(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
空港ロビー等の公共施設の待合室等で用いられる椅子として、床面上に設置された略水平に延出する支持杆に、座を有する椅子本体と、電源プラグの差込口を有する給電ブロックが設置されたものが知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の椅子は、電源プラグの差込口を有する給電ブロックが椅子本体の座の側部下方位置で支持杆に取り付けられ、電源プラグの差込口がその給電ブロックの前面に前方側に開口して設けられている。給電ブロックから引き出された電源配線は床面上を這わせて所定の位置において床下の電力供給ケーブルに接続されている。
この特許文献1に記載の椅子においては、電源プラグの差込口が座の側部下方で椅子の前方側に開口しているため、足裏を床面に着けて座に着座した着座者は、着座状態から僅かに前下方に屈むだけで、差込口に電源プラグを差し込で電源利用機器を使用することができる。
【0004】
一方、より長時間の着座に堪え得るように、座領域の前後に脚支持領域と背支持領域が連続して設けられた椅子が知られている(特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に記載の椅子は、床面に起立する支持構造体の上部に着座者の身体を載せる着座体が設置され、着座体の座領域の前部には、上面側で着座者の脚部を支持する脚支持領域が設けられ、座領域の後部には、前面側で着座者の背部を支持する背支持領域が設けられている。脚支持領域は、着座者の膝上部分を支持する膝上支持領域と、着座者の膝下部分を支持する膝下支持領域とから成り、膝上支持領域は、座領域の前部から前方に向かって略水平に延出し、膝下支持領域は、膝上支持領域の前部から前下方に向かって傾斜して延出している。また、背支持領域は、座領域の後部から後上方側に向かって延出している。
この特許文献2に記載の椅子においては、着座者が脚部のほぼ全体を脚支持領域上に預け載せ、リラックスした状態で着座することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、空港ロビー等の公共施設の待合室等で用いられる椅子においても、着座者の上半身と下半身を着座体にゆったりと載せ置くことができる特許文献2に記載のようなタイプの椅子が望まれている。また、このようなタイプの椅子としたときにも、電力利用ブロック(電源プラグの差込口も含む)を着座体の近傍に配置することが必要な場合があり、その場合には、電力利用ブロックから引き出された電源配線を安全に引き回すことが望まれる。
【0008】
しかし、特許文献2に記載のようなタイプの椅子において、電源利用ブロックを着座体の近傍に配置し、電源利用ブロックから引き出された電源配線を電源利用ブロックの直下位置から下方に引き延ばすと、たとえ、その周囲を遮蔽部材で覆ったとしても、着座した着座者の手先や歩行者の足元に近くなることから、電源配線の周域に人が接触する可能性が考えられる。また、悪意を持った第三者が電源配線にアクセスしようとした場合にも、電源配線が簡単に手の届く位置に配置されることから、アクセスが容易になることが懸念される。
【0009】
そこでこの発明は、着座体の座領域の前後に着座者の脚部を載せ置く領域と背部を支持する領域を有する椅子において、電源利用ブロックから引き出された電源配線に外部からアクセスされ難い椅子を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る椅子は、上記課題を解決するために、床面に起立する支持構造体と、着座者が身体を載せる着座体と、前記着座体の外側方に位置するように、前記着座体に支持され、電源配線が引き出される電力利用ブロックと、を備え、前記着座体が、前記支持構造体に支持され上面側で着座者の臀部を支持する座領域と、該座領域の前部から前方に向かって延出して、上面側で着座者の脚部を支持する脚支持領域と、前記座領域の後部から上部後方に向かって延出して、前面側で着座者の背部を支持する背支持領域と、を有し、前記着座体の前記座領域の下方に、前記着座体の外側方の前記電力利用ブロックから引き出された前記電源配線の周域を覆う配線遮蔽部材が設けられ、
