(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、従来における微粒子の個数の計測は、PMP(Particle Measurement Program)に基づくシステム(PMPシステム)では、定置を前提とした測定方法である。例えば車両の排気ガス中の微粒子を計測する場合、PMPシステムのサイズは車両よりも大きい。また、計測器自体が例えば縦30〜50cm、横30〜50cm、高さ10〜15cm程度の筐体を数段重ねた大きさであり、車載用や一般家庭用としては、考えられていない。しかも、CPCによる微粒子の個数計測は、アルコールやブタノール等の有機ガスを使用することから管理が難しいという問題がある。
【0006】
なお、微粒子の個数を計測する方法としては、例えば微粒子の重量と個数とで、ある種の相関があるという考えに基づいて、特定の微粒子の重量から個数に変換する方法が考えられる。しかし、特定の微粒子の重量と個数との相関をとるための作業に時間がかかり、しかも、使用環境等によって、相関もかわってくると思われるため、校正等において問題がある。
【0007】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、小型化及び軽量化が可能で、車載用や一般家庭用としても好適であり、しかも、微粒子の個数を精度よく計測することができる微粒子の個数計測
器を提供することを目的とする。
【0008】
[1] 第1の本発明に係る微粒子の個数計測器は、セラミックにて構成された筐体と、前記筐体内に導入された被測定ガス中の微粒子に電荷を付加する電荷付加手段と、前記微粒子に付加された電荷を捕集する電荷捕集手段と、捕集された電荷の量に基づいて微粒子の個数を測定する個数測定手段と
を有する微粒子の個数計測器であって、前記筐体は、前記被測定ガスが導入されるガス導入部と、前記筐体内に導入された前記微粒子を拡散する中空部と、前記筐体外に前記微粒子を排出するガス排出部とを有し、前記ガス導入部の高さをhi、前記中空部の高さをhc、前記ガス排出部の高さをhoとしたとき、
hc>hi、hc≧ho又は
hc≧hi、hc>ho
であり、前記電荷を捕集する部分を加熱するヒータを有することを特徴とする。
[2] 第2の本発明に係る微粒子の個数計測器は、セラミックにて構成された筐体と、前記筐体内に導入された被測定ガス中の微粒子に電荷を付加する電荷付加手段と、前記微粒子に付加された電荷を捕集する電荷捕集手段と、捕集された電荷の量に基づいて微粒子の個数を測定する個数測定手段とを有する微粒子の個数計測器であって、前記電荷捕集手段は、前記筐体内に設置され、電位的にフローティング状態の測定電極と、前記筐体内で電界を発生する少なくとも1つの電界発生手段とを有し、前記微粒子に付加した電荷を前記電界によって前記測定電極に捕集し、前記電界発生手段は、前記筐体内における微粒子のガス導入部よりも奥行側に設置された負極電極と、該負極電極と対向して設置された正極電極とを有し、前記測定電極は、前記負極電極と前記正極電極との間であって、且つ、前記正極電極の近傍に設置され、前記負極電極及び前記正極電極のガス導入方向に沿った長さは、前記測定電極のガス導入方向に沿った長さよりも短いことを特徴とする。
【0009】
[
3] 第1
又は第2の本発明において、前記電荷を捕集する部分を加熱するヒータを有してもよい。
【0010】
[
4] 第1
又は第2の本発明において、前記電荷捕集手段と前記個数測定手段とを一定時間毎に電気的に接続するスイッチを有し、前記個数測定手段は、前記捕集された電荷の量に基づく電流を測定してもよい。
【0011】
[
5] この場合、前記電荷捕集手段にコンデンサと抵抗の直列回路が接続され、前記スイッチによって前記電荷捕集手段と前記個数測定手段とが電気的に接続されたとき、前記電荷捕集手段に捕集された電荷に基づく電流の発生が前記直列回路を介して過渡応答として前記個数測定手段に伝達してもよい。
【0012】
[
6]
また、前記正極電極及び前記負極電極は、前記筐体内に埋設されていてもよい。
【0014】
