特許第6504695号(P6504695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504695
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】動画配信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/266 20110101AFI20190415BHJP
   H04N 21/482 20110101ALI20190415BHJP
【FI】
   H04N21/266
   H04N21/482
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-9857(P2015-9857)
(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公開番号】特開2016-134859(P2016-134859A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2018年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 潔
(72)【発明者】
【氏名】柳下 洋
【審査官】 富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−039749(JP,A)
【文献】 特開2008−072379(JP,A)
【文献】 特開2009−147904(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/136128(WO,A1)
【文献】 特開2002−185931(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/107993(WO,A1)
【文献】 特開2013−085020(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/052951(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動画提供サイトと視聴端末とが接続されたネットワークに接続された番組編成サーバであって、
前記動画提供サイトが提供する動画の動画属性保存手段と前記視聴端末を使用するユーザーのユーザー属性保存手段を備え、
前記動画属性保存手段内の複数の動画属性データと前記ユーザー属性保存手段内のユーザー属性データに基づいて、各動画の前記ユーザーに対する推奨値を算出し、
各動画の識別子と前記推奨値とを対応づけて複数のチャンネルとして構成された番組表データを視聴端末に送信し、
前記ユーザーは前記番組表データ内の同一チャンネル内の動画を順次視聴するか、他のチャンネルに切り替えて視聴するかを選択可能である
番組編成サーバ。
【請求項2】
前記複数の動画属性データのうちの少なくとも一つが鮮度情報であり、
前記推奨値の算出では、前記鮮度情報は時間の経過とともに算出される推奨値を減らす効果をもたらす、
請求項1に記載の番組編成サーバ。
【請求項3】
前記動画属性保存手段は、前記視聴端末内の動画の属性も保存する、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の番組編成サーバ。
【請求項4】
複数の動画提供サイトと、前記動画提供サイトが提供する動画の動画属性保存手段と視聴端末を使用するユーザーのユーザー属性保存手段を備えた番組編成サーバとが接続されたネットワークに接続された視聴端末であって、
前記番組編成サーバに前記動画属性保存手段内の複数の動画属性データと前記ユーザー属性保存手段内のユーザー属性データに基づいて、各動画の前記ユーザーに対する推奨値を算出させ、
各動画の識別子と前記推奨値とを対応づけて複数のチャンネルとして構成された番組表データを送信させ、
前記ユーザーが、前記番組表データ内の同一チャンネル内の動画を順次視聴することと他のチャンネルに切り替えて視聴することを選択可能に構成されている
動画視聴端末。
【請求項5】
前記複数の動画属性データのうちの少なくとも一つが鮮度情報を含み、
前記推奨値の算出では、前記鮮度情報は時間の経過とともに算出される前記推奨値を減らす効果をもたらす、
請求項4に記載の動画視聴端末。
【請求項6】
前記動画属性保存手段は、前記視聴端末内に保存された動画の属性も保存する、
請求項4又は請求項5のいずれかに記載の動画視聴端末。
【請求項7】
複数の動画提供サイト、番組編成サーバ、及び、視聴端末がネットワークで接続された情報システムにおいて、
前記動画提供サイトのそれぞれから動画の属性情報を取得する手順と、
前記動画の属性情報を動画属性保存手段に保存する手順と、
前記動画属性保存手段中の前記動画の属性情報とユーザー属性保存手段中のユーザー属性とから前記動画の推奨値を算出する手順と、
前記動画の識別子と前記推奨値を対応づけ複数のチャンネルとして構成された番組表データを前記視聴端末に送信する手順と、
前記視聴端末において前記番組表データ内の動画を同一チャンネル内の順次視聴とユーザーの他のチャンネルへの切り替え操作による視聴とを選択させる手順とを含む、
コンピューターより実行される動画配信方法。
【請求項8】
前記動画の属性情報のうちの少なくともひとつが鮮度情報であり、
前記動画の推奨値を算出する手順において、前記鮮度情報は時間の経過とともに算出される前記推奨値を減らす効果をもたらす、
請求項7に記載の動画配信方法。
【請求項9】