前記支持構造体は、前記配線遮蔽部材から前方に離間した位置で前記着座体を前記床面上に支持する前方側支持脚と、前記配線遮蔽部材から後方に離間した位置で前記着座体を前記床面上に支持する後方側支持脚の少なくとも一方を備えるようにした。
【0011】
これにより、着座体の前端側からも後端側からも離間した座領域の下方位置に配線遮蔽部材が設けられ、電力利用ブロックから引き出された電源配線の周域が配線遮蔽部材によって覆われる。このため、電源配線の周域を被う配線遮蔽部材には、着座体の前方と後方のいずれ側からもアクセスされ難くなる。
また、配線遮蔽部材が着座体の座領域の下方に配置されるため、着座体に着座した着座者の腕先が着座体の側部下方に下がった場合にも、着座者の手が配線遮蔽部材に接触することがなくなり、歩行者等が着座体に近接した場合にも、歩行者等の足先が配線遮蔽部材に接触することもなくなる。
さらに、悪意を持った第三者が配線遮蔽部材の内部にアクセスしようとした場合には、着座体の下方の狭いスペースに潜り込まなければ配線遮蔽部材に手を触れることができないため、悪意を持った第三者のアクセスも未然に防止することができる。また、着座者から視認できない後方から配線遮蔽部材に第三者がアクセスしようとした場合でも、背支持領域が第三者の進行してくる方向に向かって突出しているため、第三者の進行を阻むことができるとともに、配線遮蔽部材を第三者から視認しにくい状況におくことができる。
【0012】
この場合、着座体に加わる着座者の荷重は、前方側支持脚と後方側支持脚の少なくとも一方を通して床面上に支持させることができる。そして、前方側支持脚と後方側支持脚の少なくとも一方を備えているため、配線遮蔽部材の下端がたとえ床面上に接する構造であっても、配線遮蔽部材に着座体側からの大きな荷重が作用するのを回避することができる。したがって、配線遮蔽部材をさほど強度を要しない構造とすることができるため、配線遮蔽部材の製造コストを低減することができる。
【0013】
前記配線遮蔽部材は、前記着座体の座領域を床面上で支持して、前記支持構造体
の一部として機能するようにしても良い。
この場合、着座者の臀部のほぼ下方位置において、着座者の荷重を配線遮蔽部材によって床面上に安定的に支持させることができる。
【0014】
前記支持構造体は、前後に離間した位置で前記着座体を前記床面上に支持する前方側支持脚及び後方側支持脚と、前後方向に延出して前記前方側支持脚と前記後方側支持脚を連結する連結部材と、を備え、前記電力利用ブロックは、前記連結部材の外側方に配置されるようにしても良い。
この場合、電力利用ブロックが連結部材の外側方に配置されることから、電力利用ブロックから支持構造体の幅方向内側に向かって電源配線をほぼ直線的に引き出して、配線遮蔽部材の内側に引き入れることができる。したがって、この構造を採用することにより、電源配線の長さを短くすることができる。
【0015】
前記連結部材は、幅方向外側の側部に少なくとも一対設けられ、一対の前記連結部材は、前後方向略中央の両者の離間幅が前後方向両端の両者の離間幅よりも狭まるように屈曲して形成され、一対の前記連結部材の離間幅の狭い領域に、前記配線遮蔽部材が取り付けられるようにしても良い。
この場合、一対の連結部材に配線遮蔽部材が取り付けられることから、配線遮蔽部材を高い剛性を持って支持構造体に支持させることができる。特に、配線遮蔽部材は、一対の連結部材の前後方向略中央の離間幅の狭まった領域に取り付けられることから、支持構造体の幅方向の略中央領域に高い剛性をもって支持される。
【0016】
前記電力利用ブロックには、側方に向かって突出する連結ブラケットが延設され、前記連結ブラケットは、先端部が一対の前記連結部材の離間幅の狭い領域に近接した状態で前記着座体の前記座領域の下面に取り付けられ、前記連結ブラケットには、前記電力利用ブロックから引き出された前記電源配線を前記着座体の前記座領域の下面との間で案内する案内溝が設けられ、前記電力利用ブロックから引き出された前記電源配線は、前記案内溝を通して前記配線遮蔽部材の内側に引き入れられるようにしても良い。
