特許第6505324号(P6505324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイエリッシェ モトーレン ヴェルケ アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6505324-バイポーラプレートを製造する方法 図000002
  • 特許6505324-バイポーラプレートを製造する方法 図000003
  • 特許6505324-バイポーラプレートを製造する方法 図000004
  • 特許6505324-バイポーラプレートを製造する方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6505324
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】バイポーラプレートを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0228 20160101AFI20190415BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20190415BHJP
   H01M 8/0247 20160101ALI20190415BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALI20190415BHJP
   H01M 8/0254 20160101ALN20190415BHJP
【FI】
   H01M8/0228
   H01M8/0206
   H01M8/0247
   H01M8/0267
   !H01M8/0254
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-528269(P2018-528269)
(86)(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公表番号】特表2018-536262(P2018-536262A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】EP2016078024
(87)【国際公開番号】WO2017102238
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2018年5月31日
(31)【優先権主張番号】102015225536.0
(32)【優先日】2015年12月17日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592245937
【氏名又は名称】バイエリッシェ モトーレン ヴェルケ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ハーゼ
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−227019(JP,A)
【文献】 特開2016−048620(JP,A)
【文献】 特開2009−252581(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/013747(WO,A1)
【文献】 特開2009−048775(JP,A)
【文献】 特開2009−004158(JP,A)
【文献】 特開昭63−058769(JP,A)
【文献】 特開昭61−279068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタック用のバイポーラプレート(1)を製造する方法であって、
金属薄板製の2つのハーフプレート(3)を準備し、該ハーフプレート(3)を互いに上下に重ね合わせて前記バイポーラプレート(1)を形成するステップであって、
前記ハーフプレート(3)は前記金属薄板の変形によって異形成形されており、かつ
互いに上下に重ね合わせられた前記両方のハーフプレート(3)は、異形成形に基づいて少なくとも1つの接触領域(4)において接触していて、かつ少なくとも1つの非接触領域(5)において接触していない、
ステップと、
前記ハーフプレート(3)を互いに重ね合わせかつ結合する前に、少なくとも1つのハーフプレート(3)の前記非接触領域(5)において少なくとも1つの第1の切断(11)を実施するステップと、
前記両方のハーフプレート(3)を互いに重ね合わせかつ結合するステップと、
