【実施例1】
【0013】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、自動車などの車両1に対して、ヘッドアップディスプレイ装置2を搭載する。
【0015】
ヘッドアップディスプレイ装置2には、様々なものが有るが、この実施例では、運転情報3を表示可能な表示装置4と、表示装置4からの運転情報3(表示画像)を車室1aの前方へ向けて反射可能なミラー6(反射部材)とを備えたものとする。
【0016】
ここで、方向については、ヘッドアップディスプレイ装置2を車両1に搭載した状態を基準として説明する。車両前後方向がヘッドアップディスプレイ装置2のほぼ前後方向Xまたは奥行方向となり、車幅方向がヘッドアップディスプレイ装置2のほぼ幅方向Yとなり、車両1の上下方向がヘッドアップディスプレイ装置2のほぼ上下方向Zとなる。但し、ヘッドアップディスプレイ装置2は、傾けた状態で車両1に搭載する場合もあるので、これらの方向は、それぞれある程度ズレる場合がある。
【0017】
ヘッドアップディスプレイ装置2は、正面を向いて運転している乗員7に大きな視線移動を起こさせることなく運転情報3を視認させるものである。このヘッドアップディスプレイ装置2は、ケーシング11の内部に表示装置4とミラー6とを収容した状態で、ケーシング11ごと車室1aの前部に設けられたインストルメントパネル12の内部に設置する。そして、ケーシング11の上面やインストルメントパネル12の上面には、運転情報3を通す開口部13,14が設けられる。開口部13,14の少なくとも一方には透明または半透明の防塵カバー15などを固定状態または開閉可能状態で設置する。防塵カバー15は、平坦なものとしても良いが、フロントウィンドウ16への防塵カバー15の映り込みを防止するなどのために、側方から見て下に凹んだ凹形状などにしても良い。
【0018】
開口部13,14を通った運転情報3は、フロントウィンドウ16に反射されたり、開口部13,14の前側に設置したコンバイナーなどと呼ばれる専用の反射板に反射されたりすることで、乗員7に虚像18として視認される。運転情報3を反射させるために、フロントウィンドウ16には、少なくとも運転情報3が投影される所要範囲に、例えば、反射膜を設けたり、細かい反射面などを設けたりする。
【0019】
運転情報3は、運転の支援となる情報全般のことである。運転情報3には、例えば、速度情報や、道路情報(例えば、車線表示や、先行車表示や、対向車表示や、歩行者表示や、障害物表示など)、進路情報(例えば、交差点情報や右左折表示など)や、目的地情報(例えば、到着時刻や目的地までの走行距離など)や、渋滞情報や、サービス情報(例えば、駐車場情報や、ガソリンスタンド情報や、周辺施設案内)や、その他の表示などがある。
【0020】
表示装置4には、液晶パネルや、有機ELパネルなどの表示器を用いることができる。表示装置4に液晶パネルを用いた場合、液晶パネルの背面側にはバックライトとなる照明装置4aを設ける。また、表示装置4には、レーザー光をマイクロミラーで反射させるDLPユニットを用いたプロジェクターなどの表示器を用いることもできる。表示装置4の表示画像(運転情報3)は、制御部4bによって制御される。
【0021】
車室1aは、車両1における乗員7が搭乗する空間である。ミラー6は、反射鏡などの光学部品(反射部材)のことである。ミラー6には、表示装置4からの運転情報3(表示画像)を等倍で反射する平面鏡や、拡大して反射する曲面鏡(凹面鏡)などが、単数または複数枚適宜組み合わせて用いられる(この実施例では、ミラー6は前後に二枚設けられている)。ミラー6は、例えば、図の右側のもののようにケーシング11の内部に直接固定(固定ミラー)できる。また、ミラー6は、例えば、図の左側のもののようにミラー支持構造20によって可動するように設置できる(可動ミラー)。
【0022】
図2に示すように、この実施例では、ミラー支持構造20は、回転軸21,22を中心としてミラー6(の少なくとも1つ)を回動可能に支持するものとなっている。ミラー支持構造20は、ミラー6の側面6aから突設された回転軸21,22と、回転軸21,22を軸支する軸受23,24と、ミラー6を回転軸21,22の軸線方向25の一側から他側へ押圧する弾性部材26と、を有している。軸線方向25は、車両1へ搭載した状態でほほ幅方向Yへ向かってほぼ水平に設置される。
