特許第6505756号(P6505756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許65057564−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を単離する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6505756
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を単離する方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20190415BHJP
【FI】
   C07F5/02 C
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-10243(P2017-10243)
(22)【出願日】2017年1月24日
(62)【分割の表示】特願2014-523016(P2014-523016)の分割
【原出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2017-122088(P2017-122088A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2017年2月22日
(31)【優先権主張番号】61/511,867
(32)【優先日】2011年7月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【弁理士】
【氏名又は名称】吉光 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】オッペンハイマー,ジョシアン
【審査官】 吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−524933(JP,A)
【文献】 特表2011−509300(JP,A)
【文献】 特開2007−297297(JP,A)
【文献】 塩析によるアセトニトリルー水共沸混合物の分離,工業化学雑誌,1971年,74 (5),1034-1036
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セトニトリルおよび4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の混合物で飽和し、アセトニトリル層と水層を形成する工程、
前記4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を前記アセトニトリル層に分配する工程、および、
前記4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を含む前記アセトニトリル層を水層から分離する工
を含む、4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を単離する方法。
【請求項2】
前記アセトニトリル、水および4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の混合物を飽和する工程が、飽和された塩化ナトリウム溶液を前記混合物に添加する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アセトニトリル、水および4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の混合物を飽和する工程が、固体の塩化ナトリウムを前記混合物に添加する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2−クロロ−6−フルオロアニソール(2,6−CFA)をn−ブチルリチウムと接触させて、2,6−CFAのリチウム化誘導体を形成する工程、
前記2,6−CFAのリチウム化誘導体をB(OCHと接触させて、2,6−CFAのボロン酸エステルを形成する工程、
前記2,6−CFAのボロン酸エステルを水性水酸化ナトリウムと接触させて、2,6−CFAのボロン酸のナトリウム塩を形成する工程、
前記2,6−CFAのボロン酸のナトリウム塩を水性塩酸と接触させて、4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸の溶液を形成する工程、
アセトニトリルを、前記4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸の溶液に添加し、アセトニトリル、水、および4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸の混合物を形成する工程、
前記アセトニトリル、水および4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸の混合物を塩で飽和し、アセトニトリル層と水層を形成する工程、および、
前記4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸を含む前記アセトニトリル層を前記水層から分離する工程
