特許第6505993号(P6505993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6505993-光硬化性組成物、及び積層フィルム 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6505993
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】光硬化性組成物、及び積層フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20190415BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20190415BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20190415BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   C08F290/06
   B32B27/40
   G06F3/041 400
   C08J7/04 ZCFF
【請求項の数】12
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2014-158249(P2014-158249)
(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公開番号】特開2016-35012(P2016-35012A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】石川 健太郎
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−256503(JP,A)
【文献】 特開2002−173597(JP,A)
【文献】 特開2014−105223(JP,A)
【文献】 特開2008−130212(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/011211(WO,A1)
【文献】 特開平08−188743(JP,A)
【文献】 特開2009−091586(JP,A)
【文献】 特開2007−030479(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/122980(WO,A1)
【文献】 特開2015−003516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
B32B 27/40
C08J 7/04
G06F 3/041
C09D 4/02
C09D 175/14−175/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、
2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、
ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、
光重合開始剤とを含有し、
前記3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、
前記2官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、
前記ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、40〜80質量%であり、
光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上である光硬化性組成物。
【請求項2】
光重合したときの厚み80μmにおけるマルテンス硬度が、100N/mm以上である請求項1記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
前記破断伸度が、60%以下である請求項1又は2記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
前記光重合開始剤が、アセトフェノン系光重合開始剤である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
平均粒子径が10nm以上50nm以下の凝集体である無機微粒子を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
前記無機微粒子が、アルキル基又は(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤により表面処理されてなる請求項5に記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムと、
前記基材フィルムの少なくとも片面に形成された保護コート層とを備え、
前記保護コート層は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、光重合開始剤とを含有し、前記3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記2官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、40〜80質量%であり、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上である光硬化性組成物を光重合させてなり、
前記保護コート層の厚さが、1μm以上4μm以下である積層フィルム。
【請求項8】
前記光硬化性組成物が光重合したときの厚み80μmにおけるマルテンス硬度が、100N/mm以上である請求項7記載の積層フィルム。
【請求項9】
前記破断伸度が、60%以下である請求項7又は8記載の積層フィルム。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の積層フィルムの少なくとも片面に透明電極が形成されているタッチパネル用積層フィルム。
【請求項11】
請求項10に記載のタッチパネル用積層フィルムと、画像表示素子とを備える画像表示入力装置。
【請求項12】
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、光重合開始剤とを含有し、前記3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記2官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、40〜80質量%であり、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上である光硬化性組成物を、環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に塗布する塗布工程と、
前記光硬化性組成物を光重合させ、基材フィルムの少なくとも片面に厚さが1μm以上4μm以下である保護コート層を形成する形成工程と
を有する積層フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に積層される保護コート層に特に適した光硬化性組成物、及び積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル用電極フィルムのベースフィルム材料として、高透明性、低吸湿性、屈折率安定性に優れた環状オレフィン系樹脂フィルムが使用されている(例えば、特許文献1参照。)。環状オレフィン系樹脂フィルムは、透明性や吸湿性等の特性の点で好ましいが、柔軟性が十分とはいえない。また、表面硬度が比較的低いために、耐擦過性が低く、傷が付き易い。このため、環状オレフィン系樹脂フィルムに、ハードコート層を設けることが行われている。
【0003】
しかしながら、環状オレフィン系樹脂フィルムにハードコート層を設けた従来の積層フィルムは、屈曲性試験において、ハードコート層だけでなく、環状オレフィン系樹脂フィルム表面にもクラックが生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−66477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、優れた屈曲性が得られる光硬化性組成物、及び積層フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用い、光重合したときの破断伸度を所定値以上とすることにより、優れた屈曲性を有する積層フィルムが得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明に係る光硬化性組成物は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、光重合開始剤とを含有し、前記3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記2官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、40〜80質量%であり、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る積層フィルムは、環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも片面に形成された保護コート層とを備え、前記保護コート層は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、光重合開始剤とを含有し、前記3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記2官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、40〜80質量%であり、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上である光硬化性組成物を光重合させてなり、前記保護コート層の厚さが、1〜4μmであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る積層フィルムの製造方法は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、光重合開始剤とを含有し、前記3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記2官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が、5〜50質量%であり、前記ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が、40〜80質量%であり、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上である光硬化性組成物を、環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に塗布する塗布工程と、前記光硬化性組成物を光重合させ、基材フィルムの少なくとも片面に厚さが1μm以上4μm以下である保護コート層を形成する形成工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用い、光重合したときの破断伸度を所定値以上とすることにより、優れた屈曲性を有する積層フィルムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、積層フィルムの一例を示す断面図である。
図2図2は、タッチパネル用積層フィルムの一例を示す断面図である。
図3図3は、タッチパネル用積層フィルムの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.光硬化性組成物
2.積層フィルム
3.積層フィルムの製造方法
4.第1の実施例
5.第2の実施例
【0013】
<1.光硬化性組成物>
本実施の形態に係る光硬化性組成物は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(成分(A))と、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(成分(B))と、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C))と、光重合開始剤(成分(D))とを含有し、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上である。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリル酸エステル(アクリレート)とメタクリル酸エステル(メタクリレート)とを包含する意味である。
【0014】
[成分(A):3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー]
