特許第6505930号(P6505930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6505930
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】食品用スライス装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20190415BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20190415BHJP
   B26D 1/11 20060101ALI20190415BHJP
   A21D 13/00 20170101ALN20190415BHJP
【FI】
   B26D3/28 620L
   B26D3/28 620N
   B26D7/26
   B26D1/11
   !A21D13/00
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-158193(P2018-158193)
(22)【出願日】2018年8月27日
【審査請求日】2018年11月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [展示日]平成30年6月12日〜6月15日 [展示会名、展示場所]2018国際食品工業展、東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1) [公開日]平成30年6月21日 [公開場所]株式会社ニュートラル [ウェブサイトの掲載日]平成30年6月21日 [ウェブサイトのアドレス]http://www.neutral−jp.com/02sprs.html [公開日]平成30年6月25日 [公開場所]株式会社ニュートラル [公開日]平成30年7月12日 [公開場所]株式会社ニュートラル
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507053404
【氏名又は名称】株式会社ニュートラル
(73)【特許権者】
【識別番号】398066871
【氏名又は名称】株式会社文明堂東京
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 健司
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−82772(JP,A)
【文献】 特開昭61−178196(JP,A)
【文献】 特公昭47−24145(JP,B1)
【文献】 登録実用新案第60524(JP,Z1)
【文献】 米国特許第3093037(US,A)
【文献】 特開2013−71216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/28
B26D 1/11
B26D 7/26
A21D 2/00 − 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を搬送方向に搬送するための搬送機構と、
前記搬送方向と交差しつつ上下に延在し且つその延在方向及び前記搬送方向と直交する幅方向に配置された複数の刃物、及び、前記搬送機構により搬送される食品よりも上方において前記複数の刃物のそれぞれを支持しつつ前記幅方向に移動可能に支持された複数の上支持部と前記搬送機構により搬送される食品よりも下方において前記複数の刃物のそれぞれを支持しつつ前記幅方向に移動可能に支持された複数の下支持部とを有する支持枠を含む刃物体と、
前記搬送機構によって搬送される食品を前記複数の刃物でスライスするために、前記刃物体を前記延在方向に昇降させる昇降機構と、
前記搬送機構によって搬送される食品のスライス幅を調整するために、前記複数の上支持部及び前記複数の下支持部を前記幅方向にそれぞれ移動させるスライス幅調整機構と、
前記複数の上支持部と前記複数の下支持部との前記延在方向の離隔距離を変更するための変更機構とを備えていることを特徴とする食品用スライス装置。
【請求項2】
前記支持枠は、前記複数の上支持部を有する上支持枠と、前記複数の下支持部を有する下支持枠とに分けられて構成されており、
前記変更機構は、前記延在方向において、前記上支持枠と前記下支持枠との離隔距離を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の食品用スライス装置。
【請求項3】
前記上支持枠は、前記幅方向に延在し、前記複数の上支持部を前記幅方向に移動可能に支持する断面が円形の上ガイドを有しており、
前記下支持枠は、前記幅方向に延在し、前記複数の下支持部を前記幅方向に移動可能に支持する断面が円形の下ガイドを有しており、
前記上ガイド及び前記下ガイドのそれぞれをその軸周りに回転させることが可能なガイド回転機構をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の食品用スライス装置。
【請求項4】
前記スライス幅調整機構は、前記幅方向に沿って延在し且つ前記上支持枠にその軸周りに回転可能に支持され、前記複数の上支持部のそれぞれに貫通し外周面に雄ねじが形成された複数の上ネジ軸と、前記幅方向に沿って延在し且つ前記下支持枠にその軸周りに回転可能に支持され、前記複数の下支持部のそれぞれに貫通し外周面に雄ねじが形成された複数の下ネジ軸と、前記複数の上ネジ軸及び前記複数の下ネジ軸の少なくともいずれかを選択的にその軸周りに回転させることが可能なネジ軸回転機構とを有しており、
前記複数の上支持部のそれぞれは、前記上ネジ軸の回転に伴って前記幅方向に移動可能なように、対応する前記上ネジ軸の雄ねじに係合しており、
前記複数の下支持部のそれぞれは、前記下ネジ軸の回転に伴って前記幅方向に移動可能なように、対応する前記下ネジ軸の雄ねじに係合していることを特徴とする請求項2又は3に記載の食品用スライス装置。
【請求項5】
前記ネジ軸回転機構は、前記複数の上ネジ軸及び前記複数の下ネジ軸のそれぞれに固定された複数のプーリと、同じ前記刃物を支持する前記上支持部と前記下支持部とに係合する前記上ネジ軸と前記下ネジ軸とに固定されたプーリをそれぞれ組として、これら複数の組のプーリに架け渡された複数のタイミングベルトとを含んでいることを特徴とする請求項4に記載の食品用スライス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、棒状に焼き上げられた食パンや菓子類の食品を、所望のスライス幅にスライスするための食品用スライス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、製パン工場にて製造される棒状の食パンは、所望のスライス幅にスライスすることによって1斤当たり4枚〜8枚(場合によっては10枚)程度のパン片に加工されて販売される。製パン工場にて、食パンをスライスする場合は、製造時間の短縮、効率化を図る観点から一度に複数枚をスライスする必要がある。
【0003】
従来、このような食品用のスライス装置として、例えば、特許文献1に記載のレシプロ型スライス装置が知られている。このスライス装置においては、食パン体を切断するための一対の刃物体と、一対の刃物体を駆動する駆動装置と、食パン体を往復移送するための往復移送装置とを含んでおり、当該駆動装置の昇降機構により一対の刃物体を交互に昇降させることで、移送される食パン体を所望のスライス幅でスライスすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−178196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のスライス装置においては、食パン体のスライス幅を変更する場合、刃物体を構成する一部である複数のナイフが固定された支枠自体を交換することで、スライス幅が変更される。このように複数のナイフが固定された支枠自体を交換するには、多くの部品を取り外したり、取り付けたりと、非常に煩雑な交換作業が生じ、スライス幅の変更を容易に行うことができないという問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、スライス幅の変更を容易に行うことが可能な食品用スライス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食品用スライス装置は、食品を搬送方向に搬送するための搬送機構と、前記搬送方向と交差しつつ上下に延在し且つその延在方向及び前記搬送方向と直交する幅方向に配置された複数の刃物、及び、前記搬送機構により搬送される食品よりも上方において前記複数の刃物のそれぞれを支持しつつ前記幅方向に移動可能に支持された複数の上支持部と前記搬送機構により搬送される食品よりも下方において前記複数の刃物のそれぞれを支持しつつ前記幅方向に移動可能に支持された複数の下支持部とを有する支持枠を含む刃物体と、前記搬送機構によって搬送される食品を前記複数の刃物でスライスするために、前記刃物体を前記延在方向に昇降させる昇降機構と、前記搬送機構によって搬送される食品のスライス幅を調整するために、前記複数の上支持部及び前記複数の下支持部を前記幅方向にそれぞれ移動させるスライス幅調整機構と、前記複数の上支持部と前記複数の下支持部との前記延在方向の離隔距離を変更するための変更機構とを備えている。
