(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような技術は、あくまで利用者毎にログイン後の最初の歌唱曲として最適な楽曲を提案し、表示等の手段で報知するものであって、カラオケボックスのように個人やその同伴者、仲間うちで利用する施設においては有効であるが、飲食店のような面識のない利用者同士の店内においては、単に推奨曲を報知するだけでは歌唱し易い雰囲気とさせるには十分とは言い難く、実際に歌唱を促すという要望に応えるには不十分である。
【0006】
また、これまでに知られているカラオケ歌唱推奨の技術においても、あくまで推奨内容を報知するだけであって、最終的に選曲し、カラオケ演奏が始まるかどうかは利用者の気分に委ねられて歌唱を促すという要望に応えるには不十分である。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、歌唱し易い雰囲気作りを支援するカラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では
、カラオケ端末と、複数の利用者の歌唱に関する歌唱履歴を含む利用者情報をそれぞれの利用者IDと共に記憶する記憶手段を備えるサーバとが通信可能に接続されたカラオケシステムであって、前記カラオケ端末は、利用者の利用者IDを取得してログインを受け付けるログイン手段と、前記取得した利用者IDに基づいて前記サーバより前記記憶手段に記憶されている当該利用者の情報を取得する利用者情報取得手段と、最初の利用者がログインした後にカラオケ演奏が実行されない無演奏状態の時間を計測する計時手段と、前記取得した利用者毎の利用者情報の歌唱履歴に基づいて、履歴内容を比較して歌唱する可能性の高い利用者を順に歌唱者とする歌唱指名順位を決定し、各利用者の歌唱した所定の楽曲を推奨曲としてそれぞれ特定すると共に、歌唱者及び推奨曲を紹介する内容を生成して再生順位リストを作成する無演奏時再生特定処理手段と、前記計時手段により無演奏状態の時間が所定時間に達した場合、前記再生順位リストに基づいて順位に従った前記歌唱者及び推奨曲を紹介する内容を報知すると共に、当該推奨曲のカラオケ演奏を開始させる報知再生処理手段と、を有する構成とする。
【0009】
請求項2〜4の発明では、「前記サーバの備える記憶手段は、利用者情報の歌唱履歴として少なくとも各利用者の過去の歌唱に関する歌唱日時を記憶し、前記カラオケ端末の無演奏時再生特定処理手段は、前記歌唱履歴中の、各利用者の全歌唱回数、各利用者の所定期間の歌唱回数、各利用者の歌唱時刻に係る情報、の少なくともいずれかに基づいて歌唱する可能性の高い利用者を順に歌唱者とする歌唱指名順位を決定する」構成とし、
「前記サーバの備える記憶手段は、利用者情報の歌唱履歴としてさらに各利用者の過去の歌唱に関する採点結果を記憶すると共に、利用者の登録する得意曲を記憶し、前記カラオケ端末の無演奏時再生特定処理手段は、前記歌唱履歴中の、各利用者の得意曲に関する情報、楽曲毎の歌唱回数、各歌唱における採点結果、の少なくともいずれかに基づいて、前記決定した歌唱者が歌唱する前記推奨曲を特定する」構成とし、
「前記カラオケ端末は、前記無演奏時再生特定処理手段が生成した歌唱者及び推奨曲の歌唱楽曲を紹介する内容の音声信号を合成する音声合成手段を備え、当該歌唱楽曲のカラオケ演奏の開始と共に放音させる」構成とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、カラオケ端末にログインした利用者の歌唱履歴を含む利用者情報をサーバより取得し、各利用者の歌唱履歴に基づいて、履歴内容を比較して歌唱する可能性の高い利用者を順に歌唱者とする歌唱指名順位を決定し、各利用者の歌唱した所定の楽曲を推奨曲としてそれぞれ特定すると共に、歌唱者及び推奨曲を紹介する内容を生成して再生順位リストを作成し、最初の利用者がログインした後にカラオケ演奏が実行されない無演奏状態の時間を計測して無演奏状態の時間が所定時間に達したときに作成された再生順位リストに基づいて順位に従った歌唱者及び推奨曲を紹介する内容を報知すると共に、当該推奨曲のカラオケ演奏を開始させる構成とすることにより、報知及び再生を、歌唱する可能性が高い利用者を順番に歌唱者とし、かつその利用者が歌唱し易い楽曲を歌唱曲とすることから、面識のない利用者の集う飲食店においてカラオケ歌唱し易い雰囲気作りを支援することができるものである。
