特許第6505909号(P6505909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6505909レーザ手術システム用の自由浮動型患者インターフェース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6505909
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】レーザ手術システム用の自由浮動型患者インターフェース
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20190415BHJP
【FI】
   A61F9/008 120Z
   A61F9/008 120F
   A61F9/008 120E
   A61F9/008 140
   A61F9/008 150
【請求項の数】16
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-88067(P2018-88067)
(22)【出願日】2018年5月1日
(62)【分割の表示】特願2016-500412(P2016-500412)の分割
【原出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2018-138200(P2018-138200A)
(43)【公開日】2018年9月6日
【審査請求日】2018年5月1日
(31)【優先権主張番号】61/780,881
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506237436
【氏名又は名称】オプティメディカ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】OPTIMEDICA CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】グッディング フィリップ
【審査官】 石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−152954(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/147570(WO,A1)
【文献】 特開2006−341103(JP,A)
【文献】 米国特許第05360424(US,A)
【文献】 特開2004−089215(JP,A)
【文献】 特表平7−503382(JP,A)
【文献】 特開2008−161226(JP,A)
【文献】 特表2008−526331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ眼手術システム用の患者インターフェース組立体であって、
患者の眼とインターフェースするよう構成された眼インターフェース装置と、
前記眼インターフェース装置に結合されると共にレーザビームを少なくとも2次元で走査するよう動作可能に構成されたスキャナと、
前記レーザビームを発生させるビーム源と、
前記スキャナを支持し、且つ、前記ビーム源に対する前記スキャナの移動を許容するよう構成された自由浮動機構体とを備え、
前記自由浮動機構体は、第1の鏡と第2の鏡を含み、前記第1の鏡と前記第2の鏡との間の相対位置を変化させるために前記第1の鏡を前記第2の鏡に移動可能に結合するよう構成され、
前記第1の鏡と前記第2の鏡は、前記スキャナの外側にあり、前記ビーム源と前記スキャナとの間の光路に配置され、
前記第2の鏡は、第3の方向に伝搬する前記レーザビームを受け取り、且つ、それを第2の方向に反射するように設けられ、
前記第1の鏡は、第2の方向に伝搬する前記レーザビームを受け取り、且つ、それを第1の方向に反射するように設けられ、
前記第1の方向、前記第2の方向、及び前記第3の方向は、互いに非平行であり、
前記自由浮動機構体は、前記眼の運動と関連して、前記スキャナと前記眼インターフェース装置を動かすよう構成されている、
患者インターフェース組立体。
【請求項2】
前記自由浮動機構体は、第1の支持組立体であって、前記スキャナを支持し、且つ、前記スキャナと当該第1支持組立体との間の相対運動を許容するよう構成された第1の支持組立体を含む、請求項1に記載の患者インターフェース組立体。
【請求項3】
前記自由浮動機構体は、
第2の支持組立体であって、前記第1の支持組立体を支持し、且つ、前記第1の支持組立体と当該第2の支持組立体との間の相対運動を許容するよう構成された第2の支持組立体を更に含み、
前記第1の鏡は、前記第1の支持組立体によって支持されている、請求項2記載の患者インターフェース組立体。
【請求項4】
前記自由浮動機構体は、
ベース組立体であって、前記第2の支持組立体を支持し、且つ、前記第2の支持組立体と当該ベース組立体との間の相対運動を許容するよう構成されたベース組立体を更に含み、
前記第2の鏡は、前記第2の支持組立体によって支持されている、請求項3記載の患者インターフェース組立体。
【請求項5】
前記スキャナと前記第1の支持組立体との間の前記相対運動は、前記第1の方向における並進であり、
前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間の前記相対運動は、前記第2の方向における並進であり、
前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間の前記相対運動は、前記第3の方向における並進である、請求項4記載の患者インターフェース組立体。
【請求項6】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直であり、
前記第3の方向は、前記第1の方向及び前記第2の方向の各々に対して垂直である、請求項5記載の患者インターフェース組立体。
【請求項7】
前記スキャナに結合され、且つ、
(1)垂直方向における前記スキャナの重力誘起運動、及び、
(2)前記眼インターフェース装置への重力誘起力の伝達、
のうちの少なくとも1つを抑制するよう構成された、
カウンターバランス機構体を更に含む、請求項5記載の患者インターフェース組立体。
【請求項8】
前記第3の方向は、鉛直方向に向けられており、
前記第1の方向及び前記第2の方向の各々は、水平方向に向けられている、請求項7記載の患者インターフェース組立体。
【請求項9】
(1)前記スキャナと前記第1の支持組立体との間の前記相対運動、
(2)前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間の前記相対運動、及び、
(3)前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間の前記相対運動
のうちの少なくとも1つは、相対回転である、請求項4記載の患者インターフェース組立体。
【請求項10】
前記ベース組立体によって支持され、且つ、前記レーザビームを反射して前記第2の鏡に入射させるよう構成された、第3の鏡
を更に含む、請求項4記載の患者インターフェース組立体。
【請求項11】
前記スキャナは、前記レーザビームを1つの焦点に集束させると共に前記焦点を3次元で走査するよう動作できる、請求項1記載の患者インターフェース組立体。
【請求項12】
前記レーザビームは、眼組織を改変するよう構成された一連のパルスを有する、請求項1記載の患者インターフェース組立体。
【請求項13】
(1)前記スキャナと前記第1の支持組立体との間、
(2)前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間、及び、
(3)前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間
からなる群のうちの少なくとも1つの相対位置をモニタリングするよう構成された少なくとも1つのセンサを更に含む、請求項4記載の患者インターフェース組立体。
【請求項14】
前記スキャナと前記眼インターフェース装置との間に設けられ前記スキャナ及び前記眼インターフェース装置に結合された対物レンズ組立体を更に含む、請求項1記載の患者インターフェース組立体。
【請求項15】
前記スキャナは、z‐走査装置及びxy‐走査装置を有し、
前記z‐走査装置は、前記レーザビームの伝搬方向で焦点の深さを変更するよう動作可能であり、
前記xy‐走査装置は、前記レーザビームの前記伝搬方向を横切る2次元内で前記焦点を走査するよう動作可能である、請求項1記載の患者インターフェース組立体。
【請求項16】
前記患者に対する前記スキャナの位置決めの際、
(1)前記スキャナ及び前記第1の支持組立体、
(2)前記第1の支持組立体及び前記第2の支持組立体、及び、
(3)前記第2の支持組立体及び前記ベース組立体
のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するよう構成された少なくとも1つの装置を更に含む、請求項4記載の患者インターフェース組立体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
〔関連出願の説明〕
本願は、2013年3月13日に出願された米国特許出願第61/780,881号の優先権主張出願であり、この米国特許出願を参照により引用し、全ての目的に関してその記載内容を本明細書の一部とする。ここにパリ条約上の優先権全体を明示的に保持する。
【0002】
レーザ眼手術システムが広く普及すると共に目的が変わっている。例えば、レーザ眼手術システムは、屈折矯正を行うようアブレーションにより角膜の前面を作り直すよう構成されている場合がある。また、レーザ眼手術システムは、角膜弁状体(flap)を作って角膜の下に位置する部分を露出させ、当該下に位置する部分をアブレーションにより作り直して弁状体で再び覆うことができるよう構成されている場合がある。最近開発されたレーザ眼手術システムは、角膜又は関節唇縁に1つ以上の切開創を作って角膜を作り直し、角膜に1つ以上の切開創を作って白内障手術器械のための接近部を提供すると共に/或いは眼内レンズの植え込みのための接近部を提供し、前水晶体曩(包)に被膜切開術を施して白内障になっている水晶体の除去のための接近部を提供し、白内障になっている水晶体を切開し、及び/または、前水晶体曩内開口部に被膜切開術を施す、というように構成されている場合がある。
【0003】
多くのレーザ眼手術システムは、レーザビーム源により一連のレーザビームパルスを発生させる。レーザビームパルスは、光路に沿って患者の眼まで伝搬する。光路は、典型的には、患者に対して放出されるレーザビームパルスの方向及び/又は位置を制御するための制御可能な要素、例えば走査機構体及び/又は集束(合焦)機構体、を有する。
【0004】
幾つかのレーザ眼手術システムは、眼球運動(例えば、眼の観察方法の変化)を追跡して、放出されたレーザビームパルスの方向及び/又は存在場所に対する制御を眼球運動を考慮に入れて達成することができる。例えば、レーザ眼手術システムの中には、オプションとして、眼球運動を追跡するべく、眼中の特徴、例えば生まれつき備わった特徴又は眼に付加された基準マーカ、を光学的に追跡するものがある。
【0005】
