(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画素電極と前記共通電極との間に電圧が印加されると、隣り合う二本の前記帯状部の互いに対向するエッジの近傍の液晶分子は、前記第一の基板の法線方向から見て、互いに逆方向に回転する
請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
前記画素電極と前記共通電極との間に電圧が印加されると、前記接続部を介して前記第一の方向と直交する第二の方向において隣り合う前記第一のエッジ部の近傍の液晶分子と前記第二のエッジ部の近傍の液晶分子は、前記第一の基板の法線方向から見て、互いに逆方向に回転する
請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
[第一の実施形態]
図1は、第一の実施形態に係る液晶表示装置100のブロック図である。以下の説明では、XYZ座標系を用いて各部材の位置関係などを説明する。
【0010】
液晶表示装置100は、液晶パネル110と、駆動IC120と、を有する。液晶パネル110は、液晶層を介して対向配置された第一の基板130と第二の基板150とを有する。第一の基板130は第二の基板150よりも大きく形成されており、第一の基板130において第二の基板150の外側に張り出す部分は、端子部となっている。駆動IC120は、端子部に設けられている。
【0011】
第一の基板130と第二の基板150とが対向する対向領域の中央部には、表示領域110Aが設けられている。表示領域110Aには、X方向に延在する複数のゲート線113と、Y方向に延在する複数のソース線114と、が互いに交差するように設けられている。複数のゲート線113は、Y方向に並べて配置され、複数のソース線114は、X方向に並べて配置されている。
【0012】
複数のゲート線113と複数のソース線114との各交差部に対応して、副画素SPXが設けられている。副画素SPXは、ゲート線113の延在方向およびソース線114の延在方向に沿ってX方向およびY方向に並べて配置されている。複数の副画素SPXがX方向およびY方向に配列されることで、表示領域110Aが形成されている。表示領域110Aの形状は、例えば、矩形であるが、表示領域110Aの形状は矩形に限定されない。例えば、矩形以外の多角形、円形または楕円形など、任意の形状が可能である。
【0013】
対向領域の周縁部には、ゲートドライバ111とソースドライバ112とが設けられている。ゲートドライバ111は、表示領域110Aの第一の辺に沿って設けられている。ソースドライバ112は、表示領域110Aの第二の辺に沿って設けられている。複数のゲート線113は、ゲートドライバ111とそれぞれ電気的に接続されている。複数のソース線114は、ソースドライバ112とそれぞれ電気的に接続されている。ゲートドライバ111とソースドライバ112は、駆動IC120と電気的に接続されている。ゲートドライバ111とソースドライバ112は、例えば、表示領域110Aの互いに直交する二つの辺にそれぞれ分離して設けられているが、ゲートドライバ111とソースドライバ112の配置はこれに限定されない。例えば、ゲートドライバ111とソースドライバ112は、表示領域110Aの同一の辺に設けられてもよい。
【0014】
図2は、表示領域110Aの等価回路図である。
【0015】
複数の副画素SPXには、画素電極141がそれぞれ設けられている。画素電極141には、薄膜トランジスタ116が電気的に接続されている。薄膜トランジスタ116のソースには、ソース線114が電気的に接続されている。画像信号はソース線114を介して各副画素SPXに供給される。画像信号は、複数のソース線114に対して線順次に供給されてもよいし、隣り合う複数のソース線114を一つのグループとして、グループ毎に画像信号が供給されてもよい。
【0016】
