(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504877
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】外部体積制限CSF排出システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20190415BHJP
【FI】
A61M1/00
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-68197(P2015-68197)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2015-196093(P2015-196093A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2018年3月1日
(31)【優先権主張番号】14/230,578
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517377938
【氏名又は名称】インテグラ・ライフサイエンシーズ・スイッツァランド・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Integra LifeSciences Switzerland Sarl
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100184402
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 康記
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・フィフォルト
(72)【発明者】
【氏名】カール・タージオン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ボデン・ジュニア
【審査官】
松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−149150(JP,A)
【文献】
特開昭52−068791(JP,A)
【文献】
米国特許第05683357(US,A)
【文献】
特開2005−013745(JP,A)
【文献】
特開2014−176694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種類の体液を患者から排出するのに適したシステムであって、
少なくとも第1の体積の流体と第2のより小さい体積の流体の一方を保持するように調節可能なチャンバであって、該チャンバが、開口を画定する障壁を有する入口端部を有し、出口流路を画定する出口端部を有する、チャンバと、
弁座と、使用可能な体積を画定するための弁閉鎖部材と、を含み、前記チャンバ内に配置された、弁と、
該障壁における該開口を通過可能で、第1の端部において該チャンバ内で終端する、シャフトを有する、移動可能な調節部材であって、該第1の端部が、該弁座に接続され、該シャフトが、該使用可能な体積を該第1の体積より小さく縮小させるために、前記第1の端部に接続された前記弁座と共に、該シャフトが該チャンバ内へ前進することを可能にするように、該障壁と固定された関係である対応する係合機構と係合可能な、該シャフトの長さの少なくとも一部に沿う、複数の機構を有する、調節部材と、を含む、システム。
【請求項2】
前記弁閉鎖部材が、排出されるべき前記流体に対して浮力を有する機構を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記弁が、前記第1の体積と前記第2の体積をそれぞれ表わす、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で前記流体に対して浮力を有する機構の移動を制御するケージ構造を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記シャフトが、回転可能であり、その長さの少なくとも一部に沿う、螺旋ネジ山を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記調節部材が、前記シャフトに取り付けられた把持部材を含み、該把持部材が、前記シャフトに回転を付与するために、前記システムのユーザによって把持可能である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記弁座と流体連通するルーメンを画定する管部を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記シャフトが、長手方向のチャネルを画定し、前記管部の一部が、該チャネルを通過する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記チャンバ内の流体から前記シャフトを分離することを支援するための、前記シャフトの少なくとも一部を取り囲むスリーブを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記障壁が、微生物が前記障壁を越えて前記チャンバ内へ侵入することを制限するフィルタを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも脳脊髄液を患者から排出するのに適したシステムであって、
