【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 納品日 平成27年 3月26日 納品場所 日本大学 経済学部 本部(東京都千代田区三崎町1−3−2) 納品日 平成27年 5月18日 納品場所 日本大学 経済学部 本部(東京都千代田区三崎町1−3−2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接地部材が前記床面に押し付けられる方向に、前記スイング部材を付勢する付勢部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の天板付什器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された構成においては、脚部材の両端部に設けられた接地体を上下動させるためのリンクアームは、複数のリンク部材が組み付けられて構成されている。したがって、構造が複雑であり、部品点数が多くなり、これにともない組立工数も増加するという問題点がある。
【0008】
また、特許文献2に開示された構成においては、特許文献1に比較すれば、構造が簡素であるが、接地体によるテーブルの拘束を解除するには、レリーズワイヤによって揺動体の他方の側を直接操作して鉛直上方に引き上げる必要があり、操作に大きな力を有する。
さらに、特許文献2に開示された構成は、揺動体が軸部材回り回動することで揺動体に設けられた接地体の端部が床面に当接してテーブル装置の移動を拘束するものである。つまり、接地体の端部と床面との間に生じる摩擦力により、テーブル装置の移動を拘束するものであるから、接地体を床面に対して大きな力で押し付けて、テーブル装置が移動しないように拘束する制動力を高めることは困難である。
【0009】
そこでなされた本発明の目的は、使用状態においては天板付什器が移動しないように小さな操作力で大きな制動力を発揮しつつ、移動させる際には移動の拘束を容易に解除するとともに、部品点数を抑えることのできる天板付什器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
この発明に係る天板付什器は、物品を載置可能な上面を有した天板と、床面上に設置され、前記天板を支持する支持脚と、前記支持脚の下部に設けられ、前記床面上を走行移動可能とするキャスターと、前記支持脚に設けられ、前記キャスターより下方に突出して前記床面に接地可能な接地部材と、前記接地部材を出没させる駆動機構と、前記駆動機構を作動させる操作部と、を備え、前記駆動機構は、一端部が前記支持脚に設けられた第一支持軸回りに回動自在とされ、他端部側には前記接地部材が設けられ、前記第一支持軸回りに回動することによって前記接地部材を前記床面に対して接離させるスイング部材と、前記スイング部材に形成され、前記一端部から前記他端部とを結ぶ方向に連続するガイド溝と、上端部が前記第一支持軸の上方に設けられた第二支持軸回りに回動自在に支持されるとともに、下端部には前記ガイド溝に沿ってスライド可能なスライド軸が設けられ、前記操作部によって前記第二支持軸回りに揺動操作される連係部材と、を有し、前記接地部材が床面に接地した状態で、前記連係部材が揺動され鉛直方向を超えて傾斜した姿勢であるとともに、前記スライド軸は前記ガイド溝の一端部に突き当たってスライドが拘束されることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、天板付什器の使用状態では、スイング部材に設けられた接地部材がキャスターより下方に突出して床面に接地することで制動力を発揮し、キャスターによる天板付什器の移動が拘束される。この状態から、操作部により駆動機構の連係部材を第二支持軸回りに揺動させると、連係部材の下端部に設けられたスライド軸が、第二支持軸を中心とした円弧状の軌跡に沿って移動する。このように円弧状の軌跡に沿って鉛直方向に移動するスライド軸が、スイング部材に形成されたガイド溝に沿ってスライドすることで、連係部材の揺動にともなって、スイング部材は一端部の第一支持軸を中心として他端部側を鉛直方向に回動させる。このスイング部材の回動動作によって、スイング部材の他端部に設けられた接地部材が床面に対して接離し、天板付什器の移動の拘束および解除を切り換えることができる。
上記のように、接地部材を設置するためにスイング部材の他端部を上下に揺動させるには、駆動機構の連係部材が第二支持軸回りに回動するように、操作部によって横方向に力を加えればよく、必要な操作力が小さくて済む。