【0023】
ここで、ミラー6は、
図3A、
図3Bに示すように、ほぼ幅方向Yへ延びる横長状とされて、回転軸21,22を中心としてほぼ上下方向Zに回動される。ミラー6は、複雑な三次元曲面形状をしたフロントウィンドウ16に反射した時に運転情報3に歪みが生じないようにするために、意図的に非矩形状などとされている。ミラー6の側面6aには、必要に応じて、弾性部材26によって押圧する押圧面58を軸線方向25と垂直に整えるための突出部59が突設形成される。
【0024】
ミラー6の側面6aは、回転軸21,22を設けた一対の対辺であり、例えば、ミラー6の縦の辺とする。回転軸21,22は、ミラー6の両側面6aからそれぞれ横へ向けて同一の軸線上に位置するように突設される。回転軸21,22は、ミラー6の側面6aのどの位置に設けても良いが、この実施例では、ミラー6の側面6aの(上下方向Zの)中間部に設けている。回転軸21,22は、ミラー6と別体に設けても良いが、ミラー6を樹脂製にした場合、回転軸21,22はミラー6と一体に成形可能である。
【0025】
軸受23,24は、弾性部材26が設けられる一側(押圧側)と、弾性部材26が設けられない他側(被押圧側)とで、異なる構造にしても良い。例えば、一側の軸受23は、
図4A〜
図4Cに示すようなものとされる。
【0026】
一側の軸受23は、例えば、ケーシング11に取付けるためのネジ孔51aを有する取付座部51と、取付座部51に回転軸21を軸支するための軸支部52と、を有している。軸支部52は、手前側(上側)に開放部52bを有し、奥側(下側)に軸受溝52cを有して、回転軸21を軸支可能な間隔で取付座部51に形成された一対の軸支持壁52aを備えている。
【0027】
軸支持壁52aのミラー6側の先端部には、弾性部材26を取付けるための、バネ受部54が弾性部材26の装着方向28へ向けて延設されている。装着方向28は、軸線方向25と交差する方向である(この実施例では、上下方向Zの下方となっている)。
【0028】
軸受23には、弾性部材26に対する係止部45(の係止爪部45b)を設けても良い。軸受23には、軸線方向25へ延びる第一補強リブ56aや、軸線方向25と直交する面を有する第二補強リブ56bや第三補強リブ56dなどの補強リブ56を設けても良い。
【0029】
これに対し、弾性部材26は、
図5に示すようなものとされる。
【0030】
弾性部材26は、ミラー6の一方の側面6a(押圧側)に設けられて、ミラー6を他方の側面6a(被押圧側)へ向けて押圧付勢することで、ミラー6が車両振動で動いて運転情報3(表示画像)がブレるのを防止する。弾性部材26は、どちらの側に設けても良いが、この実施例では、弾性部材26は、アーム部37の側(駆動側)に設置されている。
【0031】
弾性部材26は、軸受23に回転軸21を軸支した状態で外方から軸線方向25と交差する方向に装着可能な板バネ26aとされる。板バネ26aは、ミラー6と軸受23との間の隙間27(
図2)へ挿入してミラー6を軸線方向25へ押圧可能な一端側の押圧部31と、軸受23に対して取付可能な他端側の取付部32とを、中間の折返部33で二つ折りにした側面視ほぼU字状の部分を有している。板バネ26aの側面視ほぼU字状の部分は、押圧部31の基部31aと折返部33と取付部32の基部32aとで構成されて、軸受23(の上部のバネ受部54)を3方向から包持(または軸受23の両面を挟持)可能な装着部(包持部または挟持部)29を構成する。
【0032】
押圧部31は、ミラー6を軸線方向25へ押圧可能な、長さの異なる複数の弾性押圧片41,42を有している。第一の弾性押圧片41と第二の弾性押圧片42は、回転軸21の両側部を(前後方向Xに)挟むように二股状に形成されると共に、押圧部31を正面または背面から見た状態で装着方向28(下方)へ向けて互いにほぼ平行に延ばされる。これにより、第一の弾性押圧片41と第二の弾性押圧片42は、(傾斜状態とされた)ミラー6の側面6aにほぼ沿うように回転軸21の(中心を挟んで反対側となる)斜め上側の位置と斜め下側の位置とを押圧する。弾性押圧片41,42は、それぞれ折返部33に近い側から順に、平行部分41a,42aと、屈曲部41b,42bと、傾斜部41c,42cと、逆屈曲部41d,42dと、戻し部41e,42eとを連続して有する押えバネとなっている。
