特許第6504666号(P6504666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504666
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】電動モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20190415BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20190415BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20190415BHJP
【FI】
   H02K11/33
   B62D5/04
   H02K11/215
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-48966(P2016-48966)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-163809(P2017-163809A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】砥川 真一
(72)【発明者】
【氏名】中村 健信
(72)【発明者】
【氏名】林 雅明
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−106376(JP,A)
【文献】 特開2004−135492(JP,A)
【文献】 特開2012−92747(JP,A)
【文献】 特開2008−100618(JP,A)
【文献】 特開2016−34205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/33
B62D 5/04
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータが実装された筐体と、
前記筐体の前記電動モータと反対側に係合された蓋体と、
前記筐体と前記蓋体との係合により形成された収納空間に収納され、前記電動モータを駆動する駆動回路および該駆動回路を制御する制御回路が実装された基板と、
前記基板に実装され、前記電動モータの回転軸の回転を検出する回転センサと、
前記駆動回路または前記制御回路に外部装置を電気的に接続するための入出力コネクタと、を備えた電動モータ制御装置において、
前記基板は、
該基板の板面と平行な方向に隣接した第1絶縁体と金属体とから成る第1層と、
前記第1絶縁体より熱伝導率が高い第2絶縁体から成る第2層と、を有し、
前記第2層の前記第2絶縁体上における、前記第1絶縁体と対応する領域に、前記回転センサが実装され、
前記第2層の前記第2絶縁体上における、前記金属体と対応する領域に、前記駆動回路に含まれる発熱電子部品が実装されている、ことを特徴とする電動モータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動モータ制御装置において、
前記筐体または前記蓋体は、前記基板の前記第2絶縁体より熱伝導率が高い金属から成り、
前記基板の前記金属体は、前記筐体または前記蓋体に熱的に接続されている、ことを特徴とする電動モータ制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電動モータ制御装置において、
前記基板は、前記第2層が前記電動モータ側を向き、前記第1層が前記電動モータと反対側を向くように、前記収納空間に収納され、
前記回転センサは、前記収納空間へ突出した前記電動モータの回転軸と対向している、ことを特徴とする電動モータ制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電動モータ制御装置において、
前記金属体の前記第2絶縁体と反対側を向いた表面が、前記蓋体に形成された前記電動モータ側を向く熱接触面と熱的に接触するように、前記基板が前記蓋体に固定されている、ことを特徴とする電動モータ制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電動モータ制御装置において、
前記基板は、前記電動モータの回転軸に対して垂直な姿勢で前記収納空間に配置され、
前記入出力コネクタの嵌合部は、前記蓋体の前記電動モータと反対側の外面から露出し、
前記入出力コネクタの端子の一端部は、前記嵌合部へ突出し、他端部は前記基板上の前記駆動回路または前記制御回路に電気的に接続されている、ことを特徴とする電動モータ制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電動モータ制御装置において、
前記基板は、該基板の板厚方向に前記第1絶縁体と前記第2絶縁体とを貫通するスルーホールをさらに有し、
前記入出力コネクタの端子の他端部は、前記スルーホールに挿入された状態で前記基板に接続されている、ことを特徴とする電動モータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの駆動を制御する電動モータ制御装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、車両に搭載される電動パワーステアリングシステムには、電動モータの駆動を制御する電動モータ制御装置が設けられている。この電動モータ制御装置には、たとえば特許文献1〜4に開示されているように、電動モータを駆動する駆動回路、該駆動回路を制御する制御回路、外部装置と電気的に接続するための入出力コネクタ、および上記回路を収納する筐体や蓋体などが備わっている。