【0008】
これによると、スライス幅調整機構によって刃物を幅方向に移動させることができるため、刃物体自体を交換しなくても、容易に食品のスライス幅を変更することが可能となる。
加えて、変更機構を有していることで、刃物に対するテンションを変更することが可能となる。つまり、刃物で食品を切断する際には、刃物に所定のテンションを付与することが可能となり、刃物で食品がスライスしやすくなる。また、刃物を幅方向に移動させる際には、上支持部と下支持部との離隔距離をスライス時よりも小さくなるように変更することが可能となり、刃物を幅方向にスムーズに移動させやすくなる。なお、ここでいう食品とは、主に食パンなど搬送方向に直交する幅方向に沿って長尺な棒状のものをいう。
【0009】
本発明において、前記支持枠は、前記複数の上支持部を有する上支持枠と、前記複数の下支持部を有する下支持枠とに分けられて構成されており、前記変更機構は、前記延在方向において、前記上支持枠と前記下支持枠との離隔距離を変更可能に構成されていることが好ましい。これにより、上支持枠と下支持枠との延在方向の離隔距離を変更することで、複数の刃物に対するテンションを一度に変更することが可能となる。
【0010】
また、本発明において、前記上支持枠は、前記幅方向に延在し、前記複数の上支持部を前記幅方向に移動可能に支持する断面が円形の上ガイドを有しており、前記下支持枠は、前記幅方向に延在し、前記複数の下支持部を前記幅方向に移動可能に支持する断面が円形の下ガイドを有しており、前記上ガイド及び前記下ガイドのそれぞれをその軸周りに回転させることが可能なガイド回転機構をさらに備えていることが好ましい。これにより、上ガイド及び下ガイドをその軸周りに回転させることが可能となるため、上支持部が上ガイドに対して、下支持部が下ガイドに対して幅方向に移動しやすくなる。
【0011】
また、本発明において、前記スライス幅調整機構は、前記幅方向に沿って延在し且つ前記上支持枠にその軸周りに回転可能に支持され、前記複数の上支持部のそれぞれに貫通し外周面に雄ねじが形成された複数の上ネジ軸と、前記幅方向に沿って延在し且つ前記下支持枠にその軸周りに回転可能に支持され、前記複数の下支持部のそれぞれに貫通し外周面に雄ねじが形成された複数の下ネジ軸と、前記複数の上ネジ軸及び前記複数の下ネジ軸の少なくともいずれかを選択的にその軸周りに回転させることが可能なネジ軸回転機構とを有しており、前記複数の上支持部のそれぞれは、前記上ネジ軸の回転に伴って前記幅方向に移動可能なように、対応する前記上ネジ軸の雄ねじに係合しており、前記複数の下支持部のそれぞれは、前記下ネジ軸の回転に伴って前記幅方向に移動可能なように、対応する前記下ネジ軸の雄ねじに係合していることが好ましい。これにより、ネジ軸回転機構により、上ネジ軸及び下ネジ軸をその軸周りに回転させることで、対応する上支持部及び下支持部を幅方向に移動させることが可能となる。
【0012】
また、本発明において、前記ネジ軸回転機構は、前記複数の上ネジ軸及び前記複数の下ネジ軸のそれぞれに固定された複数のプーリと、同じ前記刃物を支持する前記上支持部と前記下支持部とに係合する前記上ネジ軸と前記下ネジ軸とに固定されたプーリをそれぞれ組として、これら複数の組のプーリに架け渡された複数のタイミングベルトとを含んでいることが好ましい。これにより、上ネジ軸又は下ネジ軸の一方を回転させることで、下ネジ軸又は上ネジ軸の他方も回転させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の食品用スライス装置によると、これによると、スライス幅調整機構によって刃物を幅方向に移動させることができるため、刃物体自体を交換しなくても、容易に食品のスライス幅を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る食品用スライス装置の概略構成図である。
図2図1に示す一対の刃物体のうち、搬送方向上流にある刃物体を正面から見たときの図であり、その刃物体及びその周辺を示す図である。
図3図1に示す一対の刃物体のうち、搬送方向下流にある刃物体を正面から見たときの図であり、その刃物体及びその周辺を示す図である。
図4】一対の刃物体の刃物の並びを示す説明図である。
図5図1に示す食品用スライス装置の制御ブロック図である。
図6】食品用スライス装置の一変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の一実施形態に係る食品用スライス装置について、図1図5を参照しつつ説明する。本実施形態においては、一方向に長尺な棒状の食パン(食品)をスライスするための食品用スライス装置について述べるが、食パン以外の菓子類などの食品を、所望のスライス幅にするための食品用スライス装置であってもよい。
【0017】
食品用スライス装置1は、図1及び図2に示すように、食パンP(食品)を搬送方向A(図1中右方向)に搬送するための搬送機構10と、食パンPをスライスするためのスライス機構20と、制御装置100と、これら構成要素を収容する筐体2とを含む。食パンPは、搬送方向Aと直交する幅方向B(図1中紙面垂直方向)が長手方向となるようにして、搬送機構10によって搬送される。
【0018】
搬送機構10は、図1に示すように、第1搬送部11と、第2搬送部12とを有する。これら第1搬送部11と第2搬送部12は、搬送方向Aに沿って配置されている。第1搬送部11は、第2搬送部12よりも搬送方向Aの上流側に配置されている。また、第1搬送部11は、搬送方向Aに沿って互いに離隔して配置された一対のプーリ11a,11bと、一対のプーリ11a,11bに架け渡された搬送ベルト11cと、プーリ11aを駆動する第1搬送モータ11d(図5参照)とを有している。第2搬送部12も、搬送方向Aに沿って互いに離隔して配置された一対のプーリ12a,12bと、一対のプーリ12a,12bに架け渡された搬送ベルト12cと、プーリ12bを駆動する第2搬送モータ12d(図5参照)とを有している。
【0019】
この構成において、制御装置100が、第1搬送モータ11d及び第2搬送モータ12dを駆動制御することで、プーリ11a,12bが駆動され、搬送ベルト11c,12cが走行される。こうして、食パンPが搬送方向Aに沿って搬送される。なお、制御装置100は、ユーザが食品用スライス装置1を操作するための操作入力部101(図5参照)からの信号を受信することで、搬送機構10やスライス機構20を駆動制御する。また、操作入力部101は、食パンPのスライス幅の設定などの入力も行うことが可能である。また、搬送機構10は、第1搬送部11の上方に配置され、第1搬送部11とで食パンPなどの食品を挟みつつ搬送方向Aに搬送する押さえ機構をさらに有していてもよい。当該押さえ機構は第2搬送部12上にも設けられていてもよい。また、搬送機構10は、複数のローラを有するローラ搬送機構から構成されていてもよい。
【0020】
スライス機構20は、図1図3に示すように、一対の刃物体30,40と、一対の刃物体30,40を昇降させる昇降機構50と、スライス幅調整機構60と、ガイド回転機構70と、変更機構80と、位置調整機構90とを有している。一対の刃物体30,40は、搬送機構10によって搬送される食パンPを所望のスライス幅でスライスするためのものであり、図1に示すように、搬送方向Aにおいて、第1搬送部11及び第2搬送部12の間に配置されている。また、一対の刃物体30,40は、図1に示すように、上部が下部よりも搬送方向Aの上流に配置されるように、垂直な状態から所定角度だけ傾斜して配置されている。なお、一対の刃物体30,40は、垂直な状態に配置されていてもよい。
