特許第6505764号(P6505764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6505764
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】内燃機関システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/35 20160101AFI20190415BHJP
   F02M 26/06 20160101ALI20190415BHJP
   F01N 3/04 20060101ALI20190415BHJP
   B01D 47/00 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   F02M26/35 Z
   F02M26/06
   F01N3/04
   B01D47/00 Z
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-52484(P2017-52484)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-180460(P2017-180460A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年5月18日
(31)【優先権主張番号】PA 2016 70161
(32)【優先日】2016年3月18日
(33)【優先権主張国】DK
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597061332
【氏名又は名称】エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・エナジー・ソリューションズ・エスイー・ティスクランド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ネクサ・ニールセン
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−224527(JP,A)
【文献】 特表平08−511074(JP,A)
【文献】 実公昭49−029635(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/35
B01D 47/00
F01N 3/04
F02M 26/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 排ガスを発生する内燃機関(2)と、
− 前記排ガスを受容するように構成された排ガス受容器(3)と、
− 前記排ガスにより駆動されるターボチャージャー(50)と、
− ハウジング(5)を備えるガス処理デバイス(4)であって、前記ハウジング(5)が、頂面(6)、排ガス入口(7)及び出口(8)を有し、前記ガス処理デバイスが、前記排ガス受容器の下流に配置されており、且つプレート状要素(9)を備え、前記プレート状要素(9)が、前記ハウジング(5)の前記頂面(6)に対して垂直に配置されており、且つ前記プレート状要素(9)の頂端部(11)にある頂縁部(10)と、底端部(12)と、前記排ガス入口(7)に面する第1の縁部(14)と、前記出口(8)に面する第2の縁部(15)と、を有し、前記プレート状要素(9)が、前記排ガス入口(7)と前記出口(8)との間のプレート延在範囲(16)であって、前記排ガスが、前記排ガス入口(7)から前記出口(8)まで前記プレート状要素(9)に沿って流れることを保証する、プレート延在範囲(16)と、前記プレート状要素(9)の前記第2の縁部(15)に配置されている液滴捕捉部(17)と、を有する、ガス処理デバイス(4)と、
を備える内燃機関システム(100)であって、
前記ガス処理デバイス(4)が、前記プレート状要素(9)の前記頂縁部(10)の一部に沿って液体を供給するように構成された液体供給部(18)を備え、これにより、前記液体が、前記頂端部(11)から前記プレート状要素(9)の前記底端部(12)に向かって流れることを保証し、
前記排ガスは、排ガス受容器(3)の下流において、排ガス再循環ストリング(48)及びターボチャージャーストリング(49)内に分けられ
前記プレート状要素(9)には、前記プレート延在範囲(16)に沿って1つ以上の湾曲部(26)が設けられ、前記プレート状要素(9)の第2の部分(28)は、ガス流れの方向に関して前記プレート状要素(9)の第1の部分(27)の下流に位置しており、且つ前記第1の部分(27)の湾曲部よりも大きい湾曲部(26)を備えていることを特徴とする内燃機関システム(100)。
