(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係る衛星電波腕時計1について説明する。本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、時刻情報を含んだ電波を受信し、当該受信した電波に含まれる時刻情報を用いて自身が計時している時刻の修正を行う。
図1は、本実施形態に係る衛星電波腕時計1の外観の一例を示す平面図であり、
図2は、衛星電波腕時計1の内部構成を示す構成ブロック図である。これらの図に示されるように、衛星電波腕時計1は、アンテナ10と、受信回路20と、制御回路30と、電力供給部40と、駆動機構50と、時刻表示部51と、指針52と、文字板53と、操作部60と、照度検出回路70と、を含んで構成される。
【0017】
アンテナ10は、時刻情報を含んだ電波として、衛星から送信される衛星信号を受信する。特に本実施形態では、アンテナ10は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される周波数約1.6GHzの電波を受信するパッチアンテナである。GPSは、衛星測位システムの一種であって、地球の周囲を周回する複数のGPS衛星によって実現されている。これらのGPS衛星は、それぞれ高精度の原子時計を搭載しており、原子時計によって計時された時刻情報を含んだ衛星信号を周期的に送信している。
【0018】
受信回路20は、アンテナ10によって受信された衛星信号を復号して、復号の結果得られる衛星信号の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。具体的に、受信回路20は、高周波回路(RF回路)21及びデコード回路22を含んで構成されている。
【0019】
高周波回路21は、高周波数で動作する集積回路であって、アンテナ10が受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路22は、ベースバンド処理を行う集積回路であって、高周波回路21が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成し、制御回路30に対して出力する。
【0020】
制御回路30は、衛星電波腕時計1に含まれる各種回路や機構を制御する回路であり、マイクロコントローラ31と、モータ駆動回路35と、RTC(Real Time Clock)36と、カウンタ37とを含んで構成される。マイクロコントローラ31は、演算部32と、RAM(Random Access Memory)33と、ROM(Read Only Memory)34と、を含み、例えば1つの集積回路により構成される。
【0021】
演算部32は、ROM34に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。本実施形態において演算部32が実行する処理の詳細については、後述する。RAM33は、演算部32のワークメモリとして機能し、演算部32の処理対象となるデータが書き込まれる。特に本実施形態では、受信回路20によって受信された衛星信号の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM33内のバッファ領域に順次書き込まれるほか、後述する非受信カウンタや要受信フラグ等の、内部制御用の各種レジスタの値が保持される。
【0022】
RTC36は、衛星電波腕時計1の内部での計時に使用されるクロック信号を供給する。また、カウンタ37は、RTC36が出力するクロック信号に含まれるパルスをカウントする。演算部32は、カウンタ37によりカウントされたパルスの数に応じた内部時刻を取得し、時刻表示部51に表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。
【0023】
モータ駆動回路35は、演算部32により決定された表示時刻に応じて、駆動機構50に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、制御回路30によって生成された表示時刻が時刻表示部51に表示される。
【0024】
また、本実施形態に係る衛星電波腕時計1では、演算部32が、RTC36から供給される信号とカウンタ37とによって計時された内部時刻を、受信回路20によって受信された衛星信号に基づいて修正する。
【0025】
電力供給部40は、受信回路20や制御回路30、駆動機構50など、衛星電波腕時計1内の各部に対して、その動作に必要な電力を供給する。電力供給部40は太陽電池41と、二次電池42と、スイッチSw1とを含む。
【0026】