前記動画属性保存手段は、前記視聴端末内に保存された動画の属性も保存する、
請求項7又は請求項8のいずれかに記載の動画配信方法。
【請求項10】
コンピューターを請求項1、請求項2、又は請求項3のいずれかに記載の番組編成サーバとして機能させるコンピューター・プログラム。
【請求項11】
コンピューターを請求項4、請求項5、又は請求項6のいずれかに記載の動画視聴端末として機能させるコンピューター・プログラム。
【請求項12】
前記情報システムは、さらに、放送番組録画保存手段と宅内録画機器を含み、
前記視聴端末が前記宅内録画機器にユーザーが視聴を希望する放送番組の属性情報を送信する手順と、
前記宅内録画機器が前記放送番組録画保存手段に前記属性情報を送信する手順と、
前記放送番組録画保存手段が前記属性情報に基づいて録画済みの放送番組から対応する番組を選択し、前記視聴端末に送信する手順とを含む、
請求項7、請求項8、または、請求項9に記載の動画配信方法。
【請求項13】
前記ネットワークは、さらに、放送番組録画保存手段と宅内録画機器を含み、
前記視聴端末が前記宅内録画機器に視聴を希望する放送番組の属性情報を送信するステップと、
前記宅内録画機器が前記放送番組録画保存手段に前記属性情報を送信するステップと、
前記放送番組録画保存手段が前記属性情報に基づいて録画済みの放送番組から対応する番組を選択し、前記視聴端末に送信するステップとを
コンピューターに実行させる請求項11に記載のコンピューター・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はインターネット上で利用される動画配信システム、特に、多様な動画ソースからユーザーの属性や嗜好に合った動画コンテンツを効率的に配信できるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、インターネット上の動画配信サービスが一般化している。特に、自宅のパーソナル・コンピューターだけでなく、スマートフォンやタブレット端末を使用して、外出中に動画を視聴するスタイルも普及しており、今後ますますの拡大が予測されている。
【0003】
YouTube(登録商標)等の動画投稿サイト、多様なコンテンツ・プロバイダーが提供する公式の動画配信サイトやIPTV、テレビ放送番組、ユーザーが録画したテレビ放送番組、ユーザー自身が作成した動画作品など、視聴対象となる動画コンテンツも多種多様となっている。その結果、視聴者にとって自分の嗜好に合致するコンテンツを探すことが困難になっている。視聴者の属性、嗜好、状況(移動中か在宅か等)に基づき、その視聴者にとって最も魅力的に感じられる動画コンテンツを情報システムによって推奨できるパーソナリゼーション機能の必要性が増している。
【0004】
ここで、一般に、動画配信サービス事業においては、著作権法へのコンプライアンスの考慮が必要である。ユーザーが私的使用目的で録画したコンテンツを共有サーバ上に置いてネットワークを介して視聴できるようにするサービス(たとえば、特許文献1)は、日本の判例によれば、個人と動画コンテンツ間のヒモ付けが厳格に行なわれていても公衆送信と解釈され、権利者による許諾が必要とされる可能性が高い。
【0005】
この著作権法上の問題を解決するために、ユーザーの自宅に備えた録画機器をネットワーク経由で外部からアクセスできるようにし、番組の識別子だけをネットワーク上で交換する技術は公知である(特許文献2)。
【0006】
また、放送局側が一定の条件の下で明示的に著作権および著作隣接権の許諾を行なうことで、視聴者が自分が録画した放送番組コンテンツをネットワークを介して視聴可能にする動きも見られる(非特許文献1)。これは視聴者にとって録画したテレビ番組を外出中の視聴(タイムシフト、プレースシフト)を容易にする点で好ましいが、視聴対象となる動画のバリエーションという点で上記のパーソナリゼーションの必要性をさらに増すという課題がある。
【0007】
結果として、多種多様な動画ソースをまたがったパーソナリゼーションを行なうという課題の重要性はきわめて大きくなっているが、従来のパーソナリゼーションの機能は各動画ソース内で閉じており、この課題に適切に対応する技術は存在していなかった。
【0008】
また、自宅の機器で録画したテレビ番組をネットワークを介して外出中に視聴するというスタイルが今後さらに普及すると、それによるネットワーク帯域への負担が問題となる可能性が高い。一般に、ネットワークを介した動画配信の効率化のために動画コンテンツをキャッシュ・サーバ上に事前にコピーしておくCDN(コンテンツ・デリバリ・ネットワーク)と呼ばれる技術が知られている(非特許文献2)。
【0009】
しかしながら、自宅の録画機器の視聴というシナリオでは、従来型CDNの効率性は高くない。同じユーザーが同じ動画コンテンツを視聴する回数は限られているからである。また、自宅機器に接続されたネットワークの帯域幅(特に、家庭から外部に向かう上りの回線)は制限されていることが多いためボトルネックとなる可能性が高い。この問題を解決しつつ、著作権法上の問題もクリアーしやすい解決策が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許公開公報US 2005/0183120
【特許文献2】特許公開公報2012−039417号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「デジタル放送の“リモート視聴“規格が決定。NexTV-F」(http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20140214_635336.html)