【0021】
刃物体30は、図2に示すように、4つの刃物31と、これら刃物31の上端をそれぞれ支持する4つの上支持部32と、これら刃物31の下端をそれぞれ支持する4つの下支持部33と、これら支持部32,33を支持する支持枠34とを有する。4つの上支持部32は、刃物31の上端を支持している。4つの下支持部33は、刃物31の下端を支持している。なお、上支持部32は、搬送機構10によって搬送される食パンPよりも上方において刃物31を支持しておれば、刃物31の上端よりも下方を支持していてもよい。また、4つの下支持部33は、搬送機構10によって搬送される食パンPよりも下方において刃物31を支持しておれば、刃物31の下端よりも上方を支持していてもよい。
【0022】
刃物31は、図1に示す刃物体30が傾斜した方向Cであって図2中上下方向である延在方向Cに沿って延在する。また、刃物31は、搬送方向Aの上流側部分全体に亘って、食パンPを切断するための刃を有している。なお、図2は、図1に示す刃物体30を延在方向Cと直交する正面(搬送方向Aの上流側)から見たときの図である。
【0023】
支持枠34は、図2に示すように、上支持枠35と、上支持枠35と延在方向Cに離隔して配置された下支持枠36とを有する。上支持枠35は、幅方向Bに沿って延在する第1部分35aと、第1部分35aの幅方向Bの左端部から延在方向Cに沿って下方に延在する第2部分35bと、第1部分35aの幅方向Bの右端部から延在方向Cに沿って下方に延在する第3部分35cと、第1部分35aの幅方向Bの中央から延在方向Cに沿って下方に延在する第4部分35dと、2つの上ガイド35e,35fとを有している。これら上ガイド35e,35fは、幅方向Bに沿って延在し、円形の断面を有する棒状部材からなる。また、上ガイド35eは、第2部分35bと第4部分35dとで回転可能に支持されている。また、上ガイド35eの左側端部は、第2部分35bを貫通して外側に突出しており、当該端部が後述の第1ガイド回転部71からの回転力を伝達するための回転力伝達部として構成されている。上ガイド35eは、図2に示すように、2つの上支持部32を幅方向Bに沿って移動可能に支持している。上ガイド35fは、第3部分35cと第4部分35dとで回転可能に支持されている。また、上ガイド35fの右側端部は、第3部分35cを貫通して外側に突出しており、当該端部が後述の第2ガイド回転部72からの回転力を伝達するための回転力伝達部として構成されている。上ガイド35fも、図2に示すように、2つの上支持部32を幅方向Bに沿って移動可能に支持している。
【0024】
下支持枠36は、図2に示すように、幅方向Bに沿って延在する第1部分36aと、第1部分36aの幅方向Bの左端部から延在方向Cに沿って上方に延在する第2部分36bと、第1部分36aの幅方向Bの右端部から延在方向Cに沿って上方に延在する第3部分36cと、第1部分36aの幅方向Bの中央から延在方向Cに沿って上方に延在する第4部分36dと、2つの下ガイド36e,36fとを有している。これら下ガイド36e,36fは、幅方向Bに沿って延在し、円形の断面を有する棒状部材からなる。また、下ガイド36eは、第2部分36bと第4部分36dとで回転可能に支持されている。下ガイド36eは、図2に示すように、2つの下支持部33を幅方向Bに沿って移動可能に支持している。下ガイド36fは、第3部分36cと第4部分36dとで回転可能に支持されている。下ガイド36fも、図2に示すように、2つの下支持部33を幅方向Bに沿って移動可能に支持している。
【0025】
刃物体40は、図3に示すように、5つの刃物41と、これら刃物41の上端をそれぞれ支持する5つの上支持部42と、これら刃物41の下端をそれぞれ支持する5つの下支持部43と、これら支持部42,43を支持する支持枠44とを有する。5つの上支持部42は、刃物41の上端を支持している。5つの下支持部43は、刃物41の下端を支持している。なお、5つの上支持部42は、搬送機構10によって搬送される食パンPよりも上方において刃物41を支持しておれば、刃物41の上端よりも下方を支持していてもよい。また、5つの下支持部43は、搬送機構10によって搬送される食パンPよりも下方において刃物41を支持しておれば、刃物41の下端よりも上方を支持していてもよい。
【0026】
刃物41も、図1に示す刃物体40が傾斜した方向Cであって図3中上下方向である延在方向Cに沿って延在する。また、刃物41は、搬送方向Aの上流側部分全体に亘って、食パンPを切断するための刃を有している。なお、図3は、図1に示す刃物体40を延在方向Cと直交する正面(搬送方向Aの上流側)から見たときの図である。
【0027】
支持枠44は、図3に示すように、上支持枠45と、上支持枠45と延在方向Cに離隔して配置された下支持枠46とを有する。上支持枠45は、幅方向Bに沿って延在する第1部分45aと、第1部分45aの幅方向Bの左端部から延在方向Cに沿って下方に延在する第2部分45bと、第1部分45aの幅方向Bの右端部から延在方向Cに沿って下方に延在する第3部分45cと、第1部分45aの幅方向Bの中央から延在方向Cに沿って下方に延在する第4部分45dと、2つの上ガイド45e,45fとを有している。これら上ガイド45e,45fは、幅方向Bに沿って延在し、円形の断面を有する棒状部材からなる。また、上ガイド45eは、第2部分45bと第4部分45dとで回転可能に支持されている。また、上ガイド45eの左側端部は、第2部分45bを貫通して外側に突出しており、当該端部が後述の第3ガイド回転部73からの回転力を伝達するための回転力伝達部として構成されている。上ガイド45eは、図3に示すように、2つの上支持部42を幅方向Bに沿って移動可能に支持している。上ガイド45fは、第3部分45cと第4部分45dとで回転可能に支持されている。また、上ガイド45fの右側端部は、第3部分45cを貫通して外側に突出しており、当該端部が後述の第4ガイド回転部74からの回転力を伝達するための回転力伝達部として構成されている。上ガイド45fは、図3に示すように、3つの上支持部42のうち最も左側の上支持部42を除く2つの上支持部42を幅方向Bに沿って移動可能に支持している。また、上ガイド45fは、3つの上支持部42のうち最も左側の上支持部42に対して空転可能に当該上支持部42を貫通して配置されている。なお、本実施形態においては、5つの上支持部42のうち、幅方向Bの中央に配置されている上支持部42は第4部分45dに固定されているが、幅方向Bに沿って移動可能に構成されていてもよい。
【0028】
下支持枠46は、図3に示すように、幅方向Bに沿って延在する第1部分46aと、第1部分46aの幅方向Bの左端部から延在方向Cに沿って上方に延在する第2部分46bと、第1部分46aの幅方向Bの右端部から延在方向Cに沿って上方に延在する第3部分46cと、第1部分46aの幅方向Bの中央から延在方向Cに沿って上方に延在する第4部分46dと、2つの下ガイド46e,46fとを有している。これら下ガイド46e,46fは、幅方向Bに沿って延在し、円形の断面を有する棒状部材からなる。また、下ガイド46eは、第2部分46bと第4部分46dとで回転可能に支持されている。下ガイド46eは、図3に示すように、2つの下支持部43を幅方向Bに沿って移動可能に支持している。下ガイド46fは、第3部分46cと第4部分46dとで回転可能に支持されている。下ガイド46fも、図3に示すように、3つの下支持部43のうち最も左側の下支持部43を除く2つの下支持部43を幅方向Bに沿って移動可能に支持している。また、下ガイド46fは、3つの下支持部43のうち最も左側の下支持部43に対して空転可能に当該下支持部43を貫通して配置されている。なお、本実施形態においては、5つの下支持部43のうち、幅方向Bの中央に配置されている下支持部43は第4部分45dに固定されているが、幅方向Bに沿って移動可能に構成されていてもよい。
【0029】
刃物体30の4つの刃物31は、図4に示すように、上支持部32及び下支持部33の搬送方向Aの下流側で支持されている。刃物体40の5つの刃物41は、上支持部42及び下支持部43の搬送方向Aの上流側で支持されている。そして、4つの刃物31及び5つの刃物41は、搬送方向Aの中心が幅方向Bに平行な仮想直線L(一点鎖線)上にともに配置され、且つ幅方向Bに沿って交互に配置されている。