を含む、4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸を単離する方法。
【請求項5】
前記アセトニトリル、水、および4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸の混合物を飽和する工程が、固体の塩化ナトリウムを前記混合物に添加する工程を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記アセトニトリル、水、および4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸の混合物を飽和する工程が、塩化ナトリウムの飽和溶液を前記混合物に添加する工程を含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、発明の名称「4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を単
離する方法」として2011年7月26日に出願された米国仮出願整理番号61/511
,867の優先権を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を単離
する方法、特に4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニルボロン酸(PBA)を
単離する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
PBAおよび他の4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸は、除草剤
として有用である6−(多置換アリール)−4−アミノピコリネート化合物および2−(
多置換アリール)−6−アミノ−4−ピリミジンカルボン酸化合物の調製に有用な中間体
である。次いでPBAまたは他の4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン
酸は、1,3−プロパンジオールを用いてエステル化されて、(4−クロロ−2−フルオ
ロ−3−置換フェニル)−[1,3,2]−ジオキサボリナン(PBE)を形成し得る。
【0004】
PBAは、2−クロロ−6−フルオロアニソール(2,6−CFA)と、n−ブチルリ
チウム(n−BuLi)および求電子性ボロン酸誘導体とを反応させることによって合成
されてもよい。後続反応の後、PBAは固体として単離される。例えば、PBAは、エチ
ルアセテートを用いて水性相から抽出し、乾燥するまで濃縮できる。あるいは、固体のP
BAは、結晶化プロセスによって単離できる。次いで固体のPBAは、6−(4−クロロ
−2−フルオロ−3メトキシフェニル)−4−アミノピコリネート化合物または2−(4
−クロロ−2−フルオロ−3メトキシフェニル)−6−アミノ−4−ピリミジンカルボン
酸化合物を形成するための後続反応において中間体として利用できる。
【0005】
より詳細には、PBAは、2,6−CFAと、n−BuLiおよびトリメチルボレート
B(OMe)とを反応させ、水性塩基を反応混合物に添加し、反応混合物をアセトニト
リル(「MeCN」)で希釈し、反応混合物を塩酸で酸性化することによって合成されて
もよい。次いでPBAは、MeCNおよび水性層を分離することによって単離でき、80
.3%の収率でPBAを得ることができる。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一実施形態は、水、水混和性有機溶媒、および4−クロロ−2−フルオロ−3
−置換−フェニルボロン酸の混合物を塩と接触させて、水混和性有機溶媒層および塩処理
水層を形成する工程を含む4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を単
離する方法を含む。4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸は、水混和
性有機溶媒層に分配されてもよく、これは塩処理水層から分離できる。
【0007】
本開示の別の実施形態は、塩を、4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロ
ン酸を含むMeCN/水混合物に添加する工程を含む、4−クロロ−2−フルオロ−3−
置換−フェニルボロン酸を単離する方法を含む。4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−
フェニルボロン酸は、MeCN層に分配されてもよく、これは水層から分離できる。
【0008】
本開示のさらに別の実施形態は、2,6−CFAとn−BuLiとを接触させ、2,6
−CFAのリチウム化誘導体を形成する工程を含む4−クロロ−2−フルオロ−3−メト
キシフェニルボロン酸(PBA)を合成および単離する方法を含む。2,6−CFAのリ
チウム化誘導体は、B(OCHと接触させ、2,6−CFAのボロン酸エステルを
形成させてもよい。2,6−CFAのボロン酸エステルは、水性水酸化ナトリウムと接触
させて、PBAのナトリウム塩を形成できる。PBAのナトリウム塩は、水性塩酸と接触
させ、PBAの溶液を形成してもよい。MeCNがPBAの溶液に添加されて、MeCN