[7] 第1
又は第2の本発明において、前記電荷付加手段は、前記筐体内における微粒子の
ガス導入部に向けて設置された針状電極と、前記針状電極の先端に対向して設置された対向電極とを有し、前記針状電極と前記対向電極との間に、前記針状電極と前記対向電極間の電位差によるコロナ放電を発生してもよい。
【0015】
[8] 第1
又は2の本発明において、少なくとも1つの電界発生手段を有し、前記微粒子に付加しなかった電荷を捕集する第2の電荷捕集手段を有してもよい。
【0026】
本発明に係る微粒子の個数計測
器によれば、小型化及び軽量化が可能で、車載用や一般家庭用としても好適であり、しかも、微粒子の個数を精度よく計測することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る微粒子の個数計測
器の実施の形態例を
図1〜
図4を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0029】
先ず、第1の実施の形態に係る微粒子の個数計測器(以下、第1個数計測器10Aと記す)は、
図1に示すように、セラミックにて構成された筐体12と、筐体12内に導入された被測定ガス14中の微粒子16に電荷18を付加する電荷付加手段20と、微粒子16に付加された電荷18を捕集する第1電荷捕集手段22Aと、捕集された電荷18の量に基づいて微粒子の個数を測定する個数測定手段24とを有する。
【0030】
第1電荷捕集手段22Aは、筐体12内に設置された測定電極26と、筐体12内で電界を発生する第1電界発生手段28Aとを有し、電荷18が付加した微粒子16を前記電界によって測定電極26に付着する。すなわち、微粒子16に付加された電荷18を測定電極26に捕集する。
【0031】
個数測定手段24は、電流測定部30と、該電流測定部30からの検出信号Si(検出した電流値)に基づいて、所定期間(例えば1〜5分)にわたって測定電極26に付着した微粒子16の個数を算出する個数算出手段32とを有する。
【0032】
さらに、第1個数計測器10Aは、第1電荷捕集手段22Aの測定電極26と個数測定手段24の電流測定部30とを一定時間(例えば5〜15秒)毎に電気的に接続するスイッチ34を有する。
【0033】
筐体12は、被測定ガス14が導入されるガス導入口38と、筐体12内に導入された微粒子16を拡散する中空部40と、筐体12外に微粒子16を排出するガス排出口42とを有する。
【0034】
ガス導入口38と中空部40との間に一定の高さhiを有するガス導入部44が配され、中空部40とガス排出口42との間に一定の高さhoを有するガス排出部46が配されている。ガス導入部44及び中空部40の高さhi及びhcの関係は、hc≧hiである。また、ガス導入部44及びガス排出部46の高さhi及びhoは200μm〜数cm、中空部40の高さhcは200μm〜数cmが挙げられる。ガス導入部44及びガス排出部46の高さhi及びhoは同じでもよいし、違っていてもよい。
【0035】
筐体12は、セラミック材料にて構成されている。セラミック材料としては、アルミナ、ムライト、窒化ケイ素等、絶縁性、高耐熱性を有するセラミック材料が挙げられる。
【0036】
電荷付加手段20は、筐体12内のガス導入部44に向けて設置され、先端48aが尖った形状を有する針形状やニードル状の針状電極48と、該針状電極48の先端48aに対向して設置された対向電極50と、針状電極48と対向電極50間に電圧Vp(例えばパルス電圧等)を印加する電源52とを有する。針状電極48の先端48aと対向電極50の対向面50a(針状電極48と対向する面)との間の距離Daは200μm〜数cmである。そして、針状電極48と対向電極50間に電圧Vpが印加されることで、針状電極48と対向電極50間の電位差によるコロナ放電が発生する。このコロナ放電中を被測定ガス14が通過することにより、被測定ガス14中の微粒子16に1つの電荷18(この例では電子)が付加される。それぞれ1個の電荷18が付加された微粒子16は、中空部40に進む。
【0037】