対照的に、レーザ眼手術システムの中には、眼球運動を阻止するように構成されているものもある。例えば、角膜の前面に直接接触して眼球運動を拘束するコンタクトレンズが採用される場合がある。しかしながら、かかる拘束により、これに関連した患者の不快感及び/又は不安が生じる場合がある。
【0006】
眼球運動以外では、多くのレーザ眼手術システムは、患者とレーザ眼手術システムとの間の相対運動を禁止するよう構成されている。例えば、レーザ眼手術システムは、ある種の患者拘束特徴部、例えば専用支持組立体(例えば、椅子又はベッド)、を含む場合があり、かかる専用支持組立体は、当該支持組立体に対する患者の運動を禁止するよう構成された拘束特徴部を含む場合がある。かかる専用支持組立体は、患者を動かしてレーザ眼手術システムの光路に対して患者の眼を適切に位置決めすることができる手段としての位置決め機構体を含む場合がある。さらに、レーザ眼手術システムは、レーザパルスの光路の位置を決定して専用支持組立体に対する光路の運動を実質的に抑制し、それにより放出レーザパルスに対する患者の眼の相対運動を抑制する、というコンポーネントを剛性的に支持するよう構成されている場合がある。しかしながら、専用支持組立体及び光路コンポーネントの剛性支持は、深刻な複雑さ及び関連コストをレーザ眼手術システムに加える場合がある。さらに、光路コンポーネント剛性支持及び専用患者支持組立体を採用すると、患者とレーザ眼手術システムとの間の或る程度のレベルの有意な相対運動の可能性を排除することができない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かくして、患者の運動に関して特性が改善されたレーザ手術システム及び関連方法が有
益であると言える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
適当なレーザ手術システム、例えばレーザ眼手術システム、に使用することができる患者インターフェース組立体及び関連方法が提供される。多くの実施形態では、患者インターフェース組立体が、走査される電磁治療ビームと患者との間の位置合わせ状態を維持しながら患者の相対運動を許容するように構成される。患者の運動を許容することによって、患者の運動を拘束しようとすることと関連した追加のシステムの複雑さ及び関連費用を回避することができる。加うるに、例えば既存の患者支持組立体(例えば非専用患者支持組立体、例えばベッド)に隣接したところまで動かすことができる再位置決め可能カートによって支持されるようにレーザ手術システムを構成することによって、患者の動きを許容することができるようにして、レーザ手術システムの使用のしやすさを高めることができる。
【0009】
かくして、一観点では、レーザ手術システムにおいて患者の動きを許容する方法が提供される。この方法は、第1の支持組立体を用いて、スキャナと第1の支持組立体との間の第1の方向に平行な相対運動を許容するようスキャナを支持するステップを含む。スキャナは、電磁線ビームを制御可能に走査するよう動作可能であると共に、スキャナが患者の動きと関連(連動)して動くような態様で当該患者に結合されるように構成されている。第2の支持組立体が、第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の第1の方向を横切る第2の方向に平行な相対並進を許容するような態様で第1の支持組立体を支持するように用いられる。ベース組立体が、第2の支持組立体とベース組立体との間の第1の方向及び第2の方向の各々を横切る第3の方向に平行な相対並進を許容するような態様で第2の支持組立体を支持するために用いられる。電磁線ビームは、ベース組立体に対して固定された方向に伝搬される。第1の支持組立体は、電磁線ビームを反射して第1の方向に平行にスキャナまで伝搬させるよう構成された第1のレフレクタを支持するために用いられる。第2の支持組立体は、電磁線ビームを反射して第2の方向に平行に伝搬させて第1のレフレクタに入射させるよう構成された第2のレフレクタを支持するために用いられる。スキャナと第1の支持組立体との間の相対並進、第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対並進、及び、第2の支持組立体とベース組立体との間の相対並進が、スキャナとベース組立体との間の3次元相対並進を許容するべく利用される。
【0010】
本方法の多くの実施形態では、スキャナは、電磁線ビームに対して特定の動作上の特性を有する。例えば、スキャナは、少なくとも2次元において(2つの寸法方向において)電磁線ビームを走査するよう動作可能であり得る。スキャナは、電磁線ビームを1つの焦点に集束させるよう動作可能であり得る。スキャナは、焦点を3次元で(3つの寸法方向で)走査するよう動作可能であり得る。
【0011】
本方法の多くの実施形態では、第2の方向は、第1の方向に対して垂直であり、第3の方向は、第1及び第2の方向の各々に対して垂直である。第1、第2及び第3の方向のうちの1つは鉛直方向に向けられるのが良い。例えば、第3の方向は、鉛直に向けられ得て、第1及び第2の方向の各々は、水平に向けられ得る。本方法は、(1)鉛直方向におけるスキャナの重力誘起運動、及び、(2)患者への重力誘起力の伝達、のうちの少なくとも一方を抑制するステップを更に含み得る。
【0012】
本方法の多くの実施形態では、電磁線ビームは、一連のレーザパルスを含む。レーザパルスは、眼組織を改変するよう構成され得る。
【0013】
本方法は、ベース組立体を用いて第3のレフレクタを支持するステップを含み得る。第3のレフレクタは、電磁線ビームを反射して第3の方向に平行に伝搬させて第2のレフレクタに入射させるよう構成され得る。
【0014】
本方法は、コンポーネント相互間の1つ又は2つ以上の相対位置をモニタリングするステップを含み得る。例えば、本方法は、(1)スキャナと第1の支持組立体との間、(2)第1の支持組立体と第2の支持組立体との間、及び、(3)第2の支持組立体とベース組立体との間、からなる群のうちの少なくとも1つの相対位置をモニタリングするステップを含み得る。
【0015】
本方法は、患者に対するスキャナの位置決めの際、(1)スキャナ及び第1の支持組立体、(2)第1の支持組立体及び第2の支持組立体、及び、(3)第2の支持組立体及びベース組立体、のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するステップを含み得る。患者に対するスキャナの位置決め中の相対運動をこのように抑制することは、スキャナを患者に対して位置決めした後に十分な相対運動範囲が利用可能である、ということを保証するために利用され得る。
【0016】
別の観点では、レーザ眼手術システムのための患者インターフェース組立体が提供される。患者インターフェース組立体は、眼インターフェース装置、スキャナ、第1の支持組立体、第2の支持組立体、ベース組立体、ビーム源、第1のレフレクタ、及び、第2のレフレクタを含む。眼インターフェース装置は、患者の眼とインターフェースするように構成されている。スキャナは、眼インターフェース装置に結合されていて、眼インターフェース装置とインターフェースされた眼内で電磁線ビームを少なくとも2次元内で(2つの寸法方向に)走査するよう動作可能である。スキャナ及び眼インターフェース装置は、眼球運動と関連して動く。第1の支持組立体は、スキャナと第1の支持組立体との間の第1の方向に平行な相対並進を許容するようにスキャナを支持している。第2の支持組立体は、第1の方向を横切る第2の方向に平行な第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対並進を許容するように第1の支持組立体を支持している。ベース組立体は、第3の方向に平行な第2の支持組立体とベース組立体との間の相対並進を許容するように第2の支持組立体を支持している。第3の方向は、第1及び第2の方向の各々を横切る方向である。ビーム源は、電磁線ビームを発生させ、当該電磁線ビームを出力して、ベース組立体に対して固定された方向に伝搬させる。第1のレフレクタは、第1の支持組立体によって支持され、且つ、電磁線ビームを反射して第1の方向に平行にスキャナまで伝搬させるように構成されている。第2のレフレクタは、第2の支持組立体によって支持され、且つ、電磁線ビームを反射して第2の方向に平行に伝搬させて第1のレフレクタに入射させるように構成されている。スキャナと第1の支持組立体との間の相対並進、第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対並進、及び、第2の支持組立体とベース組立体との間の相対並進は、眼インターフェースとベース組立体との間の3次元相対並進を許容する。
【0017】
患者インターフェース組立体は、スキャナと眼インターフェース装置との間に設けられた対物レンズ組立体を含み得る。例えば、電磁線ビームは、スキャナから伝搬して当該対物レンズ組立体を通り、そして当該対物レンズ組立体から眼インターフェース装置を通ることができる。
【0018】
患者インターフェース組立体の多くの実施形態では、電磁線ビームは、1つの焦点に集束(合焦)される。スキャナは、眼インターフェース装置とインターフェースされた眼内で焦点を3次元で(3つの寸法方向で)走査するよう動作可能であり得る。
【0019】
患者インターフェース組立体の多くの実施形態では、スキャナは、z‐走査装置及びxy‐走査装置を含む。z‐走査装置は、眼内で焦点の深さを変更するよう動作可能であり得る。xy‐走査装置は、電磁線ビームの伝搬方向を横切る2次元内で焦点を走査するよう動作可能であり得る。
【0020】
患者インターフェース組立体の多くの実施形態では、第2の方向は、第1の方向に対して垂直であり、第3の方向は、第1及び第2の方向の各々に対して垂直である。第1、第2、及び、第3の方向のうちの1つは、鉛直方向に向けられ得る。患者インターフェース組立体は、スキャナに結合されていて(1)鉛直方向における眼インターフェース装置の重力誘起運動、及び、(2)眼インターフェース装置に結合された眼への重力誘起力の伝達、のうちの少なくとも1つを抑制するよう構成されたカウンターバランス機構体を含み得る。第3の方向は、鉛直に向けられ得て、第1及び第2の方向の各々は、水平に向けられ得る。
【0021】
患者インターフェース組立体は、当該患者インターフェース組立体のコンポーネント相互間の相対位置をモニタリングするために少なくとも1つのセンサを含み得る。例えば、患者インターフェース組立体は、スキャナと第1の支持組立体との間、第1の支持組立体と第2の支持組立体との間、及び、第2の支持組立体とベース組立体との間、からなる群のうちの少なくとも1つの相対位置をモニタリングするよう構成された少なくとも1つのセンサを含み得る。
【0022】
患者インターフェース組立体の多くの実施形態では、電磁線ビームは、一連のレーザパルスを含む。レーザパルスは、眼組織を改変するよう構成され得る。
【0023】