少なくとも第1の最大体積の流体及び第2の最小体積の流体を保持するように調節可能なチャンバであって、該チャンバが、開口を画定する障壁を有する入口端部を有し、出口流路を画定する出口端部を有する、チャンバと、
弁座と、使用可能な体積を画定するための、浮力を有する弁閉鎖部材と、該最大体積を表わす第1の位置と該最小体積を表わす第2の位置との間で該弁閉鎖部材の移動を制御するケージ構造と、を含む、弁と、
該障壁における該開口を通過可能で、第1の端部において該チャンバ内で終端する、シャフトを有する機械的に移動可能な調節部材であって、該第1の端部が、該弁座に接続され、該シャフトが、該使用可能な体積を該最大体積より小さく縮小させるために、該シャフトが該チャンバ内へ回転可能に前進することを可能にするように、該障壁により画定された対応するネジ山と係合可能な、該シャフトの長さの少なくとも一部に沿う、螺旋ネジ山を有する、調節部材と、を含む、システム。
【請求項11】
前記調節部材が、前記シャフトに取り付けられた把持部材を含み、該把持部材が、前記シャフトに回転を付与するために、前記システムのユーザにより把持可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記弁座と流体連通するルーメンを画定する管部を更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記シャフトが、長手方向のチャネルを画定し、前記管部の一部が、該チャネルを通過する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記チャンバ内の流体から前記シャフトを分離することを支援するための、前記シャフトの少なくとも一部を取り囲むスリーブを更に含み、前記障壁が、微生物が前記障壁を越えて侵入することを制限するフィルタを含み、該スリーブの端部が、該フィルタに隣接する、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者からの体液の排出を制御する技術及び器具に関し、より具体的には、脳脊髄液を排出するための外部体積制限装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の臓器又は組織から流体を取り除くことを必要とする医学的症状のための、多くの処置が存在する。1つのこのような症状は、水頭症であり、脳脊髄液が頭蓋骨内に、身体により排出されるよりも速く異常に蓄積する。脳脊髄液の過剰な蓄積は、脳組織を圧迫し、最終的に脳の損傷をもたらす。
【0003】
水頭症は、一般的に、脳室と流体連通するシャントを脳内に埋め込み、所望の速度で脳脊髄液を排出することによって処置される。典型的には、本願明細書において、「CSF」とも呼ばれる脳脊髄液の排出速度は、臨床医が予め機能的に調節する種々の圧力設定を有する弁により制御される。Raynham,MassachusettsのCodman & Shurtleff,Inc.から現在市販されているCodman(登録商標)Hakim(登録商標)プログラム可能弁等の、多くのシャント弁が、埋め込み後に非侵襲的に変更され得る。Wilson et alによる米国特許第8,322,365号に開示され、請求されたCERTAS(商標)プログラム可能弁も、Codman & Shurtleff,Inc.から入手可能である。
【0004】
外部CSF排出システムは、頭蓋内圧の管理中のCSFの悪影響を防止するために、カテーテルを通して外部「閉鎖」収集システム内にCSFを排出することが望ましい臨床状態において、典型的に使用される。カテーテルによる多すぎるCSFの除去、すなわち、「過剰排出」は望ましくなく、重度の頭痛又は脳内の1つ若しくはそれ以上の室腔の崩壊をもたらす場合がある。過剰排出のリスクを低減するために、医師は、典型的には、1時間あたりに10mLから50mLの速度でCFSを排出する。
【0005】
過剰なCSFの排出はまた、外部排出システムの「過剰充填」をもたらす場合がある。過剰充填により、システムからの流体の漏出等種々の問題が生じる場合があり、漏出した流体によりもたらされた経路を通って悪影響が生じる場合がある。
【0006】
多くの従来の排出システムでは、システムが、患者の頭又は脊柱より上に位置づけられているレベルを調節することにより、CSFの流量を大まかに制御している。換言すれば、重力並びに患者内及びシステム内に生じた流体圧が、収集チャンバ内への流量に影響を及ぼす。システムのレベルが患者に入っているカテーテルのレベルに対して低くなった場合、例えば、患者が腹臥位で寝ていた後に上体を起こした場合、流量が予期せず増加する場合がある。
【0007】
