特許第6505103号(P6505103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6505103電子表示装置を安全な状態に移行させる方法及び装置と電子表示装置を制御する制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6505103
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】電子表示装置を安全な状態に移行させる方法及び装置と電子表示装置を制御する制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20190415BHJP
   F16H 63/42 20060101ALI20190415BHJP
   F16H 59/04 20060101ALI20190415BHJP
   F16H 61/00 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   B60K35/00 Z
   F16H63/42
   F16H59/04
   F16H61/00
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-536999(P2016-536999)
(86)(22)【出願日】2014年11月17日
(65)【公表番号】特表2017-501074(P2017-501074A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2014074726
(87)【国際公開番号】WO2015090779
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年10月4日
(31)【優先権主張番号】102013226167.5
(32)【優先日】2013年12月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508187001
【氏名又は名称】レムフェルダー エレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Lemfoerder Electronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヤーン・ヨルク
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−137221(JP,A)
【文献】 特開2004−069965(JP,A)
【文献】 特開2013−050565(JP,A)
【文献】 特開2005−257755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00−37/06
F16H 59/04
F16H 61/00
F16H 63/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)用の電子表示装置(106)を安全な状態に移行させる方法であって、この電子表示装置(106)が、制御機器(112)から受信する画像信号(120)に応じて、この画像信号(120)により伝送されて来る画像情報を表示するとともに、動作電圧が印加されない場合に画像情報を維持するように構成されている方法において、
診断信号(124)が制御機器(112)から切換機器(246)に供給される信号を表し、制御機器(112)とのインタフェースを介して診断信号(124)を受信する工程(501)と、
消去信号(122)が、表示装置(106)による安全な画像情報の表示を実現して、表示装置(106)を安全な状態に移行させるように構成されており、この診断信号(124)の信号状態に応じて、表示装置(106)とのインタフェースに消去信号(122)を出力する工程(502)と、
を有し、
出力する工程(502)において、診断信号(124)が、制御機器(112)のエネルギー供給部の故障を含む、制御機器(112)の安全でない動作モードを表す非動作信号状態である場合に消去信号(122)を出力し、
出力する工程(502)において、診断信号(124)が動作信号状態である場合に消去信号(122)を出力せず、
この切換機器(246)が、エネルギーフローを供給するためのエネルギー貯蔵部(244)と、表示装置(106)とのインタフェースに消去信号(122)を出力する出力機器(252)に消去信号(122)を供給する供給機器(248)との間に配置され、診断信号(124)の状態に応じて切換機器(246)を開閉することによって、消去信号(122)の出力に必要なエネルギーのエネルギーフローを制御する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項に記載の方法において、
本方法が、エネルギーフローを供給するためのエネルギー貯蔵部(244)を増量する工程を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
車両(100)用の電子表示装置(106)を安全な状態に移行させる装置(114)であって、この電子表示装置(106)が、制御機器(112)から受信する画像信号(120)に応じて、この画像信号(120)により伝送されて来る画像情報を表示するとともに、動作電圧が印加されない場合に画像情報を維持するように構成されている装置において、
切換機器(246)と、
診断信号(124)が制御機器(112)から切換機器(246)に供給される信号を表し、制御機器(112)とのインタフェースを介して診断信号(124)を受信する受信機器(250)と、