患者インターフェース組立体は、患者に対するスキャナの位置決めの際、(1)スキャナ及び第1の支持組立体、(2)第1の支持組立体及び第2の支持組立体、及び(3)第2の支持組立体及びベース組立体、のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するよう構成された少なくとも1つの装置(例えば、少なくとも1つ又は2つ以上のソレノイドブレーキ組立体、1つ又は2つ以上の戻り止め機構体、又は相対運動を可能にするよう結合されたコンポーネント相互間の相対運動を選択的に禁止するよう構成された任意他の適当な機構体)を含み得る。かかる装置は、スキャナを患者に対して位置決めした後に適当な相対運動範囲が利用可能である、ということを保証するために使用され得る。
【0024】
多くの実施形態では、患者インターフェース組立体は、ベース組立体によって支持された第3のレフレクタを含む。第3のレフレクタは、電磁線ビームを反射して第3の方向に平行に伝搬させて第2のレフレクタに入射させるように構成されている。
【0025】
別の観点では、レーザ手術システムにおいて患者の運動を許容する方法が提供される。本方法は、第1の支持組立体を用いてスキャナを支持し、それによりスキャナと第1の支持組立体との間の相対運動を許容し、それにより患者の運動を許容する、というステップを含む。スキャナは、電磁線ビームを制御可能に走査するよう動作できると共に、当該スキャナが患者の運動と関連して動くという態様で患者に結合されるべく構成されている。本方法は、ビーム源を用いて電磁線ビームを発生させるステップを更に含む。本方法は、患者の運動に応答して変化する光路長を有する光路に沿って電磁線ビームをビーム源からスキャナまで伝搬させるステップを更に含む。
【0026】
この方法は、光路に関連付けられた更なる行為を含み得る。例えば、本方法は、第2の支持組立体を用いて第1の支持組立体を支持し、それにより第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対運動を許容することで患者の運動を許容する、というステップを含み得る。本方法は、第1の支持組立体を用いて、電磁線ビームを反射して光路長の一部に沿って伝搬させてスキャナに入射させるよう構成された第1のレフレクタを支持するステップを含み得る。本方法は、ベース組立体を用いて第2の支持組立体を支持し、それにより第2の支持組立体とベース組立体との間の相対運動を許容することで患者の運動を許容する、というステップを含み得る。本方法は、第2の支持組立体を用いて、電磁線ビームを反射して光路の一部に沿って伝搬させて第1のレフレクタに入射させるよう構成された第2のレフレクタを支持するステップを含み得る。本方法は、ベース組立体を用いて、電磁線ビームを反射して光路の一部に沿って伝搬させて第2のレフレクタに入射させるよう構成された第3のレフレクタを支持するステップを含み得る。
【0027】
本方法は、光路関連コンポーネント相互間の相対並進及び/又は相対回転の利用を含み得る。例えば、スキャナと第1の支持組立体との間の相対運動は、第1の方向における並進であり得る。第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対運動は、第1の方向を横切る第2の方向における並進であり得る。第2の支持組立体とベース組立体との間の相対運動は、第1及び第2の方向の各々を横切る第3の方向における並進であり得る。第2の方向は、第1の方向に対して垂直であり得る。第3の方向は、第1及び第2の方向の各々に対して垂直であり得る。(1)スキャナと第1の支持組立体との間の相対運動、(2)第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対運動、及び、(3)第2の支持組立体とベース組立体との間の相対運動、のうちの少なくとも1つは、相対回転であり得る。
【0028】
本方法は、(1)鉛直方向におけるスキャナの重力誘起運動、及び、(2)患者に対する重力誘起力の伝達、のうちの少なくとも1つを抑制するステップを含み得る。第1、第2、及び、第3の方向のうちの1つの方向は、鉛直方向に向けられ得る。例えば、第3の方向が、鉛直方向に向けられ得て、第1及び第2の方向の各々は、水平方向に向けられ得る。
【0029】
スキャナは、任意適当な電磁線ビームを任意適当な仕方で走査するよう動作可能であり得る。例えば、スキャナは、電磁線ビームを少なくとも2次元で(2つの寸法方向で)走査するよう動作可能であり得る。スキャナは、電磁線ビームを1つの焦点に集束させると共に当該焦点を3次元で(3つの寸法方向で)走査するよう動作可能であり得る。スキャナは、患者の眼に結合されると共に当該眼の組織内で電磁線ビームの焦点を制御可能に走査するよう構成され得る。電磁線ビームは、眼組織を改変するよう構成された一連のレーザパルスを含み得る。
【0030】
本方法は、光路関連コンポーネント相互間の相対位置及び/又は相対向きをモニタリングするステップを含み得る。例えば、本方法は、(1)スキャナと第1の支持組立体との間、(2)第1の支持組立体と第2の支持組立体との間、及び、(3)第2の支持組立体とベース組立体との間、からなる群のうちの少なくとも1つの相対位置及び相対向きのうちの少なくとも一方をモニタリングするステップを含み得る。
【0031】
本方法は、患者に対するスキャナの位置決め中における光路関連コンポーネント相互間の相対運動を抑制するステップを含み得る。例えば、本方法は、患者に対するスキャナの位置決めの際、(1)スキャナ及び第1の支持組立体、(2)第1の支持組立体及び第2の支持組立体、及び、(3)第2の支持組立体及びベース組立体、のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するステップを含み得る。
【0032】
別の観点では、レーザ眼手術システム用の患者インターフェース組立体が提供される。患者インターフェース組立体は、眼インターフェース装置、スキャナ、第1の支持組立体、及び、ビーム源を含む。眼インターフェース装置は、患者の眼とインターフェースするよう構成される。スキャナは、眼インターフェース装置と結合されるよう構成されると共に眼インターフェース装置とインターフェースされた眼内で電磁線ビームを少なくとも2次元で(2つの寸法方向で)走査するよう動作可能である。スキャナ及び眼インターフェース装置は、眼の運動(眼球運動)と関連(連動)して動く。第1の支持組立体は、スキャナと第1の支持組立体との間の相対運動を許容することで眼の運動を許容するようにスキャナを支持する。ビーム源は、電磁線ビームを発生させる。電磁線ビームは、眼の運動に応答して変化する光路長を有する光路に沿ってビーム源からスキャナまで伝搬する。
【0033】
患者インターフェース組立体は、追加の光路関連コンポーネントを含み得る。例えば、患者インターフェース組立体は、第2の支持組立体を含み得て、当該第2の支持組立体は、第1の支持組立体と第2の支持組立体との相対運動を許容することで眼の運動を許容するように第1の支持組立体を支持する。患者インターフェース組立体は、第1の支持組立体によって支持されると共に光路の一部に沿ってスキャナまで伝搬するよう電磁線ビームを反射するよう構成された第1のレフレクタを含み得る。患者インターフェース組立体は、ベース組立体を含み得て、当該ベース組立体は、第2の支持組立体とベース組立体との相対運動を許容することで眼の運動を許容するように第2の支持組立体を支持する。患者インターフェース組立体は、第2の支持組立体によって支持されると共に電磁線ビームを反射して光路の一部に沿って伝搬させて第1のレフレクタに入射させるよう構成された第2のレフレクタを含み得る。患者インターフェース組立体は、ベース組立体によって支持され且つ電磁線ビームを反射して光路の一部に沿って伝搬させて第2のレフレクタに入射させるよう構成された第3のレフレクタを含み得る。
【0034】
患者インターフェース組立体は、光路関連コンポーネント相互間の相対並進及び/又は相対回転を採用し得る。例えば、スキャナと第1の支持組立体との間の相対運動は、第1の方向における並進であり得る。第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対運動は、第1の方向を横切る第2の方向における並進であり得る。第2の支持組立体とベース組立体との間の相対運動は、第1及び第2の方向の各々を横切る第3の方向における並進であり得る。第2の方向は、第1の方向に対して垂直であり得る。第3の方向は、第1及び第2の方向の各々に対して垂直であり得る。(1)スキャナと第1の支持組立体との間の相対運動、(2)第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対運動、及び、(3)第2の支持組立体とベース組立体との間の相対運動、のうちの少なくとも1つは、相対回転であり得るい。
【0035】
患者インターフェース組立体は、(1)鉛直方向におけるスキャナの重力誘起運動、及び、(2)患者の眼への重力誘起力の伝達、のうちの少なくとも1つを抑制するよう構成されたカウンターバランス機構体、を含み得る。第3の方向は、鉛直方向に向けられ得て、第1及び第2の方向の各々は、水平方向に向けられ得る。
【0036】
患者インターフェース組立体のスキャナは、任意適当な電磁線ビームを任意適当な仕方で走査するよう動作可能であり得る。例えば、スキャナは、電磁線ビームを少なくとも2次元で(2つの寸法方向で)走査するよう動作可能であり得る。スキャナは、電磁線ビームを1つの焦点に集束させると共に当該焦点を3次元で(3つの寸法方向で)走査するよう動作可能であり得る。スキャナは、患者の眼に結合されると共に当該眼の組織内で電磁線ビームの焦点を制御可能に走査するよう構成され得る。電磁線ビームは、眼組織を改変するよう構成された一連のレーザパルスを含み得る。スキャナは、z‐走査装置及びxy‐走査装置を有し得る。z‐走査装置は、眼内で焦点の深さを変更するよう動作可能であり得る。xy‐走査装置は、電磁線ビームの伝搬方向を横切る2次元内で焦点を走査するよう動作可能であり得る。
【0037】
患者インターフェース組立体は、他の適当な光路関連コンポーネントを含み得る。例えば、患者インターフェース組立体は、(1)スキャナと第1の支持組立体との間、(2)第1の支持組立体と第2の支持組立体との間、及び、(3)第2の支持組立体とベース組立体との間、からなる群のうちの少なくとも1つの相対位置をモニタリングするよう構成された少なくとも1つのセンサを含み得る。患者インターフェース組立体は、スキャナと眼インターフェース装置との間に設けられスキャナ及び眼インターフェース装置に結合された対物レンズ組立体を含み得る。電磁線ビームは、スキャナから伝搬して対物レンズ組立体を通り、次に対物レンズ組立体から眼インターフェース装置を通り得る。患者インターフェース組立体は、患者に対するスキャナの位置決めの際、(1)スキャナ及び第1の支持組立体、(2)第1の支持組立体及び第2の支持組立体、及び、(3)第2の支持組立体及びベース組立体、のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するよう構成された少なくとも1つの装置(例えば、1つ又は2つ以上のソレノイドブレーキ組立体、1つ又は2つ以上の戻り止め機構体、又は、相対運動を可能にするよう結合されたコンポーネント相互間の相対運動を選択的に抑制するよう構成された任意の他の適当な機構体)を含み得る。かかる装置は、スキャナを患者に対して位置決めした後に、十分な相対運動範囲が利用可能であることを保証するために使用され得る。
【0038】
