(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504595
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】集荷量調整支援装置、集荷量調整支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20190415BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-257645(P2014-257645)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-118895(P2016-118895A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年11月8日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度補正予算、農林水産省「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業(うち産学の英知を結集した革新的な技術体系の確立)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】特許業務法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】野田 潤
【審査官】
渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−269194(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/178097(WO,A1)
【文献】
特開平10−222558(JP,A)
【文献】
特開2006−36478(JP,A)
【文献】
特開2004−1909(JP,A)
【文献】
特開平5−73573(JP,A)
【文献】
特開2001−106310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
B65G 61/00
B65G 1/137
G06F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集出荷場で収集される農産物の集荷量の調整を支援するための装置であって、
前記集出荷場に納入された農産物の納入量を取得する、データ取得部と、
取得された前記納入量に係数を乗算し、得られた乗算値を、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量として推定する、ルールを、取得された前記納入量に適用して、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量を推定する、集荷量予測部と、
推定された前記出荷可能な農産物の量を外部に通知する、データ通知部と、
を備え、
前記データ取得部が、更に、納入された前記農産物に対する調製作業において出荷可能と判断された農産物の量である集荷量を取得し、
前記集荷量予測部が、新たに農産物が納入される度に、前記集荷量と前記納入量との比率を算出し、更に算出した前記比率全ての平均値を算出し、算出した前記平均値に基づいて、前記係数を更新することによって、前記ルールを更新する、
ことを特徴とする集荷量調整支援装置。
【請求項2】
前記ルールがカテゴリ毎に設定されており、
前記集荷量予測部が、前記カテゴリ毎に、前記出荷可能な農産物の量の推定と、前記ルールの更新とを実行する、
請求項1に記載の集荷量調整支援装置。
【請求項3】
前記集荷量予測部が、設定された期間中において、取得された前記集荷量と、前記調製作業が行なわれていない農産物について推定した前記出荷可能な農産物の量と、を用いて、前記設定された期間における出荷量を推定し、
前記データ通知部が、更に、推定された前記出荷量を外部に通知する、
請求項1または2に記載の集荷量調整支援装置。
【請求項4】
前記集荷量予測部が、推定した前記出荷量と、予め設定されている予定出荷量とを比較し、
前記データ通知部が、更に、推定した前記出荷量と前記予定出荷量との比較の結果を外部に通知する、
請求項3に記載の集荷量調整支援装置。
【請求項5】
集出荷場で収集される農産物の集荷量の調整を支援するための方法であって、
(a)コンピュータによって、前記集出荷場に納入された農産物の納入量を取得する、ステップと、
(b)前記コンピュータによって、取得された前記納入量に係数を乗算し、得られた乗算値を、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量として推定する、ルールを、前記(a)のステップで取得された前記納入量に適用して、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量を推定する、ステップと、
(c)前記コンピュータによって、前記(b)のステップで推定された前記出荷可能な農産物の量を外部に通知する、
ステップと、
(d)前記コンピュータによって、納入された前記農産物に対する調製作業において出荷可能と判断された農産物の量である集荷量を取得する、ステップと、
(e)前記コンピュータによって、新たに農産物が納入される度に、前記(d)のステップで取得された前記集荷量と前記(a)のステップで取得された前記納入量との比率を算出し、更に算出した前記比率全ての平均値を算出し、算出した前記平均値に基づいて、前記係数を更新することによって、前記ルールを更新する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする集荷量調整支援方法。
【請求項6】
前記ルールがカテゴリ毎に設定されており、
前記(b)のステップにおいて、前記カテゴリ毎に、前記出荷可能な農産物の量を推定し、
前記(e)のステップにおいて、前記カテゴリ毎に、前記ルールを更新する、
請求項5に記載の集荷量調整支援方法。
【請求項7】