【0033】
押圧部31は、回転軸21を板バネ26aの軸受23に対する装着方向28に押圧保持可能な別の弾性押圧片43を有しても良い。
【0034】
取付部32には、折返部33側の部分(基部32a)に、軸受23(の上部など)に対して固定可能な固定部44を設けても良い。固定部44は、折返部33に近い側から順に、折幅拡大部分44aと折曲部44bと傾斜部44cと逆屈曲部44dと戻し部44eとを連続して有する弾性片とされている。
【0035】
押圧部31の折返部33側には、係止部45として、軸受23の係止爪部45bが挿入係止される係止穴部45aを設けても良い。
【0036】
取付部32には、ネジ固定部46を設けても良い。ネジ固定部46を、頂部46aと左右の脚部46bと左右の足部46cとを連続的に有するハット型としても良い。左右の足部46cには、ケーシング11にネジ固定するためのネジ孔46dを設けても良い。ネジ固定部46は、取付部32の延長部32bの下部に一体に屈曲形成される。延長部32bとネジ固定部46との間には、別の弾性押圧片43との干渉を避けるための切欠部47などを設けても良い。
【0037】
そして、
図6A、
図6Bのように、ミラー6の回転軸21を軸受23に軸支した後で、
図7A、
図7Bのように、軸受23に弾性部材26を外方から装着する。これにより、ミラー6は、
図8(a)〜(c)に示すように、使用位置34と待機位置35との間で回動可能となる。
【0038】
使用位置34は、ヘッドアップディスプレイ装置2の使用時におけるミラー6の位置のことである。使用位置34では、乗員7の体格(または目の高さ)に応じて運転情報3が最適位置に表示されるようにするために表示高さを調整できるようになっており、ミラー6は上下方向Zに対して比較的寝かせた状態で僅かに回動される(
図8(a)と
図8(b)との間の回動)。
【0039】
待機位置35は、ヘッドアップディスプレイ装置2の非使用時などにおけるミラー6の位置のことである。待機位置35では、ミラー6は使用位置34よりも上下方向Zに立った状態となる(
図8(c))。ミラー6を待機位置35にすることで、ケーシング11の内部へ入射した外光が表示装置4へ向けて逆反射されないようになるので、外光の逆反射による表示装置4の損傷を防止できる。ヘッドアップディスプレイ装置2の使用時においても、ケーシング11の内部への外光の入射量が多い時などには、ミラー6を一時的に待機位置35へ移動して外光を逆反射させないようにできる。特に、ミラー6に凹面鏡を用いている場合には、外光が凹面鏡で集光されて表示装置4に照射されるため、表示装置4の損傷が大きくなるので、ミラー6を一時的に待機位置35へ退避させることは有効である。
【0040】
更に、
図2に示すように、ミラー支持構造20によって支持されたミラー6(可動ミラー)を、ミラー可動機構36(またはミラー回動機構)を用いて、自動的に可動(回動)させ得るようにする。
【0041】
ミラー可動機構36は、リンク機構で構成しても良いし、ギヤ機構で構成しても良い。この実施例では、ミラー可動機構36は、回転軸21に取付けたアーム部37と、アーム部37を介して回転軸21およびミラー6を回動させるアクチュエータ38とを備えている。ミラー可動機構36をリンク機構とする場合、アーム部37をシリンダなどのアクチュエータ38で動かすようにする。
【0042】
ミラー可動機構36をギヤ機構とする場合、アーム部37は、例えば、回転軸21の半径方向へ延びて、先端にギヤ歯37aを有するセクタギヤなどの歯車にする。セクタギヤは、少なくとも待機位置35と使用位置34との間の通常回動範囲をカバーする角度(ほぼ25°〜30°)に形成する。アクチュエータ38にはモータを使用する。モータは、出力軸に取付けた駆動ギヤ38aなどの歯車をセクタギヤのギヤ歯37aに噛み合わせてアーム部37を回動駆動する。アーム部37や駆動ギヤ38aなどの回動部材(または軸着部材)は駆動力伝達部35a(または駆動力伝達機構)を構成する。なお、上記とは反対に、アーム部37をモータの出力軸に取付け、駆動ギヤ38aを回転軸21に取付けるようにしても良い。アーム部37は復帰バネ39によって使用位置34または待機位置35へ向けて回転方向の一方へ付勢される。復帰バネ39は、セクタギヤと駆動ギヤ38aとの間のガタ殺しも行う。モータは、取付ブラケット40を介してケーシング11に固定される。
