特許第6504835号(P6504835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504835
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】水田作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20190415BHJP
   A01C 15/04 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   A01C15/00 J
   A01C15/04
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-14451(P2015-14451)
(22)【出願日】2015年1月28日
(65)【公開番号】特開2016-136900(P2016-136900A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】内山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】谷口 大輔
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−195515(JP,A)
【文献】 特開2005−204540(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103583126(CN,A)
【文献】 特開2000−032821(JP,A)
【文献】 特開2011−200158(JP,A)
【文献】 特開2014−108066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/04 − 7/20
A01C 11/00 −11/02
A01C 15/00 −23/04
A01M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備し、
前記粉粒体供給装置は、前記後部ステップの上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体を案内する案内部と、前記後部ステップを迂回して前記エンジンの近傍箇所と前記ブロワの吸気部とにわたる吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記後部ステップの下側に配置する下側ダクト部と、前記後部ステップの上側に配置する上側ダクト部と、前記下側ダクト部から前記上側ダクト部にわたる縦向きダクト部とを備え、
前記上側ダクト部は、前記ブロワの吸気部から平面視で前記後部ステップと重複する位置を前記走行車体の前方向かつ横外側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部が、前記上側ダクト部の前端から前記後部ステップの横外側を下方に延伸し、
前記下側ダクト部が、前記縦向きダクト部の下端から前記走行車体の前方向かつ横内側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部に、前記吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する接続部を備えている水田作業機。
【請求項2】
エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備し、
前記粉粒体供給装置は、前記後部ステップの上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体を案内する案内部と、前記後部ステップを迂回して前記エンジンの近傍箇所と前記ブロワの吸気部とにわたる吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記後部ステップの下側に配置する下側ダクト部と、前記後部ステップの上側に配置する上側ダクト部と、前記下側ダクト部から前記上側ダクト部にわたる縦向きダクト部とを備え、
前記上側ダクト部は、前記ブロワの吸気部から平面視で前記後部ステップと重複する位置を前記走行車体の前方向かつ横外側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部が、前記上側ダクト部の前端から前記後部ステップの横外側を下方に延伸し、
前記下側ダクト部が、前記縦向きダクト部の下端から前記走行車体の前方向かつ横内側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部に、前記吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する接続部を備え、
前記接続部は、前記下側ダクト部側の接続端部位に備えた上向きの内嵌部分に、前記上側ダクト部側の接続端部位に備えた下向きの外嵌部分が外嵌している水田作業機。
【請求項3】
エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備し、
前記粉粒体供給装置は、前記後部ステップの上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体を案内する案内部と、前記後部ステップを迂回して前記エンジンの近傍箇所と前記ブロワの吸気部とにわたる吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記後部ステップの下側に配置する下側ダクト部と、前記後部ステップの上側に配置する上側ダクト部と、前記下側ダクト部から前記上側ダクト部にわたる縦向きダクト部とを備え、
前記縦向きダクト部に、前記吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する接続部を備え、
前記ブロワを前記後部ステップの左右一端部に配備するとともに、前記縦向きダクト部を、前記ブロワと同じ左右一端部における前記後部ステップの横外側に配備し、
前記下側ダクト部は、前記縦向きダクト部から車体内側に延出する横向きダクト部分を備え、
前記横向きダクト部分に、前記横向きダクト部分の車体内側部位と車体外側部位とを分離可能に接続し、かつ、前記車体内側部位と前記車体外側部位との間への補助ダクト部の接続を可能にする長さ調節用の接続部を備え、
前記上側ダクト部は、前記ブロワの吸気部から平面視で前記後部ステップと重複する位置を前記走行車体の前方向かつ横外側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部が、前記上側ダクト部の前端から前記後部ステップの横外側を下方に延伸し、
前記下側ダクト部の前記横向きダクト部分が前記縦向きダクト部の下端から前記走行車体の横内側方向に延伸している水田作業機。
【請求項4】
エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備し、
前記粉粒体供給装置は、前記後部ステップの上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体を案内する案内部と、前記後部ステップを迂回して前記エンジンの近傍箇所と前記ブロワの吸気部とにわたる吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記後部ステップの下側に配置する下側ダクト部と、前記後部ステップの上側に配置する上側ダクト部と、前記下側ダクト部から前記上側ダクト部にわたる縦向きダクト部とを備え、
前記縦向きダクト部に、前記吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する接続部を備え、
前記接続部は、前記下側ダクト部側の接続端部位に備えた上向きの内嵌部分に、前記上側ダクト部側の接続端部位に備えた下向きの外嵌部分が外嵌し、
前記ブロワを前記後部ステップの左右一端部に配備するとともに、前記縦向きダクト部を、前記ブロワと同じ左右一端部における前記後部ステップの横外側に配備し、
前記下側ダクト部は、前記縦向きダクト部から車体内側に延出する横向きダクト部分を備え、
前記横向きダクト部分に、前記横向きダクト部分の車体内側部位と車体外側部位とを分離可能に接続し、かつ、前記車体内側部位と前記車体外側部位との間への補助ダクト部の接続を可能にする長さ調節用の接続部を備え、
前記上側ダクト部は、前記ブロワの吸気部から平面視で前記後部ステップと重複する位置を前記走行車体の前方向かつ横外側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部が、前記上側ダクト部の前端から前記後部ステップの横外側を下方に延伸し、