上記のように、接地部材が下方に突出して床面に接地した状態では、連係部材が揺動され鉛直方向を超えて傾斜した姿勢であるとともに、スライド軸はガイド溝の一端部に突き当たってスライドが拘束されている。よって、天板付什器の自重が連係部材に作用することによって生じる力の水平方向の分力が、連係部材の下端部をガイド溝の一端部に押し付ける方向、つまり連係部材に設けられたスライド軸をガイド溝の一端部に押し付ける方向に作用する。これにより、接地部材が下方に突出して接地した状態から連係部材が不用意に動きにくく、大きな制動力が発揮される。
さらに、このような構成によれば、駆動機構を多数のリンク材で構成する場合に比較し、部品点数が少なくて済む。また、上記のように大きな制動力を有するため、例えば接地部材を1箇所のみ設ければ十分な場合には、1個の駆動機構を設ければよく部品点数をさらに抑えることができる。
【0012】
また、この発明に係る天板付什器は、上記天板付什器において、前記操作部が、前記連係部材に一端部が連結されたケーブルと、前記スライド軸を前記ガイド溝の前記一端部とは反対側の他端部に接近させる方向に、前記連係部材が回動するよう前記ケーブルを引っ張るケーブル引張手段と、を備えるようにしてもよい。
このような構成によれば、ケーブル引張手段によってケーブルを引っ張ることで、ケーブルの一端部に連結された連係部材が揺動される。連係部材の当該揺動とともに、連係部材に設けられたスライド軸がガイド溝の他端部側に接近する方向にスライドする。スライド軸の当該スライドとともに、スイング部材が一端部の第一支持軸を中心として回動する。これによって、スイング部材の他端部に設けられた接地部材を床面から離間させ、天板付什器の移動の拘束を解除することができる。
【0013】
また、この発明に係る天板付什器は、上記天板付什器において、前記天板が、前記支持脚に対して回動自在に連結され、前記ケーブル引張手段は、前記天板の回動中心から離間した位置に、該天板に設けられたケーブル係止具であるようにしてもよい。
このように構成することで、天板を回動させて、ケーブル引張手段としてのケーブル係止具を上方に移動させると、ケーブルが引っ張られる。これによって、天板の回動動作に連動して、スイング部材の他端部に設けられた接地部材を床面から離間させ、天板付什器の移動の拘束を解除することができる。
【0014】
また、この発明に係る天板付什器は、上記天板付什器において、前記ケーブルには、前記天板を水平状態から回動させたときに前記ケーブル係止具に係止される被係止部が設けられ、前記ケーブルの他端部は、他の前記ケーブル引張手段として前記天板に回動自在に設けられたレバーに連結されているようにしてもよい。
このように構成することで、天板を回動させて、ケーブル引張手段としてのケーブル係止具を上方に移動させると、ケーブル係止具がケーブルに設けられた被係止部に係止されてケーブルが引っ張られる。また、天板を使用状態としたままで、レバーを回動させると、ケーブルの他端部を引っ張ることができる。このようにして、天板自体の回動動作と、レバーの回動動作との双方を選択的に行うことで、スイング部材の他端部に設けられた接地部材を床面から離間させ、天板付什器の移動の拘束を解除することができる。
【0015】
また、この発明に係る天板付什器は、上記天板付什器において、前記接地部材が前記床面に押し付けられる方向に、前記スイング部材を付勢する付勢部材をさらに備えているようにしてもよい。
このように構成することで、接地部材が床面から離間した状態から、接地部材を接地させる際には、付勢部材の付勢力によって接地部材を容易に接地させることができる。また、接地部材が床面に接地した状態では、付勢部材の付勢力によって、制動力を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る天板付什器によれば、使用状態においては天板付什器が移動しないように小さな操作力で大きな制動力を発揮しつつ、移動させる際には移動の拘束を容易に解除するとともに、部品点数を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る天板付什器の実施形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
図1は、この発明の一実施形態に係る天板付什器(デスク装置)の全体構成を示す斜視図である。
図2は、上記デスク装置の側断面図である。
図3は、上記デスク装置の上部の構成を示す側断面図である。
図4は、上記デスク装置の支持脚の後端部の構成を示す側断面図である。
図5は、上記支持脚の後端部に設けられた後部ストッパ部材の駆動機構の構成を示す斜視図である。