この場合、電力利用ブロックから引き出された電源配線は、連結ブラケットの案内溝と着座体の座領域の下面との間を通して配線遮蔽部材の内側に引き入れられる。したがって、電力利用ブロックから引き出された電源配線を、連結ブラケットと着座体によって周域を取り囲んだ状態において配線遮蔽部材に向かって配線することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、前方側に脚支持領域が延出し、かつ、後方側に背支持領域が延出する座領域の下方に配線遮蔽部材が設けられ、その配線遮蔽部材によって電力利用ブロックから引き出された電源配線の周域が覆われるため、配線遮蔽部材によって周域を覆われる電源配線には、着座体の前方と後方のいずれ側からもアクセスされ難くなる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、着座者が正規姿勢で椅子に着座した状態において、着座者の頭部が前方を向く向きを「前」と呼び、それと逆側を「後」と呼ぶものとする。また、上下と左右については、特別に断らない限り、着座者が椅子に正規姿勢で着座したときの着座者を中心とした向きと同一とする。また、図面において、矢印FRは前方を指し、矢印UPと矢印LHは、それぞれ上方と左側方を指すものとする。
【0020】
図1,
図2は、この実施形態に係る椅子1の全体構成を示す図である。
この実施形態に係る椅子1は、空港の待合室等で用いられる椅子であり、床面に起立する支持構造体10と、支持構造体10の上部に支持され着座者が身体を載せる着座体20と、着座体20の右側部に支持される側部構造体30と、を備えている。なお、この実施形態においては、側部構造体30が電力利用ブロックを構成している。
【0021】
着座体20は、
図2に示すように、着座者の臀部を支持する座領域A1と、着座者の脚部を支持する脚支持領域である膝上支持領域A2および膝下支持領域A3と、着座者の背部を支持する背支持領域A4と、を有している。座領域A1は、前後方向の略中央の上面側が前後方向で緩やかに凹状に湾曲しており、その上面で着座者の臀部を支持する。膝上支持領域A2は、座領域A1の前部から前上方側に向かって傾斜して延出し、膝下支持領域A3は、膝上支持領域A2の前部から前下方に向かって傾斜して延出している。膝上支持領域A2は、その上面側で着座者の脚部の膝上部分を支持し、膝下支持領域A3は、その上面側で着座者の脚部の膝下部分を支持する。また、膝上支持領域A2と膝下支持領域A3の境界部P上には、着座者のほぼ膝裏部分が支持される。この実施形態の椅子1では、背支持領域A4の後端部から膝下支持領域A3の前端部に亘る全域が緩やかな曲面を描いて連続している。
なお、この実施形態の椅子1では、膝上支持領域A2が座領域A1の前部から前上方に傾斜して延出しているが、膝上支持領域A2は、座領域A1の前部から前方に向かって略水平に延出する形状であっても良い。また、この実施形態の椅子1の座領域A1は、上面が前後方向で凹状に湾曲して形成されているが、座領域A1は、略水平をなすように形成するようにしても良い。さらに、膝上支持領域A2が略水平をなす場合には、その膝上支持領域A2と連続して略水平をなすようにしても良い。
【0022】
図3は、この実施形態に係る椅子1を分解して示した図である。
同図に示すように、着座体20は、支持構造体10に締結固定されるベース部材21と、接着シート22A,22Bを介してベース部材21の上面に結合されるクッション部材23A,23Bと、を備えている。ベース部材21は、背支持領域A4の後端部から膝下支持領域A3の前端部に亘る全域が肉厚の一枚の強度部材によって形成されている。ベース部材21を構成する強度部材としては、例えば、鋼板や木板等を採用することができる。ベース部材21に支持されたクッション部材23A,23Bの上面には、着座者の身体が載せ置かれる。
【0023】
側部構造体30は、内部がほぼ中空の箱型フレーム31の上部に、上面が物品載置面32aとして機能する天板32が取り付けられ、箱型フレーム31の鉛直に垂立する前壁33に電源プラグの差込口34a,34aを有する電源接続ユニット34が取り付けられている。電源接続ユニット34からは、設備の電力源に接続される電源配線35が、箱型フレーム31内を通して引き出されている。箱型フレーム31の左右両側の側面は側板37,38によって閉塞されている。また、箱型フレーム31の着座体20側の側面には、側方に向かって突出する連結ブラケット36が延設されている。連結ブラケット36は、基端側が箱型フレーム31の内部に剛的に結合され、その結合部から側板37を貫通して外部に突出している。連結ブラケット36は、着座体20のベース部材21の座領域A1の下面にボルト締結によって固定される。