太陽電池41は、文字板53の下に配置されており、衛星電波腕時計1に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池42に供給する。太陽電池41の発電量は、衛星電波腕時計1に照射される光の入力照度Lに応じて変化する。太陽電池41の正極は照度検出回路70に接続されている。
【0027】
二次電池42は、リチウムイオン電池等の充電可能な電池と、そのリチウムイオン電池等の充電および放電を管理するバッテリーマネジメント回路とを含み、太陽電池41によって発電された電力を蓄積する。そして、蓄積された電力を、受信回路20や制御回路30、駆動機構50など、電力を必要とする各部に対して供給する。二次電池42は、直列接続されたスイッチSw1を介して太陽電池41と並列接続されている。具体的には、太陽電池41の正極と二次電池42の正極とはスイッチSw1を介して接続されている。太陽電池41は、スイッチSw1がオンになっている間だけ二次電池42へ電力供給を行う。
【0028】
ここで、制御回路30はスイッチSw2をさらに含む。スイッチSw2は、電力供給部40からマイクロコントローラ31への電力供給を制御する。この動作の詳細については後述する。
【0029】
ここで、スイッチSw1及びSw2は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)スイッチ素子である。スイッチSw1は、マイクロコントローラ31の制御によりオンオフが切り替えられる。またスイッチSw1はマイクロコントローラ31の動作停止時にはオンとなるノーマルクローズ(常時閉)のスイッチ素子である。
【0030】
駆動機構50は、前述したモータ駆動回路35から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータと、輪列と、を含んで構成され、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、指針52を回転させる。時刻表示部51は、指針52及び文字板53によって構成される。指針52は、時針52a、分針52b、及び秒針52cからなり、これらの指針52が文字板53上を回転することによって、現在時刻が表示される。なお、文字板53上には、時刻表示のための目盛だけでなく、時刻情報受信の成否をユーザに示すためのマーカーなどが表示されてもよい。
【0031】
操作部60は、例えば竜頭や操作ボタン等であって、衛星電波腕時計1の使用者による操作を受け付けて、その操作内容を制御回路30に対して出力する。制御回路30は、操作部60が受け付けた操作入力の内容に応じて各種の処理を実行する。
【0032】
照度検出回路70は、太陽電池41に照射されている光の入力照度Lを検出する。より具体的には、照度検出回路70は、入力照度Lが所与の閾値を超えているか否かを示す信号を出力する。この閾値は、場面によって照度閾値Lth1、照度閾値Lth2、および照度閾値Lth3のいずれかに切り替えられる。これら3つの閾値の大小関係は、Lth1<Lth2<Lth3となっている。なお、照度閾値の種類の数は3でなくてもよく、例えば5種類の照度閾値が存在してよい。
【0033】
照度閾値Lth1は衛星電波腕時計1の動作に必要な電力と二次電池42の充電に必要な電力とを太陽電池41が発電できるか否かを判定するための閾値であり、蛍光灯が点灯する屋内程度の明るさであれば入力照度Lは照度閾値Lth1より大きくなる。照度閾値Lth3は屋外にいるか否かを判定する閾値であり、曇りの屋外または晴れの屋外であれば入力照度Lは照度閾値Lth3より大きくなる。なお、照度閾値Lth2はLth1とLth3の間の明るさに相当する閾値であり、ユーザの指示により入力照度Lをより詳細に測定する場合に用いられる。
【0034】
図3は、照度検出回路70の回路構成の一例を示す図である。同図に示すように、照度検出回路70は、1つの固定抵抗器71と、第1レギュレータ72、第2レギュレータ73、及び第3レギュレータ74の3つのレギュレータと、コンパレータ77と、スイッチSw3、Sw4、及びSw5の3つのスイッチ素子と、を備えている。
【0035】
コンパレータ77は、2つの入力端子T1及びT2を備え、その両者に入力される電圧の大小を比較した結果を示す信号を出力する比較回路である。入力端子T1は、太陽電池41の出力と接続されている。入力端子T2には閾値電圧Vth1,Vth2,Vth3のいずれかが入力される。入力端子T2に入力される閾値電圧がどのように選択されるかについては後述する。その結果、コンパレータ77は、出力電圧Vhdが選択された閾値電圧を超えているか否かを示す信号を出力する。なお、コンパレータ77の出力は、マイクロコントローラ31の入出力ポートに接続されており、演算部32はコンパレータ77の出力信号を取得する。以下では、コンパレータ77は、出力電圧Vhdが閾値電圧を超えている場合にHレベルの信号を、そうでない場合にLレベルの信号を出力するものとする。
【0036】