成分(A)は、環状オレフィン系樹脂との密着性や光硬化性組成物自体の反応性を向上させるためのものである。このような成分(A)は、分子内に3以上のアクリレート残基又はメタクリレート残基(以下、(メタ)アクリレート残基)を有する重合性化合物であり、接着剤などの分野で用いられている3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーから適宜選択して使用することができる。
【0015】
成分(A)の具体例としては、ペンタエリストリールトリアクリレート(PETA)、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、イソシアヌル酸EO変換トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(−2アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ε−カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)アクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレートを密着性、反応性、架橋性、表面硬度などの点から好ましく使用することができる。市場で入手可能な具体例としては、東亞合成(株)の商品名「M305」、新中村化学(株)の商品名「TMM−3L」等を挙げることができる。
【0016】
成分(A)の光硬化性組成物中の含有量は、少なすぎると密着性、反応性、架橋性、表面硬度などの特性が劣化する傾向があり、多すぎると屈曲性、カールなどの特性が劣化する傾向があるので、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは15〜40質量%である。
【0017】
[成分(B):2官能の(メタ)アクリレートモノマー]
成分(B)は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと同様に、環状オレフィン系樹脂との密着性や光硬化性組成物自体の反応性を向上させるためのものである。このような成分(B)は、分子内に2つのアクリレート残基又はメタクリレート残基(以下、(メタ)アクリレート残基)を有する重合性化合物であり、接着剤などの分野で用いられている2官能の(メタ)アクリレートモノマーから適宜選択して使用することができる。
【0018】
成分(B)の具体例としては、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変換ジアクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ジメチロール−リシクロデカンジアクリレートを密着性、反応性、架橋性、表面硬度などの点から好ましく使用することができる。市場で入手可能な具体例としては、共栄社化学(株)の商品名「DCP−A」等を挙げることができる。
【0019】
成分(B)の光硬化性組成物中の含有量は、少なすぎると密着性、反応性、架橋性、表面硬度などの特性が劣化する傾向があり、多すぎると屈曲性、カールなどの特性が劣化する傾向があるので、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは5〜15質量%である。
【0020】
[成分(C):ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー]
成分(C)は、分子内にポリエーテルポリオール化合物から導かれる単位と、重合性の(メタ)アクリロイル基と、ウレタン結合とを有する化合物である。成分(C)は、例えばポリエーテルポリオール化合物(X)と、多価イソシアネート化合物(Y)とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート(Z)を反応させて得られる。
【0021】
ポリエーテルポリオール化合物(X)は、例えば、多価アルコールを開始剤としてアルキレンオキシドを付加重合して得ることができる。ポリエーテルポリオール化合物(X)の具体例としては、例えば、ポリテトラメチレングリコール(「PTMG」)、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、ポリエチレングリコール(「PEG」)等の多価アルコールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキシドとの共重合体が挙げられる。
【0022】
多価イソシアネート化合物(Y)としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m−TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)等が挙げられる。
【0023】
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート(Z)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、4−ブチルヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
成分(C)の市場で入手可能な具体例としては、日本合成化学工業(株)の商品名「UT5490」、「UT5467」、「UT5489」、「UT5522」、「UT5523」、「UT5495」、「UT5496」、「UT5497」、「UT5506」等を挙げることができる。
【0025】
また、成分(C)のオリゴマー伸度(破断伸度)は、5〜300%であることが好ましい。また、成分(C)の少なくとも1種のオリゴマー伸度は、200%以上であることが好ましい。オリゴマー伸度は、剥離処理されたPETフィルムに成分(C)100質量部及び光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−シクロヘキルアセトフェノン3質量部を配合した組成物をバーコーターにて乾燥後の厚みが80μmになるように塗布した後、300mJ/cmの照射条件で光重合させ、この硬化膜(試験片:70mm×20mm)を、JISK7127に準拠した方法により、引張試験器(品名:テンシロン、オリエンテック(株))を用いて、速度0.5mm/分で引張り、試験片が切断(破断)したときの伸び率(%)として示すことができる。なお、オリゴマー中に溶剤が含有されている場合は、必要に応じて、光硬化の前後にて溶剤を揮発させた後に測定する。
【0026】
成分(C)の光硬化性組成物中の含有量は、少なすぎると屈曲性が劣化する傾向があり、多すぎると耐擦傷性が劣化する傾向があるので、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは55〜70質量%である。
【0027】
[成分(D):光重合開始剤]
成分(D)としては、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択して使用することができる。成分(D)としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、リン系光重合開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
成分(D)の市場で入手可能な具体例としては、アセトフェノン系光重合開始剤として、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(イルガキュア(IRGACURE)184、BASFジャパン社製)、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン(ダロキュア(DAROCUR)1173、BASFジャパン社製)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュア(IRGACURE)651、BASFジャパン社製)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(ダロキュア(DAROCUR)2959、BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル]−ベンジル}フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)127、BASFジャパン社製)等が挙げられる。また、ベンジルケタール系光重合開始剤として、ベンゾフェノン、フルオレノン、ジベンゾスベロン、4−アミノベンゾフェノン、4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン等が挙げられる。リン系光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(イルガキュア(IRGACURE)819、BASFジャパン社製)、(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド(ダロキュア(DAROCURE)TPO、BASFジャパン社製)等が挙げられる。これらの中でも、円滑な光硬化を実現する観点から、アセトフェノン系光重合開始剤を用いることが好ましい。
【0029】
成分(D)の光硬化性組成物中の含有量は、少なすぎると硬度性能の低下による密着性の低下や硬度不足が生ずる傾向があり、多すぎると重合の不具合による密着性などの特性が低下する傾向があるので、好ましくは、0.5〜25質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
【0030】
[他の成分]
また、光硬化性組成物は、前述した成分(A)〜成分(D)の他に、更に必要に応じて無機微粒子(成分(E))を含有することが好ましい。これにより、屈折率の調整や表面を粗面化することができ、アンチブロッキング性能を向上させることができる。
【0031】
成分(E)としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物微粒子が挙げられる。また、カップリング剤等により表面処理がなされていることが好ましく、特に、バインダー成分との親和性、結合性を高めるために、アルキル基又は(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤により表面処理がなされていることが好ましい。
【0032】
成分(E)の市場で入手可能な具体例としては、CIKナノテック(株)製商品名:M23、H83、E83、M06、M44、H94、M18、E65、H58、K26、日産化学工業(株)製商品名:メタノールシリカゾル、MEK−ST(メチルエチルケトンに分散したシリカゾル)、IPA−ST(イソプロピルアルコールに分散したシリカゾル)等を挙げることができる。
【0033】
また、成分(E)は、平均粒子径が10nm以上50nm以下の凝集体であることが好ましい。凝集体を用いることにより、マイクロオーダーの粒子径となるのを防ぎ、ヘイズの上昇を抑制することができる。なお、成分(E)の平均粒子径は、1次粒子の凝集体の場合、凝集体を走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理し、又は動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等で計測することにより求めることができる。なお、ここでいう平均粒子径は、個数平均粒子径をさす。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
【0034】
成分(E)の光硬化性組成物中の含有量は、少なすぎるとアンチブロッキング性能が低下する傾向があり、多すぎるとヘイズが上昇する傾向があるので、好ましくは7〜15質量%、より好ましくは9〜13質量%である。
【0035】
また、光硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、溶剤、レベリング剤、色相調整剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、各種熱可塑性樹脂材料等の添加剤を含有することができる。帯電防止剤としては、例えば、導電性カーボン、無機微粒子、無機微粉末、界面活性剤、イオン性液体などを用いることができる。これらの帯電防止剤は単独、または2種以上併用してもよい。無機微粒子および無機微粉末の材料としては、例えば、導電性金属酸化物を主成分とする材料が挙げられる。導電性金属酸化物としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、ATO(アンチモンドープ酸化錫)、ITO(インジウムドープ酸化錫)、アンチモン酸化亜鉛などを用いることができる。
【0036】
また、光硬化性組成物は、前述した成分(A)〜(D)、更に必要に応じて成分(E)、各種添加剤を、常法に従って均一に混合することにより製造される。
【0037】
前述した光硬化性組成物は、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度は、35%以上である。また、破断伸度は、60%以下であることが好ましい。これにより、優れた屈曲性及び耐擦傷性を得ることができる。また、光重合したときの厚み80μmにおけるマルテンス硬度は、100N/mm以上であることが好ましい。マルテンス硬度が高いほど、優れた耐擦傷性を得ることができる。