Eckermannにより米国特許公開第2009/0054857号に開示された1つのシステムは、収集チャンバ内の流体の体積を、1つ又はそれ以上のセンサを使用して測定することを試みる。換言すれば、このシステムが適切に機能するためには、センサの正動作が必要であると思われる。
【0008】
Hooffman et alにより米国特許第8,221,366号に開示された別のシステムは、チャンバの流入孔又は脱気孔を密閉するために、浮力を有するフロートを使用している。しかしながら、このシステムは、最適ではない。なぜなら、チャンバの体積が固定されると思われるからである。このように、フロートは、医師が、排出されるべき変化する体積のCSFを選択する場合、種々の体積のCSFの流体を収容するために調節可能であると思えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、脳脊髄液等の体液を排出するための、簡易で、更に信頼性があり、調節可能なシステム及び手法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、所望量の脳脊髄液等の体液を患者から選択的に排出するシステム及び手法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、患者から実際に排出された体液の体積を、容易に更に確実に調節可能なこのようなシステム及び手法を提供することである。
【0012】
本発明は、少なくとも一種類の脳脊髄液等の体液を患者から排出するのに適したシステムを特徴とする。このシステムは、少なくとも第1の体積の流体及び第2のより小さい体積の流体の一方を保持することを調節可能なチャンバを含む。チャンバは、開口を画定する障壁を有する入口端部を有し、出口流路を画定する出口端部を有する。システムは、チャンバ内に、弁座と、使用可能な体積を画定するための弁閉鎖部材と、を有する弁と、障壁における開口を通過可能で、第1の端部においてチャンバ内で終端する、シャフトを有する、移動可能な調節部材と、を更に含む。シャフトの第1の端部は、弁座に接続され、シャフトは、使用可能な体積を第1の体積より小さく縮小させるために、シャフトがチャンバ内へ前進することを可能にするように、障壁と固定された関係である対応する係合機構と係合可能な、シャフトの長さの少なくとも一部に沿う、複数の機構を有する。
【0013】
特定の実施形態では、弁閉鎖部材は、排出されるべき流体に対して浮力を有する機構を含む。弁は、第1の体積と第2の体積のそれぞれを表わす、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で浮力機構の移動を制御するケージ構造を含む。一部の実施形態では、シャフトは、回転可能であり、その長さの少なくとも一部に沿う、螺旋ネジ山を画定する。調節部材は、シャフトに取り付けられた把持部材を含み、把持部材は、シャフトに回転を付与するために、システムのユーザによって把持可能である。
【0014】
多くの実施形態では、システムは、弁座と流体連通するルーメンを画定する管部を更に含む。好ましくは、シャフトは、長手方向のチャネルを画定し、管部の一部は、チャネルを通過する。一部の実施形態では、チャンバ内の流体からシャフトを分離することを支援するための、スリーブが、シャフトの少なくとも一部を取り囲む。障壁は、微生物が障壁を越えてチャンバ内へ侵入することを制限するフィルタを含む。
【0015】
本発明はまた、患者からの少なくとも一種類の体液の排出を調節する方法を特徴とする。この方法は、少なくとも第1の体積の流体と第2のより小さい体積の流体の一方を保持可能なチャンバを有するアッセンブリを選択することであって、チャンバが、開口を画定する障壁を有する入口端部を有し、出口流路を画定する出口端部を有し、アッセンブリが、弁座と、使用可能な体積を画定するための弁閉鎖部材と、を有する、弁と、障壁における開口を通過可能で、第1の端部においてチャンバ内で終端する、シャフトを有する移動可能な調節部材であって、シャフトの第1の端部が、弁座に接続され、シャフトが、使用可能な体積を第1の体積より小さく縮小させるために、シャフトがチャンバ内へ前進することを可能にするように、障壁と固定された関係である対応する係合機構と係合可能な、シャフトの長さの少なくとも一部に沿う、複数の機構を有する、調節部材と、を更に含む、選択することを含む。この方法は、排出されるべき体液と流体連通している医療装置に、管部の遠位端を連結することであって、管部の近位端は、チャンバと流体連通している、連結することと、チャンバ内で使用可能な体積を調節するためにシャフトを移動させることと、を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下に、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態をより詳細に説明する。
【
図1】サンプリング孔を有する二次排出弁を介して二次排出バッグに接続された、本発明に係わる外部排出システムの模式的な部分断面図である。
【
図2】
図1の排出システムの拡大部分側断面図である。
【
図3】明確性のために、いくつかの構成要素が除去された、
図2の排出システムの図である。