、水およびPBAの混合物を形成できる。塩が、MeCN、水、およびPBAの混合物に
添加されて、MeCN層および水層を形成してもよく、これらは分離できる。
【0009】
本開示のなおさらなる別の実施形態は、塩を、4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−
フェニルボロン酸を含むMeCN/水混合物に添加する工程を含むプロセスによって生成
される4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を含む。4−クロロ−2
−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸は、MeCN層に分配されてもよく、これは水
性層から分離される。詳細な実施形態において、4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−
フェニルボロン酸の収率は、約90%を超える。
【発明を実施するための形態】
【0010】
4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸、例えばPBAを単離する方
法が開示される。4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸は、3−クロ
ロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン化合物をアルキルリチウム化合物と反応させる工程
、得られたリチウム化ベンゼンを求電子性ボロン酸誘導体試薬でクエンチする工程、およ
び得られたボロン酸誘導体を加水分解する工程によって合成されてもよい。4−クロロ−
2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸は、塩をそこに添加することによって水およ
び水混和性有機溶媒の混合物から単離できる。水および水混和性有機溶媒の層を分離した
後、4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の水混和性有機溶媒の溶液
が得られる。塩を水および水混和性有機溶媒の混合物に添加することによって、4−クロ
ロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の収率が改善され得る。4−クロロ−2
−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の溶液は、追加反応、例えばカップリングまた
はエステル化反応において、追加の作用、例えば濃縮または単離作用を行うことなく、直
接使用されてもよい。4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を固体と
して回収することを削減することによって、4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェ
ニルボロン酸は、より少ないユニット操作を利用して合成され得る。
【0011】
3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン化合物、アルキルリチウム化合物、およ
び求電子性試薬から4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を調製する
ための反応スキームを以下に示す:
【化1】

式中、XはF,ORまたはNRであり、YはHまたはFであり、R、R
よびRのそれぞれは、独立にC−Cアルキル基である。アルキル基は、メチル、エ
チル、1−メチルエチル、プロピル、シクロプロピル、ブチル、1,1−ジメチルエチル
、シクロブチル、1−メチルプロピルまたは2−メチルプロピルを含む直鎖、分岐鎖、ま
たは環状基であってもよい。アルキル基はまた、ノルマル(n)、イソ(i)、二級(s
)、または三級(t)アルキル基を指す場合がある。反応生成物は、水性塩基と接触させ
、続いて水性酸と接触させて、4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸
を生成してもよい。
【0012】
1つの実施形態において、PBAは、2,6−CFAをn−BuLiおよびB(OMe
と接触させることによって、2,6−CFAから合成される。2,6−CFA、n−
BuLi、およびB(OMe)からPBAを合成するための反応スキームを以下に示す

【化2】

本明細書の種々の実施形態では、2,6−CFA、n−BuLi、およびB(OMe)
からのPBAの合成および単離が記載されているが、他の4−クロロ−2−フルオロ−
3−置換−フェニルボロン酸が、異なる出発材料を利用することによって同様の様式で合
成されてもよい。
【0013】
PBAを合成するために、2,6−CFAまたは別の3−クロロ−1−フルオロ−2−
置換ベンゼン化合物を、アルキルリチウム化合物、例えばn−BuLiおよび求電子性試
薬、例えばB(OMe)と、反応容器中で接触させてもよい。2,6−CFAは、本明
細書において詳細には記載されない従来の技術によって生成されてもよい。反応は、2,
6−CFAが少なくとも部分的に可溶性である不活性有機溶媒中で行われてもよい。不活