消去信号(122)が、表示装置(106)による安全な画像情報の表示を実現して、表示装置(106)を安全な状態に移行させるように構成されており、この診断信号(124)の信号状態に応じて、表示装置(106)とのインタフェースに消去信号(122)を出力する出力機器(252)であって、この診断信号(124)が、制御機器(112)のエネルギー供給部の故障を含む、制御機器(112)の安全でない動作モードを表す非動作信号状態である場合に、消去信号(122)を出力する出力機器と、
出力機器(252)に消去信号(122)を供給する供給機器(248)と、
を有し、
この切換機器(246)が、診断信号(124)により制御される形で、この供給機器(248)と、供給機器(248)の駆動に必要なエネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵部(244)に対するインタフェースとの間の接続を制御するように構成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項に記載の装置において、
本装置(114)がコンデンサ又は蓄電池の形のエネルギー貯蔵部を有することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項又はに記載の装置(114)において、
本装置(114)が、表示装置(106)の動作電圧を供給するための動作電圧インタフェースにエネルギーの一部を出力するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
車両(100)用の電子表示装置(106)を制御する制御装置(110)であって、この電子表示装置(106)が、制御機器(112)から受信する画像信号(120)に応じて、この画像信号(120)により伝送されて来る画像情報を表示するとともに、動作電圧が印加されない場合に画像情報を維持するように構成されている制御装置において、
画像信号(120)を供給するための第一の出力インタフェースと、診断信号(124)を出力するための第二の出力インタフェースとを備えた制御機器(112)であって、この制御機器(112)が安全な動作モードに有る場合に診断信号(124)の動作信号状態を実現し、この制御機器(112)が、制御機器(112)のエネルギー供給部の故障を含む安全でない動作モード又は非動作モードに有る場合に診断信号(124)の非動作状態を実現又は許容するように構成されている制御機器と、
請求項からまでのいずれか一つに記載された、電子表示装置(106)を安全な状態に移行させる装置(114)であって、この移行させる装置(114)が、診断信号(124)が非動作信号状態である場合に消去信号(122)を出力し、診断信号(124)が動作信号状態である場合に消去信号(122)を出力するように構成され、診断信号(124)により制御される形で、表示装置(106)とのインタフェースに消去信号(122)を出力する出力機器(252)に消去信号(122)を供給する供給機器(248)と、この供給機器(248)の駆動に必要なエネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵部(244)に対するインタフェースとの間の接続を制御するように構成された切換機器(246)を有する装置と、
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項に記載の制御装置(110)において、
当該の制御機器(112)が、車両(100)の変速機(102)の投入されている変速段又は投入すべき変速段に関する情報を受信するための入力インタフェースを備えるとともに、この変速段を表す画像情報を有する画像信号(120)を出力するように構成されていることを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項又はに記載の制御装置(110)において、
当該の制御機器が、車両(100)の変速機(102)の投入すべき変速段に関する情報を受信するための入力インタフェースを備えるとともに、この投入すべき変速段を達成するための方向表示を表す画像情報を有する画像信号(120)を出力するように構成されていることを特徴とする制御装置。
【請求項9】
請求項からまでのいずれか一つに記載の制御装置(110)において、
当該の制御機器が、この制御装置内のエラーに関する情報を受信するための入力インタフェースを備えるとともに、このエラーを表す画像情報を有する画像信号(120)を出力するように構成されていることを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の電子表示装置を安全な状態に移行させる方法及び装置と、電子表示装置を制御する制御装置とに関し、この表示装置は、動作電圧を印加されていない場合に画像情報を維持するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動車におけるシフトレバーのシフトノブを開示しており、シフトノブの頭部領域には、動作取付位置において自動車の運転者に見える光学情報保持部が配備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開第1502802号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の背景技術に鑑みて、本発明は、主請求項に基づく車両用の電子表示装置を安全な状態に移行させる改善された方法及び改善された装置と、電子表示装置を制御する改善された制御装置とを提供する。有利な実施形態は、従属請求項及び以下の記述から明らかなとなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