【
図4】明確性のために、より多くの構成要素が除去された、
図2の排出システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、少なくとも一種類の脳脊髄液等の体液を患者から排出するためのシステム及び方法により達成され得る。流体は、骨片、軟組織又は他の壊死組織片を含む場合がある。システムは、少なくとも第1の体積の流体と第2のより小さい体積の流体の一方を保持するように調節可能なチャンバを有するアッセンブリを含む。チャンバは、開口を画定する障壁を有する入口端部を有し、出口流路を画定する出口端部を有する。システムは、チャンバ内に、弁座と、使用可能な体積を画定するための弁閉鎖部材と、を有する弁と、障壁における開口を通過可能で、第1の端部においてチャンバ内で終端する、シャフトを有する、移動可能な調節部材と、を更に含む。シャフトの第1の端部は、弁座に接続され、シャフトは、使用可能な体積を第1の体積より小さく縮小させるために、シャフトがチャンバ内へ前進することを可能にするように、障壁と固定された関係である対応する係合機構と係合可能な、シャフトの長さの少なくとも一部に沿う、複数の機構を有する。
【0018】
本発明に係る
図1のシステム10は、少なくとも第1の体積の流体と第2のより小さい体積の流体の一方を保持するように調節可能な体積制限収容チャンバ16を画定するハウジング14を有するアッセンブリ12を含む。チャンバ16は、障壁20を有する入口端部18、リブ21を有するこのようなキャップ及び開口22を画定するカバー23を有する。障壁20は、ハウジング14に固定される構成もあり、着脱可能に取り付けられる構成もある。チャンバ16はまた、出口流路26を画定する出口端部24を有する。
【0019】
図2〜4において拡大して詳細に図示されるように、システム10は、チャンバ16内に、弁座32と、使用可能な体積を画定するための、浮力を有する球状のフロート等の弁閉鎖部材34と、を有する、弁30を更に含む。弁30は、好ましくは、所望の収容体積の範囲にわたって、弁座32に対して閉鎖部材34の位置合わせを制御するための、伸長された収容ケージ36を含む。
【0020】
アッセンブリ12は、障壁20における開口22を通過し、第1の内側端部44においてチャンバ16内で終端する、シャフト42を有する移動可能な調節部材40を更に含む。以下により詳細に記載されるように、シャフト42の第1の端部44は、弁座32に接続され、シャフトは、使用可能な体積を第1の体積より小さく縮小させるために、シャフト42がチャンバ内へ前進することを可能にするように、障壁20と固定された関係である対応する係合機構、例えば、類似する螺旋ネジ山の噛合又は嵌合する陸部及び溝部と係合可能な、シャフト42の長さの少なくとも一部に沿う、複数の機構、例えば、螺旋ネジ山45を有する。
【0021】
システム10は、排出されるべき体液と流体連通している、シャント又は他の種類のカテーテル等の医療装置に連結された遠位端(図示せず)を有する排出管路管部50を含む。
図4の管部50の近位端52は、シャフト42における中心流路43を通過し、チャンバ16と流体連通している。管部50の近位端52は、破線54により示されたように、直接的に弁座32に取り付けられる構成もあり、管部50の一部が、シャフト42の流路43内にエポキシ56又は他のポリマー材料により「埋め込まれる」構成もある。管部50をアッセンブリ12に取り付ける手法は、以下により詳細に記載されるように、シャフト52の回転量を含む工学的要因を加味した設計選択の事項である。
【0022】
図1に示されるように、システム10のこの構成は、管部60により出口流路26に接続された二次排出弁62を更に含む。弁62は、二次バッグ64内への流体の流れをサンプリング孔65に変更させる移動可能なコントロールレバー63を含む。また、
図1に、管部50におけるライン66及び68が、アッセンブリ12内に排出される脳脊髄液の量69の境界線を表わすことも示される。以下により詳細に記載されるように、ノブ等のグリップ46は、ユーザがシャフト42に回転を付与することを可能にするために、シャフト42の外側端部領域48に取り付けられる。
【0023】
本構成における付加的な機構は、
図2〜4に示される。障壁20は、ファントムで示され、カバー23により画定された、脱気チャネル70及び72を含んでもよい。好ましくは、ディスク様フィルタ74は、弾性の円筒形スリーブ76と協同して、外部環境における微生物及び他の汚染物質からチャンバ16を分離するが、チャンバ16に入る流体により置換されるガスを脱気可能である。障壁20は、脱気開口84及び86を画定する、円筒形の側壁80及び床82を更に含む。リブ21は、保持素子又は固定素子がそれを通って配置されてもよい、少なくとも1つの外側通路88を含む。
【0024】
外部のマーキング100、102、104及び106は、10mL、20mL、30mL及び40mL等の体積を示し得る。破線108及び110は、最小及び最大体積をそれぞれ表し、シャフト42を介して弁座32を移動させることにより得られる。好ましくは、アッセンブリ12は、ポリマー材料から構成される。一部の構成では、少なくともハウジング14は、半透明材料から形成され、好ましくは、実質的に透明であり、チャンバ16内の収集された流体を目視可能である。
