特許第6505195号(P6505195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6505195マンホールの蓋の位置特定装置と、該マンホールの蓋の位置特定装置の設置方法と、該マンホールの蓋の位置特定装置の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6505195
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】マンホールの蓋の位置特定装置と、該マンホールの蓋の位置特定装置の設置方法と、該マンホールの蓋の位置特定装置の使用方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20190415BHJP
【FI】
   E02D29/14 Z
   E02D29/14 E
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-214290(P2017-214290)
(22)【出願日】2017年11月7日
(65)【公開番号】特開2018-193847(P2018-193847A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2017年11月7日
(31)【優先権主張番号】106116574
(32)【優先日】2017年5月19日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】517388613
【氏名又は名称】隆泰盛科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Long Time Win Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 炳賢
(72)【発明者】
【氏名】陳 禎隆
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−125433(JP,A)
【文献】 特開2015−191573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成され、その上面から下面まで貫通する複数の貫通穴が開けられている板体と、
金属材料により作製されたものであり、前記板体から上面側へ突起するように前記板体の上面に設置されると共に、前記板体を貫通しない止まり穴を囲む環状の周壁を有する収容座と、
前記止まり穴に挿し込まれると共に、収容空間を囲むスリーブ手段と、前記収容空間内に挿し込まれる挿入部及び前記収容空間外に露出する露出部を有するように取付けられ、且つ、位置信号を発信または反射することができる送信ユニットと、
非金属材料により作製されたものであり、前記収容座の前記周壁、前記スリーブ手段、及び前記送信ユニットの前記露出部を覆うように、前記板体に取付けられているカバー手段と、
前記板体及び前記カバー手段を内包し、前記カバー手段の前記板体から離れた部分が露出する鉄筋コンクリート構造体と、を備えたマンホールの蓋の位置特定装置。
【請求項2】
前記収容座の前記周壁は、平面視における非円形の断面を有する上、前記板体の下面側へも突起するように前記板体を貫通しており、
更に、前記周壁の前記止まり穴に面する内周面には雌ねじが形成され、前記止まり穴に挿し込まれる前記スリーブ手段の外周面は、該雌ねじと噛み合う雄ねじが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマンホールの蓋の位置特定装置。
【請求項3】
前記カバー手段は、前記収容座の前記周壁の形状に対応して該周壁を受け入れる周壁受入凹部と、前記送信ユニットの前記収容空間外に露出する露出部の形状に対応して該露出部を受け入れる送信ユニット受入凹部と、が形成されている上、前記板体に臨む部分が比較的細く、前記板体から離れた部分が比較的太いせっ頭円錐状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマンホールの蓋の位置特定装置。
【請求項4】
前記鉄筋コンクリート構造体は、縦横に交差する複数本の鉄筋と、前記貫通穴を通過すると共に、隣接する前記鉄筋に縛り付けられているストリングと、を内包していることを特徴とする請求項1に記載のマンホールの蓋の位置特定装置。
【請求項5】
路面から凹陥するマンホール上端凹部内において、路面より低い位置にマンホールの蓋を設置するマンホールの蓋設置工程と、
前記マンホールの蓋の上面にソフトシートを設置してから、該ソフトシートの上に請求項1に記載のマンホールの蓋の位置特定装置を、前記板体の下面側が前記マンホールの蓋に臨むように載せる位置特定装置設置工程と、
前記カバー手段の前記鉄筋コンクリート構造体から露出する部分の外周縁に接するように前記鉄筋コンクリート構造体の上端面に、仕切りシートを配置する上、前記マンホール上端凹部内にアスファルトコンクリートを充填する舗装工程と、を含むマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法。
【請求項6】
前記ソフトシートの面積は、前記マンホールの蓋の上面の面積以上であることを特徴とする請求項5に記載のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法。
【請求項7】