薄膜トランジスタ116のゲートには、ゲート線113が電気的に接続されている。ゲート信号は、複数のゲート線113に対して線順次に供給される。画素電極141は、薄膜トランジスタ116のドレインと電気的に接続されている。共通電極139は、コモン線115と電気的に接続されている。薄膜トランジスタ116がゲート信号の入力により一定期間だけオン状態とされると、ソース線114から供給された画像信号が画素電極141に書き込まれる。画素電極141に書き込まれた画像信号は、画素電極141と共通電極139との間で一定期間保持される。液晶層160は、画素電極141と共通電極139との間に発生する電界により配向が変化する。これにより、液晶層160に入射した光が変調され、階調表示が行われる。
【0017】
表示領域110Aには、互いに異なる色を表示する複数種類の副画素SPXが設けられている。副画素SPXが表示する色は、カラーフィルタCFの色によって決められている。例えば、
図2の例では、第一の色のカラーフィルタCF1を有する第一の副画素SPX1と、第二の色のカラーフィルタCF2を有する第二の副画素SPX2と、第三の色のカラーフィルタCF3を有する第三の副画素SPX3と、が互いに隣り合うように設けられている。一つの画素電極141と共通電極139とによって表示が行われる領域(ブラックマトリクスBMに囲まれた領域)が一つの副画素SPXである。隣り合う複数種類の副画素SPX(第一の副画素SPX1、第二の副画素SPX2、第三の副画素SPX3)によって、一つの画素PXが構成されている。画素PX内に設けられた複数種類の副画素SPXの階調がそれぞれ制御されることで、フルカラー表示が行われる。表示領域110Aには、複数の画素PXがX方向およびY方向に並べて配置されている。
【0018】
図3は、第一の基板130の法線方向(Z方向)から見た画素PXの平面図である。
図4は、副画素SPXの電極構造を示す平面図である。
【0019】
図3に示すように、画素PXを構成する三つの副画素SPXには、画素電極141と共通電極139とがそれぞれ設けられている。共通電極139は、絶縁膜を介して画素電極141と部分的に重畳している。画素電極141または共通電極139は、一つの副画素SPX内に、Y方向(第一の方向)に並ぶ複数の帯状部142と、隣り合う帯状部142どうしを接続する複数の接続部143と、を有する。
【0020】
本実施形態では、例えば、画素電極141は、絶縁膜を介して共通電極139よりも液晶層側に配置され、複数の帯状部142と複数の接続部143は、画素電極141に設けられている。複数の帯状部142と複数の接続部143は、画素電極141に複数のスリットSLを設けることにより形成されている。隣り合う二本の帯状部142は、スリットSLを介して対向する。隣り合う二本の帯状部142の間には、例えば、一本の接続部143のみが配置され、この一本の接続部143によって二本の帯状部142が電気的および機械的に接続されている。
【0021】
図4に示すように、複数の帯状部142の各々は、Y方向(第一の方向)と平行な副画素SPXの中心線CLを挟んで中心線CLの一方側(例えば、+X側)から他方側(例えば、−X側)に切れ目なく延在する。複数の接続部143には、中心線CLの一方側に設けられた一つ以上の第一の接続部143aと、中心線CLの他方側に設けられた一つ以上の第二の接続部143bと、が含まれている。
【0022】
本実施形態では、例えば、第一の接続部143aと第二の接続部143bとがY方向(第一の方向)に繰り返し交互に配置されている。一つの副画素SPXに設けられた複数の帯状部142のうち、少なくとも中央部に設けられた複数の帯状部142(例えば、端部に設けられた一本または複数本の帯状部142以外の複数の帯状部142)の長さは互いに等しい。中央部に設けられた複数の帯状部142は、均等なピッチでY方向に並んでいる。
【0023】
画素電極141は、複数の帯状部142の並び方向の一端側(例えば、+Y側)に、帯状部142よりもY方向の幅が広い拡幅部144を有する。拡幅部144は、最も端に配置された帯状部142と電気的に接続されている。画素電極141の周囲には、ブラックマトリクスBMが設けられている。ブラックマトリクスBMは、画素電極141の中央部と対向する位置に開口部OBMを有する遮光層である。開口部OBMが設けられた領域が副画素SPXである。ブラックマトリクスBMは、拡幅部144の一部または全部と重畳して配置されている。開口部OBMには、複数の帯状部142および複数の接続部143が配置されている。