前記下側ダクト部の前記横向きダクト部分が前記縦向きダクト部の下端から前記走行車体の横内側方向に延伸している水田作業機。
【請求項5】
前記外嵌部分に、前記外嵌部分の端縁から前記内嵌部分に対する嵌合方向に延出する弾性変形可能な延出片を備えるとともに、前記延出片に係合孔を形成し、
前記内嵌部分に、前記外嵌部分との嵌合状態で前記係合孔に係合する突起を形成している請求項2又は4に記載の水田作業機。
【請求項6】
前記後部ステップの左右両端に隣接配備する左右の手摺部材を前記走行車体の車体フレームから延出し、
前記手摺部材に、前記ブロワを備える粉粒体繰出ユニットと前記吸気ダクトとを取り付けている請求項1〜4のいずれか一つに記載の水田作業機。
【請求項7】
前記吸気部は、前記吸気ダクトのブロワ側端部に内嵌する内嵌部分を備えるとともに、前記ブロワ側端部に外嵌するゴム製の嵌合部材を外嵌装備し、
前記嵌合部材の内周面に、前記嵌合部材の周方向に沿う無端の係合溝を形成し、
前記ブロワ側端部に、前記嵌合部材との嵌合状態で前記係合溝に係合する無端の突条を形成している請求項1〜4のいずれか一つに記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備した水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような水田作業機としては、粉粒体供給装置に、運転座席の下方に位置して搬送風を生起するブロワ(送風機)と、搬送風により搬送される粉粒体(粒状肥料)を案内する案内部(肥料案内部)と、エンジンの近傍箇所とブロワの吸気口とにわたる吸気ダクトとを備えて、エンジン周りの高温で乾燥した外気を搬送風に使用することにより、搬送風による粉粒体の搬送を促進させるように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、粉粒体供給装置(施肥装置)に、後部ステップ(補助ステップ)の上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体(肥料)を案内する案内部(供給ホース)とを備えたものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−200158号公報(段落番号0039、0053、図1、2)
【特許文献2】特開2009−178080号公報(段落番号0020、0022、図1、3、4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前者の構成(特許文献1に記載の構成)では、粉粒体の搬送を促進させることができるものの、ブロワが運転座席の下方に位置することにより、ブロワ及び吸気ダクトの組み付けやメンテナンスが行い難くなっていた。
【0006】
又、後者の構成(特許文献2に記載の構成)では、ブロワが後部ステップの上方に位置することにより、ブロワの組み付けやメンテナンスが行い易くなっている。しかしながら、エンジン周辺の高温で乾燥した外気を搬送風に利用するものではないことから、粉粒体が水田の湿気を帯びて案内部の案内面に付着し易くなる虞がある。そのため、粉粒体の搬送を促進させる上において改善の余地がある。
【0007】
本発明の目的は、粉粒体の搬送を促進させることができ、かつ、ブロワ及び吸気ダクトの組み付けやメンテナンスが行い易い粉粒体供給装置を走行車体の後部に配備した水田作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題解決手段では、
エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備し、
前記粉粒体供給装置は、前記後部ステップの上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体を案内する案内部と、前記後部ステップを迂回して前記エンジンの近傍箇所と前記ブロワの吸気部とにわたる吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記後部ステップの下側に配置する下側ダクト部と、前記後部ステップの上側に配置する上側ダクト部と、前記下側ダクト部から前記上側ダクト部にわたる縦向きダクト部とを備え、
前記上側ダクト部は、前記ブロワの吸気部から平面視で前記後部ステップと重複する位置を前記走行車体の前方向かつ横外側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部が、前記上側ダクト部の前端から前記後部ステップの横外側を下方に延伸し、
前記下側ダクト部が、前記縦向きダクト部の下端から前記走行車体の前方向かつ横内側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部に、前記吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する接続部を備えている。
【0009】
この手段によると、ブロワの組み付けやメンテナンスを行い易くするために、ブロワを後部ステップの上方に配置する構成を採用しながら、エンジン周りの高温で乾燥した外気を搬送風に使用することができ、搬送風による粉粒体の搬送を促進させることができる。
【0010】
それに加えて、吸気ダクトが後部ステップを迂回してエンジンの近傍箇所とブロワの吸気部とにわたることにより、ブロワを後部ステップの上方に配置しながらも、吸気ダクトによって後部ステップの踏面が制限されることを抑制することができる。これにより、後部ステップの踏面を利用した粉粒体供給装置への粉粒体の補充などを、吸気ダクトにより阻害されることなく快適に行うことができる。
【0011】
又、吸気ダクトの縦向きダクト部に接続部を備えることにより、後部ステップの下側に配置する吸気ダクトの下側ダクト部側と、後部ステップの上側に配置する吸気ダクトの上側ダクト部側との、接続及び接続解除が行い易くなる。その結果、吸気ダクトの組み付けやメンテナンスが行い易くなる。
【0012】
本発明の別の課題解決手段では、
エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備し、
前記粉粒体供給装置は、前記後部ステップの上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体を案内する案内部と、前記後部ステップを迂回して前記エンジンの近傍箇所と前記ブロワの吸気部とにわたる吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記後部ステップの下側に配置する下側ダクト部と、前記後部ステップの上側に配置する上側ダクト部と、前記下側ダクト部から前記上側ダクト部にわたる縦向きダクト部とを備え、
前記上側ダクト部は、前記ブロワの吸気部から平面視で前記後部ステップと重複する位置を前記走行車体の前方向かつ横外側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部が、前記上側ダクト部の前端から前記後部ステップの横外側を下方に延伸し、
前記下側ダクト部が、前記縦向きダクト部の下端から前記走行車体の前方向かつ横内側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部に、前記吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する接続部を備え、
前記接続部は、前記下側ダクト部側の接続端部位に備えた上向きの内嵌部分に、前記上側ダクト部側の接続端部位に備えた下向きの外嵌部分が外嵌している。
【0013】
この手段によると、ブロワの組み付けやメンテナンスを行い易くするために、ブロワを後部ステップの上方に配置する構成を採用しながら、エンジン周りの高温で乾燥した外気を搬送風に使用することができ、搬送風による粉粒体の搬送を促進させることができる。
【0014】
それに加えて、吸気ダクトが後部ステップを迂回してエンジンの近傍箇所とブロワの吸気部とにわたることにより、ブロワを後部ステップの上方に配置しながらも、吸気ダクトによって後部ステップの踏面が制限されることを抑制することができる。これにより、後部ステップの踏面を利用した粉粒体供給装置への粉粒体の補充などを、吸気ダクトにより阻害されることなく快適に行うことができる。
【0015】
又、吸気ダクトの縦向きダクト部に接続部を備えることにより、後部ステップの下側に配置する吸気ダクトの下側ダクト部側と、後部ステップの上側に配置する吸気ダクトの上側ダクト部側との、接続及び接続解除が行い易くなる。その結果、吸気ダクトの組み付けやメンテナンスが行い易くなる。
【0016】