性な有機溶媒は、C−Cの直鎖、分岐鎖、または環状炭化水素溶媒、例えばペンタン
、ヘキサン、シクロヘキサン、イソ−オクタン、エーテル、またはこれらの組み合わせで
あってもよい。エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン
、またはグリコールエーテル、例えば1,2−ジメトキシエタン(DME)を挙げること
ができるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、有機溶媒はDMEである
。2,6−CFAは、不活性な有機溶媒中に実質的に可溶性であってもよく、2,6−C
FA溶液を形成し、ここで2,6−CFAは不活性な有機溶媒中に実質的に溶解している
。PBAを合成する方法は、米国特許第7,611,647B2号明細書に開示されてお
り、この内容は参考として本明細書に組み込まれる。
【0014】
アルキルリチウム化合物としては、MeLi、n−BuLi、またはs−BuLiを挙
げることができるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、アルキルリチウ
ム化合物はn−BuLiである。アルキルリチウム化合物は、市販されている。少なくと
も1モル当量のアルキルリチウム化合物が、2,6−CFAに対して使用されてもよい。
完全な反応を確実にするために、アルキルリチウム化合物が、2,6−CFAに対してわ
ずかに過剰で、例えば2,6−CFAに対して約1%〜約10%モル過剰、または2,6
−CFAに対して約2%〜約5%モル過剰で添加されてもよい。
【0015】
アルキルリチウム化合物を用いるリチウム化反応は、無水条件下で行うことができる。
リチウム化反応は約−100℃〜約−30℃の温度で行われてもよい。2,6−CFA溶
液は、アルキルリチウム化合物の添加前にこの範囲内の温度に冷却され、または維持され
てもよい。反応温度はまた、アルキルリチウム化合物の添加の間、この温度範囲内に維持
されてもよい。2,6−CFAおよびアルキルリチウム化合物は、この温度範囲内の反応
温度を維持しながら、2,6−CFAを脱プロトン化するのに十分な時間反応させてもよ
い。反応は、脱プロトン化が実質的に完了するまで撹拌しながら進行させてもよい。リチ
ウム化反応は、大気圧以上で行われてもよい。反応は、不活性な雰囲気下、例えば反応中
、反応容器に窒素(N)または他の不活性ガスを流すことによって、行われてもよい。
【0016】
リチウム化反応は、1−フルオロ置換基に隣接する開放位置にて、3−クロロ−1−フ
ルオロ−2−置換ベンゼン化合物の炭素原子を脱プロトン化できる。リチウムが1−フル
オロ置換基に隣接する炭素原子に結合した中間体化合物が形成される。次いでリチウム化
3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン化合物は、求電子性試薬と接触させてもよ
く、これが3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン化合物のC6位にて反応する。
Z基の供給源として機能する求電子性試薬は、3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベン
ゼン化合物のC6に結合することになる。求電子性試薬は、トリアルキルボレート、例え
ばB(OMe)であってもよい。1つの実施形態において、求電子性試薬は、B(OM
e)であり、これは3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン化合物のC6と反応
して、ボロン酸エステルを生成する。リチウム化3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベ
ンゼン化合物を含む反応混合物は、求電子性試薬を添加する前に、例えば約−100℃〜
約−30℃に冷却されてもよい。求電子性試薬は、約−65℃以下に反応混合物の温度を
維持しながら、徐々に添加されてもよい。反応混合物は、求電子性試薬が、リチウム化3
−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン化合物と反応するのに十分な時間反応させて
もよい。求電子性試薬との反応の間、反応混合物の温度は、室温(約20℃〜約25℃)
に徐々に上昇させてもよい。
【0017】
水性塩基が、室温にて反応混合物に添加されてもよい。水性塩基としては、3−クロロ
−1−フルオロ−2−置換ベンゼン化合物、アルキルリチウム化合物および求電子性試薬
の反応生成物を加水分解するのに十分な強度を有する塩基を挙げることができる。塩基は
、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはこれらの組み合わせを挙げることができる
が、これらに限定されない。水性塩基および反応混合物は、塩基が、3−クロロ−1−フ
ルオロ−2−置換ベンゼン、アルキルリチウム化合物、および求電子性試薬の反応生成物
を加水分解するのに十分な時間撹拌されてもよい。次いで反応混合物は、有機相および水
性相(水性塩基)が区別可能な層に分離される容器に移されてもよく、次いでこれらは分
