【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求の範囲及び下記の明細書に定義されるような水溶液及び方法を提供する。
本発明は下記のものを溶解された状態で含有する水溶液を提供する:
−少なくとも一つ以上のスチルベノイド、
−少なくとも一つ以上の糖類。
【0008】
糖類の分子量は1000kD以下、好ましくは500kD以下、さらに好ましくは、50kD以下である。1D(ダルトン)は1g/molに対応する。
さらに好ましくは、分子量が90D乃至1000kD、好ましくは90D乃至500kD、さらに好ましくは、90D乃至50kDの範囲である。前記分子量は糖類中に存在する分子の分子量範囲である。糖類は異なる鎖長(単糖類単位体の個数が相異)の糖類−分子の混合物であり得る。
【0009】
水溶液は、単独または主な溶媒として水を基本とする溶液を意味する。溶媒としての水は溶媒の総質量のうち水の割合が≧60体積%、好ましくは≧70体積%、または≧80体積%、最も好ましくは≧90体積%である。水と混和性である補助溶媒が存在することができる。
【0010】
一つの実施形態において、スチルベノイドはレスベラトロール(トランス−3,5,4’−トリヒドロキシスチルベン)、レスベラトロール誘導体、ジヒドロ−レスベラトロール、ピセアタンノール、プテロスチルベン、またはピセイド(レスベラトロール−3−Ο−β−モノ−D−グルコシド、トランス−3,5,4’−トリヒドロキシスチルベン−3−O−β−D−グルコピラノシドとも命名)であり得る。
【0011】
スチルベノイドは化学式100の構造から選択することができる。
【化1】
式中、R
4は
【化2】
である。
R
1、R
2、R
3、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15は、
−H、−OH、−O−R
Alk、−CHO、−CR
AlkO、−COOH、−COO−R
Alk、−CO−NH−C
nH
2n−COOH、−CO−NH−C
nH
2n−COO
−、
−CN、−Cl、−Br、−I、−NO
2、
−C
nH
2nCN、−C
nH
2n−Cl、−C
nH
2n−Br、−C
nH
2n−I、−C
nH
2n−NO
2、
−O−PO
32−、−O−PO
3H
−、−O−PO
3H
2、−NH
2、−NHR
Alk、−NR
Alk1R
Alk2、−N
+H
3、−N
+H
2R
Alk、−N
+HR
Alk1R
Alk2、−N
+R
Alk1R
Alk2R
Alk3、
−CN、−B(OH)
2、−OCHO、−O−CR
AlkO、−OCF
3、−O−CN、−OCH
2CNであるか、
または、下記の部分のうちの一つ:
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
及び/又はR
Alk、R
Alk1及びR
Alk2がCH
3、C
2H
5、C
3H
7またはC
4H
9である、
及び/又はC
nH
2nがCH
2、C
2H
4、C
3H
6、C
4H
8である、
及び/又はR
11、R
12、R
13、R
14またはR
15が単糖類またはオリゴ糖類である、
及び/又はX
−が遊離された可溶性カチオンであり、
少なくともR
1、R
2、R
3、R
11、R
12、R
13、R
14及びR
15のうち一つ以上が、好ましくはこれらのうち二つ以上がヒドロキシル基である。
【0012】
レスベラトロール誘導体は、例えば、文献[John M Pezzuto等、Resveratrol derivatives:a patent review(2009−−2012),Expert Opin.Ther.Patents(2013)23(12)]に記載されている。レスベラトロール誘導体は下記の化合物から選択することができる。
【化7】
【0013】
化合物2及び化合物3において、式中
R
1=R
2=R
4=OH、R
3=R
5=R
6=H;または
R
1=R
2=R
4=OCH
3、R
3=R
5=R
6=H;または
R
1=R
2=R
4=OCH
3、R
3=R
5=H;R
6=OH;または
R
1=R
2=R
3=R
5=OCH
3、R
4=R
6=H;または
R
1=R
2=R
3=R
5=OCH
3、R
4=H、R
6=OH;または
R
1=R
2=R
3=R
4=OCH
3、R
5=R
6=H;または
R
1=R
2=R
3=R
4=OCH
3、R
5=H、R
6=OH。
【0014】
化合物4において、式中、Rは下記の部分のうち一つである。
【化8】
【0015】
化合物5において、式中、
R
1は水素または下記の化学式の官能基である。
【化9】
【0016】
R
2は水素であるかまたはこれらが結合されている酸素原子と共にアシル基(−OCO−R