表示された画像情報を変更するためだけにエネルギーを必要とするが、画像情報を持続して表示するためにはエネルギーを必要としない表示装置は、例えば、車両分野での使用に適している。そのような表示装置は、電子ペーパとの用語で知られている。例えば、そのような表示は、電気泳動原理に基づくことができる。この場合、画像情報は、電界を印加することにより、観察者に見える位置又は見えない位置に運ばれる色粒子によって表示することができる。静止ディスプレイとも呼ばれる、そのような表示装置を使用する場合、画像情報の表示に使用される光は、放射されず、反射される。それによって、表示装置を動作させる電流が、常に表示内容を変更する場合にのみ必要となる。この表示装置の表示面は、或る限界まで湾曲させることができ、大きな視角範囲から読み取れることが可能となる。
【0006】
この表示装置は、車両分野において、例えば、オートマチックセレクタレバー又はボタン式トランスミッションの場合に、変速段情報又はそれ以外の情報、例えば、ロゴ、時刻、エラーメッセージ又は走行モードを操作部品のノブ又はそれ以外の場所に表示するために連続して電気的に駆動しなければならない発光式ディスプレイ又はLEDの代わりに、或いはそれと組み合わせて用いることができる。そのため、この表示装置の使用例は、そのような表示装置を車両の運転者に見える位置に有する車両のシフトノブにおいて得られる。有利には、この表示装置の動作のために連続した電気的駆動は不要である。
【0007】
例えば、ディスプレイ及び/又はLEDに基づく発光式表示部品と異なり、この表示装置は、強い太陽光線時でも容易に読み取れる。従って、従来のディスプレイにおいて、莫大な損失電力を熱の形で放出し、それにより電力消費量が望ましくない形で上昇して、操作部品の明らかな加熱が生じる高い輝度の生成を省くことができる。表示された画像情報を切り換えるためだけに必要である、この表示装置の少ない所要エネルギーによって、変速段セレクタレバーに触れた時に排熱により引き起こされるユーザの苛立ちを防止することができる。無視できる自己発熱のために、より高い要件を電気部品に課す必要がなく、故障確率が小さくなる。更に、従来のディスプレイと異なり、視角又は見る角度の制限が無い。更なる利点は、この表示装置が湾曲した表面にも適している、即ち、湾曲できることである。
【0008】
この表示装置により表示されている画像情報が、例えば、この表示装置を駆動する制御機器の故障後に持続的に存在して残らないようにするために、制御機器が安全でない動作モードに有る場合に、例えば、制御機器のリスタートが必要であるか、或いは実施された場合又は制御機器がスイッチオフされた場合に、この表示装置により表示されている画像情報を上書き又は消去することができる。この表示装置により実際に表示されている画像情報を、例えば、表示装置の観察者に単色表示として見える安全な画像情報に置き換えることによって、この表示装置を安全な状態に移行させることができる。
【0009】
車両用の電子表示装置を安全な状態に移行させる方法であって、この電子表示装置が、制御機器により受信される画像信号に応じて、この画像信号により伝送されて来る画像情報を表示するとともに、動作電圧を印加されない場合に画像情報を維持するように構成されている方法は、
診断信号が制御機器から供給される信号を表し、この制御機器とのインタフェースを介して診断信号を受信する工程と、
消去信号が、この表示装置による安全な画像情報の表示を実現して、この表示装置を安全な状態に移行させるように構成されており、この診断信号の信号状態に応じて、表示装置とのインタフェースに消去信号を出力する工程と、
を有する。
【0010】
これらの画像信号と消去信号は、例えば、電気回路の出力駆動部を介して出力されて、電気配線、例えば、回路基板の導体路を介して伝送される電気信号を表すことができる。これらの画像信号と消去信号は、二つの別個の伝送路を介して表示装置に供給することができる。この表示装置は、画像信号又は消去信号の受信に応じて、表示装置の表示面の画像点を設定して、各信号により伝送される画像情報をグラフィック表示するように構成することができる。この画像信号によって、様々な画像情報を表示装置に伝送することができる。画像情報は、例えば、シンボル、絵文字、一つ又は複数の文字、或いは単色面を表すことができる。安全な画像情報は、例えば、連続した単色面を表すことができる。
【0011】
一つの実施構成では、出力する工程において、診断信号が非動作信号状態である場合に、消去信号を出力することができる。それに対応して、出力する工程において、診断信号が動作信号状態である場合には、消去信号を出力することができない。動作信号状態は、診断信号の信号レベルの能動的な駆動によって、特に、地電位と異なる信号電圧に信号レベルを維持することによって特徴付けることができる。例えば、動作信号状態は、絶対値が所定の電圧閾値を上回る電圧値によって特徴付けることができる。それに対応して、非動作信号状態は、絶対値が所定の電圧閾値を下回る電圧値によって特徴付けることができる。この動作信号状態を診断信号の高いレベルと呼び、この非動作信号状態を低いレベルと呼ぶことができる。この低いレベルは地電位とすることができる。有利には、このようにして、ちょうど制御機器が診断信号を能動的に駆動できない、即ち、動作信号状態に保持できない場合にも、消去信号を出力することができる。
【0012】
本方法は、診断信号を用いて、消去信号の出力に必要なエネルギーのエネルギーフローを制御する工程を有することができる。出力する工程において、このエネルギーを用いて、消去信号を出力することができる。このエネルギーフローの制御によって、エネルギーフローを阻止又は許容することができる。エネルギーフローを阻止することによって、消去信号の出力に必要なエネルギーが入手できなくなるので、消去信号の出力を確実に停止することができる。このエネルギーフローを許容することは、消去信号の自動的な生成と出力を引き起こすことができる。それによって、消去信号の出力は、エネルギーフローの制御により非常に簡単に制御することができる。このエネルギーは電気エネルギーを表すことができる。このエネルギーフローは、電気配線を介した電流とすることができる。そのため、エネルギーフローの制御は、エネルギーフローを案内する配線を開閉する切換機器を用いて簡単に実現することができる。