なお、以下の説明において、テーブル装置10が設置される床面F側を「下方」、その反対方向を「上方」、ユーザがテーブル装置10に対向する側を「前方」、その反対側を「後方」、水平面内で前方と後方とを結ぶ方向に対して直交する方向を「幅方向」と適宜称する。
【0020】
図1に示すように、テーブル装置(天板付什器)10は、床面F上に設置され、上下方向に延びる二本一対の支持脚20と、物品が載置可能な上面30fを有し、支持脚20の上端部に支持された例えば平面視矩形状の天板30と、テーブル装置10の背面側において天板30の下方に位置し、支持脚20の間の空間を閉塞する幕板15と、を備えている。
【0021】
支持脚20は、天板30の幅方向両端部にそれぞれ設けられている。
なお、本発明においては、支持脚20を二本一対に限定するものではなく、天板30のサイズや形状によっては、一本のみ、あるいは三本以上の支持脚20を備える構成とすることもできる。
【0022】
各支持脚20は、床面F上に設置されるベース部21と、ベース部21から上方に延び、天板30を下方から安定して支持可能な中空柱状の支柱部23とを備えている。本実施形態において、支柱部23は、ベース部21の後端部21rから斜め前方に向けて延出するよう立設されている。
また、一対の支持脚20、20の支柱部23、23どうしは、天板30の幅方向に延びる連結杆23jによって一体的に連結されている。
【0023】
図2、
図3に示すように、それぞれの支持脚20の支柱部23の上端部には、板状のサポートプレート31が設けられている。サポートプレート31には、天板30の幅方向に延びるシャフト32の両端部が、シャフト32に対して回動可能に支持されている。
天板30の下面には、幅方向両側に、前後方向に延びる支持ブラケット33がそれぞれ固定されている。支持ブラケット33には、サポートプレート31が装着されている。これにより、天板30は、支持ブラケット33とともに、シャフト32回りに回動可能とされている。
【0024】
図1に示すように、支持ブラケット33において、天板30の幅方向外方を向く側面33aには、ロックレバー34が設けられている。ロックレバー34は、支持ブラケット33に回転自在に支持された回転軸34s(
図3参照)を中心に回動可能に設けられている。
図3に示すように、回転軸34sには、板状のロックプレート34tが一体に設けられている。このロックプレート34tには、その外周部の所定位置に係合凹部34uが形成されている。
サポートプレート31には、シャフト32を中心とした同心円上において周方向に間隔を空けた2カ所にロックピン33p、33qが設けられている。
ロックレバー34のロックプレート34tは、係合凹部34uにロックピン33pまたは33qを係合させることで、天板30を、上面30fが水平面内に位置する使用状態(
図2、
図3において実線で示す状態)と、前端部30a側が上方に跳ね上げられた不使用状態(
図2、
図3において二点鎖線で示す状態)とにそれぞれロックすることができる。
【0025】
図2に示すように、天板30の後端部30bには、天板30の下面から下方に向かって斜め後方に延出するサポートアーム35が設けられている。サポートアーム35は、幕板15の上端部に設けられたジョイント部材16に、前後方向を含む鉛直面内で回動自在に連結されている。
幕板15の下端部には、ジョイント部材17を介し、リンクプレート18が前後方向を含む鉛直面内で回動自在に連結されている。支柱部23には、支柱部23が延びる方向に連続するスリット(図示無し)が形成されている。リンクプレート18の下端部は、スリット(図示無し)に沿ってスライド移動自在に係止されている。
幕板15は、天板30を使用状態としたときに、天板30の後端部30bの下側からほぼ鉛直下方に延びるように配置される(
図2において実線で示す状態)。この使用状態から、天板30の前端部30a側を上方に跳ね上げると、天板30がシャフト32回りに回動するにともなって天板30と一体に回動するサポートアーム35に連動し、幕板15が下方かつ前方に移動する。これにともなって、リンクプレート18は、スリット(図示無し)に沿って下方にスライドする。これによって、幕板15は、支柱部23の後方に沿う位置に移動する(
図2において二点鎖線で示す状態)。
【0026】
ベース部21は、支柱部23の下端に一体に設けられ、床面Fに沿って前後方向に延びるベースフレーム24と、ベースフレーム24を覆うカバー25と、を備えている。ベース部21の上面21u(カバー25の上面)は、後端部21rに対して前端部21f側が漸次低くなるよう、傾斜して形成されている。
【0027】