【0024】
共通電極139は、少なくとも隣り合う帯状部142どうしの間の隙間と重畳する位置に設けられている。共通電極139は、例えば、表示領域の全面に形成されるが、共通電極139の形状はこれに限定されない。例えば、表示領域内で共通電極139が複数の部分に分割され、分割された個々の部分がコモン線115(
図2参照)によって電気的に接続されていてもよい。
【0025】
図3に戻って、表示領域110Aには、X方向に延びる複数のゲート線113と、Y方向に延びる複数のソース線114と、が画素電極141の間隙に沿って設けられている。ゲート線113とソース線114との交差部の近傍には、薄膜トランジスタ116が設けられている。薄膜トランジスタ116は、ゲート電極132と、半導体層134と、ソース電極135と、ドレイン電極136と、を有する。
【0026】
ゲート電極132は、ゲート線113からY方向に分岐して設けられている。半導体層134は、ゲート電極132と重畳して設けられている。ソース電極135は、ソース線114からX方向に分岐して設けられ、+X側の端部が半導体層134のソース部と電気的に接続されている。ドレイン電極136は、半導体層134のチャネル部を挟んでソース電極135とX方向に対向して設けられている。画素電極141の拡幅部144は、ゲート線113に沿って設けられ、拡幅部144の−X側の端部がドレイン電極136と電気的に接続されている。
【0027】
図5は、
図3のA1−A2線に沿う断面図である。
【0028】
液晶表示装置100は、画素電極141と共通電極139とを有する第一の基板130と、第一の基板130と対向配置された第二の基板150と、第一の基板130と第二の基板150との間に配置された液晶層160と、を有する。
【0029】
第一の基板130は、ガラスなどの透光性絶縁部材からなる第一の基材131を有する。第一の基材131の内面側(液晶層160側)には、ゲート線113およびゲート電極132が形成されている。第一の基材131上には、ゲート線113およびゲート電極132を覆って、酸化シリコンなどの透光性絶縁部材からなるゲート絶縁膜133が形成されている。ゲート絶縁膜133上には、アモルファスシリコン、LTPS(Low-Temperature Polycrystalline Silicon)または酸化物半導体などからなる半導体層134が形成されている。また、ゲート絶縁膜133上には、半導体層134に一部乗り上げるようにしてソース電極135とドレイン電極136とが形成されている。
【0030】
ゲート絶縁膜133上には、半導体層134、ソース電極135およびドレイン電極136を覆って、酸化シリコンなどの透光性絶縁部材からなる第一の層間絶縁膜137が形成されている。第一の層間絶縁膜137上には、アクリル樹脂などの透光性絶縁部材からなる第二の層間絶縁膜138が形成されている。第二の層間絶縁膜138上には、ITO(Indium Tin Oxide)などの透光性導電部材からなる共通電極139が形成されている。第二の層間絶縁膜138上には、共通電極139を覆って、窒化シリコンなどの透光性絶縁部材からなる容量絶縁膜140が形成されている。
【0031】
容量絶縁膜140上には、ITOなどの透光性導電部材からなる画素電極141が形成されている。画素電極141は、容量絶縁膜140、第二の層間絶縁膜138および第一の層間絶縁膜137を貫通するコンタクトホールHを介してドレイン電極136と電気的に接続されている。共通電極139には、コンタクトホールHの形成領域に対応して、コンタクトホールHよりも若干大きい開口部が設けられている。共通電極139に開口部が設けられることによって、共通電極139と画素電極141とが接触しないようになっている。容量絶縁膜140上には、画素電極141を覆って、ポリイミドなどからなる第一の配向膜148が形成されている。
【0032】
第二の基板150は、ガラスなどの透光性絶縁部材からなる第二の基材151を有する。第二の基材151の内面側(液晶層160側)には、カラーフィルタCFおよびブラックマトリクスBMが形成されている。カラーフィルタCFは、ブラックマトリクスBMに囲まれた領域(開口部OBM)に形成されている。カラーフィルタCFおよびブラックマトリクスBM上には、ポリイミドなどからなる第二の配向膜152が形成されている。