(f)前記コンピュータによって、設定された期間中において、前記(d)のステップで取得された前記集荷量と、前記調製作業が行なわれていない農産物について、前記(b)のステップで推定した前記出荷可能な農産物の量と、を用いて、前記設定された期間における出荷量を推定する、ステップと、
(g)前記(f)のステップで推定された前記出荷量を外部に通知する、ステップと、
を更に有する、請求項5または6に記載の集荷量調整支援方法。
【請求項8】
(h)前記コンピュータによって、前記(f)のステップで推定された前記出荷量と、予め設定されている予定出荷量とを比較する、ステップと、
(i)前記コンピュータによって、前記(h)のステップで得られた比較の結果を外部に通知する、ステップと、
を更に有する、請求項7に記載の集荷量調整支援方法。
【請求項9】
コンピュータによって、集出荷場で収集される農産物の集荷量の調整を支援するための、プログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記集出荷場に納入された農産物の納入量を取得する、ステップと、
(b)取得された前記納入量に係数を乗算し、得られた乗算値を、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量として推定する、ルールを、前記(a)のステップで取得された前記納入量に適用して、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量を推定する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで推定された前記出荷可能な農産物の量を外部に通知する、ステップと、
(d)納入された前記農産物に対する調製作業において出荷可能と判断された農産物の量である集荷量を取得する、ステップと、
(e)新たに農産物が納入される度に、前記(d)のステップで取得された前記集荷量と前記(a)のステップで取得された前記納入量との比率を算出し、更に算出した前記比率全ての平均値を算出し、算出した前記平均値に基づいて、前記係数を更新することによって、前記ルールを更新する、ステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項10】
前記ルールがカテゴリ毎に設定されており、
前記(b)のステップにおいて、前記カテゴリ毎に、前記出荷可能な農産物の量を推定し、
前記(e)のステップにおいて、前記カテゴリ毎に、前記ルールを更新する、
請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータに、
(f)設定された期間中において、前記(d)のステップで取得された前記集荷量と、前記調製作業が行なわれていない農産物について、前記(b)のステップで推定した前記出荷可能な農産物の量と、を用いて、前記設定された期間における出荷量を推定する、ステップと、
(g)前記(f)のステップで推定された前記出荷量を外部に通知する、ステップと、
を更に実行させる、請求項9または10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、
(h)前記(f)のステップで推定された前記出荷量と、予め設定されている予定出荷量とを比較する、ステップと、
(i)前記(h)のステップで得られた比較の結果を外部に通知する、ステップと、
を更に実行させる、請求項11に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物の集荷場等での集荷量の調整を支援し得る、集荷量調整支援装置、集荷量調整支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農業分野においては、農産物の出荷業務の効率化を図るため、生産者によって形成された生産者団体によって出荷業務が行なわれている。また、このような生産者団体による出荷業務を支援するため、例えば、特許文献1は、出荷先の求める出荷量及び出荷時期と、生産者における収穫量及び収穫時期との間にズレが生じた場合に、実際の出荷量を調整する、システムを開示している。
【0003】
また、近年においては、生産者団体が、大口の実需者と契約するケースが増加している。このようなケースでは、生産者団体は、実需者への契約出荷量を確保するため、各生産者の収量を相互に補完する運営を行なっている。具体的には、生産者団体が管理する集出荷場の管理者が、当該団体に加盟する生産者からの農産物の集荷量を調整するため、電話などの通信手段を用いて、各生産者に対して収穫及び集荷を指示している。なお、管理者には、農業指導を行なう指導員、集荷場の運営者、生産者等も含まれる。
【0004】
ところで、一般に、生産者によって集出荷場に納入される農産物の中には、出荷基準(傷の有無、虫食いの有無、サイズ、色等)に適合していないものがある。従って、集出荷場では、納入された農産物の中から、出荷基準を満たさないものを廃棄する調製作業が実施され、出荷基準に適合する農産物の量のみが集荷量としてカウントされる。このため、管理者は、調製作業によって廃棄される量(廃棄量)を予測して、集荷量を調整する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−222558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、廃棄量の予測は、実際のところ、管理者の経験と勘に頼っているため、集荷量の調整が困難になる場合がある。例えば、例年よりも降雨量が多かった年では、野菜が育ちすぎてしまい、通常よりも、納入量に対する廃棄量の割合が高くなり、集荷調整がうまくいかない事態が発生することがある。
【0007】
また、上記特許文献1に開示されたシステムでは、このような事態に対処することは、不可能である。このため、納入量から集荷量を正確に予測できるシステムの開発が求められている。