3)を形成し、ここでR
3はC1−C22アルキル基またはC2−C22アルケニル基であり、ここでR
2が水素である場合、R
1は前記に提示された化学式の官能基を形成し、
化合物6において、式中、Rは下記の部分のうち一つである。
【化10】
【化11】
【化12】
【0017】
化合物8において、式中、
R
1=OCH
3、R
2=OH、R
3=O−グルコース;または
R
1=OCH
3、R
2=H、R
3=O−グルコース;または
R
1=OCH
3、R
2=OH、R
3=OH;または
R
1=OCH
3、R
2=H、R
3=OH;または
R
1=OH、R
2=OH、R
3=O−グルコース;または
R
1=OH、R
2=OH、R
3=OH;
【0018】
化合物12において、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びR
10は水素、ヒドロキシル、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、置換されたヒドロカルビルオキシ及びスルホキシから独立的に選択され、少なくともR基のうち一つ以上がヒドロキシルまたは置換されたヒドロキシル基であり、化合物12が単量体である場合、化合物12はレスベラトロール以外のものである。
【0019】
化合物15において、
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立的にHまたは(C1−C3)アルキルを示し、R
4及びR
5は同一であるかまたは異なり、水素、線状または分岐状(C1−C5)アルキル、プレニル基−CH
2−CH=C(CH
3)
2、ゲラニル基−CH
2−CH=C(CH
3)(CH
2)
2CH=C(CH
3)
2を示すか、
またはR
4及びR
1、及び独立的にR
5及びR
2が、これらが連結されている原子と共に、下記の官能基のうち一つを形成し、
【化13】
もっとも、R
4及びR
5が全て水素であるのではなく、
R
1=R
2=R
3=Hの場合、R
4及びR
5がそれぞれプレニル基でも水素でもなく、
化合物18において、式中X、Y及びZが水素または保護基であり、少なくともX、Y及びZのうち一つ以上の保護基である。
【0020】
水溶液の一つの実施形態において、糖類は単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類、または異なる単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び/又は多糖類の混合物である。多糖類は好ましくは最大2500個以下の単糖類単位体、好ましくは500個以下の単糖類単位体を含有するかまたはそれからなる。
【0021】
単糖類はトリオース、例えば、グリセルアルデヒド及びグリセロン、テトロース、例えば、エリトロース、トレオース、エリトルロース、ペントース、例えば、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、リブロース及びキシルロースまたはヘキソース、例えば、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、プシコース、フルクトース、ソルボース及びタガトースから選択することができ、概ね90乃至200Dの分子量の糖類として定義することができる。
【0022】
用語糖類は単糖類の誘導体、例えば、アミノグリコシド、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミンであって、異なる程度でスルフェート化されるかまたはそうではない可能性があるものから選択することができる。
【0023】
単糖類はさらに尿糖、例えば、グルクロン酸またはイズロン酸から選択されることができる。
【0024】
二糖類は還元性α−グルカントレハロース、コージビオース、ニゲロース、マルトース、または他の二糖類、例えば、スクロース、ラクツロース、ラクトース、セロビオース、キトビオース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ルチノース、ルチヌロース、キシロビオースから選択することができ、150乃至400Dの分子量の糖類として定義することができる。
【0025】
用語二糖類はアミノグルコシド及び単糖類からなるグリコサミノグリカン−二糖類であって、異なる程度でアセチル化されるかまたはスルフェート化されることができるものをさらに含むことができる。
【0026】
