特許第6504811号(P6504811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504811
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】エバポレータユニット用抗菌剤収容器
(51)【国際特許分類】
   B60H 3/00 20060101AFI20190415BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20190415BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20190415BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   B60H3/00 F
   B60H1/00 102C
   A01N25/10
   A01P3/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-261593(P2014-261593)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-120813(P2016-120813A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197975
【氏名又は名称】石原ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】高島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】嬉野 智子
【審査官】 町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−210087(JP,A)
【文献】 実開昭58−018806(JP,U)
【文献】 実開昭62−110071(JP,U)
【文献】 特開2012−017006(JP,A)
【文献】 特開2006−044389(JP,A)
【文献】 特開昭59−011915(JP,A)
【文献】 特開平02−207002(JP,A)
【文献】 特開2014−230966(JP,A)
【文献】 特開2004−154359(JP,A)
【文献】 特開昭54−135229(JP,A)
【文献】 特開昭62−134318(JP,A)
【文献】 特開昭62−139717(JP,A)
【文献】 実開昭56−139609(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 3/00
A01N 25/10
A01P 3/00
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エバポレータユニット(10)の側壁(10a)であって、自動車の車内において運転席の足元に位置し、手の届きやすい個所に設けられた点検孔(19)に取り付けられる容器本体(1)内に徐放性抗菌剤を収容し、容器本体(1)に徐放性抗菌剤の放散孔(2)を設けたものとし、この放散孔(2)が前記エバポレータユニット(10)の内部に向くようにしており、
前記容器本体(1)は、内容器(3)と外容器(4)とからなり、内容器(3)に複数個に仕切った収容部(3b)を設け、収容部(3b)は複数の仕切板(5)によって仕切られており、複数の仕切板(5)どうしは交差させずに分離させたものとし、それぞれの収容部(3b)に前記徐放性抗菌剤を収容するようにし、外容器(4)に前記放散孔(2)を多数設けたものとしており、
前記容器本体(1)内に収容される徐放性抗菌剤は、徐放性を有するフェノール系化合物が10〜90重量%、ゲル化剤が5〜60重量%、流動性を有する相溶化剤が5〜60重量%含有されるものとし、ゲル強度が1〜40kgfであり、弾性率が0.5〜6Kgf/cm2 であるゲル状の抗菌剤としていることを特徴とするエバポレータユニット用抗菌剤収容器。
【請求項2】
前記容器本体(1)が、前記点検孔(19)であって、エバポレータユニット(10)の内部に装着されるエバポレータ(15)の下流側に設けられた点検孔(19)に取り付けられるものとしていることを特徴とする請求項1記載のエバポレータユニット用抗菌剤収容器。
【請求項3】
50℃で24時間後における前記フェノール系化合物の揮散量が、0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のエバポレータユニット用抗菌剤収容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車などの空調設備におけるエバポレータでのカビ等の微生物の繁殖を抑制するための徐放性抗菌剤を収容したエバポレータユニット用抗菌剤収容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の空調装置におけるエバポレータでのカビ等の微生物の繁殖を抑制するために、この空調装置内に抗菌剤を封入した容器を固定するようにしたものが存在する。
【0003】
この抗菌剤を封入した容器は、図10に示したように、ポリプロピレン樹脂により形成されており、密閉された中空容器31に、ポリプロピレン樹脂を適度に透過する抗菌剤が封入されてなるものとしている。そして、中空容器31は、対向し合う壁のいずれか一方の外壁面31aに凹部32を設け、他方の外壁面31bに前記凹部32と嵌脱自在の関係の形状の凸部33を設けたものとしている。
【0004】
そして、前記抗菌剤を封入した中空容器31は、図11に示したように、自動車の空調装置の空気通路40a内に固定されている。この自動車の空調装置は、空気通路40aを形成する空調装置本体40を備えている。
【0005】