離される。例として、この容器は、分液漏斗であってもよい。有機層は廃棄されてもよい
が、3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン、アルキルリチウム化合物、および求
電子性試薬の反応生成物の帯電種を含むDME/水層は、有機溶媒、例えばt−ブチルメ
チルエーテル(TBME)の少なくとも1体積と接触させて、不要な有機不純物を除去し
てもよい。
【0018】
3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン、アルキルリチウム化合物、および求電
子性試薬の反応生成物の帯電種を含む水性層は、酸性化され、水混和性有機溶媒で希釈さ
れてもよい。水性層は、酸性化され、次いで水混和性有機溶媒で希釈されてもよく、また
は水混和性有機溶媒で希釈され、次いで酸性化されてもよい。水性酸は、水性層に添加さ
れてもよく、3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン、アルキルリチウム化合物、
および求電子性試薬の反応生成物の帯電種をプロトン化し、PBAまたは他の4−クロロ
−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を生成する。水性酸の酸は、帯電された種
をプロトン化するために十分な強度を有するべきである。1つの実施形態において、酸は
、塩酸(HC1)であってもよく、水性酸としては6MのHC1が挙げられる。3−クロ
ロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン、アルキルリチウム化合物および求電子性試薬の反
応生成物の帯電種に対して等モル量の酸を使用してもよい。しかし、完全なプロトン化を
確実にするために、過剰の酸が使用されてもよい。一旦プロトン化されたら、PBAまた
は他の4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸は、水性層中のその可溶
性に関して、水混和性有機溶媒中に実質的に可溶性であってもよい。
【0019】
3−クロロ−1−フルオロ−2−置換ベンゼン、アルキルリチウム化合物および求電子
性試薬の酸性化反応生成物を含む水性層は、水混和性有機溶媒、例えばMeCNで希釈さ
れてもよい。水混和性有機溶媒はまた、後続反応に対して適合性であってもよく、この反
応に4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を供するので結果として溶
媒交換が行われる必要はない。本明細書の実施形態は水混和性有機溶媒をMeCNとして
記載するが、他の水混和性有機溶媒が使用されてもよい。MeCNおよび水が実質的に混
和性であるので、区別可能な水性層および有機層は形成されない場合がある。しかし、1
−フルオロ(フルオロ)−2−置換−3−クロロベンゼン、アルキルリチウム化合物およ
び求電子性試薬の酸性化反応生成物を含有するMeCN/水混合物の塩含有量が十分高い
場合、区別可能な水性層およびMeCN層が形成され得る。
【0020】
PBAまたは他の4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を単離する
ために、塩がMeCN/水混合物に添加されてもよい。塩は、塩化ナトリウム、塩化カリ
ウム、塩化カルシウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム
、塩化アンモニウム、またはこれらの組み合わせであってもよい。単純化のために、塩の
金属は、水性塩基に使用される塩基の金属と同じ金属であってもよい。例として、塩基が
水酸化ナトリウムである場合、塩はナトリウム塩であってもよい。同様に、塩基が水酸化
カリウムである場合、塩はカリウム塩であってもよい。塩の添加は、MeCN/水混合物
に直接固体形態の塩を添加することによって、または水性塩溶液をMeCN/水混合物に
添加することによって生じ得る。水性塩溶液は、水中の塩の飽和溶液であってもよい。例
として、塩が塩化ナトリウムである場合、水性塩溶液は、ブライン溶液であってもよく、
これは約20重量%〜約27重量%の水中の塩化ナトリウム、例えば約25重量%の塩化
ナトリウムを含む。ブライン溶液はまた、飽和塩化ナトリウム溶液としても既知であり得
る。塩をMeCN/水混合物に添加する際、塩は、水を飽和してもよく、区別可能な水性
層および有機層を形成させる。MeCN/水混合物の塩含有量に依存して、2つの区別可
能な層は、塩の添加なしに形成されてもよい。しかし、2つの区別可能な層が形成された
としても、追加の塩を添加して、水が塩で飽和されることを確実にしてもよい。水の塩に
よる飽和を最大限にすることによって、PBAまたは他の4−クロロ−2−フルオロ−3
−置換−フェニルボロン酸のMeCN/水混合物からの回収が最大化され得る。塩の添加
によりまた、PBAまたは他の4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸
がMeCNに分配され得る。MeCNおよび水性層(水性溶液)は、MeCN中の溶液中
のPBAまたは4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の実質的にすべ