記仕切りシートの配置範囲は、前記板体の前記鉄筋コンクリート構造体の上端面における投影範囲に相当することを特徴とする請求項5に記載のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法。
【請求項8】
請求項5に記載のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法により前記位置特定装置を設置し、前記送信ユニットが発する位置信号を感知してその位置を特定する特定工程と、
前記特定工程により特定された位置の周辺にある前記アスファルトコンクリートに対し、前記マンホールの蓋の位置特定装置の前記カバー手段及び前記送信ユニットが取り出せるまでドリルで円柱形状の切り取りブロックを切り出して前記切り取りブロックと共に前記カバー手段及び送信ユニットを取り出すサンプリング工程と、
前記マンホールの蓋の位置特定装置の前記スリーブ手段に治具を固定する上、該スリーブ手段に路面上に露出する延伸手段及び該延伸手段に取付けられると共に外周縁が前記鉄筋コンクリート構造体の外周縁と上下に対応するマーカープレートを設置し、該マーカープレートの外周縁に沿ってアスファルトコンクリートに前記鉄筋コンクリート構造体の位置に対応するマークを付けるマーキング工程と、
前記マーカープレートと、前記延伸手段と、前記治具と、前記スリーブ手段とを取り外すと共に、前記マーキング工程において付けた前記鉄筋コンクリート構造体の位置に対応するマークに沿って、前記鉄筋コンクリート構造体の側面が露出するまでアスファルトコンクリートを切り込む切込み工程と、
前記鉄筋コンクリート構造体を該鉄筋コンクリート構造体の上方にあるアスファルトコンクリートと共に吊り上げて前記鉄筋コンクリート構造体の下にあるマンホールの蓋を露出させる吊り上げ工程と、を含むマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法。
【請求項9】
前記吊り上げ工程の後前記マンホールの蓋に対応するマンホールにおける工事を完了した後、
前記マンホールの蓋を前記マンホールに覆ってから、前記吊り上げ工程において吊り上げた前記鉄筋コンクリート構造体を前記マンホールの蓋の上に載せてから、前記スリーブ手段、前記送信ユニット、前記カバー手段を取付けてマンホールの蓋の位置特定装置を設置する再設置工程と、
前記再設置工程において設置したマンホールの蓋の位置特定装置の上方にアスファルトコンクリートを充填する再舗装工程と、
前記マーキング工程において付けた前記マークを強化する強化マーキング工程と、を更に含む請求項8に記載のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマンホールの蓋の位置特定装置と、該マンホールの蓋の位置特定装置の設置方法と、該マンホールの蓋の位置特定装置の使用方法に関し、特に路面の下に配置されるマンホールの蓋の位置特定装置と、該マンホールの蓋の位置特定装置の設置方法と、該マンホールの蓋の位置特定装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるように、マンホール12とは地下の下水道・暗渠・埋設された電気・通信ケーブルなどの管理を目的として作業員が地上から出入りできるように地面にあけられた縦孔であり、地面における開口には通行を妨げないため通常金属材質の蓋/カバー11が設置されている。
【0003】
しかしながら、通常では金属材料を使用する蓋/カバーは、道路を舗装するのに通常使用されるアスファルト混合物と材料が異なるため、最初は同じ高さになるように設置されていても、時間を経つと同じ高さが保てなくなり、道路の平坦性の低下に繋がることになる。
【0004】
道路の平坦性を維持するため、図2に示されるように、マンホール12の蓋11を路面の下に配置し、その上に道路舗装材13を載せる構想があるが、マンホールを利用するためには、路面の下に配置されたマンホールの位置を特定する必要がある。そこで、特許文献1に示されているように、RFタグをマンホールの蓋に設置することにより、マンホールの位置を特定する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾登録実用新案第M507942号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、RFタグから発する信号が減衰しやすいため、マンホールの位置を正確に特定することが難しい欠点があり、路面の下に配置されたマンホールの蓋を露出させるための工事の時間や金銭的コストが高い欠点もある。
上記問題点に鑑みて、本発明は、マンホールの蓋の位置を正確に特定することができるマンホールの蓋の位置特定装置と、該マンホールの蓋の位置特定装置の設置方法と、該マンホールの蓋の位置特定装置の使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、板状に形成され、その上面から下面まで貫通する複数の貫通穴が開けられている板体と、
金属材料により作製されたものであり、前記板体の上面側へ突起すると共に、ブラインドホールを囲む周壁を有する収容座と、
前記ブラインドホールに挿し込まれると共に、収容空間を囲むスリーブ手段と、
前記収容空間内に挿し込まれる挿入部及び前記収容空間外に露出する露出部を有するように取付けられ、且つ、位置信号は発信または反射することができる送信ユニットと、
非金属材料により作製されたものであり、前記収容座の前記周壁、前記スリーブ手段、及び前記送信ユニットの前記露出部を覆うように、前記板体に取付けられているカバー手段と、
