(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6505989
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】台座付き屋根材
(51)【国際特許分類】
E04D 1/30 20060101AFI20190415BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20190415BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20190415BHJP
【FI】
E04D1/30 603E
E04D1/30 603H
E04D13/18ETD
H02S20/23 B
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-140483(P2014-140483)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-17313(P2016-17313A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉田 育郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 達夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 俊文
【審査官】
前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−209583(JP,A)
【文献】
特開2011−122402(JP,A)
【文献】
実開昭60−073714(JP,U)
【文献】
特開2006−274618(JP,A)
【文献】
特開2014−070340(JP,A)
【文献】
実開平04−004119(JP,U)
【文献】
特開2014−077317(JP,A)
【文献】
特開平06−057886(JP,A)
【文献】
実開昭57−077318(JP,U)
【文献】
特開2012−255290(JP,A)
【文献】
特許第4975893(JP,B1)
【文献】
特許第3394632(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 1/30
E04D 13/18
H02S 20/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の屋根材本体の上面に台座が設けられた台座付き屋根材であって、
前記台座は前記屋根材本体に複数設けられており、
前記台座は、平面視で略矩形状の上面部と、前記上面部の四辺から前記屋根材本体の表面にまで形成された周面部とで形成されており、
前記上面部の裏面にある補強部の先端が、前記屋根材本体の裏面にある前記台座の開口まで達している
ことを特徴とする台座付き屋根材。
【請求項2】
前記台座は屋根材本体の長手方向に略等間隔で並んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載の台座付き屋根材。
【請求項3】
前記台座には半貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の台座付き屋根材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台座付き屋根材に関する。詳しくは、屋根上に機能部材を取り付けるための台座を備えた屋根材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根上に、太陽電池パネル、太陽温水器、看板類、アンテナ等の機能部材を取り付けることが行われている。この場合、機能部材を支持するための台座が屋根材の上面に設けられた台座付き屋根材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。台座が屋根材に一体的に形成された場合は、屋根材に対して台座の位置が固定されるために、機能部材の取り付け位置が制限されやすくなる。そこで、屋根材と別体に形成された台座を屋根材に取り付けて台座付き屋根材を形成することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3394632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、屋根材の施工後に台座を設置する場合、屋根材の上から台座を直接ビス等の固定具で留め付けるため、留め付け部分の防水性が低下しやすいという問題があった。また、屋根材の施工後に台座を設置する場合、台座の取り付け位置の寸法出しを正確に行わなければならず、手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、防水性が低下しにくく、台座の取り付けの手間を低減することができる台座付き屋根材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る台座付き屋根材は、平板状の屋根材本体の上面に台座が設けられた台座付き屋根材であって、前記台座は前記屋根材本体に複数設けられており、前記台座は、平面視で略矩形状の上面部と、前記上面部の四辺から前記屋根材本体の表面にまで形成された周面部とで形成されて
おり、前記上面部の裏面にある補強部の先端が、前記屋根材本体の裏面にある前記台座の開口まで達していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、屋根材の施工後に台座を設置する必要がなく、防水性が低下しにくい。また、複数の台座の中から適宜に台座を選んで機能部材を取り付けることが可能となり、台座の位置が正確でなくても機能部材の取り付けが損なわれないようにすることができ、台座の取り付けの手間を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0010】
図1A、
図1B、
図1C及び
図2A、
図2B、
図2Cのように、本実施の形態の台座付き屋根材1は、平板状の屋根材本体2の上面に台座3が設けられている。台座3は一つの屋根材本体2に複数設けられている。
【0011】
屋根材本体2と台座3とは、例えば、セメントを主成分とする窯業系材料、アルミニウムなどの金属材料、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板などの鋼板、プラスチック材料などが挙げられる。屋根材本体2と台座3とは同じ材料で形成されていても良いし、異なる材料で形成されていても良い。屋根材本体2と台座3とが一体的に成形される場合、屋根材本体2と台座3は同じ材料で形成される。屋根材本体2と台座3とが別体で成形された後に一体的に結合される場合は、屋根材本体2と台座3は同じ材料であっても良いし、異なる材料であっても良い。