【0011】
請求項2の発明によれば、サーバの備える記憶手段に利用者情報の歌唱履歴として少なくとも各利用者の過去の歌唱に関する歌唱日時を記憶し、歌唱履歴中の、各利用者の全歌唱回数、各利用者の所定期間の歌唱回数、各利用者の歌唱時刻に係る情報、の少なくともいずれかに基づいて歌唱する可能性の高い利用者を順に歌唱者とする歌唱指名順位を決定する構成とすることにより、歌唱する可能性が一番高い利用者を統計的に決定することとなって、当該利用者が歌唱することの可能性を高め、面識のない利用者の集う飲食店においてカラオケ歌唱し易い雰囲気作りを支援することができるものである。
【0012】
請求項3の発明によれば、サーバの備える記憶手段に利用者情報の歌唱履歴としてさらに各利用者の過去の歌唱に関する採点結果を記憶すると共に、利用者の登録する得意曲を記憶し、歌唱履歴中の、各利用者の得意曲に関する情報、楽曲毎の歌唱回数、各歌唱における採点結果、の少なくともいずれかに基づいて、決定した歌唱者が歌唱する推奨曲を特定する構成とすることにより、決定された歌唱者となる利用者が歌唱し易い楽曲を特定することとなって、当該利用者が歌唱することの可能性を高め、面識のない利用者の集う飲食店においてカラオケ歌唱し易い雰囲気作りを支援することができるものである。
【0013】
請求項4の発明によれば、無演奏時再生特定処理手段が生成した歌唱者及び推奨曲の歌唱楽曲を紹介する内容を音声信号を放音させる共に、当該歌唱楽曲のカラオケ演奏の開始と共に放音させる構成とすることにより、より利用者が歌唱することの可能性を高め、面識のない利用者の集う飲食店においてカラオケ歌唱し易い雰囲気作りを支援することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に、本発明に係るカラオケシステムを構成するカラオケ端末のブロック構成図を示す。
図1において、カラオケ端末11は、主要装置としてのカラオケ本体12に、有線又は無線で外部接続されるものとして、表示部13、ミキシングアンプ14、マイク15、スピーカ16、遠隔入出力装置17が接続されることで構成される。
【0016】
上記表示部13は、通常の楽曲選曲表示やカラオケ演奏時の背景映像や、後述する歌唱を推奨する報知内容を表示するもので、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、その他種々のディスプレイを採用することができる。上記ミキシングアンプ14は、カラオケ本体12より送られてくる音楽演奏信号に、マイク15からの音声信号や、後述する音声合成手段35からの合成された音声信号をミキシングし、増幅してスピーカ16より出力する。
【0017】
上記遠隔入出力装置17は、図示しない端末送受信部により、カラオケ本体12に対して有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース(登録商標)機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、少なくともログイン・ログアウト処理手段17A、楽曲検索手段である選曲楽曲登録手段17B及びリモコン表示部17Cを適宜備える。
【0018】
上記ログイン・ログアウト処理手段17Aは、利用者によるログイン操作に応じて当該利用者より利用者名や利用者IDを取得し、RAM23に利用者情報42として記憶してログインを許可する処理を行うと共に、ログアウト操作に応じて利用終了の処理を行うプログラムである。
【0019】
上記選曲楽曲登録手段17Bは、リモコン表示部17CのGUI機能により、楽曲IDや曲名、アーチスト名などのデータからなるテーブルに基づいて、利用者が所望する楽曲を検索させ、選曲された楽曲の楽曲IDをカラオケ本体12に送信するプログラムである。送信された楽曲IDは、カラオケ本体12におけるRAM23の予約待ち行列41に登録される。