前記板体及び前記カバー手段を内包し、前記カバー手段の前記板体から離れた部分が露出する鉄筋コンクリート構造体と、
を備えたマンホールの蓋の位置特定装置を提供する。
【0008】
また、本発明は路面から凹陥するマンホール上端凹部内において、路面より低い位置にマンホールの蓋を設置するマンホールの蓋設置工程と、
前記マンホールの蓋の上面にソフトシートを設置してから、前記板体の下面側が前記マンホールの蓋に臨むように、該ソフトシートの上に上記マンホールの蓋の位置特定装置を載せる位置特定装置設置工程と、
前記カバー手段の前記鉄筋コンクリート構造体から露出する部分の外周縁に接するように前記鉄筋コンクリート構造体の上端面に、仕切りシートを配置する上、前記マンホール上端凹部内にアスファルトコンクリートを充填する舗装工程と、
を含むマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法をも提供する。
【0009】
更に、本発明は、
請求項5のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法により設置された請求項1に記載のマンホールの蓋の位置特定装置にある送信ユニットが発する位置信号を感知してその位置を特定する特定工程と
前記特定工程により特定された位置の周辺にあるアスファルトコンクリートに対し、前記マンホールの蓋の位置特定装置の前記カバー手段及び送信ユニットが取り出せるまでドリルで円柱形状の切り取りブロック及び前記カバー手段及び送信ユニットを取り出すサンプリング工程と、
前記マンホールの蓋の位置特定装置の前記スリーブ手段に治具を固定する上、該スリーブ手段に路面上に露出する延伸手段及び該延伸手段に取付けられると共に外周縁が前記鉄筋コンクリート構造体の外周縁と上下に対応するマーカープレートを設置し、該マーカープレートの外周縁に沿ってアスファルトコンクリートに前記鉄筋コンクリート構造体の位置に対応するマークを付けるマーキング工程と、
前記マーカープレートと、前記延伸手段と、前記治具と、前記スリーブ手段とを取り外すと共に、前記マーキング工程において付けた前記鉄筋コンクリート構造体の位置に対応するマークに沿って、前記鉄筋コンクリート構造体の側面が露出するまでアスファルトコンクリートを切り込む切込み工程と、
前記鉄筋コンクリート構造体を該鉄筋コンクリート構造体の上方にあるアスファルトコンクリートと共に吊り上げて前記鉄筋コンクリート構造体の下にあるマンホールの蓋を露出させる吊り上げ工程と、
を含むマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により、本発明のマンホールの蓋の位置特定装置は、位置信号を発信または反射することができる送信ユニットの周囲が金属材料により作製された収容座により囲まれているので、該送信ユニットにより発される位置信号の減衰を抑えることができ、その位置を正確的に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来のマンホール及び該マンホールの蓋の設置状態が示されている模式図である。
図2】マンホールの蓋11を路面の下に配置する状態が示されている模式図である。
図3】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の要部構成が示されている分解斜視図である。
図4】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の内部構成が示されている上面図である。
図5】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の内部構成が示されている縦断面図である。
図6】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法のフローチャートである。
図7】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法におけるマンホールの蓋設置工程が示される説明図である。
図8】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法における位置特定装置設置工程が示される説明図である。
図9】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法における舗装工程が示される説明図である。
図10】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法のフローチャートである。
図11】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法におけるサンプリング工程が示される説明図である。
図12】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法におけるマーキング工程が示される説明図である。
図13】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法における切込み工程が示される説明図である。
図14】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法における吊り上げ工程が示される説明図である。