前記空調装置本体40には、インテークドア41によって開閉される内気吸込み口42aおよび外気吸込み口42bからなる空気吸入口42と、空気吸入口42に連なる前記空気通路40a、並びに浄化空気吐出口40bとが形成されている。空気通路40aには、送風機であるブロア43とフィルタユニット44とエバポレータ45とが上流側から順に設けられている。
【0006】
前記空気通路40aを区画する空調装置本体40の壁面には、図12に示したように、フィルタユニット44の出し入れ口46が設けられており、さらに出し入れ口46を開閉する蓋47が設けられている。そして、凹部32および凸部33と同形状の凹部48および凸部49が対向し合う関係で蓋47の壁面に設置されるとしている。すなわち、前記蓋47の凸部49に中空容器31の凹部32を嵌着し且つ蓋47の凹部48に中空容器31の凸部33を嵌着することにより、中空容器31を着脱自在に固定するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4531571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の空調装置内に抗菌剤を封入した容器を固定するようにしたものでは、フィルタユニット44の出し入れ口46に設けられた蓋47に中空容器31を着脱自在に固定するようにしているため、この蓋47に中空容器31を装着したり脱着したりする場合には、その蓋47をフィルタユニット44の出し入れ口44から取り外したり、取り外した後に再度、取り付けなおさなければならない。
【0009】
しかしながら、フィルタユニット44の出し入れ口46は、自動車の助手席のダッシュボードの中など、手の届きにくい個所に設けられているため、前記蓋47を取り外したり、取り付けたりするのが困難であり、そのためメンテナンスが行ないにくいという問題点を有していた。
【0010】
さらに、前記抗菌剤を封入した容器は、フィルタユニット44側、すなわち空調装置におけるエバポレータ45の上流側に固定されている。
【0011】
エバポレータ40は結露水によって微生物が繁殖しやすい環境となっているが、空気が入り込む上流の表面側より、空気が抜け出る下流の裏面側に結露水が多く残留するため、その裏面側のほうがより微生物が繁殖しやすい環境となっている。
【0012】
しかしながら、前記抗菌剤を封入した容器は、エバポレータ45の上流側に固定されているため、そのエバポレータ45の空気が抜け出る下流の裏面側では、微生物の繁殖の抑制効果が充分に発揮されないという問題点を有していた。
【0013】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決することをその課題としており、取り付け、取り外しが簡単でメンテナンスが非常に行ないやすく、しかもエバポレータの空気が抜け出る下流の裏面側でも微生物の繁殖の抑制効果が充分に発揮されるエバポレータユニット用抗菌剤収容器を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのため、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、エバポレータユニット10の側壁10aであって、自動車の車内において運転席の足元に位置し、手の届きやすい個所に設けられた点検孔19に取り付けられる容器本体1内に徐放性抗菌剤を収容し、容器本体1に徐放性抗菌剤の放散孔2を設けたものとし、この放散孔2が前記エバポレータユニット10の内部に向くようにしており、前記容器本体1は、内容器3と外容器4とからなり、内容器3に複数個に仕切った収容部3bを設け、収容部3bは複数の仕切板5によって仕切られており、複数の仕切板5どうしは交差させずに分離させたものとし、それぞれの収容部3bに前記徐放性抗菌剤を収容するようにし、外容器4に前記放散孔2を多数設けたものとしており、前記容器本体1内に収容される徐放性抗菌剤は、徐放性を有するフェノール系化 合物が10〜90重量%、ゲル化剤が5〜60重量%、流動性を有する相溶化剤が5〜60重量%含有されるものとし、ゲル強度が1〜40kgfであり、弾性率が0.5〜6Kgf/cm2 であるゲル状の抗菌剤としている。
【0015】
そして、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、容器本体1が、前記点検孔19であって、エバポレータユニット10の内部に装着されるエバポレータ15の下流側に設けられた点検孔19に取り付けられるものとしている。
【0016】
さらに、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、50℃で24時間後における前記フェノール系化合物の揮散量が、0.1〜10重量%であるものとしている。
【発明の効果】
【0018】
この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、以上に述べたように構成されているので、取り付け、取り外しが簡単でメンテナンスが行ないやすいものとなる。
【0019】
そして、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、エバポレータはもちろん、このエバポレータの上下流通路内のその他の機器等でのカビ等の微生物の繁殖を抑制することができるものとなる。
【0020】
さらに、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、エバポレータの下流側に設けられた点検孔に取り付けるものとした場合には、カビ等の微生物が繁殖しやすいエバポレータの下流の裏面側でのその微生物の繁殖の抑制効果が充分に発揮されるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の正面図である。