【0003】
自動車などの車両には、エンジンなどの走行系の他に、様々な電子装置や電子部品が搭載されている。その車両の軽量化や小型化などの実現のため、電動パワーステアリングシステムに含まれる電動モータ制御装置にも小型化が求められている。また、電動モータの駆動回路には発熱量の大きい発熱電子部品が含まれているため、該発熱電子部品で発生した熱を放熱する対策も求められている。
【0004】
そのため、特許文献1では、駆動回路に含まれるスイッチング素子などの発熱電子部品が、金属基板に実装されている。制御回路は第1プリント基板に実装されている。フィルタ回路などのその他の電気回路や電子部品は、第2プリント基板に実装されている。電動モータは筐体(ハウジング)の一方側に実装されている。筐体の他方側に蓋体が係合されることにより、収納空間が形成され、該収納空間に上記3枚の基板が収納されている。収納空間において、金属基板の部品が実装されていない一方の面が筐体の内平面と対向するように、金属基板は筐体内に固定されている。金属基板の他方の面側には、第1プリント基板が配置され、第1プリント基板の金属基板と反対側には、第2プリント基板が配置されている。各基板は、基板接続端子により電気的に接続されている。
【0005】
特許文献2では、駆動回路が第1の基板と第2の基板とに分割して実装されている。第1の基板と第2の基板とは、中継部材に保持された接続端子により電気的に接続されている。制御回路は第3の基板に実装されている。第3の基板の、第1の基板および第2の基板と対向しない一方の面には、回転センサが実装されている。筐体(モータカバー)の電動モータと反対側に蓋体(ユニットカバー)を係合することにより収納空間が形成され、該収納空間に上記3枚の基板と中継部材とが収納されている。収納空間において、第1の基板の駆動回路が実装されていない一方の面が蓋体の内平面に対向するように、第1の基板は蓋体内に固定されている。第2の基板は、中継部材および第1の基板を介して、蓋体内に固定されている。第3の基板は、蓋体内に設けられた複数の台座に固定されている。
【0006】
特許文献3では、駆動回路がパワーモジュールに内蔵され、該パワーモジュールと制御回路とが、制御基板に実装されている。その他の電気回路や電子部品は、制御基板に実装され、蓋体(コネクタケース)に固定されている。パワーモジュールの制御基板と対向しない外面は、熱伝導部材を介してヒートシンクに熱的に接続されている。筐体(モータカバー)と蓋体によりヒートシンクを挟持することにより収納空間が形成され、該収納空間に制御基板とパワーモジュールなどが収納されている。収納空間において、制御基板のパワーモジュールと反対側の面が筐体の上面に対向するように、制御基板は筐体に固定されている。
【0007】
特許文献1〜3では、外部装置を電気的に接続するための入出力コネクタが、蓋体の筐体と反対側の面に突設されている。入出力コネクタの複数の端子は、蓋体を貫通して、対応する基板などに電気的に接続されている。
【0008】
特許文献4では、駆動回路が第1の基板に実装され、制御回路が第2の基板に実装されている。第1の基板と第2の基板とは中継部材により電気的に接続されている。筐体(モータカバー)の電動モータと反対側に蓋体(ユニットカバー)を係合することにより収納空間が形成され、該収納空間に上記2枚の基板と中継部材とが収納されている。収納空間において、第1の基板の駆動回路が実装されていない一方の面は、ユニットカバーの内面に接している。第2の基板は、中継部材の蓋体と反対側に固定されている。中継部材の周面には、入出力コネクタが一体的に突設されている。
【0009】
また、特許文献5および特許文献6には、発熱電子部品を実装した基板の放熱構造が開示されている。
【0010】
特許文献5では、放熱板に形成された凹部に、誘電体が埋設されている。誘電体と放熱板の下面は露出していて、上面は誘電体層により覆われている。誘電体と誘電体層は、高い熱伝導性と絶縁性とを有している。放熱板は、金属板などから成る。誘電体層の上面における、放熱板と対応する領域に、発熱電子部品が搭載されている。
【0011】
特許文献6では、絶縁材中に金属放熱体が埋設され、該金属放熱体の上面の面積は下面の面積より小さくなっている。そして、金属放熱体の上面に発熱電子部品が搭載され、絶縁材の上面に他の電子部品が搭載されている。金属放熱体と絶縁材の下面は、熱伝導率の高い絶縁層で覆われ、該絶縁層の下面は、金属層で覆われている。
【0012】
電動モータ制御装置において、駆動回路と制御回路を基板やヒートシンクなどの多くの部材に分散して実装すると、部品点数が多くなって、基板やヒートシンクの配列方向に電動モータ制御装置が大型化してしまう。また、1枚の基板に、発熱電子部品を含んだ多くの電子部品や電気回路を実装すると、発熱電子部品などで発生した熱により、基板や電子部品の温度が上昇して、動作不良を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2013−63689号公報