【0020】
上記リモコン表示部17Cは、ログイン・ログアウト時の操作画面、楽曲選曲の操作画面、後述する歌唱を推奨する報知内容を表示するもので、液晶ディスプレイ(LCD)とタッチセンサとを積層して入出力用とし、表示されるアイコン等に対応して当該タッチセンサにより楽曲の選択などのデータを入力することができるGUIのユーザインタフェース機能を有するものである。
【0021】
上記カラオケ本体12は、バス20、中央制御部21、ROM22、RAM23、映像表示制御手段24、音楽演奏制御部25、音源(シンセサイザ)26、送受信部27A,27B、採点手段28、A/D変換部29、記憶部30、利用者情報取得手段31、計時手段32、無演奏時再生特定処理手段33、報知再生処理手段34及び音声合成手段35を備える。
【0022】
上記RAM23には予約待ち行列41、利用者情報42及び再生順位リスト43の記憶領域が形成される。また、記憶部30には、楽曲データベース(楽曲DB)51、映像データベース(映像DB)52及びリファレンスデータベース(リファレンスDB)53が記憶される。なお、上記各構成について、本発明の要旨と直接関連しない要素部分であっても、従前のカラオケシステムにおいても大部分が適用可能であることを示すために、構成要素の全体を説明する。
【0023】
上記中央制御部21は、このシステムを統括的に処理制御する物理的なCPUであり、ROM22に記憶されているプログラムに基づくアルゴリズム処理を行う。上記RAM23は、予約待ち行列41、利用者情報42及び再生順位リスト43の記憶領域が形成される他に、上記種々のプログラムを展開、実行させるための作業領域としての役割をなすもので、例えば半導体メモリで構成され、仮想的にハードディスク上に構築される場合をも含む概念である。
【0024】
RAM23に記憶される上記利用者情報42は、ログイン時に取得した利用者IDや利用者情報取得手段31がサーバ62より取得した当該利用者IDに関連した情報であり、歌唱履歴を含む(
図2で説明する)。RAM23に記憶される再生順位リスト43は、後述する無演奏時再生特定処理手段33が作成した歌唱推奨のための順位等を定めて作成したリストである。
【0025】
上記映像表示制御手段24は、演奏時に、映像DB52より抽出された背景映像及び楽曲DB51より抽出された楽曲の歌詞データ、並びに報知再生処理手段34で生成された歌唱推奨内容文を表示部13に出力するプログラム乃至電子回路である。上記音楽演奏制御部25は、例えばシーケンスプログラムを備え、楽曲IDで楽曲DB51より抽出された音符データに従って音源(シンセサイザ)26を駆動するもので、当該音源26の出力は演奏信号としてミキシングアンプ14に出力される。
【0026】
上記採点手段28は、対象楽曲のリファレンスデータを記憶部30に記憶されたリファレンスDB53より読み出し、利用者による歌唱音声のピッチを検出して対象楽曲の主旋律のリファレンスデータの各音高と比較することにより採点するもので、マイク15から入力されA/D変換部29でデジタル変換された音声信号を、歌唱採点するためのリファレンスデータに基づいて採点処理を行うプログラムである。具体的には、例えば特許第4222915号公報に記載されている手法を用いることができる。採点手段28による採点結果は、後述するように、送受信部27B及びネットワーク61を介してサーバ62に送信され、利用者情報更新手段74によりサーバ62の利用者情報データベース75に蓄積される。
【0027】
上記送受信部27Aは、遠隔入出力装置17との間で有線方式ないし無線方式(IR方式やブルートゥース(登録商標)機構のピコネット接続方式など)を利用してデータ授受を行うためのもので、そのための電子回路及びプログラムである。上記送受信部27Bは、カラオケ本体12とサーバ62とが通信ネットワーク61を介してデータ授受を行うための物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成されるものである。