オリゴ糖は前記言及した糖類のオリゴマー、線状または分岐状ホモ−多糖類の制限された加水分解産物、例えば、アミロース、アミロペクチン、フルクタン、例えば、イヌリン、グルカン、ガラクタン及びマンナン、セルロース、アラビアガム、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン及びヘミセルロース、ヘテロ−多糖類の制限された加水分解産物、例えば、ヘミ−セルロース、アラビノキシロース、またはペクチンまたは混合多糖類の制限された加水分解の産物、例えば、デンプンから選択される三糖類またはさらに高い重合度の糖類であり得る。
【0027】
一つの実施形態において、糖類がグルカンである。グルカンは線状または分岐状グルカンであり得る。
グルカンはスクロース、マルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、トレハロース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、β,β−トレハロース、α,β−トレハロース、ゲンチオビオース、メリビオース、マルトデキストリン、イコデキストリン、線状または分岐状グルカンの制限された加水分解で得ることができるオリゴマー、例えば、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、またはプルランの制限された加水分解で得ることができるオリゴマーから選択されることができる。
【0028】
さらにまた、特別な実施形態において、糖類が還元性アルファ−グルカンである。
還元性アルファ−グルカンはマルトース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトデキストリン、イコデキストリン、線状または分岐状グルカンの制限された加水分解で得ることができるオリゴマー、例えば、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、またはプルランの制限された加水分解で得ることができるオリゴマーから選択することができる。
【0029】
さらに、グルカンはこれに制限されないが、イソマルトトリオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース;マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、好ましくは異なる分子量の、マルトデキストリン、またはアルファグルカンの他の加水分解産物、例えば、デキストラン、グリコーゲン、プルラン、紅藻デンプン、及びデンプン、例えば、アミロース及びアミロペクチン、及びこれらの混合物として、好ましくは分子量が300D乃至300KDであることを例示として挙げることができる。
【0030】
マルトデキストリンは好ましくは95%超過のα1−4結合及び5%未満のα1−6結合を提示する、DE(デキストロース当量)が3乃至20である糖類の混合物として定義することができる。
【0031】
マルトデキストリンの一例示はDE(デキストロース当量)が16乃至19であるマルトデキストリンである。
マルトデキストリンのさらに他の例示はDEが4乃至6であるマルトデキストリンである。
【0032】
デキストランはα−1,6連結による直鎖からなるグルコース−オリゴマーの混合物であって、α−1,3連結に分枝が存在することができるものと定義されることができる。
デキストランの一例示は重量平均分子量が2.5乃至4kDであるデキストランである。
デキストランのさらに他の例示は重量平均分子量が4乃至16kD、好ましくは8乃至12kD、さらに好ましくは、約10kDであるデキストランである。
デキストランのさらに他の例示は重量平均分子量が40乃至100kD、好ましくは50乃至90kD、さらに好ましくは、60乃至80kDであるデキストランである。
【0033】
還元性アルファグルカン加水分解物に対する一例示は重量平均分子量が80乃至120kDであるグリコーゲンである。
還元性アルファグルカン加水分解物に対するさらに他の例示は重量平均分子量が100乃至200kDであるプルランである。
【0034】
本発明と連係して平均分子量は好ましくは“光散乱及び屈折率検出器が共にあるゲル透過クロマトグラフィー(GPC−RI−MALLSシステム)”の方法で測定される。
【0035】
デキストロース当量(DE)は乾燥量基準の百分率で示す、デキストロース(a.k.a.グルコース)に対する糖産物に存在する還元糖の量の測定値である。例えば、DEが10であるマルトデキストリンはデキストロース(DEが100である)還元力の10%を有するはずである(https://en.wikipedia.org/wiki/Dextrose_equivalent)。
【0036】
多糖類加水分解物、例えば、グルカンの加水分解物、好ましくは還元性アルファグルカン、例えば、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストランまたはプルランがそのような多糖類の制限された加水分解で得ることができる。