【0025】
図2〜4に示された好ましい構成では、弁座32は、シャフト42の端部44において画定されたチャネル116と摺動可能に係合する、フィンガ又は内部突起112、114により、シャフト42に接続される。一構成では、フィンガ112、114は、弁座32の壁部118から内側に向かって延在する。この接続により、座32をシャフト42の回転から切り離し又は分離することができる。弁座32は、面取り部120と、ボールフロート34と噛合する半球状のシール領域122と、管部50をチャンバ16と接続させる内側開口124と、を含む。一部の他の構成では、弁座32は、シャフト42の内側端部44及び/又は管部50の近位端52上に形成されるか、又は、シャフト42の内側端部44及び/又は管部50の近位端52の一部である。
【0026】
ケージ36は、伸長されたガイド素子37、38、39及び、図示されていない付加的なガイド素子を含む。シャフト42の移動により座32がいずれの軸方向位置に配置されても、ケージ36の複数のガイド素子によって、ボールフロート34は、座32と確実に係合することができる。
【0027】
矢印130及び132は、弁30により制限された場合、管部50を通ってチャンバ16内への、脳骨髄液又は他の体液の流れを表す。矢印134は、チャンバ16内の使用可能な体積を、最大体積110から最小体積108と同じである選択された体積に縮小させるために、ユーザにより付与された回転によりシャフトが前進させられる際の、シャフト142の軸方向の移動を表わす。
【0028】
このように、本発明の基礎となる新規な特徴を、その好ましい実施形態に適用されるように図示し、説明し、指摘してきたが、当業者は、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、例示された装置の形と詳細並びにその操作の様々な省略、代用及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、同一の結果を得るために、実質的に同じ方法で、実質的に同じ機能を行う要素及び/又は工程の全ての組み合わせが本発明の範囲に含まれるものである点は明確に意図するところである。1つの記載された実施形態から別の実施形態への要素の置換もまた、充分に想定及び想到されることである。図面は必ずしも縮尺通りではなく、その性質上、あくまで概念的なものに過ぎない点も理解されるであろう。したがって、本明細書に付属する「特許請求の範囲」の範囲により示されたようにのみ限定がなされるべきである点は意図するところである。
【0029】
本明細書に引用された発行特許、係属中の特許出願、刊行物、学術論文、書籍、又は他のあらゆる参照文献はいずれも、その全容を本明細書に援用するものである。
【0030】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも一種類の体液を患者から排出するのに適したシステムであって、
少なくとも第1の体積の流体と第2のより小さい体積の流体の一方を保持するように調節可能なチャンバであって、該チャンバが、開口を画定する障壁を有する入口端部を有し、出口流路を画定する出口端部を有する、チャンバと、
弁座と、使用可能な体積を画定するための弁閉鎖部材と、を含む、弁と、
該障壁における該開口を通過可能で、第1の端部において該チャンバ内で終端する、シャフトを有する、移動可能な調節部材であって、該第1の端部が、該弁座に接続され、該シャフトが、該使用可能な体積を該第1の体積より小さく縮小させるために、該シャフトが該チャンバ内へ前進することを可能にするように、該障壁と固定された関係である対応する係合機構と係合可能な、該シャフトの長さの少なくとも一部に沿う、複数の機構を有する、調節部材と、を含む、システム。
(2) 前記弁閉鎖部材が、排出されるべき前記流体に対して浮力を有する機構を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記弁が、前記第1の体積と前記第2の体積をそれぞれ表わす、少なくとも第1の位置と第2の位置との間で前記浮力機構の移動を制御するケージ構造を含む、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記シャフトが、回転可能であり、その長さの少なくとも一部に沿う、螺旋ネジ山を画定する、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記調節部材が、前記シャフトに取り付けられた把持部材を含み、該把持部材が、前記シャフトに回転を付与するために、前記システムのユーザによって把持可能である、実施態様4に記載のシステム。
【0031】