【非特許文献2】CDN [Contents Delivery Network] コンテンツデリバリネットワーク(http://e-words.jp/w/CDN.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
多様な動画コンテンツソースからユーザーの嗜好に合致するコンテンツを選択し、ユーザー端末に向けて効率的に配信するサーバ、コンピューター・プログラム、及び、方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、複数の動画提供サイトと視聴端末とが接続されたネットワークに接続された番組編成サーバであって、前記番組編成サーバは、前記動画提供サイトが提供する動画の動画属性保存手段と前記視聴端末を使用するユーザーのユーザー属性保存手段を備え、前記番組編成サーバは、前記動画属性保存手段内の複数の動画属性データと前記ユーザー属性保存手段名のユーザー属性データに基づいて、各動画の前記ユーザーに対する推奨値を算出し、各動画の識別子と前記推奨値とを対応づけて視聴端末に送信する番組編成サーバを提供することで上記課題を解決する。
【0014】
また、本願発明は、前記複数の動画提供サイトの少なくともひとつは宅内録画機器であって、前記宅内録画機器は前記番組編成サーバの指示に従って放送番組の録画を行なう段落0013に記載の番組編成サーバを提供することで上記課題を解決する。
【0015】
また、本願発明は、前記複数の動画提供サイトの少なくともひとつは放送局である段落0013又は段落0014のいずれかに記載の番組編成サーバを提供することで上記課題を解決する。
【0016】
また、本願発明は、複数の動画提供サイトと、前記動画提供サイトが提供する動画の動画属性保存手段と前記視聴端末を使用するユーザーのユーザー属性保存手段を備えた番組編成サーバとが接続されたネットワークに接続された視聴端末であって、前記視聴端末は、前記番組編成サーバに前記動画属性保存手段内の複数の動画属性データと前記ユーザー属性保存手段名のユーザー属性データに基づいて、各動画の前記ユーザーに対する推奨値を算出させ、各動画の識別子と前記推奨値とを対応づけて視聴端末に送信させる動画視聴端末を提供することで上記課題を解決する。
【0017】
また、本願発明は、前記複数の動画提供サイトの少なくともひとつは宅内録画機器であって、前記宅内録画機器は前記番組編成サーバの指示に従って放送番組の録画を行なう段落0016に記載の動画視聴端末を提供することで上記課題を解決する。
【0018】
また、本願発明は、前記複数の動画提供サイトの少なくともひとつは放送局である段落0016又は段落0017のいずれかに記載の動画視聴端末を提供することで上記課題を解決する。
【0019】
また、本願発明は、複数の動画提供サイト、番組編成サーバ、及び、視聴端末がネットワークで接続された情報システムにおいて、前記動画提供サイトのそれぞれから動画の属性情報を取得する手順と、前記動画の属性情報を動画属性保存手段に保存する手順と、前記動画属性保存手段中の前記動画の属性情報とユーザー属性保存手段中のユーザー属性とから前記動画の推奨値を算出する手順と、前記動画の識別子と前記推奨値を対応づけて前記視聴端末に送信する手順を含む動画配信方法を提供することで上記課題を解決する。
【0020】
また、本願発明は、前記複数の動画提供サイトの少なくともひとつは宅内録画機器であって、前記宅内録画機器は前記番組編成サーバの指示に従って放送番組の録画を行なう段落0019に記載の動画配信方法を提供することで上記課題を解決する。
【0021】
また、本願発明は、前記複数の動画提供サイトの少なくともひとつは放送局である、段落0019又は段落0020の動画配信方法を提供することで上記課題を解決する。
【0022】
また、本願発明は、コンピューターを段落0013、段落0014、又は段落0015のいずれかに記載の番組編成サーバとして機能させるコンピューター・プログラムを提供することで上記課題を解決する。
【0023】
また、本願発明は、コンピューターを段落0016、段落0017、又は段落0018のいずれかに記載の動画視聴端末として機能させるコンピューター・プログラムを提供することで上記課題を解決する。
【0024】
また、本願発明は、宅内録画機器、視聴端末、及び、放送番組録画保存手段がネットワークで接続された情報システムにおいて、前記視聴端末が前記宅内録画機器に視聴を希望する放送番組の属性情報を送信する手順と、前記宅内録画機器が前記放送番組録画保存手段に前記属性情報を送信する手順と、前記放送番組録画保存手段が前記属性情報に基づいて録画済みの放送番組から対応する場組を選択し、前記視聴端末に送信する手順とを含む動画配信方法を提供することで上記課題を解決する。
【0025】
また、本願発明は、宅内録画機器、視聴端末、及び、放送番組録画保存手段がネットワークで接続された情報システムにおいて、前記視聴端末が前記宅内録画機器に視聴を希望する放送番組の属性情報を送信するステップと、前記宅内録画機器が前記放送番組録画保存手段に前記属性情報を送信するステップと、前記放送番組録画保存手段が前記属性情報に基づいて録画済みの放送番組から対応する場組を選択し、前記視聴端末に送信するステップとをコンピューターに実行させる動画配信プログラムを提供することで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0026】