【0037】
オリゴ糖類は前記言及した糖類のオリゴマー、線状または分岐状ホモ−多糖類の制限された加水分解産物、例えば、アミロース、アミロペクチン、フルクタン、例えば、イヌリン、グルカン、ガラクタン及びマンナン、セルロース、アラビアガム、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、デキストラン、及びヘミセルロース、ヘテロ−多糖類の制限された加水分解産物、例えば、ヘミ−セルロース、アラビノキシロース、またはペクチン、または混合多糖類の制限された加水分解産物、例えば、デンプンから選択されることができる。
【0038】
用語“糖類”はまた、糖類の誘導体も含む。したがって、糖類は糖類の誘導体、例えば、酸化された糖類、例えば、糖酸またはさらに他の酸性糖類、例えば、硫酸エステル含有糖類、デオキシ−糖類、アセチル化された糖類またはアミル化糖類、及び相応するホモ−及びヘテロ−糖類があり得る。糖類の他の誘導体は酸化された糖類、例えば、糖酸、またはさらに他の酸性糖類、例えば、糖を含む硫酸エステル基、デオキシ−糖類、アセチル化された糖またはアミル化された糖、及び対応するホモ−及びヘテロ−糖類である。
【0039】
一つの実施形態において、糖類はグルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、そのホモ−オリゴマー/重合体、そのヘテロ−オリゴマー/重合体またはこれらの混合物から選択される。
【0040】
さらに他の実施形態において、糖類はグルコース、イコデキストリンまたはこれらの混合物から選択される。
【0041】
異なる濃度で少なくとも一つ以上の糖類が採用されることができる。一つ以上の糖類、即ち、一つ以上の類型の糖類が存在する場合、濃度は溶液に存在する全ての糖類の総濃度を指称する。
【0042】
本願の詳細な説明で濃度が重量百分率で提供されると、1重量%が10g/Lに該当する。
少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧0.02重量%(200mg/L)で存在することができる。このように低い濃度でもスチルベノイド安定性を強化するものと示された。
少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧0.75重量%(7.5g/L)で存在することができる。前記濃度はスチルベノイド安定性及び/又はスチルベノイド可溶性を強化するものと示された。
少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧2.4重量%で存在することができる。前記濃度はスチルベノイド安定性及び/又はスチルベノイド可溶性をさらに強化するものと示された。
少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧5重量%で存在することができる。前記濃度はスチルベノイド安定性及び/又はスチルベノイド可溶性をさらに一層強化するものと示された。
少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧7.5重量%(75g/L)で存在することができる。前記濃度はスチルベノイド安定性及びスチルベノイドの可溶性を強化するものと示された。
少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧20重量%(200g/L)で存在することができる。前記濃度はスチルベノイド安定性及びスチルベノイドの可溶性をさらに強化するものと示された。
少なくとも一つ以上の糖類濃度の上限は好ましくは飽和濃度である。さらに他の可能な上限は、本願明細書における任意のさらに低い下限と組み合わされることができ、45%、40%、30重量%である。
【0043】
オリゴ糖または多糖類の分子量は広範囲に可変的である:
例えば、食品添加剤としてオリゴ糖類は普通1乃至20KDの規模で適用されるが、これは本発明を制限しない。
【0044】
イコデキストリンは、マルトデキストリンの一つの類型であるかまたはマルトデキストリンから誘導されることができるが、多様な鎖長の(350乃至50kDの分子量に該当する2乃至300個の連結されたグルコース分子)重合体の多分散系混合物であり、その分子量は数平均(Mn)及び重量平均(Mw)分子量の二つを特徴とする。イコデキストリンに対する数平均分子量Mnは5000乃至6500Daの範囲であり、重量平均分子量Mwは13000乃至19000Daの範囲である(Garcia−Lopez等、Perioneal Dialysis International,Vol.29,p370)。
