比較例で用いた試験方法について下記に説明する。
【0050】
(1)UV防御能
PMMA板上に2層型化粧料の各試料を1.3mg/cm
2になるように均一に塗布し、15分間自然乾燥させた。その後、試料塗布したPMMA板に一定の距離(10mm)から紫外線を照射した。その際の透過紫外線をSPFアナライザー(Optometices社)で290〜400nmの範囲でPMMA板上の10箇所以上において検出し、平均化したスペクトルを得て、SPF値を算出した。
〔UV防御能の評価基準〕
○:20以上
△:10以上20未満
×:10未満
【0051】
(2)振盪後の分離状態
2層型化粧料をよく振盪し、15分間静置した際の油相と水相の分離度合いについて目視にて評価を行った。
〔振盪後の分離状態判定基準〕
○:油相と水相が分かれていて、界面が完全に分離している
△:油相と水相が分かれているが、界面は完全に分離していない
×:油相と水相が分かれていない
【0052】
(3)低温での結晶析出有無
2層型化粧料を、0℃で1ヶ月保存した後、結晶析出の有無を顕微鏡観察により確認した。
[評価基準]
○:全く結晶析出が認められなかった。
×:試験品に結晶の析出が認められた。
【0053】
(4)紫外光による水相の着色有無
2層型化粧料をキセノンウェザーメーターを用いて25℃で2万KJ/m
2の光を照射した後、水相の外観の色味を目視にて観察した。
[評価基準]
○:水相に着色が見られなかった。
×:水相に着色が認められた。
【0054】
(5)使用感(べたつき感のなさ)
2層型化粧料を専門パネラー15名に使用してもらった。塗布時の使用感として「塗布後のべたつき感のなさ」に関して、以下の評価基準及び判定基準に基づき、評価と判定を行った。
〔評価基準:塗布後のべたつき感のなさ〕
○:専門パネラー10名以上が塗布後にべたつき感がないと認めた。
△:専門パネラー4名以上10名未満が塗布後にべたつき感がないと認めた。
×:専門パネラー4名未満が塗布後にべたつき感がないと認めた。
【0055】
実施例1〜11、比較例1〜8
表1に記載の組成で二層型化粧料を調製し、前記の官能試験を実施した。なお、試料の水相のpHは、7.2に調整している。
【0056】
【表1】
【0057】
製造方法:
成分1〜3を室温にて混合し、溶解させ、次いで成分4〜6を室温で加えて均一になるまで撹拌し、水相とした。一方で、成分7〜22を80℃に加温し溶解させ、室温まで攪拌しながら冷却し、油相とした。得られた水相と油相を室温にて混合し、二層型化粧料を得た。
【0058】
油相一層の化粧料である比較例1では、UV防御効果が低く、低温での結晶析出が確認され、べたつき感が強いものであった。水相一層の化粧料である比較例2では、UV防御効果が低く、日光による着色が確認され、べたつき感が強いものであった。
一方、二層型化粧料とし、本発明の構成を満たす実施例1〜11では、UV防御効果に優れ、振盪後の分離状態も良好で、低温での結晶析出もなく、日光による着色も確認されず、使用感(べたつき感のなさ)も良好なものであった。また、いずれの二層型化粧料も透明性を有し、審美性に優れたものであった。
さらに(A)成分及び(B)成分、(D)成分、(F)成分、(E)成分のいずれかを含有していない比較例3、4、6、7においては、UV防御効果、振盪後の分離状態、低温での結晶析出、日光による着色、使用感のいずれかが悪いものであった。多価アルコールの水相中の含有比が少ない比較例5では、振盪後の分離状態が悪く、べたつき感の強いものであった。水相と油相の比率が本願発明の範囲外である比較例8では、UV防御効果が低く、べたつき感の強いものであった。
【0059】
以下、本発明の処方例を記載する。いずれの処方も本発明の効果を備え、二層型化粧料として優れたものである。なお、処方例の水相のpHは、7.2に調整している。
【0060】
処方例1〜3(二層型サンオイル)
【0061】
【表2】
【0062】
製造方法:
成分1〜3及び8を室温にて混合し、溶解させ、次いで成分4〜7及び9を加えて均一になるまで撹拌し、水相とした。一方で、成分10〜16を80℃に加温し溶解させ、室温まで冷却した後、更に成分17〜21を加えて均一になるまで撹拌し、油相とした。得られた水相と油相を混合し、二層型サンオイルとする。