ベースフレーム24の前端部24fおよび後端部24rには、床面F上で回転自在なキャスター26、27が設けられている。さらに、キャスター26、27は、ベースフレーム24に対し、鉛直軸回りに回動自在に設けられている。これらのキャスター26、27により、テーブル装置10は、床面F上で、任意の方向に容易に走行移動可能とされている。
【0028】
また、ベースフレーム24の前端部24fおよび後端部24rには、キャスター26、27によるテーブル装置10の移動の拘束、および前記拘束の解除が可能なストッパ機構50が設けられている。
【0029】
ストッパ機構50は、前部ストッパ部材51と、後部ストッパ部材(接地部材)52と、付勢部材53と、駆動機構60と、を備えている。
【0030】
前部ストッパ部材51は、ベースフレーム24の前端部24fにおいて、キャスター26よりも前方に設けられている。前部ストッパ部材51は、その下面が平面状の接地面51sとされている。接地面51sは、キャスター26よりも下方に突出するように設けられている。
【0031】
図4、
図5に示すように、後部ストッパ部材52は、ベースフレーム24の後端部24rに配置されたスイング部材55の下面に設けられている。スイング部材55は、天板30の幅方向に間隔を空けて対向配置された一対の側板55a,55aと、スイング部材55の後端部55rにおいて側板55a,55aの下端部同士を連結する底板55bと、を有している。スイング部材55は、側板55a,55aが、キャスター27よりも後方まで延び、底板55bがキャスター27の後方に配置されている。スイング部材55の前端部55fは、両端部が支持脚20のカバー25等に固定された第一支持軸56回りに回動自在とされている。第一支持軸56は水平方向(天板30の幅方向)に沿って延び、キャスター27よりも前方に設けられている。これにより、側板55aは、第一支持軸56回りに鉛直面内で揺動自在となっている。
【0032】
また、スイング部材55の後端部55rにおいて、一対の側板55a,55aには、天板30の前後方向に連続するガイド溝57がそれぞれ形成されている。
【0033】
後部ストッパ部材52は、スイング部材55の底板55bの下面に一体に設けられている。後部ストッパ部材52は、ベースフレーム24の後端部24rにおいて、キャスター27よりも後方に配置されている。
【0034】
付勢部材53は、コイルスプリング等からなり、スイング部材55の底板55bと、ベースフレーム24の後端部24rに一体に設けられたホルダ部材58との間に、スイング部材55を下方に向かって付勢するように設けられている。
【0035】
スイング部材55の側板55a,55aにおける天板30の幅方向中央部には、連係部材61が配置されている。連係部材61は、両端部が支持脚20のカバー25等に固定された第二支持軸61s回りに回動自在とされている。第二支持軸61sは水平方向(天板30の幅方向)に沿って延び、キャスター27よりも後方において連係部材61の上端部に設けられている。第二支持軸61sは、第一支持軸56よりも上方に配置されている。これにより、連係部材61は、第二支持軸61s回りに鉛直面内で揺動自在となっている。この連係部材61は、図示しない捩りコイルバネによって、スイング部材55を下方へ回動させる方向に付勢されている。連係部材61の下端部には、天板30の幅方向両側にそれぞれ突出するスライド軸61tが一体に形成されている。各スライド軸61tは、連係部材61が第二支持軸61s回りに揺動したときに、スイング部材55に形成されたガイド溝57に沿ってスライド移動する。
本実施形態では、スイング部材55と、ガイド溝57と、連係部材61とが、駆動機構60を構成している。
【0036】
図6は、上記駆動機構に形成されたガイド溝と連係部材に設けられたスライド軸との位置関係を示す図である。
図6に示すように、ガイド溝57は、連係部材61の第二支持軸61sの鉛直下方となる位置(鉛直下方位置)P1を含む領域に形成されている。すなわち、ガイド溝57は、連係部材61の第二支持軸61sの鉛直下方となる位置P1が、ガイド溝57の前方の端部(他端部)57aと後方の端部(一端部)57bとの間に位置するよう形成されている。ここで、第二支持軸61sの鉛直下方となる位置P1は、ガイド溝57の前方の端部57aと後方の端部57bとの中心に対し後方にオフセットしている。これにより、ガイド溝57の後方の端部57bは、第二支持軸61sの鉛直下方となる位置P1よりも僅かに後方に位置するよう形成されている。
【0037】
図4に示すように、このような連係部材61が揺動し、スライド軸61tが前方に移動すると、スイング部材55は、付勢部材53による付勢力に抗して、後端部55rが上方に向うように揺動する。これによって付勢部材53が縮まり、後部ストッパ部材52が上方に引き上げられる(