そして、接続部においては、下側ダクト部側の上向きの内嵌部分に、上側ダクト部側の下向きの外嵌部分が外嵌することから、吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側との接続部での接続を、接続用の専用部品を用いることなく、簡単かつ確実に行うことができる。又、高圧の洗浄水による洗車時に、吸気ダクトに対する接続部からの洗浄水の浸入を効果的に抑制することができる。
【0017】
本発明の別の課題解決手段では、
エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備し、
前記粉粒体供給装置は、前記後部ステップの上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体を案内する案内部と、前記後部ステップを迂回して前記エンジンの近傍箇所と前記ブロワの吸気部とにわたる吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記後部ステップの下側に配置する下側ダクト部と、前記後部ステップの上側に配置する上側ダクト部と、前記下側ダクト部から前記上側ダクト部にわたる縦向きダクト部とを備え、
前記縦向きダクト部に、前記吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する接続部を備え、
前記ブロワを前記後部ステップの左右一端部に配備するとともに、前記縦向きダクト部を、前記ブロワと同じ左右一端部における前記後部ステップの横外側に配備し、
前記下側ダクト部は、前記縦向きダクト部から車体内側に延出する横向きダクト部分を備え、
前記横向きダクト部分に、前記横向きダクト部分の車体内側部位と車体外側部位とを分離可能に接続し、かつ、前記車体内側部位と前記車体外側部位との間への補助ダクト部の接続を可能にする長さ調節用の接続部を備え
前記上側ダクト部は、前記ブロワの吸気部から平面視で前記後部ステップと重複する位置を前記走行車体の前方向かつ横外側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部が、前記上側ダクト部の前端から前記後部ステップの横外側を下方に延伸し、
前記下側ダクト部の前記横向きダクト部分が前記縦向きダクト部の下端から前記走行車体の横内側方向に延伸している。
【0018】
この手段によると、ブロワの組み付けやメンテナンスを行い易くするために、ブロワを後部ステップの上方に配置する構成を採用しながら、エンジン周りの高温で乾燥した外気を搬送風に使用することができ、搬送風による粉粒体の搬送を促進させることができる。
【0019】
それに加えて、吸気ダクトが後部ステップを迂回してエンジンの近傍箇所とブロワの吸気部とにわたることにより、ブロワを後部ステップの上方に配置しながらも、吸気ダクトによって後部ステップの踏面が制限されることを抑制することができる。これにより、後部ステップの踏面を利用した粉粒体供給装置への粉粒体の補充などを、吸気ダクトにより阻害されることなく快適に行うことができる。
【0020】
又、吸気ダクトの縦向きダクト部に接続部を備えることにより、後部ステップの下側に配置する吸気ダクトの下側ダクト部側と、後部ステップの上側に配置する吸気ダクトの上側ダクト部側との、接続及び接続解除が行い易くなる。その結果、吸気ダクトの組み付けやメンテナンスが行い易くなる。
【0021】
ところで、後部ステップは、後部ステップを利用した粉粒体供給装置への粉粒体の補充などを行い易くするために、後部ステップの横幅を水田作業機の作業幅(作業条数)に対応させている。そのため、水田作業機の作業幅に応じて後部ステップの横幅が異なるようになっている。つまり、水田作業機の作業幅に応じて、吸気ダクトにおける横向きダクト部分の長さを調節する必要がある。
【0022】
そこで、この手段では、横向きダクト部分に長さ調節用の接続部を備えて、横向きダクト部分の車体内側部位と車体外側部位との間への補助ダクト部の着脱による横向きダクト部分の長さ調節を可能にしている。これにより、作業幅(作業条数)の異なる水田作業機に対する吸気ダクトの兼用化を図ることができる。そして、吸気ダクトの兼用化により、型費の削減、及び、部品管理の容易化、などを図ることができる。
【0023】
本発明の別の課題解決手段では、
エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備し、
前記粉粒体供給装置は、前記後部ステップの上方に位置して搬送風を生起するブロワと、搬送風により搬送される粉粒体を案内する案内部と、前記後部ステップを迂回して前記エンジンの近傍箇所と前記ブロワの吸気部とにわたる吸気ダクトとを備え、
前記吸気ダクトは、前記後部ステップの下側に配置する下側ダクト部と、前記後部ステップの上側に配置する上側ダクト部と、前記下側ダクト部から前記上側ダクト部にわたる縦向きダクト部とを備え、
前記縦向きダクト部に、前記吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する接続部を備え、
前記接続部は、前記下側ダクト部側の接続端部位に備えた上向きの内嵌部分に、前記上側ダクト部側の接続端部位に備えた下向きの外嵌部分が外嵌し、
前記ブロワを前記後部ステップの左右一端部に配備するとともに、前記縦向きダクト部を、前記ブロワと同じ左右一端部における前記後部ステップの横外側に配備し、
前記下側ダクト部は、前記縦向きダクト部から車体内側に延出する横向きダクト部分を備え、
前記横向きダクト部分に、前記横向きダクト部分の車体内側部位と車体外側部位とを分離可能に接続し、かつ、前記車体内側部位と前記車体外側部位との間への補助ダクト部の接続を可能にする長さ調節用の接続部を備え
前記上側ダクト部は、前記ブロワの吸気部から平面視で前記後部ステップと重複する位置を前記走行車体の前方向かつ横外側方向に延伸し、
前記縦向きダクト部が、前記上側ダクト部の前端から前記後部ステップの横外側を下方に延伸し、
前記下側ダクト部の前記横向きダクト部分が前記縦向きダクト部の下端から前記走行車体の横内側方向に延伸している。
【0024】
この手段によると、ブロワの組み付けやメンテナンスを行い易くするために、ブロワを後部ステップの上方に配置する構成を採用しながら、エンジン周りの高温で乾燥した外気を搬送風に使用することができ、搬送風による粉粒体の搬送を促進させることができる。
【0025】
それに加えて、吸気ダクトが後部ステップを迂回してエンジンの近傍箇所とブロワの吸気部とにわたることにより、ブロワを後部ステップの上方に配置しながらも、吸気ダクトによって後部ステップの踏面が制限されることを抑制することができる。これにより、後部ステップの踏面を利用した粉粒体供給装置への粉粒体の補充などを、吸気ダクトにより阻害されることなく快適に行うことができる。
【0026】
又、吸気ダクトの縦向きダクト部に接続部を備えることにより、後部ステップの下側に配置する吸気ダクトの下側ダクト部側と、後部ステップの上側に配置する吸気ダクトの上側ダクト部側との、接続及び接続解除が行い易くなる。その結果、吸気ダクトの組み付けやメンテナンスが行い易くなる。
【0027】
そして、接続部においては、下側ダクト部側の上向きの内嵌部分に、上側ダクト部側の下向きの外嵌部分が外嵌することから、吸気ダクトの下側ダクト部側と上側ダクト部側との接続部での接続を、接続用の専用部品を用いることなく、簡単かつ確実に行うことができる。又、高圧の洗浄水による洗車時に、吸気ダクトに対する接続部からの洗浄水の浸入を効果的に抑制することができる。
【0028】
ところで、後部ステップは、後部ステップを利用した粉粒体供給装置への粉粒体の補充などを行い易くするために、後部ステップの横幅を水田作業機の作業幅(作業条数)に対応させている。そのため、水田作業機の作業幅に応じて後部ステップの横幅が異なるようになっている。つまり、水田作業機の作業幅に応じて、吸気ダクトにおける横向きダクト部分の長さを調節する必要がある。
【0029】
そこで、この手段では、横向きダクト部分に長さ調節用の接続部を備えて、横向きダクト部分の車体内側部位と車体外側部位との間への補助ダクト部の着脱による横向きダクト部分の長さ調節を可能にしている。これにより、作業幅(作業条数)の異なる水田作業機に対する吸気ダクトの兼用化を図ることができる。そして、吸気ダクトの兼用化により、型費の削減、及び、部品管理の容易化、などを図ることができる。
【0030】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記外嵌部分に、前記外嵌部分の端縁から前記内嵌部分に対する嵌合方向に延出する弾性変形可能な延出片を備えるとともに、前記延出片に係合孔を形成し、
前記内嵌部分に、前記外嵌部分との嵌合状態で前記係合孔に係合する突起を形成している。
【0031】