【0008】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、生産者から納入された農産物の量から、出荷基準を満たす農産物の量を予測し得る、集荷量調整支援装置、集荷量調整支援方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における集荷量調整支援装置は、集出荷場で収集される農産物の集荷量の調整を支援するための装置であって、
前記集出荷場に納入された農産物の納入量を取得する、データ取得部と、
取得された前記納入量に設定されたルールを適用して、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量を推定する、集荷量予測部と、
推定された前記出荷可能な農産物の量を外部に通知する、データ通知部と、
を備えている、ことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における集荷量調整支援方法は、集出荷場で収集される農産物の集荷量の調整を支援するための方法であって、
(a)前記集出荷場に納入された農産物の納入量を取得する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで取得された前記納入量に設定されたルールを適用して、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量を推定する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで推定された前記出荷可能な農産物の量を外部に通知する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする。
【0011】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、コンピュータによって、集出荷場で収集される農産物の集荷量の調整を支援するための、プログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記集出荷場に納入された農産物の納入量を取得する、ステップと、
(b)前記(a)のステップで取得された前記納入量に設定されたルールを適用して、納入された前記農産物のうちの出荷可能な農産物の量を推定する、ステップと、
(c)前記(b)のステップで推定された前記出荷可能な農産物の量を外部に通知する、ステップと、
を実行させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、生産者から納入された農産物の量から、出荷基準を満たす農産物の量を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置の推定集荷量の算出処理時での動作を示すフロー図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置の推定出荷量の算出処理時での動作を示すフロー図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態において管理者端末の画面に表示される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における、集荷量調整支援装置、集荷量調整支援方法、及びプログラムについて、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
【0015】
[装置構成]
最初に、本実施の形態における集荷量調整支援装置の構成について
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示す本実施の形態における集荷量調整支援装置は、集出荷場で収集される農産物の集荷量の調整を支援するための装置である。また、本実施の形態において、「農産物の集荷量の調整」とは、複数の生産者から集荷場に集められる農産物の量が、予定している量に到達するように、集荷場の管理者が、各生産者との間で連絡をとって、各生産者が集荷場に持ち込む農産物の量を調整することをいう。
【0017】
図1に示すように、集荷量調整支援装置10は、データ取得部11と、集荷量予測部12と、データ通知部13とを備えている。このうち、データ取得部11は、集出荷場に納入された農産物の納入量を取得する。
【0018】
また、集荷量予測部12は、取得された納入量に、設定されたルールを適用して、納入された農産物のうちの出荷可能な農産物の量(以下「推定集荷量」と表記する。)を推定する。データ通知部13は、推定集荷量を外部に通知する。
【0019】
このように、集荷量調整支援装置10によれば、生産者から納入された農産物の量から、出荷基準を満たす農産物の量を予測することができる。この結果、管理者は、予測された農産物の量を参考に集荷量の調整を行なうことができるので、集荷量の調整がうまくいかない事態の発生が抑制される。
【0020】
なお、本実施の形態における農産物の「量」は、Kgといった質量の単位、又はm
3といった体積の単位で表されていても良いし、集荷場等に使用されているバケット等の容器の個数で表されていても良い。
【0021】
ここで、
図1に示す集荷量調整支援装置10について更に具体的に説明する。本実施の形態では、
図1に示すように、集荷量調整支援装置10は、生産者の端末(以下「生産者端末」と表記する)20と、集荷場の管理者の端末(以下「管理者端末」と表記する)30とに、ネットワーク(
図1において図示せず)を介して接続されている。
【0022】
また、本実施の形態では、集荷量調整支援装置10は、集荷場の管理用のコンピュータ40(以下「管理コンピュータ40」と表記する。)にも、ネットワーク(
図1において図示せず)を介して接続されている。管理コンピュータ40は、集荷場において、農産物の納入量、集荷量といったデータの入力及び管理に用いられている。
【0023】
なお、「集荷量」とは、納入された農作物に対する調製作業において出荷可能と判断された農産物の量をいう。また、調製作業における出荷可能かどうかの判断は、例えば、農産物の種類、生産時期、出荷先等に応じて予め設定された出荷基準に基づいて行なわれる。