【0038】
このような光硬化性組成物は、環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に形成される保護コート層の組成物として特に有用である。これにより、屈曲性試験において、保護コート層及び環状オレフィン系樹脂フィルムの表面にクラックが生じるのを抑制することができる。また、耐擦傷性にも優れるため、タッチパネル用途に好ましく利用することができる。
【0039】
<2.積層フィルム>
本実施の形態に係る積層フィルムは、環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムと、基材フィルムの少なくとも片面に形成された保護コート層とを備え、保護コート層は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(成分(A))と、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(成分(B))と、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C))と、光重合開始剤(成分(D))とを含有し、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上である光硬化性組成物を光重合させてなる。
【0040】
図1は、積層フィルムの一例を示す断面図である。積層フィルム13は、基材フィルム11の両面に保護コート層12が積層された構造を有する。
【0041】
基材フィルム11は、環状オレフィン系樹脂がシート状に形成されてなる。環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン類)の開環メタセシス重合とそれに続く水素化反応により得られる、シクロオレフィンをモノマーとする主鎖に脂環構造をもつ樹脂(COP)や、環状オレフィン(例えば、ノルボルネン類)とα−オレフィン(例えばエチレン)との付加重合により得られる樹脂(COC)が挙げられる。
【0042】
COPの具体例としては、日本ゼオン(株)の商品名「ZEONOR」で特定されるポリテトラシクロドデセン等を挙げることができる。また、COCの具体例としては、TOPAS Advanced Polymers社の商品名「TOPAS」で特定されるエチレン・ノルボルネン・コポリマー、三井化学(株)の商品名「APEL」で特定されるエチレン・テトラシクロドデセン・メタクリル酸エステル・コポリマー等を挙げることができる。これら環状オレフィン系樹脂からなるフィルムには、公知の手法により位相差機能が付与されていてもよい。
【0043】
基材フィルム11の厚さは、それが適用される光学装置の種類や性能により異なるが、通常、25〜200μm、好ましくは40〜150μmである。また、基材フィルム11の厚さ80μmにおける破断伸度は、通常、MD方向及びTD方向に関わらず、すなわち、フィルムの面内方向に関わらず、20%以下である。
【0044】
保護コート層12は、前述した光硬化性組成物を光重合させてなる。保護コート層12の厚さは、通常、0.5〜8μm、好ましくは0.8〜7μmである。なお、保護コート層12は、基材フィルム11の片面のみに積層されていてもよい。
【0045】
このような積層フィルムによれば、屈曲性試験において、基材フィルム11及び保護コート層12の表面にクラックが生じるのを抑制することができる。また、耐擦傷性にも優れるため、タッチパネル用途に好ましく利用することができる。
【0046】
図2及び図3は、タッチパネル用積層フィルムの一例を示す断面図である。図2に示すタッチパネル用積層フィルム15Aは、基材フィルム11の両面に保護コート層12が形成され、さらに保護コート層12の表面に、ITO等の公知の透明電極14が形成されている。また、図3に示すタッチパネル用積層フィルム15Bでは、保護コート層12と透明電極14との間に、公知の位相差フィルム等の光学調整層16が形成されている。
【0047】
このように積層フィルムの少なくとも片面にITO膜や導電性有する微粒子またはナノワイヤー形状材料等を使用した透明電極を公知の手法により形成することによりタッチパネル用積層フィルムとして好ましく利用することができる。さらに、このようなタッチパネル用積層フィルムを、液晶表示素子や有機EL表示素子などの画像表示素子に積層することにより、スマートフォーンやパーソナルコンピュータの画像表示・入力装置として好ましく適用することができる。
【0048】
<3.積層フィルムの製造方法>
本実施の形態に係る積層フィルムの製造方法は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(成分(A))と、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(成分(B))と、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C))と、光重合開始剤(成分(D))とを含有し、光重合したときの厚み80μmにおける破断伸度が、35%以上である光硬化性組成物を、環状オレフィン系樹脂からなる基材フィルムの少なくとも片面に塗布する塗布工程と、光硬化性組成物を光重合させ、基材フィルムの少なくとも片面に保護コート層を形成する形成工程とを有する。
【0049】
以下、光硬化性組成物を調整する調整工程と、基材フィルムに前処理する前処理工程と、光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、保護コート層を形成する形成工程とを説明する。
【0050】
[調整工程]
先ず、前述した成分(A)〜成分(D)の他に、更に必要に応じて無機微粒子(成分(E))を含有する光硬化性組成物を、ディスパーなどの攪拌機を用いて常法に従って均一に混合して調整する。この光硬化性組成物は、透光性を有することはもちろん、着色、ヘイズにより透過光の色相、透過光量が顕著に変化しないものが好ましい。
【0051】
溶剤としては、例えば使用する樹脂原料を十分溶解するものであれば、特に限定されるものではなく、公知の有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては、例えば、MEK、MIBK、ANON等のケトン系溶剤;IPA、n−BuOH、t−BuOH等のアルコール系溶剤;酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤等が挙げられる。
【0052】
[前処理工程]
次に、基材フィルムと光硬化性組成物からなる硬化物層との密着性を向上させる目的で、基材フィルムの片面または両面に、酸化法や凹凸化法により表面処理を施す。酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
【0053】
[塗布工程]
次に、前述のように調整した光硬化性組成物を、基材フィルム上に塗布する。塗布方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。公知の塗布方法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などが挙げられる。
【0054】
[形成工程]
次に、基材フィルム上に塗工された光硬化性組成物を乾燥、硬化させることにより光硬化性組成物からなる保護コート層を形成する。これにより、保護コート層付フィルムが得られる。
【0055】
乾燥条件は特に限定されるものではなく、自然乾燥であっても、乾燥湿度や乾燥時間などを調整する人工乾燥であってもよい。但し、乾燥時に塗料表面に風を当てる場合、塗膜表面に風紋が生じないようにすることが好ましい。風紋が生じると塗布外観の悪化、表面性の厚みムラが生じるからである。
【0056】
なお、光硬化性組成物を硬化させる光としては紫外線の他、ガンマー線、アルファー線、電子線等のエネルギー線を適用することができる。
【実施例】
【0057】
<4.第1の実施例>
第1の実施例では、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(成分(A))と、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(成分(B))と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C))と、光重合開始剤(成分(D))とを含有する光硬化性組成物を調製した。そして、光硬化性組成物を光重合させた硬化膜の破断伸度、及びマルテンス硬度を測定した。また、光硬化性組成物からなる硬化層を基材フィルムの両面に形成して積層フィルムを作製し、積層フィルムの高速屈曲性、及び耐擦傷性について評価した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
破断伸度の測定、マルテンス硬度の測定、積層フィルムの作製、積層フィルムの高速屈曲性の評価、及び積層フィルムの耐擦傷性の評価は、次のように行った。
【0059】
[破断伸度の測定]
剥離処理されたPETフィルムに光硬化性組成物をバーコーターにて塗布した後、光硬化性組成物を300mJ/cmの照射条件で光重合させ、厚み80μmの硬化膜を得た。JISK7127に準拠した方法により、硬化膜(試験片:70mm×20mm)を、引張試験器(品名:テンシロン、オリエンテック(株))を用いて、速度0.5mm/分で引張り、試験片が切断(破断)したときの伸び率を求めた。実用上、硬化膜の破断伸度は35%以上であることが望まれる。
【0060】
また、成分(A)〜成分(C)の各成分の破断伸度についても、同様に測定した。剥離処理されたPETフィルムに測定対象成分100質量部及び光重合開始剤として2−ヒドロキシ−2−シクロヘキルアセトフェノン3質量部を配合した組成物をバーコーターにて乾燥後の厚みが80μmになるように塗布した後、300mJ/cmの照射条件で光重合させ、この硬化膜(試験片:70mm×20mm)を、JISK7127に準拠した方法により、引張試験器(品名:テンシロン、オリエンテック(株))を用いて、速度0.5mm/分で引張り、試験片が切断(破断)したときの伸び率(%)を求めた。なお、オリゴマー中に溶剤が含有されている場合は、必要に応じて、光硬化の前後にて溶剤を揮発させた後に測定した。
【0061】
[マルテンス硬度の測定]
剥離処理されたPETフィルムに光硬化性組成物をバーコーターにて塗布した後、光硬化性組成物を300mJ/cmの照射条件で光重合させ、厚み80μmの硬化膜を得た。硬化膜(試験片:70mm×20mm)の測定面の反対側を東亞合成(株)製アロンアルファ等でスライドガラスに固定した。測定面の任意の場所を選択し最大押し込み深さが硬化膜の平均厚みの10%以下になるようにビッカース圧子にて表面硬度を測定した。測定は、マルテンス硬度計(HM500、フィッシャーインストルメンツ(株))を用いて測定した。実用上、硬化膜のマルテンス硬度は、100N/mm以上であることが望まれる。なお、固定のための接着剤の影響を最小限に抑えるために、接着剤はできる限り薄く塗布することが好ましい。
【0062】
[積層フィルムの作製]
基材フィルムとして、コロナ処理が施された厚み75μmの環状オレフィン樹脂フィルム(COC樹脂にスチレン系エラストマーを樹脂成分に対して10%程度分散させてフィルム化したものであって、破断伸度はMD方向及びTD方向とも6%未満のもの)を使用した。この基材フィルムの両面に光硬化性組成物を塗布した後、300mJ/cmの照射条件で光重合させ、基材フィルムの両面にそれぞれ保護コート層を形成し、積層フィルムを得た。
【0063】
[積層フィルムの高速屈曲性の評価]
積層フィルム(試験片:100m×20mm)を基材フィルムのMD(Machine Direction)方向に1回折り曲げる屈曲操作を、1分間に60回の速さで10箇所行い、基材フィルム表面のクラックの有無を倍率10倍の光学顕微鏡で観察した。そして、クラックが全く観察されない折り曲げ箇所を良好としてカウントした。用途にもよるが、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10であることが望ましい。
【0064】
[積層フィルムの耐擦傷性の評価]
積層フィルム(試験片:100mm×50mm)を引掻試験機(品名:学振型摩擦堅牢度試験機、テスター産業(株))に取り付け、#0000のスチールウールに荷重250gを加え、硬化層表面を20回(10往復)の引掻試験を行い、傷の有無を目視観察した。傷が全く観察されない場合を良好「○」と評価し、傷が観察された場合を不良「×」と評価した。
【0065】
また、積層フィルム(試験片:100mm×50mm)を引掻試験機(品名:学振型摩擦堅牢度試験機、テスター産業(株))に取り付け、アルコール綿棒に荷重250gを加え、硬化層表面を20回(10往復)の引掻試験を行い、傷の有無を目視観察した。傷が全く観察されない場合を良好「○」と評価し、傷が観察された場合を不良「×」と評価した。
【0066】