【0028】
上記記憶部30に記憶されている楽曲DB51は、楽曲毎に、音符データ、歌詞データなどを格納する。演奏に関して、具体的には、楽曲ID、曲名及びアーチストID(アーチスト名)が関連付けられた楽曲テーブルを有し、楽曲毎に、楽曲IDで管理される所定データ形式のカラオケ楽曲の音符データ(例えば、MIDI(登録商標)形式の音符データ)等で構成される楽曲データ(ファイル)について当該楽曲IDをファイル名としてそれぞれ格納したデータベースである。上記記憶部30に記憶されている映像DB52は、楽曲毎に応じた背景映像データについて楽曲IDをファイル名としてそれぞれ格納したデータベースである。
【0029】
上記記憶部30に記憶されているリファレンスDB53は、楽曲ごとの主旋律のリファレンスデータであって、上記楽曲DB51に記憶されているカラオケ楽曲と当該カラオケ楽曲の歌唱区間に合わせた歌唱者による歌唱を評価、分析するための評価基準として用いられるリファレンスデータとを紐付けて記憶するデータベースである。
【0030】
上記利用者情報取得手段31は、ログインにより取得した利用者IDに基づいて対応の利用者情報を送受信部27B、通信ネットワーク61を介してサーバ62に要求し、当該サーバ62より
図2で説明する記憶手段である利用者情報データベース75(利用者情報DB75)に記憶されている当該利用者の歌唱履歴を含む情報を取得し、利用者IDに関連付けてRAM23に利用者情報42として一時記憶するプログラムである。
【0031】
上記計時手段32は、最初の利用者がログインした後にカラオケ演奏が実行されない無演奏状態の時間を計測し、予め設定された時間(例えば20分)に達した時に信号を報知再生処理手段34に送出するプログラムであり、中央制御部21の備える基本クロックに基づいて計時する。なお、計時手段32において単に時間計測だけを実行させ、計測時間を報知再生処理手段34が予め設定した所定時間に達したかを監視することとしてもよい。
【0032】
上記無演奏時再生特定処理手段33は、サーバ62より取得したRAM23に記憶されている利用者毎の利用者情報42の歌唱履歴に基づいて、履歴内容を比較して歌唱する可能性の高い利用者を順に歌唱者とする歌唱指名順位を決定し、各利用者の歌唱した所定の楽曲を推奨曲としてそれぞれ特定すると共に、歌唱者及び推奨曲を紹介する内容を生成してリストを作成し、RAM23に再生順位リスト43として記憶するプログラムである。歌唱者及び推奨曲を紹介する内容は、一例として、予め歌唱紹介文のパターンを定めて歌唱者及び推奨曲を当て嵌めることで生成する。
【0033】
具体的には、利用者情報42の歌唱履歴として少なくとも各利用者の過去の歌唱に関する歌唱日時が含まれ、当該歌唱履歴中の、各利用者の全歌唱回数、各利用者の所定期間の歌唱回数、各利用者の歌唱時刻に係る情報、の少なくともいずれかに基づいて歌唱する可能性の高い利用者を順に歌唱者とする歌唱指名順位を決定する。また、利用者情報の歌唱履歴としてさらに各利用者の過去の歌唱に関する採点結果が含まれると共に、利用者の登録する得意曲が含まれ、当該歌唱履歴中の、各利用者の得意曲に関する情報、楽曲毎の歌唱回数、各歌唱における採点結果、の少なくともいずれかに基づいて、決定した歌唱者が歌唱する推奨曲を特定する。なお、詳細は
図4及び
図5で説明する。
【0034】
上記報知再生処理手段34は、計時手段32により無演奏状態の時間が所定時間に達した場合、RAM23より再生順位リスト43を読み出し、当該再生順位リスト43に基づいて順位に従った歌唱者及び推奨曲を紹介する内容を映像表示制御手段24より表示部13や、適宜遠隔入出力装置17のリモコン表示部17Cに表示させて報知すると共に、当該推奨曲の歌唱楽曲(楽曲ID)を楽曲DB51より読み出して音楽演奏制御部25で再生処理させて音源26を介してミキシングアンプ14に出力させ、また、上記生成した歌唱者及び推奨曲を紹介する内容の歌唱紹介文を音声合成手段35で音声合成させてミキシングアンプ14に出力させることでカラオケ演奏を開始させるプログラムである。