【0024】
また、本実施の形態では、データ取得部11は、管理コンピュータ40から、納入量を取得する。更に、データ取得部11は、管理コンピュータ40から集荷量も取得する。取得された納入量及び集荷量は、集荷量予測部12に出力される。
【0025】
集荷量予測部12は、上述したように、ルールに基づいて、推定集荷量を推定し、推定集荷量をデータ通知部13に出力する。そして、データ通知部13は、管理者端末30に、推定集荷量を通知する。これにより、管理者は、推定集荷量を知ることができるので、集荷量の調整を円滑に進めることができる。
【0026】
また、本実施の形態においては、ルールは、カテゴリ毎に設定されていても良い。この場合、集荷量予測部12は、カテゴリ毎に、推定集荷量を推定する。カテゴリとしては、農産物の種類、生産時期、出荷先、生産者、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。これは出荷基準に適合せずに廃棄される量の割合は、農産物の種類、生産時期、出荷先、更には生産者によって異なるからである。
【0027】
ルールの具体例としては、例えば、「納入量に換算係数kを乗算し、得られた値を、推定集荷量として推定する」ことを規定したルールが挙げられる。この場合、換算係数kは、集荷場の管理者によって、過去の実績等に基づいて適宜設定される。また、ルールがカテゴリ毎に設定される場合は、換算係数kが、種類毎、出荷先毎、生産者毎、又はこれらの任意の組み合わせ毎に設定される。また、どのカテゴリのルールを適用するべきかの判断は、あらかじめ管理者によって運用に先立って行なわれてもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、集荷量予測部12は、更に、集荷量と納入量とに基づいて、ルールを更新することができる。例えば、上述の換算係数kを用いたルールが採用されているとすると、集荷量予測部12は、集荷量と納入量との比率を算出し、算出した比率に基づいて、換算係数kを更新する。
【0029】
具体的には、例えば、ルールの更新が、生産者から農産物が納入される度に行なわれるとすると、集荷量予測部12は、算出された比率を、そのまま換算係数kとして用いることで更新を実行する。また、ルールの更新が、集荷場での営業終了後に行なわれるとすると、集荷量予測部12は、農産物が納入される度に算出した比率全ての平均値を算出し、算出した平均値を換算係数kとして用いることで更新を実行する。
【0030】
更に、ルールの更新は、月単位などの設定期間毎に行なわれていても良い。この場合は、集荷量予測部12は、設定期間における納入量の総和と、同じく設定期間における集荷量の総和との比率を算出し、この比率を更新後の換算係数kとすることができる。
【0031】
このようにして更新された換算係数kは、実際に納入された農産物の納入時の量と、実際の調製作業後の実際の量とに基づいた値となるため、推定集荷量の精度の向上が図られることになる。
【0032】
また、ルールがカテゴリ毎に設定されている場合は、集荷量予測部12は、カテゴリ毎に、ルールを更新する。つまり、換算係数kが、上述したように、種類毎、出荷先毎、生産者毎、又はこれらの任意の組み合わせ毎に設定されている場合は、換算係数kの更新は、種類毎、出荷先毎、生産者毎、又はこれらの任意の組み合わせ毎に行なわれる。
【0033】
また、本実施の形態では、集荷量予測部12は、設定された期間中において、データ取得部11で取得された集荷量と、未だ調製作業が行なわれていない農産物について推定した推定集荷量と、を用いて、設定された期間における出荷量(以下「推定出荷量」)を推定することができる。
【0034】
具体的には、設定された期間としては、1日の営業開始から営業終了までの期間が挙げられる。この場合、集荷量予測部12は、設定時刻毎に、その時点までにデータ取得部11で取得された集荷量と、その時点までに調製作業が行なわれていない農産物の推定集荷量とを合計し、得られた合計値を、推定出荷量とする。また、集荷量予測部12は、推定出荷量をデータ通知部13に出力する。
【0035】
また、集荷量予測部12は、推定した推定出荷量と、予め設定されている予定出荷量とを比較することができる。「予定出荷量」は、集荷場を運営する生産者団体と市場の実需者との間で予め取り決められている出荷量である。集荷量予測部12は、比較を行なった場合は、比較結果もデータ通知部13に出力する。
【0036】
データ通知部13は、生産者端末20及び管理者端末30の両方に、推定出荷量と比較結果とを通知する。これにより、管理者及び生産者は、農産物の出荷量が予定出荷量に到達するかどうかを簡単に予想できるので、集荷量の調整作業の失敗を容易に回避することができる。
【0037】
また、データ通知部13は、換算係数kを生産者端末20に送信することもできる。この態様では、換算係数kが生産者にフィードバックされることになるので、生産者は納入量として適切な量を学習することができる。このため、生産者自身による自律的な納入量の調整が期待でき、結果として納入量過不足の発生頻度を抑制する効果も期待できる。
【0038】
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置の動作について
図2〜
図4を用いて説明する。また、本実施の形態では、集荷量調整支援装置10を動作させることによって、集荷量調整支援方法が実施される。よって、本実施の形態における集荷量調整支援方法の説明は、以下の集荷量調整支援装置の動作説明に代える。
【0039】
まず、推定集荷量の算出処理について
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置の推定集荷量の算出処理時での動作を示すフロー図である。
【0040】
図2に示すように、最初に、集荷量予測部12は、農産物が納入されたかどうかを判定する(ステップA1)。具体的には、集荷量予測部12は、データ取得部11によって、新たに納入された農産物の納入量が取得されているかどうかを判定する。
【0041】