<4−1.破断伸度と高速屈曲性との関係について>
[実施例1]
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(成分(A))として、ペンタエリストリールトリアクリレート(M−305、東亞合成(株)製)、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(成分(B))として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(DCP−A、共栄社化学(株)製)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C1))として、官能基数10、オリゴマー伸度9%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5467、日本合成化学(株)製)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C2))として、官能基数2、オリゴマー伸度250%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5490、日本合成化学(株)製)、光重合開始剤(成分(D))として、2−ヒドロキシ−1−{4−[2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル]−ベンジル}フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)127、BASFジャパン社製)を使用した。
【0067】
表1に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C2)(UT5490)43.7wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0068】
[実施例2]
表1に示すように、実施例1と同一成分を使用し、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)25.0wt%、成分(C2)(UT5490)38.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は37%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0069】
[実施例3]
表1に示すように、実施例1と同一成分を使用し、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)13.0wt%、成分(C2)(UT5490)50.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は52%、硬化膜のマルテンス硬度は100N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0070】
[実施例4]
表1に示すように、実施例1と同一成分を使用し、成分(A)20.8wt%、成分(B)8.3wt%、成分(C1)(UT5467)20.9wt%、成分(C2)(UT5490)47.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は49%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0071】
[実施例5]
表1に示すように、実施例1と同一成分を使用し、成分(A)27.7wt%、成分(B)11.1wt%、成分(C1)(UT5467)17.9wt%、成分(C2)(UT5490)40.3wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は39%、硬化膜のマルテンス硬度は119N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0072】
[実施例6]
表1に示すように、実施例1と同一成分を使用し、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)8.0wt%、成分(C2)(UT5490)55.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は61%、硬化膜のマルテンス硬度は94N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は×、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0073】
[実施例7]
表1に示すように、実施例1と同一成分を使用し、成分(A)17.3wt%、成分(B)6.9wt%、成分(C1)(UT5467)22.4wt%、成分(C2)(UT5490)50.4wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は56%、硬化膜のマルテンス硬度は95N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は×、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0074】
[比較例1]
表1に示すように、実施例1と同一成分を使用し、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)29.1wt%、成分(C2)(UT5490)33.9wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は31%、硬化膜のマルテンス硬度は140N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は8、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0075】
[比較例2]
表1に示すように、実施例1と同一成分を使用し、成分(A)31.2wt%、成分(B)12.5wt%、成分(C1)(UT5467)16.4wt%、成分(C2)(UT5490)36.9wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は34%、硬化膜のマルテンス硬度は134N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は7、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0076】
【表1】
【0077】
比較例1,2のように、硬化膜の破断伸度が35%未満の場合、高速屈曲性の評価結果が悪化した。一方、実施例1〜7のように、硬化膜の破断伸度が35%以上の場合、良好な高速屈曲性の評価結果が得られた。また、実施例1〜5のようにマルテンス硬度が100N/mm以上の場合、良好な耐擦傷性(スチールウール、アルコール綿棒)が得られることが分かった。
【0078】
<4−2.成分(D)と高速屈曲性との関係について>
次に、成分(D)と高速屈曲性との関係について検証した。成分(D1)として、2−ヒドロキシ−1−{4−[2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル]−ベンジル}フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)127、BASFジャパン社製)及び、成分(D2)として、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(イルガキュア(IRGACURE)184、BASFジャパン社製)を使用した。これら以外は、実施例1と同一成分を使用した。
【0079】
[実施例8]
表2に示すように、成分(A)24.5wt%、成分(B)9.8wt%、成分(C1)(UT5467)19.6wt%、成分(C2)(UT5490)44.1wt%、及び、成分(D1)2.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は×、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0080】
[実施例9]
表2に示すように、成分(A)24.0wt%、成分(B)9.6wt%、成分(C1)(UT5467)19.2wt%、成分(C2)(UT5490)43.2wt%、及び、成分(D1)4.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0081】
[実施例10]
表2に示すように、成分(A)23.8wt%、成分(B)9.5wt%、成分(C1)(UT5467)19.0wt%、成分(C2)(UT5490)42.8wt%、及び、成分(D1)5.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0082】
[実施例11]
表2に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C2)(UT5490)43.6wt%、及び、成分(D2)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は×、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例1,8〜10のように、成分(D1)が2.0wt%〜5.0wt%の範囲において、良好な高速屈曲性の評価結果が得られた。また、実施例11のように成分(D2)の場合でも、良好な高速屈曲性の評価結果が得られた。すなわち、アセトフェノン系光重合開始剤を用いることにより、良好な高速屈曲性の評価結果が得られることが分かった。
【0085】
<4−3.成分(A)〜(C)と高速屈曲性との関係について>
次に、成分(A)又は成分(B)が配合されていない場合、成分(C)としてポリエーテル系ウレタンオリゴマーが配合されていない場合の高速屈曲性について検証した。成分(B1)として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(DCP−A、共栄社化学(株)製)、成分(B2)として、イソシアヌル酸EO変換ジアクリレート(M215、東亞合成(株)製)、成分(CO1)として、官能基数9、オリゴマー伸度35%のカプロラクトン系ウレタンオリゴマー(UT5236)、成分(CO2)として、官能基数6、オリゴマー伸度0.8%のウレタンアクリレートオリゴマー(UV7605、日本合成化学(株)製)、成分(D1)として、2−ヒドロキシ−1−{4−[2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル]−ベンジル}フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)127、BASFジャパン社製)及び、成分(D2)として、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(イルガキュア(IRGACURE)184、BASFジャパン社製)を使用した。これら以外は、実施例1と同一成分を使用した。
【0086】
[比較例3]
表3に示すように、成分(B)を配合せずに、成分(A)34.0wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C2)(UT5490)43.6wt%、及び、成分(D2)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は6、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は×、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0087】
[比較例4]
表3に示すように、成分(A)を配合せずに、成分(B1)34.0wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C2)(UT5490)43.6wt%、及び、成分(D2)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は35%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は5、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0088】
[比較例5]
表3に示すように、成分(A)9.7wt%、成分(B2)29.1wt%、成分(CO1)58.2wt%、及び、成分(D1)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は20%、硬化膜のマルテンス硬度は160N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は4、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0089】
[比較例6]