【0043】
上記のようなヘッドアップディスプレイ装置2に対して、この実施例では、ミラー支持構造20を、以下のようにしている。
【0044】
(1)上記したように、ミラー支持構造20は、ミラー6の側面6aから突設された回転軸21,22と、回転軸21,22を軸支する軸受23,24と、ミラー6を回転軸21,22の軸線方向25の一側から他側へ押圧する弾性部材26と、を有するものとなっている。
そして、
図9A、
図9Bに示すように、回転軸21,22の軸線方向25への移動量を規制する規制部61を設ける。
【0045】
ここで、規制部61は、衝撃荷重に対して弾性部材26を保護するためのものである。衝撃荷重で回転軸21,22が軸線方向25へ大きく横移動すると、弾性部材26は塑性変形によって損傷される。衝撃荷重は、車両1の走行中に作用することが想定される最大の荷重(約50G)である。規制部61は、衝撃荷重に対して弾性部材26が塑性変形しないように回転軸21,22の横移動を規制できればどのようなものでも良い。また、規制部61は、回転軸21,22がほとんど横移動できないように厳しく規制しても良いし、または、弾性部材26が損傷されない範囲内で回転軸21,22のある程度の横移動を許容できるように緩く規制しても良い。
【0046】
(2)規制部61は、回転軸21,22の外周面から突設された突起部62と、軸受23,24の内部に設けられて突起部62を受ける受部63とを有するものとしても良い。
【0047】
ここで、突起部62は、回転軸21,22の軸受23,24によって軸支される部分の外周面に設けられる。突起部62は、回転軸21,22に一体形成することができる。
【0048】
受部63は、突起部62の軸線方向25への移動を受けるものであり、軸受23,24に回転軸21,22を軸支させた時に、突起部62と合致する位置に、突起部62が嵌合可能な大きさ及び形状に設けられる。
【0049】
回転軸21,22の横移動を厳しく規制する場合には、受部63の軸線方向25の長さは、突起部62の軸線方向25の長さとほぼ同じにする。
また、回転軸21,22の横移動を緩く規制する場合には、受部63の軸線方向25の長さは、突起部62の軸線方向25の長さよりも許容可能範囲内で長くする。この実施例では、回転軸21,22がほとんど横移動できないように厳しく規制するものとなっている(
図9A)。
【0050】
なお、構造的には、規制部61は、突起部62を軸受23,24の側に設け、受部63を回転軸21,22の側に設けることも可能である。また、構造的には、突起部62を回転軸21,22における軸受23,24の外側となる位置に設けると共に、受部63を軸受23,24の突起部62側の端面に設定することで、規制部61を軸受23,24の外部に設置することも可能である。これにより、規制部61は、回転軸21,22の一方向(弾性部材26の側)への横移動を規制するものとなる。
【0051】
(3)受部63は、回転軸21,22の周方向に延びる円弧状の溝63aとしても良い。
【0052】
ここで、円弧状の溝63aは、少なくとも突起部62の長さとほぼ同じ深さを有して周方向へ延びるものとされる。受部63は、円形の溝にすることができる。また、ヘッドアップディスプレイ装置2の使用時に回転軸21,22やミラー6が周回しない(或いは、ミラー6の通常回動範囲が一回転以下の)場合には、受部63は、少なくとも通常回動範囲における突起部62の回動範囲をカバーする円弧状の溝63aにすれば良い。この実施例では、円弧状の溝63aを、軸受23に対する回転軸21や弾性部材26の装着方向28の奥側に位置する軸受溝52cの位置に形成している(
図4A〜
図4C)。この実施例では、受部63の円弧状の溝63aは、軸受23の軸受溝52cにおける軸線方向25の中央部の位置に設けられている。