【請求項2】
前記プレート状要素(9)が、第1の面(21)及び第2の面(22)を有し、前記液体供給部(18)が、前記第1の面(21)及び前記第2の面(22)双方に液体を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項3】
複数のプレート状要素(9)が、前記ハウジング(5)内に配置され、前記複数のプレート状要素(9)の間が、前記排ガスのための流路(23)を形成するために相互距離(d)離間していることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項4】
前記液体供給部(18)が、前記頂縁部(10)の少なくとも25%に沿って、好ましくは前記頂縁部(10)の少なくとも50%に沿って、より好ましくは前記頂縁部(10)の少なくとも75%に沿って、液体を供給することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項5】
前記ハウジング(5)の前記頂面(6)が、液体容器(24)の一部であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項6】
前記頂面(6)が、前記プレート状要素(9)に対向して配置された貫通スロット(25)を有することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項7】
前記プレート状要素(9)が、前記貫通スロット(25)内に突出していることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項8】
前記液体が、水(HO)と水酸化ナトリウム(NaOH)との混合物であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の内燃機関システム(100)。
【請求項9】
前記プレート状要素(9)の前記第1の縁部(14)が、入口範囲(AI)を規定し、前記入口範囲(AI)が、0.5m〜20mの間であることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスを発生する内燃機関と、排ガスを受容するように構成された排ガス受容器と、ガス処理デバイスと、を備える内燃機関システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼機関は、さまざまな汚染量を発生し、この汚染量は、多くの方法で減少させることができる。1つの方法は、所定の量の排ガスを再循環させ、それにより燃焼プロセス中のNOxの形成を減少させることである。
【0003】
排ガスを再循環させる前に、温度は、下げられなければならず、且つ粒子及び硫黄に対して処理されなければならず、これによりエンジンの損傷を防止する。排ガスを処理する1つの方法は、NaOH/水が排気再循環(EGR)ガス内に噴射されるプレスクラバ処理によるものである。蒸発中に、SOエアロゾル、煤及び塩粒子が形成され、これらは、その後、ガスが掃気ガスとしてエンジンに送られる前に次のスクラバで取り除かれる。このプロセスを改善するために、公知のスクラバ/フィルタを補うことができるか又は置換することさえできる別の解決法が必要とされており、これは、プレスクラバ処理中に形成された高い粒子含有量に起因して、すでに公知のフィルタ技術が非常に速く詰まるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の従来技術の不利点及び欠点を完全に又は部分的に克服することである。より具体的に、本発明の目的は、公知のスクラバよりも効果的にSOエアロゾル、塩及び煤粒子の形成を取り除いて防止する改良されたガス処理デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的と、以下の説明から明らかになる多くの他の目的、利点及び特徴と、は、
− 排ガスを発生する内燃機関と、
− 排ガスを受容するように構成された排ガス受容器と、
− ハウジングを備えるガス処理デバイスであって、ハウジングが、頂面、排ガス入口及び出口を有し、ガス処理デバイスが、排ガス受容器の下流に配置されており、且つプレート状要素を備え、プレート状要素が、ハウジングの頂面に対して垂直に配置されており、且つプレート状要素の頂端部にある頂縁部と、底端部と、排ガス入口に面する第1の縁部と、出口に面する第2の縁部と、を有し、プレート状要素が、排ガス入口と出口との間のプレート延在範囲であって、排ガスが、排ガス入口から出口までプレート状要素に沿って流れることを保証する、プレート延在範囲と、プレート状要素の第2の縁部に配置されている液滴捕捉部と、を有する、ガス処理デバイスと、