【0030】
昇降機構50は、図1及び図2に示すように、クランク軸51と、クランク軸51を収容する収容ケース52と、下端がクランク軸51に接続された2本のコンロッド53,54と、クランク軸51の端部に固定されたプーリ55と、スライス用モータ56と、モータプーリ57と、プーリ55とモータプーリ57とに架け渡された動力伝達ベルト58とを含む。クランク軸51は、図1及び図2に示すように、幅方向B及び延在方向Cに直交する方向に延在し、スライス用モータ56からの回転力を延在方向Cに沿う直線運動に変換するものであり、2本のコンロッド53,54を互いに180度の位相差をもって所定ストロークの昇降運動を行うように構成されている。コンロッド53は、図2に示すように、上端が刃物体30の下支持枠36に連結されている。コンロッド54は、図3に示すように、上端が刃物体40の下支持枠46に連結されている。
【0031】
この構成において、制御装置100が、スライス用モータ56を駆動制御することで、モータプーリ57、動力伝達ベルト58、プーリ55を介してクランク軸51が回転し、2本のコンロッド53,54を交互に昇降させる。つまり、一対の刃物体30,40を交互に昇降させる。この結果、幅方向Bに沿って交互に配置された刃物31,41の延在方向Cの昇降も互いに反対方向に行われる。これにより、搬送機構10によって搬送される食パンPには常に搬送機構10側への押圧力が生じるので、食パンPを搬送機構10から浮き上がらせずに、当該食パンPをスライスしつつ搬送することが可能となる。この結果、食パンPをきれいにスライスすることも可能となる。
【0032】
スライス幅調整機構60は、図2及び図3に示すように、刃物体30側に配置された4本の上ネジ軸61a〜61d及び4本の下ネジ軸62a〜62dと、刃物体40側に配置された4本の上ネジ軸63a〜63d及び4本の下ネジ軸64a〜64dと、第1〜第4ネジ軸回転機構66〜69とを有している。4本の上ネジ軸61a〜61dは、図2に示すように、幅方向Bに沿って延在し且つ外周面にそれぞれ雄ねじが形成されている。上ネジ軸61a,61bは、第2部分35bと第4部分35dとで回転可能に支持されている。上ネジ軸61c,61dは、第3部分35cと第4部分35dとで回転可能に支持されている。これら上ネジ軸61a〜61dのそれぞれは、2つの上支持部32を貫通して配置されている。また、上ネジ軸61aは、貫通する2つの上支持部32のうちの左方の上支持部32と係合し、右方の上支持部32とは係合せず(空転可能に貫通しており)、上ネジ軸61aが回転することによって係合する上支持部32のみが幅方向Bに移動可能となる。また、上ネジ軸61bは、貫通する2つの上支持部32のうちの右方の上支持部32と係合し、左方の上支持部32とは係合せず(空転可能に貫通しており)、上ネジ軸61bが回転することによって係合する上支持部32のみが幅方向Bに移動可能となる。また、上ネジ軸61cは、貫通する2つの上支持部32のうちの右方の上支持部32と係合し、左方の上支持部32とは係合せず(空転可能に貫通しており)、上ネジ軸61cが回転することによって係合する上支持部32のみが幅方向Bに移動可能となる。また、上ネジ軸61dは、貫通する2つの上支持部32のうちの左方の上支持部32と係合し、右方の上支持部32とは係合せず(空転可能に貫通しており)、上ネジ軸61dが回転することによって係合する上支持部32のみが幅方向Bに移動可能となる。
【0033】
4本の下ネジ軸62a〜62dは、図2に示すように、幅方向Bに沿って延在し且つ外周面にそれぞれ雄ねじが形成されている。下ネジ軸62a,62bは、第2部分36bと第4部分36dとで回転可能に支持されている。下ネジ軸62c,62dは、第3部分36cと第4部分36dとで回転可能に支持されている。これら下ネジ軸62a〜62dのそれぞれは、2つの下支持部33に貫通して配置されている。また、下ネジ軸62aは、貫通する2つの下支持部33のうちの左方の下支持部33と係合し、右方の下支持部33とは係合せず(空転可能に貫通しており)、下ネジ軸62aが回転することによって係合する下支持部33のみが幅方向Bに移動可能となる。また、下ネジ軸62bは、貫通する2つの下支持部33のうちの右方の下支持部33と係合し、左方の下支持部33とは係合せず(空転可能に貫通しており)、下ネジ軸62bが回転することによって係合する下支持部33のみが幅方向Bに移動可能となる。また、下ネジ軸62cは、貫通する2つの下支持部33のうちの右方の下支持部33と係合し、左方の下支持部33とは係合せず(空転可能に貫通しており)、下ネジ軸62cが回転することによって係合する下支持部33のみが幅方向Bに移動可能となる。また、下ネジ軸62dは、貫通する2つの下支持部33のうちの左方の下支持部33と係合し、右方の下支持部33とは係合せず(空転可能に貫通しており)、下ネジ軸62dが回転することによって係合する下支持部33のみが幅方向Bに移動可能となる。
【0034】
4本の上ネジ軸63a〜63dは、図3に示すように、幅方向Bに沿って延在し且つ外周面にそれぞれ雄ねじが形成されている。上ネジ軸63a,63bは、第2部分45bと第4部分45dとで回転可能に支持されている。上ネジ軸63c,63dは、第3部分45cと第4部分45dとで回転可能に支持されている。これら上ネジ軸63a,63bのそれぞれは、2つの上支持部42に貫通して配置されている。また、これら上ネジ軸63c,63dのそれぞれは、3つの上支持部42に貫通して配置されている。また、上ネジ軸63aは、貫通する2つの上支持部42のうちの左方の上支持部42と係合し、右方の上支持部42とは係合せず(空転可能に貫通しており)、上ネジ軸63aが回転することによって係合する上支持部42のみが幅方向Bに移動可能となる。また、上ネジ軸63bは、貫通する2つの上支持部42のうちの右方の上支持部42と係合し、左方の上支持部42とは係合せず(空転可能に貫通しており)、上ネジ軸63bが回転することによって係合する上支持部42のみが幅方向Bに移動可能となる。また、上ネジ軸63cは、貫通する3つの上支持部42のうちの最も右方の上支持部42と係合し、残りの2つの上支持部42とは係合せず(空転可能に貫通しており)、上ネジ軸63cが回転することによって係合する上支持部42のみが幅方向Bに移動可能となる。また、上ネジ軸63dは、貫通する3つの上支持部42のうちの中央に配置された上支持部42と係合し、残りの2つの上支持部42とは係合せず(空転可能に貫通しており)、上ネジ軸63dが回転することによって係合する上支持部42のみが幅方向Bに移動可能となる。
【0035】
4本の下ネジ軸64a〜64dは、図3に示すように、幅方向Bに沿って延在し且つ外周面にそれぞれ雄ねじが形成されている。下ネジ軸64a,64bは、第2部分46bと第4部分46dとで回転可能に支持されている。下ネジ軸64c,64dは、第3部分46cと第4部分46dとで回転可能に支持されている。これら下ネジ軸64a,64bのそれぞれは、2つの下支持部43に貫通して配置されている。また、これら下ネジ軸64c,64dのそれぞれは、3つの下支持部43に貫通して配置されている。また、下ネジ軸64aは、貫通する2つの下支持部43のうちの左方の下支持部43と係合し、右方の下支持部43とは係合せず(空転可能に貫通しており)、下ネジ軸64aが回転することによって係合する下支持部43のみが幅方向Bに移動可能となる。また、下ネジ軸64bは、貫通する2つの下支持部43のうちの右方の下支持部43と係合し、左方の下支持部43とは係合せず(空転可能に貫通しており)、下ネジ軸64bが回転することによって係合する下支持部43のみが幅方向Bに移動可能となる。また、下ネジ軸64cは、貫通する3つの下支持部43のうちの最も右方の下支持部43と係合し、残り2つの下支持部43とは係合せず(空転可能に貫通しており)、下ネジ軸64cが回転することによって係合する下支持部43のみが幅方向Bに移動可能となる。また、下ネジ軸64dは、貫通する3つの下支持部43のうちの中央に配置された下支持部43と係合し、残り2つの下支持部43とは係合せず(空転可能に貫通しており)、下ネジ軸64dが回転することによって係合する下支持部43のみが幅方向Bに移動可能となる。
【0036】
なお、上支持部32,42及び下支持部33,43には、上ネジ軸61a〜61d,63a〜63d及び下ネジ軸62a〜62d,64a〜64dと係合する部分に雌ねじが形成されている。これにより、上支持部32,42及び下支持部33,43が幅方向Bに沿って移動可能となる。変形例として、上支持部32,42及び下支持部33,43に雌ねじに代えてボールネジが設けられていてもよい。
