(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6504998
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20190415BHJP
【FI】
E04H6/18 601F
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-218127(P2015-218127)
(22)【出願日】2015年11月6日
(65)【公開番号】特開2017-89164(P2017-89164A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2017年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094352
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 竜也
【審査官】
土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−249693(JP,A)
【文献】
特開平04−330180(JP,A)
【文献】
特開平10−169232(JP,A)
【文献】
特開平05−125852(JP,A)
【文献】
国際公開第94/012748(WO,A1)
【文献】
米国特許第07002487(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 − 6/44
G08B 19/00 −21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と出入口ドアを介して連通し、乗員が駐車車両から乗り降りする乗降室と、前記駐車車両を格納可能な複数の格納スペースを有する格納室と、前記乗降室と前記格納室間で前記駐車車両を移動する移動装置とを備えた駐車装置において、
前記乗降室に、レーザ光を照射し、その反射光によるデータに基づき前記乗降室内にいる残留者を検出するレーザ人体検出器を設け、かつ、前記乗降室の壁面に沿って立設され、前記壁面近傍に配置される機器を覆い、前記レーザ人体検出器による誤検出を防止する隔壁を備えたことを特徴とする駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗降室にて乗員が駐車車両から乗り降りし、移動装置により乗降室と格納室間で駐車車両を移動する駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車装置として、外部と連通する乗降室と複数の格納スペースを有する格納室間で駐車車両を移動する移動装置、例えば駐車車両の入出庫階と格納階を結ぶリフト装置を構成し、駐車車両を搭載可能なトレーを異なる階床間で移動するものがある。
【0003】
このような駐車装置には、乗降室の外部に、リフト装置を運転するための操作盤が設けられ、この操作盤の操作により空きのトレーが乗降室に搬送されると、出入口ドアが開き、乗員は駐車車両を乗降室に入庫させ、トレー上に停車させる。その後、乗員が降車して乗降室から退出すると、駐車車両が搭載されたトレーは格納階の格納スペースに搬送される。このような駐車装置では、安全を確保するため、駐車車両の入庫完了後に乗降室内に残留者が存在しないことを確認する必要がある。
【0004】
そこで、駐車車両内に残留者が存在しないことを確認するものとして、特開2013−249693号公報(特許文献1)には、レーザ光を照射し、その反射光によるデータに基づいて駐車車両内の残留者を検出するものが示されている。また、特開2011−246942号公報(特許文献2)には、無線送受信人検出装置から送信される反射波に含まれる脈拍成分を抽出して駐車車両内の残留者を検出するものが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−249693号公報
【特許文献2】特開2011−246942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述したものは主に駐車車両内の残留者を検出するものであるが、駐車装置として安全を確保するためには、乗降室内そのものにも残留者がいないことを確かめる必要がある。これは例えば、出入口ドアが開いているときに子ども等が乗降室に入り込むことも想定されるからである。また、一般に、乗員が駐車車両から乗り降りする乗降室には、その壁面の近傍に、建屋に設置される配管や、所定区画内の圧力が一定値に達したときに弁を開いて避圧する避圧ダンパの避圧開口等の機器が配置されている。
【0007】
このような乗降室にあって、前述した特許文献1に記載されるような、レーザ光を照射し、その反射光によるデータに基づき人体の検出するレーザ人体検出器により乗降室内の残留者の有無を判定しようとすると、配管を人体と誤検出したり、避圧開口から排出された空気に含まれる塵埃を人体と誤検出したり、避圧開口を覆う網目状のカバーにより乱反射する反射光を人体として誤検出することがあり、正確な残留者の検出が困難であるという課題があった。
【0008】
一方、前述した特許文献2に記載される反射波に含まれる脈拍成分を抽出して残留者を検出する検出器により、乗降室内の残留者を検出することも可能であるが、このような検出器は特殊なものであり、コストがかかるという問題があった。
【0009】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、レーザ人体検出器により乗降室内の残留者の有無を正確に判定することのできる駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、外部と出入口ドアを介して連通し、乗員が駐車車両から乗り降りする乗降室と、前記駐車車両を格納可能な複数の格納スペースを有する格納室と、前記乗降室と前記格納室間で前記駐車車両を移動する移動装置とを備えた駐車装置において、前記乗降室に、レーザ光を照射し、その反射光によるデータに基づき