【0012】
屋根材本体2は平面視で略矩形状に形成されている。屋根材本体2の寸法は、特に限定されてないが、長手方向の寸法が約910mm、短手方向の寸法が約415mm、厚みが3〜6mmとすることができる。
【0013】
台座3は屋根材本体2の上面に突出して形成されている。台座3の突出寸法は特に限定されないが、屋根材本体2の上面からの台座3の高さは設置対象物(機能部材)に応じて1〜100mm程度とすることができる。更に、屋根材本体2の上面からの台座3の高さは、防水性、外観意匠性、耐風性能などから5〜30mmとするのが好ましい。台座3は平面視で略矩形状の上面部31と、上面部31の四辺から屋根材本体2の表面にまで形成された周面部32とで断面略台形状に形成されている。周面部32は上面部31の四辺から屋根材本体2にまで下り傾斜するように形成されている。
【0014】
図3のように、台座3の上面部31の裏面(下面)には補強部4が突出して設けられている。補強部4は上面部31の裏面の略中央部に設けられている。補強部4の先端41は、屋根材本体2の下面に形成された台座3の開口5にまで達するように形成されている。また、上面部31には穴部33が形成されている。穴部33は屋根材本体2の短手方向に並んで複数個(二個)設けられている。穴部33は平面視で略円形に形成されている。また穴部33は上面部31の上面から厚み方向に凹んだ溝状に形成されている。すなわち、穴部33は上面部31の上面から厚み方向に半分程度凹んだ半貫通穴として形成されている。
【0015】
そして、台座3は一枚の屋根材本体2に複数個設けられている。
図1Aのものでは、4個の台座3が設けられているが、これに限定されるものではなく、2個、3個、4個以上の台座3を設けることができる。複数の台座3は屋根材本体2の長手方向に並べて設けられている。また台座3は屋根材本体2の短手方向の中央部よりも一方の長辺側に寄せて形成されている。この一方の長辺側は台座付き屋根材1を施工した際に軒側(屋根の傾斜方向における下側)になる方である。また台座3の棟側(屋根の傾斜方向における上側)には複数の固定孔6が屋根材本体2の長手方向に並んで設けられている。また台座3は屋根材本体2の長手方向に略等間隔で並べて設けるのが好ましく、隣り合う台座3の間隔は約200mmとすることができる。
【0016】
図4に前記の台座付き屋根材1の施工状態を示す。台座付き屋根材1は野地板等の屋根下地8の上に載置し、固定孔6からビス等の固定具を屋根下地7に打ち込むことによって取り付けることができる。台座付き屋根材1の軒側と棟側には他の屋根材7が施工される。他の屋根材7は屋根材本体2と同様の形状に形成されている。台座付き屋根材1は、その軒側(屋根の傾斜方向における下側)に配置される屋根材7の棟側略半分の上に重ねられる。また台座付き屋根材1の棟側(屋根の傾斜方向における上側)の屋根材7は、台座付き屋根材1の棟側略半分の上に重ねられる。台座付き屋根材1及び屋根材7と屋根下地8との間には防水シート9を設けることができる。台座付き屋根材1は一つの屋根に一個又は複数個設けることができる。
【0017】
台座付き屋根材1には太陽電池パネルなどの機能部材10が取り付けられる。この場合、例えば、機能部材10に設けた取付金具やレールなどの支持具11が台座3の上面に固定される。
図5のように、台座3には機能部材10を取り付けるための固定具12が設けられる。固定具12としては、ボルトなどが例示される。固定具12は台座3の穴部33に設けられる。この場合、半貫通状の穴部33を貫通させ、貫通した穴部33に固定具12が差し込まれる。固定具12は、例えば、頭部13が上面部31の下側に位置し、胴部14が貫通した穴部33に差し込まれるようにして設けられ、胴部14の先端は上面部31の上側に突出して設けられる。この場合、固定具12は台座3の開口5から貫通した穴部33に差し込むことができる。貫通した穴部33の上側開口縁部及び下側開口縁部にはワッシャや防水パッキンなどの防水具15を設け、防水性を向上させることができる。穴部33は、固定具12を設ける箇所でのみ貫通させることが好ましい。この場合、固定具12を設けない箇所の穴部33は貫通させないようにし、台座付き屋根材1の防水性が低下しにくくすることができる。尚、
図6のように、複数の台座付き屋根材1を屋根の傾斜方向(軒棟方向)に連続して並べて施工してもよい。
【0018】
そして、前記の台座付き屋根材1では、屋根下地8への施工後に台座3を設置する必要がない。従って、通常の屋根材に台座3を取り付ける場合のように、屋根材に割れ等が発生して雨漏れが生じるようなことがなく、防水性が低下しにくいものである。また、複数の台座3の中から適宜に台座3を選んで機能部材10を取り付けることが可能となり、台座3の位置が正確でなくても機能部材の取り付けが損なわれないようにすることができる。従って、台座3の位置の寸法出しを行うことがほとんどなく、また機能部材10の取り付け位置の間違いによる雨漏れが生じにくくなり、機能部材10取り付けの手間を低減することができると共に防水性を向上させることができる。また補強部4を設けることによって、台座3に機能部材10の荷重がかかった場合でも、補強部4の先端41が防水シート9を介して屋根下地8に当って支持されることになり、台座3を補強することができる。
【0019】
前記のように、屋根材本体2と台座3とが一体的に成形される場合の他に、屋根材本体2と台座3とが別体で成形された後に一体的に結合される場合もある。この場合、屋根材本体2は前記と略同様に形成されるが、
図7のように、台座3を取り付ける位置に複数の挿通孔16が設けられている。
図8のように、台座3は前記と同様に、平面視で略矩形状の上面部31と、上面部31の四辺から屋根材本体2の表面にまで形成された周面部32とで断面略台形状に形成されている。また上面部31には前記と同様に穴部33が形成されている。そして、複数の台座3を屋根材本体2の上面に取り付けることにより、
図1のような台座付き屋根材1を形成することができる。この場合、
図9のように、挿通孔16は台座3で覆われるようになる。また、台座3を屋根材本体2の上面に取り付けるにあたっては、
ブチルゴムなどを含有する接着剤17で接着することができる。また、この台座付き屋根材1にも前記と同様に機能部材10が固定具12で取り付けられるが、この場合、固定具12は挿通孔16と通じて貫通した穴部33に装着される。
【符号の説明】
【0020】
1 台座付き屋根材
2 屋根材本体
3 台座