【0013】
この場合、本方法は、エネルギーフローを供給するためのエネルギー貯蔵部を増量する工程を有することができる。このエネルギー貯蔵部を増量するために、エネルギー蓄積器を充電することができる。この場合、例えば、コンデンサ又は蓄電池の形の周知のエネルギー蓄積器に頼ることができる。エネルギー蓄積器として蓄電池を使用する場合、この蓄電池は、特に、蓄電池に供給される電流強度及び/又は蓄電池を充電するための電圧を監視する監視機器と接続される。この監視機器は、制御機器の一部とすることができる。
【0014】
それに対応する車両用の電子表示装置を安全な状態に移行させる装置であって、この電子表示装置が、制御機器により受信される画像信号に応じて、この画像信号により伝送されて来る画像情報を表示するとともに、動作電圧を印加されない場合に画像情報を維持するように構成されている装置は、
診断信号が制御機器から供給される信号を表し、この制御機器とのインタフェースを介して診断信号を受信する受信機器と、
消去信号が、この表示装置による安全な画像情報の表示を実現して、この表示装置を安全な状態に移行させるように構成されており、この診断信号の信号状態に応じて、表示装置とのインタフェースに消去信号を出力する出力機器と、
を備えているとの特徴を有する。
【0015】
本装置のこれらの機器は、電子表示装置を安全な状態に移行させる方法の工程を実施するように構成することができる。これらのインタフェースは、例えば、電気端子として実現することができる。これらの機器は、電気回路として実現することができる。
【0016】
例えば、本装置は、出力機器に消去信号を供給するために切換機器と供給機器を備えることができる。この場合、切換機器は、診断信号により制御される形で供給機器とこの供給機器の動作に必要なエネルギーを供給するためのエネルギー貯蔵部とのインタフェースとの間の接続を制御するように構成することができる。この供給機器は、例えば、集積回路とすることができ、この出力機器は、供給機器の出力駆動部とすることができる。例えば、診断信号の第一の信号状態、例えば、動作信号状態は、この切換機器を開路状態にすることができ、診断信号の第二の信号状態、例えば、非動作信号状態は、この切換機器を閉路状態にすることができる。このようにして、この切換機器は、別の論理回路を設けること無く診断信号により直接操作することができる。そのような切換機器は、例えば、トランジスタ回路により安価に実現することができる。この供給機器の動作に必要なエネルギーは、この切換機器の切換状態に応じて、切換機器を介してエネルギー貯蔵部から供給機器に供給するか、さもなければ供給しないようにすることができる。それによって、供給機器の動作を非常に簡単に制御することができる。
【0017】
一つの実施構成では、本装置は、コンデンサの形のエネルギー貯蔵部を備えることができる。有利には、そのようなコンデンサは、消去信号の出力と表示装置による安全な画像情報の表示とを可能にするのに十分なエネルギーを蓄積することができる。
【0018】
従って、この出力機器は、表示装置の動作電圧を供給するための動作電圧インタフェースにエネルギー貯蔵部のエネルギーの一部を出力するように構成することができる。この場合、エネルギーの一部は、切換機器を介して送ることができる。そのため、エネルギー貯蔵部のエネルギーは、制御機器が安全でない動作モード又はスイッチオフ状態に有る場合にのみ、表示装置の動作のために使用することができる。このようにして、制御機器の安全な動作モードの間に表示装置の電源供給のために使用されるエネルギー源が故障している場合でも、表示装置が安全な画像情報の表示に十分なエネルギーを供給されることを保証できる。
【0019】
前記の表示装置を安全な状態に移行させる装置は、表示装置を制御するための前記の制御機器と関連して、制御装置と呼ぶことができる。
【0020】
そのような車両用の電子表示装置を制御する制御装置であって、この電子表示装置が、制御機器により受信される画像信号に応じて、この画像信号により伝送されて来る画像情報を表示するとともに、動作電圧を印加されない場合に画像情報を維持するように構成されている制御装置は、
画像信号を供給するための第一の出力インタフェースと診断信号を出力するための第二の出力インタフェースとを備えた制御機器であって、この制御機器が安全な動作モードに有る場合に診断信号の動作信号状態を実現し、この制御機器が安全でない動作モード又は非動作モードに有る場合に診断信号の非動作信号状態を実現するように構成されている制御機器と、
電子表示装置を安全な状態に移行させる前記の装置であって、診断信号が非動作信号状態である場合に消去信号を出力し、診断信号が動作信号状態である場合に消去信号を出力しないように構成されている、この移行させる装置と、
を有することを特徴とする。
【0021】
この制御機器は、例えば、マイクロコントローラの形の集積回路として実現することができる。この表示装置を安全な状態に移行させる装置又はこの表示装置を安全な状態に移行させる装置の機器は、制御機器と切り離して実現して、例えば、別個の筐体内に配置することができる。このようにして、この制御機器と関連するエラーが、この移行させる装置に作用することを防止できる。この表示装置を安全な状態に移行させる装置は、例えば、エネルギー貯蔵部から電源供給される、制御機器のエネルギー供給部の故障後でも本装置の動作を可能とする独立したエネルギー供給部を備えることができる。有利には、本装置は、制御機器と独立して動作することができ、そのため、制御機器の完全な故障後でも、この表示装置を安全な状態に移行させる装置から消去信号を出力することもできる。
【0022】