この手段によると、吸気ダクトの縦向きダクト部に備えた接続部の内嵌部分と外嵌部分とを、適正な嵌合長さで簡単かつ確実に嵌合させることができる。
【0032】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記後部ステップの左右両端に隣接配備する左右の手摺部材を前記走行車体の車体フレームから延出し、
前記手摺部材に、前記ブロワを備える粉粒体繰出ユニットと前記吸気ダクトとを取り付けている。
【0033】
この手段によると、粉粒体繰出ユニットと吸気ダクトとを同じ手摺部材に取り付けることにより、その取り付け後に接続する粉粒体繰出ユニットのブロワと吸気ダクトとの位置合わせが行い易くなる。その結果、粉粒体繰出ユニットのブロワと吸気ダクトとの接続が行い易くなる。
【0034】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記吸気部は、前記吸気ダクトのブロワ側端部に内嵌する内嵌部分を備えるとともに、前記ブロワ側端部に外嵌するゴム製の嵌合部材を外嵌装備し、
前記嵌合部材の内周面に、前記嵌合部材の周方向に沿う無端の係合溝を形成し、
前記ブロワ側端部に、前記嵌合部材との嵌合状態で前記係合溝に係合する無端の突条を形成している。
【0035】
この手段によると、ゴム製の嵌合部材により、ブロワの吸気部と吸気ダクトのブロワ側端部との間でのシール性を高めることができる。又、吸気ダクトのブロワ側端部と嵌合部材との嵌合状態では、ブロワ側端部の突条と嵌合部材の係合溝とが係合することにより、ブロワの吸気部と吸気ダクトのブロワ側端部との間でのシール性を更に高めることができる。これにより、ブロワの吸気部と吸気ダクトのブロワ側端部との間からのエア漏れをより確実に防止することができる。
【0036】
そして、シール部材として機能するゴム製の嵌合部材を、吸気部の内嵌部分に外嵌する吸気ダクトのブロワ側端部に外嵌することにより、吸気部の内嵌部分と吸気ダクトのブロワ側端部との間にシール部材を介装する場合に比較して、嵌合部材(シール部材)の組み付け確認を容易に行うことができ、嵌合部材(シール部材)の組み付け忘れをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】乗用田植機の左側面図である。
図2】乗用田植機の平面図である。
図3】施肥装置の構成を示す要部の背面図である。
図4】走行車体の後上部及び施肥装置の構成を示す要部の左側面図である。
図5】吸気ダクト(6条用)の構成などを示す要部の縦断正面図である。
図6】吸気ダクト(6条用)の構成などを示す要部の概略平面図である。
図7】肥料繰出ユニット及び吸気ダクトの構成などを示す要部の横断平面図である。
図8】施肥装置の構成を示す要部の概略平面図である。
図9】第1ダクト部品と第2ダクト部品の構成を示す吸気ダクト上部側の分解右側面図である。
図10】第1ダクト部品と第2ダクト部品と第3ダクト部品の構成を示す吸気ダクトの上部側の分解正面図である。
図11】吸気ダクト(6条用)の第2接続部(長さ調節用の接続部)の構成を示す要部の一部縦断正面図である。
図12】吸気ダクト(6条用)の第2接続部(長さ調節用の接続部)の構成を示す要部の横断平面図である。
図13】第3ダクト部品の構成を示す第3ダクト部品の平面図である。
図14】第3ダクト部品の構成を示す第3ダクト部品の一部縦断正面図である。
図15】第4ダクト部品の構成を示す第4ダクト部品の平面図である。
図16】第4ダクト部品の構成を示す第4ダクト部品の左側面図である。
図17】吸気ダクトとブロワとの接続部の構成を示す要部の一部縦断左側面図である。
図18】8条用に仕様変更した吸気ダクトの構成を示す要部の縦断正面図である。
図19】8条用に仕様変更した吸気ダクトの構成を示す吸気ダクトの上部側の分解正面図である。
図20】後部ステップにおける支柱部挿通用の貫通口を形成するコンプレッション部などを示す後部ステップの底面図である。
図21】後部ステップにおける支柱部挿通用の貫通口を形成するコンプレッション部などを示す後部ステップの縦断正面図である。
図22】吸気ダクトの第2ダクト部品を6条用と8条用とに兼用可能に構成する別実施形態において吸気ダクトを8条用に構成する場合の第2ダクト部品の使用例を示す吸気ダクト上部側の分解正面図である。
図23】吸気ダクトの第2ダクト部品を6条用と8条用とに兼用可能に構成する別実施形態において吸気ダクトを6条用に構成する場合の第2ダクト部品の使用例を示す吸気ダクト上部側の分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、水田作業機の一例である乗用田植機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
尚、図1に記載した符号Fの矢印が指し示す方向が乗用田植機の前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向が乗用田植機の上側である。
又、図2に記載した符号Fの矢印が指し示す方向が乗用田植機の前側であり、符号Rの矢印が指し示す方向が乗用田植機の右側である。
【0040】
図1及び図2に示すように、本実施形態で例示する乗用田植機は、乗用型の4輪駆動形式に構成した走行車体1の後部に、油圧式の昇降シリンダ2の作動によって上下揺動する平行四連リンク式のリンク機構3を連結している。そして、このリンク機構3の後端下部に、作業装置Aの一例である6条用の苗植付装置4を連結している。これにより、走行車体1の後部に6条用の苗植付装置4を昇降揺動可能に備えた6条植え用の乗用田植機を構成している。又、走行車体1の後部に、粉粒体供給装置Bの一例である6条用の施肥装置5を配備することにより、6条植え用の乗用田植機をミッドマウント施肥仕様に構成している。
【0041】
図1〜3に示すように、走行車体1は、車体の左右バランスを安定させるために、車体フレーム6における前部の左右中央箇所に空冷式のエンジン7を搭載している。そして、エンジン7からの動力を、ベルト式伝動装置8、主変速装置として備えた静油圧式無段変速装置9、及び、トランスミッションケース(以下、T/Mケースと称する)10に副変速装置として内蔵したギア式変速装置(図示せず)、などを介して、左右の前輪11及び左右の後輪12に伝達している。又、T/Mケース10から取り出した植え付け作業用の動力を、植え付け作業用の第1伝動機構13を介して苗植付装置4に伝達している。更に、T/Mケース10から取り出した施肥作業用の動力を、施肥作業用の第2伝動機構14を介して施肥装置5に伝達している。
【0042】
図1図2及び図4〜6に示すように、走行車体1は、搭乗運転部15、左右の予備苗載置ユニット16、及び、後部ステップ17、などを備えている。搭乗運転部15は、搭乗ステップ18、前輪操舵用のステアリングホイール19、及び、運転座席20、などを備えて、走行車体1の前後中央側に配備している。左右の予備苗載置ユニット16は、走行車体1の前部における左右両端側箇所に分散配備している。そして、左右の各予備苗載置ユニット16が3枚のマット状苗を載置するように構成している。後部ステップ17は、その踏面が搭乗ステップ18の踏面よりも高くなるように、リンク機構3及び左右の後輪12の上方に配備している。これにより、後部ステップ17は、予備苗載置ユニット16のマット状苗を苗植付装置4に補給する苗補給作業などを行う場合に踏み台として使用することができる。
【0043】
図1図2及び図4〜7に示すように、走行車体1は、後部ステップ17の左右両端に隣接配備する左右の手摺部材21を車体フレーム6から延出している。左右の手摺部材21は、曲げ加工により、車体フレーム6から走行車体1の横外方に延出する前後の左右向き延出部21A、前後の左右向き延出部21Aから上方に延出する前後の上向き延出部21B、及び、前後の上向き延出部21Bにわたる前後向き延出部21Cを備えている。これにより、左右の手摺部材21は、搭乗運転部15に対する車体横方向での乗降、搭乗運転部15から後部ステップ17への移動、及び、後部ステップ17から搭乗運転部15への移動、などを行う場合に、手摺りとして使用することができるように構成している。
【0044】
左右の各手摺部材21は、前後の上向き延出部21Bを前後向きの補強部材22により連結している。又、左右の手摺部材21は、それらの後側の上向き延出部21Bを連結部材23により連結している。これにより、左右の手摺部材21が、より高い強度及び保形性を有するように構成している。
【0045】