微粒子16に1つの電荷18が付加される理由は、文献:G.Biskos,E.Mastorakos,N.Collings“Monte−Carlo simulation of unipolar diffusion charging for spherical and non−spherical particles”に記載がある。電荷については、設計値を調整することで2つ又はそれ以上の電荷を帯電することもできる。ここでいう設計値とは、イオン濃度と時間である。
【0038】
例えば煤等の微粒子16に電子が衝突して荷電する。荷電した微粒子16と電子には斥力が発生するため、これ以上荷電されにくい。つまり、2つ以上の電子が付加されにくい。荷電されていない微粒子16に優先的に電子が付加する。その結果、1個の電子が付加した微粒子16が増えていく。
【0039】
針状電極48と対向電極50間の距離Daが2cmのときに、針状電極48と対向電極50間にコロナ放電を発生させるには、電圧Vpとして2.5kV程度が必要である。
【0040】
第1電荷捕集手段22Aの第1電界発生手段28Aは、筐体12内の中空部40に配置された第1負極電極54aと、該第1負極電極54aに対向して設置された第1正極電極56aとを有する。第1電荷捕集手段22Aの測定電極26は、第1負極電極54aと第1正極電極56aとの間であって、且つ、第1正極電極56aの近傍に設置されている。第1負極電極54aには負電位−V1が印加され、第1正極電極56aには接地電位Vssが印加される。負電位−V1のレベルは−mVオーダーから数10Vである。これにより、第1正極電極56aから第1負極電極54aに向かう第1電界58Aが発生する。従って、中空部40に入り込んだ微粒子16(電荷18が付加されている)は、発生している第1電界58Aによって、第1正極電極56aに引き寄せられ、その途中に設置された測定電極26に付着する。
【0041】
ここで、ガス導入部44に導入する被測定ガス14の流速が予め設定されていれば、第1電界発生手段28Aの第1負極電極54a及び第1正極電極56aの配置位置、第1負極電極54aに印加する電位の大きさを下記の条件(a)及び(b)に従って設定することが好ましい。
【0042】
(a) 粒子径(質量中央径又は粒子数中央径)が2.5μm以上の大きな微粒子16をそのままガス排出部46及びガス排出口42を介して外部に排出する。
(b) 粒子径(質量中央径又は粒子数中央径)が2.5μm未満の小さな微粒子16を測定電極26に付着させる。
【0043】
また、第1個数計測器10Aは、測定電極26にコンデンサ60と抵抗62の直列回路64が接続され、この直列回路64と電流測定部30との間に上述したスイッチ34が接続されている。スイッチ34としては、例えば半導体スイッチを好ましく採用することができる。
【0044】
従って、スイッチ34がオン動作して測定電極26と電流測定部30とが電気的に接続されたとき、測定電極26に付着された微粒子16に付加された電荷18に基づく電流Iが、直列回路64を介して過渡応答として電流測定部30に伝達する。電流測定部30は、通常の電流計を用いることができる。例えば直列回路64と直列に接続された内部抵抗の両端電圧から電流値を計測する方式や、分流器を用いた方式等が挙げられる。
【0045】
電流Iと電荷量qの関係は、
I=dq/(dt)
q=∫Idt
である。
【0046】
従って、個数算出手段32は、スイッチ34がオン動作している期間(オン期間)にわたって電流測定部30からの電流値を積分(累算)して電流値の積分値(蓄積電荷量)を求める。オン期間の経過後に蓄積電荷量を1つの電荷の電荷量で除算することで、一定時間(例えば5〜15秒)にわたって測定電極26に付着していた微粒子16の個数を求めることができる。そして、個数算出手段32は、一定時間における微粒子16の個数を算出する演算を、所定期間(例えば1〜5分)にわたって繰り返し行って積算することで、所定期間にわたって測定電極26に付着した微粒子16の個数を算出することができる。
【0047】