【0037】
第1ネジ軸回転機構66は、2本の回転軸66a,66bを有する駆動部66cと、4つのプーリ66d〜66gと、2本のタイミングベルト66h,66iとを有している。駆動部66cは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体66c1を有する。2本の回転軸66a,66bは、筐体66c1から刃物体30に向かって突出しており、モータによって幅方向Bに沿う軸周り方向に回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。そして、駆動部66cが、制御装置100によって制御され、2本の回転軸66a,66bが選択的に上ネジ軸61a,61b側に移動して係合し、いずれかの上ネジ軸61a,61bに回転力を伝達する。
【0038】
回転軸66aから上ネジ軸61aに回転力が伝達され、上ネジ軸61aが軸周りの正方向に回転すると、プーリ66d,66e及びタイミングベルト66hを介して下ネジ軸62aも当該軸周りの正方向に回転する。これにより、図2中最も左側に配置された上支持部32、下支持部33及びこれら支持部32,33に支持された刃物31が幅方向Bに沿って左側に移動する。また、回転軸66aから上ネジ軸61aに回転力が伝達され、上ネジ軸61aが軸周りの逆方向に回転すると、プーリ66d,66e及びタイミングベルト66hを介して下ネジ軸62aも当該軸周りの逆方向に回転する。これにより、図2中最も左側に配置された上支持部32、下支持部33及びこれら支持部32,33に支持された刃物31が幅方向Bに沿って右側に移動する。
【0039】
回転軸66bから上ネジ軸61bに回転力が伝達され、上ネジ軸61bが軸周りの正方向に回転すると、プーリ66f,66g及びタイミングベルト66iを介して下ネジ軸62bも当該軸周りの正方向に回転する。これにより、第4部分35d,36dに図2中左側で隣接する上支持部32、下支持部33及びこれら支持部32,33に支持された刃物31が幅方向Bに沿って左側に移動する。また、回転軸66bから上ネジ軸61bに回転力が伝達され、上ネジ軸61bが軸周りの逆方向に回転すると、プーリ66f,66g及びタイミングベルト66iを介して下ネジ軸62bも当該軸周りの逆方向に回転する。これにより、第4部分35d,36dに図2中左側で隣接する上支持部32、下支持部33及びこれら支持部32,33に支持された刃物31が幅方向Bに沿って右側に移動する。
【0040】
第2ネジ軸回転機構67は、2本の回転軸67a,67bを有する駆動部67cと、4つのプーリ67d〜67gと、2本のタイミングベルト67h,67iとを有している。駆動部67cは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体67c1を有する。2本の回転軸67a,67bは、筐体67c1から刃物体30に向かって突出しており、モータによって幅方向Bに沿う軸周り方向に回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。そして、駆動部67cが、制御装置100によって制御され、2本の回転軸67a,67bが選択的に上ネジ軸61c,61d側に移動して係合し、いずれかの上ネジ軸61c,61dに回転力を伝達する。
【0041】
回転軸67aから上ネジ軸61cに回転力が伝達され、上ネジ軸61cが軸周りの正方向に回転すると、プーリ67d,67e及びタイミングベルト67hを介して下ネジ軸62cも当該軸周りの正方向に回転する。これにより、図2中最も右側に配置された上支持部32、下支持部33及びこれら支持部32,33に支持された刃物31が幅方向Bに沿って左側に移動する。また、回転軸67aから上ネジ軸61cに回転力が伝達され、上ネジ軸61cが軸周りの逆方向に回転すると、プーリ67d,67e及びタイミングベルト67hを介して下ネジ軸62cも当該軸周りの逆方向に回転する。これにより、図2中最も右側に配置された上支持部32、下支持部33及びこれら支持部32,33に支持された刃物31が幅方向Bに沿って右側に移動する。
【0042】
回転軸67bから上ネジ軸61dに回転力が伝達され、上ネジ軸61dが軸周りの正方向に回転すると、プーリ67f,67g及びタイミングベルト67iを介して下ネジ軸62dも当該軸周りの正方向に回転する。これにより、第4部分35d,36dに図2中右側で隣接する上支持部32、下支持部33及びこれら支持部32,33に支持された刃物31が幅方向Bに沿って左側に移動する。また、回転軸67bから上ネジ軸61dに回転力が伝達され、上ネジ軸61dが軸周りの逆方向に回転すると、プーリ67f,67g及びタイミングベルト67iを介して下ネジ軸62dも当該軸周りの逆方向に回転する。これにより、第4部分35d,36dに図2中右側で隣接する上支持部32、下支持部33及びこれら支持部32,33に支持された刃物31が幅方向Bに沿って右側に移動する。
【0043】
第3ネジ軸回転機構68は、2本の回転軸68a,68bを有する駆動部68cと、4つのプーリ68d〜68gと、2本のタイミングベルト68h,68iとを有している。駆動部68cは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体68c1を有する。2本の回転軸68a,68bは、筐体68c1から刃物体40に向かって突出しており、モータによって幅方向Bに沿う軸周り方向に回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。そして、駆動部68cが、制御装置100によって制御され、2本の回転軸68a,68bが選択的に上ネジ軸63a,63b側に移動して係合し、いずれかの上ネジ軸63a,63bに回転力を伝達する。
【0044】
回転軸68aから上ネジ軸63aに回転力が伝達され、上ネジ軸63aが軸周りの正方向に回転すると、プーリ68d,68e及びタイミングベルト68hを介して下ネジ軸64aも当該軸周りの正方向に回転する。これにより、図3中最も左側に配置された上支持部42、下支持部43及びこれら支持部42,43に支持された刃物41が幅方向Bに沿って左側に移動する。また、回転軸68aから上ネジ軸63aに回転力が伝達され、上ネジ軸63aが軸周りの逆方向に回転すると、プーリ68d,68e及びタイミングベルト68hを介して下ネジ軸64aも当該軸周りの逆方向に回転する。これにより、図3中最も左側に配置された上支持部42、下支持部43及びこれら支持部42,43に支持された刃物41が幅方向Bに沿って右側に移動する。
【0045】
回転軸68bから上ネジ軸63bに回転力が伝達され、上ネジ軸63bが軸周りの正方向に回転すると、プーリ68f,68g及びタイミングベルト68iを介して下ネジ軸64bも当該軸周りの正方向に回転する。これにより、第4部分45d,46dに図3中左側で隣接する上支持部42、下支持部43及びこれら支持部42,43に支持された刃物41が幅方向Bに沿って左側に移動する。また、回転軸68bから上ネジ軸63bに回転力が伝達され、上ネジ軸63bが軸周りの逆方向に回転すると、プーリ68f,68g及びタイミングベルト68iを介して下ネジ軸64bも当該軸周りの逆方向に回転する。これにより、第4部分45d,46dに図3中左側で隣接する上支持部42、下支持部43及びこれら支持部42,43に支持された刃物41が幅方向Bに沿って右側に移動する。
【0046】
第4ネジ軸回転機構69は、2本の回転軸69a,69bを有する駆動部69cと、4つのプーリ69d〜69gと、2本のタイミングベルト69h,69iとを有している。駆動部69cは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体69c1を有する。2本の回転軸69a,69bは、筐体69c1から刃物体40に向かって突出しており、モータによって幅方向Bに沿う軸周り方向に回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。そして、駆動部69cが、制御装置100によって制御され、2本の回転軸69a,69bが選択的に上ネジ軸63c,63d側に移動して係合し、いずれかの上ネジ軸63c,63dに回転力を伝達する。
【0047】