互いに重ね合わせた後に、前記接触領域(4)において、前記両方のハーフプレート(3)を通して少なくとも1つの第2の切断(12)を実施するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記バイポーラプレート(1)は、少なくとも1つのポート(2)を有し、個々の前記ポート(2)の輪郭を、前記少なくとも1つの第1の切断(11)と前記少なくとも1つの第2の切断(12)とによって生ぜしめる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記両方のハーフプレート(3)を結合時に互いに対して押圧し、圧力を少なくとも1つの押圧領域において加え、該押圧領域を、前記第2の切断(12)によって少なくとも部分的に切り離す、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の切断(11)を機械式の切断によって実施し、前記ハーフプレート(3)は、前記機械式の切断時に、前記ハーフプレート(3)の形状に相当する成形された支持工具(9)上に位置しており、これによって前記ハーフプレート(3)は、全面的に前記支持工具(9)上において支持されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
異形成形のための前記金属薄板の変形と、前記少なくとも1つの第1の切断(11)のための機械式の切断とを、1つの共通の工具において実施する、請求項記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の切断(11)を、熱による切離しによって実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2の切断(12)を、機械式の切断によって実施し、かつ/または前記少なくとも1つの第2の切断(12)を、熱による切離しによって実施する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタック用のバイポーラプレートを製造する方法に関する。本発明はさらに、本発明のように製造されたバイポーラプレートを備えた燃料電池スタック、および燃料電池スタックが使用される車両に関する。
【0002】
燃料電池スタックにおいては、通常、複数のバイポーラプレートが互いに上下に積層される。個々のバイポーラプレートの両方の外側面は、燃料電池のアノード側およびカソード側を形成している。ここで観察されたバイポーラプレートは、2つのハーフプレートから形成される。両方のハーフプレートは、それぞれ金属薄板から切断された部材である。両方のハーフプレートは、変形によって異形成形されており、つまり両方のハーフプレートは、平らな金属薄板ではなく、凸部および凹部を備えた立体的な部材である。バイポーラプレートの両方の外側面の異形材は、例えば水素および空気である反応物質を分配するために使用される。さらに異形材によって、両方のハーフプレートの間に中空室を形成することができる。これらの中空室は、使用されないままであっても、または例えば冷媒を貫流させるため、ひいてはバイポーラプレートを冷却するために使用されてもよい。
【0003】
個々のハーフプレートは、その外周部において金属薄板から切り出されねばならない。さらにいわゆるポートが、切断によってバイポーラプレートに形成されねばならない。複数のバイポーラプレートを積層して1つの燃料電池スタックを形成する場合に、これらのポートは整合し、ひいてはすべてのバイポーラプレートにわたって延びる通路を形成する。これらの通路もしくはポートを介して、反応物質および場合によって冷媒は、個々のバイポーラプレートに分配される。
【0004】
従来技術では、個々のハーフプレートまたはバイポーラプレートの切断は、機械式の切断または熱による切離しを用いて行われる。本発明の枠内においては、「切断」という上位概念は、機械式の切断と熱による切離しの両方に対して使用される。
【0005】
機械式の切断時における欠点は、異形成形されたハーフプレートの変形を生ぜしめるおそれがあるということである。したがって多くの場合、熱による切離し、特にレーザ切断が用いられる。しかしながらレーザ切断には、レーザが1箇所にしか焦点合わせできないという欠点がある。焦点の外側においては、ばり形成が高められる。
【0006】
両方のハーフプレートは、通常、互いに重ね合わせられ、かつ溶接される。溶接時には、特に溶接シームの近傍には、両方のハーフプレートを互いに対して押圧するため、もしくは両方のハーフプレートのうちの一方を押さえるために十分な面積が存在していなくてはならない。しかしながらハーフプレートが既に完全に裁断されている場合、特に画定された溶接シームの領域には、押圧するためもしくは押さえるために十分な面積が、もはや存在していない。
【0007】
本発明の課題は、効果的な、特に迅速な、材料を節減する、かつプロセス確実な製造を可能にする、バイポーラプレートを製造する方法を提供することである。
【0008】
したがってこの課題は、燃料電池スタック用のバイポーラプレートを製造する方法によって解決される。この方法は、下記のステップを含む。
(i)最初に、金属薄板製の2つのハーフプレートが準備される。金属薄板は、特に、任意の金属から成っている。特に、本発明に係る方法は、ハーフプレートの準備のみならず、金属薄板からのハーフプレートの切断および/または異形材を製造するための金属薄板の変形をも含むことが提案されている。