図2】この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の背面図である。
図3】この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の側面図である。
図4】この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の内容器の内面図である。
図5】この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の外容器の内面図である。
図6図1中のA−A線によるこの発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の断面図である。
図7図1中のB−B線によるこの発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の断面図である。
図8】この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器を取り付けるエバポレータユニットを備えた自動車の空調装置の概略図である。
図9】この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器をエバポレータユニットの点検口から取り外した状態を示す説明図である。
図10】従来の抗菌剤を封入した容器の凹部と凸部の形状を示す概略図である。
図11】従来の抗菌剤を封入した容器を備えた自動車の空調装置の空気吸気口からエバポレータまでの空気通路の概略図である。
図12図11中のC−C線による拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1〜7は、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器の一実施形態を示しており、後に述べる自動車の空調装置のエバポレータユニット10の側壁10aに設けられた点検孔19に嵌め込まれて取り付けられる容器本体1内に徐放性抗菌剤を収容し、容器本体1に徐放性抗菌剤の放散孔2を設けたものとし、この放散孔2が前記エバポレータユニット10の内部に向くようにして、前記点検孔19に着脱自在として取り付けられたものとしている。
【0024】
そして、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、エバポレータユニット10の側壁10aであって、エバポレータユニット10の内部に装着されるエバポレータ15の下流側に設けられた点検孔19に取り付けられるものとするのが好ましい。
【0025】
容器本体1は、合成樹脂製としており、内容器3と外容器4とからなり、内容器3を外容器4に嵌め込んだものとしている。内容器3は外容器4に嵌脱自在として嵌め込んだものとしてもよいが、嵌め殺しにしたものとしてもよい。
【0026】
内容器3は、周囲にリブ3aを設け、内部を複数個に仕切った収容部3bを設けており、それぞれの収容部3bに徐放性抗菌剤を収容するようにしている。図示した収容部3bは、複数の仕切板5によって上中下部に仕切り、上下部をさらに左右部に仕切って、合計5個所に仕切ったものとしているが、内部を複数個に仕切っておれば、もちろんこのような形態に限定されることはない。また、複数の仕切板5どうしは、図示したものでは、交差させずに分離させたものとしているが、交差させて繋げたものとしてもよい。
【0027】
外容器4は、周囲にリブ溝4aを設け、このリブ溝4aに内容器3のリブ3aを嵌め込むようにすると共に内部に収容部4bを設け、この収容部4bに内容器3の収容部3bが入り込むようにしている。さらに、この外容器4の底面4cには、前記放散孔2を多数設けたものとしている。また、この外容器4は、周囲の少なくとも一個所に、エバポレータユニット10にネジ止めするネジの挿入孔6を形成したフランジ7を設けたものとしている。
【0028】
徐放性抗菌剤は、内容器3の収容部3bに収容した場合、この収容部3bに保持しやすいように、ゲル状の抗菌剤とするのが好ましい。例えば、本発明者らが先に開発したゲル状の抗菌剤、すなわち徐放性を有するフェノール系化合物と、ゲル化剤と、流動性を有する相溶化剤を備え、ゲル強度が1〜40kgfであるゲル状の抗菌剤とするのが好ましい。より詳しく説明すると、この抗菌剤は、前記フェノール系化合物が10〜90重量%、前記ゲル化剤が5〜60重量%、前記相溶化剤が5〜60重量%含有されるものとしている。さらに、この抗菌剤は、50℃で24時間後における前記フェノール系化合物の揮散量が、0.1〜10重量%であるものとし、弾性率が0.5〜6Kgf/cm2 であるものとしている。
【0029】
なお、徐放性抗菌剤のゲル強度は、株式会社イマダ製のデジタルフォースゲージ(DPRSX−20R、φ15mmアタッチメント使用)を用いて、この抗菌剤を前記アタッチメントで押し込んだときの荷重(Kgf)を目盛りから読み取り、この抗菌剤の硬度として、ゲル強度を求めた。
【0030】
また、徐放性抗菌剤の弾性率は、測定した上記ゲル強度より、Timoschenkoらの方法により、以下の式<1>を用いて弾性率Eを算出した。
E={P(1−ν )}/(2aΔh) <1>
上式<1>において、P:押し込み荷重、ν:ポアソン比、a:アタッチメント半径、Δh:アタッチメント沈下量であり、ポアソン比については、実施例および比較例の抗菌剤は一般的な樹脂に比べや柔らかく、変形能も大きいことより0.5とした。
【0031】