てと分離されてもよい。水性溶液中に残留するいずれかのPBAまたは4−クロロ−2−
フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸を回収するために、水性溶液は、追加の体積のM
eCNと接触させてもよい。次いで複数体積のMeCNを合わせてもよく、得られたPB
Aまたは4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の収率を増大させる。
【0021】
以下で詳述される反応スキームに示されるように、2,6−CFAは、無水DME中の
n−BuLiでリチウム化されてもよく、2,6−CFAのリチウム化誘導体(Li−2
,6−CFAを形成する:
【化3】

次いでB(OMe)を添加してもよく、反応混合物が室温まで徐々に加温され、Li
−2,6−CFAのボロン酸誘導体(PBA−diMe)が形成されてもよい。水酸化ナ
トリウムの水溶液を室温にてPBA−diMeに添加してもよく、PBA−diMeの帯
電したナトリウム誘導体(PBA−Na)が形成される。撹拌後、PBA−Naは、分液
漏斗に移してもよく、ここで水性層および有機層を分離させる。水性層は、TBMEで洗
浄されて、未反応2,6−CFAが除去されてもよい。PBA−Naを含む水性層を三角
フラスコに移し、MeCNで希釈してもよく、混合物を6Mの水性HClの滴下によって
酸性化して、PBAを形成してもよい。あるいは、PBA−Naを含む水性層は、6Mの
水性HClの滴下によって酸性化され、次いでMeCNで希釈され、PBAを形成しても
よい。MeCNは水に混和性であるので、区別可能な水性層および有機層は形成されない
場合がある。飽和NaCl溶液またはNaCl固体が添加されて、水性層を塩で飽和する
ことによって、水性層および有機層の形成を補助してもよい。MeCN/水混合物の塩含
有量に依存して、2つの区別可能な層は、NaClを添加することなく形成されてもよい
。しかし、2つの区別可能な層が形成されたとしても、追加のNaClが添加されて、水
性層がNaClで飽和されることを確実にしてもよい。MeCNおよび水性層が分離され
てもよく、水性層は追加の体積のMeCNで抽出されてもよい。MeCN中のPBAまた
は4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の収率を決定するために、M
eCNが、例えばエバポレーションによって除去されてもよい。得られた白色固体はさら
に、真空オーブン中で乾燥されて、PBAまたは4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−
フェニルボロン酸の約90%より大きい収率を得ることができる。PBAまたは4−クロ
ロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸の純度は、約90%を超え、例えば約9
5%を超え、または約98%を超えてもよい。比較として、塩を添加することなく、PB
Aまたは4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸がMeCN/水混合物
から単離される場合、得ることができるPBAまたは4−クロロ−2−フルオロ−3−置
換−フェニルボロン酸の純度はより低く、例えば約80%収率である。あるいは、PBA
または4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸は、MeCN中の溶液に
留まることがあり、さらに濃縮または乾燥されることなく、後続反応に直接使用されても
よいので、プロセス全体のユニット操作の数を低減する。この場合のPBAの収率は、内
部標準を用いてGCによって決定される。
【0022】
例として、PBAまたは4−クロロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸のM
eCN中の溶液は、スズキカップリング反応に利用されてもよい。PBAまたは4−クロ
ロ−2−フルオロ−3−置換−フェニルボロン酸は、MeCN中の1,3−プロパンジオ
ールでエステル化され、(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−[1,
3,2]−ジオキサボリナン(PBE)を良好な収率、例えば約95%以上で生成しても
よい。MeCN中のPBAはまた、PBEを最初に生成することなく、スズキカップリン
グ反応に直接使用されてもよい。スズキカップリング反応は、当該技術分野において既知
であり、そのため本明細書において詳細に記載されない。PBEは、例えば除草剤として
有用な6−(4−クロロ−2−フルオロ−3メトキシフェニル)−4−アミノピコリネー
ト化合物または2−(4−クロロ−2−フルオロ−3メトキシフェニル)−6−アミノ−
4−ピリミジンカルボン酸化合物の形成における中間体として使用されてもよい。PBE
の6−(4−クロロ−2−フルオロ−3メトキシフェニル)−4−アミノピコリネート化
合物または2−(4−クロロ−2−フルオロ−3メトキシフェニル)−6−アミノ−4−
ピリミジンカルボン酸化合物への転化は、当該技術分野において既知であり、そのため本
明細書では詳細には記載しない。