【0009】
両方のハーフプレートは、該ハーフプレートが互いに上下に重ね合わせられた状態においてバイポーラプレートを生ぜしめるように形成されている。両方のハーフプレートは、異形成形されている。ハーフプレートの異形材は、金属薄板の変形によって生ぜしめられている。「異形材」というのは、ハーフプレートが平らな金属薄板ではなく、凸部および凹部を備えた立体的な部材であることを意味する。
【0010】
完成状態において、つまり両方のハーフプレートが、所望のバイポーラプレートに対応して互いに重なり合っている場合に、バイポーラプレートの少なくとも1つのいわゆる接触領域と、少なくとも1つの非接触領域とが存在している。接触領域において両方のハーフプレートは、互いに直接重なり合っており、かつ相互に接触している。非接触領域においては、両方のハーフプレートの間に中空室が残されている。バイポーラプレート内におけるこの中空室は、使用されないままであっても、または例えば媒体の貫流のために使用されもよい。
【0011】
(ii)ここに記載した、バイポーラプレートを製造する方法の途中において、ハーフプレートの切断が行われねばならない。この「切断」というのは、特に、
・金属薄板からの個々のハーフプレートの切出し、および/または
・例えばハーフプレートの縁部における、後で行われるハーフプレートの裁断、および/または
・ポートを形成するための材料の切出し、および/または
・両方のハーフプレートの結合後における完成したバイポーラプレートの切断、および/または
・両方のハーフプレートのうちの一方のハーフプレートを貫く貫流領域の切出し
を含む。
【0012】
本発明に係る方法においては、両方のハーフプレートが互いに重ね合わせられ、かつ互いに結合される前に、両方のハーフプレートのうちの少なくとも一方のハーフプレートの非接触領域において少なくとも1つの第1の切断が行われることが提案されている。ここで「第1の切断」という記載は、同時にまたは相前後して非接触領域において、しかしながらいずれにせよ両方のハーフプレートの互いの重ね合わせおよび結合の前に行われるすべての切断のことを意味している。
【0013】
特にこの非接触領域においては、ハーフプレートは、互いの重ね合わせ後では、不良にしか切断することができない。つまり非接触領域において、両方のハーフプレートは互いの重ね合わせ後に互いに間隔をおいて位置している。その結果、バイポーラプレートは機械式の切断時に変形してしまう。レーザ切断の使用時には、焦点を両方のハーフプレートに対して同時に向けることができない。両方のハーフプレートは互いにあまりに大きく間隔をおいて位置しているからである。このことはまた、ばり形成を高めることになる。
【0014】
(iii)少なくとも1つの第1の切断の実施後に、両方のハーフプレートを互いに重ね合わせ、かつ結合する。このとき両方のハーフプレートは、特に互いに溶接され、かつ/または接着され、かつ/またはろう接される。
【0015】
(iv)互いに重ね合わせた後、好ましくは結合した後に、少なくとも1つの第2の切断が行われる。第2の切断は、接触領域において両方のハーフプレートを通して実施される。第2の切断のためには、機械式の切断および熱による切離し方法を使用することができる。第2の切断は接触領域において行われるので、ここでは両方のハーフプレートは互いに直接重なり合っている。したがって機械式の切断時に、バイポーラプレートの不所望の変形が生じることはない。またレーザ切断時における焦点のための領域も、比較的強く限定されている。ハーフプレートは、接触領域において互いに間隔をおいて位置していないからである。
【0016】
本発明に係る方法においては、少なくとも1つの第2の切断は、両方のハーフプレートの接触領域において、かつ両方のハーフプレートを通して行われることが提案されている。ここで「第2の切断」という記載は、同時にまたは相前後して接触領域において、しかしながらいずれにせよ両方のハーフプレートの互いの重ね合わせおよび結合後に行われるすべての切断のことを意味している。
【0017】
特に好ましくは、バイポーラプレートの製造時に、両方のハーフプレートの互いの重ね合わせおよび結合後にもっぱら接触領域においてだけ切断が行われることが提案されている。
【0018】
既に冒頭において記載したように、バイポーラプレートは、通常、少なくとも1つのポートを有している。燃料電池スタックを得るために複数のバイポーラプレートを積層する場合には、複数の対応するポートが整合し、1つの通路を形成する。これらの通路を介して、反応物質および場合によっては冷媒が、個々のバイポーラプレートに分配される。非接触領域における第1の切断および接触領域における第2の切断の実施を伴う、ここに記載した提案形式は、特にポートの切出しのために使用される。例えば好ましくは、個々のポートの輪郭を、少なくとも1つの第1の切断と少なくとも1つの第2の切断とによって切断することが提案されている。