本発明の性質及び利点の十分な理解を得るために、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照すべきである。本発明の他の観点、他の目的、及び他の利点は、図面及び以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0039】
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許及び特許出願は、当該参照による引用により、個々の刊行物、特許又は特許出願の各々が本明細書中に具体的に且つ個々に記載されているのと同じ程度に、これらの記載内容の全体が本明細書の一部である。
【0040】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴及び利点の良好な理解は、本発明の原理を利用した例示的な実施形態を説明している以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することで得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】多くの実施形態によるレーザ手術システムの略図であり、患者インターフェース装置がスキャナ及びスキャナを支持する自由浮動機構体によりレーザ組立体に結合されている状態を示す図である。
【0042】
図2】多くの実施形態としての患者インターフェース組立体の等角図であり、当該患者インターフェース組立体が自由浮動機構体によって支持されたスキャナを含んでいる状態を示す図である。
【0043】
図3】レーザ手術システムにおける患者の動きを許容するための多くの実施形態としての方法の行為の単純化ブロック図である。
【0044】
図4図3の方法で実施できる多くの実施形態によるオプションとしての行為の単純化ブロック図である。
【0045】
図5】自由浮動機構体によって支持されたスキャナを含む多くの実施形態としての患者インターフェース組立体で用いることができる相対運動を概略的に示す図である。
【0046】
図6A】レーザ手術システムにおける患者の動きを許容するための多くの実施形態としての別の方法の行為の単純化ブロック図である。
【0047】
図6B図6Aの方法で実施できる多くの実施形態によるオプションとしての行為の単純化ブロック図である。
【0048】
図7】多くの実施形態によるレーザ手術システムの略図であり、眼インターフェース装置がスキャナ及びスキャナを支持する自由浮動機構体によってレーザ組立体に結合されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下の説明において、本発明の種々の実施形態について説明する。説明の目的上、特定の形態及び細部は、実施形態の完全な理解を提供するために記載されている。しかしながら、本発明は当該特定の細部なしで実施できる、ということが、当業者には明らかであろう。さらに、周知の特徴は、説明対象の実施形態の内容を分かりにくくすることがないように省かれて又は単純化されている場合がある。
【0050】
レーザ手術システムで用いられる患者インターフェース組立体及び関連方法が提供される。本明細書において説明される患者インターフェース組立体及び方法は、レーザ眼手術システムに用いられるものとして本明細書において説明されるが、任意の他のレーザ手術システムに利用できる。多くの実施形態で、患者インターフェース組立体は、レーザ手術システムによって放出される電磁線ビームと患者との間の位置合わせ状態を維持しながらレーザ手術システムに対する患者の動きを許容するように構成されている。
【0051】
今、図面を参照すると、図中において、同一の参照符号は、同一の要素を示している。図1は、多くの実施形態によるレーザ手術システム10を概略的に示している。レーザ手術システム10は、レーザ組立体12、自由浮動機構体14、スキャナ16、対物レンズ組立体18、患者インターフェース装置20を含む。患者インターフェース装置20は、患者22とインターフェースする(interface)よう構成されている。患者インターフェース装置20は、対物レンズ組立体18によって支持されている。対物レンズ組立体18は、スキャナ16によって支持されている。スキャナ16は、自由浮動機構体14によって支持されている。自由浮動機構体14は、レーザ組立体12に対して固定された位置及び向きを有する一部分を含む。
【0052】
多くの実施形態で、患者インターフェース装置20は、患者22の眼とインターフェースするよう構成されている。例えば、患者インターフェース装置20は、例えば2012年11月2日に出願された同時係属米国特許仮出願第61/721,693号明細書(発明の名称:Liquid Optical Interface for Laser Eye Surgery System )に記載されているように、患者22の眼に真空結合されるように構成され得る。レーザ手術システム10は、オプションとして、定位置に固定でき又は再位置決め可能なベース組立体24を更に含み得る。例えば、ベース組立体24は、支持リンケージによって支持され得て、この支持リンケージは、患者に対するベース組立体24の選択的な再位置決めを可能にすると共にベース組立体24を患者に対して選択された固定位置に固定するよう構成される。かかる支持リンケージは、任意適当な仕方で、例えば固定状態の支持ベースによって又は患者に隣接する適当な場所に再位置決め可能な可動カートによって、支持され得る。多くの実施形態では、支持リンケージは、セットアップ継手を含み、各セットアップ継手は、当該セットアップ継手の選択的な関節運動を可能にするよう構成されていて、支持リンケージは、セットアップ継手の偶発的な関節運動を阻止するべく選択的にロック可能であり、それにより、セットアップ継手がロックされるとき、ベース組立体24を患者に対して選択された固定位置に固定する。
【0053】
多くの実施形態で、レーザ組立体12は、電磁線ビーム26を放出するように構成されている。ビーム26は、任意適当なエネルギーレベル、持続時間、及び繰り返し率の一連のレーザパルスを含むのが良い。
【0054】
多くの実施形態で、レーザ組立体12は、フェムト秒(FS)レーザ技術を含む。フェムト秒レーザ技術を用いることによって、短い持続時間(例えば、持続時間が約10-13秒)のレーザパルス(エネルギーレベルがマイクロジュール範囲内である)を厳密に合焦された点に向かって送り出して組織を壊すことができ、それにより長い持続時間を有するレーザパルスと比較して、必要なエネルギーレベルを実質的に低下させることができる。
【0055】
レーザ組立体12は、組織を治療する及び/または画像化するのに適した波長を有するレーザパルスを生じさせることができる。例えば、レーザ組立体12は、例えば2012年11月2日に出願された同時係属米国特許仮出願第61/722,048号明細書(発明の名称:Laser Eye Surgery System)、2011年1月7日に出願された米国特許出願第12,987,069号明細書(発明の名称:Method and System For Modifying Eye Tissue and Intraocular Lenses)に記載されたレーザ手術システムのうちの任意のものによって放出されるような電磁線ビーム26を放出するよう構成され得る。例えば、レーザ組立体12は、1020nm〜1050nmの波長を有するレーザパルスを生じさせることができる。例えば、レーザ組立体12は、中心波長が1030(±5)nmのダイオード励起固体形態を有し得る。別の実施例として、レーザ組立体12は、320nm〜430nmの波長を有するレーザパルスを生じさせ得る。例えば、レーザ組立体12は、第3調和波355nmで動作するNd:YAG(ネオジム添加イットリウムアルミニウムガーネット)レーザ源を有し得る。レーザ組立体12は、任意適当な形態の2つ又は3つ以上のレーザを更に含み得る。
【0056】
レーザ組立体12は、制御及び状態調節コンポーネントを含み得る。例えば、かかる制御コンポーネントは、例えばレーザパルスのエネルギー及びパルス列の平均パワーを制御するビーム減衰器、レーザパルスを含むビームの断面空間広がりを制御する固定アパーチュア、ビーム列の束及び繰り返し率及びかくしてレーザパルスのエネルギーをモニタリングする1つ又は2つ以上のパワーモニタ、及び、レーザパルスの伝送を許容/遮断するシャッタ、のようなコンポーネントを含み得る。かかる状態調節コンポーネントは、レーザパルスを或る距離にわたって伝送する一方で、レーザパルスビームの位置的及び/又は方向的可変性を許容し、それによりコンポーネントのばらつきについて増大した許容度をもたらす、という調節可能なズーム組立体及び固定光リレーを含み得る。
【0057】
多くの実施形態で、レーザ組立体12は、ベース組立体24に対して固定された位置を有する。レーザ組立体12によって放出されたビーム26は、固定された経路に沿って伝搬して自由浮動機構体14に至る。ビーム26は、自由浮動機構体14を通って可変光路28に沿って伝搬し、この可変光路は、ビーム26をスキャナ16に送る。多くの実施形態では、レーザ組立体12によって放出されたビーム26はコリメートされて、ビーム26がレーザ組立体12とスキャナ16との間の光路の長さに関する患者の動きにより誘起される変化によって影響を受けることがないようにする。スキャナ16は、ビーム26を(例えば、ビーム26の制御可変偏向により)少なくとも1つの寸法方向で走査するよう動作可能である。多くの実施形態では、スキャナは、ビームをビーム26の伝搬方向に対して横切る2次元内で(2つの寸法方向で)走査するよう動作でき、このスキャナは、更に、ビーム26の伝搬方向においてビーム26の焦点の位置を走査するよう動作できる。走査されたビームは、スキャナ16から放出されて対物レンズ組立体18を通り、インターフェース装置20を通って伝搬して患者22に至る。
【0058】
自由浮動機構体14は、1つ又は2つ以上の方向においてレーザ組立体12に対する患者の或る範囲の動きを許容する一方で、スキャナ16によって放出されるビーム26と患者22との位置合わせ状態を維持するよう構成されている。例えば、多くの実施形態では、自由浮動機構体14は、単位直交方向(X、Y、及びZ)の任意の組み合わせによって定められる任意の方向における患者22の或る範囲の動きを許容するよう構成されている。
【0059】
自由浮動機構体14は、スキャナ16を支持し、この自由浮動機構体14は、患者22の動きに応答して変化する可変光路28を提供する。患者インターフェース装置20が患者22とインターフェースさせられているので、患者22の動きの結果として、これに対応した患者インターフェース装置20、対物レンズ組立体18、及びスキャナ16の動きが生じる。自由浮動機構体14は、例えば、スキャナ16とレーザ組立体12の相対運動を許容するリンケージと可変光路28を形成するよう前記リンケージに適切に結びつけられた光コンポーネントとの任意適当な組み合わせを含むことができる。
【0060】