【特許文献2】特開2013−106376号公報
【特許文献3】特開2015−134598号公報
【特許文献4】特開2014−189166号公報
【特許文献5】特開平6−244303号公報
【特許文献6】特開2008−251671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、小型化と放熱性能の向上を実現することができる電動モータ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による電動モータ制御装置は、電動モータが実装された筐体と、この筐体の電動モータと反対側に係合された蓋体と、筐体と蓋体との係合により形成された収納空間に収納され、電動モータを駆動する駆動回路および該駆動回路を制御する制御回路が実装された基板と、この基板に実装され、電動モータの回転軸の回転を検出する回転センサと、駆動回路または制御回路に外部装置を電気的に接続するための入出力コネクタとを備えている。基板は、該基板の板面と平行な方向に隣接した第1絶縁体と金属体とから成る第1層と、第1絶縁体より熱伝導率が高い第2絶縁体から成る第2層とを有している。そして、第2層の第2絶縁体上における、第1絶縁体と対応する領域に、回転センサが実装され、金属体と対応する領域に、駆動回路に含まれる発熱電子部品が実装されている。
【0016】
上記構成によると、1枚の基板に駆動回路と制御回路と回転センサとを実装しているので、それらを複数の部材に分散状態で実装する場合より、部品点数を少なくして、収納空間を縮小し、電動モータ制御装置を小型化することができる。また、基板が、第1絶縁体と金属体とから成る第1層と、第1絶縁体より熱伝導率が高い第2絶縁体から成る第2層とを有し、第2層の第2絶縁体上における、金属体と対応する領域に、発熱電子部品を実装している。このため、発熱電子部品で発生した熱を発熱電子部品の表面から放熱するだけでなく、該熱を第2絶縁体から金属体に伝えて、金属体から効率良く放熱し、放熱性能を向上させることができる。
【0017】
また、基板の第2層の第2絶縁体上における、第1絶縁体と対応する領域、つまり金属体と対応しない領域に、回転センサを実装しているので、金属体と対応する第2絶縁体上の領域を、発熱電子部品用の実装スペースとして広く確保することができる。このため、発熱電子部品の外形が大きかったり設置数が多かったりして、発熱電子部品の実装占有面積が広くなっても、支障は生じない。さらに、基板の第2層を第2絶縁体で構成し、第1層を金属体だけでなく、一部を第1絶縁体で構成しているので、基板における電子部品や電気回路の実装密度を向上させることができる。
【0018】
本発明では、上記電動モータ制御装置において、筐体または蓋体は、基板の第2絶縁体より熱伝導率が高い金属から成り、基板の金属体は、筐体または蓋体に熱的に接続されていてもよい。
【0019】
また、本発明では、上記電動モータ制御装置において、基板は、第2層が電動モータ側を向き、第1層が電動モータと反対側を向くように、収納空間に収納され、回転センサは、収納空間へ突出した電動モータの回転軸と対向していてもよい。
【0020】
また、本発明では、上記電動モータ制御装置において、金属体の第2絶縁体と反対側を向いた表面が、蓋体に形成された電動モータ側を向く熱接触面と熱的に接触するように、基板が蓋体に固定されていてもよい。
【0021】
また、本発明では、上記電動モータ制御装置において、基板は、電動モータの回転軸に対して垂直な姿勢で収納空間に配置され、入出力コネクタの嵌合部は、蓋体の電動モータと反対側の外面から露出し、入出力コネクタの端子の一端部は嵌合部へ突出し、他端部は基板上の駆動回路または制御回路に電気的に接続されていてもよい。
【0022】
さらに、本発明では、上記電動モータ制御装置において、基板は、該基板の板厚方向に第1絶縁体と第2絶縁体とを貫通するスルーホールをさらに有し、入出力コネクタの端子の他端部は、スルーホールに挿入された状態で基板に接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、小型化と放熱性能の向上を実現することができる電動モータ制御装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態による電動モータ制御装置の分解斜視図である。
図2図1の電動モータ制御装置の組立斜視図である。
図3図1の電動モータ制御装置の平面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5図1の基板の裏側を示した斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態による電動モータ制御装置の分解斜視図である。
図7図6の電動モータ制御装置の断面図である。
図8図6の基板の反対側を示した斜視図である。
図9】本発明の他の実施形態による基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0026】
まず、本発明の第1実施形態による電動モータ制御装置101の構造を、図1図5を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、電動モータ制御装置101の分解斜視図である。図2は、電動モータ制御装置101の組立斜視図である。図3は、電動モータ制御装置101の平面図である。図4は、図3のA−A断面図である。図5は、図1の基板3の裏側を示した斜視図である。