本願発明によれば、多様な動画コンテンツソースからユーザーの嗜好に合致するコンテンツを選択し、ユーザー端末に向けて効率的に配信するサーバ、コンピューター・プログラム、及び、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願発明に係る動画配信システムの一例の全体構成である。
図2】本願発明に係る番組編成サーバの機能構成の一例である。
図3】本願発明に係るユーザー属性データベースと番組属性データベース内のデータ項目の一例である。
図4】本願発明に係るパーソナライズド番組表の構成の一例である。
図5】本願発明に係る視聴端末の機能構成の一例である。
図6】本願発明に係る視聴端末の画面の一例である。
図7】本願発明に係るパーソナライズド番組表送信の処理フローの一例である。
図8】本願発明に係るパーソナライズド番組表への動画追加と削除に関する処理フローの一例である。
図9】本願発明に係る動画サイトからの動画属性情報の取得(クローリング)の処理フローの一例である。
図10】本願発明に係る切替アプリにおけるパーソナイズド番組表の更新の処理フローの一例である。
図11】本願発明に係る切替アプリの動画視聴時における処理フローの一例である。
図12】本願発明に係る宅内録画機器に録画された動画の視聴を効率的に行なうための手法の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(全体構成)
図1に本願発明に係る動画配信システムの一例の全体構成を示す。番組編成サーバ(101)、視聴端末(102)、複数の動画配信サーバ(103)、放送番組録画保存サーバ(104)、宅内録画機器(105)、及び、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)が、ネットワーク(107)を介して接続されている。
【0029】
番組編成サーバ(101)は、後述のデータベースの内容に基づいて各視聴者の嗜好に合った番組表(パーソナライズド番組表)を作成する機能を実行する手段であり、典型的には、一般的なコンピューター機器とプログラムにより実現される装置である。
【0030】
視聴端末(102)は、視聴者が主に外出中に動画コンテンツを観賞する手段であり、典型的にはタブレット端末やスマートフォンであるが、これに限定されず、パーソナル・コンピューター、スマートテレビ機器、車載機器、ウェアラブル端末等であってよい。また、外出中に限らず在宅時に使用されてもよい。
【0031】
動画配信サービス(103)は、今日のインターネットで一般的になっている動画の自動公衆送信サービスであり、YouTube(登録商標)などの誰でも無料で利用できるもの、テレビ局などのコンテンツ提供者自身が展開する公式動画サイト、及び、Hulu(登録商標)などの契約者のみにサービスを提供するインターネット・テレビ系のサービスを含む。
【0032】
放送番組録画保存サーバー(104)は、私的使用目的で録画された放送番組を保存する手段であり、典型的には、一般的なコンピューター機器とプログラムにより実現される装置である。
【0033】
現在の日本国の著作権法の解釈では、共有サーバに私的使用目的の著作物をおいて配信することは公衆送信と解釈され、著作権者および著作隣接者の許諾が必要となる可能性が高いが、著作権者とのビジネス上の取り決めとして許諾を得られる可能性があること、将来的に日本の著作権法の改正(あるいは解釈の変更)もあり得ること、そして、海外における利用可能性があることから、放送番組録画保存サーバー(104)を構成に含み得ることは、本願発明の技術的な意義を損なうものではない。
【0034】
宅内録画機器(105)は、各視聴者が自宅等の私的スペースに設置するテレビ放送や優先放送等の番組録画装置である。家電メーカーが提供するハードディスク・レコーダー、放送チューナー機能を備えたパーソナル・コンピューター、及び、録画番組を保存するファイル・サーバー等がこのような装置の例である。ユーザーはネットワークを介して視聴端末(102)から宅内録画機器(105)に保存されている番組視聴が可能である。この形態の視聴方式は公衆送信ではないことから、著作権法上は権利者の許諾が不要と解釈されている。
【0035】
宅内録画機器(センターコントロール型)(106)は、宅内録画機器(105)と同様の、各視聴者が自宅等の私的スペースに設置するテレビ放送や優先放送等の番組録画装置であるが、番組編成サーバ(101)とネットワークを介してやり取りし、その制御下にある点が異なる。典型的には、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)は、番組編成サーバ(101)を提供する事業者によって提供される。番組編成サーバ(101)上で稼働するプログラムから、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)の録画内容を照会したり、次に録画すべき番組を指定したりすることができる。
【0036】
ネットワーク(107)は、典型的にはインターネットである。
【0037】