図4中に二点鎖線で示す状態)。スライド軸61tがガイド溝57の前方の端部57aに突き当たった状態では、後部ストッパ部材52が、キャスター27の下端よりも上方に位置するようになっている。すなわち、連係部材61の揺動によってスイング部材55を揺動させて後部ストッパ部材52を引き上げると、後部ストッパ部材52に代わってキャスター27が床面Fに接地する。
【0038】
また、スライド軸61tが位置P1から後方に移動し、ガイド溝57の後方の端部57bに突き当たった状態では、後部ストッパ部材52が、キャスター27よりも下方に突出するようになっている。この状態で、ガイド溝57の後方の端部57bは、連係部材61の第二支持軸61sの鉛直下方となる位置P1よりも後方に位置しているので、この端部57bに突き当たったスライド軸61tは、第二支持軸61sを中心としたスライド軸61tの旋回軌跡の最下端位置(位置P1)から後方にオフセットして位置している。換言すると、連係部材61は、上端部から下端部に向かうにしたがった次第に後方に向かうように傾斜している。したがって、テーブル装置10の自重により連係部材61に生じる力Mの水平方向の分力Mhによって、スライド軸61tがガイド溝57の後方の端部57b側に押圧される。
【0039】
図2に示すように、上記のような駆動機構60の連係部材61を操作する操作部として、ケーブル62と、第一ケーブル操作部材(操作部、ケーブル引張手段、レバー)63と、第二ケーブル操作部(操作部、ケーブル引張手段)64と、を備えている。
【0040】
ケーブル62は、支持脚20の支柱部23の内部に設けられた筒状のガイドスリーブ65に挿通されている。
図4に示すように、ガイドスリーブ65の下端部65aは、ベースフレーム24に形成されたスリーブ保持部24sに突き当たることより、下方への移動が規制された状態で保持されている。スリーブ保持部24sには、ガイドスリーブ65の下端部65aから下方に導出されるケーブル62を挿通させる挿通孔24hが形成されている。挿通孔24hに挿通されたケーブル62は、ホルダ部材58に形成された湾曲面58fに沿って湾曲している。ケーブル62の下端部(一端部)62aに設けられた円柱状の下端タイコ62Pが、連係部材61に設けられたケーブル係止部61cに係止されている。
【0041】
支柱部23には、上方からケーブルガイド66(
図2参照)が挿入されている。
図7は、支持脚の上部に設けられたケーブルガイドの斜視図である。
図7に示すように、ケーブルガイド66は、その前側面66aに、上下方向に連続し、ガイドスリーブ65(
図2参照)が挿入されるガイド溝66mが形成されている。ガイド溝66mには、その下部に前側面66a側に膨出する膨出部66bが形成されている。これにより、ガイド溝66m内に挿入配置されたガイドスリーブ65は、膨出部66bに沿う部分が前側面66a側に凸となるように湾曲する。
【0042】
図3に示すように、ガイドスリーブ65の上端部65bは、ケーブルガイド66の上端部に形成された上部スリーブ保持部66sに突き当たることにより、その上方への移動が規制された状態で保持されている。
【0043】
上部スリーブ保持部66sには、ガイドスリーブ65の上端部65bから上方に導出されたケーブル62が挿通される挿通孔66hが形成されている。挿通孔66hに挿通されたケーブル62は、天板30の下面に固定されたケーブル支持部材38を経て、天板30の下面に沿って前方へと案内される。
【0044】
図8は、支持脚の上方にもうけられたケーブル支持部材を斜め下方から見た図である。
図8に示すように、ケーブル支持部材38は、天板30(
図2参照)の下面に固定されるベース部38aと、ベース部38aに対して下方に凹み、前後方向に連続して形成された案内溝38bと、ベース部38aから下方に向かって膨出した膨出部38cと、を備えている。膨出部38cには、案内溝38bの後方に連続して形成され、挿通孔66hから上方に延びるケーブル62が後方から挿入されるケーブル挿入スリット38fが形成されている。
図3、
図8に示すように、ケーブル挿入スリット38fの下端部は、ケーブル62の下端部62aと上端部(他端)62bとの間の中間部の所定位置に設けられた中間タイコ(被係止部)62Rよりもスリット幅が狭く形成された中間ケーブル係止部(ケーブル係止具)38gとされている。中間ケーブル係止部38gに中間タイコ62Rが突き当たることにより、中間ケーブル係止部38gに対するケーブル62の下方への相対的な変位が拘束される。
【0045】
第一ケーブル操作部材63は、天板30の前端部30aの下面に設けられている。
図9は、第一ケーブル操作部材の構成を示す平面図である。
図3、