を備える内燃機関システムであって、
ガス処理デバイスが、プレート状要素の頂縁部の一部に沿って液体を供給するように構成された液体供給部を備え、これにより、液体が、頂端部からプレート状要素の底端部に向かって流れることを保証する内燃機関システムによって、本発明に従った解決法によって達成される。
【0006】
上述したガス処理デバイスが、排ガス受容器と流体接続されてもよい。
【0007】
一実施形態では、プレート状要素が、第1の面及び第2の面を有し、液体供給部が、第1の面及び第2の面双方に液体を供給するように構成されてもよい。
【0008】
別の実施形態では、複数のプレート状要素が、ハウジング内に配置され、複数のプレート状要素の間が、排ガスのための流路を形成するために相互距離離間していてもよい。
【0009】
上述した距離が、気流速度及び許容可能な圧力損失に依存してもよく、エンジン形態に依存してもよい。
【0010】
また、ハウジングが、プレート延在範囲に対して垂直な断面を有し、プレート状要素が、断面に沿って均一に分配されてもよい。
【0011】
さらに、一つおきのプレート状要素が、液滴捕捉部が排ガス入口から出口までハウジング延在範囲に沿って配置されるように、隣り合うプレート状要素よりも長いプレート延在範囲を有してもよい。
【0012】
一実施形態では、液体供給部が、頂縁部の少なくとも25%に沿って、好ましくは頂縁部の少なくとも50%に沿って、より好ましくは頂縁部の少なくとも75%に沿って、液体を供給してもよい。
【0013】
別の実施形態では、ハウジングの頂面が、液体容器の一部であってもよい。
【0014】
上述した頂面が、プレート状要素に対向して配置された貫通スロットを有してもよい。
【0015】
貫通スロットが、液体分配チャネルを形成してもよい。
【0016】
さらに、プレート状要素が、貫通スロット内に突出してもよい。
【0017】
追加的に、貫通スロットが、所定の幅を有し、プレート状要素が、所定の厚さを有し、所定の幅が、液体流動通路がプレート状要素とスロットの間に設けられるように、所定の厚さよりも大きくてもよい。
【0018】
さらに、貫通スロットが、プレート状要素の頂縁部に対向して配置されてもよい。
【0019】
さらに、複数の導管が、設けられ、導管が、プレート状要素の頂縁部に面するように構成された開口部を有してもよい。
【0020】
一実施形態では、液体供給部が、予め決定された流量でプレート状要素に液体を搬送し、流量が、排ガスの速度に応じて調節されてもよい。
【0021】
別の実施形態では、液体冷却ユニットが、液体が液体供給部に送られる前に液体を冷却するように構成されてもよい。
【0022】
さらに別の実施形態では、収集容器が、プレート状要素の底縁部の下方に配置されてもよい。
【0023】
また、液体が、水と水酸化ナトリウムとの混合物であってもよい。
【0024】
さらに、1つ以上のプレート状要素には、プレート延在範囲に沿って1つ以上の湾曲部が設けられてもよい。
【0025】
湾曲部が、1つ以上のプレート状要素の第2の端部に最も近いときに最も大きくてもよい。
【0026】
一実施形態では、プレート状要素の第1の縁部が、入口範囲を規定し、入口範囲が、0.5m〜20mであり、好ましくは1.5m〜5.0mであってもよい。
【0027】
別の実施形態では、液滴捕捉部が、第2の縁部の少なくとも75%に沿って配置されてもよい。
【0028】
液滴捕捉部が、底縁部から第2の縁部に沿って上方に配置されてもよい。底縁部から第2の縁部に沿って上方に液滴捕捉部を配置することによって、完全な収集が保証される。
【0029】
上述した液滴捕捉部が、V字状断面又はU字状断面を有してもよい。
【0030】
さらに、排ガスが、SOエアロゾル、塩及び煤粒子を含んでもよい。
【0031】
本発明による内燃機関システムが、さらに、プレスクラバを備えてもよい。
【0032】
さらに、ガス処理デバイスが、プレスクラバの下流に配置されてもよい。
【0033】
また、内燃機関システムが、ウォーターミスト捕捉器を備えてもよい。
【0034】
追加的に、ガス処理デバイスが、ウォーターミスト捕捉器の上流に配置されてもよい。
【0035】
一実施形態では、内燃機関システムが、冷却ユニットを備えてもよい。
【0036】
ガス処理デバイスが、冷却ユニットの上流又は下流で、冷却ユニットに隣り合って配置されてもよい。
【0037】
別の実施形態では、内燃機関システムが、冷却ユニットの下流に配置されたスクラバをさらに備えてもよい。