【0033】
第一の基材131の外面側(液晶層160とは反対側)には、第一の偏光板149が接着されている。第二の基材151の外面側(液晶層160とは反対側)には、第二の偏光板153が接着されている。第一の偏光板149の透過軸は、例えば、Y方向と平行である。第二の偏光板153の透過軸は、例えば、第一の偏光板149の透過軸と直交する。第一の配向膜148および第二の配向膜152には、ラビングや紫外線照射などによる配向処理が施されている。配向処理が施された方向を配向処理方向AD(
図3参照)とすると、第一の配向膜148の配向処理方向ADは、例えば、X方向(第二の方向)と平行な方向である。第二の配向膜152の配向処理方向は、例えば、第一の配向膜148の配向処理方向ADと平行な方向である。第一の配向膜148および第二の配向膜152は、液晶層160をX方向に配向させる。
【0034】
液晶層160は、例えば、誘電率異方性が正の液晶分子を含む。画素電極141と共通電極139との間に電圧が印加されない初期配向状態における液晶分子の配向方向は、X方向(第一の方向と直交する第二の方向)である。画素電極141と共通電極139との間に電圧が印加されると、画素電極141と共通電極139との間に形成された電界によって、液晶分子がY方向に配向する。液晶表示装置100では、このような液晶分子の配向状態の差異に基づく複屈折性を利用して明暗表示が行われる。
【0035】
以下、画素電極141の構造および電圧印加時の液晶分子の動作を具体的に説明する。
図6は、
図5に示した電極構造の一部を拡大して示す平面図である。
【0036】
帯状部142は、副画素の中心線CLを跨いで中心線CLの一方側(例えば、+X側)から他方側(例えば、−X側)に延びる本線部142aと、本線部142aの一端側に設けられた第一の延長部142b1と、本線部142aの他端側に設けられた第二の延長部142b2と、を有する。帯状部142は、例えば、帯状部142の中心Cに対して回転対称な形状を有する。
【0037】
本線部142aは、例えば、Y方向の幅が一定となる形状を有する。本実施形態では、本線部142aは、少なくとも長手方向両端部以外の部分(例えば、第一の接続部143aと第二の接続部143bとの間に配置される部分)がX方向に対して斜めに傾斜した平行四辺形の形状を有するが、本線部の形状はこれに限られない。例えば、本線部142aは、少なくとも長手方向両端部以外の部分がX方向と平行な長方形の形状を有していてもよい。
【0038】
第一の延長部142b1および第二の延長部142b2は、例えば、本線部142aから遠い位置ほどY方向の幅が小さい形状を有する。第一の延長部142b1および第二の延長部142b2では、Y方向において対向する二本のエッジは、互いに近づく方向に傾斜している。本実施形態では、第一の延長部142b1および第二の延長部142b2は、少なくとも本線部142a側の端部以外の部分(例えば、接続部143の中心線CL側とは反対側に配置された部分)がX方向に対して斜めに傾斜した台形の形状を有するが、第一の延長部142b1および第二の延長部142b2の形状はこれに限られない。例えば、第一の延長部142b1および第二の延長部142b2は、少なくとも本線部142a側の端部以外の部分が三角形の形状を有していてもよい。
【0039】
複数の帯状部142には、本線部142aの傾斜方向が互いに異なる第一の帯状部142Aと第二の帯状部142Bとが含まれている。第一の帯状部142Aの本線部142aは、X方向に対して反時計回りに角度θ0(0<θ0<45°)だけ傾斜している。第二の帯状部142Bの本線部142aは、X方向に対して時計回りに角度θ0だけ傾斜している。第一の帯状部142Aと第二の帯状部142Bは、例えば、X方向と平行な線に対して線対称な形状を有する。
【0040】