一つの実施構成では、この制御機器は、車両の変速機の投入されている変速段又は投入すべき変速段に関する情報を受信するための入力インタフェースを備え、その変速段を表す画像情報を有する画像信号を出力するように構成することができる。そのような実施構成は、用途と関連して表示装置により実現される変速段表示に適している。有利には、この場合、車両の変速機の実際の走行シフト段を車両の運転者に表示することができる。この表示装置を安全な状態に移行させる装置によって、例えば、制御機器の故障時に、表示装置が、場合によっては、変速段の切換が行なわれたために、最早実際の走行シフト段と一致いない走行シフト段を持続して表示しないことを保証できる。
【0023】
それに代わって、或いはそれに追加して、この制御機器は、車両の変速機の投入すべき変速段に関する情報を受信するための入力インタフェースを備え、その投入すべき変速段を達成する方向表示を表す画像情報を有する画像信号を出力するように構成することができる。この方向表示は、例えば、個々に表示可能な互いに逆の方向を示す二つの矢印とすることができ、例えば、投入すべき変速段を達成するためにシフトアップすることを上向きの矢印で表示することができ、シフトダウンすることを下向きの矢印で表示することができる。
【0024】
更に、それに代わって、或いはそれに追加して、この制御機器は、エラーに関する情報を制御装置で受信するための入力インタフェースを備え、そのエラーを表す画像情報を有する画像信号を出力するように構成することができる。それによって、制御装置の起こり得るエラーを容易に表示して、それにより読み取ることが可能となる。
【0025】
この入力インタフェースは、一つの情報又は少なくとも二つの異なる情報を受信するように構成することができる。それによって、この制御機器の実施形態において、異なる情報を受信するために、必要に応じて受信すべき情報毎に一つの入力インタフェースを配備するか、或いは異なる情報のために共通の入力インタフェースを配備することができる。
【0026】
装置とは、電気信号を処理して、その信号に応じて制御信号を出力する電気機器であると解釈することができる。本装置は、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより構成可能な一つ又は複数の好適なインタフェースを備えることができる。ハードウェアによる構成では、これらのインタフェースは、例えば、本装置の機能を置き換えた、集積回路の一部とすることができる。これらのインタフェースは、独自の集積回路とするか、或いは少なくとも部分的に個別部品から構成することもできる。ソフトウェアによる構成では、これらのインタフェースは、例えば、それ以外のソフトウェアモジュールと並んでマイクロコントローラ上に存在するソフトウェアモジュールとすることができる。
【0027】
半導体メモリ、ハードディスクメモリ又は光メモリなどの機械読取可能な媒体上に保存できるプログラムコードを有し、このプログラムをコンピュータ又は装置上で実行した場合に、前述した実施構成の中の一つに基づき本方法を実施するために使用されるコンピュータプログラム製品も有利である。
添付図面に基づき本発明を例示して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一つの実施例による表示装置を備えた車両の図
図2】本発明の一つの実施例による表示ユニットの異なる動作状態の図
図3】本発明の一つの実施例による表示ユニットの異なる動作状態の図
図4】本発明の一つの実施例による表示ユニットの異なる動作状態の図
図5】車両用の電子表示装置を安全な状態に移行させる方法のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の有利な実施例の以下の記述では、異なる図面に図示された構成要素及び同様に作用する構成要素には、同じ符号又は同様の符号を使用しており、それらの構成要素の反復する記述を省いている。
【0030】
図1は、変速機102、この変速機102を操作するためのシフトレバー104及び本発明の一つの実施例による電子表示装置106を備えた車両100を図示している。例えば、表示装置106は、シフトレバー104に配置される。表示装置106は、取付状態では、例えば、シフトレバー104により選択された変速機102の変速段を車両100の運転者に表示するために使用される。
【0031】
表示装置106は、画像信号の受信に応じて、画像情報、例えば、文字又はシンボルを表示するように構成されている。表示装置106は、例えば、電子ペーパ方式に基づくものであり、画像情報を作成するために電気エネルギーを必要とするが、一度作成した画像情報を維持するためには最早電気エネルギーを必要としない。
【0032】
表示装置106を駆動するために、制御装置110が配備されている。制御装置110は、制御機器112と表示装置106を安全な状態に移行させる装置114とを有する。制御装置110は、この実施例では、例えば、車両100のイグニッション部を介して、車両100のバッテリ116から電気エネルギーを供給される。表示装置106、制御装置110及び本装置114は、合わせて表示ユニットと呼ぶことができる。
【0033】