図1及び図2に示すように、苗植付装置4は、その骨組みを形成する植付フレーム24に、3つの整地フロート25、6条用の苗載台26、横送り機構27、縦送り機構28、及び、6基の植付機構29、などを組み付けて、最大6条の苗の植え付けを行うように構成している。各整地フロート25は、平面視の形状がT字状で、各整地フロート25を接地させた作業状態での走行車体1の走行に伴って圃場を滑走する。この滑走により、各整地フロート25は、苗植え付け予定箇所などの圃場泥面を整地する。苗載台26は、最大6条分のマット状苗を下方に案内可能に載置するように構成している。横送り機構27は、走行車体1からの植え付け作業用の動力で作動する。この作動により、横送り機構27は、苗載台26をマット状苗の左右幅に対応する一定ストロークで左右方向に往復移動させる。縦送り機構28は、苗載台26が左右のストローク端に達するごとに横送り機構27に連動して作動する。この作動により、縦送り機構28は、苗載台26が左右のストローク端に達するごとに、6本の縦送りベルト28Aを作動させて、苗載台上の各マット状苗を苗載台26の下端に向けて所定ピッチで縦送りする。各植付機構29は、走行車体1からの植え付け作業用の動力で作動する。この作動により、各植付機構29は、苗載台26に載置した各マット状苗の下端から所定量ずつの苗を切り取って整地後の圃場泥土に植え付ける。
【0046】
図1〜8に示すように、施肥装置5は、粉粒体繰出ユニットB1の一例である肥料繰出ユニット30、肥料繰出ユニット30からの粒状又は粉状の肥料を圃場に案内する案内部31、及び、肥料繰出ユニット30を支持する施肥フレーム32、などを備えている。
【0047】
肥料繰出ユニット30は、6条分の肥料を貯留する横長のホッパ33、4基の繰出機構34、及び、電動式のブロワ35、などを備えている。ホッパ33は、その左右中心が走行車体1の左右中心と一致する状態で、各繰出機構34及びブロワ35とともに後部ステップ17の上方に配備している。そして、ホッパ33の下端部に、4つの肥料排出部33Aを、左右方向に一定間隔をあけて並べた状態で備えている。各繰出機構34は、1条分の肥料を繰り出す1条繰り出し状態と、2条分の肥料を繰り出す2条繰り出し状態とに切り替え可能に構成している。そして、各繰出機構34の上端部を、ホッパ33の対応する肥料排出部33Aに連接している。又、この連接によって左右に並ぶ各繰出機構34の上部を、4基の繰出機構34にわたる連結フレーム36により連結している。そして、左右に並ぶ4基の繰出機構34のうち、左右中央側に位置する2基の繰出機構34を1条繰り出し状態とし、左右両端に位置する2基の繰出機構34を2条繰り出し状態とすることにより、4基の繰出機構34によって6条分の肥料の繰り出しを行うように構成している。各繰出機構34は、走行車体1からの施肥作業用の動力で作動する。この作動により、各繰出機構34は、ホッパ33の対応する肥料排出部33Aから所定条数分の肥料を所定量ずつ下方に繰り出して、各繰出機構34の下部に備えた肥料搬出部34Aに供給する。ブロワ35は、連結フレーム36の左端部にボルト連結している。これにより、ブロワ35を後部ステップ17の左端部に配備している。ブロワ35は、走行車体1からの電力で作動して搬送風を生起する。ブロワ35からの搬送風は、左右向きの給気ダクト37などを介して各繰出機構34の肥料搬出部34Aに供給している。
【0048】
案内部31は、各繰出機構34の繰り出し状態に応じて各繰出機構34の肥料搬出部34Aから所定本数ずつ延出した合計6本の施肥ホース38、及び、各施肥ホース38の延出端に接続した合計6個の作溝器39、などにより構成している。各施肥ホース38は、搬送風により各繰出機構34の肥料搬出部34Aから搬送される肥料を対応する作溝器39に案内する。各作溝器39は、各整地フロート25の滑走に伴って、圃場泥土における各植付機構29の苗植え付け箇所に対する横方向の近傍箇所に施肥溝を形成するように、各整地フロート25に2個ずつ装備している。そして、各作溝器39は、対応する施肥ホース38により案内された肥料を施肥溝に案内する。
【0049】
施肥フレーム32は、車体フレーム6から肥料繰出ユニット30の連結フレーム36にわたる左右の支柱部32Aなどにより、肥料繰出ユニット30を支持している。左右の支柱部32Aは、車体フレーム6と肥料繰出ユニット30との間に位置する後部ステップ17を貫通している。これにより、左右の支柱部32Aを、後部ステップ17を迂回して車体フレーム6から肥料繰出ユニット30の連結フレーム36にわたるように形成する場合に比較して、施肥フレーム32による肥料繰出ユニット30の支持を、より強硬な状態で安定性良く行うことができる。
【0050】
肥料繰出ユニット30は、ブロワ35と給気ダクト37との間に風路切替部40を備えている。風路切替部40には、給気ダクト37と平行に配置した左右向きの回収ダクト41の左端部を接続している。風路切替部40は、ブロワ35からの搬送風を給気ダクト37に供給する施肥状態と、ブロワ35からの搬送風を回収ダクト41に供給する肥料回収状態とに切り替え可能に構成している。回収ダクト41は、その右端部に肥料回収用の排出部41Aを備えている。そして、回収ダクト41における左端部と右端部との間の部位に、各繰出機構34に備えた肥料回収部34Bを接続している。各肥料回収部34Bは、回収ダクト41への肥料の流下を阻止する施肥状態と、回収ダクト41への肥料の流下を許容する肥料回収状態とに切り替え可能なシャッタ(図示せず)を内蔵している。これらにより、肥料繰出ユニット30は、風路切替部40及びシャッタを施肥状態に切り替えることにより、各繰出機構34の作動によるホッパ33から各繰出機構34の肥料搬出部34Aへの肥料の供給が可能になるとともに、ブロワ35からの搬送風による各繰出機構34の肥料搬出部34Aから所定の施肥位置への肥料の供給搬送が可能になるように構成している。又、肥料繰出ユニット30は、風路切替部40及びシャッタを肥料回収状態に切り替えることにより、ホッパ33に残った余剰肥料を回収ダクト41に流下させることができるとともに、ブロワ35からの搬送風による回収ダクト41の排出部41Aに向けた余剰肥料の回収搬送が可能になるように構成している。
【0051】
図1図2及び図4〜7に示すように、施肥装置5は、後部ステップ17を迂回してエンジン7の近傍箇所とブロワ35の吸気部35Aとにわたる吸気ダクトCを備えている。これにより、エンジン周辺の高温で乾燥した外気を施肥用又は肥料回収用の搬送風に使用することができる。このように高温で乾燥した外気を搬送風に使用すると、施肥装置5の内部での湿度を低下させることができ、施肥装置内の肥料が湿気を帯び難くなる。その結果、施肥装置内の肥料が湿気を帯びて付着し易くなることに起因して、例えば、案内部31又は回収ダクト41の内部に肥料が付着堆積して、肥料の供給量が所定量から低下する、又は、案内部31又は回収ダクト41の内部において肥料詰まりが生じる、などの不都合を招き難くすることができる。そして、吸気ダクトCは、このような効果を得られるようにしながら、軽量化を図るために、例えばポリプロピレン又はエチレンプロピレンゴムなどの軽量で比較的高い耐熱性を有する樹脂を使用した樹脂製としている。
【0052】
又、吸気ダクトCが後部ステップ17を迂回してエンジン7の近傍箇所とブロワ35の吸気部35Aとにわたることにより、ブロワ35を後部ステップ17の上方に配置しながらも、吸気ダクトCによって後部ステップ17の踏面が制限されることを抑制することができる。これにより、後部ステップ17の踏面を利用した施肥装置5のホッパ33への肥料補給などを、吸気ダクトCにて阻害されることなく快適に行うことができる。
【0053】
図1図2図4〜7及び図9〜15に示すように、吸気ダクトCは、後部ステップ17の下側に配置する下側ダクト部42、後部ステップ17の上側に配置する上側ダクト部43、及び、後部ステップ17の左外方に位置して下側ダクト部42から上側ダクト部43にわたる縦向きダクト部44、などを備えている。そして、縦向きダクト部44に、吸気ダクトCの下側ダクト部側と上側ダクト部側とを分離可能に接続する第1接続部45を備えている。
【0054】
下側ダクト部42は、縦向きダクト部44の下端から車体内側に延出する第1横向きダクト部分42A、第1横向きダクト部分42Aにおける車体内側の延出端から前方に延出する第1前後向きダクト部分42B、第1前後向きダクト部分42Bの前端から車体内側の前下方に延出する傾斜ダクト部分42C、傾斜ダクト部分42Cの下端から車体内側に延出する第2横向きダクト部分42D、及び、第1横向きダクト部分42Aにおける車体内側の延出端から前方のエンジン7に向けて延出する第2前後向きダクト部分42E、などを備えている。そして、第1横向きダクト部分42Aに、第1横向きダクト部分42Aの車体内側部位42Aaと車体外側部位42Abとを分離可能に接続する第2接続部46を備えている。又、第2横向きダクト部分42Dに、第2横向きダクト部分42Dの車体内側部位42Daと車体外側部位42Dbとを分離可能に接続する第3接続部47を備えている。