【0023】
飽和塩溶液は、液体/液体抽出に使用されているが、飽和塩溶液は、有機溶媒から水を
除去するための初期洗浄液として使用でき、追加の水が、硫酸マグネシウム(MgSO
)を用いて有機溶媒から除去される。対照的に、本開示の方法に利用される飽和塩溶液は
、2つの混和性溶媒、すなわち水性溶液およびMeCNを含む混合物中の区別可能な有機
層および水性層を生成するために使用され得る。水およびMeCNは、実質的に混和性で
あり、液体/液体抽出をこうした混合物に対して行うことは困難である。しかし、塩を添
加して混合物の水性層を飽和させることによって、水およびMeCNを区別可能な水性層
および有機層に分離でき、次いでこれが容易に分離される。塩を水性層に添加することに
より、水性層中のMeCNの溶解性を低下させ、この結果としてMeCN層に分配される
PBAの量が増大し、ひいては回収され得るPBAの量を増大させる。水性および有機層
を分離する能力はまた、得ることができるPBAまたは4−クロロ−2−フルオロ−3−
置換−フェニルボロン酸の収率を改善する。
【実施例】
【0024】
以下の実施例は、より詳細に本開示の実施形態を説明するために作用する。これらの実
施例は、本発明の範囲について包括的または排他的に解釈されるべきではない。
【0025】
実施例1
PBAのMeCNからの単離 2,6−CFA(10.0g,62.28mmol)を
別個のフラスコに計量し、熱電対温度プローブ、撹拌棒、およびN入口を備えた3ツ口
の500ml丸底フラスコに移した。フラスコを無水DMEですすいだ。追加のDMEを
反応フラスコに添加し、106mlのDME総体積を得た。反応をドライアイス/アセト
ン浴を用いて−78℃に冷却した。反応が−77℃に到達したら、n−BuLi(29m
l,71.62mmol,ヘキサン中2.5M)をシリンジポンプを用いて45分間かけ
て徐々に滴下した。添加中に到達した最も高い温度は、−70.1℃であった。n−Bu
Liの添加完了後、反応を−74.1℃で1時間撹拌し続けた。1時間後、B(OMe)
(10.5ml,93.42mmol)をシリンジポンプを用いて22分間かけて滴下
した。B(OMe)の添加中に到達した最も高い温度は−67.0℃であった。B(O
Me)の添加完了後、ドライアイス/アセトン浴を取り除き、反応混合物を室温(約2
3.1℃)まで加温した。反応混合物が室温に到達したら、反応をさらにその温度で1時
間撹拌し続けた。添加漏斗を用いて、1NのNaOH(aq)(78ml,77.85m
mol)を反応混合物に滴下した。添加完了後、反応混合物を室温で1時間撹拌した。次
いで反応混合物を500mlの分液漏斗に移し、層を分離させた。水性層をTBME(2
×75ml)で洗浄し、不要な不純物および/または未反応2,6−CFAを除去した。
次いで水性層を6NのHCl(aq)(42ml,249.1mmol)で酸性化し、M
eCN(3×75ml)で抽出した。MeCNの第1の体積(75ml)を添加する際、
水性層および有機層は区別可能に分離した。固体のNaClをMeCN/水混合物に添加
して、水性層が塩で飽和されたことを確実にし、区別可能な水性層および有機層を分離し
た。追加の2体積75mlのMeCNを添加し、区別可能な水性層および有機層を分離し
た。有機層を合わせ、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥し、500mlの丸底フラ
スコに濾過した。反応の収率を決定するために、MeCN中のPBA溶液を減圧下で乾燥
するまで濃縮した。白色固体を55℃の真空オーブンにてさらに乾燥し、11.4g(9
0%収率)のPBAを得た。
【0026】
実施例2
MeCNからのPBAの代替単離 2,6−CFA(10.0g,62.28mmol
)を別個のフラスコに計量し、熱電対温度プローブ、撹拌棒およびN入口を備えた3ツ
口の500mlの丸底フラスコに移した。フラスコを無水DMEですすいだ。追加のDM
E(106mlの総体積)を反応に添加した。反応を、ドライアイス/アセトン浴を用い
て−78℃に冷却した。反応が約−77℃に到達したら、n−BuLi(29ml,71
.62mmol,ヘキサン中2.5M)をシリンジポンプを用いて45分間にわたって徐
々に滴下した。添加中に到達した最も高い温度は、−70.1℃であった。n−BuLi
の添加完了後、反応を−72.1℃にて1時間撹拌し続けた。1時間後、B(OMe)
(10.5ml,93.42mmol)をシリンジポンプを用いて22分間にわたって滴
下した。添加中に到達した最も高い温度は−67.0℃であった。B(OMe)の添加
完了後、ドライアイス/アセトン浴を取り除き、反応混合物を室温まで一晩加温した。次
の朝、反応混合物の温度は22.7℃であった。添加漏斗を用いて、1NのNaOH(a
q)(78ml,77.85mmol)を反応混合物に滴下した。添加完了後、反応混合
物を室温にて1.5時間撹拌した。次いで反応混合物を500mlの分液漏斗に移し、有
機層および水性層を分離した。水性層をTBME(2×75ml)で洗浄し、不要な不純
物および/または未反応2,6−CFAを除去した。水性層を6Nの水性HCl(42m
l,249.1mmol)で酸性化し、次いでMeCN(3×75ml)を添加した。水