【0035】
上記音声合成手段35は、無演奏時再生特定処理手段33が生成した歌唱者及び推奨曲の歌唱楽曲を紹介する内容の歌唱紹介文の音声信号を合成してミキシングアンプ14に出力するプログラムである。なお、上記歌唱紹介文を放音させないこととしてもよく、この場合には音声合成手段35は不要となるが、当該音声合成手段35を処理無効に設定するものでもよい。
【0036】
また、
図2に、カラオケシステムを構成するサーバの説明図を示す。
図2(A)において、サーバ62は、インターネットなどの通信ネットワーク61を介して端末としての所定数のカラオケ端末11(11A〜11N)を管理し、当該各カラオケ端末11に対する楽曲データの配信や各種データを送受すると共に、少なくとも何れかのカラオケ端末11からの要求に応じて利用者情報を送信する装置である。
【0037】
サーバ62は、
図2(B)に示すように、少なくとも制御部71、ネットワーク送受信部72、利用者情報抽出手段73、利用者情報更新手段74及び記憶手段としての利用者情報データベース75(利用者情報DB75)を備える。上記制御部71は、当該サーバ62を統括的に制御する物理的なCPUであり、図示しないROMに格納されているプログラムを実行処理して統括的な処理を行う。
【0038】
上記ネットワーク送受信部72は、各カラオケ端末11(11A〜11N)との通信(データ授受)を行うために、通信ネットワーク61の通信方式と整合性をとるための例えば物理的な通信用回路やプラットフォーム等のソフトウエアにより構成される。
【0039】
上記利用者情報抽出手段73は、所定のカラオケ端末11より利用者IDに基づいて対応の利用者情報の要求があった時に、利用者情報DB75より対応の少なくとも歌唱履歴を含む利用者情報を抽出して対応のカラオケ端末11に送信するプログラムである。
【0040】
上記利用者情報更新手段74は、各カラオケ端末11より送られてくる利用者IDに関連付けられた新たな歌唱履歴を含む利用者情報に基づいて利用者DB75の該当情報を更新するプログラムである。
【0041】
上記利用者情報DB75は、利用者の利用者IDと属性情報とが関連付けられた顧客情報を格納する記憶装置である。その属性情報としては、
図2(C)に示すように、図示しない氏名、住所等の書誌的な情報の他に、当該利用者のセカンドネーム、利用者が登録した例えば自己の得意ないわゆる十八番楽曲(得意楽曲)、歌唱履歴を少なくとも含む。当該歌唱履歴は、利用日、歌唱時間、歌唱楽曲(楽曲ID)及び歌唱採点を含んだ過去の情報である。なお、上記十八番楽曲の情報を利用者自ら登録させた場合としたが、歌唱採点や歌唱回数に応じて処理プログラムにより自動的に設定してもよい。
【0042】
次に、
図3に、
図1における計時手段の初期動作からの基本動作のフローチャートを示す。
図3において、まず、カラオケ端末11に電源が投入され、最初に利用者がログイン要求するまで待機する(ステップ1(S1))。利用者による例えば遠隔入出力装置17を用いたログイン要求があるとログイン・ログアウト処理手段17Aのログイン処理が開始され、利用者IDの要求に対して当該利用者より利用者IDを取得し、当該利用者IDを一旦RAM23の利用者情報42に記憶する(S2)。
【0043】
利用者情報取得手段31が、記憶した利用者IDに基づいて、サーバ62に対して当該利用者の書誌的情報、得意楽曲情報及び歌唱履歴を含む利用者情報を要求すると共に、計時手段32が時間計測を開始する(S3)。なお、計時手段32における時間計測初期開始以降の詳細については
図6で説明する。
【0044】
サーバ62では、所定のカラオケ端末11より利用者IDに基づいて利用者情報の要求があると、利用者情報抽出手段73が利用者情報DB75より利用者情報(氏名、セカンドネーム、得意楽曲(楽曲ID)、歌唱履歴)を抽出して、対応のカラオケ端末11に送受信部72、通信ネットワーク61を介して送信する。そして、カラオケ端末11の利用者情報取得手段31がサーバ62より上記利用者情報を取得すると、RAM23に利用者情報42として利用者IDに関連付けて一旦記憶するものである。