回転軸69aから上ネジ軸63cに回転力が伝達され、上ネジ軸63cが軸周りの正方向に回転すると、プーリ69d,69e及びタイミングベルト69hを介して下ネジ軸64cも当該軸周りの正方向に回転する。これにより、図3中最も右側に配置された上支持部42、下支持部43及びこれら支持部42,43に支持された刃物41が幅方向Bに沿って左側に移動する。また、回転軸69aから上ネジ軸63cに回転力が伝達され、上ネジ軸63cが軸周りの逆方向に回転すると、プーリ69d,69e及びタイミングベルト69hを介して下ネジ軸64cも当該軸周りの逆方向に回転する。これにより、図3中最も右側に配置された上支持部42、下支持部43及びこれら支持部42,43に支持された刃物41が幅方向Bに沿って右側に移動する。
【0048】
回転軸69bから上ネジ軸63dに回転力が伝達され、上ネジ軸63dが軸周りの正方向に回転すると、プーリ69f,69g及びタイミングベルト69iを介して下ネジ軸64dも当該軸周りの正方向に回転する。これにより、下ネジ軸64dに係合する上支持部42、下支持部43及びこれら支持部42,43に支持された刃物41が幅方向Bに沿って左側に移動する。また、回転軸69bから上ネジ軸63dに回転力が伝達され、上ネジ軸63dが軸周りの逆方向に回転すると、プーリ69f,69g及びタイミングベルト69iを介して下ネジ軸64dも当該軸周りの逆方向に回転する。これにより、下ネジ軸64dに係合する上支持部42、下支持部43及びこれら支持部42,43に支持された刃物41が幅方向Bに沿って右側に移動する。
【0049】
ガイド回転機構70は、図2及び図3に示すように、第1〜第4ガイド回転部71〜74を有しており、上ガイド35e,35f,45e,45f及び下ガイド36e,36f,46e,46fを回転させることが可能に構成されている。第1ガイド回転部71及び第2ガイド回転部72は、刃物体30側に配置されている。第3ガイド回転部73及び第4ガイド回転部74は、刃物体40側に配置されている。
【0050】
第1ガイド回転部71は、図2に示すように、回転軸71aを有する駆動部71bと、2つのプーリ71c,71dと、タイミングベルト71eとを有している。駆動部71bは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体71b1を有する。回転軸71aは、筐体71b1から刃物体30に向かって突出しており、モータによって幅方向Bに沿う軸周り方向に回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。そして、駆動部71bが、制御装置100によって制御され、回転軸71aが選択的に上ガイド35e側に移動して係合し、上ガイド35eに回転力を伝達する。上ガイド35eが軸周り方向に回転すると、プーリ71c,71d及びタイミングベルト71eを介して下ガイド36eも当該軸周り方向に回転する。これにより、上支持部32が上ガイド35eに対して、下支持部33が下ガイド36eに対して移動しやすくなる。制御装置100は、第1ネジ軸回転機構66により、刃物31を幅方向Bに移動させるときに、駆動部71bを制御して、上ガイド35e及び下ガイド36eをその軸周り方向に回転させる。
【0051】
第2ガイド回転部72は、図2に示すように、回転軸72aを有する駆動部72bと、2つのプーリ72c,72dと、タイミングベルト72eとを有している。駆動部72bは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体72b1を有する。回転軸72aは、筐体72b1から刃物体30に向かって突出しており、モータによって幅方向Bに沿う軸周り方向に回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。そして、駆動部72bが、制御装置100によって制御され、回転軸72aが選択的に上ガイド35f側に移動して係合し、上ガイド35fに回転力を伝達する。上ガイド35fが軸周り方向に回転すると、プーリ72c,72d及びタイミングベルト72eを介して下ガイド36fも当該軸周り方向に回転する。これにより、上支持部32が上ガイド35fに対して、下支持部33が下ガイド36fに対して移動しやすくなる。制御装置100は、第2ネジ軸回転機構67により、刃物31を幅方向Bに移動させるときに、駆動部72bを制御して、上ガイド35f及び下ガイド36fをその軸周り方向に回転させる。
【0052】
第3ガイド回転部73は、図3に示すように、回転軸73aを有する駆動部73bと、2つのプーリ73c,73dと、タイミングベルト73eとを有している。駆動部73bは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体73b1を有する。回転軸73aは、筐体73b1から刃物体40に向かって突出しており、モータによって幅方向Bに沿う軸周り方向に回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。そして、駆動部73bが、制御装置100によって制御され、回転軸73aが選択的に上ガイド45e側に移動して係合し、上ガイド45eに回転力を伝達する。上ガイド45eが軸周り方向に回転すると、プーリ73c,73d及びタイミングベルト73eを介して下ガイド46eも当該軸周り方向に回転する。これにより、上支持部42が上ガイド45eに対して、下支持部43が下ガイド46eに対して移動しやすくなる。制御装置100は、第3ネジ軸回転機構68により、刃物41を幅方向Bに移動させるときに、駆動部73bを制御して、上ガイド45e及び下ガイド46eをその軸周り方向に回転させる。
【0053】
第4ガイド回転部74は、図3に示すように、回転軸74aを有する駆動部74bと、2つのプーリ74c,74dと、タイミングベルト74eとを有している。駆動部74bは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体74b1を有する。回転軸74aは、筐体74b1から刃物体40に向かって突出しており、モータによって幅方向Bに沿う軸周り方向に回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。そして、駆動部74bが、制御装置100によって制御され、回転軸74aが選択的に上ガイド45f側に移動して係合し、上ガイド45fに回転力を伝達する。上ガイド45fが軸周り方向に回転すると、プーリ74c,74d及びタイミングベルト74eを介して下ガイド46fも当該軸周り方向に回転する。これにより、上支持部42が上ガイド45fに対して、下支持部43が下ガイド46fに対して移動しやすくなる。制御装置100は、第4ネジ軸回転機構69により、刃物41を幅方向Bに移動させるときに、駆動部74bを制御して、上ガイド45f及び下ガイド46fをその軸周り方向に回転させる。
【0054】
変更機構80は、図2及び図3に示すように、第1〜第4変更部81〜84を有しており、上支持枠35,45及び下支持枠36,46の延在方向Cの離隔距離を変更可能に構成されている。第1変更部81及び第2変更部82は、刃物体30側に配置されている。第3変更部83及び第4変更部84は、刃物体40側に配置されている。
【0055】
第1変更部81は、図2に示すように、ギア81aを有する駆動部81bと、軸部材81cと、軸部材81cの延在方向Cの中央に固定されたギア81dとを有している。駆動部81bは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体81b1を有する。ギア81aは、その回転軸が延在方向Cに沿って配置されている。また、ギア81aは、筐体81b1から刃物体30に向かって突出しており、モータによって回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。軸部材81cは、上支持枠35の第2部分35bと下支持枠36の第2部分36bとを連結している。より詳細には、軸部材81cの外周面には雄ねじが形成されている。第2部分35bの下面及び第2部分36bの上面には、軸部材81cの端部が挿入される穴35b1,36b1が形成されている。これら穴35b1,36b1の内周面には、軸部材81cが正方向に回転したときに、上支持枠35及び下支持枠36が延在方向Cに互いに近づくように雌ねじが形成されている。このため、軸部材81cが逆方向に回転すると、上支持枠35及び下支持枠36が延在方向Cに互いに離れる。