図2は、スキャナ16とレーザ組立体12との間の相対運動を許容するリンケージと、可変光路28を形成するよう当該リンケージに適切に結びつけられた光コンポーネントと、の適当な組み合わせの例示の実施形態を説明するための組立体30を示している。組立体30は、眼インターフェース装置20、対物レンズ組立体18、スキャナ16、及び自由浮動機構体14を含む。自由浮動機構体14は、第1の支持組立体32、第2の支持組立体34、及びベース組立体36を含む。眼インターフェース装置20は、対物レンズ組立体18に結合された状態でこれによって支持されている。対物レンズ組立体18は、スキャナ16に結合された状態でこれによって支持されている。インターフェース装置20と対物レンズ組立体18とスキャナ16の組み合わせは、患者の動きと関連(連動)して一斉に動くユニットを形成している。
【0061】
第1の支持組立体32は、第1の端フレーム38、第2の端フレーム40、及び、端フレーム38,40相互間に延びると共にこれらに結合された横方向ロッド42,44、を含む。横方向ロッド42,44は、第1の方向46に平行に向けられている。スキャナ16は、横方向ロッド42,44によって支持され、このスキャナは、第1の方向46に平行な患者の動きに応答してロッド42,44に沿って滑る。横方向ロッド42,44は、第1の方向46に平行な患者の動きを許容するリニア軸受の一部をなしている。
【0062】
第2の支持組立体34は、第1の端フレーム48、中間フレーム50、横方向ロッド52,54、第2の端フレーム56、及び鉛直ロッド58,60を含む。横方向ロッド52,54は、第1の端フレーム48と中間フレーム50との間に延びると共にこれらに結合されている。横方向ロッド52,54は、第2の方向62に平行に向けられており、第2の方向62は、第1の方向46に対して少なくとも横切る方向であり、第1の方向46に対して直角であるのが良い。第1及び第2の方向46,62の各々は、水平であるのが良い。第1の支持組立体32は、横方向ロッド52,54によって支持され、この第1の支持組立体は、第2の方向62に平行な患者の動きに応答してロッド52,54に沿って滑る。横方向ロッド52,54は、第2の方向62に平行な患者の動きを許容するリニア軸受の一部をなしている。鉛直ロッド58,60は、中間フレーム50と第2の端フレーム56との間に延びると共にこれらに結合されている。鉛直ロッド58,60は、第3の方向64に平行に向けられ、第3の方向64は、第1及び第2の方向46,62の各々に対して少なくとも横切る方向であり、第1及び第2の方向46,62のうちの少なくとも一方に対して直角であるのが良い。鉛直ロッド58,60は、第3の方向64に平行な第2の支持組立体34とベース組立体36との相対運動を許容し、それにより第3の方向64に平行な患者の動きを許容するリニア軸受の一部をなしている。
【0063】
第1、第2、及び第3のレフレクタ66,68,70(例えば、鏡)が、自由浮動機構体14によって支持されている。これらレフレクタは、電磁線ビーム26を反射して可変光路28に沿って伝搬させるように構成されている。第1のレフレクタ66は、第1の支持組立体32に(図示の実施形態では、第2の端フレーム40に)取り付けられている。第2のレフレクタ68は、第2の支持組立体34に(図示の実施形態では、中間フレーム50に)取り付けられている。第3のレフレクタ70は、ベース組立体36に取り付けられている。作用を説明すると、レーザ組立体によって放出されるビーム26は、第3のレフレクタ70によって偏向されて第3の方向64に平行に伝搬し、第2のレフレクタ68に入射する。第2のレフレクタ68は、ビーム26を偏向させて、第2の方向62に平行に伝搬させて第1のレフレクタ66に入射させる。第1のレフレクタ66は、ビーム26を偏向させて、第1の方向46に平行に伝搬させてスキャナ16に入れる。スキャナ16は、次に、ビームを制御可能に走査し、そして対物レンズ組立体18及び眼インターフェース装置20を通して走査したビーム26を出力する。ビーム26を第3のレフレクタ70から第2のレフレクタ68まで第3の方向64に平行に伝搬させることによって、可変光路28の対応する部分の長さを変化させることができ、それにより第3の方向64に対する患者の相対的動きを許容することができる。ビーム26を第2のレフレクタ68から第1のレフレクタ66まで第2の方向62に平行に伝搬させることによって、可変光路28の対応する部分の長さを変化させることができ、それにより第2の方向62に対する患者の相対的動きを許容することができる。ビーム26を第1のレフレクタ66からスキャナ16まで第1の方向46に平行に伝搬させることによって、可変光路28の対応する部分の長さを変化させることができ、それにより第1の方向46に対する患者の相対的動きを許容することができる。
【0064】
図示の実施形態では、自由浮動機構体14は、更に、第1のソレノイドブレーキ組立体72、第2のソレノイドブレーキ組立体74、及び第3のソレノイドブレーキ組立体76を含む。ソレノイドブレーキ組立体72,74,76は、患者の眼に対するスキャナ16の初期位置決めの際、自由浮動機構体14の偶発的な関節運動を選択的に阻止するよう動作可能である。例えば、自由浮動機構体14の偶発的な関節運動を阻止するための任意の機構体が存在していない場合、特にユーザが例えば対物レンズ組立体18との接触により対物レンズ組立体18を患者に対して適当な場所に動かしたとき、スキャナ16の運動を引き起こして、スキャナ16の運動により自由浮動機構体14の偶発的な関節運動が引き起こされる場合がある。レーザ手術システム10がセットアップ継手を含む支持リンケージ機構体によって支持されている場合、自由浮動機構体14の偶発的な関節運動を阻止することが利用され得て、レーザ手術システム10の初期位置決めが自由浮動機構体14の関節運動を介してではなくセットアップ継手の関節運動により行われる、ということを保証する。
【0065】
第1のソレノイドブレーキ組立体72は、スキャナ16と第1の支持組立体32との偶発的な相対運動を選択的に阻止するように構成されている。第1のソレノイドブレーキ組立体72を効かせる(係合させる)ことにより、横方向ロッド42,44に沿うスキャナ16の運動が阻止され、それにより第1の方向46に平行なスキャナ16と第1の支持組立体32との相対運動が阻止される。第1のソレノイドブレーキ組立体72が効かされていない場合、スキャナ16は、横方向ロッド42,44に沿って自由に滑ることができ、それにより第1の方向46に平行なスキャナ16と第1の支持組立体32との間の相対運動が可能になる。多くの実施形態では、自由浮動機構体14は、スキャナ16が横方向ロッド42,44に沿うその移動範囲に対して心出しされている場合に第1のソレノイドブレーキ組立体72を効かせることができるよう構成された戻り止め機構体及び/または表示器を含み、それにより、患者に対する対物レンズ組立体18の位置決めに続き第1のソレノイドブレーキ組立体72が離脱されたとき、第1の方向46に平行な両方向におけるスキャナ16の等しい移動範囲を保証している。
【0066】
第2のソレノイドブレーキ組立体74は、第1の支持組立体32と第2の支持組立体34との間の偶発的な相対運動を選択的に阻止するように構成されている。第2のソレノイドブレーキ組立体74を効かせる(係合させる)ことにより、横方向ロッド52,54に沿う第1の支持組立体32の運動が阻止され、それにより第2の方向62に平行な第1の支持組立体32と第2の支持組立体34との間の相対運動が阻止される。第2のソレノイドブレーキ組立体74が外された場合、第1の支持組立体32は、横方向ロッド52,54に沿って自由に滑ることができ、それにより第2の方向62に平行な第1の支持組立体32と第2の支持組立体34との間の相対運動が可能である。多くの実施形態では、自由浮動機構体14は、第1の支持組立体32が横方向ロッド52,54に沿うその移動範囲に対して心出しされている場合に第2のソレノイドブレーキ組立体74を効かせることができるよう構成された戻り止め機構体及び/または表示器を含み、それにより患者に対する対物レンズ組立体18の位置決めに続き第2のソレノイドブレーキ組立体74が離脱されたとき、第2の方向62に平行な両方向における第1の支持組立体32の等しい移動範囲を保証している。
【0067】
第3のソレノイドブレーキ組立体76は、第2の支持組立体34と第3の支持組立体36との偶発的な相対運動を選択的に阻止するように構成されている。第3のソレノイドブレーキ組立体76を効かせる(係合させる)ことにより、鉛直ロッド58,60に沿うベース組立体36の運動が阻止され、それにより第3の方向64に平行な第2の支持組立体34とベース組立体36との間の相対運動が阻止される。第3のソレノイドブレーキ組立体76が外された場合、ベース組立体36は、鉛直ロッド58,60に沿って自由に滑ることができ、それにより第3の方向64に平行な第2の支持組立体34とベース組立体36との相対運動が可能である。多くの実施形態では、自由浮動機構体14は、ベース組立体36が垂直ロッド58,60に沿うその移動範囲に対して心出しされている場合に第3のソレノイドブレーキ組立体76を効かせることができるよう構成された戻り止め機構体及び/または表示器を含み、それにより患者に対する対物レンズ組立体18の位置決めに続き第3のソレノイドブレーキ組立体76が離脱されたとき、第3の方向64に平行な両方向におけるベース組立体36の等しい移動範囲を保証している。
【0068】
オプションとしての実施形態では、第3のレフレクタ70は省かれ、到来するビーム26は、第3の方向64に平行に伝搬して第2のレフレクタ68に入射するよう方向付けられる。レフレクタ66,68,70の各々は、位置及び/又は向きが調節可能であるのが良く、それにより可変光路28の対応する部分をそれぞれ、第1、第2、及び第3の方向46,62,64に整列させるよう調節されるのが良い。したがって、第3のレフレクタ70を用いることにより、第3のレフレクタ70と第2のレフレクタ68との間の可変光路28の部分を整列させて第3の方向64に平行になるようにし、それによりレーザ組立体12と自由浮動機構体14との間の相対的な位置及び/又は向きの可変性を補償することができる。
【0069】
組立体30の図示の実施形態では、第1及び第2の方向46,62は、水平であるのが良く、第3の方向64は、鉛直であるのが良い。自由浮動機構体14は、スキャナに結合されると共に眼インターフェース装置20の重力誘起される運動を抑制する、及び/または、眼インターフェース装置20から眼インターフェース装置20に結合された眼への重力誘起される力の伝達を抑制する、というように構成されたカウンターバランス機構体を更に含むのが良い。例えば、カウンターバランス機構体は、釣り合わせ鉛直力を第2の支持組立体34に加え、それにより第2の支持組立体34とベース組立体36との重力誘起相対運動を抑制する、あるいは阻止する、及び/または、眼インターフェース装置20から眼インターフェース装置20に結合された眼への重力誘起力の伝達を妨げる、というように採用されるのが良い。
【0070】