放送局(108)は、地上波、衛星波、ケーブルテレビ、あるいは、IPTV等により番組提供を行なう主体である(本明細書の記載では、「放送」には著作権法上で定義される(放送電波による)放送に加えて、有線放送、インターネットにおける同時多報型のストリーム配信を含むものとする)。視聴端末(102)は、放送局(108)が提供する放送番組をリアルタイムで視聴する機能(テレビ放送電波を受信するものは一般にワンセグ、又は、フルセグと呼ばれる)、及び、録画しておき後でタイムシフト視聴する機能を備えていてもよい。また、放送番組録画保存サーバー(104)、宅内録画機器(105)、及び、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)は、放送局(108)が提供する放送番組を録画する機能を備えている。放送番組録画保存サーバー(104)は受信可能な番組を網羅的に常時録画していてもよい。宅内録画機器(105)も複数の番組を常時録画していてもよい。宅内録画機器(センターコントロール型)(106)は、ユーザーの指示により番組を録画することに加えて、番組編成サーバ(101)の指示に応じて番組の録画を行なう機能を備えていることが望ましい。
【0038】
(番組編成サーバの機能構成)
図2に番組編成サーバ(101)の機能構成の一例を示す。番組編成サーバ(101)は、少なくとも登録ユーザーの属性や嗜好情報を保存する個人嗜好データベース(1014)と配信対象となる動画コンテンツの属性を保存する動画属性データベース(1015)を備え、パーソナライズ処理プログラム(1011)が両者のデータのマッチング処理を行なうことで、個々のユーザーのためのパーソナライズド番組表を作成し、視聴端末(102)に送信する。パーソナライズド番組表は個々のユーザーの視聴対象となる動画コンテンツを所定の数のパーソナライズドチャンネルとして列挙した表である(以降では、「パーソナライズドチャンネル」を「チャンネル」と略称することがあるが、放送番組のチャンネルとは異なる概念である)。ここで、パーソナライズド番組表に含まれる動画コンテンツのソースは、動画配信サーバ(103)、放送番組録画保存サーバ(104)、宅内録画機器(105)、宅内録画機器(106)、放送局(108)のリアルタイム放送、及び、視聴端末(102)に保存された動画コンテンツ等、多様であることが望ましい。動画サイトのパーソナライズ処理プログラム(1011)によるパーソナライズド番組表作成の具体的な処理ロジックについては後述する。
【0039】
クローリング処理プログラム(1012)はインターネットの動画サイト、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、放送局が提供する番組情報、及び、番組情報提供業者が提供する番組情報等から、動画コンテンツに関する属性情報(メタデータ)を収集し、動画属性データベース(1015)に保存するプログラムである。
【0040】
宅内録画機器制御プログラム(1013)は、利用者が自宅内に設置した宅内録画機器(センターコントロール型)(106)にとネットワーク(107)を介してやり取りし、録画指令を送信したり、録画番組の内容を照会したりするプログラムである。
【0041】
図3−a)に個人嗜好データベース(1014)の内容の一例を示す。本願発明に係る動画配信システムのユーザー(視聴者)には、それぞれユニークな識別子(個人ID)が付与される(付与方法は設計事項であり自由に決定できる)。ユーザーには、その嗜好を表わすタグ(たとえば、「恋愛」、「経済」等)が関連づけられている。関連の度合い(嗜好の強さ)を関連度の数値で表わすことが望ましい。また、関連のタイプ(たとえば、「言語」、「ジャンル」等)ごとにタグが割り当てられていてもよい。個人嗜好データベース(1014)は、視聴者自身の入力に基づいて作成してもよいし、視聴者の動画視聴の履歴に基づいて作成しても、両者の組み合わせによって作成してもよい。
【0042】
図3−b)に、動画属性データベース(1015)の内容の一例を示す。動画にはユニークな識別子(動画ID)が付与される(付与方法は設計事項であり自由に決定できる)。動画には、その内容や特性を表わすタグ(たとえば、「銀行」、「恋愛」、「熟年」等)が関連づけられている。関連の度合いを関連度の数値で表わすことが望ましい。また、関連のタイプ(たとえば、「ジャンル」、「主演」等)ごとにタグが割り当てられていてもよい。タグ間の関連性を関連度(たとえば、「金融」と「銀行」は関連度が高い)で表現してもよい。動画属性データベース(1015)の内容は、サービスの提供業者あるいは専門業者が手作業で入力してもよく、動画のメタデータ(たとえば、動画サイトにおけるジャンルや説明文、デジタル放送において放送局が提供する属性データ)から自動的に抽出してもよい。
【0043】
(パーソナライズド番組表の構成)
図4にパーソナライズド番組表の構成の一例を示す。パーソナライズド番組表は所定の数(この例では9個)のチャンネル(パーソナライズドチャンネル)から成る表である。チャンネル数は固定でも可変でもよい。各チャンネルにはそのチャンネルで表示される動画の動画ID(識別子)が対応付けられている。動画視聴終了後の切り替えを迅速にするために次に表示される動画の動画IDも事前に保存しておいてもよい。動画IDに対応するタイトル、及び、種別(動画ソース)を動画属性データベース(1015)から読み出し、迅速な表示のために、パーソナライズド番組表に保存しておいてもよい。テレビの生放送番組のように、特定時刻からしか再生できない動画ソースの場合には、その開始時刻も保存しておくことが望ましい。
【0044】
(視聴端末の機能構成)