【0056】
第2変更部82は、図2に示すように、ギア82aを有する駆動部82bと、軸部材82cと、軸部材82cの延在方向Cの中央に固定されたギア82dとを有している。駆動部82bは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体82b1を有する。ギア82aは、その回転軸が延在方向Cに沿って配置されている。また、ギア82aは、筐体82b1から刃物体30に向かって突出しており、モータによって回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。軸部材82cは、上支持枠35の第3部分35cと下支持枠36の第3部分36cとを連結している。より詳細には、軸部材82cの外周面には雄ねじが形成されている。第3部分35cの下面及び第3部分36cの上面には、軸部材82cの端部が挿入される穴35c1,36c1が形成されている。これら穴35c1,36c1の内周面には、軸部材82cが正方向に回転したときに、上支持枠35及び下支持枠36が延在方向Cに互いに近づくように雌ねじが形成されている。このため、軸部材82cが逆方向に回転すると、上支持枠35及び下支持枠36が延在方向Cに互いに離れる。
【0057】
第1変更部81及び第2変更部82は、制御装置100によって駆動部81b,82bが制御されることで、ギア81aがギア81dに噛み合った状態で回転し、ギア82aがギア82dに噛み合った状態で回転する。このとき、制御装置100が駆動部81b,82bを制御して、軸部材81c,82cの回転方向を制御することで、上支持枠35及び下支持枠36の延在方向Cの離隔距離が変更される。より詳細には、制御装置100は、食パンPをスライスする際に、変更機構80を制御し、上支持枠35及び下支持枠36の延在方向Cの離隔距離が第1所定距離となるように設定する。これにより、上支持部32及び下支持部33の延在方向Cの離隔距離が所望の距離となり、刃物31に対して、所定のテンションが付与される。このため、食パンPが刃物31でスライスしやすくなる。また、制御装置100は、刃物31を幅方向Bに移動させて食パンPのスライス幅を変更する際に、変更機構80を制御し、上支持枠35及び下支持枠36の延在方向Cの離隔距離が第1所定距離よりも小さい第2所定距離(刃物31に延在方向Cの引っ張り力がほとんど生じない程度の距離)となるように設定する。これにより、上支持部32及び下支持部33の延在方向Cの離隔距離が食パンPをスライスするときよりも小さくなって、刃物31に対するテンションも小さくなる。このため、刃物31(すなわち、上支持部32及び下支持部33)を幅方向Bにスムーズに移動させやすくなる。また、制御装置100は、刃物31を交換するときなどのメンテナンスの際に、変更機構80を制御し、上支持枠35及び下支持枠36の延在方向Cの離隔距離が第2所定距離よりも小さい第3所定距離となるように設定する。これにより、刃物31を取り外しやすくなって交換しやすくなる。
【0058】
第3変更部83は、図3に示すように、ギア83aを有する駆動部83bと、軸部材83cと、軸部材83cの延在方向Cの中央に固定されたギア83dとを有している。駆動部83bは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体83b1を有する。ギア83aは、その回転軸が延在方向Cに沿って配置されている。また、ギア83aは、筐体83b1から刃物体40に向かって突出しており、モータによって回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。軸部材83cは、上支持枠45の第2部分45bと下支持枠46の第2部分46bとを連結している。より詳細には、軸部材83cの外周面には雄ねじが形成されている。第2部分45bの下面及び第2部分46bの上面には、軸部材83cの端部が挿入される穴45b1,46b1が形成されている。これら穴45b1,46b1の内周面には、軸部材83cが正方向に回転したときに、上支持枠45及び下支持枠46が延在方向Cに互いに近づくように雌ねじが形成されている。このため、軸部材83cが逆方向に回転すると、上支持枠45及び下支持枠46が延在方向Cに互いに離れる。
【0059】
第4変更部84は、図3に示すように、ギア84aを有する駆動部84bと、軸部材84cと、軸部材84cの延在方向Cの中央に固定されたギア84dとを有している。駆動部84bは、モータ(不図示)及び当該モータを収容する筐体84b1を有する。ギア84aは、その回転軸が延在方向Cに沿って配置されている。また、ギア84aは、筐体84b1から刃物体40に向かって突出しており、モータによって回転可能且つ幅方向Bに沿って移動可能に構成されている。軸部材84cは、上支持枠45の第3部分45cと下支持枠46の第3部分46cとを連結している。より詳細には、軸部材84cの外周面には雄ねじが形成されている。第3部分45cの下面及び第3部分46cの上面には、穴45c1,46c1が形成されている。これら穴45c1,46c1の内周面には、軸部材84cが正方向に回転したときに、上支持枠45及び下支持枠46が延在方向Cに互いに近づくように雌ねじが形成されている。このため、軸部材84cが逆方向に回転すると、上支持枠45及び下支持枠46が延在方向Cに互いに離れる。
【0060】
第3変更部83及び第4変更部84は、制御装置100によって駆動部83b,84bが制御されることで、ギア83aがギア83dに噛み合った状態で回転し、ギア84aがギア84dに噛み合った状態で回転する。このとき、制御装置100が駆動部83b,84bを制御して、軸部材83c,84cの回転方向を制御することで、上支持枠45及び下支持枠46の延在方向Cの離隔距離が変更される。より詳細には、制御装置100は、食パンPをスライスする際に、変更機構80を制御し、上支持枠45及び下支持枠46の延在方向Cの離隔距離が第1所定距離となるように設定する。これにより、上支持部42及び下支持部43の延在方向Cの離隔距離が所望の距離となり、刃物41に対して、所定のテンションが付与される。このため、食パンPが刃物41でスライスしやすくなる。また、制御装置100は、刃物41を幅方向Bに移動させて食パンPのスライス幅を変更する際に、変更機構80を制御し、上支持枠45及び下支持枠46の延在方向Cの離隔距離が第1所定距離よりも小さい第2所定距離(刃物41に延在方向Cの引っ張り力がほとんど生じない程度の距離)となるように設定する。これにより、上支持部42及び下支持部43の延在方向Cの離隔距離が食パンPをスライスするときよりも小さくなって、刃物41に対するテンションも小さくなる。このため、刃物41(すなわち、上支持部42及び下支持部43)を幅方向Bにスムーズに移動させやすくなる。また、制御装置100は、刃物41を交換するときなどのメンテナンスの際に、変更機構80を制御し、上支持枠45及び下支持枠46の延在方向Cの離隔距離が第2所定距離よりも小さい第3所定距離となるように設定する。これにより、刃物41を取り外しやすくなって交換しやすくなる。
【0061】
位置調整機構90は、図1に示すように、電動シリンダ91と、電動シリンダ91のシリンダロッド91aの先端に固定されたプレート92とを有している。プレート92は、図1に示すように、一対の刃物体30,40の両上面に亘って当接可能な平板から構成されている。そして、制御装置100が、スライス幅を調整する前、すなわち、駆動部66c,67c,68c,69cからの回転力を上ネジ軸61a〜61d,63a〜63d及び下ネジ軸62a〜62d,64a〜64dに伝達する際、及び、駆動部71b〜74bからの回転力を上ガイド35e,35f,45e,45f及び下ガイド36e,36f,46e,46fに伝達する前に、電動シリンダ91を制御してプレートを一対の刃物体30,40の上面と当接させて、当該刃物体30,40の延在方向Cに関する位置を調整して位置決めする。これにより、スライス幅調整機構60及びガイド回転機構70による動力伝達を確実に行うことが可能となる。
【0062】