固定抵抗器71は、スイッチ素子を介さずに太陽電池41と並列接続されている。そのため本実施形態では、この固定抵抗器71が常に太陽電池41の接続抵抗器となる。太陽電池41に照射される光の入力照度Lと、固定抵抗器71の抵抗値Rと、に応じて決まる太陽電池41の出力電圧Vhdは、コンパレータ77の入力端子T1に入力される。ここで、照度検出回路70が照度を検出する際には、スイッチSw1はオフされる。これにより、出力電圧Vhdにより入力照度Lを検出することが可能になる。
【0037】
3つのレギュレータは、いずれも予め定められた電圧を出力する定電圧出力回路であって、それぞれ対応するスイッチ素子と直列接続されている。以下では、第1レギュレータ72の出力電圧を閾値電圧Vth1、第2レギュレータ73の出力電圧を閾値電圧Vth2、また第3レギュレータ74の出力電圧を閾値電圧Vth3とする。これらのレギュレータの出力は、それぞれスイッチSw3,Sw4,Sw5を介してコンパレータ77の入力端子T2に接続されている。そのため、スイッチSw3、Sw4、及びSw5のうちのいずれか1つがオン、他の2つがオフに切り替えられることによって、いずれか1つのレギュレータの出力だけが選択され、選択されたレギュレータの出力がコンパレータ77の入力端子T2に入力されることになる。
【0038】
スイッチSw3,Sw4,及びSw5は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)スイッチ素子等であって、いずれもマイクロコントローラ31からの制御信号によってそのオン/オフが切り替えられる。
【0039】
太陽電池41の接続抵抗器が常に固定抵抗器71なので、太陽電池41の出力電圧Vhdは、太陽電池41に照射される光の入力照度Lが大きくなればなるほど大きくなる。そのため、この出力電圧Vhdを互いに異なる大きさの3つの閾値電圧のそれぞれと比較することによって、本実施形態に係る衛星電波腕時計1は、太陽電池41に照射される光の入力照度Lが互いに異なる3つの照度閾値のそれぞれを超えたか否か判定することができる。具体的に、本実施形態では、閾値電圧Vth1が入力端子T2に入力されているときには、入力照度Lが照度閾値Lth1を超えるとコンパレータ77の出力信号がHレベルになる。同様に、閾値電圧Vth2が入力端子T2に入力されているときは、入力照度Lが照度閾値Lth2を超えた場合に、コンパレータ77の出力信号がHレベルに切り替わる。また、閾値電圧Vth3が入力端子T2に入力されているときは、入力照度Lが照度閾値Lth3を超えた場合に、コンパレータ77の出力信号がHレベルに切り替わる。
【0040】
閾値電圧の種類の数は、照度閾値の数と同じである。また、閾値電圧の種類の数に応じて、レギュレータやスイッチ素子の数が変化する。
【0041】
なお、照度検出回路70は、入力端子T2に入力する閾値電圧を複数の閾値電圧から選択する代わりに、固定抵抗器71に相当する箇所の抵抗値を複数の値から選択させてもよい。この場合、入力端子T1に入力される太陽電池41の出力電圧を増幅または減衰させてもよい。この場合でも、抵抗値に応じた照度閾値を超えたか否かをコンパレータ77の出力信号によって検出することができる。
【0042】
なお、受信回路20、モータ駆動回路35、照度検出回路70のそれぞれには、電力供給部40から電力が供給されるが、例えば衛星信号を受信する間や、照度を検出する間など、最低限必要な期間のみ電力を消費するように構成されている。
【0043】
次に、本実施形態において制御回路30のマイクロコントローラ31の動作について説明する。
図4は、衛星電波腕時計1が実現する機能を示す機能ブロック図である。マイクロコントローラ31に含まれる演算部32は、ROM34に格納されたプログラムを実行することにより、機能的に、
図5に示すように、受信要否判定部31aと、衛星信号受信部31bと、時刻修正部31cと、パワーセーブ制御部31dと、照度検出制御部31eと、時刻表示制御部31fと、パワーブレイク制御部31gと、を実現する。
【0044】
受信要否判定部31aは、内部時刻の修正のために衛星信号を受信してから所定の期間が経過したか否かに応じて要受信フラグを設定する。以下では、内部時刻の修正のための時刻情報を含む衛星信号の受信のうち、衛星電波腕時計1自身が周辺環境、ここでは照度を検知して受信することを環境受信と記載する。より具体的には、受信要否判定部31aは、衛星信号受信部31bが環境受信し、時刻修正部31cが時刻を修正した際に非受信カウンタの値を0(初期状態)に設定する。そして、受信要否判定部31aは、午前6:00などの受信判定時刻をまたいだ場合に非受信カウンタの値を1つ増加させ、さらに非受信カウンタの値が所定の値(例えば7日間隔で時刻を修正するのであれば7)になった場合に要受信フラグをオンに設定する。