【0024】
図4は、支持構造体10の左側面を示す図であり、
図5は、支持構造体10の上面を示す図である。また、
図6は、支持構造体10の前面を示す図である。
これらの図にも示すように、支持構造体10は、前部側で水平に左右に延出する前部支持杆11Fと、後部側で水平に左右に延出する後部支持杆11Rと、を有している。前部支持杆11Fの左右に離間した二位置には、一対の前方側支持脚12,12が前部斜め下方に向かって突設されている。後部支持杆11Rの左右に離間した位置には、一対の後方側支持脚13,13が後部斜め下方に向かって突設されている。前方側支持脚12と後方側支持脚13の下端は床面上に当接して、支持構造体10を床面上に支持させる。前方側支持脚12,12の上部は、前部支持杆11Fを介して着座体20のうちの膝上支持領域A2と膝下支持領域A3の境界部P付近を支持し、後方側支持脚13の上部は、後部支持杆11Rを介して着座体20のうちの背支持領域A4の背部を支持する。
【0025】
支持構造体10は、さらに、左右同側に位置されている前方側支持脚12と後方側支持脚13を相互に連結する左右一対の連結杆14L,14R(連結部材)を有している。連結杆14L,14Rは、
図5に示すように、上面視では、前後方向中央領域の両者の離間幅が、前後方向両端の両者の離間幅よりも狭まるように屈曲している。したがって、各連結杆14L,14Rは、前後方向中央領域が幅方向内側に凹となるように屈曲している。また、連結杆14L,14Rの前後方向中央領域は、左右に延出する平行な三本の補助連結杆15F,15C,15Rによって相互に連結されている。
また、左右の連結杆14L,14Rは、側面視では、
図4に示すように着座体20の下面形状に略沿うように屈曲して形成されている。
【0026】
前方側の補助連結杆15Fと中央の補助連結杆15Cには、着座体20の座領域A1の下面を支持する支持プレート39が溶接固定されている。支持プレート39の上部には、着座体20のベース部材21がボルト締結されるようになっている。なお、着座体20のベース部材21は、その前部側下面と後部側下面が前部支持杆11Fと後部支持杆11Rにも締結固定される。
【0027】
また、中央の補助連結杆15Cと後方側の補助連結杆15Rには、長方形状の筒形断面の配線遮蔽部材50が下方に突出した状態で取り付けられている。中央の補助連結杆15Cと後方側の補助連結杆15Rは、左右の連結杆14L,14Rの両者の離間幅が狭い前後方向中央領域に連結されているため、配線遮蔽部材50は、補助連結杆15C,15Rを介して連結杆14L,14Rの離間幅の狭い領域に取り付けられているものと言える。
配線遮蔽部材50は上方側に開口し、側部構造体30から引き出された電源配線35が、その開口を通して引き入れられるようになっている。配線遮蔽部材50の底壁には、電源配線35を床下の電源部に接続するための貫通孔51(
図5参照)が形成されている。配線遮蔽部材50の底壁には、その下面が床面上に当接する高さ調整ボス52が設けられている。
【0028】
中央の補助連結杆15Cと後方側の補助連結杆15Rは、前方側支持脚12,12と後方側支持脚13,13の間であって、着座体20の座領域A1のうちの最も低い部分の下方に位置されている。したがって、配線遮蔽部材50は、着座体20の座領域A1の最も低い部分の下方位置において下方に向かって突出している。また、この実施形態の場合、配線遮蔽部材50は、上記のように下面が床面上に当接することで支持構造体10の一部としても機能する。このため、配線遮蔽部材50は、着座体20からの入力荷重に耐え得るように金属部材等によって高い剛性をもって作られている。
ただし、この実施形態の場合、配線遮蔽部材50は、前方側支持脚12,12と後方側支持脚13,13の間に配置されているため、配線遮蔽部材50の接地部の設定によっては、着座体20に作用する荷重を、前方側支持脚12,12と後方側支持脚13,13とに主に支持させることも可能である。