【0045】
続いて、
図4に
図1の無演奏再生特定処理手段による再生順位リスト作成のフローチャートを示すと共に、
図5に
図4の再生順位リスト作成処理の説明図を示す。無演奏時再生特定処理手段33の処理の開始は、利用者のログイン毎に実行するものであるが(一人だけのログインであっても処理を開始し、この場合の再生順位リスト43には一人だけのリストとなる)、複数のログイン者を待って実行することとしてもよい(この場合であっても後にログイン者があればその都度実行する)。ここは、一例として4名の利用者A〜D(利用者ID:ID−AA、ID−BB、ID−CC、ID−DD)が順次ログインし、各利用者の利用者情報がRAM23の利用者情報42に記憶された場合として説明する。
【0046】
無演奏時再生特定処理手段33は、利用者のログイン毎による利用者情報の記憶を契機として、記憶されている総ての利用者における利用者情報の歌唱履歴に基づいて、ログイン中の各利用者の直近1ヶ月内の歌唱回数、全歌唱回数のうち、現在の時間帯(例えば20:00〜21:00)に歌唱された回数の割合をスコアリングしてスコア順の歌唱者指名順位を決定する(S11)。具体的には、
図5(A)に示すように、全歌唱回数(T)と、当該全歌唱回数(T)のうちの上記時間帯の歌唱回数(tt)とから当該時間帯の歌唱割合(N=tt/T)を算出し、さらに直近1ヶ月の歌唱回数(t1)と上記時間帯の歌唱割合(N)とからスコア(Sc=t1*N)をスコアリングする。
【0047】
そこで、4名のログイン中の利用者のうち、スコア(Sc)が一番高い(15.0)ID−CCに対応する利用者Cを、「いま最も歌唱しそうな歌唱者」と決定し、以下スコア順に順位を決定する。
【0048】
次に、利用者Cの利用者情報42の得意楽曲(楽曲ID)に基づいて、利用者Cの一の得意曲(複数存在する場合にはランダムに選択)を「利用者Cが最も歌唱しそうな楽曲」として特定し、当該得意曲の楽曲ID(SID−XX)を決定された順位の歌唱者(利用者ID)に付帯させ、以下スコア順に各利用者の得意曲の楽曲IDを決定して各歌唱者(利用者ID)に付帯させる(S12)。
【0049】
そして、利用者Cの登録名の例えばニックネーム(本名でもよい)及び楽曲(SID−XX)の曲名を織り込んだ歌唱紹介文を生成すると共に、以下スコア順に各利用者の曲名を織り込んだ歌唱紹介文を生成して、
図5(B)に示すような再生順位リストを作成してRAM23の再生順位リスト43として記憶するものである(S13)。
【0050】
なお、再生順位リスト43を作成するにあたり、最も歌唱しそうな歌唱者の順位は、単純に「全歌唱回数」などの一項目のみに基づいて決定してもよく、上記のように複数の項目を組み合せてスコアリングしてもよい。また、最も歌唱しそうな楽曲は、当該歌唱者の利用者情報から、歌唱回数の最も多かった楽曲、採点結果(平均点)が最も良かった楽曲などの情報に基づいて決定してもよい。
【0051】
このように作成された再生順位リスト43は、歌唱対象とされる利用者が、順位付けに従って順次指名されるので、仮に同じ時間帯に複数回実行されても同じ利用者が指名されることはなく、また、時間帯が変わると順位付けも変わることから、同じ利用者が最初に指名される可能性は小さくなる。
【0052】
そこで、
図6に無演奏時再生に係る処理フローチャートを示すと共に、
図7に歌唱紹介表示の一例の説明図を示す。ここでは、無演奏時再生特定処理手段33において再生順位リスト43が作成されてRAM23に記憶されたことを前提とし、計時手段32の時間計測初期開始から、すなわち最初の利用者がログインしてからのカラオケ端末11の動作として説明する。
【0053】
図6において、計時手段32において計時動作が開始され(S21)、ログインした利用者による楽曲の予約登録があるまでは時間計測が続行される(S22)。この続行されている間がカラオケ端末11における無演奏の状態のときである。計時手段32による時間計測が続行されて予め定めた時間(20分)が経過すると(S23)、報知再生処理手段34がRAM23より利用者のログイン毎に作成された再生順位リスト43を読み出し、当該再生順位リスト43より順番で対象利用者、楽曲ID、歌唱紹介文を特定する(S24)。