表3に示すように、成分(A)9.7wt%、成分(B2)38.8wt%、成分(CO1)48.5wt%、及び、成分(D1)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は15%、硬化膜のマルテンス硬度は180N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は2、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0090】
[比較例7]
表3に示すように、成分(A)9.7wt%、成分(B2)48.5wt%、成分(CO1)38.8wt%、及び、成分(D1)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は13%、硬化膜のマルテンス硬度は194N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は1、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0091】
[比較例8]
表3に示すように、成分(A)9.7wt%、成分(B2)29.1wt%、成分(CO1)19.4wt%、成分(CO2)38.8wt%、及び、成分(D1)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は5%、硬化膜のマルテンス硬度は206N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は0、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0092】
[比較例9]
表3に示すように、成分(A)9.7wt%、成分(B2)29.1wt%、成分(CO1)29.1wt%、成分(CO2)29.1wt%、及び、成分(D1)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は7%、硬化膜のマルテンス硬度は194N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は1、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0093】
[比較例10]
表3に示すように、成分(A)9.7wt%、成分(B2)29.1wt%、成分(CO1)38.8wt%、成分(CO2)19.4wt%、及び、成分(D1)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は10%、硬化膜のマルテンス硬度は182N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は2、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0094】
【表3】
【0095】
比較例3,4のように、成分(A)又は成分(B)のいずれかが添加されていない場合は、硬化膜の破断伸度が35%以上の場合でも、良好な高速屈曲性の評価結果が得られなかった。また、比較例5〜10のように、成分(C)として、ポリエーテル系ウレタンオリゴマーを配合せずに、カプロラクトン系ウレタンオリゴマーやウレタンアクリレートオリゴマーを用いた場合は、硬化膜の破断伸度が20%以下と低かった。それに伴い、高速屈曲性の評価結果が悪いものとなった。
【0096】
<4−4.成分(C)の種類と破断伸度との関係について>
次に、成分(C)の種類を替え、成分(C)の種類と破断伸度との関係について検証した。成分(C1)として、官能基数10、オリゴマー伸度9%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5467、日本合成化学(株)製)、成分(C2)として、官能基数2、オリゴマー伸度250%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5490、日本合成化学(株)製)、成分(C3)として、官能基数6、オリゴマー伸度34%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5489、日本合成化学(株)製)、成分(C4)として、官能基数5、オリゴマー伸度72%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5522、日本合成化学(株)製)、成分(C5)として、官能基数4、オリゴマー伸度110%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5523、日本合成化学(株)製)、成分(C6)として、官能基数10、オリゴマー伸度16%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5495、日本合成化学(株)製)、成分(C7)として、官能基数10、オリゴマー伸度13%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5496、日本合成化学(株)製)、成分(C8)として、官能基数10、オリゴマー伸度50%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5497、日本合成化学(株)製)、及び、成分(C9)として、官能基数10、オリゴマー伸度39%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5506、日本合成化学(株)製)を使用した。これら以外は、実施例1と同一成分を使用した。
【0097】
[比較例11]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C3)(UT5489)43.6wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は11%、硬化膜のマルテンス硬度は214N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は2、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0098】
[比較例12]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C4)(UT5522)43.6wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は14%、硬化膜のマルテンス硬度は199N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は4、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0099】
[比較例13]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C5)(UT5523)43.6wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は18%、硬化膜のマルテンス硬度は183N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は5、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0100】
[比較例14]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C6)(UT5495)43.6wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は10%、硬化膜のマルテンス硬度は222N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は0、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0101】
[比較例15]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C7)(UT5496)43.6wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は10%、硬化膜のマルテンス硬度は223N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は0、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0102】
[比較例16]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C8)(UT5497)43.6wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は12%、硬化膜のマルテンス硬度は208N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は1、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0103】
[比較例17]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C9)(UT5506)43.6wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は11%、硬化膜のマルテンス硬度は212N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は2、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0104】
[比較例18]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C4)(UT5522)63.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は17%、硬化膜のマルテンス硬度は187N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は4、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0105】
[比較例19]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C5)(UT5523)63.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は24%、硬化膜のマルテンス硬度は164N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は7、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0106】
[実施例12]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C2)(UT5490)63.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は86%、硬化膜のマルテンス硬度は82N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0107】
[比較例20]
表4に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C8)(UT5523)63.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は14%、硬化膜のマルテンス硬度は200N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は6、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は×であった。
【0108】
【表4】
【0109】
比較例11〜20のように、成分(C)として、オリゴマー伸度が200%未満のポリエーテル系ウレタンオリゴマーを用いた場合、硬化膜の破断伸度が低かった。一方、実施例1,12のように、オリゴマー伸度が200%以上のポリエーテル系ウレタンオリゴマーを用いた場合、硬化膜の破断伸度が35%以上と高かった。それに伴い、高速屈曲性の評価結果が悪いものとなった。
【0110】
<4−5.保護コート層の膜厚と高速屈曲性との関係について>
次に、保護コート層の膜厚と高速屈曲性との関係について検証した。成分(A)〜成分(D)は、実施例1と同一成分を使用した。
【0111】
[実施例13]
表5に示すように、実施例1と同一の溶質成分濃度の光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み1μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0112】
[実施例14]