【0045】
本出願の範囲内で、オリゴ糖類及び多糖類は3乃至5000個の単糖類単位体、好ましくは3乃至500個の単糖類−単位体、さらに好ましくは、3乃至300個の単糖類−単位体からなる糖類を含む。
さらに他の定義で、オリゴ糖及び多糖類は250D乃至1000kD、好ましくは250D乃至50KDの分子量を有する。
好ましくは、オリゴ糖が3乃至20個の単糖類−単位体からなる糖類を意味する。好ましくは、多糖類は21乃至5000個の単糖類−単位体からなる糖類を意味する。
【0046】
用語“乃至”は特別な言及がなければ各範囲の下限及び上限を含むことを意図とする。したがって、“X乃至Y”で範囲が開示されると、X及びYが含まれる。
【0047】
多糖類の分子量は不均一である。例えば、ワックス質トウモロコシ由来のデンプンのMw(Berry方法)は2.27x10(8)Daであり、ワックス質米の場合には8.9x10(7)Da、キャッサバの場合5.7x10(7)Da、Hylon Vの場合2.7x10(7)Da、Hylon VIIの場合4.8x10(6)Da、ジャガイモアミロースの場合1.9x10(5)Daである(Yokoyama等、Cereal chemistry,volume:75,530)。
“パワー−ドリンク”のような特定適用では700KD以下の大きさの人工多糖類を広告している。
【0048】
一つの実施形態において、一つ以上の糖類が90D乃至500Dの分子量を有している。(1D=1g/mol)。前記分子量の範囲は本願の詳細な説明に提供された各濃度と組み合わされることができる。
【0049】
さらに特別な実施形態において、分子量が90D乃至500Dである一つ以上の糖類は総濃度≧最小値0.02%(200mg/L)で存在してスチルベノイド可溶性及び/又は安定性を強化する。
【0050】
さらに特別な実施形態において、分子量が90D乃至500Dである一つ以上の糖類は総濃度≧最小値0.75%(7.5g/L)で存在し、スチルベノイド可溶性及び/又は安定性を強化する。
【0051】
さらに特別な実施形態において、分子量が90D乃至500Dである一つ以上の糖類は総濃度≧最小値7.5%(75g/L)で存在し、スチルベノイド可溶性及び安定性を強化する。
【0052】
さらに他の実施形態において、少なくとも一つ以上の糖類の分子量が350D乃至50kDである。
【0053】
さらに特別な実施形態において、分子量が350kD乃至1000kD、好ましくは350D乃至50kDである少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧0.02重量%(200mg/L)で存在し、スチルベノイド可溶性及び/又は安定性を強化する。
【0054】
さらに特別な実施形態において、分子量が350D乃至1000kD、好ましくは350D乃至50kDである少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧0.2重量%(2g/L)で存在し、スチルベノイド可溶性及び/又は安定性を強化する。
【0055】
さらに特別な実施形態において、分子量が350D乃至1000kD、好ましくは350D乃至50kDである少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧2重量%(20g/L)で存在し、スチルベノイド可溶性及び/又は安定性を強化する。
【0056】
さらに特別な実施形態において、分子量が350D乃至1000kD、好ましくは350D乃至50kDである少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧5重量%(50g/L)で存在し、スチルベノイド可溶性及び/又は安定性を強化する。
【0057】
さらに特別な実施形態において、分子量が350D乃至1000kD、好ましくは350kD乃至50kDである少なくとも一つ以上の糖類が総濃度≧7.5重量%(75g/L)で存在し、スチルベノイド可溶性及び/又は安定性を強化する。
【0058】
下記の実施形態は、スチルベノイド濃度に関するものである。本願の明細書で言及される任意のスチルベノイド濃度(または濃度範囲)は本願の明細書で言及される任意の糖類濃度(または濃度範囲)と組み合わされることができることを理解するはずである。
【0059】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも一つ以上のスチルベノイドは0.1mg/L乃至40mg/Lの総濃度で存在する。
【0060】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも一つ以上のスチルベノイドは総濃度≧0.15mg/Lで存在する。