制御機器112は、表示装置106により表示される画像情報を切り換えるために、表示装置106又は表示装置106の制御論理回路に画像信号120を供給するように構成されている。例えば、制御機器112は、シフトレバー104と接続されたセンサ118からシフトレバー104の操作を表す操作信号を受信するように構成することができる。この操作信号の受信に応じて、制御機器112は、その操作に対応する画像情報を選択して、その画像情報を有する画像信号120を表示装置106に出力するように構成することができる。更に、制御機器112は、画像情報の切換に必要な電気エネルギーを表示装置106に供給するように構成することができる。それに追加して、或いはそれに代わって、制御機器112は、変速機102と接続されて、変速機102により投入されている変速段を表す変速段選択信号を受信するように構成することができる。この変速段選択信号の受信に応じて、制御機器112は、投入されている変速段に対応する画像情報を選択して、その画像情報を有する画像信号120を表示装置106に出力するように構成することができる。更に、制御機器112は、シフトレバー104の操作に関する情報と変速機102で投入されている変速段に関する情報との比較を実施して、それらの情報の中の何れかを選択し、その情報を画像情報として有する、それに対応する画像信号120を介して表示装置106に出力し、次に、その画像情報を運ぶ画像信号120を表示装置106に出力するように構成することができる。例えば、投入されている変速段に関する情報がシフトレバーの操作に対応する変速段選択に関する情報と異なる場合、制御機器112は、投入すべき変速段に対応する画像情報を画像信号120として選択して、表示装置106に出力するように構成することができる。これと関連して、制御機器112は、更に、この相違を表すエラーに対応する画像情報を選択して、画像信号として表示装置106に出力するように構成することができる。
【0034】
制御機器112が安全な動作モードに有る限り、制御機器112のエラーの無い動作を出発点とすることができることによって、表示装置106により表示される画像情報を常にシフトレバー104の操作又は位置に、或いは変速機102の選択された変速段又は車両100の実際の走行シフト段に対応付けることができる。
【0035】
それに対して、制御機器112が、例えば、制御機器112内に発生して検知されたエラーのために、安全でない動作モードに有るか、或いは、例えば、エネルギー供給配線の断裂のために、非動作状態に有る場合、場合によっては、表示装置106により表示されている画像情報が依然として事実であること、即ち、例えば、シフトレバー104の操作状態と一致することを保証することができない。そのような場合に、表示装置106の望ましくない、或いは誤った表示を防止するために、本装置114は、表示装置106を安全な状態に移行させるように構成されている。安全な状態では、表示装置106は、例えば、単色の面又は警告指示の形で安全な画像情報を表示する。表示装置106を安全な状態に移行させるために、本装置114は、安全な画像情報の表示を引き起こす消去信号122を表示装置106に出力するように構成されている。本装置114は、制御機器112から供給される診断信号124の信号状態に応じて消去信号122を出力するように構成されている。
【0036】
制御機器112は、制御機器112が安全な動作モードに有る場合に動作信号状態の診断信号124を供給するように構成されている。それに対して、制御機器112は、制御機器112がスイッチオフ状態又は安全でない動作モードに有る場合に、非動作信号状態の診断信号124を供給するように、即ち、例えば、診断信号124を能動的に駆動しないように構成されている。それに対応して、本装置114は、診断信号124が非動作信号状態の場合に消去信号122を表示装置106に出力し、診断信号124が動作信号状態である場合に消去信号122を出力しないように構成されている。例えば、本装置114は、診断信号124により切換状態を制御される切換機器を有する。この切換機器の切換状態に応じて、消去信号122を出力するか、或いは出力しないことが可能である。
【0037】
本装置114は、消去信号122を出力するために、例えば、バッテリ116により充電可能なエネルギー貯蔵部を備えることができる。そのようなエネルギー貯蔵部によって、本装置114は、バッテリ116の故障時でも消去信号122を供給することができる。
【0038】
制御機器112及び本装置114の機器は、例えば、共通の回路基板上に配置することができる。この場合、制御機器112と本装置114、或いは制御機器112の機器と本装置114の機器は、それぞれ別個の筐体内に配置することができる。制御装置110は、シフトレバー104から切り離して配置するか、或いはそれに代わって、シフトレバー104の上又は中に配置することができる。
【0039】
図2は、本発明の一つの実施例による表示装置106と、この表示装置106を駆動する制御装置110とを備えた表示ユニットのブロック接続図を図示している。既に図1に基づき述べた通り、制御装置110は、制御機器112と、表示装置106を安全な状態に移行させる装置114とを有する。
【0040】
この実施例では、表示装置106は、画像情報、ここでは、例えば、文字「D」を表示するための表示面231と、論理回路機器232、ここでは、この表示面231による画像情報のグラフィック表示を制御するアクティブマトリックス論理回路とを有する。この論理回路機器232は、制御機器112から供給される画像信号120を受信するための入力端子と、本装置114から供給される消去信号122を受信するための入力端子とを有する。そのために、この論理回路機器232は、画像信号120を伝えるための配線を介して制御機器112と接続され、消去信号122を伝えるための配線を介して本装置114と接続されている。画像信号120を受信するための入力端子は、例えば、COM端子として実現することができる。
【0041】
この実施例では、制御機器112は、マイクロコントローラとして実現されている。制御機器112は、イグニッション部から動作電圧240を受信するための入力端子を有する。この動作電圧240は、例えば、車両の点火機器「KL15」から供給することができる。動作電圧240が存在する場合、制御機器112は動作することができる。動作電圧240が存在しない場合、制御機器112は動作することができない。図2に図示された実施例では、動作電圧240が存在する、即ち、例えば、「オン」状態である。
【0042】