コンデンサ60と抵抗62による過渡応答を利用することで、小さな電流でも測定することが可能となり、微粒子16の個数を高精度に検出することができる。pA(ピコアンペア)レベルやnA(ナノアンペア)レベルの微小な電流であれば、例えば抵抗値の大きい抵抗を使用して時定数を大きくすることで、微小な電流の測定が可能となる。
【0048】
また、第1個数計測器10Aは、電荷を捕集する部分(例えば測定電極26)を加熱するヒータ66を有する。このヒータ66による効果は以下の通りである。
【0049】
(a) SOF(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)と呼ばれる高分子炭化水素の影響をなくした状態で測定することにより精度が向上する。
(b) 定期的に、筐体内に溜まった微粒子(例えば煤)を燃やすことにより、リフレッシュする。
【0050】
上述したように、粒子径が2.5μm以上の大きな微粒子16は、外部に排出されるが、中空部40に入り込んだ粒子径が2.5μm未満の微粒子16は、第1電界58Aによって測定電極26に向かって移動するため、外部に排出されることなく、測定電極26に付着することになる。そこで、定期的にヒータ66で測定電極26を加熱することで、測定電極26に付着していた微粒子16を容易に除去することができる。
【0051】
このように、第1個数計測器10Aは、ガス導入部44及びガス排出部46の高さhi及びhoが200μm〜数cm、中空部40の高さhcが200μm〜数cmというように、サイズの小さな空間を利用して、筐体12内に導入した被測定ガス14中の微粒子16に電荷18を付加し、さらに、中空部40内に入り込んだ微粒子16を第1電界58Aによって測定電極26に付着するようにしたので、スイッチ34によって測定電極26と電流測定部30とを電気的に接続することで、測定電極26に付着した微粒子16の個数を容易に検出することができる。しかも、サイズの小型化、軽量化を促進させることができるため、車載用、一般家庭用(空調機の排気部分に取り付ける等)としても好適となる。
【0052】
次に、第2の実施の形態に係る微粒子の個数計測器(以下、第2個数計測器10Bと記す)について、
図2を参照しながら説明する。
【0053】
第2個数計測器10Bは、上述した第1個数計測器10Aとほぼ同様の構成を有するが、
図2に示すように、微粒子16に付加しなかった電荷18を捕集する第2電荷捕集手段22Bを有する点で異なる。第2電荷捕集手段22Bは、第2電界発生手段28Bと、捕集電極70とを有する。
【0054】
第2電界発生手段28Bは、中空部40のうち、ガス導入部44の近傍に配置された第2負極電極54bと、該第2負極電極54bに対向して設置された第2正極電極56bとを有する。捕集電極70は、第2負極電極54bと第2正極電極56bとの間であって、且つ、第2正極電極56bの近傍に設置されている。第2負極電極54bには第2負電位−V2が印加され、第2正極電極56bには接地電位Vssが印加される。第2負電位−V2の絶対値は、第1電荷捕集手段22Aにおける第1電界発生手段28Aの第1負極電極54aに印加される第1負電位−V1の絶対値よりも1桁以上小さい。
【0055】
これにより、第2正極電極56bから第2負極電極54bに向かう弱い第2電界58Bが発生する。従って、電荷付加手段20でのコロナ放電にて発生した電荷18のうち、微粒子16に付加されなかった電荷18は、発生している弱い第2電界58Bによって、第2正極電極56bに引き寄せられ、その途中に設置された捕集電極70を介してGNDに捨てられる。
【0056】
ここで、中空部40、各種電極の相対的長さ、すなわち、ガス導入口38からガス排出口42に向かう方向に沿った相対的長さについて説明する。
【0057】
先ず、中空部40の長さLaを100としたとき、第1負極電極54a及び第1正極電極56aの長さLbが28〜34、測定電極26の長さLcが74〜78、第2負極電極54b及び第2正極電極56bの長さLdが5〜10、捕集電極70の長さLeが5〜10である。また、第2負極電極54bと第1負極電極54aとの離間距離Dbが28〜34、第1負極電極54aのガス排出口側端部からガス排出口42までの距離Dcが28〜34、捕集電極70と測定電極26との離間距離Ddが2〜5である。