図5に視聴端末(102)の機能構成の一例を示す。パーソナライズド番組表ファイル(1022)は、番組編成サーバ(101)が作成し、送信してきたパーソナライズド番組表(図4参照)を一時的に保存するファイルやデータベースである。切替アプリ(1021)は、動画配信サービス(103)、動画録画サービス(104)、宅内録画機器(105)、及び、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)といった動画ソースが提供するコンテンツを再生しつつ、パーソナライズド番組表ファイル(1022)の内容に基づいて、視聴端末(102)の画面上で動画を再生すると共に、ユーザーが動画コンテンツを切り替えられるチャンネル切り替えボタンを表示する。この切替アプリ(1021)処理の具体的ロジックについては後述する。視聴端末(102)は、放送番組を地上波、衛星波、IPTV等の手段により受信できる放送番組受信手段(1023)、放送番組の録画を保存する手段(ファイル等)(1024)を備えていてよい。視聴端末(102)は、また、視聴端末(102)は、インターネットへの接続手段、表示手段、ユーザー入力手段を備えるが、これらは周知の技術であるため図示していない。
【0045】
図6に切替アプリ(1021)の画面の一例を示す。この例では、画面の左側にユーザーが視聴中の動画が表示されており、右側にパーソナライズドチャンネル(この例では、LAN内PC、Hulu(登録商標)、テレビ生中継、テレビ録画、及び、Youtube)の切替のためのボタン(動画のサムネールであってもよい)と共に配置されている。複数の動画配信サービス(103)、複数の放送番組録画保存サーバー(104)、宅内録画機器(105)、及び、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)等をソースとする動画コンテンツを横断してユーザーの嗜好に合致した動画コンテンツを表示できることが望ましい。また、その時点で放送中のテレビ番組の中でユーザーの嗜好に合致するもの(たとえば、スポーツの生中継、臨時ニュース等)があればチャンネルのひとつとして表示する、又は、ポップアップやメッセージ等によりユーザーに視聴を促すことが望ましい。ユーザーの嗜好との適合度が高い動画種別を操作しやすい位置(典型的には、画面中央部)に置いてもよい。また、適合度に応じて、推薦動画切り替えボタンの形状や色を変化させてもよい。また、各推奨動画にはどのようなロジックでその番組が推薦されたかの理由を表示することが望ましい。動画切り替えボタンは、キー入力や画面上でのジェスチャーにより表示・非表示を切り替えられ、また、一定時間操作がない場合には非表示になることが望ましい。また、スクロール操作により、一画面では表示されていないチャンネルも表示できるようにすることが望ましい。切替アプリ(1022)の番組切替の処理ロジックについては後述する。
【0046】
なお、上記の機能の各物理的機器への配置は一例であり、各機能はネットワークで接続された任意の機器上で稼働していてよい。たとえば、個人嗜好データベース(1014)や動画属性データベース(1015)が、パーソナライズ処理プログラム(1011)が稼働するサーバとは物理的に異なるサーバ上で稼働していてもよい。同様に、たとえば、切替アプリ(1021)に相当する機能が仮想デスクトップ・サービスを提供するサーバ上で稼働しており、そこから視聴端末(102)に対して画面イメージやユーザー入力をやり取りする形態になっていてもよい。
【0047】
(パーソナライズド番組表配信ロジック)
図7に、パーソナライズ処理プログラム(1011)によるパーソナライズド番組表作成の処理ロジックを示す。切り替えアプリ(1021)から送信されたパーソナライズド番組表(以下、「番組表」と略称)の作成要求に応じて、パーソナライズ処理プログラム(1011)は、切替アプリ(1021)から、現番組表、アクセス可能動画種別(たとえば、家庭にいる場合はLAN上の宅内録画機器(105)にアクセスできるが外出時であればアクセスできないケースが考えられる)、視聴・操作履歴等を受信する。そして、個人嗜好データベース(1014)の鮮度情報を更新する(鮮度とは動画コンテンツの時間に応じた推奨度を表わす数値であり、たとえば、ニュース番組の録画であれば放送直後は鮮度が高く、時間の経過と共にその鮮度は低くなっていくように算出される)。次に、番組表から削除する番組を決定する(削除のロジックについては後述する)。次に、動画属性情報を動画属性データベース(1015)から、利用者の個人嗜好情報を個人嗜好データベース(1012)から読み取り、各動画のその利用者に対する推奨値を算出し、推奨値が所定の閾値を超える動画をパーソナライズド番組表に追加し、新たなパーソナライズド番組表を作成して、切替アプリ(1021)に送信する。
【0048】
図8−a)に現番組表からの削除動画の決定フローを示す。第一に、ユーザーが動画に対して行ったポジティブな操作(たとえば、動画を最後まで繰り返し視聴する操作等)の回数、とネガティブな操作(たとえば、動画の再生を途中で停止し、別番組に切り替える操作等)の回数を加味して、動画のそのユーザーに対する推奨値に反映する。また、動画を番組表に追加してからの時間を加味して推奨値を調整する。番組表に追加してから時間が長い動画は推奨値を低くするような演算を適用することが望ましい。次に動画の鮮度情報とユーザー・タグの鮮度情報を更新する。この処理をすべての動画について繰り返し、各動画のそのユーザーに対する推奨値を計算する。推奨値が所定の閾値以下である動画、あるいは、推奨値が所定の順位内(たとえば、上位5位まで)に入らなかった動画は、パーソナライズド番組表からの削除対象とする。
【0049】