【0061】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも一つ以上のスチルベノイドは総濃度≧1.5mg/Lで存在する。
【0062】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも一つ以上のスチルベノイドは総濃度≧15mg/Lで存在する。
【0063】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも一つ以上のスチルベノイドは0.1mg/L乃至100mg/Lの総濃度で存在する。そのような濃度では生物適合性増加に到達することができると示された。そのような濃度は医学的適用に特に適している。
【0064】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも一つ以上のスチルベノイドが10mg/L乃至1600mg/Lの総濃度で存在する。そのような濃度は急性の医学的病態の治療を可能にするものと示された。そのような濃度は医学的適用に特に適している。
【0065】
本発明の一つの実施形態において、少なくとも一つ以上のスチルベノイドが10mg/L乃至飽和の総濃度で存在する。そのような濃度は食品添加物または原液溶液に特に適している。
【0066】
少なくとも一つ以上のスチルベノイドが0.001mg/L乃至5g/L、好ましくは0.001mg乃至1g/l、さらに好ましくは、0.01乃至500mg/Lの濃度で存在することができる。g/Lで提供されるスチルベノイドに対する前記濃度及び他の濃度は、一つ以上のスチルベノイドが存在する場合、全てのスチルベノイドの総濃度と関係がある。
【0067】
特に、医学的適用の場合、最終適用時、スチルベノイド濃度が異なる目的に応じて合わせられることができる。水基材の適用、例えば、局所的細胞毒性または炎症ストレスの減少時、生物適合性強化のためには、0.01mg/L乃至500mg/Lの濃度が好ましい。
【0068】
特に、下記の全身及び/又は急性病態治療のためにスチルベノイドを全身に伝達するように作用するためには:糖尿病、炎症性疾患、例えば、心血管系疾患、COPD、リウマチ関節炎、消化管炎症疾患、例えば、胃炎及びIBD、皮膚炎症疾患、例えば、皮膚炎、自己免疫疾患、例えば、ループス、異なる種類の原発性及び/又は続発性癌、退行性疾患、例えば、神経退行性疾患、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病及びハンチントン病または硬化性神経変性疾患、繊維形成症、例えば、嚢胞性繊維症または臓器機能疾患、例えば、残留腎臓活性の減少、さらに高い濃度範囲、例えば、リットル当り0.1mg乃至5gのスチルベノイド濃度が好ましい。
【0069】
これは0.01mg/L乃至500mg/Lのさらに低い濃度が記載した全身性または急性病態に対してそのような有益な有効性をさらに一層よく示すことができるという点を排除しない。
【0070】
用語“乃至”は特別な言及がなければ各範囲の下限及び上限を含むことを意図とする。したがって、“X乃至Y”で範囲が開示されると、X及びYが含まれる。
少なくとも一つ以上のスチルベノイドは0.02μΜ乃至315μΜ、好ましくは0.07μΜ乃至100μΜ、さらに好ましくは、0.2μΜ乃至50μΜの濃度で存在することができる。前記モル濃度は、一つ以上のスチルベノイドが存在する場合、各個別スチルベノイドに関するものである(M=Mol/L)。
【0071】
追加の実施形態において、スチルベノイドは0.05乃至60μΜ、好ましくは0.05乃至40μΜ、さらに好ましくは、0.05乃至20μΜの濃度で存在する。前記濃度及びμΜで提供されるスチルベノイドの他の濃度は、一つ以上のスチルベノイドが存在する場合、全てのスチルベノイドの総濃度に関するものである。
【0072】
さらに他の実施形態において、スチルベノイドは0.001mg/L乃至5g/L、好ましくは0.001mg/L乃至1g/l、さらに好ましくは、0.01乃至500mg/Lの濃度で存在することができる。前記濃度、及びg/Lで提供されるスチルベノイドの他の濃度は、一つ以上のスチルベノイドが存在する場合、各個別スチルベノイドの総濃度に関するものである。
【0073】
少なくとも一つ以上のスチルベノイド濃度の上限は好ましくは飽和濃度である。さらに他の可能な上限は、本願の明細書における任意のさらに低い下限と組み合わされることができ、1600mg/L、または1200mg/Lである。
【0074】
水溶液中の特定糖類の飽和濃度になる時までの糖類の濃度は0.025%である。
【0075】
さらに他の実施形態において、糖類の濃度は(全体溶液の)0.05乃至50重量%、好ましくは0.24乃至24重量%、さらに一層好ましくは0.5乃至15重量%である。