【0058】
これにより、微粒子16に付加されなかった不要な電荷18が測定電極26にほとんど到達することがなくなる。また、電荷18が付加された微粒子16が捕集電極70に付着することもなくなる。
【0059】
この第2個数計測器10Bにおいても、上述した第1個数計測器10Aと同様の作用・効果を奏する。特に、この第2個数計測器10Bにおいては、微粒子16に付加されなかった不要な電荷18が測定電極26にほとんど到達することなく、捕集電極70を介してGNDに排除されるため、不要な電荷18による検出誤差を小さくすることができ、検出精度の向上を図ることができる。また、測定電極26が第1負極電極54a及び第1正極電極56aに対して2倍以上の長さを有するため、粒子径が2.5μm未満で、且つ、様々な粒子径の微粒子16を付着することができる。
【0060】
上述の例では、第1電荷捕集手段22Aにおける第1電界発生手段28Aを1つ設置するようにしたが、複数の第1電界発生手段28Aを設置してもよい。
【0061】
次に、第3の実施の形態に係る微粒子の個数計測器(以下、第3個数計測器10Cと記す)について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0062】
第3個数計測器10Cは、微粒子16に付加されなかった電荷18の数を計測することにより、微粒子16の個数を間接的に測定する。
【0063】
具体的には、第3個数計測器10Cは、上述した第1個数計測器10Aとほぼ同様の構成を有するが、
図3及び
図4に示すように、第1電荷捕集手段22Aに代えて、第3電荷捕集手段22Cを有する点で異なる。
【0064】
第3電荷捕集手段22Cは、筐体12内に設置された測定電極26と、筐体12内で電界を発生する第3電界発生手段28Cとを有し、微粒子16に付加されなかった電荷18を前記電界によって測定電極26に付着する。すなわち、微粒子16に付加されなかった電荷18を測定電極26に捕集する。
【0065】
第3電界発生手段28Cは、中空部40のうち、ガス排出部46の近傍に配置された第3負極電極54cと、該第3負極電極54cに対向して設置された第3正極電極56cとを有する。測定電極26は、第3負極電極54cと第3正極電極56cとの間であって、且つ、第3正極電極56cの近傍に設置されている。特に、測定電極26は、中空部40のガス導入部44の近傍からガス排出部46の近傍にかけて形成されている。
【0066】
第3負極電極54cには第3負電位−V3が印加され、第3正極電極56cには接地電位Vssが印加される。第3負電位−V3の絶対値は、第1電荷捕集手段22Aの第1負極電極54aに印加される第1負電位−V1の絶対値の1/5〜1/20程度である。
【0067】
また、中空部40及びガス排出部46の高さhc及びhoの関係は、hc≧hoでもよいし、hc≦hoでもよい。高さhc及びhoがほぼ同じであることが好ましい。ほぼ同じとは、|hc−ho|≦数cmの範囲を指す。また、中空部40の長さLaを100としたとき、第3負極電極54cの長さLf及び第3正極電極56cの長さLgが5〜10である。
【0068】
ここで、第3個数計測器10Cの動作について
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0069】
先ず、
図3に示すように、微粒子16がほとんど存在しない環境(例えばクリーンルーム)で、第3個数計測器10Cを動作させる。すなわち、第3負極電極54cに−V3を印加する。これにより、第3正極電極56cから第3負極電極54cに向かう第3電界58Cが発生する。第3電界58Cの強度は第1電界58Aの強度よりも低い。このとき、電荷付加手段20でのコロナ放電にて発生した電荷18は、発生している第3電界58Cによって、第3正極電極56cに引き寄せられ、その途中に設置された測定電極26に捕集される。そして、スイッチ34をオンにすることで、測定電極26に捕集された電荷18に基づく電流Iが、直列回路64を介して過渡応答として電流測定部30に伝達する。