【0038】
さらに別の実施形態では、内燃機関システムが、ターボチャージャーを備えてもよい。
【0039】
さらに、ガス処理デバイスが、ターボチャージャーの下流に配置されてもよい。
【0040】
また、冷却ユニットが、ターボチャージャーの下流に配置され、ガス処理デバイスが、冷却ユニット及びターボチャージャーそれぞれの下流に配置されてもよい。
【0041】
さらに、排ガスが、排ガス受容器の下流で、排ガス回収ストリング及びターボチャージャーストリング内に分けられてもよい。
【0042】
加えて、ガス処理デバイスが、排ガス回収ストリング及び/又はターボチャージャーストリングと流体接続されてもよい。
【0043】
内燃機関システムが、掃気ガス受容器をさらに備えてもよい。
【0044】
上述した掃気ガス受容器が、内燃機関と流体接続されてもよい。
【0045】
追加的に、ガス処理デバイスが、掃気ガス受容器の上流に配置されてもよい。
【0046】
さらに、複数のガス処理デバイスが、内燃機関システム内に配置されてもよい。
【0047】
さらに、2つのガス処理デバイスが、連続して配置されてもよい。
【0048】
最後に、内燃機関が、2ストローク内燃機関であってもよい。
【0049】
本発明及び本発明の多くの利点が、添付の概略的な図を参照して以下でより詳細に説明される。これらの図は、説明のために、いくつかの非限定的な実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明による内燃機関を有するエンジンシステムの概略図を示す。
図2】ガス処理デバイスの斜視図を示す。
図3】ガス処理デバイスのプレート状要素の斜視図を示す。
図4】頂面のない状態で図1のガス処理デバイスを示す。
図5】内燃機関システムの他の実施形態の概略図を示す。
図6】内燃機関システムの他の実施形態の概略図を示す。
図7】内燃機関システムの他の実施形態の概略図を示す。
図8】内燃機関システムの他の実施形態の概略図を示す。
図9】内燃機関システムの他の実施形態の概略図を示す。
図10】別のガス処理デバイスの斜視図を示す。
図11】ガス処理デバイスを有する内燃機関システムの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
すべての図は、極めて概略的であり、必ずしも縮尺通りではなく、それら図は、本発明を明らかにするために必要なこれらパーツのみを示し、他のパーツは、省略されるか、又は単に示唆される。
【0052】
図1は、内燃機関2を有する内燃機関システム100を示し、内燃機関2は、燃料、例えば重油、ガス又はディーゼルによって動力を与えられ、且つ排ガスを発生する。内燃機関システム100は、排ガスを受容するように構成された排ガス受容器3と、排ガスを処理するためのガス処理デバイス4と、をさらに備えている。ガス処理デバイス4は、排ガス再循環プロセスのために排ガスの一部を受容する排ガス受容器3の下流に配置され、排ガスの他の部分は、圧縮機52を駆動するために排ガスによって駆動されるタービン51を有するターボチャージャー50を駆動するために使用される。従って、排ガスは、排ガス受容器3の下流で、排ガス再循環ストリング48及びターボチャージャーストリング49内に分けられる。
【0053】
内燃機関システム100は、プレスクラバ31をさらに備え、プレスクラバ31内では、排ガスが、エアロゾル、塩粒子、液滴及びSO粒子を形成するガス中に水(HO)及び水酸化ナトリウム(NaOH)の混合物を噴出することによって、処理される。ガス処理デバイス4は、プレスクラバ31内で形成されたエアロゾル、塩粒子、液滴及びSO粒子を取り除くために、プレスクラバ31の下流に配置されている。ガス処理デバイス4の下流では、ガスは、冷却ユニット32内で冷却され、この冷却は、掃気ガス受容器37内で受容される前にガス中の残存する液滴を捕捉するために、ガスが、スクラバ33内に、続いて、ウォーターミスト捕捉器(WMC)34内に流れる前になされる。ブロワ35が、ガスが掃気ガス受容器37内で受容されて内燃機関2に再び送られる前に、ガスの圧力を増大させるために配置されている。ターボチャージャー50の圧縮機52からのガスは、同様に第2の冷却ユニット38で冷却され、液滴は、掃気ガス受容器37に送られる前に第2のウォーターミスト捕捉器39で捕捉される。第1のバルブ41が、圧縮機52からのガスを一部の方向を変えるように構成され、第2のバルブ42が、切換バルブであり、第3のバルブ43が、プレスクラバ31の上流に配置され、且つシャットダウンバルブである。
【0054】