第一の帯状部142Aと第二の帯状部142Bは、例えば、Y方向に繰り返し交互に配置されている。隣り合う二本の帯状部142の間隔(Y方向において対向するエッジどうしの間隔)は、X方向に沿って変化している。隣り合う二本の帯状部142は、互いの間隔が最も小さくなる部分で接続部143によって接続されている。
図6の例では、互いに近接する二本の本線部142aの端部に接続部143が接続されている。複数の第一の接続部143aは、Y方向に沿って直線状に配置され、第二の接続部143bは、Y方向に沿って直線状に配置されている。隣り合う二本の帯状部142の間隔は、接続部143からの距離が大きいほど大きい。
【0041】
隣り合う二本の帯状部142の間に設けられたスリットSLは、接続部143によって、接続部143よりも中心線CL側に配置された第一のスリット部SL1と、接続部143よりも中心線CLとは反対側に配置された第二のスリット部SL2と、に分割される。スリットSLを臨む帯状部142のエッジは、第一のスリット部SL1を臨む第一のエッジ部EG1と、第二のスリット部SL2を臨む第二のエッジ部EG2と、を有する。接続部143は、第一のスリット部SL1を臨む第三のエッジ部EG3と、第二のスリット部SL2を臨む第四のエッジ部EG4と、を有する。
【0042】
第一のエッジ部EG1と第三のエッジ部EG3とが交差する角度θ1は、鈍角である。第二のエッジ部EG2と第四のエッジ部EG4とが交差する角度θ2は、鈍角である。第二のエッジ部EG2と第四のエッジ部EG4とが交差する角度θ2は、第一のエッジ部EG1と第三のエッジ部EG3とが交差する角度θ1よりも大きい。隣り合う二本の帯状部142において、第一のエッジEG1どうしの間隔および第二のエッジEG2どうしの間隔は、接続部143からの距離が大きいほど大きい。これにより、第一のスリット部SL1および第二のスリット部SL2において液晶分子の配向が安定化しやすくなる。
【0043】
第一のエッジ部EG1は、第三のエッジ部EG3に対する傾斜角が互いに異なる複数の部分を有する。接続部143から遠い位置に設けられた部分の傾斜角は、接続部143に近い位置に設けられた部分の傾斜角よりも大きい。例えば、第一のエッジ部EG1は、第一の延長部142b1または第二の延長部142b2のエッジに対応する部分の傾斜角θ3が、本線部142aのエッジに対応する部分の傾斜角θ1よりも大きい。これにより、接続部143から遠い位置における液晶分子の配向が安定化しやすくなる。
【0044】
図7は、電圧印加時の液晶分子160aの配向状態を説明する図である。
【0045】
画素電極141と共通電極139(
図5参照)との間に電圧が印加されると、隣り合う二本の帯状部142の互いに対向するエッジの近傍の液晶分子160aは、第一の基板130(
図5参照)の法線方向から見て、互いに逆方向に回転する。接続部143を介してX方向(第一の方向と直交する第二の方向)において隣り合う第一のエッジ部EG1の近傍の液晶分子160aと第二のエッジ部EG2の近傍の液晶分子160aは、第一の基板130(
図5参照)の法線方向から見て、互いに逆方向に回転する。これにより、高速応答が実現される。
【0046】
この際、副画素SPXには、画素電極141と共通電極139(
図5参照)との間に電圧が印加されても、液晶分子160aの配向変化がほとんど生じない複数の線状領域DLが形成される。具体的には、第一のスリット部SL1と重畳する位置に、第一のスリット部SL1の中心を通ってX方向に延びる第一の線状領域DL1が形成される。第二のスリット部SL2と重畳する位置に、第二のスリット部SL2の中心を通ってX方向に延びる第二の線状領域DL2が形成される。第二のスリット部SL2とY方向に隣接する部分の帯状部142の位置に、第三の線状領域DL3が形成される。接続部143の位置に、第四の線状領域DL4が形成される。第一の線状領域DL1および第二の線状領域DL2は、液晶分子160aどうしが干渉することにより、液晶分子160aの配向変化が制限される線状領域である。第三の線状領域DL3および第四の線状領域DL4は、液晶分子160aに電界が十分に作用しないことにより、液晶分子160aの配向変化が生じにくくなっている線状領域である。
【0047】