図9に示すように、第一ケーブル操作部材63は、天板30の下面に直交する軸回りに回動自在に支持された基部63aと、基部63aから外周側に延出するレバー部63bと、を一体に備えている。基部63aには、ケーブル62の上端部62bに設けられた上端タイコ62Qが係止されている。
【0046】
図10は、使用状態において前部ストッパ部材と後部ストッパ部材とが接地した状態を示す模式図である。
図11は、後部ストッパ部材を床面から離間させ、前後のキャスターが接地した状態を示す模式図である。
上記したようなストッパ機構50によれば、天板30の上面30fが水平面内に位置する使用状態においては、
図10に示すように、前部ストッパ部材51と後部ストッパ部材52とが床面Fに接地し、前後のキャスター26、27は、床面Fから上方に浮いている。これにより、テーブル装置10の全自重が、二本一対の支持脚20にそれぞれ設けられた前部ストッパ部材51および後部ストッパ部材52に作用し、テーブル装置10の床面F上での移動を拘束する。
【0047】
この状態で、後方のキャスター27と床面Fとの隙間Srが、前方のキャスター26と床面Fとの隙間Sfよりも大である。
また、前部ストッパ部材51と後部ストッパ部材52とを床面Fに接地させた状態では、前部ストッパ部材51の接地面51sと後部ストッパ部材52の接地面52sとがそれぞれ床面Fに平行となるよう形成されている。これにより、前部ストッパ部材51と後部ストッパ部材52とが床面Fに接地させた状態では、前部ストッパ部材51の接地面51sと後部ストッパ部材52の接地面52sとが床面Fに対して面接触する。
【0048】
図4に示すように、この使用状態では、ケーブル62は上方への引張力が作用しておらず、スイング部材55は、付勢部材53の付勢力によって下方に付勢され、連係部材61は、スライド軸61tがガイド溝57の後方の端部57bに突き当たっている。この状態で、スライド軸61tは、第二支持軸61sを中心としたスライド軸61tの旋回軌跡の最下端位置(位置P1)から後方にオフセットしている。これにより、スライド軸61tがガイド溝57の後方の端部57b側に押圧され、連係部材61が不用意に前方に回転しにくく、後部ストッパ部材52が床面Fに接地した状態を強固に維持する。
【0049】
テーブル装置10を移動させるため、前部ストッパ部材51および後部ストッパ部材52による拘束を解除するには、まずロックレバー34のロックを解除し、天板30の前端部30aを上方に引き上げる。すると、天板30がシャフト32回りに回動する。これによって、天板30の下面に設けられたケーブル支持部材38が天板30とともに上方に移動し、第二ケーブル操作部64の中間ケーブル係止部38gがケーブル62の中間タイコ62Rに突き当たり、ケーブル62を上方に向かって引き上げる。ケーブル62が上方に引き上げられると、ケーブル62の下端タイコ62Pが、捩りコイルバネ(図示無し)の付勢力に抗して連係部材61を前方に変位する。すると、スライド軸61tがスイング部材55のガイド溝57に沿って前方の端部57a側に移動し、スイング部材55は後端部55rが上方に向かうように揺動する。これによって、後部ストッパ部材52が上方に引き上げられる。スライド軸61tがガイド溝57の前方の端部57aに突き当たると、
図11に示すように、後部ストッパ部材52がキャスター27の下端よりも上方に位置し、後部ストッパ部材52に代わってキャスター27が床面Fに接地する。
キャスター27が接地した状態にあっては、
図3に示すように、ロックピン33qがロックレバー34の係合凹部34uに係合することによって、天板30が、前端部30a側が上方に跳ね上げられた不使用状態(
図2、
図3において二点鎖線で示す状態)にロックされるので、このロックを解除しない限り、ケーブル62が初期位置へ戻ることがない。
【0050】
図11に示すように、このようにして、支持脚20において後方のキャスター27が接地すると、ベースフレーム24は、前端部24fに対して後端部24rが下方に変位するように傾動する。すると、前方のキャスター26が床面Fに接地し、前部ストッパ部材51が床面Fから上方に持ち上がる。これにより、二本一対の支持脚20においては、前後のキャスター26、27のみが床面Fに接地し、テーブル装置10は拘束が解除されて床面F上で走行移動自在となる。
ここで、上記のようにベース部21が前端部21fの下端部22fに対して後端部21rの下端部22rが低くなるように傾動した状態では、前方のキャスター26が床面Fに接地するまでの間、前部ストッパ部材51の接地面51sは、ベース部21の後端部21rに近い側の端部51tのみが床面Fに接地している。
【0051】