表5に示すように、実施例1と同一の溶質成分濃度の光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み3μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0113】
[実施例15]
表5に示すように、実施例1と同一の溶質成分濃度の光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み4μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0114】
[比較例21]
表5に示すように、実施例1と同一の溶質成分濃度の光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み5μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は8、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。
【0115】
【表5】


【0116】
実施例1,実施例13〜15、比較例21より、保護コート層の厚さが1μm以上4μm以下の場合、良好な高速屈曲性及び耐擦傷性が得られることが分かった。
【0117】
<5.第2の実施例>
第2の実施例では、第1の実施例のように、成分(A)〜成分(D)に加え、無機微粒子(成分(E))を含有する光硬化性組成物を調製した。そして、第1の実施例と同様に、光硬化性組成物を光重合させた硬化膜の破断伸度、及びマルテンス硬度を測定した。また、光硬化性組成物からなる硬化層を基材フィルムの両面に形成して積層フィルムを作製し、積層フィルムの高速屈曲性、及び耐擦傷性について評価した。さらに、積層フィルムの密着性、及びアンチブロッキング機能を評価し、積層フィルムの表面粗さ、及びヘイズを測定した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0118】
密着性の評価、アンチブロッキング機能の評価、表面粗さの測定、及びヘイズの測定は、次のように行った。
【0119】
[密着性の評価]
積層フィルム(50mm×50mm)の保護コート層に対し、カッターで直線状の切れ込みを入れ、100個の碁盤目を形成した。その碁盤目に対し粘着テープ(セロハンテープ、ニチバン(株))を貼り付け、引き剥がした際に、粘着テープに転着せず、積層フィルム側に残存した碁盤目の数を数えた。その数が100個である場合を良好「○」と評価し、100個未満30個以上である場合を普通「△」と評価し、30個未満である場合を不良「×」と評価した。
【0120】
[アンチブロッキング機能の評価]
積層フィルムのブロッキング性能値を測定した。すなわち、保護コート層の表面同士を密着させた積層フィルムを短冊状に切り出し、密着面積4cm(2cm×2cm)に荷重(g)を加え、その外観状態をブロッキング性能値とした。フィルム間の密着痕であるニュートンリング発生状態が20kg以上である場合を非常に良好「◎」と評価し、10kg以上20kg未満である場合を良好「○」として評価し、300g以上10kg未満である場合を普通「△」として評価し、300g未満である場合を不良「×」として評価した。
【0121】
[表面粗さの測定]
AFM(SPA400、(株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて、積層フィルムの保護コート層の表面粗さを測定した。
【0122】
[ヘイズの測定]
積層フィルムについて、ヘイズメーター(HM150、(株)村上色彩技術研究所製)を使用し、JISK 7136に準拠してヘイズを測定した。
【0123】
<5−1.実施例1に成分(E)を添加>
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(成分(A))として、ペンタエリストリールトリアクリレート(M−305、東亞合成(株)製)、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(成分(B))として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(DCP−A、共栄社化学(株)製)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C1))として、官能基数10、オリゴマー伸度9%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5467、日本合成化学(株)製)、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(成分(C2))として、官能基数2、オリゴマー伸度250%のポリエーテル系ウレタンオリゴマー(UT5490、日本合成化学(株)製)、光重合開始剤(成分(D))として、2−ヒドロキシ−1−{4−[2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル]−ベンジル}フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)127、BASFジャパン社製)、(成分(E))として、アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理した平均粒子径が30nmである凝集体(M44、CIKナノテック(株)製)を使用した。
【0124】
[実施例1]
表6に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)19.4wt%、成分(C2)(UT5490)43.7wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.5nm、ヘイズは0.23%であった。
【0125】
[実施例16]
表6に示すように、実施例1の成分に成分(E)を添加し、成分(A)22.6wt%、成分(B)9.0wt%、成分(C1)(UT5467)18.0wt%、成分(C2)(UT5490)40.6wt%、成分(D)2.8wt%、及び、成分(E)7.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは2.0nm、ヘイズは0.23%であった。
【0126】
[実施例17]
表6に示すように、実施例1の成分に成分(E)を添加し、成分(A)22.1wt%、成分(B)8.8wt%、成分(C1)(UT5467)17.7wt%、成分(C2)(UT5490)39.6wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)9.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは3.3nm、ヘイズは0.23%であった。
【0127】
[実施例18]
表6に示すように、実施例1の成分に成分(E)を添加し、成分(A)21.6wt%、成分(B)8.6wt%、成分(C1)(UT5467)17.3wt%、成分(C2)(UT5490)38.8wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)11.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは4.6nm、ヘイズは0.24%であった。
【0128】
[実施例19]
表6に示すように、実施例1の成分に成分(E)を添加し、成分(A)21.1wt%、成分(B)8.4wt%、成分(C1)(UT5467)16.9wt%、成分(C2)(UT5490)38.0wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)13.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは6.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0129】
[実施例20]
表6に示すように、実施例1の成分に成分(E)を添加し、成分(A)20.6wt%、成分(B)8.2wt%、成分(C1)(UT5467)16.5wt%、成分(C2)(UT5490)37.1wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)15.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は41%、硬化膜のマルテンス硬度は125N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは8.0nm、ヘイズは0.36%であった。
【0130】
[実施例21]
表6に示すように、実施例19と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み1μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは6.5nm、ヘイズは0.25%であった。
【0131】
[実施例22]
表6に示すように、実施例19と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み3μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は△、表面粗さは2.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0132】
【表6】
【0133】
実施例16〜実施例20より、成分(E)を9.0wt%以上15.0wt%以下の範囲で添加することにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。また、実施例19,21,22より、保護コート層の厚さが1μm以上3μm以下であることにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。
【0134】
<5−2.実施例2に成分(E)を添加>
[実施例2]
表7に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)25.0wt%、成分(C2)(UT5490)38.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は37%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.5nm、ヘイズは0.23%であった。
【0135】
[実施例23]
表7に示すように、成分(A)22.6wt%、成分(B)9.0wt%、成分(C1)(UT5467)23.3wt%、成分(C2)(UT5490)35.3wt%、成分(D)2.8wt%、及び、成分(E)7.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は37%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは1.8nm、ヘイズは0.23%であった。
【0136】
[実施例24]
表7に示すように、成分(A)22.1wt%、成分(B)8.8wt%、成分(C1)(UT5467)22.8wt%、成分(C2)(UT5490)34.5wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)9.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は37%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは3.3nm、ヘイズは0.23%であった。
【0137】
[実施例25]
表7に示すように、成分(A)21.6wt%、成分(B)8.6wt%、成分(C1)(UT5467)22.3wt%、成分(C2)(UT5490)33.8wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)11.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は37%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは4.6nm、ヘイズは0.24%であった。
【0138】
[実施例26]
表7に示すように、成分(A)21.1wt%、成分(B)8.4wt%、成分(C1)(UT5467)21.8wt%、成分(C2)(UT5490)33.1wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)13.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は37%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは6.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0139】
[実施例27]