およびMeCNは混和性であるので、2つの区別可能な層は区別不可能であった。次いで
固体のNaClを添加して、水性層を飽和させ、結果として2つの区別可能な層:MeC
N層および水性層を形成させ、これらを分離した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し
、500mlの丸底フラスコに濾過した。反応の収率を決定するために、MeCN中のP
BA溶液を減圧下で乾燥するまで濃縮した。白色固体を55℃の真空オーブンにてさらに
乾燥し、11.8g(93%収率)のPBAを得た。
【0027】
実施例3
MeCNからのPBAの代替単離 2,6−CFA(10.0g,62.28mmol
)を別個のフラスコに計量し、熱電対温度プローブ、撹拌棒およびN入口を備えた3ツ
口の500ml丸底フラスコに移した。フラスコを無水DMEですすいだ。追加のDME
(106mlの総体積)を反応に添加した。反応を、ドライアイス/アセトン浴を用いて
−78℃に冷却した。反応が約−72.7℃に到達したら、n−BuLi(29ml,7
1.62mmol,ヘキサン中2.5M)をシリンジポンプを用いて45分間にわたって
徐々に滴下した。添加中に到達した最も高い温度は、−71.5℃であった。n−BuL
iの添加完了後、反応を−71.5℃にて1時間撹拌し続けた。1時間後、B(OMe)
(10.5ml,93.42mmol)をシリンジポンプを用いて22分間にわたって
滴下した。添加中の温度は−65℃未満に維持した。B(OMe)の添加完了後、ドラ
イアイス/アセトン浴を取り除き、反応混合物を室温まで一晩加温した。次の朝、反応混
合物温度は24.9℃であった。添加漏斗を用いて、1NのNaOH(aq)(78ml
,77.85mmol)を反応混合物に滴下した。添加完了後、反応混合物を室温にて1
.5時間撹拌した。次いで反応混合物を500mlの分液漏斗に移し、層を分離した。水
性層をTBME(2×75ml)で洗浄し、未反応2,6−CFAを除去した。水性層を
6Nの水性HCl(42ml,249.1mmol)で酸性化した。100mLのMeC
Nを水性混合物に初期添加し、振とうした。水およびMeCNは混和性であるので、2つ
の区別可能な層は区別不可能であった。ブライン溶液(水中の約25重量%の塩化ナトリ
ウム)を添加し、水性層を飽和させ、結果として2つの区別可能な層:MeCN層および
水性層を形成させ、これらを分離した。水性層をMeCN(2×75mL)で抽出した。
有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、500mlの丸底フラスコに濾過した。反応の収
率を決定するために、MeCN中のPBA溶液を減圧下で乾燥するまで濃縮した。白色固
体を55℃の真空オーブンにてさらに乾燥し、11.3g(89%収率)のPBAを得た
【0028】
実施例4
比較例 無水DME(75ml)中の2,6−CFA(9.6g)の溶液を、磁性攪拌
機、熱電対温度プローブを有するサーモウェル、ラバーセプタムおよびN入口を有する
冷却器を備えた100mlの3ツ口フラスコに調製した。溶液を撹拌し、ドライアイス/
アセトン浴を用いて−71.0℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中の31.5ml
の2.5Mブチルリチウム)の溶液を、シリンジポンプを用いて1.57時間にわたって
徐々に添加し、反応温度を−65℃未満に維持した。反応混合物を−72.0℃〜−73
.4℃の温度にて20分間撹拌し、次いでB(OMe)(10.5ml)をシリンジポ
ンプを用いて43分間にわたって徐々に添加し、温度を−65℃未満に維持した。B(O
Me)の添加完了後、反応混合物を周囲温度まで一晩徐々に加温した。KOH水溶液(
133mlの5.6%水性KOH,約1M)を室温(約23.1℃)にて反応混合物に1
7分間にわたって添加漏斗を用いて滴下した。混合物を60分間撹拌し、次いで分液漏斗
に移し、ここで有機層および水性層を分離させた。水性層をTBME(2×73ml)で
洗浄し、未反応2,6−CFAを除去した。次いで水性層を、250mlの三角フラスコ
に移し、MeCN(76ml)で抽出し、6Mの水性HC1(40ml)を滴下すること
によって酸性化した。有機層(27.87g)を分離し、GCアッセイにより5.00g
のPBAを含有していることがわかった。水性層を追加のアセトニトリル(2×76ml
)で抽出し、2つの追加の有機層(24.88gおよび156.48g)を同様にアッセ
イした。MeCN中に回収された総生成物は9.85g(80.3%収率)であった。K
OH溶液は、この実験において水性塩基として使用され、NaOH溶液を使用した場合に
PBAの収率に差はないことがわかった。
【0029】
本発明は種々の改質および代替形態に影響を受ける場合があるが、特定の実施形態が、
本明細書において例として詳細に記載されている。しかし、本発明は、開示された特定の
形態に限定されることを意図しないことが理解されるべきである。さらに本発明は、以下
の添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内にある、すべての改質、等価
、および代替、ならびにそれらの法的等価のすべてをカバーする。