組立体30の他の適当な変形例が採用可能である。例えば、スキャナ16は、鉛直に向けられたリニア軸受により第1の支持組立体に対して滑動可能に支持され得る。第1の支持組立体は、第1の水平に向けられたリニア軸受により第2の支持組立体に対して滑動可能に支持され得る。第2の支持組立体は、第2の水平に向けられたリニア軸受によりベース組立体に対して滑動可能に支持されるのが良く、この第2の水平に向けられたリニア軸受は、第1の水平に向けられたリニア軸受を横切るように(例えば、これに対して垂直に)向けられる。かかる構成では、釣り合い機構体を用いて釣り合い力をスキャナ16に及ぼすのが良く、それによりスキャナ16と眼インターフェース装置20との重力誘起相対運動を抑制し、あるいは阻止し、及び/または、眼インターフェース装置20から眼インターフェース装置20に結合された眼への重力誘起力の伝達を抑制し、あるいは阻止する、というように使用されるのが良い。組立体30は、1)スキャナ16と第1の支持組立体32との間、2)第1の支持組立体32と第2の支持組立体34との間、及び/又は3)第2の支持組立体34とベース組立体36との間、の相対位置をモニタリングするよう構成された1つ又は2つ以上のセンサを更に含むのが良い。
【0071】
図3は、レーザ手術システムにおいて患者の動きを許容する多くの実施形態による方法100の行為の単純化ブロック図である。本明細書において説明された任意適当な装置、組立体、及び/又はシステムを用いて方法100を実施することができる。方法100は、第1の支持組立体(例えば、第1の支持組立体32)を用いてスキャナ(例えば、スキャナ16)を支持して第1の方向(例えば、方向46)に平行なスキャナと第1の支持組立体との間の相対並進を許容するステップを含む。スキャナは、電磁線ビーム(例えば、ビーム26)を制御可能に走査するよう動作可能であると共にスキャナが患者の動きと関連して動くという態様で患者に結合されるよう構成されている(行為102)。第2の支持組立体(例えば、第2の支持組立体34)を用いて第1の支持組立体を支持し、それにより第1の方向を横切る第2の方向(例えば、方向62)に平行な第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対並進を許容する(行為104)。ベース組立体(例えば、ベース組立体36)を用いて第2の支持組立体を支持し、第1及び第2の方向の各々を横切る第3の方向(例えば、方向64)に平行な第2の支持組立体とベース組立体との間の相対並進を許容する(行為106)。電磁線ビームをベース組立体に対して固定された方向に伝搬させる(行為108)。第1の支持組立体を用いて、第1の方向に平行にスキャナまで伝搬するよう電磁線ビームを反射するように構成された第1のレフレクタ(例えば、第1のレフレクタ66)を支持する(行為110)。第2の支持組立体を用いて、第2の方向に平行に伝搬して第1のレフレクタに入射するように電磁線ビームを反射するよう構成された第2のレフレクタ(例えば、第2のレフレクタ68)を支持する(行為112)。スキャナと第1の支持組立体との間の相対並進、第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対並進、及び、第2の支持組立体とベース組立体との間の相対並進を用いて、スキャナとベース組立体との間の3次元相対並進を許容する(行為114)。
【0072】
図4は、方法100の一部として達成できる追加の観点及び/又はオプションとしての行為の単純化ブロック図である。例えば、方法100は、ベース組立体を用いて、第3の方向に平行に伝搬して第2のレフレクタに入射するよう電磁線ビームを反射するよう構成された第3のレフレクタ(例えば、第3のレフレクタ70)を支持するステップ(行為116)を含み得る。方法100は、スキャナを作動させて電磁線ビームを少なくとも2次元で(2つの寸法方向で)走査するステップ(行為118)を含み得る。方法100は、電磁線ビームを焦点に集束させ又は合焦させるステップ(行為120)を含み得る。方法100は、スキャナを作動させて焦点を3次元で(3つの寸法方向で)走査するステップ(行為122)を含み得る。方法100は、カウンターバランス機構体を用いてスキャナの重力誘起運動を抑制する、及び/または、スキャナに結合された眼への重力誘起力の伝達を抑制するステップ(行為124)を含み得る。方法100は、(1)スキャナと第1の組立体との間、(2)第1の支持組立体と第2の支持組立体との間、及び、(3)第2の支持組立体とベース組立体との間、から成る群のうちの少なくとも1つの相対位置をモニタリングするステップ(行為126)を含み得る。方法100は、患者に対するスキャナの位置決めの際、(1)スキャナ及び第1の支持組立体、(2)第1の支持組立体及び第2の支持組立体、及び、(3)第2の支持組立体及びベース組立体、のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するステップ(行為128)を含み得る。
【0073】
図5は、多くの実施形態に従って患者の動きを許容するために使用され得る自由浮動機構体14で用いることができる相対運動を概略的に示している。自由浮動機構体14は、第1のレフレクタ66、第2のレフレクタ68、及び第3のレフレクタ70を含む。多くの実施形態では、自由浮動機構体14は、電磁線ビーム26をスキャナ16の方に首尾一貫して方向付けるよう、スキャナ16と第1のレフレクタ66との間の或る特定の相対運動、第1のレフレクタ66と第2のレフレクタ68との間の或る特定の相対運動、及び、第2のレフレクタ68と第3のレフレクタ70との或る特定の相対運動、を可能にする一方で、患者インターフェース装置20と電磁線ビーム26を発生させるために用いられるレーザ組立体との間の3次元相対運動を許容する、というように構成されたリンケージ組立体(図示せず)を含む。例えば、図2に示されている自由浮動機構体14の実施形態と同様、自由浮動機構体14は、スキャナ16が第1の支持組立体によって支持されてスキャナが第1の支持組立体に対して第1の方向46に平行に自由に並進することができ、それにより第1のレフレクタ66とスキャナ16との間のビーム26の位置及び向きを維持する、というように構成され得る。同様に、第1の支持組立体は、第2の支持組立体によって支持され得て、その結果、第1の支持組立体が第2の支持組立体に対して第2の方向62に平行に自由に並進することができ、それにより第2のレフレクタ68と第1のレフレクタ66との間のビーム26の位置及び向きを維持する、ということが可能である。そして、第2の支持組立体は、当該第2の支持組立体が第3の方向64に平行にベース組立体に対して自由に並進することができ、それにより第3のレフレクタ70と第2のレフレクタ68との間のビーム26の位置及び向きを維持する、というようにベース組立体によって支持され得る。
【0074】
自由浮動機構体14は、ビーム26の光路セグメントの位置及び向きを維持するよう、1つ又は2つ以上の相対回転を採用するのが良い。例えば、スキャナ16は、当該スキャナが第1のレフレクタ66とスキャナ16との間のビーム26の光路セグメントと一致した軸線回りの第1の支持組立体に対する回転78を自由に行うことができ、それにより第1のレフレクタ66とスキャナ16との間のビーム26の位置及び向きを維持する、というように第1の支持組立体によって支持され得る。同様に、第1の支持組立体は、第2の支持組立体によって支持され得て、その結果、第1の支持組立体が第2のレフレクタ68と第1のレフレクタ66との間のビーム26の光路セグメントと一致した軸線回りの第2の支持組立体に対する回転80を自由に行うことができ、それにより第2のレフレクタ68と第1のレフレクタ66との間のビーム26の位置及び向きを維持する、ということが可能である。そして、第2の支持組立体は、ベース組立体によって支持され得て、その結果、第2の支持組立体が第3のレフレクタ70と第2のレフレクタ68との間のビーム26の光路セグメントと一致した軸線回りのベース組立体に対する回転82を自由に行うことができ、それにより第3のレフレクタ70と第2のレフレクタ68との間のビーム26の位置及び向きを維持する、ということが可能である。
【0075】
自由浮動機構体14は、ビーム26の光路セグメントの位置及び向きを維持するよう、相対並進と相対回転の任意適当な組み合わせをも採用することができる。例えば、図5に示された形態に関し、自由浮動機構体14は、第2の方向62に平行な相対並進、第3の方向64に平行な相対並進、及び、相対回転82を採用することができ、それにより電磁線ビーム26を発生させるために用いられるレーザ組立体に対する患者インターフェース20の3次元運動を可能にし、それにより患者の動きを許容する。
【0076】
図6Aは、レーザ手術システムにおいて患者の動きを許容する多くの実施形態による方法200の行為の単純化ブロック図である。本明細書において説明された任意適当な装置、組立体、及び/又はシステムを用いて方法200を実施することができる。方法200は、第1の支持組立体を用いてスキャナを支持してスキャナと第1の支持組立体との間の相対並進を許容して患者の動きを許容するステップを含む。スキャナは、電磁線ビームを制御可能に走査するよう動作可能であると共にスキャナが患者の動きと関連して動くような態様で患者に結合されるよう構成されている(行為202)。方法200は、ビーム源を用いて電磁線ビームを発生させるステップ(行為204)を含む。方法200は、電磁線ビームを患者の動きに応答して変化する光路長を有する光路に沿ってビーム源からスキャナまで伝搬させるステップ(行為206)を含む。
【0077】
図6Bは、方法200の一部として達成できる追加の観点及び/又はオプションとしての行為の単純化ブロック図である。例えば、方法200は、第2の支持組立体を用いて第1の支持組立体を支持し、それにより第1の支持組立体と第2の支持組立体との間の相対運動を許容して患者の動きを許容するステップ(行為208)を含み得る。方法200は、第1の支持組立体を用いて、光路の一部に沿ってスキャナまで伝搬するよう電磁線ビームを反射するよう構成された第1のレフレクタを支持するステップ(行為210)を含み得る。方法200は、ベース組立体を用いて第2の支持組立体を支持し、それにより第2の支持組立体とベース組立体との間の相対運動を許容して患者の動きを許容するステップ(行為212)を含み得る。方法200は、第2の支持組立体を用いて、光路の一部に沿って伝搬して第1のレフレクタに入射するように電磁線ビームを反射させるよう構成された第2のレフレクタを支持するステップ(行為214)を含み得る。方法200は、ベース組立体を用いて、光路の一部に沿って伝搬して第2のレフレクタに入射するように電磁線ビームを反射させるよう構成された第3のレフレクタを支持するステップ(行為216)を含み得る。方法200は、(1)スキャナと第1の支持組立体との間、(2)第1の支持組立体と第2の支持組立体との間、及び、(3)第2の支持組立体とベース組立体との間、のうちの少なくとも1つの相対位置及び相対向きのうちの少なくとも一方をモニタリングするステップ(行為218)を含み得る。方法200は、患者に対するスキャナの位置決めの際、(1)スキャナ及び第1の支持組立体、(2)第1の支持体及び第2の支持組立体、及び、(3)第2の支持組立体及びベース組立体、のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するステップ(行為220)を含み得る。
【0078】