(6) 前記弁座と流体連通するルーメンを画定する管部を更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記シャフトが、長手方向のチャネルを画定し、前記管部の一部が、該チャネルを通過する、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記チャンバ内の流体から前記シャフトを分離することを支援するための、前記シャフトの少なくとも一部を取り囲むスリーブを更に含む、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記障壁が、微生物が前記障壁を越えて前記チャンバ内へ侵入することを制限するフィルタを含む、実施態様1に記載のシステム。
(10) 少なくとも脳脊髄液を患者から排出するのに適したシステムであって、
少なくとも第1の最大体積の流体及び第2の最小体積の流体を保持するように調節可能なチャンバであって、該チャンバが、開口を画定する障壁を有する入口端部を有し、出口流路を画定する出口端部を有する、チャンバと、
弁座と、使用可能な体積を画定するための、浮力を有する弁閉鎖部材と、該最大体積を表わす第1の位置と該最小体積を表わす第2の位置との間で該弁閉鎖部材の移動を制御するケージ構造と、を含む、弁と、
該障壁における該開口を通過可能で、第1の端部において該チャンバ内で終端する、シャフトを有する機械的に移動可能な調節部材であって、該第1の端部が、該弁座に接続され、該シャフトが、該使用可能な体積を該最大体積より小さく縮小させるために、該シャフトが該チャンバ内へ回転可能に前進することを可能にするように、該障壁により画定された対応するネジ山と係合可能な、該シャフトの長さの少なくとも一部に沿う、螺旋ネジ山を有する、調節部材と、を含む、システム。
【0032】
(11) 前記調節部材が、前記シャフトに取り付けられた把持部材を含み、該把持部材が、前記シャフトに回転を付与するために、前記システムのユーザにより把持可能である、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記弁座と流体連通するルーメンを画定する管部を更に含む、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記シャフトが、長手方向のチャネルを画定し、前記管部の一部が、該チャネルを通過する、実施態様12に記載のシステム。
(14) 前記チャンバ内の流体から前記シャフトを分離することを支援するための、前記シャフトの少なくとも一部を取り囲むスリーブを更に含み、前記障壁が、微生物が前記障壁を越えて侵入することを制限するフィルタを含み、該スリーブの端部が、該フィルタに隣接する、実施態様13に記載のシステム。
(15) 患者からの少なくとも一種類の体液の排出を調節する方法であって、
少なくとも第1の体積の流体と第2のより小さい体積の流体の一方を保持可能なチャンバを有するアッセンブリを選択することであって、該チャンバが、開口を画定する障壁を有する入口端部を有し、出口流路を画定する出口端部を有し、該アッセンブリが、弁座と、使用可能な体積を画定するための弁閉鎖部材と、を有する、弁と、該障壁における該開口を通過可能で、第1の端部において該チャンバ内で終端する、シャフトを有する移動可能な調節部材であって、該シャフトの該第1の端部が、該弁座に接続され、該シャフトが、該使用可能な体積を該第1の体積より小さく縮小させるために、該シャフトが該チャンバ内へ前進することを可能にするように、該障壁と固定された関係である対応する係合機構と係合可能な、該シャフトの長さの少なくとも一部に沿う、複数の機構を有する、調節部材と、を更に含む、選択することと、
排出されるべき該体液と流体連通している医療装置に、管部の遠位端を連結することであって、該管部の近位端は、該チャンバと流体連通している、連結することと、
該チャンバ内で該使用可能な体積を調節するために該シャフトを移動させることと、を含む、方法。
【0033】
(16) 前記弁閉鎖部材が、排出されるべき前記流体に対して浮力を有する機構を含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記弁が、前記第1の体積と前記第2の体積をそれぞれ表わす、少なくとも第1の位置と第2の位置との間での前記浮力機構の移動を制御するケージ構造を含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記シャフトが、回転可能であり、その長さの少なくとも一部に沿う螺旋ネジ山を画定し、前記調節部材が、前記シャフトに取り付けられた把持部材を含み、前記シャフトを移動させることが、前記シャフトに回転を付与するために、該把持部材を把持することを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記シャフトが、長手方向のチャネルを画定し、前記管部の一部が、該チャネルを通過する、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記チャンバ内の流体から前記シャフトを分離することを支援するための、前記シャフトの少なくとも一部を取り囲むスリーブを更に含み、前記障壁が、微生物が前記障壁を越えて侵入することを制限するフィルタを含み、該スリーブの端部が、該フィルタに隣接する、実施態様19に記載の方法。