【0070】
個数算出手段32は、スイッチ34がオン動作している期間(オン期間)にわたって電流測定部30からの電流値を一定時間(例えば5〜15秒)毎に積分(累算)して、一定時間毎の電流値の積分値(蓄積電荷量)を求める。求めた一定時間毎の蓄積電荷量をそれぞれ1つの電荷の電荷量で除算することで、一定時間毎に測定電極26に付着していた電荷の個数を求めることができる。この一定時間毎の電荷の個数の変化をプロットしていき、電荷の個数が最大となった段階の電荷の個数を、疑似的に微粒子が存在しないときの電荷の個数として定義する。
【0071】
その後、
図4に示すように、第3個数計測器10Cの筐体12内に微粒子16を含む被測定ガス14を導入する。
【0072】
電荷付加手段20でのコロナ放電にて発生した電荷18のうち、いくつかは、被測定ガス14に含まれる微粒子16に付加し、微粒子16と共に中空部40を介してガス排出部46に向かって進む。中空部40に入り込んだ微粒子16は、発生している第3電界58Cによって、第3正極電極56cに引き寄せられる。しかし、第3正極電極56cがガス排出部46の近傍に設置されていることと、その長さLg(
図3参照)が中空部40の長さLaの1/20〜1/10と短いことから、第3電界58Cによって微粒子16の流通経路(軌道)が変更し始めるのは、ガス排出部46に到達する直前である。また、第3電界58Cは、電荷18の経路を大きく変更するように作用するが、第1電界58Aの強度よりも低いことから、微粒子16の経路を大きく変更するまでには至らない。そのため、微粒子16は測定電極26に捕集されることなく、そのままガス排出部46に向かって進むことになる。このように、微粒子16に付加された電荷18は、微粒子16と共に外部に排出されるため、測定電極26に捕集されない。すなわち、被測定ガス14を導入した場合、測定電極26に捕集される電荷18の個数は、被測定ガス14を導入しない場合よりも、微粒子16の個数に相当する分だけ減ると考えることができる。
【0073】
従って、上述した一定時間における電荷18の個数の最大値から、被測定ガス14を導入している段階での一定時間における電荷18の個数を差し引くことで、当該一定時間における微粒子16の数を求めることができる。
【0074】
もちろん、一定時間の微粒子16の個数が所定の値、例えば予め設定し
た規制値以上となった段階で、警告を発するようにしてもよい。この場合、上述した電荷18の個数の最大値から、被測定ガス14を導入している段階での電荷18の個数を差し引く操作を行わずに、直接、被測定ガス14を導入している段階での一定時間における電荷18の個数が予め設定したしきい値を超えて減少した場合に、警告を発してもよい。しきい値としては、例えば上述した電荷の個数の最大値から規制値を差し引いた値を採用することができる。
【0075】
ところで、第3個数計測器10Cを使って、所定の粒子径未満(例えば2.5μm未満)の微粒子16の数を測定する場合も考えられる。
【0076】
このような場合は、筐体12内に所定の粒子径以上の微粒子16が導入されないように、例えばガス導入口38に、所定の粒子径以上の微粒子16を取り除く手段72(
図4において、二点鎖線で示す)を設置することが好ましい。この手段72としては、例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)等を用いることができる。これにより、粒子径が例えば2.5μm以下の微粒子16の個数を一定時間(例えば5秒〜15秒)毎に計測することが可能となる。しかも、粒子径が2.5μm以下の微粒子16が規制値以上、あるいは規制値の1/10や、1/5等になった時点で警告を発するというアプリケーションを容易に実現することが可能となる。
【0077】
なお、本発明に係る微粒子の個数計測
器は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。