このような徐放性抗菌剤は、前記内容器3の収容部3bの仕切板5によって仕切られた中央の仕切部に液充填し、上下の他の仕切部に液のまま行き渡らせてからゲル化することにより、収容部3b内で移動しにくい状態となって収容される。なお、先にゲル化した徐放性抗菌剤を前記内容器3の収容部3bの大きさより一回り小さい大きさに形成し、その収容部3bに押し込むこともできる。このようにすると、徐放性抗菌剤は、仕切板5で仕分けされて、複数個の収容部3bにそれぞれ分けられ、しかもその仕切板5で支えられて、収容部3b内で移動しにくい状態となって収容されることになる。
【0032】
以上のように構成したこの発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、自動車の空調装置のエバポレータユニットの側壁に設けられた点検孔に被せられている閉蓋を外して、この点検孔に取り付けられる。
【0033】
自動車の空調装置は、図8に示したように、外気または内気が導入口11、12からブロワーファン13によって取り込まれ、フィルター14を通過して、エバポレータ15へ空気流となって送風される。そして、この空気流はエバポレータ15の下流に配置されたヒートコア16を通過し、エアミックスドア(図示せず)によって、エバポレータ15からの冷気とヒートコア16からの暖気との混合割合が調節され、適度な冷風または暖風となって吹出口17、18から車内に吹き出され、車内を冷房または暖房するようにしている。
【0034】
前記エバポレータ15を装着しているエバポレータユニット10の側壁10aには、図9に示したように、点検孔19が設けられおり、この点検孔19は自動車の車内においては、運転席の足元に位置し、手の届きやすい個所に設けられている。この点検孔19は、エバポレータ15やヒートコア16の様子を見たり、エバポレータ15にカビ等の微生物が繁殖して、エバポレータ15から悪臭が発生した場合などに、閉蓋を外して、その点検孔19から洗浄ガンで洗浄剤を投入して、悪臭源を除去するなどのために設けられている。なお、図中の20、21は、冷媒用ガスの吸排管である。
【0035】
このような点検孔19が設けられていることからしても、エバポレータ15は、特に夏場などにおける冷房時に、この冷房を停止した場合には結露水が溜まり、駐車中などにカビ等の微生物が繁殖しやすい環境となっている。
【0036】
そこで、このエバポレータユニット10の点検孔19に被せられている閉蓋(図示せず)を外して、この点検孔19にこの発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器を取り付ければ、エバポレータ15が駐車中などにカビ等の微生物が繁殖しやすい環境とはならなくなる。
【0037】
この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器をエバポレータユニット10の点検孔19に取り付けるには、容器本体1に設けた徐放性抗菌剤の放散孔2がエバポレータユニット10の内部に向くようにして、点検孔19に嵌脱自在として嵌め込み、フランジ7の挿入孔6からネジ(図示せず)を差し込んで、エバポレータユニット10に設けた止め孔22にネジ止めしておけばよい。
【0038】
このようにすれば、駐車中などに、このエバポレータユニット用抗菌剤収容器から徐放性抗菌剤が徐々に揮散して、エバポレータユニット10内に充満することになる。したがって、エバポレータユニット10内は、カビ等の微生物が繁殖しにくい環境となり、エバポレータ15はもちろん、このエバポレータ15の上下流通路内のその他の機器等でのカビ等の微生物の繁殖を抑制することができる。
【0039】
また、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、用いる徐放性抗菌剤の種類にもよるが、前述の本発明者らが開発した徐放性抗菌剤を用いれば、約1年間、微生物の繁殖を抑制することができる。約1年間経過すれば、エバポレータユニット10からネジを外して、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器を点検孔19から引き抜けば簡単に外すことができる。そして、新しいものを用意し、前記したのを同様に、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器をエバポレータユニット10の点検孔19に取り付ければよい。
【0040】
以上に述べたようにこの発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器は、エバポレータユニット10の側壁10aの点検孔19が、自動車の車内における運転席の足元に位置し、手の届きやすい個所に設けられているので、その取り付け、取り外しが簡単で、メンテナンスが行ないやすいものとなる。
【0041】
さらに、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器を、エバポレータ15の上流側に設けられた点検孔19に取り付けるものとした場合には、この点検孔19が自動車の車内における運転席の足元の奥側に位置するが、エバポレータ15の下流側に設けられた点検孔19に取り付けるものとした場合には、この点検孔19が自動車の車内における運転席の足元の手前に位置するので、より手の届きやすい個所になり、その取り付け、取り外しが非常に簡単で、メンテナンスもより行ないやすいものとなる。
【0042】
また、この発明のエバポレータユニット用抗菌剤収容器を、エバポレータ15の下流側に設けられた点検孔19に取り付けるものとした場合には、カビ等の微生物が繁殖しやすいエバポレータ15の下流の裏面側でのその微生物の繁殖の抑制効果が充分に発揮されるものとなる。
【符号の説明】
【0043】
1 容器本体
2 放散孔
3 内容器
3b 収容部
4 外容器
10 エバポレータユニット
10a 側壁
15 エバポレータ
19 点検口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12