また、前部ストッパ部材51および後部ストッパ部材52による拘束を解除するには、天板30の上面30fを水平としたまま、第一ケーブル操作部材63のレバー部63bを
操作し、第一ケーブル操作部材63を回動させることもできる。すると、第一ケーブル操作部材63の基部63aに係止されたケーブル62の上端タイコ62Qが前方に引っ張られ、支柱部23内のケーブル62が上方に向かって引き上げられる。これにより、ケーブル62の下端タイコ62Pが連係部材61の下端部を前方に変位させ、スイング部材55が、後端部55rが上方に向かうように揺動し、後部ストッパ部材52が上方に引き上げられる。
このような第一ケーブル操作部材63のレバー操作によっても、
図11に示すように、二本一対の支持脚20においては、前後のキャスター26、27のみが床面Fに接地し、テーブル装置10は拘束が解除されて床面F上で走行移動自在となる。
【0052】
上述したように、テーブル装置10は、物品を載置可能な上面30fを有した天板30と、床面F上に設置され、天板30を支持する支持脚20と、支持脚20の下面に設けられ、床面F上を走行移動可能とするキャスター27と、支持脚20に設けられ、キャスター27より下方に突出して床面Fに接地可能な後部ストッパ部材52と、後部ストッパ部材52を出没させる駆動機構60と、駆動機構60を作動させる第一ケーブル操作部材63および第二ケーブル操作部64と、を備えている。駆動機構60は、床面Fに沿って延び、前端部55fが支持脚20に設けられた第一支持軸56回りに回動自在とされ、後端部55rの下面に後部ストッパ部材52が装着され、第一支持軸56回りに回動することによって後部ストッパ部材52を床面Fに対して接離させるスイング部材55と、スイング部材55に形成され、前端部55fと後端部55rとを結ぶ方向に連続するガイド溝57と、上端部が第一支持軸56の上方に設けられた第二支持軸61s回りに回動自在に支持されるとともに、下端部にはガイド溝57に沿ってスライド可能なスライド軸61tが設けられ、第一ケーブル操作部材63、第二ケーブル操作部64によって第二支持軸61s回りに揺動操作される連係部材61と、を備えている。また、後部ストッパ部材52が床面Fに接地した状態で、連係部材61が揺動され鉛直方向を超えて傾斜した姿勢であるとともに、スライド軸61tはガイド溝57の後方の端部57bに突き当たってスライドが拘束される。
【0053】
このような構成によれば、テーブル装置10の使用状態では、スイング部材55に設けられた後部ストッパ部材52がキャスター27より下方に突出して床面Fに接地することで制動力を発揮し、テーブル装置10の移動が拘束される。この状態から、第一ケーブル操作部材63または第二ケーブル操作部64により駆動機構60の連係部材61を第二支持軸61s回りに揺動させると、連係部材61の下端部に設けられたスライド軸61tが、第二支持軸61sを中心とした円弧状の軌跡に沿って移動する。このように円弧状の軌跡に沿って鉛直方向に移動するスライド軸61tが、スイング部材55に形成されたガイド溝57に沿ってスライドすることで、スイング部材55は前端部55fの第一支持軸56を中心として後端部55r側を鉛直方向に回動させる。このスイング部材55の回動動作によって、スイング部材55の後端部55rに設けられた後部ストッパ部材52が床面Fに対して接離し、テーブル装置10の移動の拘束および解除を切り換えることができる。
【0054】
上記のように、後部ストッパ部材52を設置するためにスイング部材55の後端部55rを上下に揺動させるには、駆動機構60の連係部材61が第二支持軸61s回りに回動するように、ケーブル62を介して横方向に力を加えればよく、必要な操作力が小さくて済む。
【0055】
また、後部ストッパ部材52が下方に突出して接地した状態では、連係部材61が揺動され鉛直方向を超えて、上端部側の第二支持軸61sから下端部に向かって斜め下方に延びるよう傾斜した姿勢であるとともに、スライド軸61tはガイド溝57の後方の端部57bに突き当たってスライドが拘束される。よって、テーブル装置10の自重が連係部材61に作用することによって生じる力Mの水平方向の分力Mhが、連係部材61の下端部のスライド軸61tをガイド溝57の後方の端部57bに押し付ける方向、つまり連係部材61に設けられたスライド軸61tをガイド溝57の後方の端部57bに押し付ける方向に作用する。これにより、後部ストッパ部材52が下方に突出して接地した状態から連係部材61が不用意に動きにくく、大きな制動力が発揮される。
【0056】