ステップA1の判定の結果、農作物が納入されていない場合は、集荷量予測部12は、待機状態となり、設定時間の経過後に、再度ステップA1を実行する。一方、ステップA1の判定の結果、農作物が納入されている場合は、集荷量予測部12は、データ取得部11によって取得された納入量に、ルールを適用して、具体的には、換算係数kを乗算して、推定集荷量を算出する(ステップA2)。
【0042】
次に、集荷量予測部12は、データ通知部13に対して、算出した推定集荷量を出力し、管理者端末30に推定集荷量を通知させる(ステップA3)。
【0043】
次に、集荷量予測部12は、ステップA1からA3の対象となった農産物についての集荷量が管理コンピュータ40に入力されているかどうかを判定する(ステップA4)。具体的には、集荷量は、管理コンピュータ40に入力されると、データ取得部11によって取得されるので、集荷量予測部12は、データ取得部11によって、集荷量が取得されているかどうかを判定する。
【0044】
ステップA4の結果、集荷量が管理コンピュータ40に入力されていない場合は、集荷量予測部12は、待機状態となり、設定時間の経過後に、再度ステップA4を実行する。一方、ステップA4の結果、集荷量が管理コンピュータ40に入力されている場合は、集荷量予測部12は、ルールを更新する(ステップA5)。
【0045】
具体的には、ステップA5では、集荷量予測部12は、データ取得部11によって取得された集荷量と納入量との比率を算出し、算出した比率を、新たな換算係数kとして、ルールを更新する。
【0046】
以上のステップA1〜A5が実行されると、管理者は、納入された農産物の推定集荷量を知ることができるので、これを参考にして集荷量の調整を行なうことができる。この結果、集荷量の調整がうまくいかない事態の発生が抑制される。
【0047】
続いて、推定出荷量の算出処理について
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置の推定出荷量の算出処理時での動作を示すフロー図である。
【0048】
図3に示すように、最初に、集荷量予測部12は、設定時刻にとなると、営業開始から現在までの間にデータ取得部11で取得された集荷量の合計を算出する(ステップB1)。
【0049】
次に、集荷量予測部12は、ステップB1で算出した集荷量の合計と、未だ調製作業が行なわれていない農産物について算出した推定集荷量とを合算し、推定出荷量を算出する(ステップB2)。
【0050】
次に、集荷量予測部12は、ステップB2で算出した推定出荷量と予め設定されている予定出荷量とを比較する(ステップB3)。そして、集荷量予測部12は、推定出荷量と予定出荷量との比較結果をデータ通知部13に出力する。
【0051】
次に、データ通知部13は、生産者端末20及び管理者端末30の両方に、推定出荷量予定出荷量と比較結果との比較結果を通知する(ステップB4)。ステップB4が実行されると、生産者端末20及び管理者端末30それぞれの画面には、推定出荷量と予定出荷量との比較結果が表示される。
【0052】
図4は、本発明の実施の形態において管理者端末の画面に表示される情報の一例を示す図である。
図4の例では、管理者端末の画面には、農産物の品目毎に、各生産者の納入量が時系列で表示されると共に、予定出荷量と、設定時刻毎に算出された推定出荷量とが表示される。なお、
図4において、「ほうれんそう」が選択されている。また、
図4において、A〜Eは、生産者からの集荷量を示している。
【0053】
このように、以上のステップB1〜B4が実行されると、管理者は、一目で集荷量の調整がどのような状態にあるかを把握することができる。このため、集荷量の調整作業の失敗は容易に回避される。
【0054】
[プログラム]
本発明の実施の形態におけるプログラムは、コンピュータに、
図2に示すステップA1〜A5、
図3に示すB1〜B4を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施の形態における集荷量調整支援装置と集荷量調整支援方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、データ取得部11、集荷量予測部12、及びデータ通知部13として機能し、処理を行なう。
【0055】
ここで、本実施の形態におけるプログラムを実行することによって、集荷量調整支援装置10を実現するコンピュータについて
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の実施の形態における集荷量調整支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0056】
図5に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。
【0057】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0058】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0059】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0060】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記憶媒体、又はCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明によれば、集荷場において、生産者から納入された農産物の量から、出荷基準を満たす農産物の量を予測することができる。本発明は、生産者及び生産時期の特性を考慮して出荷基準を満たす量を予測する特徴を有し、農業分野に有用である。
【符号の説明】
【0062】
10 集荷量調整支援装置
11 データ取得部
12 集荷量予測部
13 データ通知部
20 生産者端末
30 管理者端末
40 管理コンピュータ
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス