【文献】
Ting-Yi LI, et al.,Catalytic Oxidation of benzene over CuO/Ce1-xMnxO2 catalysts,Applied Catalysis B:Environmental,2011年,vol.103,p.143-148
【文献】
Pradeep DOGGALI, et al.,Combustion of volatile organic compounds over Cu-Mn based mixed oxide type catalysts supported on mesoporous Al2O3,TiO2 and ZrO2,Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,2012年,vol.358,p.23-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、Fe、Co、Ni、Cr、Nd、Ba、Ce、La、Pr、Mg、Ca、Zn、Nb、Zr、Mo、Sn、Ta、及びSr、ならびにそれらの組み合わせから選択される卑金属触媒を有する、請求項1に記載の前記触媒。
前記触媒は、更に、Fe、Co、Ni、Cr、Nd、Ba、Ce、La、Pr、Mg、Ca、Zn、Nb、Zr、Mo、Sn、Ta、及びSrならびにそれらの組み合わせから選択される卑金属触媒を含む、請求項8に記載の前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のいくつかの例示的実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明に明記される構築または工程ステップの詳細事項に限定されることはないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、種々の方法で実施または実行され得る。
【0019】
本明細書には、卑金属触媒の配合物及びそれを作製及び使用するための工程が、提供される。本発明の種々の実施形態によれば、卑金属触媒は、工業的工程、特にPTA工程、からの廃流排出物を処理するための触媒としての使用に好適である。
【0020】
したがって、本発明の一態様は、PTA工程の廃流からの、臭化メチルを含む、一酸化炭素(CO)、脂肪族、芳香族、酸素化、及びハロゲン化揮発性有機化合物の酸化を触媒するのに有効な触媒組成物に関する。触媒は、アルミナを実質的に含まない酸素供与支持体材料上に支持されこれと接触している第1の卑金属(BM)触媒、及び第2の卑金属触媒を含む。
【0021】
本開示に使用される用語に関して、以下の定義が提供される。
【0022】
本明細書に使用する場合、用語「流」または「廃流」は、広く固体、液体、または気体を含み得る流動気体の任意の組み合わせを指す。「廃流」は、一酸化炭素(CO)、揮発性有機化合物(VOC)、臭化メチル、水、及び窒素を含む気体成分を含み得るが、これらに限定されない。
【0023】
用語「支持体」は、追加の化合物または元素がその上に担持される、下層となる上部表面積の材料(例えば、セリア、セリア/ジルコニア、チタニア等)を指す。用語「基材」は、支持体が、通常は、触媒化学種を上に有する複数の支持体を含有するウォッシュコートの形態で、上に配置されるモノリシック材料を指す。ウォッシュコートは、液状ビヒクル中に、支持体の規定の固形分(例えば、30〜50重量%)を含むスラリーを調製することにより形成され、これがその後基材上に被覆され乾燥されてウォッシュコート層を提供する。本明細書に使用する場合、用語「触媒物品」は、触媒化学種を上に有する支持体を上に有する基材を指す。触媒物品は、1つ以上のウォッシュコートを基材上に含み得る。
【0024】
本明細書に使用する場合、用語「の上に支持され」及び「と接触している」は、酸素供与支持体に関する第1の卑金属触媒の場所を指す。第1の卑金属触媒は、酸素供与支持体に直接接触する。言い換えると、第1の卑金属触媒は、酸素供与支持体と密着している。少なくとも1つの第2の卑金属触媒は、酸素供与支持体上に支持されまたはそれと接触し得るが、このことが要求されるわけではない。
【0025】
触媒による酸化は、工業的及び商業的な工程からのCO、VOC、及び臭化メチル廃流排出物を制御するために使用される。一酸化炭素(CO)、揮発性有機化合物(VOC)、及び臭化メチルを酸化するための方法では、少なくとも水蒸気、CO、VOC、及び臭化メチルを含むガスと接触している触媒を利用する。ガスは、VOC、例えば、飽和及び不飽和の炭化水素、芳香族炭化水素、ならびにそれらのモノ及びポリハロゲン化誘導体、例えば、ハロカーボン、ダイオキシン、ならびに1つ以上の硫黄、酸素、窒素、リン、塩素、または臭素原子を含有する炭化水素を含み得る。ガスは、例えば、精製テレフタル酸(PTA)を生産する工程等の、工業的または商業的な工程から排出され得る。
【0026】
PTAを生産するための商業工程では、テレフタル酸は、酢酸を溶剤として用いて、酸素によるp−キシレンの酸化により生成され得る。これは、促進剤を含む臭素を用いて、触媒を含むコバルトまたはマンガン等の、触媒の存在下で、生じ得る。生成物は、水溶液中での水素化により精製され、その後冷却され得る。PTA工程での廃ガス流は、酸素、窒素、窒素酸化物、臭化メチル、ベンゼン、トルエン、メタン、一酸化炭素、メチル酢酸塩、及び水を含み得るが、これらに限定はされない。この流れは、通常、一酸化炭素(CO)を3000〜7000ppm、ベンゼンを1〜10ppm、臭化メチル(MeBr)を5〜100ppm、及び他のVOC(通常、メタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、酢酸、メタノール等)を500〜1000ppm含む。
【0027】
PTA工程は、著しい量(約1〜10%)の水蒸気/水を有し得る。したがって、卑金属触媒及び支持体は安定し、水分のある環境内で効率的に機能しなければならない。ゼオライト等の、特定の触媒及び支持体は、熱水条件下で、特に一定期間をかけて、劣化することが知られている。卑金属触媒組成物は、そのため、水蒸気を含むガス内で安定性を維持し効果的に働き得る。
【0028】
水蒸気、CO、臭化メチル、及びVOCを含む、PTAからの廃ガス流等のガスが1つ以上の実施形態による触媒組成物と接触しているとき、CO、VOC、及び臭化メチルは酸化される。工程エフルエントは、余熱され、余剰酸素の存在下で触媒床を通され得るので、廃流中の汚染成分は、酸化されて二酸化炭素(CO
2)、水(H
2O)、臭化水素(HBr)、及び臭素ガス(Br
2)になる。触媒の下流からの臭化水素は、ガスを苛性スクラバに通すことによりエフルエントから除去され得、排気を大気中に排出する前にエフルエントから汚染物質が除去される。
【0029】
触媒組成物は、第1の卑金属触媒及び少なくとも1つの第2の卑金属触媒を含む。卑金属触媒は、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)、バリウム(Ba)、セリウム(Ce)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、及びストロンチウム(Sr)、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の卑金属酸化物を含み得る。特定の実施形態では、第1の卑金属触媒は銅(Cu)を含む。より特定の実施形態では、第1の卑金属触媒は銅(Cu)を含み、少なくとも1つの第2の卑金属触媒はマンガン(Mn)を含む。
【0030】
1つ以上の実施形態では、理論に拘束されることを意図するものではないが、1つ以上の卑金属触媒が存在するとき、卑金属触媒のうちの1つが卑金属促進剤として作用し得る。本明細書に使用する場合、用語「促進剤」は、触媒に加えられたとき、触媒の活性度を増大する物質を指す。
【0031】
理論に拘束されることを意図するものではないが、特定の機構が、触媒による酸化の機構的理解のうちの一部を解明し得ると考えられている。この機構の特性的特徴は、反応における酸素が支持体からもたらされることである。言い換えると、支持体はより能動的に反応に加わり、単に好適な基材として作用するというよりはむしろ反応において役割を果たす。この機構は、触媒に隣接する支持体からの酸素がVOCと反応する酸化還元工程を明示的に必要とする。酸素は、その後、蒸気相からの酸素により補給される。酸素が気相から還元体に単純にまたは触媒の表面に直接加えられるのではなく、触媒表面に隣接する支持体に先ずは結合される。有機反応体が、次に、触媒表面により酸化される。気相酸素の機能は、吸着及び/または固体拡散により、酸素を支持体上に補給することである。したがって、第1の卑金属触媒(例えば、Cu)と酸素供与支持体(例えば、セリア、セリア/ジルコニア、チタニア)との間の相互作用により、酸化反応に必要な酸素が提供される。卑金属触媒がアルミナ等の支持体上にあるとき、アルミナは酸素を触媒表面に供与し得ないので、反応はこの機構によっては進行し得ない。
【0032】
1つ以上の実施形態では、第1の卑金属触媒は、酸素供与支持体材料上に支持される。第1の卑金属触媒のための支持体材料は、セリア、プラセオジミア、ネオジミア、ランタナ、イットリア、チタニア、ジルコニア、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の材料からなり得る。本明細書に使用する場合、用語「酸素供与」とは、酸素を触媒材料の隣接表面に供与し得る材料を指す。好適な酸素供与支持体の例には、希土類酸化物、特にセリア、が含まれる。酸素供与支持体は、酸素供与特質を呈する形態のセリウム酸化物(セリア、CeO
2)を含み得る。特定の実施形態では、酸素供与支持体はセリアを含む。
【0033】
1つ以上の実施形態では、触媒支持体は酸素供与支持体材料を含み、その原子価状態は排出条件下で切り替えられ得る。希土類酸化物のセリウム及びプラセオジムは、複数の酸化物状態を呈する。セリウム及びプラセオジムの各々の能力は、格子を通る酸素の移動度を容易に可能にするそれらの酸化状態を変えることである。この酸素移動度により、反応により枯渇した酸素が、格子を通して輸送される酸素により補充され得る。反応により枯渇した酸素も気相からの酸素により補充され得る。このことは、酸素が材料の格子を通って可動であるか否かに拘わらず、当てはまり得る。1つ以上の実施形態では、酸素供与支持体はセリアである。特定の実施形態で、支持体は、少なくとも50重量%のセリアを含む。更に他の実施形態では、支持体は、少なくとも約99重量%のセリアを含む。
【0034】
他の実施形態では、酸素供与支持体は、高温水熱エージング条件下で、支持体の還元性を向上するための及び/または支持体を表面積及び構造体統合性の損失に対して安定化するための他の元素/成分を更に含む。そのような成分として、Pr、Nd、Sm、Zr、Y、Si、Ti及びLaを含み得、これらは最大約60重量%の量で存在し得る。したがって、更なる実施形態では、セリアは、Pr、Nd、Sm、Zr、Y及びLaのうちの1つ以上を最大約90重量%でドープされている。更なる実施形態では、セリアは、これらの元素のうちの1つ以上の酸化物を約60重量%以下または約1〜約50重量%の量でドープされている。特定の実施形態では、酸素供与支持体は、アルミニウムを実質的に含まない。1つ以上の実施形態では、支持体はセリアとジルコニアとの混合物を含み、Ce/Zrの比は4:1以上である。
【0035】
1つ以上の実施形態では、支持体はアルミナを実質的に含まない。本明細書に使用する場合、「アルミナを実質的に含まない」の表現は、支持体に意図的に加えられたアルミナが存在しないことを意味し、酸素供与支持体内に約1重量%未満しか存在しないことを意味する。1つ以上の実施形態では、アルミナが酸素供与支持体中に全く存在しない。理論に拘束されることを意図するものではないが、アルミナが不活性で活性がより低いので、支持体がアルミナを含むと、支持体がより活性な成分を含む余地はより低いと考えられている。したがって、アルミナを実質的に含まない支持体は、活性な酸素貯蔵成分が活性度を生じるより多くの機会を提供する。
【0036】
1つ以上の実施形態では、第1の卑金属触媒は、アルミナを実質的に含まない酸素供与支持体材料上に支持される。酸素供与支持体材料は、セリア(CeO
2)、プラセオジミア(Pr
2O
3)、ネオジミア(Nd
2O
3)、ランタナ(LaO
2)、イットリア(YtO
2)、チタニア(TiO
2)、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。酸素供与支持体材料は、これらとジルコニア(ZrO
2)等の他の酸化物材料との混合物も含み得る。したがって、酸素供与支持体は、それらのうちの2つ以上の複合酸化物または混合酸化物(CeZrO
2混合酸化物及びTiZrO
2混合酸化物等)を含み得る。
【0037】
酸素供与支持体材料も、安定化され得る。安定剤は、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Yt)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、及びそれらの酸化物、それらの任意の2つ以上の複合酸化物または混合酸化物、もしくは少なくとも1つのアルカリ土類金属、例えば、バリウム(Ba)、から選択され得る。
【0038】
1つ以上の実施形態では、酸素供与支持体は、セリアとジルコニアとの混合物を含み得る。理論に拘束されることを意図するものではないが、ジルコニアは、触媒の安定性を保持することにより長期間のエージングに役立つと考えられている。加えて、ジルコニアは、より安価なセリアの代替物を与える。
【0039】
触媒の活性度がCe/Zrの比に比例することが観察された。Ce/Zrの任意の比が可能であるが、セリアの量の減少に伴い(即ち、ジルコニアの含有量が高い程)、触媒の活性度は低くなる。1つ以上の実施形態では、Ce/Zrの比は、4:1以上である
。
【0040】
1つ以上の実施形態では、酸素供与支持体は、少なくとも50重量%のセリアを含む。特定の実施形態では、酸素供与支持体は、少なくとも99重量%のセリアを含む。
【0041】
触媒による酸化時には、入力流は、通常、275℃で、前述の卑金属触媒ブロックを含む触媒床に入れられる。触媒の銅−セリアの部分は、VOC、ベンゼン、及び一酸化炭素の酸化には必須であり、マンガン卑金属触媒の存在は臭化メチルの臭化水素及び二原子臭素への酸化に役立ち、これらの各々はスクラバ後触媒床を用いて引き続き除去される。この酸化時に、酸化反応により生じた放熱は廃流を更に加熱して、各化学種に対し95%より高い変換の結果を生じる。2つの理由から、工程温度を500℃未満に保つように注意することが重要である。第1に、長時間にわたる500℃を超える温度では、著しい触媒の不活性化の結果を招き、第2に、存在する何らかのメタンの酸化となる。廃流内に存在するメタンは、通常、酸化されなくてもよく、この特定の工程では、メタンの酸化は、500℃を超える温度では都合の悪い臭素メチルへの再結合の結果を生じ得る。結果として、工程は通常より低い温度で約20、000時間
−1の空間速度で運転される。
【0042】
卑金属は、硝酸塩または酢酸塩または他の卑金属塩の形態で加えられ得る。特に、第1の卑金属触媒は、支持体上に含浸されまたはペレットまたはモノリス上に被覆される。1つ以上の実施形態では、銅がセリア支持体上に含浸され、次いで少なくとも1つの第2の卑金属触媒が含浸される。1つ以上の実施形態による触媒は、市販の触媒と比較して優れた活性度及び耐久性を示す。PTA廃流排出制御に対して、1つ以上の実施形態による触媒は、CO、VOC、及び臭化メチルを、同等温度の現在市販の触媒より低い温度で変換し得る。1つ以上の実施形態による触媒も、優れた耐久性及び寿命を示す。
【0043】
卑金属触媒は、例えば、硝酸塩または酢酸塩または他の卑金属塩溶液の形態で加えられ得る。例えば、少なくとも1つの第2の卑金属触媒がマンガン(Mn)を含むとき、MnはMn硝酸塩の形態で加えられ得る。第1の卑金属触媒は、水溶液から酸素供与支持体材料(複数可)上に含浸され、または酸素供与支持体材料(複数可)を含むウォッシュコート内に加えられ得る。
【0044】
1つ以上の実施形態では、触媒は、基材上にウォッシュコートされて、触媒物品を作成する。ウォッシュコートは、アルミナまたはシリカ等の、最大15重量%の不活性材料を含み、空孔率及びウォッシュコートを通る廃流成分の拡散を改善し得る。なお、この材料は、触媒または支持体の部分ではなく、ウォッシュコートに加えられる。したがって、1つ以上の実施形態で、触媒物品は、アルミナを実質的に含まない酸素供与支持体上に支持された第1の卑金属触媒と、少なくとも1つの第2の卑金属触媒とを備える触媒でウォッシュコートされた基材を備える。触媒物品は、最大15重量%の量でアルミナを含み得る。
【0045】
1つ以上の実施形態では、第1の卑金属触媒は銅を含み、少なくとも1つの第2の卑金属触媒はマンガンを含む。理論に拘束されることを意図するものではないが、CuはCO及びVOCの酸化増大を提供し、Mnは臭化メチルの酸化増大を提供すると考えられている。
【0046】
1つ以上の実施形態では、1つ以上の少なくとも1つの第2の卑金属を使用し得る。したがって、特定の実施形態では、触媒は、2つ、3つまたはそれ以上の卑金属を含む。卑金属の組み合わせの非限定的例には、銅及びマンガン;コバルト、鉄、及びマンガン;銅、鉄、及びマンガン;コバルト、ニッケル及び鉄;コバルト、ニッケル及びマンガン;ニッケル、鉄、及びマンガン;銅、コバルト及び鉄;鉄及びマンガン;ならびにニッケル、鉄、及びマンガンが含まれが、これらに限定はされない。1つ以上の実施形態では、第1の卑金属触媒及び少なくとも1つの第2の卑金属触媒は、銅及びマンガンの組み合わせを含む。なお、卑金属酸化物の重量百分率は、卑金属総量に対するものである。したがって、例えば、15重量%の卑金属酸化物及び2つの卑金属を含む触媒に対しては、組み合わされた2つの卑金属酸化物は合計で15重量%となるであろう。
【0047】
1つ以上の実施形態では、触媒は貴金属を含まない。言い換えると、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及びプラチニウムから選択された貴金属は触媒には含まれない。
【0048】
1つ以上の実施形態では、第1の卑金属触媒の量は、少なくとも1つの第2の卑金属触媒と同等以上となる。第1の卑金属触媒の量は、10重量%〜20重量%とし得る。少なくとも1つの第2の卑金属触媒の量は、5重量%〜10重量%とし得る。特定の実施形態では、第1の卑金属触媒及び少なくとも1つの第2の卑金属触媒は、同等量で存在する。極めて特定の実施形態では、第1の卑金属触媒及び少なくとも1つの第2の卑金属触媒は10重量%の同等量で存在するので、触媒内に存在する全卑金属は20重量%である。
【0049】
1つ以上の実施形態では、存在する銅の量は、存在するマンガンの量と同等以上である。銅の量は、10重量%〜20重量%とし得る。存在するマンガンの量は、5重量%〜10重量%とし得る。特定の実施形態では、銅及びマンガンは同等量で存在する。より特定の実施形態では、銅及びマンガンは10重量%の同等量で存在するので、触媒内に存在する全卑金属は20重量%である。
【0050】
第1の卑金属触媒を担持する酸素供与支持体は、基材上に堆積でき、基材上に所望量の触媒化学種を提供する。例えば、支持体は、約70%または75%または80%または85%の触媒を含む。基材上に堆積される触媒は、概して、接触される基材の表面の、全体でなければ、大部分上に被覆層として形成される。基材は、400cpsiのモノリス上の約1.7〜約2.75g/in
3の負荷を含む。触媒は、基材上にウォッシュコートとして堆積される。ウォッシュコートは、触媒の空孔率及び拡散を向上するために、最大15重量%の量でアルミナを含み得る。
【0051】
1つ以上の実施形態では、基材は、ハニカム構造を有するセラミックまたは金属である。基材の入口面または出口面から、流路がそこを通る流体流に開放されるように、貫通して延在する微細で平行なガス流路を有する種類のモノリシック基材等の、任意の好適な基材を使用し得る。流路は、それらの流体入口からそれらの流体出口まで本質的に直線状の経路であり、触媒材料がウォッシュコートとして被覆された壁部により画定されるので、流路を流れるガスは、触媒材料に接触する。モノリシック基材の流路は、薄肉のチャネルであり、台形、正方形、正弦波形、六角形、楕円形、円形等の、好適な断面形状及び大きさとし得る。そのような構造体は、断面の平方インチあたり、約60〜約900またはそれより多いガス入口開口部(即ち、セル)を含み得る。
【0052】
セラミック基材は、例えば、コーディエライト、コーディエライト−アルミナ、窒化珪素、ジルコンムライト、リチア輝石、アルミナ−シリカ−マグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト、アルミナ、アルミノケイ酸塩等の、好適な耐火材料で作製し得る。
【0053】
本発明の実施形態に有用な基材は、本質的に金属性で、1つ以上の金属または金属合金からなるものであってもよい。金属性基材は、ペレット、波形薄板またはノリシック形状等の、種々の形状で使用され得る。金属性基材の特定の例には、耐熱性の卑金属合金、特に、鉄が実質的なまたは主要な成分であるものを含む。そのような合金は、ニッケル、クロム、及びアルミニウムのうちの1つ以上を含み、これらの金属の総量は、少なくとも約15重量%の合金であり、例えば、約10〜25重量%のクロム、約1〜8重量%のアルミニウム、及び約0〜20重量%のニッケルを好都合に含み得る。
【0054】
調製
本発明の別の態様は、本明細書に説明する触媒を調製する方法に関する。1つ以上の実施形態では、酸素供与支持体及び卑金属触媒を、初期のウェットネス含浸、共沈殿、ポストディップ含浸、堆積沈殿、シングルポット、または他の工程等の、湿式化学工程により、固相混合物に調製し得る。これらの要素も、触媒調製時に活性な卑金属成分と共に、予備成形酸化物を支持体として使用することなく、加えられ得る。1つ以上の実施形態では、触媒は、初期のウェットネス含浸により調製される。
【0055】
初期のウェットネス含浸で、卑金属触媒前駆体の溶液を、酸素供与支持体(例えば、セリア、セリア/ジルコニア、チタニア)を含むよく混合した粉末床内に分注する。第1の卑金属触媒を加えた後、次に粉末を約500℃でか焼し、引き続き少なくとも1つの第2の卑金属触媒の分注及びか焼を行う。あるいは、両方の卑金属触媒前駆体を共に含む溶液を、支持体を含むよく混合した粉末床内に分注することもできる。完了したか焼触媒粉末を、その後、基材(例えば、400cpsiのコーディエライト)上に、結合材で約1.70〜約2.75g/in
3の負荷に、ウォッシュコートする。不活性材料(例えば、アルミナ)は最大15重量%の量で加えて、空孔率及びウォッシュコートを通る拡散を向上し得る。
【0056】
ポストディップ含浸では、基材を、触媒、支持体、結合材及び他の不活性材料(例えば、空孔率のためにアルミナを追加)を含むスラリーで予備被覆する。乾燥及びか焼後、被覆した基材コアを、卑金属触媒(複数可)前駆体を含む溶液に浸漬する。完了したコアを、その後、乾燥させ、500℃でか焼して、最終触媒物品を提供する。
【0057】
予備作製した支持体を触媒調製に用いない場合、所望の卑金属の前駆体を、支持体の前駆体と混合して、均質溶液を形成してもよい。次いで、溶液pHを、例えば、NH
4OHを加えることにより調節して、触媒及び支持体の沈殿物を形成し得る。他の構造指向剤(高分子物質または表面活性剤等)も加え得る。母溶液を、その後、エージングして、モノリス被覆のための好適な粒径を得ることができる。沈殿物も、乾燥及びか焼のためのフィルタリングを用いて分離し得る。結果として得た材料を、その後、スラリー及びモノリス被覆を作製するために使用する。
【0058】
堆積含浸は、支持体材料の懸濁液の形成及び十分な混合を含む。卑金属前駆体溶液(例えば、Cu及びMn硝酸塩)を懸濁液にゆっくりと加える一方、卑金属の追加によりpHを8〜10の定数になるようにpHを調整(制御及び調節)する。支持体材料の表面上及び上方に卑金属の堆積が生じるように、pHを調節する。結果として得られた材料は、その後、スラリー及びモノリス被覆の作製のために使用される。
【0059】
シングルポット合成に対しては、支持体、卑金属触媒前駆体、結合材、及び(例えば、オッシュコート空孔率を増大するために加える)任意の不活性材料を、混合してスラリーを形成する。この結果得られたスラリーを、その後、モノリス被覆のために使用する。
【0060】
1つ以上の実施形態では、卑金属触媒の使用のモードはモノリス担体支持触媒としてある。本明細書に説明する触媒の製造のための多くの好適な変形例が存在する。活性な卑金属触媒配合物を、モノリス構造体の表面に被覆し得る。モノリス構造体は、高度な幾何形状表面積、優れた熱的及び機械的強度を与えるため、排出制御には特に適する。任意のモノリス構造体を使用できるが、これにはセラミック、Fecralloy(登録商標)等の金属性、ステンレス鋼、及び他の金属または合金が含まれる。モノリスは、直線状の溝形材、パターン溝形材、または発泡または他の構造体とし得る。
【0061】
触媒は、スラリー被覆、スプレイ被覆等を含む、任意の好適な工程を用いて、モノリス表面に適用され得る。卑金属触媒は、Cu、Fe、Co、Ni、Cr、Mn、Nd、Ba、Ce、La、Pr、Mg、Ca、Zn、Nb、Zr、Mo、Sn、Ta、及びSrから選択される。特定の実施形態では、第1の卑金属触媒及び少なくとも1つの第2の卑金属触媒は、Ni、Mn、Co、Mo、Ga、Fe、Cu、Mg及びBaされたのうちの1つ以上から選択される。極めて特定の実施形態では、第1の卑金属触媒及び少なくとも1つの第2の卑金属触媒は、Cu及びMnをそれぞれ含む。これらの卑金属の好適な前駆体は、純粋または混合の塩、酸化物、または混合酸化物であり得る。これらの卑金属は、当業者に周知であるそれらの化学的前駆体及び被覆技術を用いて、適用され得る。例えば、初期のウェットネス含浸及びスラリー被覆工程により、コバルト硝酸塩を用いてコバルトを適用でき、鉄硝酸塩を用いて鉄を適用でき、マンガン硝酸塩を用いてマンガンを適用できる。
【0062】
支持された卑金属配合物に関する実施形態では、予備作製された支持体を、活性卑金属または卑金属の組み合わせの溶液で含浸させるために使用し得る。結果として得られた触媒を、その後、好適な結合材と混合し得る。好適な結合材の例には、アルミナゾル、ベーマイト、シリカゾル、チタニアゾル、酢酸ジルコンニウム、及びコロイド状セリアゾルが含まれる。あるいは、結果として得られた触媒は、まず、か焼され、次いで結合材と混合されて、モノリス被覆のための好適なスラリーを作製する。更に他の実施形態では、酸素供与支持体上に堆積される第1の卑金属触媒を、別の支持体上に堆積される他の卑金属触媒と混合して、モノリスウォッシュコートのためのスラリーを作製できる。
【0063】
最終被覆されたモノリス触媒は、その後、120℃で2時間乾燥され、約300〜約1000℃の範囲の温度でか焼され得る。他の実施形態では、触媒は、約400〜約950℃の範囲の温度でか焼される。更なる実施形態では、触媒は、約450〜約500℃の範囲の温度でか焼される。
【0064】
基材上に支持された触媒に関する実施形態では、触媒は、1.7g/in
3より大きい量で負荷され得る。特定の実施形態では、触媒は、1.7g/in
3〜4.0g/in
3の範囲の量で負荷され得る。より特定の実施形態では、触媒は、約2.7g/in
3の量、または約2.75g/in
3の量で負荷され得る。
【0065】
使用方法
本明細書に説明する1つ以上の実施形態は、精製テレフタル酸工程(PTA)で発生された廃流を処理するのに好適である。したがって、本発明の別の態様は、精製テレフタル酸工程(PTA)により発生された廃流を処理する方法に関する。本方法は、一酸化炭素(CO)、揮発性有機化合物(VOC)、及び臭化メチルを含む廃流を、アルミナを実質的に含まない酸素供与支持体上にこれと接触して支持された第1の卑金属触媒及び少なくとも1つの第2の卑金属触媒を含む触媒と、接触させることを含む。概して、本態様で用いる触媒の変形例は、本明細書にに説明する触媒の実施形態から選択され得る。
【0066】
しかし、特定の実施形態では、触媒は、銅を含む第1の卑金属触媒、及びマンガンを含む少なくとも1つの第2の卑金属触媒を含む。銅は、酸素供与支持体上にこれと接触して支持される。1つ以上の実施形態では、触媒は、10〜20重量%の銅、及び5〜10重量%のマンガンを含み得る。より特定の実施形態では、第1の卑金属触媒は10重量%の銅を含み、少なくとも1つの第2の卑金属触媒は10重量%のマンガンを含む。
【0067】
1つ以上の実施形態では、酸素供与支持体は、少なくとも50重量%のセリアを含む。更なる実施形態では、酸素供与支持体は、少なくとも99重量%のセリアを含む。酸素供与支持体は、セリアとジルコニアとの混合物を含み得、Ce/Zrの比は4:1以下である。
【0068】
本明細書に説明する触媒の1つ以上の実施形態は、触媒物品としての使用に好適である。実施形態では、触媒が、基材上にウォシュコートされて、触媒物品作成する。概して、本態様に用いる触媒の変形例は、本明細書に説明する触媒の実施形態から選択され得る。
【0069】
しかし、特定の実施形態では、触媒物品は、アルミナを実質的に含まない酸素供与支持体上に支持された第1の卑金属触媒、及び少なくとも1つの第2の卑金属触媒を含む触媒を含む。触媒は、銅を10〜20重量%、マンガンを5〜10重量%の量で、銅及びマンガンを含み得る。極めて特定の実施形態では、触媒物品は、基材と、セリアを少なくとも50重量%含むがアルミナを実質的に含まない酸素供与支持体上に支持された10重量%の銅を含む第1の卑金属触媒、及び10重量%のマンガンを含む少なくとも1つの第2の卑金属触媒を含む触媒とを含む。更なる実施形態では、触媒物品は、基材と、セリアを少なくとも99重量%含むがアルミナを実質的に含まない酸素供与支持体上に支持された10重量%の銅を含む第1の卑金属触媒、及び10重量%のマンガンを含む少なくとも1つの第2の卑金属触媒を含む触媒とを含む。
【0070】
本明細書に引用した、刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参照文献が個々に具体的に示されて参照により組み込まれるように示されその全体が本明細書に明記されるのと同じ程度に、全ての目的のために参照によりここに組み込まれる。
【0071】
本明細書(特に、以下の特許請求の範囲)で検討する材料及び方法を説明するための用語「a」及び「an]及び「the」及び類似の参照対象は(特に、以下の特許請求の範囲の文脈で)、本明細書中に別段の指示または文脈上の明らかな矛盾がない限り、単数及び複数の両方に及ぶように解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書中に別段の指示がない限り、範囲内に収まる各別個の値を個別的に指す省略的方法として単に機能するように意図されているため、各個別の値は、それがあたかも本明細書中に個別的に記載されているかのように、本明細書中に組み込まれる。本明細書中に説明する全ての方法は、本明細書中に別段の指示または文脈上の明らかな矛盾がない限り、任意の好適な順序で遂行され得る。本明細書中に提供される任意の及び全ての実施例、または例示的表現(例えば、「等の」)、の使用は、単に材料及び方法をより上手く説明するように意図されているため、別段の特許請求の範囲の記載がない限り、適用範囲を限定することはない。本明細書中の如何なる表現も、開示した材料及び方法の実施に必須であるものとして特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を示すように解釈されるべきではない。
【0072】
本発明を、ここで、以下の実施例を参照して説明する。本発明のいくつかの例示的実施形態を説明する前に、本発明が、以下の説明中に明記する構築または工程ステップの詳細事項に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、種々の方法で実施または実行され得る。
【0073】
実施例
本開示の趣旨から逸脱することなく排出制御のための卑金属触媒を調製するための、本開示に基づいて成される多くの変形例及び組み合わせが存在する。以下の実施例及び実施形態は、説明目的のみのためのもので、発明を限定するように用いられるべきではない。
【0074】
実施例1
Mn及びCuの硝酸塩を水と混ぜて、セリウム酸化物の初期のウェットネス含浸のための水溶液を作製した。セリウム酸化物に、その後、溶液を含浸させ、次に、110℃で2時間乾燥させ、500℃で3時間か焼した。含浸された触媒中のMn及びCuの負荷は、セリア上の10重量%のMn
O及び10重量%のCuOと同等である。含浸された試料を、次いで、アルミナゾル結合材(5重量%)及びアルミナ(15%)と共に水と混ぜて、約42重量%の固形分を含むスラリーを形成した。スラリーのpHを、硝酸で4.0に調節した。スラリーをその後、ウォッシュコートに好適な粒径に粉砕した。スラリーを400cpsiのセル密度を有するコーディエライト基材上にウォッシュコートすることにより、モノリス触媒を調製した。
【0075】
ウォッシュコート後、モノリスを、その後、120℃で2時間乾燥させ、500℃で2時間か焼した。触媒ウォッシュコートの負荷は、2.75g/in
3であった。
【0076】
実施例2
Mn及びCuの硝酸塩を水と混ぜて、セリウム酸化物の初期のウェットネス含浸のための水溶液を作製した。セリウム酸化物に、その後、溶液を含浸させ、その後、110℃で2時間乾燥させ、500℃で3時間か焼した。含浸された触媒中のMn及びCuの負荷は、セリア上の5重量%のMn
O及び10重量%のCuOと同等である。含浸された試料を、アルミナゾル結合材(5重量%)と共に水と混ぜて、約42重量%の固形分を含むスラリーを形成した。スラリーのpHを、硝酸で4.5に調節した。スラリーをその後、ウォッシュコートに好適な粒径に粉砕した。スラリーを400cpsiのセル密度を有するコーディエライト基材上にウォッシュコートすることにより、モノリス触媒を調製した。ウォッシュコート後、モノリスを120℃で2時間乾燥させ、500℃で2時間か焼した。触媒ウォッシュコートの負荷は、1.70g/in
3であった。
【0077】
実施例3
本実施例でのモノリス触媒を、使用した支持体が80重量%のセリアを含むセリア−ジルコニア材料であったことを除いて、実施例2に対して説明したのと同一の手順に従って調製した。
【0078】
実施例4
本実施例でのモノリス触媒を、使用した支持体が45重量%のセリアを含むセリア−ジルコニア材料であったことを除いて、実施例2に対して説明したのと同一の手順に従って調製した。
【0079】
実施例5
本実施例でのモノリス触媒を、使用した支持体が12.5重量%のセリアを含むセリア−ジルコニア材料であったことを除いて、実施例2に対して説明したのと同一の手順に従って調製した。
【0080】
実施例6
本実施例でのモノリス触媒を、使用した支持体がチタニアであったことを除いて、実施例2に対して説明したのと同一の手順に従って調製した。
【0081】
実施例7
本実施例でのモノリス触媒を、触媒ウォッシュコート負荷が2.75g/in
3であったことを除いて、実施例2に対して説明したのと同一の手順に従って調製した。
【0082】
実施例8
Mn及びCuの硝酸塩を水と混ぜて溶液を作製した。この溶液を、80℃に維持したセリウム酸化物の懸濁液に加えた。追加時に、懸濁液のpHを、水酸化ナトリウム溶液で8〜10の一定値に保持した。結果として得た粉末を、次いでフィルタに通し、水で洗浄し、次いで110℃で2時間乾燥させ、次いで500℃で3時間か焼した。Mn及びCuの負荷は、セリア上の5重量%のMn
O及び10重量%のCuOと同等であった。試料を、その後、アルミナゾル結合材(5重量%)と共に水と混ぜて、42重量%の固形分を含むスラリーを形成した。スラリーのpHを、硝酸で4.5に調節した。スラリーをその後、ウォッシュコートに好適な粒径に粉砕した。スラリーを400cpsiのセル密度を有するコーディエライト基材上にウォッシュコートすることにより、モノリス触媒を調製した。ウォッシュコート後、モノリスをその後120℃で2時間乾燥させ、か焼した。
【0083】
実施例9
本実施例でのモノリス触媒を、Mn硝酸塩を加えなかったことを除いて、実施例2に対して説明したのと同一の手順に従って調製した。
【0084】
実施例10
本実施例でのモノリス触媒を、Cu硝酸塩を加えなかっ
たことを除いて、実施例2に対して説明したのと同一の手順に従って調製した。
【0085】
実施例11
本実施例でのモノリス触媒を、含浸させた触媒中のCu負荷が20重量%のCuOと同等であったことを除いて、実施例2に対して説明したのと同一の手順に従って調製した。
【0086】
比較例1
本触媒を、被覆した基材をディップ含浸により調製した。La安定化アルミナ及びCeZrO
2混合酸化物を、ウォッシュコートスラリーの形成に好適な粒径に別個に粉砕した。これらの2つのスラリーを混合して、20%のLa安定化アルミナ及び80%のCeZrO
2混合酸化物を含むウォッシュコートを形成した。このウォッシュコートを、400セル毎平方インチを有するセラミックモノリス基材上に被覆して、基材の2.75g/in
3の負荷を達成した。60℃で乾燥させ500℃でか焼した後、基材を、Cu硝酸塩及びMn硝酸塩の水溶液の混合物でディップ含浸した。標的負荷は、8重量%のCuO及び16重量%のMnOであった。含浸後に、60℃で乾燥させた後500℃で2時間か焼して、最終触媒物品を提供した。
【0087】
比較例2−貴金属触媒
貴金属であるPd及びPtを、シングルポット合成を用いて、マンガン−ジルコニア支持体(20%のMn及び80%のZrを含有)上に組み込んだ。マンガン−ジルコニア、ならびにPd及びPtの前駆体塩を、結合材(アルミナゾル)と混合して、スラリーを作成した。標的貴金属負荷は0.85%であった。貴金属のPd及びPtを、4/1の比で組み込んだ。スラリーを、その後、200〜400cpsiのセル密度を有するハニカム上にウォッシュコートし、その後か焼して触媒物品を生成した。
【0088】
比較例3−共沈殿方法
Cu、Mn、及びCeの硝酸塩を混合して、均質の溶液を形成した。Cu、Mn、及びCeの負荷は、5%のMn
O、10%のCuO、及び85%のセリアと同等であった。次いで、水酸化ナトリウムの追加により、溶液pHを調節して共沈殿物を形成した。結果として得た粉末をフィルタにかけ、水で洗浄し、その後110℃で2時間乾燥させた後、500℃で3時間か焼した。Mn及びCuの負荷は、セリア上の5重量%のMn
O及び10重量%のCuOと同等であった。試料を、その後、アルミナゾル結合材(5重量%)と共に水と混ぜて、約42重量%の固形分を含むスラリーを形成した。スラリーのpHを硝酸で4.5に調節した。スラリーを、その後、ウォッシュコートに好適な粒径に粉砕した。400cpsiのセル密度を有するコーディエライト基材上にスラリーをウォッシュコートすることにより、モノリス触媒を調製した。ウォッシュコート後、モノリスを120℃で2時間乾燥させ、か焼した。
【0089】
性能試験
上記実施例で説明した触媒の性能について、実験室プロトコルを用いて試験を行い、精製テレフタル酸(PTA)工程中に発生される廃流を模擬した。
【0090】
実験室模擬試験を、実験室規模または貫流反応器で、表1に示す条件で実施した。
【0092】
模擬による触媒エージングを、表2に示す条件下で実験室規模または貫流反応器で実施した。
【0094】
結果:
図1〜6は、実施例1及び比較例1〜2のそれぞれの触媒の性能を示す。データは、CO、臭化メチル、ならびにVOCベンゼン及びトルエンの変換における触媒の性能を示す。
図7及び8は、実施例2〜5の触媒に対するベンゼン変換及び臭化メチル変換を示す。
図9は、実施例6の触媒に対するCO、臭化メチル、ベンゼン、及びトルエンの変換を示す。
図10及び11は、実施例2及び7のそれぞれの触媒に対する臭化メチル及びベンゼンの変換を示す。
図12及び13は、実施例2及び8ならびに比較例3のそれぞれの触媒に対するベンゼン及び臭化メチルの変換を示す。
図14〜16は、実施例2、9及び10でのそれぞれの触媒に対するCO、ベンゼン、及び臭化メチルの変換を示す。
図17は、実施例11の触媒に対するCO、臭化メチル、ベンゼン、及びトルエンの変換を示す。
【0095】
データは、実施例1で本発明の実施形態により調製した触媒は、本発明の実施形態に従っては調製しなかった触媒(比較例1及び2)と比較したとき、向上した性能を有していることを示している。具体的には、
図1は、一酸化炭素が、全ての触媒配合物により全温度で完全に酸化されることを示している。
図2は、本発明により調製した触媒が、臭化メチルの変換に対して、低域温度で向上した性能性能を示している。ベンゼンの変換に対して、
図3は、本発明により調製した触媒が、著しい性能の増大を示している。
図4は、卑金属触媒が、トルエンを全温度で完全に酸化することを示している。
【0096】
図5は、新しい触媒及び経時変化した触媒の両方に対するベンゼンの変換を示す。結果では、本発明により調製した触媒(実施例1)が、本発明の実施形態に従っては調製されなかった触媒(比較例1及び2)と比較したとき、低域温度で向上したベンゼン変換を示すのみならず、その性能が、長期にわたり、使用時により安定であることも示している。
【0097】
図6は、新しい触媒及び経時変化した触媒の両方に対す臭化メチルの変換を示す。結果では、本発明により調製した触媒(実施例1)が、本発明の実施形態に従っては調製されなかった触媒(比較例1及び2)と比較したとき、低域温度で向上した臭化メチル変換を示すのみならず、その経時変化した臭化メチルの性能も向上していることも示している。
【0098】
図7及び8は、支持体内のセリア及びジルコニアの種々の含有率で調製した同等の卑金属触媒の、それぞれの、ベンゼンの変換及び臭化メチルの変換を示す。結果は、触媒内のセリアの量の増大に伴い、活性度が比例的に増大することを示している。
【0099】
図9は、実施例6の触媒に対するCO、臭化メチル、ベンゼン、及びトルエンの変換を示す。結果は、一酸化炭素が、実施例6の触媒により300℃以上で完全に酸化されること、及び触媒が、臭化メチル、ベンゼン及びトルエンを約350℃以上で完全に変換することを示している。
【0100】
図10及び11は、2つの異なるウォッシュコート負荷で調製した同等の卑金属触媒に対する臭化メチル及びベンゼンの変換を示す(実施例2及び7)。結果は、新しい触媒及び経時変化した触媒の両方について、全温度で、より高い負荷(2.75g/in
3)を有する触媒が変換がより良好であることを示している。より大きい負荷がかけられた触媒は、長期にわたり、使用時に性能がより安定することも示されている。
【0101】
図12及び13は、初期のウェットネス含浸、堆積沈殿、及び共沈により、それぞれ調製された2つの同等の卑金属触媒の、ぞれぞれの、ベンゼン及び臭化メチルの変換を示す(実施例2及び8、ならびに比較例3)。結果は、初期のウェットネス含浸により調製した触媒は、共沈殿により調製した触媒と比較して、500℃未満のあらゆる温度でより高い変換率を有する触媒材料を生成していることを示している。更に、初期のウェットネス含浸により調製した触媒は、堆積含浸により調製した触媒と比較して、中間温度で高い変換率を有する触媒材料を生成している。
【0102】
図14〜16は、各々の卑金属単独での性能と比較した、Cu/Mn触媒のCO、ベンゼン及び臭化メチルの変換を示す(実施例2及び9及び10)。結果は、Cuが存在しないとき、CO及びベンゼンの変換が悪化し、Mnが存在しないとき、臭化メチルの変換が悪化することを示している。このことは、本適用に対して存在する両卑金属を有することの相乗利益を示す。
【0103】
図17は、実施例11の触媒に対するCO、臭化メチル、ベンゼン、及びトルエンの変換を示す。結果は、一酸化炭素が、実施例3の触媒により全温度で完全に酸化されることを示している。触媒は、トルエンを、275℃以上で完全に変換し、臭化メチル及びベンゼンを、400℃以上で完全にを変換している。
【0104】
「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「ある実施形態」の言及内容は、本明細書全体を通して、当該実施形態に関して説明される特定の特徴、構成、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の種々の箇所での「1つ以上の実施形態で」、「一実施形態で」または「ある実施形態で」等の、語句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態を指しているとは限らない。更に、特定の特徴、構成、材料、または特性は、任意の好適な仕方で1つ以上の実施形態で、組み合わされ得る。
【0105】
本明細書中の本発明を特定の実施形態に関して説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理及び適用の単なる説明に過ぎないことを理解すべきである。本発明の方法及び装置に対して種々の修正及び変形を、本発明の趣旨及び適用範囲から逸脱することなく、行い得ることが、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にある修正例及び変形例を含むことが意図されている。