【0028】
電動モータ制御装置101は、電動パワーステアリングシステムに組み込まれ、車両の操舵を補助するために、電動モータの駆動を制御する。後述する第2実施形態の電動モータ制御装置102も同様である。
【0029】
電動モータ制御装置101には、図1に示すように、筐体1、蓋体2、基板3、フレーム4、および入出力コネクタ7a、7bが備わっている。
【0030】
筐体1と蓋体2とは、熱伝導性の高い金属から成り、ヒートシンクを兼用している。筐体1と筐体2は、円筒状に形成されており、それぞれ一方側が閉塞されている。
【0031】
筐体1の一方側(図1で下側)にある実装部1bには、電動モータM(詳細は図示省略)が実装されている。電動モータMの回転軸Jは、筐体1および蓋体2の中心軸と一致している。筐体1の他方側(図1で上側)には、凹状の収納部1aが設けられている。収納部1aは、電動モータMと反対側に開口している。収納部1aと実装部1bとを隔てる隔壁1dには、貫通孔1eが形成されている。電動モータMの回転軸Jの一端部は、貫通孔1eを通って収納部1aへ突出している。収納部1aには、電動モータMに駆動電力を供給するためのモータ端子Mtも突出している。回転軸Jの他端部は、実装部1bから収納部1aと反対側へ突出して、電動パワーステアリングシステムの機械系に接続されている(図示省略)。
【0032】
図4に示すように、蓋体2の電動モータM側には、凹状の収納部2aが設けられている。収納部2aは、電動モータM側に開口している。蓋体2は、収納部1a、2a同士を閉塞するように、筐体1の電動モータMと反対側の端部に係合されて、蓋体2と筐体1のそれぞれの耳部2q、1q(図1図4)同士がねじなどにより固定される。この係合状態で、筐体1と蓋体2とが機械的および熱的に接続される。また、筐体1と蓋体2により閉塞された収納空間Kが形成される。すなわち、収納空間Kは、筐体1の収納部1aと蓋体2の収納部2aとから構成されている。収納空間Kには、基板3とフレーム4などが収納されている。筐体1と蓋体2の係合部分には、図示しないシール材が挟み込まれる。
【0033】
図1および図5に示すように、基板3は、円盤状に形成され、第1層L1と第2層L2とを有している。第1層L1と第2層L2は、基板3の板厚方向に積層されている。第1層L1は、第1絶縁体3aと金属体3bとから成る(図1)。第1絶縁体3aと金属体3bは、基板3の板面と平行な方向に隣接している(図4)。第2層L2は、第2絶縁体3cから成る(図5)。
【0034】
第1絶縁体3aは、ガラスエポキシ基板の樹脂部分から成る。第1絶縁体3aは、図1および図4に示すように、基板3の第1層L1の中央に、円板状に設けられている。第1絶縁体3aの表面(図4で上面)には、電子部品をはんだ付けするランドや配線パターンが、銅箔によって形成されている(詳細は図示省略)。
【0035】
金属体3bは、たとえば銅またはアルミニウムの板材から成る。金属体3bは、第1絶縁体3aの周面を全周に渡って囲むように、円環状に設けられている。つまり、第1層L1は、第1絶縁体3aを含んだガラスエポキシ基板の周囲に金属体3bを近接させることにより構成されている。図4に示すように、金属体3bの厚みは、第1絶縁体3aの厚みより厚くなっている。
【0036】
第2絶縁体3cは、たとえば、アルミナをエポキシに混ぜ込むなどして生成された、高い熱伝導性と絶縁性を有するプリプレグから成る。第2絶縁体3cの表面には、電子部品をはんだ付けするランドや配線パターンが、銅箔によって形成されている(詳細は図示省略)。第2絶縁体3cの厚みは、金属体3bの厚みより薄くなっている。
【0037】
第2絶縁体3cの熱伝導率は、第1絶縁体3aの熱伝導率より高くなっている。金属体3bの熱伝導率は、第2絶縁体3cの熱伝導率より高くなっている。筐体1や蓋体2の熱伝導率は、第2絶縁体3cの熱伝導率より高くなっている。第1絶縁体3aと第2絶縁体3cは、金属体3bと比べて、表面や内部に細かな導体を形成し易く、電子部品や電気回路の実装密度を高くすることができる。
【0038】
図1に示すように、基板3の第1層L1の第1絶縁体3a上には、制御回路35が実装されている。第1層L1の金属体3bの表面は露出しているが、該表面には電子部品や電気回路が実装されていない。
【0039】
図5に示すように、基板3の第2層L2の第2絶縁体3c上には、駆動回路31と、回転センサ8とが実装されている。回転センサ8は、第2絶縁体3c上の中央に実装され、駆動回路31は、回転センサ8の周囲に実装されている。回転センサ8は、磁気センサから成る。駆動回路31は電動モータMを駆動する電気回路である。制御回路35(図1)は駆動回路31を制御する電気回路である。
【0040】
図4に示すように、第2絶縁体3c上における、金属体3bと対応する領域(平面視で金属体3bと重なる領域)には、駆動回路31に含まれる発熱電子部品32が実装されている。発熱電子部品32は、たとえばFET(電界効果トランジスタ)などのスイッチング素子から成り、複数設けられている。
【0041】
また、第2絶縁体3c上における、第1絶縁体3aと対応する領域(平面視で第1絶縁体3aと重なる領域)には、回転センサ8が実装されている。回転センサ8の発熱量は、駆動回路31に含まれる発熱電子部品32の発熱量より小さい。また、制御回路35に含まれるCPU36などの電子部品の発熱量も、発熱電子部品32の発熱量より小さい。