【0019】
両方のハーフプレートを結合する時、特に溶接する時に、両方のハーフプレートは互いに対して押圧されねばならない。そのために両方のハーフプレートのうちの少なくとも1つのハーフプレートは、他方のハーフプレートにおいて押さえられねばならない。
【0020】
両方のハーフプレートを押圧する時に相応の工具が、少なくとも1つの押圧領域に押し付けられる。好ましくは、この押圧領域を第2の切断によって切り離すことが提案されている。このようにすると第2の切断の実施後に、押圧領域は、少なくとも部分的にバイポーラプレートの一部ではなく、廃棄物である。
【0021】
特に、少なくとも1つの押圧領域は、少なくとも1つのポートに、つまりポートを形成するために切り出される領域に位置している。つまりポートを切断するための切断は、つまり意識的に、少なくとも1つの第1の切断後に、押圧領域のためになお十分な材料が利用できるように実施されている。このような提案は、バイポーラプレートの構成時における比較的多くのクリアランスを可能にする。特に、ポートの間の間隔およびポートを取り囲む縁部を、極めて細く形成することができる。これらの領域は、もはや必ずしも押圧領域として必要とされないからである。
【0022】
少なくとも1つの第1の切断のために、特にすべての第1の切断のために、好ましくは、機械式の切断が提案されている。機械式の切断は、迅速で、安価で、かつプロセス確実な製造を可能にする。好ましくは、ここでは機械式の切断時に、支持工具が使用される。支持工具にはハーフプレートが全面的に載置されている。そのために支持工具は、ハーフプレートの異形材に相応して成形されている。このことは、支持工具がハーフプレートの形状と合致した凹部および凸部を有していることを意味する。第1の切断の直ぐ周囲においてだけ、支持工具は切断領域を有しており、これらの切断領域においてハーフプレートは、載置されていない。そしてこれらの切断領域において、相応の切断工具を進入させることができる。
【0023】
異形成形された支持工具の使用によって、機械式の切断時における異形成形されたハーフプレートの不所望の変形が回避される。
【0024】
好ましくは、ハーフプレートの異形材を製造するための金属薄板の変形と、少なくとも1つの第1の切断のための機械式の切断とを、1つの共通の工具において実施することが提案されている。この両方の方法ステップは、このとき特に同時に、例えばフォローオン(Folgeverbund)で実施される。この工具は、特に組み合わせられたプレス兼打抜き工具である。特に好ましくは、ここでは、機械式の切断時におけるハーフプレートの変形を回避するために、異形成形された支持工具が使用される。異形成形された支持工具は、同時に、変形のため、ひいてはハーフプレートにおける異形材の製造のためのダイをも形成することができる。
【0025】
少なくとも1つの第1の切断の機械式の切断に加えて、またはこれに代えて、好ましくは、少なくとも1つの第1の切断を、熱による切離しによって、好ましくはレーザ切断によって実施することが提案されている。
【0026】
さらに好ましくは、少なくとも1つの第2の切断を、機械式の切断によって実施することが提案されている。追加的にまたは択一的に、好ましくは、少なくとも1つの第2の切断を、熱による切離しによって、好ましくはレーザ切断によって実施することが提案されている。
【0027】
好ましくは、両方のハーフプレートの裁断部は、個々の第1の裁断によって互いに異なって/無関係に構成されていてもよい。
【0028】
本発明はさらに、複数の積層されたバイポーラプレートを含む燃料電池スタックを含む。バイポーラプレートは、上に記載された方法に従って製造されている。本発明の枠内において記載された従属請求項および好適な構成は、燃料電池スタックにおいても相応に好適に使用される。
【0029】
さらに本発明は、燃料電池スタックを備えた車両を含む。燃料電池スタックによって獲得されたエネルギは、好ましくは車両の駆動のために使用される。
【0030】
さらに本発明は、燃料電池スタック用の異形成形されたバイポーラプレートを切断する方法を含み、このとき少なくとも1つの切断を機械式の切断によって実施し、このときハーフプレートが、機械式の切断時に、ハーフプレートの形状に相当する成形された支持工具上に位置していて、これによってハーフプレートは全面的に、支持工具上に支持されている。支持工具はこのとき、バイポーラプレートのさらなる加工もしくは組立てとは無関係に使用することができる。
【0031】
本発明のさらなる詳細、特徴および利点は、以下の記載および図面において開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る方法によって製造された、1実施形態によるバイポーラプレートを示す図である。
図2図1に示されたバイポーラプレートの断面図である。
図3】本発明に係る方法による機械式の切断のための概略的な図である。
図4】本発明に係る方法による機械式の切断のための概略的な図である。