図7−b)に現番組表への追加動画の決定フローを示す。第一に緊急放送の鮮度を設定する。緊急放送とはたとえば災害情報等の臨時ニュースに相当するものである。次に、生中継・生番組(放送電波によりリアルタイムで供給されるコンテンツ)の鮮度を算出する。放送番組のコンテンツ内容については、管理者が手作業で入力することもできるし、放送番組情報の提供業者から入手してもよい。次に、ユーザーとタグ関連度とタグと動画の関連度を乗じ、現在時刻、及び、曜日による補正を行なう(たとえば、通勤時間にはニュースを優先する、休日にはスポーツ番組を優先するなどの補正を行なうことが望ましい)。この処理をすべての動画について繰り返し、各動画のそのユーザーに対する推奨値を計算する。推奨値が所定の閾値以上である動画、あるいは、推奨値が所定の順位内(たとえば、上位5位まで)に入った動画を、番組表に追加する。ここで、1)緊急生放送(大地震情報、大事件情報等)がある場合(このような放送については、EPG情報またはソーシャル・メディア上の情報から判定可能である))は無条件に番組表に追加する、2)直近の視聴中断動画がある場合は、動画の鮮度情報が閾値を下回ってないかぎり番組表に追加する、3)直近の視聴完了動画があり、かつ、前後順序関係の強い動画(たとえば、連続ドラマの続編)がある場合は、動画の鮮度情報がしきい値を下回ってないかぎり番組表に追加する、4)視聴に定期(毎日、毎週、毎月)性が強い動画がある場合は、動画の鮮度情報が閾値を下回ってないかぎり番組表に追加する、5)一定期間内に視聴された視聴評価が高く、かつ、前後関連の強い動画を番組表に追加する、等のロジックを使用してよい。
【0050】
(動画クローリング処理)
図9に、クローリング処理プログラム(1012)が、複数の動画配信サーバ(103)等を巡回して、配信対象の動画の属性情報を収集する処理(クローリング処理)のフローを示す。クローリング処理では、デジタル放送に含まれる放送波メタデータと放送波字幕データ、動画の権利者が提供するサイトのデータ、動画を評論するブログのデータ、動画レビューサイトのデータ、SNSの動画関連コメントのデータ等を取得することが望ましい。また、動画の属性や評価に関するデータをできるだけ多く取得可能なように、取得機能に係るプログラムはアダプターとして部品化し、機能追加を容易にしておくことが望ましい。
【0051】
(宅内録画機器(センターコントロール型)の処理)
前述のとおり、番組編成サーバ(101)の宅内録画機器制御プログラム(1013)はネットワーク(107)を介して宅内録画機器(センターコントロール型)(106)の制御を行なうが、ここで、以下のようなロジックを採用して良い。1)宅内録画機器(センターコントロール型)(106)は、録画可能チューナが空き次第、チューナ種別(地デジ、衛星、地域)を宅内録画機器制御プログラム(1013)に通知する、2)宅内録画機器(センターコントロール型)(106)は、パーソナライズ処理プログラム(1011)が個人嗜好データベース(1014)と動画属性データベース(1015)から判断した録画すべきチャンネル、開始時刻、終了時刻、及び、選択理由を宅内録画機器制御プログラム(1013)から取得する。ストレージに録画に必要な空容量が無い場合は、パーソナライズ処理プログラム(1011)が個人嗜好データベース(1014)と動画属性データベース(1015)から判断した優先度の低い番組を削除することで、空き容量を確保してもよい。ここで、視聴完了動画コンテンツ、または、最も録画時刻が古い動画コンテンツを、別のクラウドサーバに保存した後に自動録画機の宅内録画機器(センターコントロール型)(106)のストレージから削除してもよい。3)宅内録画機器(センターコントロール型)(106)開始時刻まで待機する。4)宅内録画機器(センターコントロール型)(106)開始時刻に自動録画を開始する。5)宅内録画機器(センターコントロール型)(106)は、宅内録画機器制御プログラム(1013)に録画開始を通知する。
【0052】
宅内録画機器(センターコントロール型)(106)は、切替アプリ(1021)からのリクエストによりライブ放送をリアルタイムトランスコードをしながらストリーミング配信する機能、切替アプリ(1021)からのリクエストにより録画放送をストリーミング配信する機能、及び、切替アプリ(1021)からのリクエストにより録画中放送をタイムシフトストリーミングする配信する機能を備えていることが望ましい。
【0053】
(切替アプリの処理ロジック)
図10に切替アプリ(1021)によるパーソナライズド番組表更新の処理フローを示す。パーソナライズド番組表の更新は、切替アプリ(1021)が定期的にパーソナライズ処理プログラム(1011)に対して更新要求を送信することで行なうことが望ましい。送信の間隔は設定可能になっていることが望ましい。また、ユーザーが随時作成を要求できるようにしてもよい。
【0054】
図11に切替アプリ(1021)による番組視聴時のユーザー操作に対応した処理フローを示す。切替アプリ(1021)は、まず、パーソナライズド番組表を取得する。その後、選択されたチャンネル動画コンテンツを再生していく。ユーザーの明示的な操作がない場合には自動的かつ連続的に番組表の各チャンネルに相当する動画コンテンツを再生していくことが望ましい。ユーザーの操作がチャンネル切替であった場合には指定されたチェンネルの動画に切り替えて再生を継続する。ここで、動画には放送局から放送電波(108)等で提供されるリアルタイムの放送番組、及び、宅内録画機器(105)並びに宅内録画機器(センターコントロール型)(106)に保存されたコンテンツが含まれていてよい。番組のスキップ操作であった場合には同動画種別の次の項目に相当する動画コンテンツを選択して再生を行なうことが望ましい。ユーザーが特別な操作を行なっておらず、かつ、前回の番組表作成時から一定期間が経過している場合にはパーソナライズド番組表の更新をパーソナライズ処理プログラム(1011)に依頼することが望ましい。