【0055】
つまり、樹脂製の吸気ダクトCを、ブロワ35の吸気部35Aと第1接続部45とにわたる第1ダクト部品C1、第1接続部45と第2接続部46とにわたる第2ダクト部品C2、第2接続部46と第3接続部47とにわたる第3ダクト部品C3、及び、第3接続部47とエンジン7の近傍箇所とにわたる第4ダクト部品C4、の4部品からなる4分割構造に構成している。
【0056】
そして、このように樹脂製の吸気ダクトCを4つのダクト部品C1〜C4からなる4分割構造に構成することにより、各ダクト部品C1〜C4を成形する際に使用する金型が不必要に大きくなることに起因した型費の増大を防止することができる。その結果、吸気ダクトCの製造に要する費用の削減を図ることができる。
【0057】
ちなみに、各ダクト部品C1〜C4は、前述したポリプロピレン又はエチレンプロピレンゴムなどの樹脂を使用してブロー成形した樹脂成型品により構成している。
【0058】
図4〜7及び図9〜15に示すように、吸気ダクトCの第1接続部45は、下側ダクト部側の接続端部位に備えた上向きの内嵌部分45Aに、上側ダクト部側の接続端部位に備えた下向きの外嵌部分45Bが外嵌する上側外嵌式に構成している。そして、外嵌部分45Bの内周面に、外嵌部分45Bの周方向に沿う無端の係合溝45Baを備えている。又、外嵌部分45Bに、外嵌部分45Bの端縁から内嵌部分45Aに対する嵌合方向に延出する前後一対の延出片45Bbを弾性変形可能に備えている。そして、各延出片45Bbに係合孔45Bcを備えている。又、内嵌部分45Aに、外嵌部分45Bとの嵌合状態において、外嵌部分45Bの係合溝45Baに係合する無端の突条45Aa、及び、外嵌部分45Bの各係合孔45Bcに係合する前後一対の突起45Abを備えている。
【0059】
吸気ダクトCの第2接続部46は、第1横向きダクト部分42Aの車体内側部位42Aaに備えた車体外向きの内嵌部分46Aに、第1横向きダクト部分42Aの車体外側部位42Abに備えた車体内向きの外嵌部分46Bが外嵌する外側外嵌式に構成している。そして、外嵌部分46Bの内周面に、外嵌部分46Bの周方向に沿う無端の係合溝46Baを備えている。又、外嵌部分46Bに、外嵌部分46Bの端縁から内嵌部分46Aに対する嵌合方向に延出する前後一対の延出片46Bbを弾性変形可能に備えている。そして、各延出片46Bbに係合孔46Bcを備えている。又、内嵌部分46Aに、外嵌部分46Bとの嵌合状態において、外嵌部分46Bの係合溝46Baに係合する無端の突条46Aa、及び、外嵌部分46Bの各係合孔46Bcに係合する前後一対の突起46Abを備えている。
【0060】
吸気ダクトCの第3接続部47は、第2横向きダクト部分42Dの車体内側部位42Daに備えた車体外向きの内嵌部分47Aに、第1横向きダクト部分42Dの車体外側部位42Dbに備えた車体内向きの外嵌部分47Bが外嵌する外側外嵌式に構成している。そして、外嵌部分47Bの内周面に、外嵌部分47Bの周方向に沿う無端の係合溝47Baを備えている。又、外嵌部分47Bに、外嵌部分47Bの端縁から内嵌部分47Aに対する嵌合方向に延出する上下一対の延出片47Bbを弾性変形可能に備えている。そして、各延出片47Bbに係合孔47Bcを備えている。又、内嵌部分47Aに、外嵌部分47Bとの嵌合状態において、外嵌部分47Bの係合溝47Baに係合する無端の突条47Aa、及び、外嵌部分47Bの各係合孔47Bcに係合する上下一対の突起47Abを備えている。
【0061】
つまり、吸気ダクトCは、各接続部45〜47に前述した嵌合方式を採用することにより、各ダクト部品C1〜C4の適正な接続を、接続用の専用部品を用いることなく、簡単かつ確実に行うことができる。又、高圧の洗浄水による洗車時に、吸気ダクトCに対する各接続部45〜47からの洗浄水の浸入を効果的に抑制することができる。
【0062】
各ダクト部品C1〜C4は、各ダクト部品C1〜C4に備える接続用の各突起45Ab,46Ab,47Ab及び係合孔45Bc,46Bc,47Bcなどの形状及び配置を、各ダクト部品C1〜C4の成形に使用する成形型の型抜き方向を考慮して設定することにより、各突起45Ab,46Ab,47Ab及び係合孔45Bc,46Bc,47Bcなどを一体形成している。
【0063】
図4〜7、図12図13図15及び図16に示すように、吸気ダクトCは、下側ダクト部42の第2前後向きダクト部分42Eに、車体フレーム6に対するボルト連結用の第1連結部48を備えている。又、下側ダクト部42の第1横向きダクト部分42Aに、左側の手摺部材21に対するボルト連結用の第2連結部49を備えている。車体フレーム6は、左側の手摺部材21を支持する左側の手摺支持部6Aに、第4ダクト部品C4が挿通される貫通口6B、及び、第4ダクト部品C4の第1連結部48に対するボルト連結用の連結部6Cを備えている。左側の手摺部材21は、後側の左右向き延出部21Aに、第3ダクト部品C3の第2連結部49に対するボルト連結用の連結部21Dを備えている。
【0064】
これにより、吸気ダクトCは、第2ダクト部品C2と第3ダクト部品C3と第4ダクト部品C4とを嵌合接続して形成した吸気ダクトCの下側ダクト部側を、車体フレーム6の貫通口6Bに挿通することにより、吸気ダクトCの下側ダクト部側を走行車体1における後部ステップ17の下側に仮置きすることができる。そして、仮置きした吸気ダクトCの下側ダクト部側を、ブロワ35の吸気部35Aに嵌合接続した吸気ダクトCの上側ダクト部側である第1ダクト部品C1に、第1接続部45を使用して嵌合接続することにより、吸気ダクトCを、後部ステップ17を迂回してエンジン7の近傍箇所とブロワ35の吸気部35Aとにわたる状態に構成することができる。その後、吸気ダクトCの第1連結部48を車体フレーム6の連結部6Cにボルト連結し、吸気ダクトCの第2連結部49を、中継プレート50を介して左側の手摺部材21の連結部21Dにボルト連結することにより、走行車体1の所定位置に適正に取り付けることができる。
【0065】
そして、このような取り付けを行う上において、前述したように、吸気ダクトCの第1接続部45が後部ステップ17の左外方に位置することにより、第1接続部45を使用した吸気ダクトCの下側ダクト部側と上側ダクト部側との嵌合接続を容易に行うことができる。
【0066】
図4及び図17に示すように、ブロワ35の吸気部35Aは、吸気ダクトCのブロワ側端部となる上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aに内嵌する内嵌部分35aを備えている。又、上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aに外嵌するゴム製の嵌合部材51を外嵌装備している。嵌合部材51は、金属製のバンド52を用いて、嵌合部材51のブロワ側端部51Aをブロワ35の吸気部35Aに外嵌した状態で固定している。そして、嵌合部材51のダクト側端部51Bが、ブロワ35の吸気部35Aに外嵌する上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aに外嵌している。
【0067】
これにより、ブロワ35の吸気部35Aと上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aとの間でのシール性を高めることができ、ブロワ35の吸気部35Aと上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aとの間からのエア漏れを防止することができる。又、嵌合部材51を、吸気部35Aの内嵌部分35aに外嵌する上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aに外嵌することにより、吸気部35Aの内嵌部分35aと上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aとの間にシール部材を介装する場合に比較して、嵌合部材51(シール部材)の組み付けが行い易くなる上に、嵌合部材51(シール部材)の組み付け確認が容易になって、嵌合部材51(シール部材)の組み付け忘れをより確実に防止することができる。
【0068】
図17に示すように、嵌合部材51は、上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aに外嵌するダクト側端部51Bの肉厚を厚くしている。そして、ダクト側端部51Bの内周面に、嵌合部材51の周方向に沿う無端の係合溝51Baを備えている。吸気ダクトCは、上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aに、嵌合部材51との嵌合状態で嵌合部材51の係合溝51Baに係合する無端の突条43Aaを備えている。これにより、ブロワ35の吸気部35Aと上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aとの間でのシール性を更に高めることができ、ブロワ35の吸気部35Aと上側ダクト部43のブロワ接続部分43Aとの間からのエア漏れをより効果的に防止することができる。