【0033】
図1図4を参照しながら、バイポーラプレート1を製造する本発明に係る方法について記載する。図面には、バイポーラプレート1および方法ステップが、概略的に簡単化されて示されている。
【0034】
図1にはバイポーラプレート1が示されている。バイポーラプレート1は、上側領域および下側領域に、切欠きとして形成された複数のポート2を有している。燃料電池スタックを製造するために、複数のバイポーラプレート1が積層される。このとき個々のポート2は、互いに整合し、これによって通路を、図示の実施形態では6つの部分を形成する。燃料電池スタックにおける通路は、反応物質および場合によっては冷媒を個々のバイポーラプレート1に分配するために使用される。
【0035】
図2には、バイポーラプレート1が断面図で詳細に示されている。バイポーラプレート1は、2つのハーフプレート3から成っている。バイポーラプレート1を製造するために、両方のハーフプレート3は、場合によっては互いに結合されており、特に溶接されている。
【0036】
個々のハーフプレート3は、金属薄板製であり、かつ異形成形されている。ハーフプレート3のこの異形材は、金属薄板の変形によって製造されている。バイポーラプレート1の両方の外側面は、アノード側6およびカソード側7を形成している。ここでは異形材は、反応物質を案内および分配するために使用される。
【0037】
両方のハーフプレート3は、接触領域4と非接触領域5とが生ぜしめられるように異形成形されていてかつ互いに上下に重ね合わせられている。非接触領域5においては、両方のハーフプレート3の間に中空室8が存在している。このような中空室8は、使用されないままであってもよいし、またはバイポーラプレートの媒体案内のために使用されてもよい。
【0038】
特に図2には、バイポーラプレート1の形状が強く拡大されかつ簡単化されて示されている。実際にはハーフプレート3の異形材は、極めて繊細にかつ複雑に形成されていてもよい。個々のポート2は例えば、接触領域4および非接触領域5のうちの複数にわたって延びていてもよい。
【0039】
既に記載したように、個々のハーフプレート3は、互いの重ね合わせ前および/または結合の前に、非接触領域5において切断される。これらの切断は、第1の切断11と呼ばれる。両方のハーフプレート3の結合後に、ハーフプレート3もしくはバイポーラプレート1は、接触領域4において切断される。これらの切断は第2の切断12と呼ばれる。
【0040】
好ましくは、両方のハーフプレート3の結合後に、少なくともポート2の切出しのために、もっぱら第2の切断12が、つまり接触領域4における切断が実施されるようになっている。これによってバイポーラプレート1の変形および/または極端なばり形成を回避することができる。
【0041】
図3および図4には、異形成形されたハーフプレート3において、第1の切断11の機械式の切断がどのように実施され得るかが示されている。このために、異形成形された支持工具9が使用される。この支持工具9はその形状が、ハーフプレート3の異形材の形状に相当している。これによってハーフプレート3は、支持工具9上に全面的に載置されていることができる。
【0042】
図3には、略示された平面図が示されている。支持工具9上におけるハーフプレート3の全面的な載置は破線で示されている。単に第1の切断11の周囲の直ぐ近くにだけ、切断領域10が位置しており、この切断領域10においてハーフプレート3は、全面的には載置されていない。このとき好ましくは、ハーフプレート3は切断領域10の周囲の全周において全面的に支持工具9上に載置されているようになっている。これによって、第1の切断11の実施時における不所望の変形を十分に回避することができる。
【0043】
図3に示された第2の切断12は、両方のハーフプレート3の重ね合わせおよび結合後に初めて、例えば機械式の切断または熱による切離しによって実施される。
【0044】
図4における概略的な断面図に示されているように、切断領域10および第1の切断11は、ハーフプレート3の非接触領域5に位置している。両方のハーフプレート3がまとめられた後で、このような支持工具9は、第1の切断11のセット時にもはや使用することができない。中空室8はこの状態においてもはや接近することができないからである。
【0045】
両方のハーフプレート3のうちの一方においてだけ、1つもしくは複数の第1の切断11を実施することも可能である。
【0046】
異形成形された支持工具9は、例えば第1の切断11が両方のハーフプレート3のうちの一方においてだけ行われる場合には、第2の切断12においても使用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 バイポーラプレート
2 ポート
3 ハーフプレート
4 接触領域
5 非接触領域
6 アノード側
7 カソード側
8 中空室
9 支持工具
10 切断領域
11 第1の切断
12 第2の切断
図1
図2
図3
図4