【0053】
円弧状の溝63aに嵌合される突起部62は、例えば、ピンなどすることができる。この実施例では、突起部62は、衝撃荷重に耐え得る強度が得られるように、例えば、軸線方向25から見て(円弧状の溝63aよりも周方向に短い)円弧状のリブなどとされている。この突起部62は、回転軸21の下側に、ほぼ下方へ向けて設けられている。
【0054】
(4)規制部61は、弾性部材26を設けた一側の軸受23と、弾性部材26によって押圧される他側の軸受24とのうちのいずれかの位置に設置しても良い。
【0055】
この実施例では、弾性部材26を設けた一側の軸受23の位置に規制部61を設けるようにしている。これに対し、
図3Aに仮想線で示すように、他側の回転軸22に対して突起部62を設け、他側の軸受24に、一側の軸受23と同様の受部63(円弧状の溝63a)を設けるようにしても良い。
【0056】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0057】
ヘッドアップディスプレイ装置2は、表示装置4からの運転情報3を、ミラー6で車室1aの前方へ向けて反射することで、車室1aの前方に運転情報3の虚像18を生じさせて、正面を向いて運転している乗員7に大きな視線移動を起こさせることなく運転情報3を視認させることができる。
【0058】
この際、光路の途中にミラー6を設けて光路を曲げることで、(表示装置4からの運転情報3を直接車室1aの前方へ向かわせるのと比べて)表示装置4からの運転情報3の光路を長くしたり、運転情報3を拡大表示したりすることが可能となる。以って、ヘッドアップディスプレイ装置2は、運転情報3の遠方表示化や運転情報3の大画角化などが図れるようになる。
【0059】
ミラー6は、使用位置34と待機位置35との間で角度変更できるように、ミラー支持構造20によって回動自在に支持されている。そして、ミラー6は、車両振動の影響を防止するために弾性部材26によって押圧側から被押圧側へ向けて押圧付勢されている。しかし、車両1の走行中にヘッドアップディスプレイ装置2に衝撃荷重が作用した時に、弾性部材26が損傷を起こすおそれがある。
【0060】
<効果>そこで、この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
(効果1)回転軸21,22の軸線方向25への移動量を規制する規制部61を設けた。これにより、ヘッドアップディスプレイ装置2に衝撃荷重が作用された時に、ミラー支持構造20に設けた規制部61が、ミラー6の回転軸21,22を軸線方向25へ大きく移動(横移動または横ブレ)しないように規制する。そのため、回転軸21,22を軸線方向25の一方(他側)へ押圧している弾性部材26は、規制部61によって、衝撃荷重で押圧方向と反対方向へ過度に変形しないように保護されるため、弾性部材26の塑性変形による損傷を防止できる。
【0062】
(効果2)規制部61を、回転軸21,22の外周面から突設された突起部62と、軸受23,24の内部に設けられた受部63とで構成した。これにより、突起部62と受部63との嵌合いによって確実に回転軸21,22の両方向への横移動を規制できる。また、規制部61を外部から見えないように回転軸21,22と軸受23,24との間に隠して設けることができる。更に、規制部61が外部に露出しないので、規制部61を外力から保護することができる。
【0063】
(効果3)受部63を周方向へ延びる円弧状の溝63aとしても良い。これにより、規制部61は回転軸21,22の回動を許容できるものとなる。また、円弧状の溝63aを回転軸21,22の(ミラー6の使用位置34と待機位置35との間の)可動範囲に合わせて設けるようにすれば、回転軸21,22やミラー6の回動を規制部61で規制できる。
【0064】
(効果4)規制部61を、一側の軸受23と他側の軸受24のどちらかの位置に設けるようにした。これにより、一側の軸受23に規制部61を設けることで、弾性部材26に近い位置で弾性部材26を確実に保護できる。また、他側の軸受24に規制部61を設けることで、規制部61の設置位置に対する制約が少なくなるので、軸受23,24周辺の設計自由度を増やすことができる。