【0042】
また、基板3は、図1および図5に示すように、中央に複数のスルーホール3h、3i、3jを有している。各スルーホール3h、3i、3jは、図4に示すように、基板3の板厚方向に第1絶縁体3aと第2絶縁体3cとを貫通している。
【0043】
基板3は、電動モータMの回転軸Jに対して垂直な姿勢で、第2層L2が電動モータM側を向き、第1層L1が電動モータMと反対側を向くように、収納空間Kに収納されている。
【0044】
蓋体2の収納部2aには、電動モータM側を向いた熱接触面2bが設けられている。この熱接触面2bに、金属体3bの第2絶縁体3cと反対側を向いた表面(図4で上面)を熱的に接触させた状態で、基板3が蓋体2にねじなどで固定されている。つまり、金属体3bと蓋体2とは、基板3の板厚方向に熱的に接続されている。
【0045】
なお、固定用のねじなどは、図示を省略している(以下同様)。また、金属体3bの表面と蓋体2の熱接触面2bとの間には、絶縁性を有する伝熱シートを介在させてもよい。また、蓋体2の熱接触面2bに対して、金属体3bの表面の全部を熱的に接触させてもよいし、一部を熱的に接触させてもよい。
【0046】
金属体3bの外周面は、蓋体2の内周面に熱的に接触している。つまり、金属体3bと蓋体2とは、これらの径方向に熱的に接続されている。なお、蓋体2の内周面に対して、金属体3bの外周面の全部を熱的に接触させてもよいし、一部を熱的に接触させてもよい。また、金属体3bの外周面と蓋体2の内周面との間には、絶縁性を有する伝熱シートを介在させてもよい。第2絶縁体3c上の導体は、蓋体2の内周面および筐体1の内周面に対して離間しかつ絶縁されている。
【0047】
基板3の第2層L2の中央に実装された回転センサ8は、収納空間Kに突出した電動モータMの回転軸Jの一端部と対向している(図4)。回転軸Jの一端部には、磁石11が埋設されている。回転センサ8は、磁石11の磁界の変化に基づいて、電動モータMの回転軸Jの回転を検出する。
【0048】
フレーム4は、たとえば合成樹脂製であり、図1に示すように円盤状に形成されている。フレーム4上には、電源電圧を平滑化する電解コンデンサなどの電子部品41が搭載され、該電子部品41と接続された電気配線(図示省略)が設けられている。また、フレーム4上には、所定の高さのスペーサ4dが複数立設されている。
【0049】
フレーム4の基板3と反対側から、ねじなどをスペーサ4dと基板3とに貫通させて、蓋体2の熱接触面2bに螺合することにより、図4に示すように、フレーム4が基板3および蓋体2に対して固定されている。そして、収納空間Kにおいて、フレーム4が、基板3と所定の距離を隔てて、隔壁1dと基板3との間に配置されている。フレーム4上の電子部品41は、基板3から離間している。電動モータMの回転軸Jの一端部は、フレーム4の中央に設けられた貫通孔4hを貫通して、回転センサ8の近傍に位置している。
【0050】
フレーム4には、基板接続端子5の根元部とモータ接続端子6の根元部とが実装されている。基板接続端子5は、フレーム4から基板3側へ突出している。モータ接続端子6は、フレーム4から電動モータM側へ突出している。
【0051】
収納空間Kにおいて、基板接続端子5の先端部は、基板3に形成されたスルーホール3jに挿入されて、該スルーホール3jにはんだや銅などの金属により接続されている。基板接続端子5は、基板3の金属体3bから離間しかつ絶縁されている。
【0052】
モータ接続端子6の先端部は、モータ端子Mtに溶接などにより接続されている。これにより、基板3上の駆動回路31または制御回路35、フレーム4上の電子部品41、および電動モータMが、電気的に接続されている。モータ接続端子6とモータ端子Mtとの接続作業は、筐体1の周面に設けられた開口部1k(図1)を通して行う。開口部1kは、キャップ13により閉塞される。キャップ13は、ねじなどにより筐体1の周面に固定される。
【0053】
入出力コネクタ7a、7bは、図示しない外部装置を、基板3上の駆動回路31または制御回路35に電気的に接続する。そのうち、一方の入出力コネクタ7aは、図示しない車両のバッテリから電力を供給するための電源コネクタである。他方の入出力コネクタ7bは、図示しない車両側ECU(電子制御装置)に対して信号を送受信するための信号コネクタである。
【0054】
各入出力コネクタ7a、7bは、蓋体2の電動モータMと反対側の外面2cに突設されている。各入出力コネクタ7a、7bのハウジング7c、7dは、蓋体2に形成された貫通孔2e、2fに収納部2a側からそれぞれ嵌合されて、該貫通孔2e、2fの周縁部分にねじなどにより固定されている。各入出力コネクタ7a、7bの嵌合部7g、7hは、蓋体2の外面2cから露出し、電動モータMと反対側へ開口している。図示しない外部装置と接続されたハーネスは、電動モータMの回転軸Jと平行な方向に、各入出力コネクタ7a、7bの嵌合部7g、7hに対して挿抜される。
【0055】