表7に示すように、成分(A)20.6wt%、成分(B)8.2wt%、成分(C1)(UT5467)21.3wt%、成分(C2)(UT5490)32.3wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)15.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は35%、硬化膜のマルテンス硬度は128N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは8.0nm、ヘイズは0.36%であった。
【0140】
[実施例28]
表7に示すように、実施例26と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み1μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は37%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは6.4nm、ヘイズは0.25%であった。
【0141】
[実施例29]
表7に示すように、実施例26と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み3μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は37%、硬化膜のマルテンス硬度は118N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は△、表面粗さは2.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0142】
【表7】
【0143】
実施例2に成分(E)を添加した場合も、実施例1に成分(E)を添加した場合と同様に、成分(E)を9.0wt%以上15.0wt%以下の範囲で添加することにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。また、保護コート層の厚さが1μm以上3μm以下であることにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。
【0144】
<5−3.実施例3に成分(E)を添加>
[実施例3]
表8に示すように、成分(A)24.3wt%、成分(B)9.7wt%、成分(C1)(UT5467)13.0wt%、成分(C2)(UT5490)50.0wt%、及び、成分(D)3.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は52%、硬化膜のマルテンス硬度は100N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.5nm、ヘイズは0.23%であった。
【0145】
[実施例30]
表8に示すように、成分(A)22.6wt%、成分(B)9.0wt%、成分(C1)(UT5467)12.1wt%、成分(C2)(UT5490)46.4wt%、成分(D)2.8wt%、及び、成分(E)7.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は52%、硬化膜のマルテンス硬度は100N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは2.3nm、ヘイズは0.23%であった。
【0146】
[実施例31]
表8に示すように、成分(A)22.1wt%、成分(B)8.8wt%、成分(C1)(UT5467)11.8wt%、成分(C2)(UT5490)45.5wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)9.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は52%、硬化膜のマルテンス硬度は100N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは3.3nm、ヘイズは0.23%であった。
【0147】
[実施例32]
表8に示すように、成分(A)21.6wt%、成分(B)8.6wt%、成分(C1)(UT5467)11.6wt%、成分(C2)(UT5490)44.5wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)11.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は52%、硬化膜のマルテンス硬度は100N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは4.6nm、ヘイズは0.24%であった。
【0148】
[実施例33]
表8に示すように、成分(A)21.1wt%、成分(B)8.4wt%、成分(C1)(UT5467)11.3wt%、成分(C2)(UT5490)43.6wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)13.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は52%、硬化膜のマルテンス硬度は100N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは6.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0149】
[実施例34]
表8に示すように、成分(A)20.6wt%、成分(B)8.2wt%、成分(C1)(UT5467)11.1wt%、成分(C2)(UT5490)42.5wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)15.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は48%、硬化膜のマルテンス硬度は110N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは8.0nm、ヘイズは0.36%であった。
【0150】
[実施例35]
表8に示すように、実施例33と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み1μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は52%、硬化膜のマルテンス硬度は100N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは6.4nm、ヘイズは0.25%であった。
【0151】
[実施例36]
表8に示すように、実施例33と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み3μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は52%、硬化膜のマルテンス硬度は100N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は△、表面粗さは2.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0152】
【表8】
【0153】
実施例3に成分(E)を添加した場合も、実施例1に成分(E)を添加した場合と同様に、成分(E)を9.0wt%以上15.0wt%以下の範囲で添加することにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。また、保護コート層の厚さが1μm以上3μm以下であることにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。
【0154】
<5−4.平均粒子径20nmのメタクリル系凝集体の使用>
成分(E)として、メタクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理した平均粒子径が20nmである凝集体(M23、CIKナノテック(株)製)を使用した。これ以外は、実施例1と同一成分を使用した。
【0155】
[実施例37]
表9に示すように、成分(A)22.6wt%、成分(B)9.0wt%、成分(C1)(UT5467)18.0wt%、成分(C2)(UT5490)40.6wt%、成分(D)2.8wt%、及び、成分(E)7.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは1.8nm、ヘイズは0.23%であった。
【0156】
[実施例38]
表9に示すように、成分(A)22.1wt%、成分(B)8.8wt%、成分(C1)(UT5467)17.7wt%、成分(C2)(UT5490)39.6wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)9.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは3.6nm、ヘイズは0.23%であった。
【0157】
[実施例39]
表9に示すように、成分(A)21.1wt%、成分(B)8.4wt%、成分(C1)(UT5467)16.9wt%、成分(C2)(UT5490)38.0wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)13.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは4.2nm、ヘイズは0.25%であった。
【0158】
[実施例40]
表9に示すように、成分(A)20.6wt%、成分(B)8.2wt%、成分(C1)(UT5467)16.5wt%、成分(C2)(UT5490)37.1wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)15.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は41%、硬化膜のマルテンス硬度は125N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは5.5nm、ヘイズは0.36%であった。
【0159】
[実施例41]
表9に示すように、実施例39と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み1μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは5.1nm、ヘイズは0.25%であった。
【0160】
[実施例42]
表9に示すように、実施例39と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み3μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は△、表面粗さは2.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0161】
【表9】
【0162】
実施例37〜実施例40より、成分(E)を9.0wt%以上15.0wt%以下の範囲で添加することにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。また、実施例39,41,42より、保護コート層の厚さが1μm以上3μm以下であることにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。すなわち、成分(E)として、平均粒子径20nmのメタクリル系凝集体を添加しても、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。
【0163】
<5−5.平均粒子径30nmのメタクリル系凝集体の使用>
成分(E)として、メタクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理した平均粒子径が30nmである凝集体(M06、CIKナノテック(株)製)を使用した。これ以外は、実施例1と同一成分を使用した。
【0164】
[実施例43]
表10に示すように、成分(A)22.6wt%、成分(B)9.0wt%、成分(C1)(UT5467)18.0wt%、成分(C2)(UT5490)40.6wt%、成分(D)2.8wt%、及び、成分(E)7.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは1.6nm、ヘイズは0.23%であった。
【0165】
[実施例44]
表10に示すように、成分(A)22.1wt%、成分(B)8.8wt%、成分(C1)(UT5467)17.7wt%、成分(C2)(UT5490)39.6wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)9.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは2.5nm、ヘイズは0.23%であった。
【0166】
[実施例45]