【0076】
さらに他の実施形態において、糖類の濃度は(全体溶液の)15乃至50重量%、好ましくは24乃至50重量%である。
【0077】
さらに他の実施形態において、糖類の濃度は(総溶液の)4.0乃至50重量%、好ましくは4.0乃至24重量%、さらに好ましくは、7.0乃至15重量%である。
【0078】
さらに他の実施形態において、糖類の濃度は(総溶液の)2.0乃至50重量%、好ましくは2.0乃至24重量%、さらに好ましくは、2.0乃至15重量%、さらに一層好ましくは2.0乃至7重量%である。
【0079】
さらに他の実施形態において、糖類の濃度は(総溶液の)0.05乃至24重量%、好ましくは0.2乃至15重量%、0.5乃至7重量%、または0.5乃至2重量%である。
【0080】
一実施形態において、本発明の水溶液は6乃至8、好ましくは6.8乃至7.5の生理学的中性pHを有する。そのようなpHでは本発明の水溶液でスチルベノイドが安定化されることができるものと
現れた。
【0081】
一実施形態において、本発明の水溶液が1乃至6の酸性pHを有する。そのようなpHはスチルベノイドの更なる安定化に適している。しかしながら、pHが3乃至3.5であればスチルベノイド、特にスチルベンレスベラトロール及びピセイドを有意に安定化する。これは酸性化されグルコース溶液、例えば、多数腹膜透析溶液に通常適用されることからスチルベノイドの安定化を可能にするので重要である。pH3調整のExtraneal(登録商標)溶液がレスベラトロールを十分に安定化し、スチルベノイドの分解なしにそのような溶液の加熱滅菌を可能にすることをさらに示している。
【0082】
さらに他の局面において、本発明は下記を含む、水中でのスチルベノイドの可溶性増加方法に関するものである:
−少なくとも一つ以上の糖類を水に溶解させる、
−スチルベノイドを水に溶解させる。
【0083】
本発明の方法に対して前記及び下記の開示内容は、特に糖類、スチルベノイド、濃度、分子量及びpHを明白に言及する。前記及び本明細書の任意の部分で言及される全ての特徴が本発明の方法に採用されることができる。
【0084】
本発明の追加説明及び実施形態が以後に提供される。
【0085】
本発明は水、スチルベノイド、及び単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び/又は多糖類、特に栄養的及び/又は生物学的不活性単糖類、オリゴ糖類または多糖類からなる溶液及びそれを含有する溶液に関するものである。
【0086】
本発明はスチルベノイドの可溶化及び安定化のために前記糖類を水基材の食品及び医薬へ使用することに関するものである。溶液はさらに一つ以上のpH緩衝剤及び他の溶質を含むことができる。
【0087】
本発明で、スチルベノイドの可溶性はアミノ酸によっても増加することができる。したがって、本発明はまた溶解された状態で下記を含有する水溶液を記載する。
−少なくとも一つ以上のスチルベノイド、
−少なくとも一つ以上のアミノ酸。
【0088】
アミノ酸はまた追加構成成分として前記記載されているスチルベノイド及び糖類を含有する溶液に添加することができる。
【0089】
一つ以上のアミノ酸が個別的にまたは混合物として、治療液に対しては0.01乃至10%の濃度で、または高濃度溶液が剤形化されなければならない場合にはさらに高い濃度で存在することができる。
【0090】
本発明はスチルベノイドのエマルジョン、懸濁液、分散液、複合体またはキレート化物のような組成物については記載せずに、単に単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び/又は多糖類添加によるスチルベノイドの増加した水可溶性だけを扱うという点を強調する。
【0091】
スチルベノイドは基本構造として構造C6−C2−C6(スチルベン)に該当し、フェニルプロパノイド系に属する物質、特にポリフェノール、特に自然発生ポリフェノールである。広く研究されたスチルベンはレスベラトロール(トランス−3,5,4’−トリヒドロキシスチルベン)、ピノシルビン、ピセアタンノール、プテロスチルベン、及びグリコシド、ピセイド(レスベラトロール−3−O−β−モノ−D−グルコシド、トランス−3,5,4’−トリヒドロキシスチルベン−3−O−β−D−グルコピラノシドとも命名される)である。
【0092】
本発明の溶液は生理学的条件の確立のための他の成分、活性薬剤学的成分(API)、または栄養価または風味を加える成分をさらに含有することができる。
【0093】
溶液はそのまま、または他の製品と混合されて使用されることができる。