【0054】
特定した楽曲IDに基づき、楽曲DB51より対応の楽曲データを読み出して音楽演奏制御部25で再生処理を行わせて放音させると共に、特定した歌唱紹介文を映像表示制御部24に出力して表示部13で表示させる(遠隔入出力装置17に出力してリモコン表示部17Cにおいても表示させてもよい)。同時に、特定した歌唱紹介文を音声合成手段35により音声合成させた音声信号をミキシングアンプ14に出力させる(S25)。
【0055】
これによって、例えば歌唱紹介文「□□□さんがよく歌う「◆◆◆◆◆◆◆」の曲です 歌いましょう」のような表示を、表示部13や遠隔入出力装置17のリモコン表示部17Cに、
図7(A)、(B)のように表示されると共に、スピーカ16よりカラオケ演奏曲及び上記歌唱紹介文を朗読した音声がミキシングされて放音される。上記推奨のカラオケ演奏曲の再生が終了した場合には、計時手段32における時間計測はリセットされて(S27)時間計測が開始される(S21)。
【0056】
一方、何れかの利用者による楽曲の予約登録があると(S22)、RAM23の予約待ち行列41に登録された楽曲を再生し(S26)、計時手段32における時間計測は中止されてリセットされ、計時手段32による時間計測が開始される(S21)。
【0057】
なお、本実施形態においては、順位リスト43を作成する際に歌唱時間帯による歌唱割合を参照しているので、同じ時間帯において再び無演奏の状態が続行し計時手段32による時間計測が続行されて予め定めた時間が経過した場合には、再生順位リスト43の次の順位の歌唱対象利用者について同様の処理を行うことが望ましい。また、時間帯が変わった場合(21:00を超えた場合)には、ログイン中の利用者について順位リスト43を作成し直すことが望ましい。一方、歌唱時間帯による歌唱割合を参照せずに順位リスト43を作成する場合には、時間帯毎に順位リスト43を作成し直す必要はない。
【0058】
また、本実施形態においては、利用者のログイン毎にログイン中の利用者の順位を決定するとともに、各利用者の得意曲の楽曲IDを決定し歌唱紹介文を生成して再生順位リスト43に含めたが、再生順位リスト43は利用者IDによる順位の情報のみとし、計時手段32により予め定めた時間の経過が計測された際に、報知再生処理手段34において各利用者の得意曲の楽曲IDを決定し歌唱紹介分を生成するよう構成してもよい。
【0059】
ところで、本発明は、特にナイト店と称される夜間営業の飲食店で有用な発明であるが、そのような飲食店に設置されるカラオケ装置においては、歌唱1曲毎に歌唱者(利用者)に課金する手段を備えたものもある。本実施形態のように、カラオケ装置が自動的に歌唱する利用者及び歌唱曲を決定する場合には、当該利用者に対しては通常より安い料金の課金で済ます、あるいは全く課金しないなどのサービスを実施するように、報知再生処理手段34が上記課金の手段を制御してもよい。このようなサービスを実施することにより、当該利用者はより納得し易くなるものである。
【0060】
このように、歌唱する可能性が高い利用者を統計的に順位付けして決定し、歌唱者として当該利用者が最も歌唱し易い楽曲を歌唱曲(推奨曲)として順次紹介する再生順位リストを作成し、無演奏時に順番で報知することはもちろん、対象となった利用者が歌唱し易い楽曲のカラオケ演奏をも開始させることから、面識のない利用者の集う飲食店においてカラオケ歌唱し易い雰囲気作りを支援することができるものであり、特に最初の1曲目であっても当該利用者が歌唱してくれる可能性が高く、前触れもなくカラオケ演奏を開始しても当該利用者は機械(カラオケ端末)が決める事として納得し易いというものである。
【0061】
また、歌唱者及び歌唱楽曲(推奨曲)を紹介する内容を音声信号に合成して放音させることから、より利用者が歌唱することの可能性を高め、面識のない利用者の集う飲食店においてカラオケ歌唱し易い雰囲気作りを支援することができるものである。