図7は、多くの実施形態におけるレーザ手術システム300を概略的に示している。レーザ手術システム300は、レーザ組立体12、自由浮動機構体14、スキャナ16、対物レンズ組立体18、患者インターフェース20、通信経路302、制御エレクトロニクス304、制御パネル/グラフィカルユーザインターフェース(GUI)306、及びユーザインターフェース装置308を含む。制御エレクトロニクス304は、プロセッサ310を含み、プロセッサ310は、メモリ312を含む。患者インターフェース20は、患者22とインターフェースするよう構成されている。制御エレクトロニクス304は、通信経路302を介して、レーザ組立体12、自由浮動機構体14、スキャナ16、制御パネル/GUI306、及びユーザインターフェース装置308に作動的に結合されている。
【0079】
自由浮動機構体14は、例えば第1のレフレクタ66、第2のレフレクタ68、及び第3のレフレクタ70を含むよう図2に示されているように構成され得る。したがって、自由浮動機構体14は、これら直交した3つの単位方向の任意の組み合わせの結果として得られる任意の方向におけるレーザ組立体12に対する患者22の動きを許容するよう構成され得る。
【0080】
スキャナ16は、z‐走査装置314及びxy‐走査装置316を含む。レーザ手術システム300は、電磁線ビーム26を3次元で(3つの寸法方向で)走査される焦点に集束させ又は合焦させるよう構成されている。z‐走査装置314は、ビーム26の伝搬方向における焦点の位置を変化させるよう作動可能である。xy‐走査装置316は、ビーム26の伝搬方向を横切る2次元で(2つの寸法方向で)焦点の位置を走査するよう作動可能である。したがって、z‐走査装置314とxy‐走査装置316の組み合わせは、患者22の組織内、例えば患者22の眼組織内を含む3次元で(3つの寸法方向で)ビームの焦点を制御可能に走査するよう作動可能である。組立体30に関して上述したように、スキャナ16は、自由浮動機構体14によって支持され、それにより、3次元での(3つの寸法方向における)レーザ組立体12に対する走査装置の患者の動きにより誘起される運動が許容される。
【0081】
患者インターフェース20は、患者インターフェース20、対物レンズ18、及びスキャナ16が患者22と関連して動く、というように患者22に結合されている。例えば、多くの実施形態では、患者インターフェース20は、患者22の眼に真空取り付けされた吸引リングを採用している。吸引リングは、例えば吸引リングを患者インターフェース20に固定する真空を用いて、患者インターフェース20に結合され得る。
【0082】
制御エレクトロニクス304は、通信経路302を介して、レーザ組立体12、自由浮動機構体14、スキャナ16、患者インターフェース20、制御パネル/GUI306、及びユーザインターフェース装置308の動作を制御すると共に/或いはこれらからの入力を受け取ることができる。通信経路302は、任意適当な形態で具体化でき、かかる形態としては、制御エレクトロニクス304とそれぞれのシステムコンポーネントとの間の任意適当な共有又は専用通信経路が挙げられる。
【0083】
制御エレクトロニクス304は、任意適当なコンポーネント、例えば1つ又は2つ以上のプロセッサ、1つ又は2つ以上の書き換え可能ゲートアレイ(FPGA)、及び、1つ又は2つ以上の記憶装置、を含むことができる。多くの実施形態では、制御エレクトロニクス304は、ユーザにより特定される治療パラメータに従って手技前計画立案を可能にすると共にレーザ眼手術手技に対するユーザ管理を提供するべく、制御パネル/GUI306を制御する。
【0084】
制御エレクトロニクス304は、システム動作に関連付けられた計算を実行すると共に制御信号を種々のシステム要素に提供するべく用いられるプロセッサ/コントローラ310を含み得る。コンピュータ可読媒体312がプロセッサ310に結合されており、その目的は、プロセッサ及び他のシステム要素によって用いられるデータを記憶することにある。プロセッサ310は、本明細書全体を通じて説明したように、システムの他のコンポーネントと相互作用する。一実施形態では、メモリ312は、レーザシステム手術システム300の1つ又は2つ以上のコンポーネントを制御するために利用できるルックアップテーブルを含み得る。
【0085】
プロセッサ310は、命令及びデータを実行するよう構成された汎用マイクロプロセッサ、例えば、カリフォルニア州サンタクララ所在のインテル・コーポレーション(Intel Corporation )により製造されたPentium プロセッサであり得る。プロセッサは、本発明の実施形態による方法をソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアで実行する命令の少なくとも一部を具体化する特定用途向け集積回路(ASIC)であり得る。一例として、かかるプロセッサとしては、専用回路、ASIC、組み合わせ論理、他のプログラム可能プロセッサ、これらの組み合わせ、等が挙げられる。
【0086】
メモリ312は、該当する場合、特定の用途に対してローカルであっても良く又は分散されていても良い。メモリ312は、プログラム実行中に命令及びデータを記憶するための主読取り書込み記憶装置(RAM)及び一定の命令が記憶された読取り専用記憶装置(ROM)を含む多くのメモリを含み得る。かくして、メモリ312は、プログラム及びデータファイルのためのパーシステント(不揮発性)記憶装置をもたらし、メモリは、関連リムーバブルメディアと一緒のハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、フロッピディスクドライブ、コンパクトディスク読取り専用記憶装置(CD‐ROM)ドライブ、光学ドライブ、リムーバブルメディアカートリッジ、及び、他の同様な記憶媒体、を含み得る。
【0087】
ユーザインターフェース装置308は、ユーザ入力を制御エレクトロニクス304に提供するのに適した任意適当なユーザ入力装置を含み得る。例えば、ユーザインターフェース装置308は、例えばタッチスクリーンディスプレイ/入力装置、キーボード、フットスイッチ、キーパッド、患者インターフェース無線周波識別(RFID)リーダ、非常時停止ボタン、及びキースイッチ、のような装置を含み得る。
【0088】
任意適当なレーザ手術システムは、本明細書において開示されたような自由浮動機構体によって支持される電磁波ビームスキャナを採用するよう適当に変更可能である。例えば、2012年11月11日に出願された同時係属米国特許仮出願第61/722,048号明細書は、治療ビーム、光干渉断層法(OCT)測定ビーム、及び位置合わせビームを走査するために用いられる共有光学組立体の一部をなすビーム走査コンポーネントを含むレーザ眼手術システムを記載している。ここに記載されている方式を用いると、かかるビーム走査コンポーネントは、本明細書において説明しているような患者の動きを許容するよう自由浮動機構体から支持可能である。
【0089】
他の変形例が、本発明の精神に含まれる。かくして、本発明は、種々の改造例及び変形構成例を取ることができるが、その或る特定の図示の実施形態が図面に示されて、これら実施形態について上記において詳細に説明されている。しかしながら、理解されるべきこととして、開示された特定の1つ又は複数の形態に本発明を限定することは意図されておらず、これとは異なり、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲に属する全ての改造例、変形構成例、及び均等例を含むものである。
【0090】
本発明の説明との関連において英文明細書における用語“a”、“an”、“the”及び類似の用語の使用は、本明細書において別段の指定がなければ又は文脈上明白に矛盾しなければ、単数と複数の両方を含むものと解されるべきである。英文明細書における用語“comprising”(「〜を有する」と訳されている場合が多い)、“having”(「〜を有する」と訳されている場合が多い)、“including”(「〜を含む」と訳されている場合が多い)及び“containing”(「〜を含む」と訳されている場合が多い)は、別段の規定がなければ、非限定的な用語(即ち、“including, but not limited to,”(「〜を含むが、〜には限定されない」)を意味している)として解されるべきである。用語“connected ”(「連結され」)は、何らかの介在が存在している場合であっても、部分的又は全体的に収納され、取り付けられ、又は互いに接合されると解されるべきである。本明細書における値の範囲についての記載は、別段の指定がなければ、その範囲に含まれる別々の各値を個別的に言及している手短な方法としての役目を果たすに過ぎず、別々の各値は、これが個別的に本明細書に記載されているかのように明細書に含まれる。本明細書において説明した方法は全て、別段の指定がなければ又は文脈上明確に矛盾しなければ、任意適当な順序で実施できる。本明細書において提供される任意の及び全ての実施例又は例示の用語(例えば、“such as ”(「例えば」と訳されている場合が多い))の使用は、本発明の実施形態を良好に示すに過ぎず、別段のクレーム請求がなければ、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中、クレーム請求されていない何らかの要素を本発明の実施に必要不可欠なものとして指示するもの、と解されるべき用語は存在しない。
【0091】
本発明の好ましい実施形態を図示すると共に本明細書において説明したが、かかる実施形態は、例示として提供されているに過ぎないことが当業者には明らかであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形、変更、及び置換が、今や当業者には明らかである。理解されるべきこととして、本明細書において説明した本発明の実施形態の種々の変形例を本発明の実施において採用することができる。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定めており、特許請求の範囲に記載された請求項の範囲及びその均等範囲に含まれる方法及び構造は、本発明に含まれるものである。
【0092】
〔実施の態様〕
〔実施態様1〕
レーザ手術システムにおいて患者の運動を許容する方法であって、
第1の支持組立体を用いてスキャナを支持し、それにより前記スキャナと前記第1の支持組立体との間の相対運動を許容することで患者の運動を許容するステップと、
ビーム源を用いて電磁線ビームを発生させるステップと、
前記患者の運動に応答して変化する光路長を有する光路に沿って前記電磁線ビームを前記ビーム源から前記スキャナまで伝搬させるステップと、
を備え、
前記スキャナは、前記電磁線ビームを制御可能に走査するよう動作可能であると共に当該スキャナが前記患者の運動と関連して動くというような態様で前記患者に結合されるべく構成されている、方法。
〔実施態様2〕
第2の支持組立体を用いて前記第1の支持組立体を支持し、それにより前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間の相対運動を許容して患者の運動を許容するステップと、
前記第1の支持組立体を用いて、前記電磁線ビームを反射して当該電磁線ビームを前記光路長の一部に沿って伝搬させて前記スキャナに入射させるよう構成された第1のレフレクタを支持するステップと、