図2のガス処理デバイス4は、頂面6と排ガス入口7と出口8とを有するハウジング5を備え、また、ガス処理デバイス4は、ハウジング5の頂面6に対して垂直な直立位置に配置された複数のプレート状要素9を備えている。図3に示されるように、各プレート状要素9は、プレート状要素9の主要面である第1の面21及び第2の面22を有する。プレート状要素9は、プレート状要素9の頂端部11にある頂縁部10と、底端部12と、図2においてハウジング5の排ガス入口7に面する第1の縁部14と、ハウジング5の出口8に面する第2の縁部15と、を有する。プレート状要素9は、図2に示されるように、排ガスが排ガス入口7から出口8へプレート状要素9に沿って流れることを保証するために、排ガス入口7と出口8との間にプレート延在範囲16を有し、液滴捕捉部17が、プレート状要素9に沿って流れる液滴を捕捉するために、プレート状要素9の第2の縁部15に配置され、これにより、液滴が第2の縁部15においてガスに再び入らないことを保証する。ガス処理デバイス4は、液体供給部8をさらに備え、液体供給部8には、図3に示されるプレート状要素9の頂縁部10の一部に沿って液体を供給するように構成された(図2に示される)1つ以上のフランジ19を介してNaOH水溶液が送られ、これにより、液体が、プレート延在範囲16に沿う排ガスの流れ方向に対して垂直に頂端部11からプレート状要素9の底端部12に向かって流れることを保証する。液体供給部18は、各プレート状要素9の第1の面21及び第2の面22双方に液体を供給するように構成され、液体供給部18は、頂縁部の少なくとも25%に沿って、好ましくは頂縁部の少なくとも50%に沿って、より好ましくは頂縁部の少なくとも75%に沿って液体を供給し、これにより、プレート状要素9の第1の面21及び第2の面22に沿って流れ落ちる薄い液体層を提供する。図2で分かるように、ハウジング5の頂面6は、液体供給部18の液体容器24の一部を形成し、頂面6は、液体容器24の底部の一部を形成する。
【0055】
図3では、プレート状要素9には、プレート延在範囲16に沿っていくつかの湾曲部26が設けられ、湾曲部26は、湾曲部26がプレート状要素9の第2の端部に最も近いときに最も大きくなるように、プレート延在範囲16及び流れ方向に沿って大きくなる。このようにして、最も大きな粒子及び液滴は、プレート状要素9に対して発射されることなく且つ衝突することなく、第1の縁部14に最も近いプレート状要素9の第1の部分27で捕捉され、それにより、ガスが沿って流れるときに捕捉される。また、プレート状要素9が、第1の部分27においてより大きい湾曲部26を有する場合、排ガス中の液滴及び粒子は、プレート状要素9内に、より直接的に流れ、従って、プレート状要素9に対して衝突し、これにより、液滴及び/又は粒子がプレート状要素9上でとどまって液滴捕捉部17内に流れる代わりに、液滴及び/又は粒子がすぐに分かれてガスに再び入るという高いリスクを誘発する。より小さい液滴、粒子及び/又はエアロゾルは、プレート状要素9の第2の部分28においてより大きい湾曲部26でさらに下流で捕捉される。液滴捕捉部17は、底端部12から第2の縁部15に沿って上方に、第2の縁部15の少なくとも75%に沿って配置されている。液滴捕捉部17は、V字状断面又はU字状断面を有する。
【0056】
図4のガス処理デバイス4は、ハウジング6内に配置された複数のプレート状要素9を備え、複数のプレート状要素9の間は、排ガスのための流路23を形成するために相互距離d離間している。このようにして、排ガスは、各プレート状要素9に沿って流され且つその湾曲部26をたどらされる。ハウジング5は、プレート延在範囲16に対して垂直な断面を有し、プレート状要素9は、断面に沿って均一に分配されている。一つおきのプレート状要素9は、隣り合うプレート状要素9よりも長いプレート延在範囲16を有し、これにより、液滴捕捉部17が、排ガス入口7から出口8までハウジング延在範囲29に沿って配置されることを保証する。
【0057】
図10では、ガス処理デバイス4のハウジング5の頂面6は、プレート状要素9に対向して配置された貫通スロット25を有し、貫通スロット25は、液体分配チャネル30を形成する。スロット25は、プレート状要素9の頂縁部10に対向して配置される。スロット25は、所定の幅wを有し、プレート状要素9は、所定の厚さtを有し、所定の幅wは、液体分配チャネル30がプレート状要素9とスロット25との間に設けられることを保証するために、所定の厚さtよりも大きい。従って、液体供給部18の液体容器24内の液体は、スロット25とスロット25内に突出するプレート状要素9との間に形成された液体分配チャネル30を通じて流れ、プレート状要素9に沿って流れ落ちる。収集容器44が、プレート状要素9の底端部12の下方に配置されている。別の実施形態では、ガス処理デバイス4は、代わりに、プレート状要素9の頂縁部10に面するように構成された開口部を有する複数の導管を有する。そして、導管は、液体供給部18に流体接続されている。