線状領域DLが形成される部分では、表示は暗くなる。しかし、線状領域DLは、第一の接続部143aと第二の接続部143bとの間に配置された部分の帯状部142(帯状部142の中央部)には形成されない。帯状部142の中央部では、−Y側のエッジの近傍の液晶分子160aと+Y側のエッジの近傍の液晶分子160aとが、第一の基板130(
図5参照)の法線方向から見て、互いに同じ方向に回転するため、帯状部142と重畳する位置に設けられた液晶分子160aも十分に配向変化を行うことができる。そのため、帯状部142全体に線状領域DLが形成される場合に比べて、表示は明るくなる。
【0048】
図8は、電圧印加時の副画素SPXの透過光像を示す平面図である。
【0049】
副画素SPXのX方向中央部に位置する第一の領域CAには、第一のピッチW1で第一の線状領域DL1が形成されている。第一の領域CAの+X側に位置する第二の領域SA1および−X側に位置する第三の領域SA2には、それぞれ第一のピッチW1よりも短い第二のピッチW2で第一の線状領域DL1、第二の線状領域DL2および第三の線状領域DL3が形成されている。第一の線状領域DL1および第二の線状領域DL2が形成される部分は、高速応答に寄与する部分である。そのため、第二の領域SA1および第三の領域SA2は、第一の領域CAよりも高速応答化に大きく寄与する。
【0050】
第二の領域SA1および第三の領域SA2の大きさは、接続部143(
図7参照)の位置によって制御される。接続部143の位置が副画素SPXの中心線CLに近くなるほど第二の領域SA1および第三の領域SA2の大きさは大きくなり、接続部143の位置が副画素SPXの中心線CLから遠くなるほど第二の領域SA1および第三の領域SA2の大きさは小さくなる。第二の領域SA1および第三の領域SA2の大きさが小さくなるほど、高速応答に寄与する領域が小さくなるため、応答速度は低くなるが、線状領域DLの占める面積が小さくなるため表示は明るくなる。一方、第二の領域SA1および第三の領域SA2の大きさが大きくなるほど、高速応答に寄与する領域が大きくなるため、応答速度は速くなるが、線状領域DLの占める面積が大きくなるため、表示は暗くなる。よって、必要とされる応答速度と明るさの特性に応じて、接続部143の位置が適切に設計される。
【0051】
なお、第二の領域SA1および第三の領域SA2では、線状領域DLが密に形成されるため、第一の領域CAに比べて、液晶分子の配向が不安定になりやすい。そのため、
図6に示したように、第二のエッジ部EG2と第四のエッジ部EG4とが交差する角度θ2が、第一のエッジ部EG1と第三のエッジ部EG3とが交差する角度θ1よりも大きくなっている。この構成によれば、第二のエッジ部EG2の近傍の液晶分子の配向が第一のエッジ部EG1の近傍の液晶分子の配向よりも安定化しやすくなり、第二の領域SA2および第三の領域SA3の全体の配向安定化に寄与する。
【0052】
以上のように、本実施形態の液晶表示装置100では、隣り合う帯状部142どうしを接続する複数の接続部143が、副画素SPXの中心線CLを挟んで、中心線CLの一方側と他方側に振り分けて配置されている。そのため、中心線CLの一方側に配置された第一の接続部143aと、中心線CLの他方側に配置された第二の接続部143bと、の間に設けられた帯状部142上の位置には、線状領域DLが形成されない。よって、明るい表示が可能となる。
【0053】
[第二の実施形態]
図9は、第二の実施形態に係る液晶表示装置の電極構造を示す平面図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、第一の接続部143aが、隣り合う二本の帯状部142の端部どうしを接続する点である。帯状部142は、
図6に示した第一の延長部142b1を有していない。この構成では、第一の接続部143aの+X側(副画素の中心線側とは反対側)に第二の線状領域DL2および第三の線状領域DL3が形成されない。そのため、第一の実施形態に比べて、応答速度は劣るが、明るい表示が可能となる。
【0055】
[第三の実施形態]
図10は、第三の実施形態に係る液晶表示装置の電極構造を示す平面図である。本実施形態において第二の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0056】