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを含む。そして、図5に示すように、これらが協働して、操作入力部101からユーザによって入力された信号(食パンPのスライス動作を実行する信号、スライス幅を調整する信号、刃物31,41に対するテンションを調整する信号など)に基づいて、第1搬送モータ11d、第2搬送モータ12d、スライス用モータ56、スライス幅調整機構60の駆動部66c,67c,68c,69c、ガイド回転機構70の駆動部71b,72b,73b,74b、及び、変更機構80の駆動部81b、82b、83b、84b等の動作を上述のように制御する。
【0063】
以上に述べたように、食品用スライス装置1によると、スライス幅調整機構60によって刃物31,41を幅方向Bに移動させることができるため、刃物体30,40自体を交換しなくても、容易に食パンPのスライス幅を変更することが可能となる。加えて、変更機構80を有していることで、刃物31,41に対するテンションを変更することが可能となる。つまり、刃物31,41で食パンPを切断する際には、刃物31,41に所定のテンションを付与することが可能となり、刃物31,41で食パンPがスライスしやすくなる。また、刃物31,41を幅方向Bに移動させる際には、上支持部32,42及び下支持部33,43との離隔距離をスライス時よりも小さくなるように変更することが可能となり、刃物31,41を幅方向Bにスムーズに移動させやすくなる。
【0064】
また、変更機構80は、延在方向Cにおいて、上支持枠35,45と下支持枠36,46との離隔距離を変更可能に構成されているため、複数の刃物31,41に対するテンションを一度に変更することが可能となる。
【0065】
また、上ガイド35e,35f,45e,45f及び下ガイド36e,36f,46e,46fを回転させることが可能なガイド回転機構70を有していることで、上支持部32,42が上ガイド35e,35f,45e,45fに対して、下支持部33,43が下ガイド36e,36f,46e,46fに対して幅方向Bに移動しやすくなる。
【0066】
また、スライス幅調整機構60が、上ネジ軸61a〜61d,63a〜63d、下ネジ軸62a〜62d,64a〜64d及び第1〜第4ネジ軸回転機構66〜69を有している。これにより、上ネジ軸61a〜61d,63a〜63d及び下ネジ軸62a〜62d,64a〜64dをその軸周りに回転させることで、対応する上支持部32,42及び下支持部33,43を幅方向Bに移動させることが可能となる。
【0067】
また、第1〜第4ネジ軸回転機構66〜69のそれぞれか、複数のプーリ66d〜66g,67d〜67g,68d〜68g,69d〜69g及び複数のタイミングベルト66h,66i,67h,66i,68h,68i,69h,69iを有している。これにより、上ネジ軸61a〜61d,63a〜63dを回転させることで、下ネジ軸62a〜62d,64a〜64dも回転させることが可能となる。変形例として、第1〜第4ネジ軸回転機構66〜69の駆動部66c,67c,68c,69cが、下ネジ軸62a〜62d,64a〜64dを回転させることで、上ネジ軸61a〜61d,63a〜63dも回転させてもよい。
【0068】
変形例として、例えば、上支持枠35,45の第2部分35b,45bと下支持枠36,46の第2部分36b,46bとの間に、図6に示すような、位置調整用プレート95を設けてもよい。このプレート95は、軸96に固定されており、当該軸96を回転させることで、回転する。また、プレート95は、軸96を中心として、60度回転する毎に、延在方向Cの距離T1〜T3が3段階に変化するような形状を有している。プレート95は、図6(a)に示す状態の距離T1が、図6(b)に示す状態の距離T2及び図6(c)に示す状態の距離T3よりも大きい。距離T2は、距離T3よりも大きい。プレート95は、図示しない回転機構により、軸96が回転されることで回転する。
【0069】
プレート95は、例えば、変更機構80により、第2部分35b,45bと第2部分36b,46bとの間の距離が距離T1よりも大きな状態で、回転機構により図6(a)に示すような状態をとり、その後、変更機構80により、第2部分35b,45bと第2部分36b,46bとの間の距離が距離T1とされることで、上支持枠35,45及び下支持枠36,46の延在方向Cの離隔距離が安定した状態で保たれる。また、プレート95は、変更機構80により、第2部分35b,45bと第2部分36b,46bとの間の距離が距離T1よりも大きな状態で、回転機構により図6(b)及び図6(c)に示すような状態を選択的にとり、その後、変更機構80により、第2部分35b,45bと第2部分36b,46bとの間の距離が距離T2や距離T3とされることで、上支持枠35,45及び下支持枠36,46の延在方向Cの離隔距離が安定した状態で保たれる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、一対の刃物体30,40はいずれか一方だけが設けられていてもよい。この場合、食パンPなどの食品をスライスする際の搬送時に、食品が上方に浮かないように食品を押さえることが望ましい。また、刃物31は、2以上3以下、又は、5以上設けられていてもよい。また、刃物41は、2以上4以下、又は、6以上設けられていてもよい。
【0071】
また、昇降機構50は、刃物体30,40を延在方向Cに沿って昇降させることが可能であれば、どのような構成であってもよい。第1〜第4ネジ軸回転機構66〜69は、上ネジ軸61a〜61d,63a〜63d及び下ネジ軸62a〜62d,64a〜64dを回転させることが可能であれば、どのような構成であってもよい。また、スライス幅調整機構60は、上支持部32,42及び下支持部33,43を幅方向Bに移動させることが可能であれば、どのような構成であってもよい。また、スライス幅調整機構60は、5つの上支持部42及び5つの下支持部43のうち、幅方向Bの中央に配置された上支持部42及び下支持部43を幅方向Bに沿って移動可能に構成していてもよい。この場合、当該上支持部42に係合し移動させるための上ネジ軸、下支持部43に係合し移動させるための下ネジ軸、及び、これらネジ軸のそれぞれに回転力を付与するためのネジ軸回転機構を有しておればよい。変更機構80は、上支持部32,42及び下支持部33,43を個別に移動させて、両者間の距離を変更してもよい。この場合、支持枠34,44が上支持枠35,45と下支持部33,43とに分けられずに一体的に構成されていてもよい。
【0072】
ガイド回転機構70は、上ガイド35e,35f,45e,45f及び下ガイド36e,36f,46e,46fを回転させることが可能であれば、どのような構成であってもよい。また、ガイド回転機構70、上ガイド35e,35f,45e,45f及び下ガイド36e,36f,46e,46fが設けられていなくてもよい。なお、本実施形態のスライス機構20には、上支持枠35,45及び下支持枠36,46の延在方向Cの昇降をガイドするためのガイド機構が個別に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 食品用スライス装置
10 搬送機構
30,40 刃物体
31,41 刃物
32,42 上支持部
33,43 下支持部
34,44 支持枠
35,45 上支持枠
35e,35f,45e,45f 上ガイド
36,46 下支持枠
36e,36f,46e,46f 下ガイド
50 昇降機構
60 スライス幅調整機構
61a〜61d,63a〜63d 上ネジ軸
62a〜62d,64a〜64d 下ネジ軸
66〜69 ネジ軸回転機構
66d〜66g,67d〜67g,68d〜68g,69d〜69g プーリ
66h,66i,67h,67i,68h,68i,69h,69i タイミングベルト
70 ガイド回転機構
80 変更機構
A 搬送方向
B 幅方向
C 延在方向
P 食パン(食品)
【要約】
【課題】スライス幅の変更を容易に行うことを可能にする。
【解決手段】食品用スライス装置は、食パンを搬送する搬送機構と、搬送される食パンをスライスするためのスライス機構20とを含む。スライス機構20は、複数の刃物31を支持する複数の上支持部32と複数の下支持部33とを有する支持枠34を含む刃物体30と、刃物体30を昇降させる昇降機構50と、スライス幅調整機構60と、変更機構80とを有している。スライス幅調整機構60は、複数の上支持部32及び複数の下支持部33を幅方向Bにそれぞれ移動可能に構成されている。変更機構80は、複数の上支持部32と複数の下支持部33との延在方向Cの離隔距離を変更可能に構成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6