【0055】
(放送番組の仮想キャッシュ)
視聴端末(102)に動画配信サービス(103)、放送番組録画保存サービス(104)、宅内録画機器(105)、及び、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)等の動画ソースから動画配信を行なう際には、ネットワーク帯域への負担を最小化するために、動画コンテンツをキャッシュ・サーバに複製しておき、視聴端末(102)からの要求に対してキャッシュ・サーバによって対応可能な場合には、元の動画ソースではなくキャッシュ・サーバ側の動画コンテンツを視聴可能にすることが望ましい。
【0056】
ここで、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)に録画された放送番組の視聴を行なう場合には、放送番組録画保存サービス(104)に録画された同番組の動画データを使用するようにしてもよい。放送番組録画保存サービス(104)で全放送番組を録画していれば、ユーザーが求める番組録画データはそこに存在するからである。こうすることで、キャッシュ・サーバへの複製によるネットワークの負担を軽減することができる。将来的に、ネットワークを介した宅内録画機器内の番組録画の視聴が普及すると配信のためのデータ量、あるいは、キャッシュ・サーバへの複製のデータ量によりインターネットが輻輳するリスクがあるが、本願発明のような実際には複製を行なわない仮想的な複製方式を取ることで、このリスクを軽減できる。
【0057】
この場合に、放送番組録画保存サービス(104)は、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)内で保存されている番組録画データの属性情報(番組名、録画開始時刻・終了時刻、エンコード方式時)を宅内録画機器(センターコントロール型)(106)内とのやり取りを行なうことで取得し、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)上に存在する録画データのみをキャッシュとして配信する制限を行なっておくことが望ましい。このような配信方法でも、著作権法の解釈では権利者の許諾が必要となる可能性があるが、実質的にユーザー視聴端末に送られる動画データの内容はユーザーが宅内録画機器(センターコントロール型)(106)で録画した番組データとデジタルデータとしてまったく同一であり、ユーザーが録画しなかった番組までも制限なしに配信する仕組みではないため、権利者の許諾が得られやすくなるという実益があり、技術的な意義がある。
【0058】
図12に上記のキャッシュ配信方式の処理フローを示す。(S1201)視聴端末(102)上の切替アプリ(1021)が、宅内録画機器(センターコントロール型)(106)上の動画コンテンツを要求する。(S1202)宅内録画機器(105)は要求された動画コンテンツが保存されていることを確認した後に、放送番組録画保存サーバー(104)に動画コンテンツ関連情報(番組名等の番組識別情報、録画開始時刻、録画終了時刻、エンコード方式等)を送信する。代替の手順として、切替アプリ(1021)が先に放送番組録画保存サーバー(104)に問い合わせ、放送番組録画保存サーバー(104)が当該端末利用者の宅内録画機器(センターコントロール型)(106)に問い合わせを行なうようにしてもよい。(S1203)放送番組録画保存サーバー(104)は、その動画コンテンツが提供可能である場合には(実際には全放送チャンネルで常時録画を行なっているため提供可能であることがほとんどである)、切替アプリ(1021)に対してその動画コンテンツをストリーミング配信する。動画コンテンツのデータは、切替アプリ(1021)が宅内録画機器(センターコントロール型)(106)に直接的に要求を行なった場合に配信されるデータとまったく同等である(同じ元デジタル・データを同じエンコード方式でエンコードすることから同一性が担保される)。宅内録画機器(105)に接続されるネットワークは家庭向けであり帯域に制限があることが多いが、放送番組録画保存サーバー(104)はより豊富な帯域を使用可能であるため、ユーザーの視聴体験も快適であり、ネットワークへの負担も小さい。
【0059】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
以下に、本願発明による先行技術と比較した技術的に顕著な効果について再度まとめる。第一に、各種の動画サイト、クラウド上に保存された放送番組、利用者の家庭に置かれた録画機器に保存された動画、及び、リアルタイムの放送番組といった多様なソースの動画から複数ソースを横断的に分析して、ユーザーにとって最適な番組を提供することができる。従来も単一の動画サイト内での推奨機能は存在したが、複数の動画サイトをまたがった推奨を行なえる点に技術的意義がある。加えて、録画番組だけでなくリアルタイムの放送番組も選択対象に含められる点は、ユーザーにとっての価値が大きい。第二に、ユーザーが特別な操作を行なわなくても、推奨された番組が連続再生される一方で、ユーザーは自分の意思でチャンネルを切り替えることもでき、あたかも従来型テレビのような感覚でネット上の動画コンテンツを楽しむことができる。第三に、動画(特にテレビ放送番組)の著作権者・著作隣接権者にとって抵抗が少ない形で宅内録画機器から個人に向けてネットワーク経由の視聴を行なうことができる。
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