【0029】
また、前方側の補助連結杆15Fと前部支持杆11Fの幅方向の中央領域同士は連結杆14C−1によって連結されている。同様に、後方側の補助連結杆15Rと後部支持杆11Rの幅方向の中央領域同士は連結杆14C−2によって連結されている。
【0030】
ここで、側部構造体30の箱型フレーム31は、
図2に示すように、前壁33の下端から後方に向かって下方傾斜する底壁40と、底壁40の後端部から後方に向かって上方傾斜する後壁41を有している。側部構造体30は、底壁40と後壁41の一部が着座体20の座領域A1の右側下方に位置に、後壁41の残余の一部が着座体20の背支持領域A2の右側後方に位置するように、着座体20に取り付けられている。
この状態において、側部構造体30の前壁33の差込口34aは、側面視で、着座体20の膝上支持領域A2の上面よりも上方で、なおかつ、膝上支持領域A2と膝下支持領域A3との境界部Pよりも後方となる位置に配置されている。より具体的には、差込口34aは、側面視で着座体20の膝上支持領域A2の後部寄り上面よりも若干上方側となる位置に配置されている。
【0031】
また、側部構造体30は、側面視で、着座体20の背支持領域A4の側部に達する前後長に形成されている。側部構造体30の天板32は、箱型フレーム31の上端部よりも一回り大きく形成されている。そして、天板32の物品載置面32aの前端部32a−Eは、前壁33の差込口34aよりも前方側に位置されている。
【0032】
図7は、側部構造体30の連結ブラケット36の構造を詳細に示す図である。
同図にも示すように、連結ブラケット36は、側部構造体30の箱型フレーム31の内部から突出する前後一対の連結部材36a,36aと、前後の連結部材36a,36aの間に取り付けられ、箱型フレーム31から引き出された電源配線35を支持構造体10の幅方向中心側に案内するガイドプレート36bと、を備えている。ここで、連結ブラケット36の連結部材36a,36aは、先端部が連結杆14L,14Rの離間幅の狭い領域に、連結杆14L,14Rと略直角な方向から近接するように着座体20に取り付けられる。したがって、電力利用ブロックである側部構造体30は、連結部材である連結杆14L,14Rの外側方に配置される。
【0033】
連結ブラケット36のガイドプレート36bは、支持構造体10の幅方向に沿って延出する断面コ字状の案内溝36b−1を有している。案内溝36b−1は、上方側に向かって開口し、一対の連結部材36a,36aが着座体20の座領域A1の下面に締結固定された状態で、座領域A1の下面との間で電源配線35を案内する。
なお、この実施形態においては、連結ブラケット36が着座体20の座領域A1の下面に締結固定されることによって、側部構造体30が着座体20に支持されているが、側部構造体30は、支持構造体10に連結される構造であっても良い。また、側部構造体30が床面上に直接支持されるようにしても良い。
【0034】
以上のように、この実施形態に係る椅子1においては、着座体20の前端側からも後端側からも離間した座領域A1の下方位置に配線遮蔽部材50が設けられ、電力利用ブロックである側部構造体30から引き出された電源配線35の周域が配線遮蔽部材50によって覆われている。このため、電源配線35の周域を被う配線遮蔽部材50には、着座体20の前方と後方のいずれ側からもアクセスされ難い。
【0035】
即ち、配線遮蔽部材50が着座体20の座領域A1の下方に配置されていることから、着座体20に着座した着座者の腕先が着座体の側部下方に下がった場合にも、着座者の手が配線遮蔽部材50に接触することがなく、また、歩行者等が着座体に近接した場合にも歩行者等の足先が配線遮蔽部材50に接触することもない。
さらに、悪意を持った第三者が配線遮蔽部材50の内部にアクセスしようとした場合には、着座体の下方の狭いスペースに潜り込まなければ配線遮蔽部材50に手を触れることもできない。また、着座者から視認できない後方から配線遮蔽部材50に第三者がアクセスしようとした場合でも、背支持領域A4が第三者の進行してくる方向に向かって突出しているため、第三者の進行を背支持領域A4によって阻むことができるとともに、配線遮蔽部材50を第三者から視認しにくい状況におくことができる。このため、悪意を持った第三者のアクセスも未然に防止することができる。