本実施形態において第二の実施形態と異なる点は、複数の第二の接続部143bの中に、X方向の位置が互いに異なる複数の第二の接続部143bが含まれる点である。複数の第二の接続部143bは、Y方向に沿って直線状に配置されていない。この構成では、Y方向に並ぶ複数の第二の接続部143bのうちのいくつかの位置をX方向にずらすことで、表示の明るさと応答速度を微妙に調節することができる。
【0057】
[第四の実施形態]
図11は、第四の実施形態に係る液晶表示装置の電極構造を示す平面図である。本実施形態において第二の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施形態において第二の実施形態と異なる点は、第二の接続部143bが、隣り合う二本の帯状部142の端部どうしを接続する点である。帯状部142は、
図6に示した第一の延長部142b1と第二の延長部142b2を有していない。この構成では、第一の接続部143aの+X側(副画素の中心線側とは反対側)および第二の接続部143bの−X側(副画素の中心線側とは反対側)に第二の線状領域DL2および第三の線状領域DL3が形成されない。そのため、第二の実施形態に比べて、応答速度は劣るが、明るい表示が可能となる。
【0059】
[第五の実施形態]
図12は、第五の実施形態に係る液晶表示装置の電極構造を示す平面図である。本実施形態において第四の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施形態において第二の実施形態と異なる点は、本線部142aに屈曲部が設けられている点である。本線部142aのエッジ(第一のエッジ部EG1)は、第三のエッジ部EG3に対する傾斜角が互いに異なる複数の部分(第一の部分EG11、第二の部分EG12)を有する。接続部143から遠い位置に設けられた第二の部分EG12の傾斜角α2は、接続部143に近い位置に設けられた第一の部分EG11の傾斜角α1よりも大きい。よって、接続部143から遠い位置における液晶分子の配向が安定化しやすい。
【0061】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0062】
例えば、上記の実施形態では、画素電極141が、容量絶縁膜140を介して共通電極139よりも液晶層160側に配置され、複数の帯状部142と複数の接続部143が、画素電極141に設けられている構成が例示されたが、画素電極141および共通電極139の構成はこれに限定されない。例えば、共通電極139が、容量絶縁膜140を介して画素電極141よりも液晶層160側に配置され、複数の帯状部142と複数の接続部143が、共通電極139に設けられてもよい。
【0063】
また、上記の実施形態では、画素電極141と共通電極139とが、容量絶縁膜140を介して積層される構成が例示されたが、画素電極141と共通電極139の構成はこれに限定されない。例えば、画素電極141と共通電極139とが、同一の層上において互いに隣り合うように形成されてもよい。
【0064】
また、上記の実施形態では、第一の接続部143aと第二の接続部143bとがY方向に交互に配置されているが、接続部143の配置はこれに限定されない。例えば、複数の第一の接続部143aのうちのいくつかはY方向に隣り合うように配置されてもよい。同様に、複数の第二の接続部143bのうちのいくつかはY方向に隣り合うように配置されてもよい。
【0065】
また、第一の基板130および第二の基板150の層構造は、一例であって、上記の実施形態の構成に限定されない。例えば、
図5では、カラーフィルタCFが第二の基板150に設けられているが、カラーフィルタCFは第一の基板130に設けられてもよい。すなわち、COA(Color filter On Array)構造に本発明を適用してもよい。
【0066】
また、本明細書において、部材どうしの寸法が等しいと記載された部分については、製造誤差の範囲内で、部材どうしの寸法が等しいことを意味する。同様に、部材どうしが平行または直交すると記載された部分については、製造誤差の範囲内で、部材どうしが平行または直交することを意味する。