表10に示すように、成分(A)21.1wt%、成分(B)8.4wt%、成分(C1)(UT5467)16.9wt%、成分(C2)(UT5490)38.0wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)13.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは4.3nm、ヘイズは0.25%であった。
【0167】
[実施例46]
表10に示すように、成分(A)20.6wt%、成分(B)8.2wt%、成分(C1)(UT5467)16.5wt%、成分(C2)(UT5490)37.1wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)15.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は41%、硬化膜のマルテンス硬度は125N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは5.5nm、ヘイズは0.36%であった。
【0168】
[実施例47]
表10に示すように、実施例45と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み1μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは5.4nm、ヘイズは0.25%であった。
【0169】
[実施例48]
表10に示すように、実施例45と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み3μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は△、表面粗さは2.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0170】
【表10】
【0171】
実施例43〜実施例46より、成分(E)を9.0wt%以上15.0wt%以下の範囲で添加することにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。また、実施例45,47,48より、保護コート層の厚さが1μm以上3μm以下であることにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。すなわち、成分(E)として、平均粒子径30nmのメタクリル系凝集体を添加しても、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。
【0172】
<5−6.平均粒子径40nmのメタクリル系凝集体の使用>
成分(E)として、メタクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理した平均粒子径が40nmである凝集体(M18、CIKナノテック(株)製)を使用した。これ以外は、実施例1と同一成分を使用した。
【0173】
[実施例49]
表11に示すように、成分(A)22.6wt%、成分(B)9.0wt%、成分(C1)(UT5467)18.0wt%、成分(C2)(UT5490)40.6wt%、成分(D)2.8wt%、及び、成分(E)7.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは1.7nm、ヘイズは0.23%であった。
【0174】
[実施例50]
表11に示すように、成分(A)22.1wt%、成分(B)8.8wt%、成分(C1)(UT5467)17.7wt%、成分(C2)(UT5490)39.6wt%、成分(D)2.7wt%、及び、成分(E)9.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは2.6nm、ヘイズは0.23%であった。
【0175】
[実施例51]
表11に示すように、成分(A)21.1wt%、成分(B)8.4wt%、成分(C1)(UT5467)16.9wt%、成分(C2)(UT5490)38.0wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)13.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは4.8nm、ヘイズは0.25%であった。
【0176】
[実施例52]
表11に示すように、成分(A)20.6wt%、成分(B)8.2wt%、成分(C1)(UT5467)16.5wt%、成分(C2)(UT5490)37.1wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)15.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は41%、硬化膜のマルテンス硬度は125N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは5.5nm、ヘイズは0.36%であった。
【0177】
[実施例53]
表11に示すように、実施例51と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み1μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は◎、表面粗さは5.5nm、ヘイズは0.25%であった。
【0178】
[実施例54]
表11に示すように、実施例51と同一の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み3μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は△、表面粗さは2.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0179】
【表11】
【0180】
実施例49〜実施例52より、成分(E)を9.0wt%以上15.0wt%以下の範囲で添加することにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。また、実施例51,53,54より、保護コート層の厚さが1μm以上3μm以下であることにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。すなわち、成分(E)として、平均粒子径40nmのメタクリル系凝集体を添加しても、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。
【0181】
<5−7.成分(E)の種類、粒径について>
成分(E1)として、平均粒子径15nmのシリカゾル(MEK−ST(メチルエチルケトンに分散したシリカゾル)、日産化学工業(株)製)、成分(E2)として、平均粒子径30nmのメタクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理した分散体(H83、CIKナノテック(株)製)、成分(E3)として、平均粒子径30nmのアルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理した分散体(E83、CIKナノテック(株)製)、成分(E4)として、平均粒子径30nmのアルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理した凝集体(H94、CIKナノテック(株)製)、成分(E5)として、平均粒子径50nmのシリカゾル(MEK−STL(メチルエチルケトンに分散したシリカゾル)、日産化学工業(株)製)、成分(E6)として、平均粒子径50nmのシリカゾル(IPA−STL(イソプロピルアルコールに分散したシリカゾル)、日産化学工業(株)製)、成分(E7)として、平均粒子径100nmのメタクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理した分散体(E65、CIKナノテック(株)製)、成分(E8)として、平均粒子径100nmのアルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理した分散体(H86、CIKナノテック(株)製)、成分(E9)として、平均粒子径100nmのメタクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理した凝集体(K26、(株)製)、成分(E10)として、平均粒子径100nmのシリカゾル(IPA−ST−ZL(イソプロピルアルコールに分散したシリカゾル)、日産化学工業(株)製)、成分(E11)として、平均粒子径100nmのシリカゾル(MEK−ST−ZL(メチルエチルケトンに分散したシリカゾル)、日産化学工業(株)製)を使用した。これ以外は、実施例1と同一成分を使用した。
【0182】
また、成分(A)21.1wt%、成分(B)8.4wt%、成分(C1)(UT5467)16.9wt%、成分(C2)(UT5490)38.0wt%、成分(D)2.6wt%、及び、成分(E)13.0wt%の溶質成分濃度で均一に混合することにより光硬化性組成物を調製し、厚み80μmの硬化膜を作製した。また、厚み75μm基材フィルムの両面にそれぞれ厚み2μmの保護コート層を形成し、積層フィルムを作製した。
【0183】
[実施例55]
表12に示すように、成分(E1)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.6nm、ヘイズは0.23%であった。
【0184】
[実施例56]
表12に示すように、成分(E2)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは1.1nm、ヘイズは0.25%であった。
【0185】
[実施例57]
表12に示すように、成分(E3)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは2.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0186】
[実施例58]
表12に示すように、成分(E4)及び分散剤を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は×、アンチブロッキング機能は○、表面粗さは2.9nm、ヘイズは0.25%であった。
【0187】
[実施例59]
表12に示すように、成分(E5)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.8nm、ヘイズは0.23%であった。
【0188】
[実施例60]
表12に示すように、成分(E6)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.8nm、ヘイズは0.23%であった。
【0189】
[実施例61]
表12に示すように、成分(E7)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は×、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.9nm、ヘイズは0.24%であった。
【0190】
[実施例62]
表12に示すように、成分(E8)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は×、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.9nm、ヘイズは0.24%であった。
【0191】
[実施例63]
表12に示すように、成分(E9)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは1.0nm、ヘイズは0.25%であった。
【0192】
[実施例64]
表12に示すように、成分(E10)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.8nm、ヘイズは0.27%であった。
【0193】
[実施例65]
表12に示すように、成分(E11)を添加したときの硬化膜の破断伸度は45%、硬化膜のマルテンス硬度は115N/mmであった。また、積層フィルムの高速屈曲性の良好回数は10、積層フィルムのスチールウールによる耐擦傷性の評価は○、積層フィルムのアルコール綿棒による耐擦傷性の評価は○であった。また、密着性の評価は○、アンチブロッキング機能は×、表面粗さは0.8nm、ヘイズは0.26%であった。
【0194】
【表12】
【0195】
平均粒子径が10nm以上50nm以下の凝集体である無機微粒子を添加することにより、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。また、アルキル基又は(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤により表面処理されていることにより、バインダー成分との親和性、結合性が高められ、優れたアンチブロッキング機能が得られることが分かった。
【符号の説明】
【0196】
11 基材フィルム、12 保護コート層、13 積層フィルム、14 透明電極、15A,15B タッチパネル用積層フィルム、16 光学調整層
図1
図2
図3