制御機器112は、出力側に、画像信号120を出力するための出力端子と、消去信号124を出力するための出力端子とを有する。この場合、制御機器112は、消去信号124を伝えるための配線を介して本装置114と接続されている。これらの出力端子は、信号120,124を出力するのに適した駆動部を備えることができる。制御機器112から最後に出力された画像信号120は、表示装置106により実際に表示されている「D」を表示するための画像情報を有する。この「D」は、観察者には黒い背景上の白い文字として見える。
【0043】
この制御機器112は安全な状態に有る。従って、消去信号124は、非動作状態、例えば、「停止状態」である。そのために、例えば、消去信号124は、制御機器112により能動的に駆動されていない。
【0044】
この実施例では、ウォッチドッグの形の監視機器142が配備されている。この監視機器142は、二本の配線を介して制御機器112と接続されている。この実施例では、監視機器142は、制御機器112の消去、所謂リセットを制御するように構成されている。図2に図示された実施例では、ちょうどリセットが実施されていない。
【0045】
制御機器112に統合することもできる監視機器142又は別の監視機器は、例えば、診断信号の動作信号状態の能動的な駆動を制御するために、制御機器112の安全な状態又は安全でない状態を検知して、表示するように構成することができる。
【0046】
この実施例では、本装置114は、電圧バッファの形のエネルギー貯蔵部244、スイッチ246及び集積回路248を有する。スイッチ246と集積回路248は、それぞれ個別部品として実現することができる。エネルギー貯蔵部244は、例えば、コンデンサとして実現することができる。エネルギー貯蔵部244の入力は動作電圧240と接続されている。エネルギー貯蔵部244の出力はスイッチ246の入力と接続されている。スイッチ246の出力は集積回路248の入力及び表示装置106の論理回路機器232の一方の入力と接続されている。集積回路248の出力252は論理回路機器232の他方の入力と接続されている。スイッチ246は、診断信号124を受信するための制御入力を有する。
【0047】
診断信号124が動作状態であるために、スイッチ246は開いた状態である。そのため、エネルギー貯蔵部244の出力は、集積回路248の入力及び論理回路機器232の入力から切り離されている。スイッチ246を介して電流は流れない。そのため、集積回路248は停止しており、消去信号122は論理回路機器232に出力されない。
【0048】
一つの実施例では、動作電圧240が「KL15」イグニッション部から供給され、監視機器142はウォッチドッグとして実現され、集積回路248はICとして、特に、それぞれ使用される表示装置106の個々のオプションに対応して表示装置106の表示を消去するための集積回路として実現される。論理回路機器232は、表示面231の各画像点又は画素を個々に作動させるアクティブマトリックス論理回路として、特に、アドレス指定論理回路及び駆動論理回路として実現される。画像信号120用の一つ又は複数の配線は、COM(通信インタフェース)として、例えば、SPI(シリアル周辺インタフェース)として実現される。エネルギー貯蔵部244は、動作電圧240の遮断後に自立動作分岐路246,248の供給電圧を維持する供給電圧バッファとして実現される。例えば、エネルギー貯蔵部244は、自立動作式コンデンサとして実現される。スイッチ246は、診断信号が動作状態である「作動」時に遮断機能を果たし、診断信号が非動作状態である「停止」時に導通機能を果たすために、例えば、二つのトランジスタから成るトランジスタ回路として構成される。
【0049】
この実施例では、イグニッション部がオンであり、制御機器112は、スイッチ246を用いて集積回路248を非動作状態にして、表示装置106と通信し、表示装置は、それに基づき実際の走行シフト段「D」を出力する。
【0050】
図3は、本発明の一つの実施例による図2に基づき述べた表示装置106と図2に基づき述べた制御装置110のブロック接続図を図示している。
【0051】
この実施例では、イグニッション部がオンであり、制御機器112の内部エラーのために、制御機器112のリセットが行なわれ、スイッチ246が集積回路248を動作状態にして、表示面231が集積回路248により能動的に消去される。
【0052】
この実施例では、制御機器112は安全でない状態に有る。この場合、この実施例では、制御機器112のリセットが行なわれる。そのために、監視機器142はリセット信号360を制御機器112に出力する。
【0053】
動作電圧240が存在する。画像信号120は出力されない。診断信号124は非動作信号状態、例えば、「停止状態」である。この診断信号124の非動作状態のために、スイッチ246が閉じた状態である。そのため、エネルギー貯蔵部244の出力は、スイッチ246を介して集積回路248の入力及び論理回路機器232の入力と通電接続されている。エネルギー貯蔵部244から供給される電流がスイッチ246を介して流れる。スイッチ246を介して供給されるエネルギー貯蔵部244の電圧は、集積回路248の動作電圧及び論理回路機器232の動作電圧として使用される。集積回路248は、動作状態となり、消去信号122を論理回路機器232に出力するように構成される。消去信号122の受信に応じて、論理回路機器232は、安全な画像情報のグラフィック表示、ここでは、単色の黒い面又は暗い面を表示面231により表示するよう構成される。この安全な画像情報は、消去信号122により論理回路機器232に伝送することができる。それに代わって、論理回路機器232は、消去信号に応じて、安全な画像情報を生成するように構成することができる。エネルギー貯蔵部244からスイッチ246を介して供給される電気エネルギーを用いて、画像情報、例えば、図2に図示された「D」の実際のグラフィック表示を安全な画像情報、ここでは、黒い面のグラフィック表示により上書きすることができる。この安全な画像情報のグラフィック表示は、エネルギー貯蔵部244が空になった後でも、表示装置106により維持される。