各入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7fの一端部は、嵌合部7g、7h内にそれぞれ突出している。端子7e、7fの他端部は、ハウジング7c、7dをそれぞれ貫通して、収納空間K内に突出し、基板3に形成されたスルーホール3h、3iにそれぞれ挿入されて、該スルーホール3h、3iにはんだや銅などの金属により接続されている(図4)。これにより、各入出力コネクタ7a、7bと基板3上の駆動回路31または制御回路35が電気的に接続されている。入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7fは、蓋体2や基板3の金属体3bから離間しかつ絶縁されている。また、端子7e、7fは、基板接続端子5や他の電子部品32、36、8とも離間している。
【0056】
電源コネクタ7aの嵌合部7gに、図示しないバッテリと接続されたハーネスが嵌合されることで、バッテリ、基板3上の駆動回路31、フレーム4上の電子部品41、および電動モータMが電気的に接続され、バッテリから駆動回路31および電動モータMに電力が供給可能となる。また、信号コネクタ7bの嵌合部7hに、図示しない車両側ECUと接続されたハーネスが嵌合されることで、車両側ECUと基板3上の制御回路35が電気的に接続され、車両側ECUと制御回路35との間で信号が送受信可能となる。
【0057】
上記第1実施形態によると、1枚の基板3に駆動回路31と制御回路35と回転センサ8とを実装しているので、それらを複数の部材に分散状態で実装する場合より、部品点数を少なくして、収納空間Kを縮小し、電動モータ制御装置101を小型化することができる。加えて、部品点数が少ない分、電動モータ制御装置101の組立工程数を低減することもできる。
【0058】
また、基板3が、第1絶縁体3aと金属体3bとから成る第1層L1と、第1絶縁体3aより熱伝導率が高い第2絶縁体3cから成る第2層L2とを有し、第2層L2の第2絶縁体3c上における、金属体3bと対応する領域に、駆動回路31に含まれる発熱電子部品32を実装している。このため、発熱電子部品32で発生した熱を、発熱電子部品32の表面から放熱するだけでなく、該熱を第2絶縁体3cから金属体3bに伝えて、金属体3bから効率良く放熱し、放熱性能を向上させることができる。
【0059】
また、基板3の第2層L2の第2絶縁体3c上における、第1絶縁体3aと対応する領域に、回転センサ8を実装している。このため、第2層L2が電動モータM側を向くように、基板3を収納空間Kに配置することで、回転センサ8を電動モータMの回転軸Jと対向させて、該回転センサ8により回転軸Jの回転を検出することができる。発熱電子部品32で発生した熱は、基板3の第2絶縁体3cを経て、金属体3bから電動モータMと反対側へ放熱されるので、回転センサ8に影響を与えない。
【0060】
また、第2絶縁体3c上の、第1絶縁体3aと対応する領域、つまり金属体3bと対応しない領域に、回転センサ8を実装しているので、金属体3bと対応する第2絶縁体3c上の領域を、回転センサ8より発熱量の大きい発熱電子部品32用の実装スペースとして広く確保することができる。このため、発熱電子部品32の外形が大きかったり設置数が多かったりして、発熱電子部品32の実装占有面積が広くなっても、支障は生じない。
【0061】
さらに、基板3の第2層L2を第2絶縁体3cで構成し、第1層L1を金属体3bだけでなく、一部を第1絶縁体3aで構成しているので、基板3における電子部品や電気回路の実装密度を向上させることができる。
【0062】
また、上記第1実施形態では、筐体1と蓋体2が基板3の第2絶縁体3cより熱伝導率が高い金属から成り、筐体1と蓋体2が係合されることにより、両者が熱的に接続されている。また、基板3の金属体3bの第2絶縁体3cと反対側を向いた表面が、蓋体2の電動モータM側を向いた熱接触面2bに熱的に接触し、金属体3bの外周面が蓋体2の内周面に熱的に接触している。このため、発熱電子部品32で発生した熱を、基板3の第2絶縁体3cから金属体3bに伝えた後、金属体3bから蓋体2に効率良く伝えて、蓋体2から外部へ効率良く放熱することができる。また、該熱を蓋体2から筐体1に伝えて、筐体1からも外部へ放熱することができる。つまり、筐体1と蓋体2がヒートシンクを兼用しているため、放熱性能をより向上させることが可能となる。
【0063】
また、上記第1実施形態では、基板3が、電動モータMの回転軸Jに対して垂直な姿勢で収納空間Kに配置されている。また、入出力コネクタ7a、7bの嵌合部7g、7hが、蓋体2の電動モータMと反対側の外面2cから露出している。そして、入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7fの一端部が嵌合部7g、7hへ突出し、他端部が基板3上の駆動回路31または制御回路35に電気的に接続されている。このため、電動モータMの回転軸Jと平行な方向に、筐体1、基板3、蓋体2、および入出力コネクタ7a、7bが配列されるので、回転軸Jと垂直な方向(側方)に電動モータ制御装置101が大型化するのを抑制できる。また、入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7fを嵌合部7g、7hから回転軸Jと平行に延ばして、基板3上の駆動回路31および制御回路35に電気的に接続することができる。さらに、端子7e、7fを複雑に湾曲させる必要がなく、端子7e、7fの構造や端子7e、7fと基板3との接続構造を簡素化することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、基板3の板厚方向に第1絶縁体3aと第2絶縁体3cとを貫通するスルーホール3h、3i、3jを設けている。そして、入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7fの他端部を、スルーホール3h、3iに挿入した状態で、基板3に接続している。このため、入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7fと基板3との電気的接続および機械的接続の信頼性が向上する。