【0069】
図2図4及び図7に示すように、施肥装置5の肥料繰出ユニット30は、肥料繰出ユニット30の連結フレーム36を、左右の手摺部材21に備えた補強部材22に左右の支持部材53を介して取り付けている。一方、吸気ダクトCは、下側ダクト部42におけるブロワ側の第1横向きダクト部分42Aに、左側の手摺部材21に対するボルト連結用の第2連結部49を備えている。
【0070】
つまり、施肥装置5は、ブロワ35を備える肥料繰出ユニット30と吸気ダクトCのブロワ側とを、走行車体1に備える左側の手摺部材21に取り付けている。これにより、走行車体1に対して個別に取り付けた後に接続する肥料繰出ユニット30のブロワ35と吸気ダクトCとの位置関係を、ブロワ35と吸気ダクトCとの接続を容易に行える適正な関係で安定させることができる。その結果、ブロワ35と吸気ダクトCとの接続を効率良く行うことができる。
【0071】
図18及び図19に示すように、吸気ダクトCにおいて、第2接続部46は、第2接続部46の車体内側部位42Aaと車体外側部位42Abとの間への補助ダクト部54の接続を可能にする長さ調節用に構成している。
【0072】
補助ダクト部54は、6条用の苗植付装置4よりも横幅の広い8条用の苗植付装置を作業装置Aとして備える8条植え用の乗用田植機を製造する場合においても、吸気ダクトCの下側ダクト部側を8条植え用の乗用田植機に使用可能にするための長さ調節用の補助ダクト部品C5である。そのため、補助ダクト部54は、苗植付装置4の横幅が広くなるのに伴って横幅を広くする必要がある後部ステップ17の横幅に対応して、6条用と8条用の後部ステップ17における横幅の差の半分の長さが、補助ダクト部54のダクト本体長さとなるように構成している。そして、補助ダクト部54の一端部分に、第2接続部46の外嵌部分46Bに内嵌する内嵌部分54Aを備えている。又、補助ダクト部54の他端部分に、第2接続部46の内嵌部分46Aに外嵌する外嵌部分54Bを備えている。そして、外嵌部分54Bの内周面に、第2接続部46との嵌合状態において、第2接続部46の突条46Aaに係合する無端の係合溝54Baを備えている。又、外嵌部分54Bに、外嵌部分54Bの端縁から第2接続部46の内嵌部分46Aに対する嵌合方向に延出する前後一対の延出片54Bbを弾性変形可能に備えている。そして、各延出片54Bbに、第2接続部46との嵌合状態において、第2接続部46の各突起46Abに係合する係合孔54Bcを備えている。又、内嵌部分54Aに、第2接続部46との嵌合状態において、第2接続部46の係合溝46Baに係合する無端の突条54Aa、及び、第2接続部46の各係合孔46Bcに係合する前後一対の突起54Abを備えている。
【0073】
ちなみに、8条植え用の乗用田植機に装備する8条用の施肥装置5は、肥料繰出ユニット30に備える4基の繰出機構34の全てを2条繰り出し状態とし、これに応じて、案内部31として、8本の施肥ホース38と8個の作溝器39とを備えて構成している。そのため、後部ステップ17の上方に配備する肥料繰出ユニット30の横幅は、6条用と8条用とにかかわらず同じ長さになっている。一方、後部ステップ17は、その横幅を走行車体1に装備する苗植付装置4の横幅(作業幅)に対応させる必要があることから、6条用と8条用とで横幅が異なるようになっている。そのため、後部ステップ17と肥料繰出ユニット30に備えるブロワ35との位置関係に関しては、後部ステップ17の左右中心からブロワ35まで距離は6条用と8条用とにかかわらず同じ長さになるのに対し、後部ステップ17の左右両端からブロワ35まで距離は6条用と8条用とで異なることになる。
【0074】
この点を考慮して、吸気ダクトCは、ブロワ35の吸気部35Aと第1接続部45とにわたる吸気ダクトCの上側ダクト部側(第1ダクト部品C1)を、6条用の第1ダクト部品C1(図5参照)と8条用の第1ダクト部品C1(図18参照)との交換式に構成している。又、第1接続部45とエンジン7の近傍箇所とにわたる吸気ダクトCの下側ダクト部側を、補助ダクト部54の着脱によって6条用と8条用とに仕様変更する兼用式に構成している。
【0075】
つまり、吸気ダクトCの下側ダクト部側を、6条用の施肥装置5と8条用の施肥装置5とに兼用可能に構成することにより、全体が6条専用の吸気ダクトCと、全体が8条専用の吸気ダクトCとを備える場合に比較して、型費の削減、及び、部品管理の容易化、などを図ることができる。
【0076】
図5図6図18図20及び図21に示すように、後部ステップ17は、ブロー成形した樹脂成型品により構成している。そして、ミッドマウント施肥仕様の乗用田植機と、例えば施肥無し使用やリヤマウント施肥仕様などのミッドマウント施肥仕様以外の乗用田植機とに兼用可能に構成している。そのため、後部ステップ17は、ミッドマウント施肥仕様の乗用田植機に使用する場合に施肥フレーム32の左右の支柱部32Aが貫通する箇所を、後部ステップ17の底面側を上面側に接合させるコンプレッション部17Aに形成している。そして、ミッドマウント施肥仕様の乗用田植機に使用する場合には、各コンプレッション部17Aの中央部位に切欠き加工を施して、支柱部挿通用の貫通口17Bを形成するようにしている。
【0077】
これにより、後部ステップ17をミッドマウント施肥仕様以外の乗用田植機に使用する場合には、左右のコンプレッション部17Aが後部ステップ17の上面の一部を形成することになる。そして、後部ステップ17をミッドマウント施肥仕様の乗用田植機に使用する場合には、左右のコンプレッション部17Aに形成する貫通口17Bを使用して、施肥フレーム32の左右の支柱部32Aを後部ステップ17に貫通させることができる。これにより、施肥フレーム32による肥料繰出ユニット30の支持を、左右の支柱部32Aが後部ステップ17を迂回しない好適な支持状態で安定性良く行うことができる。そして、コンプレッション部17Aに貫通口17Bを形成することにより、貫通口17Bを形成することに起因した後部ステップ17の強度の低下を効果的に抑制することができるとともに、高圧の洗浄水による洗車時に、洗浄水が各貫通口17Bから後部ステップ17の内部に浸入する虞を回避することができる。
【0078】
〔別実施形態〕
【0079】
〔1〕水田作業機は、例えば、走行車体1の後部に作業装置Aの一例である苗植付装置4を昇降可能に連結し、かつ、走行車体1の後部に粉粒体供給装置Bの一例である薬剤散布装置を配備したミッドマウント仕様の乗用田植機、走行車体1の後部に作業装置Aを昇降可能に連結せずに、走行車体1の後部に粉粒体供給装置Bの一例である播種装置を配備した乗用直播機、走行車体1の後部に作業装置Aの一例として播種装置を昇降可能に連結し、かつ、走行車体1の後部に粉粒体供給装置Bの一例として施肥装置5又は薬剤散布装置を配備したミッドマウント仕様の乗用直播機、走行車体1の後部に作業装置Aを昇降可能に連結せずに、走行車体1の後部に粉粒体供給装置Bの一例である施肥装置5を配備した乗用施肥機、あるいは、走行車体1の後部に作業装置Aを昇降可能に連結せずに、走行車体1の後部に粉粒体供給装置Bの一例である薬剤散布装置を配備した乗用薬剤散布機、などであってもよい。
【0080】
〔2〕走行車体1の後部に配備する施肥装置5、薬剤散布装置、及び、播種装置、などの粉粒体供給装置Bは、上記実施形態で例示した6条用又は8条用以外に、例えば、4条用、5条用、又は、10条用、などであってもよい。
【0081】
〔3〕走行車体1におけるエンジン7の配置は種々の変更が可能である。例えば、エンジン7を運転座席20の下方に配備してもよい。
【0082】
〔4〕後部ステップ17の構成は種々の変更が可能である。例えば、後部ステップ17を、ブロー成形以外の例えば射出成形などの成形方法を用いて成形してもよい。又、後部ステップ17を、鋼板などの鋼材を用いて構成してもよい。
【0083】
〔5〕粉粒体供給装置Bにおけるブロワ35の配置は種々の変更が可能である。例えば、ブロワ35が後部ステップ17の右端部に位置するように粉粒体供給装置Bに右端部に配置してもよい。又、ブロワ35が後部ステップ17の左右中央部に位置するように粉粒体供給装置Bの左右中央部に配置してもよい。
【0084】
〔6〕ブロワ35は、その吸気部35Aに、吸気ダクトCのブロワ側端部43Aに内嵌する内嵌部分35aを備えるだけで、ブロワ側端部43Aに外嵌するゴム製の嵌合部材51を外嵌装備していないものであってもよい。又、ブロワ35の吸気部35Aが吸気ダクトCのブロワ側端部43Aに外嵌するように構成してもよい。