前記乗降室内にいる残留者を検出するレーザ人体検出器
を設け、かつ、前記乗降室の壁面に沿って立設され、前記壁面近傍に配置される機器を覆い、前記レーザ人体検出器による誤検出を防止する隔壁を備えたことを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、壁面近傍に配置される機器は隔壁によって覆われていることから、レーザ光を照射し、その反射光によるデータ基づき人体の検出するレーザ人体検出器が機器や、機器からの塵埃や反射光を人体と誤って検出することを防ぎ、これによって、乗降室内の残留者の有無を正確に判定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レーザ人体検出器により乗降室内の残留者の有無を正確に判定することができる。なお、前述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の駐車装置の一実施形態を示す乗降室の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の駐車装置の一実施形態を示す乗降室の平面図である。
【0015】
本実施形態の駐車装置は、外部と出入口ドア1を介して連通し、乗員が駐車車両から乗り降りする乗降室2と、駐車車両を格納可能な複数の格納スペースを有する図示しない格納室と、乗降室2と格納室間で駐車車両を移動する移動装置、例えば駐車車両を搭載可能なトレー3を異なる階床間で移動するリフト装置4と、外部と連通し、非常時に用いられる非常口5と、出入口ドア1近傍に配置され、駐車装置を操作する操作盤6と、乗降室2の壁面2aの近傍に配置され、建屋に設置される配管7と、壁面2bの近傍に配置され、所定区画内の圧力が一定値に達したときに弁を開いて避圧する避圧ダンパの避圧開口8とを備えている。
【0016】
出入口ドア1は、トレー3との対向位置に配置され、駐車車両が通過可能な幅寸法を有していると共に、通常時、駐車車両の入出庫を行う乗員はここから出入りするようになっている。
トレー3の上面には、搭載された駐車車両の前輪および後輪が所定位置にあることを検出する車輪センサ9が備えられている。
【0017】
リフト装置4は、図示しない制御装置により駐車車両を搭載可能なトレー3を昇降させるものであり、このリフト装置4がトレー3を乗降室2の昇降口10に位置させると、トレー3上面と乗降室2の床2cが略同一レベルとなり、駐車車両の乗り入れ、乗り出しが可能となると共に、乗員は安全に乗降することができる。
【0018】
乗降口10の周縁から出入口ドア1および非常口5にかけてマーキングが施された通路11が設定され、通常時において、乗員は昇降口10の周縁から出入口ドア1に亘る通路11を通り、入庫時に乗り入れた駐車車両から降りて退室すると共に、出庫時に入室して駐車車両に乗り込むようになっている。
乗降室2の出入口ドア1から向かって奥側の壁面2dには、駐車状況を案内する案内装置12が設けられている。
乗降室2には、リフト装置4を緊急停止するための複数の緊急停止釦13が設置されている。
【0019】
そして、本実施形態では、乗降室に、レーザ光を照射し、その反射光によるデータ基づき人体の検出する複数のレーザ人体検出器14と、乗降室2の壁面2a、2bに沿って立設され、壁面近傍に配置される機器、すなわち配管7および避圧開口8を覆う隔壁15とを備えている。
【0020】
本実施例にあっては、例えば駐車車両を入庫するため、出入口ドア1近傍に配置された操作盤6を外部から操作すると、この操作盤6の操作に応じてリフト装置4が稼働し、空きのトレー3が乗降室2に搬送され、出入口ドア1が開く。そこで、乗員は駐車車両を乗降室2に入庫させ、案内装置12に導かれつつトレー3上に停車させる。その後、乗員は降車し、通路11を通り出入口ドア1を介して乗降室2から退出する。
【0021】
この間、レーザ人体検出器14は乗降室2内にレーザ光を照射し、その反射光によるデータに基づき人体の検出を行っており、乗降室2内に残留者無しと判定すると、出入口ドア1の閉扉を許可する。ところで、配管7および避圧開口8は隔壁15で覆われていることから、レーザ人体検出器14が、配管7を人体と誤検出したり、避圧開口8から排出された空気に含まれる塵埃を人体と誤検出したり、避圧開口8を覆う網目状のカバーにより乱反射する反射光を人体として誤検出することを防ぐことができる。
【0022】
出入口ドア1が閉扉した後、リフト装置4が稼働し、駐車車両が搭載されたトレー3は格納階の格納スペースに搬送される。一方、レーザ人体検出器14により乗降室2内に残留者有りと判定されると、出入口ドア1の閉扉は阻止される共に、例えば、所定時間以上にわたって残留者有りと判定されると、外部に異常発生を報知するようになっている。
【0023】
本実施形態によれば、壁面2a、2b近傍に配置される配管7および避圧開口8は隔壁15によって覆われていることから、レーザ人体検出器14が配管7を人体と誤検出したり、避圧開口8から排出された空気に含まれる塵埃を人体と誤検出したり、避圧開口8を覆う網目状のカバーにより乱反射する反射光を人体として誤検出することを防ぎ、これによって、乗降室2内の残留者の有無を正確に判定し、不要に駐車装置を不稼働とすることを防止できる。
また、人体検出器は、一般的なレーザ人体検出器14であることから、コストの低減を図り、汎用性の高い装置とすることができる。
【0024】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含み、例えば、前述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
1 出入口ドア
2 乗降室
3 トレー
4 リフト装置(移動装置)
6 操作盤
7 配管
8 避圧開口
11 通路
12 案内装置
13 緊急停止釦
14 レーザ人体検出器
15 隔壁