【0036】
また、この実施形態に係る椅子1は、支持構造体10の前後の離間した位置に前方側支持脚12,12と後方側支持脚13,13が設けられ、配線遮蔽部材50が前方側支持脚12,12と後方側支持脚13,13の間に配置されている。このため、着座体の上部に作用する大きな荷重を、前方側支持脚12,12と後方側支持脚13,13とに主に分担支持させ、配線遮蔽部材50に作用する荷重を小さくすることができる。したがって、配線遮蔽部材50をさほど強度を要しない構造とすることができるため、配線遮蔽部材50の製造コストを低減することができる。
【0037】
なお、この実施形態の椅子1においては、配線遮蔽部材50から前方側に離間した位置に前方側支持脚12,12が設けられるとともに、配線遮蔽部材50から後方側に離間した位置に後方側支持脚13,13が設けられているが、着座体20を前記床面上に支持する支持脚は、前方側支持脚12と後方側支持脚13のいずれか一方であっても良い。この場合においても、配線遮蔽部材50に作用する荷重を小さくすることができるため、やはり配線遮蔽部材50をさほど強度を要しない構造とすることができる。
特に、膝上支持領域A2と膝下支持領域A3の前後方向の延出長さが短い場合には、配線遮蔽部材50から後方側に離間した位置に後方側支持脚を設け、その後方側支持脚と配線遮蔽部材50によって着座体20を床面上に支持させたり、後方側支持脚のみによって着座体20を床面上に支持させることも可能である。また、配線遮蔽部材50の左右両側に側方側支持脚を設け、その左右の側方支持脚と後方支持脚によって着座体20を床面上に支持させることも可能である。
【0038】
また、この実施形態に係る椅子1においては、配線遮蔽部材50に支持構造体としての機能(荷重支持機能)を積極的に分担させることも可能である。その場合には、配線遮蔽部材50の強度を充分に高める必要はあるものの、配線遮蔽部材50が着座体20の座領域A1の下方に配置されることから、着座者の臀部のほぼ下方位置において、着座者の荷重を配線遮蔽部材50を介して床面上に安定的に支持させることができる。
【0039】
さらに、この実施形態に係る椅子1では、支持構造体10の前側支持脚12,12と後側支持脚13,13の左右同側のもの同士が連結杆14L,14Rによって連結され、その連結杆14L,14Rの外側方に電力ブロックである側部構造体30が配置されている。このため、この椅子1の場合、側部構造体30から支持構造体10の幅方向内側に向かって電源配線35をほぼ直線的に引き出し、配線遮蔽部材50の内側に引き入れることができる。したがって、この実施形態の構造を採用することにより、電源配線35の長さを短くすることができる。
【0040】
また、この実施形態に係る椅子1においては、支持構造体10の左右の連結杆14L,14Rが、前後方向略中央の離間幅が前後方向両端の離間幅よりも狭まるように屈曲しており、左右の連結杆14L,14Rの離間幅の狭い領域に配線遮蔽部材50が取り付けられている。このため、幅方向中央領域において配線遮蔽部材50を高い剛性を持って支持構造体10に支持させることができる。
【0041】
また、この実施形態に係る椅子1の場合、側部構造体30の側部に突設された連結ブラケット36が着座体20の座領域A1の下面に取り付けられ、連結ブラケット36の先端部が、支持構造体10の左右の連結杆14L,14Rの離間幅の狭い領域に近接した状態で配置されている。そして、連結ブラケット36には、側部構造体30から引き出された電源配線35を着座体20の座領域A1の下面との間で案内する案内溝36b−1が設けられ、電源配線35が案内溝36b−1を通して配線遮蔽部材50の内側に引き入れられるようになっている。このため、この実施形態に係る椅子1においては、側部構造体30から引き出された電源配線35を、連結ブラケット36と着座体20によって周域を取り囲んだ状態で配線遮蔽部材50に向かって配線することができる。したがって、電源配線35に対する保護性能を高めることができる。
【0042】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能で
ある。