【0065】
また、フレーム4に突設された基板接続端子5の先端部を、スルーホール3jに挿入した状態で、基板3に接続している。このため、基板接続端子5と基板3との電気的接続および機械的接続の信頼性が向上する。
【0066】
さらに、基板3の第2層L2上に実装された発熱電子部品32などで発生した熱が、スルーホール3h、3i、3jとこれに挿入された端子7e、7f、5により第1層L1の第1絶縁体3aに伝わり易くなる。そして、その熱を第1絶縁体3aから放熱したり、第1絶縁体3aから金属体3bに伝えて、金属体3bから放熱したりすることができる。
【0067】
次に、本発明の第2実施形態による電動モータ制御装置102の構造を、図6図8を参照しながら説明する。
【0068】
図6は、電動モータ制御装置102の分解斜視図である。図7は、電動モータ制御装置102の断面図である。図8は、図6の基板3の裏側を示した斜視図である。
【0069】
なお、電動モータ制御装置102の組立図や平面図は、前述の図2および図3に示した電動モータ制御装置101の組立図や平面図とほぼ同様であるので、図示を省略している。また、図7では、電動モータ制御装置102における、図4と同様位置の断面図を示している。
【0070】
図8に示すように、第2実施形態では、基板3の第2層L2の第2絶縁体3c上に、駆動回路31と回転センサ8とに加えて、電解コンデンサなどの電子部品41を実装している。そして、第1実施形態で示したフレーム4(図1など)を省略している(図6)。基板3の第2絶縁体3c上において、回転センサ8が中央に実装され、駆動回路31と電子部品41が回転センサ8の周囲に実装されている(図8)。
【0071】
図7に示すように、筐体1と蓋体2により閉塞された収納空間Kには、基板3が収納されている。詳しくは、基板3は、電動モータMの回転軸Jに対して垂直な姿勢で、第2層L2が電動モータM側を向き、第1層L1が電動モータMと反対側を向くように、収納空間Kに収納されている。
【0072】
基板3は、金属体3bの第2絶縁体3cと反対側を向いた表面が、蓋体2の熱接触面2bに熱的に接触するように、熱接触面2b上にねじなどで固定されている。つまり、金属体3bと蓋体2とは、基板3の板厚方向に熱的に接続されている。
【0073】
金属体3bの外周面は、筐体1の内周面に熱的に接触している。つまり、金属体3bと筐体1とは、これらの径方向に熱的に接続されている。なお、筐体1の内周面に対して、金属体3bの外周面の全部を熱的に接触させてもよいし、一部を熱的に接触させてもよい。また、金属体3bの外周面と筐体1の内周面との間には、絶縁性を有する伝熱シートを介在させてもよい。第2絶縁体3c上の導体は、筐体1の内周面および蓋体2の内周面に対して離間しかつ絶縁されている。
【0074】
基板3に形成されたスルーホール3jには、モータ接続端子16の一端部が挿入されて、該スルーホール3jにはんだや銅などの金属により接続されている。モータ接続端子16の他端部は、モータ端子Mtと溶接などにより接続されている。これにより、基板3上の駆動回路31、電子部品41、および電動モータMなどが、電気的に接続されている。なお、モータ接続端子16は、基板3の金属体3bや入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7fから離間しかつ絶縁されている。モータ接続端子16とモータ端子Mtとの接続作業は、筐体1の周面に設けられた開口部1k(図6)を通して行う。
【0075】
電動モータMの回転軸Jの一端部(磁石11側の端部)は、図7に示すように、基板3上の回転センサ8の近傍に位置している。これにより、回転センサ8と回転軸Jの一端部とが対向し、回転センサ8により回転軸Jの回転を検出することが可能となる。
【0076】
上記第2実施形態によると、1枚の基板3に駆動回路31と制御回路35と回転センサ8と電子部品41とを実装しているので、それらを複数の部材に分散状態で実装する場合より、部品点数を少なくして、収納空間Kを縮小し、電動モータ制御装置102を小型化することができる。特に、第1実施形態で示したフレーム4を省略している分、電動モータMの回転軸Jと平行な方向(高さ方向)に、収納空間Kを縮小し、電動モータ制御装置102を小型化することができる。加えて、電子部品や電気回路の実装に必要な部品点数を少なくして、電動モータ制御装置102の構造を簡素化し、製造工程数を低減することができる。
【0077】
また、上記第2実施形態では、第1実施形態に比べて、基板3における電子部品や電気回路の実装密度が高くなっているが、基板3の金属体3bが、筐体1と蓋体2の両方に熱的に接続されている。このため、発熱電子部品32で発生した熱を、基板3の第2絶縁体3cから金属体3bに伝えた後、金属体3bから筐体1と蓋体2の両方に伝えて、筐体1と蓋体2から外部へ一層効率良く放熱することができる。