本発明の溶液はスチルベノイドの水基材食品及び医薬への可溶化及び安定化に利用されることができる。溶液は一つ以上のpH緩衝剤及び他の溶質をさらに含有することができる。
【0094】
追加局面において、本発明は医薬及び栄養、特に非経口栄養分野における本願に記載された溶液の用途に関するものである。
【0095】
本発明は医薬としての用途または治療療法または手術における用途のための水溶液を提供する。
【0096】
特に、本発明は腹膜透析、腹膜栄養、及び下記を含むがこれに制限されない腹膜疾患の治療に使用するための本願に記載された水溶液を提供する:腹膜透析合併症、腹水、腹膜炎、他の腹膜炎症性障害、例えば、家族性地中海熱、及び後腹膜炎症、腹膜感染、原発性及び続発性の陽性及び悪性腹膜腫瘍及び癌、または腹膜に影響を与え得る他の疾患、例えば、上腸間膜動脈症候群、脾臓損傷及び腹腔内出血、破裂した子宮外妊娠、手術前、途中または以後の腹膜治療。
【0097】
溶液は経口、頬側、鼻腔、眼球内、深耳、喉頭、胃、腸、毛髪毛細血管、爪、真皮、舌下、膣内、直腸内、腹腔内、静脈内、または他の皮下適用により局所的または全身的治療に適用することができる。
【0098】
溶液はスチルベノイド含量を増やした食品添加剤として液体及び/又は固体食品に適用することができる。
【0099】
溶液はスチルベノイドの安定性及び/又は可溶性をさらに変更するpH緩衝剤または他の添加剤を含有することができる。
【0100】
溶液の製造:
可溶性強化糖類または親水性スチルベノイドの可溶化は疎水性スチルベノイドの可溶化以前にまたはそれと同時に実施される。スチルベノイドの可溶化は撹拌または超音波処理または他の溶解加速化技法の存在または不在下に加熱/加圧調理または滅菌を含む可溶化を許容する任意の温度で起こることができる。
【0101】
続いて、スチルベノイド及び糖類の濃度の特定組み合わせが記載される。下記の実施形態において、好ましいスチルベノイドはレスベラトロールまたはピセイドである。a)及びb)で、レスベラトロールが好ましい。c)及びd)で、ピセイドが好ましい。
【0102】
好ましい単糖類はグルコースである。好ましいオリゴ糖はポリグルコース、特にマルトデキストリン、例えば、イコデキストリンである。
【0103】
本発明でスチルベノイドの濃度は室温、好ましくは20乃至23℃、さらに好ましくは、22℃で1時間撹拌後に測定される。したがって、スチルベノイド濃度は室温で1時間撹拌後に測定される温度に該当する。
【0104】
濃度はスチルベノイド及び一つ以上の糖類を含有する水溶液で測定される。具体的に明示されない場合、または特に具体的に言及されなければ、撹拌時間は1時間である。一部の場合、他の撹拌時間、例えば、12時間とされる。1時間撹拌後、可溶性が絶対値濃度と同等となることができないという事実は、実施例で1時間撹拌後10乃至15mg/Lのレスベラトロールの濃度が12時間後には24mg/Lを超過するように進展するという事実で説明される。さらに、実施例は、特に低い糖類濃度で、1時間後の可溶性が1乃至2℃のRT温度変動、試験溶液の体積及び撹拌速度で有意に可変的であり得るという点を見せている。最強変動は蒸留水中のレスベラトロールの可溶性に対して1乃至6.5mg/mlの値で報告された。糖類濃度を増加させると、さらに少ない変動が観察される。これは薬学的剤型物において非常に有益である。
【0105】
a)スチルベノイド、好ましくはレスベラトロール、及び単糖類
単糖類 飽和時まで0.024重量%
スチルベノイド 6乃至15mg/L(1時間撹拌)
スチルベノイド 6乃至30mg/L(12時間撹拌)
【0106】
b)スチルベノイド、好ましくはレスベラトロール、及び多糖類、好ましくはイコデキストリン
多糖類 0.024乃至7.5重量%
スチルベノイド 6乃至120mg/L
さらに好ましくは、:
多糖類 0.75乃至7.5重量%
スチルベノイド 15乃至120mg/L
【0107】
c)スチルベノイド及び単糖類
単糖類 0.024乃至47重量%
スチルベノイド 170乃至500mg/L
さらに好ましくは、:
単糖類 0.75乃至47重量%
スチルベノイド 190乃至500mg/L
【0108】
d)スチルベノイド及び多糖類
多糖類: 0.024乃至7.5%
スチルベノイド 270乃至1600mg/L
さらに好ましくは、:
多糖類: 0.75乃至7.5重量%
スチルベノイド 320乃至1600mg/L
【0109】
本発明で分子量は好ましくはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、好ましくは光散乱及び屈折率検出器が共にあるゲル透過クロマトグラフィー(GPC−RI−MALLS)で測定される。さらに詳細であるが、非制限的な方法が実施例に提示されている。重合度に対応する多数の多糖類単位体の個数は前記方法で決定することができる。