【0085】
〔7〕粉粒体供給装置Bの案内部31は、例えば、ブロワ35からの搬送風で搬送される粉粒体を、圃場の所定の領域に拡散案内する下拡がり形状の拡散放出具を有するように構成したものであってもよい。
【0086】
〔8〕吸気ダクトCは、下側ダクト部42から上側ダクト部43にわたる縦向きダクト部44が、後部ステップ17の右外方に位置するように構成してもよい。又、縦向きダクト部44が後部ステップ17の後方に位置するように構成してもよい。
【0087】
〔9〕吸気ダクトCの縦向きダクト部44に備える接続部(第1接続部)45は、下側ダクト部側の接続端部位に備えた上向きの外嵌部分に、上側ダクト部側の接続端部位に備えた下向きの内嵌部分が内嵌する上側内嵌式に構成してもよい。
【0088】
〔10〕吸気ダクトCの横向きダクト部分42Aに備える接続部(第2接続部)46は、第1横向きダクト部分42Aの車体内側部位42Aaに備えた車体外向きの外嵌部分に、第1横向きダクト部分42Aの車体外側部位42Abに備えた車体内向きの内嵌部分が内嵌する外側内嵌式に構成してもよい。
【0089】
〔11〕吸気ダクトCは、第3接続部47を、第2横向きダクト部分42Dの車体内側部位42Daに備えた車体外向きの外嵌部分に、第1横向きダクト部分42Dの車体外側部位42Dbに備えた車体内向きの内嵌部分が内嵌する外側内嵌式に構成してもよい。
【0090】
〔12〕吸気ダクトCは、第2横向きダクト部分42Dに、第2横向きダクト部分42Dの車体内側部位42Daと車体外側部位42Dbとを分離可能に接続し、かつ、第2横向きダクト部分42Dの車体内側部位42Daと車体外側部位(42Ab)との間への補助ダクト部54の接続を可能にする長さ調節用の接続部46を備えるように構成してもよい。
【0091】
〔13〕吸気ダクトCの各接続部45〜47及び補助ダクト部54は、一対の延出片45Bb,46Bb,47Bb,54Bbに突起を備え、内嵌部分45A,46A,47A,54Aに、延出片45Bb,46Bb,47Bb,54Bbの突起が係合する係合孔を備えるように構成してもよい。
【0092】
〔14〕吸気ダクトCの各接続部45〜47及び補助ダクト部54は、ダクト端部を嵌合した状態でボルト連結するように構成してもよい。又、ダクト端部を突き合わせた状態でボルト連結するように構成してもよい。
【0093】
〔15〕図22及び図23に示すように、吸気ダクトCの下側ダクト部側を6条用と8条用とに兼用可能に構成する場合には、上記の実施形態で例示した第2ダクト部品C2に補助ダクト部54を一体形成して6条用と8条用とに兼用可能に構成したダクト部品を第2ダクト部品C2として採用してもよい。
詳述すると、この別実施形態で例示する第2ダクト部品C2は、8条用として使用するための適切な長さを備えている。そして、第1ダクト部品C1との接続部分である第2ダクト部品C2の内嵌部分45Aに、第1ダクト部品C1の外嵌部分45Bに備えた無端の係合溝45Baに係合する無端の突条45Aa、及び、第1ダクト部品C1の外嵌部分45Bに備えた前後一対の係合孔45Bcに係合する前後一対の突起45Abを備えている。又、第3ダクト部品C3との接続部分である第2ダクト部品C2の外嵌部分54Bに、第3ダクト部品C3の内嵌部分46Aに備えた無端の突条46Aaに係合する無端の係合溝54Ba、及び、第3ダクト部品C3に向けて延出する前後一対の延出片54Bbを備え、各延出片54Bbに、第3ダクト部品C3の内嵌部分46Aに備えた前後一対の突起46Abに係合する係合孔54Bcを備えている。更に、第2ダクト部品C2の左右中央側に、第2ダクト部品C2を6条用として使用する場合に第3ダクト部品C3との接続部分となる外嵌部分46Bを備えている。そして、左右中央側の外嵌部分46Bに、第3ダクト部品C3の内嵌部分46Aに備えた無端の突条46Aaに係合可能な無端の係合溝46Ba、及び、6条用として使用する場合に第3ダクト部品C3に向けて延出する状態にする前後一対の延出片46Bbを備えている。但し、左右中央側の各延出片46Bbは、第3ダクト部品C3の内嵌部分46Aに備えた前後一対の突起46Abに係合する係合孔54Bcを備えていない。
そして、この別実施形態で例示する第2ダクト部品C2を8条用として使用する場合には、図22に示すように、第2ダクト部品C2を、補助ダクト部54を備えたままの状態で使用する。又、6条用として使用する場合には、図23に示すように、第2ダクト部品C2を、前後一対の延出片46Bbが残るように第2ダクト部品C2から補助ダクト部54を切り離すとともに、残した前後一対の延出片46Bbに係合孔46Bcを形成した状態で使用する。
この構成によると、第2ダクト部品C2の成形に使用する金型を、6条用と8条用とに関係なく共通にすることができるとともに、補助ダクト部専用の金型を不要にすることができる。その結果、型費の削減を図ることができる。又、第2ダクト部品C2に補助ダクト部54を一体形成することにより、部品点数の削減による部品管理の容易化を図ることができる。
【0094】
〔16〕吸気ダクトCは、補助ダクト部54を備えずに、6条専用の第2ダクト部品C2と8条専用の第2ダクト部品C2とを備えることにより、第3ダクト部品C3と第4ダクト部品C4とを6条用と8条用とに兼用可能に構成してもよい。
【0095】
〔17〕吸気ダクトCの下側ダクト部42を、例えば、縦向きダクト部44の下端から車体内側に延出する横向きダクト部分42Aと、横向きダクト部分42Aにおける車体内側の延出端からエンジン7の近傍箇所にわたる前後向きダクト部分とから構成してもよい。
【0096】
〔18〕吸気ダクトCを、例えば、ブロワ35の吸気部35Aと第1接続部45とにわたる第1ダクト部品C1、第1接続部45と第2接続部46とにわたる第2ダクト部品C2、及び、第2接続部46とエンジン7の近傍箇所とにわたる第3ダクト部品C3、の3部品からなる3分割構造に構成してもよい。又、ブロワ35の吸気部35Aと第1接続部45とにわたる第1ダクト部品C1、及び、第1接続部45とエンジン7の近傍箇所とにわたる第2ダクト部品C2、の2部品からなる2分割構造に構成してもよい。
【0097】
〔19〕吸気ダクトCを構成する樹脂製の各ダクト部品C1〜C4は、ブロー成形以外の例えば射出成形などの成形方法を用いて成形してもよい。
【0098】
〔20〕粉粒体供給装置Bは、粉粒体繰出ユニットB1に備える繰出機構34の数量を変更することにより、作業条数の変更を行うように構成したものであってもよい。そして、このように粉粒体供給装置Bを構成した場合には、作業条数の変更に伴って粉粒体繰出ユニットB1の左右幅が変化することを利用して、作業条数の異なる水田作業機に備える後部ステップ17の左右幅の変化量が、粉粒体繰出ユニットB1の左右幅の変化量と同じになるように設定することにより、ブロワ35の吸気部35Aと第1接続部45とにわたる吸気ダクトCの上側ダクト部側(第1ダクト部品C1)を、水田作業機の作業条数にかかわらず兼用できるように構成してもよい。
【0099】
〔21〕走行車体1の車体フレーム6から後部ステップ17の上方に延出した所定の支持部材に、ブロワ35を備える粉粒体繰出ユニットB1と吸気ダクトCとを取り付けるように構成してもよい。
【0100】
〔22〕ブロワ35の吸気部35Aに備える嵌合部材51の内周面に、嵌合部材51の周方向に沿う無端の突条を形成し、吸気ダクトCのブロワ側端部43Aに、嵌合部材51との嵌合状態で嵌合部材51の突条に係合する無端の係合溝を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、エンジンと後部ステップとを備えた走行車体の後部に粉粒体供給装置を配備した乗用田植機、乗用直播機、乗用施肥機、又は、乗用薬剤散布機、などの水田作業機に適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 走行車体
6 車体フレーム
7 エンジン
17 後部ステップ
21 手摺部材
31 案内部
35 ブロワ
35A 吸気部
35a 内嵌部分
42 下側ダクト部
42A 横向きダクト部分
42Aa 車体内側部位
42Ab 車体外側部位
42D 横向きダクト部分
42Da 車体内側部位
42Db 車体外側部位
43 上側ダクト部
43A ブロワ側端部
43Aa 突条
44 縦向きダクト部
45 接続部(第1接続部)
45A 内嵌部分
45B 外嵌部分
45Bb 延出片
45Bc 係合孔
46 長さ調節用の接続部(第2接続部、第3接続部)
51 嵌合部材
51Ba 係合溝
54 補助ダクト部
54Ab 突起
B 粉粒体供給装置
B1 粉粒体繰出ユニット
C 吸気ダクト
図1
図2
図3
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