【0054】
図4は、本発明の一つの実施例による図2に基づき述べた表示装置106と図2に基づき述べた制御装置110のブロック接続図を図示している。
【0055】
この実施例では、イグニッション部がオフであり、制御機器112は非動作状態であり、スイッチ246が集積回路248を動作状態にして、表示面231が集積回路248により能動的に消去される。
【0056】
この実施例では、動作電圧240が存在しないので、制御機器112はスイッチオフ状態に有る。画像信号120は出力されない。診断信号124は非動作信号状態、例えば、「停止状態」である。この診断信号124の非動作状態のために、スイッチ246が閉じた状態である。そのため、エネルギー貯蔵部244の出力は、スイッチ246を介して集積回路248の入力及び論理回路機器232の入力と通電接続されている。このことは、図3に基づき述べた通り、画像情報、例えば、図2に図示された「D」の実際のグラフィック表示を安全な画像情報、ここでは、黒い面のグラフィック表示による上書きを引き起こす。この安全な画像情報のグラフィック表示は、エネルギー貯蔵部244が空になった後でも、表示装置106により維持される。
【0057】
以下において、図2〜4に基づき本発明の異なる実施例を詳しく説明する。
表示装置106は、黒/白の表示部として、或いは有色のシンボルを表示できる表示部として実現することができる。この表示装置106は、可視照明に対する夜間要件を実現するために、背面照明可能な半透明なディスプレイとして実現することができる。しかし、背面照明に代わって、例えば、車両の周囲の明かりからの入射光又は表示表面上への光ファイバ構造の形(例えば、ナノプリント方式)の前面照明による入射光を使用することもできる。
【0058】
更に、この表示部は、有利には、更に、タッチスクリーンとしても知られるタッチセンサ面として実現することができる。例えば、タッチセンサ面を容量性の面とすることができる。それにより、この表示部は、同時にマン・マシン・インタフェースとして利用することができる。
【0059】
一つの実施例では、表示面231により変速段情報が表示される。この表示された変速段情報は、車両では、通常安全性に関連する情報として分類される。従って、例えば、制御機器112が内部安全性診断によりエラーを検知するか、或いはウォッチドッグが制御機器112にリセットを強要する場合、変速段セレクタレバーにおける表示面231は、安全な状態に到達するためにスイッチオフされるだけでなく、能動的に、即ち、電流を流されて非動作状態にされるか、或いは変速段情報が、消去機能により、例えば、全て黒又は全て白に上書きされるべきである。そのために、自立的にも動作する安全機構が採用されている。例えば、制御機器112を配置した信号基板での短絡のために、最早表示面231を変更できない場合、自立動作式コンデンサ244が、少なくとも安全時間(エラー猶予時間)の間、表示面231を安全な状態に消去するのに必要である全ての必要な回路部分248,232への電源供給を担当する。この同じ機構は、一般的に電圧供給部240の非動作時に、例えば、イグニッション部のオフ後に、表示部231を完全に黒とするように構成することができる。
【0060】
ここで述べたアプローチは、例えば、乗用車の形の車両、例えば、陸上車両のパワートレインの技術分野、シフトシステムの技術グループ、並びに、特に、シフト部品の技術において採用することができる。
【0061】
この場合、このアプローチは、前記の用途に制限されない。それに代わって、ここで述べたアプローチは、車両内のそれ以外の同種の操作部品、例えば、走行モード(回転)スイッチ又は自動車分野以外の別の機器に転用することができる。
【0062】
図5は、例えば、車両用の電子表示装置を安全な状態に移行させる方法のフローチャート図を図示している。この場合、それは前の図面に基づき述べた通りの表示装置とすることができる。本方法の工程は、電子表示装置を安全な状態に移行させる装置を用いて実施することができる。
【0063】
工程501では、診断信号が、表示装置を制御する制御機器とのインタフェースを介して受信される。工程502では、消去信号が表示装置とのインタフェースで受信される、詳しくは、診断信号の信号状態に応じて受信される。表示装置が消去信号を受信することによって、表示装置が実際に表示している画像情報が安全な画像情報に置き換えられる。
【0064】
ここで述べられている図面に図示された実施例は、単に例として選択されている。様々な実施例は、全体として、或いは個々の特徴に関して互いに組み合わせることができる。一つの実施例は、別の実施例の特徴によって補完することもできる。更に、本発明による方法の工程は、別の順番でも、前述した順番でも反復して実施することができる。
【0065】
一つの実施例が第一の特徴と第二の特徴の間に「及び/又は」による結合を有する場合、それは、その実施例が一つの実施構成では第一の特徴と第二の特徴の両方を有し、別の実施構成では第一の特徴だけ、或いは第二の特徴だけを有するものと読み取ることができる。
【符号の説明】
【0066】
100 車両
102 変速機
104 シフトレバー
106 表示装置
110 制御装置
112 制御機器
114 本装置
116 バッテリ
118 センサ
120 画像信号
122 消去信号
124 診断信号
142 監視機器
231 表示面
232 論理回路機器
240 動作電圧
244 エネルギー貯蔵部
246 スイッチ
248 集積回路
250 受信機器
252 出力機器
360 リセット信号
501 受信工程
502 出力工程
図1
図2
図3
図4
図5