図15】本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法における再設置工程及び再舗装工程が示される説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図3図5を参照して本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の実施形態について詳しく説明する。図3は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の要部構成が示されている分解斜視図であり、図4は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の内部構成が示されている上面図であり、図5は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の内部構成が示されている縦断面図である。
【0013】
図示されているように、本発明のマンホールの蓋の位置特定装置2は、板状に形成され、その上面から下面まで貫通する複数の貫通穴212が開けられている板体21と、
金属材料により作製されたものであり、板体21の上面側及び下面側へ突起すると共に、ブラインドホール221を囲む周壁222を有する収容座22と、
ブラインドホール221に挿し込まれると共に、収容空間234を囲むスリーブ手段23と、
収容空間234内に挿し込まれる挿入部251及び収容空間234外に露出する露出部252を有するように取付けられ、且つ、位置信号を発信または反射することができる送信ユニット25と、
非金属材料により作製されたものであり、収容座22の周壁222、スリーブ手段23、及び送信ユニット25の露出部252を覆うように、板体21に取付けられているカバー手段24と、板体21及びカバー手段24を内包し、カバー手段24の板体21から離れた部分が露出する鉄筋コンクリート構造体20と、を備えている。
【0014】
図4に示されているように、鉄筋コンクリート構造体20は、縦横に交差する複数本の鉄筋201と、板体21の貫通穴212を通過すると共に、隣接する鉄筋201に縛り付けられているストリング26と、を内包している。また、この実施形態において、鉄筋コンクリート構造体20は長さ1400mm、幅1400mm、高さ150mmの立方体であり、鉄筋201は縦横それぞれ8本で計16本ある。なお、この実施形態において、互いに隣接し且つ平行する鉄筋201の間の距離は約150mmである。
【0015】
板体21は長さ200mm、幅200mm、厚さ10mmの板状体であり、各貫通穴212は直径12mmの円形穴で、板体21の四隅近くに配置されている。
【0016】
この実施形態において、収容座22の周壁222は、非円形(正方形)の断面を有する上、板体21の下面側へも突起するように板体21を貫通していて、長さ50mm、幅50mm、高さ104mmの立方体に形成されている。ちなみに、周壁222の板体21の上面側へ突起する部分の高さは34mmであり、下面側へ突起する部分の高さは60mmであり、ブラインドホール221の深さは60mmである。更に、周壁222のブラインドホール221に面する内周面には雌ねじ223が形成され、ブラインドホール221に挿し込まれるスリーブ手段23の外周面は、該雌ねじ223と噛み合う雄ねじ231が形成されている。雌ねじ223の寸法はM32である。
【0017】
スリーブ手段23は、ブラインドホール221に挿し込まれると共に、収容空間234を囲むスリーブ本体部232と、スリーブ本体部232の上端から張り出す環状フランジ233とを有している。この実施形態において、スリーブ手段23全体の高さは40mmであり、雄ねじ231の寸法はM32である。そして収容空間234の深さは40mmで内径は20mmあり、環状フランジ233の外径は46mmである。
【0018】
カバー手段24は、非金属材料により作製されたものであり(この実施形態ではプラスチック材料)、収容座22の周壁222の形状に対応して該周壁222の上端部を受け入れる周壁受入凹部241と、送信ユニット25の収容空間234外に露出する露出部252の形状に対応して該露出部252を受け入れる送信ユニット受入凹部242と、が形成されている上、板体21に臨む部分が比較的細く、板体22から離れた部分が比較的太いせっ頭円錐状に形成されている。
【0019】
この実施形態において、カバー手段24は全体の高さが80mmであり、最大の外径(即ち、板体22から離れた端部の外径)は80mmであり、鉄筋コンクリート構造体20から露出する部分の高さは20mmである。周壁受入凹部241の寸法は長さ50.8mm、幅50.8mm、高さ15mmである。送信ユニット受入凹部242は内径20mmで高さ50mmである。
【0020】
この実施形態において、送信ユニット25はRFIDタグを内蔵するもので、対応周波数は13.56MHzである。送信ユニット25全体の長さは76mmであり、そのうち下側の30mmは挿入部251に属して収容空間234内に挿し込まれ、上側の46mmは送信ユニット受入凹部242内に収容されている。図面においては棒状で表示されているが、実際は下端が比較的細く、上端が比較的太いせっ頭円錐状に形成されている。この形状に形成されることにより、信号を反射しやすい利点がある。
【0021】