を更に含む、実施態様1記載の方法。
〔実施態様3〕
ベース組立体を用いて前記第2の支持組立体を支持し、それにより前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間の相対運動を許容して患者の運動を許容するステップと、
前記第2の支持組立体を用いて、前記電磁線ビームを反射して当該電磁線ビームを前記光路の一部に沿って伝搬させて前記第1のレフレクタに入射させるよう構成された第2のレフレクタを支持するステップと、
を更に含む、実施態様2記載の方法。
〔実施態様4〕
前記スキャナと前記第1の支持組立体との間の前記相対運動は、第1の方向における並進であり、
前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間の前記相対運動は、前記第1の方向を横切る第2の方向における並進であり、
前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間の前記相対運動は、前記第1の方向及び前記第2の方向の各々を横切る第3の方向における並進である、実施態様3記載の方法。
〔実施態様5〕
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直であり、
前記第3の方向は、前記第1の方向及び前記第2の方向の各々に対して垂直である、実施態様4記載の方法。
〔実施態様6〕
前記第1の方向、前記第2の方向、及び、前記第3の方向のうちの1つは、鉛直方向に向けられており、
前記方法は、
(1)前記鉛直方向における前記スキャナの重力誘起運動、及び、
(2)前記患者への重力誘起力の伝達
のうちの少なくとも一方を抑制するステップを更に含む、実施態様4記載の方法。
〔実施態様7〕
前記第3の方向は、鉛直方向に向けられており、
前記第1の方向及び前記第2の方向の各々は、水平方向に向けられている、実施態様6記載の方法。
〔実施態様8〕
(1)前記スキャナと前記第1の支持組立体との間の前記相対運動、
(2)前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間の前記相対運動、及び、
(3)前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間の前記相対運動
のうちの少なくとも1つは、相対回転である、実施態様3記載の方法。
〔実施態様9〕
前記ベース組立体を用いて、前記電磁線ビームを反射して当該電磁線ビームを前記光路の一部に沿って伝搬させて前記第2のレフレクタに入射させるよう構成された第3のレフレクタを支持するステップを更に含む、実施態様3記載の方法。
〔実施態様10〕
前記スキャナは、前記電磁線ビームを少なくとも2次元で走査するよう動作できる、実施態様1記載の方法。
〔実施態様11〕
前記スキャナは、前記電磁線ビームを1つの焦点に集束させると共に前記焦点を3次元で走査するよう動作できる、実施態様1記載の方法。
〔実施態様12〕
前記電磁線ビームは、眼組織を改変するよう構成された一連のレーザパルスを有する、実施態様1記載の方法。
〔実施態様13〕
(1)前記スキャナと前記第1の組立体との間、
(2)前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間、及び、
(3)前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間
からなる群のうちの少なくとも1つの相対位置及び相対向きのうちの少なくとも一方をモニタリングするステップを更に含む、実施態様3記載の方法。
〔実施態様14〕
前記スキャナは、前記患者の眼に結合されると共に前記眼の組織内で前記電磁線ビームの焦点を制御可能に走査するよう、構成されている、実施態様1記載の方法。
〔実施態様15〕
前記患者に対する前記スキャナの位置決めの際、
(1)前記スキャナ及び前記第1の支持組立体、
(2)前記第1の支持体及び前記第2の支持組立体、及び、
(3)前記第2の支持組立体及び前記ベース組立体
のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するステップを更に含む、実施態様3記載の方法。
〔実施態様16〕
レーザ眼手術システム用の患者インターフェース組立体であって、
患者の眼とインターフェースするよう構成された眼インターフェース装置と、
前記眼インターフェース装置に結合されると共に前記眼インターフェース装置とインターフェースされた眼内で電磁線ビームを少なくとも2次元で走査するよう動作可能に構成されたスキャナと、
前記スキャナと当該第1の支持組立体との間の相対運動を許容することで前記眼の運動を許容するよう前記スキャナを支持する第1の支持組立体と、
前記電磁線ビームを発生させるビーム源と、
を備え、
前記スキャナ及び前記眼インターフェース装置は、前記眼の運動と関連して動き、
前記電磁線ビームは、前記眼の運動に応答して変化する光路長を備えた光路に沿って前記ビーム源から前記スキャナまで伝搬する、患者インターフェース組立体。
〔実施態様17〕
前記第1の支持組立体と当該第2の支持組立体との間の相対運動を許容することで前記眼の運動を許容するよう前記第1の支持組立体を支持する第2の支持組立体と、
前記第1の支持組立体によって支持されると共に前記電磁線ビームを反射して前記光路の一部に沿って前記スキャナまで伝搬させるよう構成された第1のレフレクタと、
を更に含む、実施態様16記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様18〕
前記第2の支持組立体と当該ベース組立体との間の相対運動を許容することで前記眼の運動を許容するよう前記第2の支持組立体を支持するベース組立体と、
前記第2の支持組立体によって支持されると共に前記電磁線ビームを反射して前記光路の一部に沿って伝搬させて前記第1のレフレクタに入射させるよう構成された第2のレフレクタと、
を更に含む、実施態様17記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様19〕
前記スキャナと前記第1の支持組立体との間の前記相対運動は、第1の方向における並進であり、
前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間の前記相対運動は、前記第1の方向を横切る第2の方向における並進であり、
前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間の前記相対運動は、前記第1の方向及び前記第2の方向の各々を横切る第3の方向における並進である、実施態様18記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様20〕
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して垂直であり、
前記第3の方向は、前記第1の方向及び前記第2の方向の各々に対して垂直である、実施態様19記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様21〕
前記スキャナに結合され、且つ、
(1)垂直方向における前記スキャナの重力誘起運動、及び、
(2)前記眼への重力誘起力の伝達、
のうちの少なくとも1つを抑制するよう構成された、
カウンターバランス機構体を更に含む、実施態様19記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様22〕
前記第3の方向は、鉛直方向に向けられており、
前記第1の方向及び前記第2の方向の各々は、水平方向に向けられている、実施態様21記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様23〕
(1)前記スキャナと前記第1の支持組立体との間の前記相対運動、
(2)前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間の前記相対運動、及び、
(3)前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間の前記相対運動
のうちの少なくとも1つは、相対回転である、実施態様18記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様24〕
前記ベース組立体によって支持され、且つ、前記電磁線ビームを反射して当該電磁線ビームを前記光路の一部に沿って伝搬させて前記第2のレフレクタに入射させるよう構成された、第3のレフレクタ
を更に含む、実施態様18載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様25〕
前記スキャナは、前記電磁線ビームを少なくとも2次元で走査するよう動作できる、実施態様16記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様26〕
前記スキャナは、前記電磁線ビームを1つの焦点に集束させると共に前記焦点を3次元で走査するよう動作できる、実施態様16記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様27〕
前記電磁線ビームは、眼組織を改変するよう構成された一連のレーザパルスを有する、実施態様16記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様28〕
(1)前記スキャナと前記第1の組立体との間、
(2)前記第1の支持組立体と前記第2の支持組立体との間、及び、
(3)前記第2の支持組立体と前記ベース組立体との間
からなる群のうちの少なくとも1つの相対位置をモニタリングするよう構成された少なくとも1つのセンサを更に含む、実施態様18記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様29〕
前記スキャナと前記眼インターフェース装置との間に設けられ前記スキャナ及び前記眼インターフェース装置に結合された対物レンズ組立体を更に含み、
前記電磁線ビームは、前記スキャナから伝搬して前記対物レンズ組立体を通り、次に前記対物レンズ組立体から前記眼インターフェース装置を通る、実施態様16記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様30〕
前記スキャナは、z‐走査装置及びxy‐走査装置を有し、
前記z‐走査装置は、前記眼内で前記焦点の深さを変更するよう動作可能であり、
前記xy‐走査装置は、前記電磁線ビームの前記伝搬方向を横切る2次元内で前記焦点を走査するよう動作可能である、実施態様16記載の患者インターフェース組立体。
〔実施態様31〕
前記患者に対する前記スキャナの位置決めの際、
(1)前記スキャナ及び前記第1の支持組立体、
(2)前記第1の支持体及び前記第2の支持組立体、及び、
(3)前記第2の支持組立体及び前記ベース組立体
のうちの少なくとも1つの相互間の相対運動を抑制するよう構成された少なくとも1つの装置を更に含む、実施態様18記載の患者インターフェース組立体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7