さらに、このような構成によれば、駆動機構60を多数のリンク材で構成する場合に比較し、部品点数が少なくて済む。また、上記のように大きな制動力を有するため、上記に示す実施形態のように上下方向に移動する後部ストッパ部材52を1箇所のみ設ければ十分な場合には、1個の駆動機構60を設ければよく部品点数をさらに抑えることができる。
【0057】
したがって、テーブル装置10によれば、使用状態においてはテーブル装置10が移動しないように大きな制動力を発揮しつつ、移動させる際には移動の拘束を容易に解除するとともに、コスト上昇および重量増を抑えることが可能となる。
【0058】
また、連係部材61に下端部62aが連結されたケーブル62と、スライド軸61tをガイド溝57の後方の端部57bとは反対側の前方の端部57aに接近させる方向に連係部材61が回動するようケーブル62を引っ張るケーブル引張手段としての第一ケーブル操作部材63および第二ケーブル操作部64と、を備える。
このように構成することで、第一ケーブル操作部材63、第二ケーブル操作部64によってケーブル62を引っ張ることで、ケーブル62の下端部62aに連結された連係部材61が揺動される。連係部材61の当該揺動とともに、連係部材61に設けられたスライド軸61tがガイド溝57の前方の端部57a側に接近する方向にスライドする。スライド軸61tの当該スライドともに、スイング部材55が第一支持軸56を中心として回動する。これによって、後部ストッパ部材52を床面Fから離間させ、テーブル装置10の移動の拘束を解除することができる。
【0059】
また、天板30が、支持脚20に対して回動自在に連結され、ケーブル引張手段としての第二ケーブル操作部64は、天板30の回動中心から離間した位置に、天板30に設けられた中間ケーブル係止部38gとされている。
このように構成することで、天板30を回動させて中間ケーブル係止部38gを上方に移動させると、ケーブル62が引っ張られる。これによって、天板30の回動動作に連動して、後部ストッパ部材52を床面Fから離間させ、テーブル装置10の移動の拘束を解除することができる。
【0060】
さらに、ケーブル62の中間部には、天板30を水平状態から回動させたときに中間ケーブル係止部38gに係止される中間タイコ62Rが設けられ、ケーブル62の上端部62bは、他のケーブル引張手段として天板30に回動自在に設けられた第一ケーブル操作部材63に連結されている。
このように構成することで、天板30を回動させて中間ケーブル係止部38gを上方に移動させると、中間ケーブル係止部38gがケーブル62の中間部に設けられた中間タイコ62Rを係止してケーブル62を引っ張る。また、天板30を使用状態としたままで、第一ケーブル操作部材63を回動させると、ケーブル62の上端部62bを引っ張ることができる。このようにして、一本のケーブル62に対し、天板30自体の回動動作と、第一ケーブル操作部材63の回動動作との双方を選択的に行うことで、後部ストッパ部材52を床面Fから離間させ、テーブル装置10の移動の拘束を解除することができる。
【0061】
また、後部ストッパ部材52が床面Fに押し付けられる方向に、スイング部材55を付勢する付勢部材54をさらに備えている。
このように構成することで、後部ストッパ部材52が床面Fから離間した状態から、後部ストッパ部材52を接地させる際には、付勢部材54の付勢力によって後部ストッパ部材52を容易に接地させることができる。また、後部ストッパ部材52が床面Fに接地した状態では、付勢部材54の付勢力によって、制動力を高めることができる。
【0062】
(その他の実施形態)
なお、本発明の天板付什器は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、テーブル装置10を例に挙げたが、天板を備える天板付什器であれば、他のいかなる什器であってもよい。
また、上記実施形態では、ベース部21の後方にのみ揺動可能な後部ストッパ部材52を設けたが、これに限るものではなく、前方のみ、あるいは前後両方に揺動可能な接地部材を備えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、連係部材は鉛直面に沿って一直線状をなす形状とされているが、これに限るものではなく、鉛直面に沿うとともに例えばくの字状等に屈曲形成されていてもよい。この場合には、接地部材が床面に接地した状態で、屈曲形成された連係部材のうち接地される側の部分が、連係部材が揺動され鉛直方向を超えて傾斜した姿勢とされていれば、テーブル装置の自重が連係部材に作用することによって生じる力の水平方向の分力が、連係部材に設けられたスライド軸をガイド溝の一端部に押し付ける方向に作用する。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。