以下は図6図9を用いて、本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法について詳しく説明する。図6は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法のフローチャートであり、図7は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法におけるマンホールの蓋設置工程が示される説明図であり、図8は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法における位置特定装置設置工程が示される説明図であり、図9は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法における舗装工程が示される説明図である。
【0022】
図6に示されているように、本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の設置方法は、マンホールの蓋設置工程S31と、位置特定装置設置工程S32と、舗装工程S33と、が含まれている。
【0023】
図7に示されているように、マンホールの蓋設置工程S31では、路面から凹陥するマンホール上端凹部内において、路面より低い位置にマンホールの蓋を設置する。実際では、例えば既存のマンホール40及び該マンホールの蓋41に対して、マンホール40の路面に接する部分に、前記マンホール上端凹部に該当する高さ25cm程度、幅1600mm程度の拡幅部分40Aを設置することにより、マンホールの蓋41を路面より低く位置させることができる。
【0024】
図8に示されているように、位置特定装置設置工程S32では、マンホールの蓋41の上面にソフトシート42を設置してから、板体21の下面側がマンホールの蓋41に臨むように、該ソフトシート42の上に本発明のマンホールの蓋の位置特定装置2を載せる。実際では、まずはマンホール40の周辺の地面を叩いて平らに慣らしてから、発泡ポリウレタン材料から作製された、厚さ2mmで面積がマンホールの蓋41の上面以上または相当するソフトシート42を敷いてから、該ソフトシート42の上に本発明のマンホールの蓋の位置特定装置2の鉄筋コンクリート構造体20を乗せる。ソフトシート42はマンホールの蓋41と鉄筋コンクリート構造体20とを仕切ると共に、マンホールの蓋41の上面の面積以上であるためマンホールの蓋41を保護できる。ちなみに、この位置特定装置設置工程S32が完了した時点では、鉄筋コンクリート構造体20と拡幅部分40Aの内周面との間に約50〜100mmの間隔がある。
【0025】
図9に示されているように、舗装工程S33では、鉄筋コンクリート構造体20の上端面に、カバー手段24の鉄筋コンクリート構造体20から露出する部分の外周縁に接する仕切りシート43を配置する上、マンホール上端凹部に該当する拡幅部分40A内にアスファルトコンクリート44を充填する。この実施形態において、仕切りシート43は、カバー手段24の鉄筋コンクリート構造体20から露出する部分の外周縁に接するために開けられる直径約97mmの中心穴431が空けられていると共に、板体21の鉄筋コンクリート構造体20の上端面における投影範囲に相当する(即ち、仕切りシート43の外周縁は板体21の外周縁と上下対応する)。仕切りシート43を配置してから、鉄筋コンクリート構造体20の表面にアスファルトを塗布し、更に拡幅部分40A内にアスファルトコンクリート44を充填する。従ってアスファルトコンクリート44は、寸法が拡幅部分40Aの幅に対応し、そして鉄筋コンクリート構造体20の上方にある部分の厚さが約100mmである。
【0026】
このように設置された本発明のマンホールの蓋の位置特定装置2は、マンホールの蓋41が路面の下方に配置され、また路面においてマンホールの蓋41の上方にあるアスファルトコンクリート44の材料は路面を舗装するのに通常使用される材料と一致するので道路の平坦性を維持することができると共に、送信ユニット25の挿入部251が金属材料により作製された収容座22の内側に位置しているので、下側へ発する信号は反射され、上側へ発する信号または収容座22により反射された信号はカバー24を経由して外部へ伝達できるので、従来よりも路面上から検知しやすいようになっている。
【0027】
以下は図10図15を用いて本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法について詳しく説明する。図10は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法のフローチャートであり、図11は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法におけるサンプリング工程が示される説明図であり、図12は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法におけるマーキング工程が示される説明図であり、図13は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法における切込み工程が示される説明図であり、図14は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法における吊り上げ工程が示される説明図であり、図15は本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法における再設置工程及び再舗装工程が示される説明図である。
【0028】
図10に示されているように、本発明のマンホールの蓋の位置特定装置の使用方法は、特定工程S51と、サンプリング工程S52と、マーキング工程S53と、切込み工程S54と、吊り上げ工程S55と、再設置工程S56及び再舗装工程S57とが含まれている。