【0078】
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、以上の実施形態では、基板3の金属体3bを蓋体2、または蓋体2と筐体1の両方に熱的に接触させた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。基板3の金属体3bを筐体1だけに熱的に接触させてもよい。また、基板3の金属体3bを別の放熱部材を介して、筐体1または蓋体2の少なくとも一方に熱的に接触させてもよい。また、第1実施形態に示したフレーム4を金属製にして、ヒートシンクとして兼用してもよい。さらに、基板3の金属体3bの放熱性能によっては、該金属体3bを筐体1や蓋体2に対して熱的に接続しなくてもよい。
【0079】
また、以上の実施形態では、基板3の第1層L1において、中央に第1絶縁体3aを配置し、該第1絶縁体3aの全周を囲むように環状の金属体3bを配置した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば図9に示すように、基板3の第1層L1において、金属体3bをC字形に形成し、第1絶縁体3aを、中央から金属体3bの切欠き部分へ拡がるように配置してもよい。また、他の例として、基板3の第1層L1において、第1絶縁体3aを分散して複数配置し、各第1絶縁体に近接するように、金属体3bを分散または連続して配置してもよい。
【0080】
また、以上の実施形態では、金属体3bの厚みを第1絶縁体3aの厚みより厚くした例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、金属体3bの厚みは、第1絶縁体の厚み3aと同等に、またはそれより薄くしてもよい。
【0081】
また、以上の実施形態では、基板3を蓋体2に固定した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、基板3は筐体1に固定してもよい。また、基板3を他の部材を介して筐体1または蓋体2に固定してもよい。
【0082】
また、以上の実施形態では、基板3の第2層L2の第2絶縁体3c上に駆動回路31を実装し、第1層L1の第1絶縁体3a上に制御回路35を実装した例をしたが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、駆動回路31または制御回路35を、基板3の第2層L2の第2絶縁体3c上と、第1層L1の第1絶縁体3a上とに分散状態で実装してもよい。また、制御回路35の全部を第2層L2の第2絶縁体3c上に実装してもよい。
【0083】
また、以上の実施形態では、基板3にスルーホール3h、3i、3jを設けて、該スルーホール3h、3i、3jに入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7fおよび接続端子5、16を電気的に接続した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、基板3に接続用端子(図示省略)を実装し、該接続用端子に入出力コネクタ7a、7bの端子7e、7f、基板接続端子5、またはモータ接続端子16を電気的に接続してもよい。また、接続用端子は、基板3に表面実装したり、基板3を貫通するように実装したりしてもよい。また、電子部品や電気回路も、基板3の第1絶縁層L1と第2絶縁層L2とを貫通するように実装してもよい。
【0084】
また、以上の実施形態では、基板3を収納する部分と電動モータMを実装する部分とが、筐体1に一体的に設けられた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、基板3を収納する部分と電動モータMを実装する部分とが別体で形成され、両部分がねじなどで固定されることで一体となる筐体を用いてもよい。
【0085】
また、以上の実施形態では、筐体1と蓋体2とが円筒状に形成され、基板3が円盤状に形成された例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。たとえば、筐体1や蓋体2を矩形の箱体や多角形の筒体に形成してもよい。また、筐体1と蓋体2のいずれか一方にだけ、凹状の収納部を設けるようにしてもよい。そして、筐体1と蓋体2との係合により形成される収納空間の形状に合わせて、基板3の形状を設定すればよい。
【0086】
さらに、以上の実施形態では、電動パワーステアリングシステムで使用される電動モータ制御装置101、102に、本発明を適用した例を挙げたが、他の用途の電動モータ制御装置に対しても、本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 筐体
2 蓋体
2b 熱接触面
2c 蓋体の外面
3 基板
3a 第1絶縁体
3b 金属体
3c 第2絶縁体
3h、3i、3j スルーホール
7a、7b 入出力コネクタ
7e、7f 端子
7g、7h 嵌合部
8 回転センサ
31 駆動回路
32 発熱電子部品
35 制御回路
101、102 電動モータ制御装置
J 回転軸
K 収納空間
L1 第1層
L2 第2層
M 電動モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9