【0058】
図10におけるプレート状要素9の第1の縁部14は、入口範囲Aを規定し、入口範囲は、排ガス入口7よりも大きい。入口範囲Aは、0.5m〜20mであり、好ましくは1.5m〜5.0mである。
【0059】
液体供給部18は、予め決定された流量でプレート状要素9に液体を搬送し、流量は、排ガスの速度に応じて調節される。液体は、水(HO)と水酸化ナトリウム(NaOH)との混合物である。
【0060】
図1及び図5では、ガス処理デバイス4が、ウォーターミスト捕捉器34の上流に配置されている。図5では、ガス処理デバイス4は、(図1に示される)プレスクラバ31又はスクラバ33の代わりに排ガス受容器3と直接流体連通して配置されている。従って、ガス処理デバイス4は、ガスが冷却ユニット32内に及びウォーターミスト捕捉器34上に流れる前に、1つのプロセスステップのみによって排ガスを浄化する。ガス処理デバイス4は、冷却ユニット32の上流で冷却ユニット32と隣り合って配置されている。
【0061】
図6では、ガス処理デバイス4は、冷却ユニット32に隣り合って且つ冷却ユニット32の下流に配置されている。内燃機関システム100は、冷却ユニット32の上流でプレスクラバ31を備え、このため、排ガスが、ガス処理デバイス4内に入る前に、プレスクラバ31内で予め処理されて冷却ユニット32内で冷却される。従って、内燃機関システム100は、ウォーターミストがガス処理デバイス4内で捕捉されるので、排ガス再循環ストリング48に沿って(図1に示される)ウォーターミスト捕捉器34を必要としない。
【0062】
所定の燃料によって動力を与えられる場合、図7に示される内燃機関システム100は、排ガス再循環ストリング48に沿ってガス処理デバイス4及びブロワ35のみを備える。これは、ガス処理デバイス4が、十分な方式で全ての粒子、液滴、エアロゾルの排ガスを浄化することが可能だからである。所定の種類の燃料で動かすと、粒子、液滴及びエアロゾルの量は、例えば重油と比較して大幅に減少される。さらに、内燃機関システム100がガス処理デバイス4のみを備える場合、プレスクラバ31内で形成された粒子は同様に取り除かれる必要がない。図7に示されるように、液体冷却ユニット45が、液体がガス処理デバイス4の液体供給部に送られる前に液体を冷却するように構成されている。
【0063】
図8では、ガス処理デバイス4は、ターボチャージャーストリング49と流体接続され、且つターボチャージャー50の下流に配置される。冷却ユニット38は、ターボチャージャー50の下流に配置され、ガス処理デバイス4は、冷却ユニット38及びターボチャージャー50双方の下流に配置される。
【0064】
図9では、2つのガス処理デバイス4が、内燃機関システム100に配置されている。一方のガス処理デバイス4は、ターボチャージャーストリング49と流体接続され、他方は、排ガス再循環ストリング48と流体接続されている。ガス処理デバイス4は、ターボチャージャーストリング49と流体接続され、冷却器及びウォーターミスト捕捉器双方として機能する。別の実施形態では、2つのガス処理デバイス4は、排ガス再循環ストリング48又はターボチャージャーストリング49の1つに沿って連続して配置されている。
【0065】
内燃機関システム100の内燃機関2は、2ストローク又は4ストローク内燃機関2である。
【0066】
図11では、内燃機関システム100は、斜視図で示され、排ガス受容器3、ガス処理デバイス4及び内燃機関2を有している。
【0067】
本発明が、本発明の好ましい実施形態と関連して上記で説明されたが、当業者には、いくらかの修正が、以下の特許請求の範囲によって規定される本発明から逸脱することなく想起可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0068】
2 内燃機関、3 排ガス受容器、4 ガス処理デバイス、5 ハウジング、6 頂面、7 排ガス入口、8 出口、9 プレート状要素、10 頂縁部、11 頂端部、12 底端部、14 第1の縁部、15 第2の縁部、16 プレート延在範囲、17 液滴捕捉部、18 液体供給部、21 第1の面、22 第2の面、23 流路、24 液体容器、25 貫通スロット、26 湾曲部、100 内燃機関システム、A 入口範囲、d 相互距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11