【0029】
特定工程S51では、上記設置方法により設置された本発明のマンホールの蓋の位置特定装置2にある送信ユニット25が発する位置信号を感知して、その中心位置を特定する。
【0030】
サンプリング工程S52は、図11に示されるように、特定工程S51により特定された位置の周辺にあるアスファルトコンクリート44に対し、本発明のマンホールの蓋の位置特定装置2のカバー手段24及び送信ユニット25が取り出せるまで、ドリルでアスファルトコンクリート44の切り出された部分である円柱形状の切り取りブロック45を切り出して切り取りブロック45と共にカバー手段24を取り出して収容座22を露出させてから、更に送信ユニット25を取り出す。ちなみに、切り取りブロック45の寸法としては、直径150mmで高さ約100mmである。
【0031】
マーキング工程S53は、図12に示されるように、本発明のマンホールの蓋の位置特定装置2のスリーブ手段23に治具61を固定する上、該スリーブ手段23に路面上に露出する延伸手段62及び該延伸手段62に取付けられると共に外周縁が鉄筋コンクリート構造体20の外周縁と上下に対応するマーカープレート63を設置し、該マーカープレート63の外周縁に沿ってアスファルトコンクリート44に鉄筋コンクリート構造体20の位置に対応するマークを付ける。このマーキング工程S53により、路面においてに鉄筋コンクリート構造体20とアスファルトコンクリート44との境界線(即ち、鉄筋コンクリート構造体20の位置)に対応するマークを付けることができる。
【0032】
切込み工程S54は、図13に示されるように、マーカープレート63と、延伸手段62と、治具61と、スリーブ手段23とを取り外すと共に、マーキング工程S53において付けた鉄筋コンクリート構造体20の位置に対応するマークに沿って、鉄筋コンクリート構造体20の側面が露出するまでアスファルトコンクリート44を切り込む。
【0033】
吊り上げ工程S55は、図14に示されるように、鉄筋コンクリート構造体20を該鉄筋コンクリート構造体20の上方にあるアスファルトコンクリート44と共に吊り上げて鉄筋コンクリート構造体20の下にあるマンホールの蓋41を露出させる。実際では、吊り上げリング641を有する吊り上げ手段64を収容座22の雌ねじ223と螺合してからクレーンなどを使用して鉄筋コンクリート構造体20及び該鉄筋コンクリート構造体20の上方にあるアスファルトコンクリート44と共に吊り上げる。
【0034】
ここまでの工程により、マンホールの蓋41及びマンホール40へのアクセスが可能となり、メンテナンスや補修などの工事を行うことができる。
【0035】
マンホール40へアクセスしてメンテナンスや補修などのマンホールにおける工事が完了すると、図15に示されるように、マンホールの蓋41をマンホール40に覆ってから、吊り上げ工程55において吊り上げた鉄筋コンクリート構造体20をマンホールの蓋41の上に載せてから、スリーブ手段23、送信ユニット25、カバー手段24を取付けてマンホールの蓋の位置特定装置2を設置する再設置工程S56と、再設置工程S56において設置したマンホールの蓋の位置特定装置2の上方にアスファルトコンクリート44を充填する再舗装工程S57と、を実行する。
【0036】
ちなみに、再設置工程S56においては、各部材の間にある隙間を、接着剤を使用して補填することが好ましい。
【0037】
また、再舗装工程S57の後、マーキング工程S53において付けたマークを強化する強化マーキング工程を更に実行することも可能である。
【0038】
強化マーキング工程を実行することによって、次にマンホール40にアクセスする工事を実行する際、特定工程S51〜マーキング工程S53までの工程をスキップすることができる。
【0039】
上記のように、本発明のマンホールの蓋の位置特定装置は、位置信号を発信または反射することができる送信ユニットの周囲が金属材料により作製された収容座により囲まれているので、該送信ユニットにより発される位置信号の減衰を抑えることができ、その位置を正確的に特定することができる。
【符号の説明】
【0040】
2 マンホールの蓋の位置特定装置
20 鉄筋コンクリート構造体
201 鉄筋
21 板体
212 貫通穴
22 収容座
221 ブラインドホール
222 周壁
223 雌ねじ
23 スリーブ手段
231 雄ねじ
232 スリーブ本体部
233 環状フランジ
234 収容空間
24 カバー手段
241 周壁受入凹部
242 送信ユニット受入凹部
25 送信ユニット
251 挿入部
252 露出部
26 ストリング
40 マンホール
40A 拡幅部分
41 マンホールの蓋
42 ソフトシート
43 仕切りシート
44 アスファルトコンクリート
61 治具
62 延伸手段
63 マーカープレート
64 吊り上げ手段
641 吊り上げリング
S31 蓋設置工程
S32 位置特定装置設置工程
S33 舗装工程
S51 特定工程
S52 サンプリング工程
S53 マーキング工程
S54 切込み工程
S55 吊り上げ工程
S56 再設置工程
S57 再舗装工程
図1
図2
図3
図4
図5
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図9
図10
図11
図12
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図15