ここで、初期状態の非受信カウンタの値を7とし、受信要否判定部31aは受信判定時刻をまたいだ場合に非受信カウンタの値を1つ減少させ、非受信カウンタの値が0になった場合に要受信フラグをオンに設定してもよい。また、受信要否判定部31aは、衛星信号受信部31bが環境受信し、時刻修正部31cが時刻を修正した時刻を前回受信時刻としてメモリに記憶し、その前回受信時刻から現在時刻までの期間が所定の期間(例えば7日間)を超えた場合に要受信フラグを設定してもよい。また、非受信カウンタが要受信フラグとして利用されてもよい。例えば、非受信カウンタに255などの特別な値が入っていることを要受信フラグがオンであると判定してもよい。上記の所定の期間は、受信による時刻修正が行われなくても正確な時刻を保てる期間より大きくなるように設定されている。また正確な時刻を保てる期間は、制御回路30の計時時間精度(RTC36のクロック精度等)に応じて定まる。なお、正確な時刻を保てる期間を超えた場合に、直前の受信結果の有効期限が切れたことを通知するように制御部30がモータ駆動回路35や時刻表示部51等を制御してもよい。
【0045】
衛星信号受信部31bは、GPS衛星から送信される衛星信号を受信すること(環境受信)により、その中に含まれる時刻情報のデータを取得する。なお、衛星信号受信部31bは、受信要否判定部31aが環境受信を必要と判定したことを示す要受信フラグが設定され、衛星電波腕時計1が屋外にあると判定された場合に時刻情報の取得処理を実行する。衛星電波腕時計1が屋外にあるか否かの判定は、太陽電池41に照射される入力照度Lに基づいて行われる。この判定は、昼間は屋内と屋外とでは照度が異なることを利用している。
【0046】
時刻修正部31cは、衛星信号受信部31bがGPS衛星から受信した情報を用いて、衛星電波腕時計1の内部で計時されている内部時刻の修正を行う。
【0047】
パワーセーブ制御部31dは、照度検出制御部31eにより取得された照度閾値を超えるか否かを示す信号に基づいて、衛星電波腕時計1を通常モードからパワーセーブモードへと移行するか否かを判定し、またパワーセーブモードから通常モードに復帰するか否かを判定する。
【0048】
パワーセーブモードは、衛星電波腕時計1はその動作の一部を停止し、省電力で動作する。より具体的には、秒針52cの動作を停止し、起動間隔ごと(例えば10秒ごと)にマイクロコントローラ31が起動される。より具体的には、パワーセーブモードにおいて、カウンタ37は起動間隔が経過するごとにスイッチSw2をオンする。これにより、スイッチSw2はマイクロコントローラ31に電力供給部40からの電力を供給し、マイクロコントローラ31に起動間隔ごとにパワーセーブモードにおける処理を開始させる。通常モードでは、スイッチSw2は常にオンになっている。なお、スイッチSw2によりマイクロコントローラ31への電力供給を制御する代わりに、カウンタ37が起動間隔ごとに出力する起動信号によりマイクロコントローラ31を起動させ、マイクロコントローラ31はパワーセーブモード時には処理の終了後にその動作を自ら停止するようにしてもよい。
【0049】
パワーセーブ制御部31dは、例えば、パワーセーブモードに移行する場合にパワーセーブフラグをオンし、通常モードに復帰する場合にパワーセーブフラグをオフしてもよいし、あわせてパワーセーブ制御部31dは、パワーセーブモードに移行する場合にカウンタ37が起動間隔ごとにスイッチSw2をオンするように設定する。パワーセーブ制御部31dはさらにマイクロコントローラ31が起動された際にパワーセーブモード時の処理が起動されるように設定してもよい。パワーセーブモード時の処理には、パワーセーブ制御部31dがパワーセーブモードから通常モードに復帰するか否かを判定する処理も含まれる。
【0050】
照度検出制御部31eは、計測に用いられる照度閾値を決定し、照度検出回路70においてスイッチSw3〜5のうち決定された照度閾値に対応するスイッチ素子をオンするように制御し、コンパレータ77から出力される信号を取得する。これにより、照度検出制御部31eは、選択された照度閾値より明るい光が入力されたか否かを示す信号を取得する。
【0051】
時刻表示制御部31fは、モータ駆動回路35を制御し、時刻表示部51に表示時刻が表示されるように制御する。パワーセーブモードでは、前述のように起動間隔ごと(例えば10秒ごと)にマイクロコントローラ31が起動され、その際に時刻表示制御部31fは秒針52cを除く指針52が表示時刻を指すようにモータ駆動回路35を制御する。通常モードでは、時刻表示制御部31fは秒針52cも含む指針52が表示時刻を指すようにモータ駆動回路35を制御する。
【0052】
パワーブレイク制御部31gは、二次電池42の電池電圧が所定値以下となった場合に、制御回路30の動作を停止させるパワーブレイク制御を行う。これにより衛星電波腕時計1はパワーブレイク状態に移行する。パワーブレイク状態に移行すると、計時は行われなくなり、現在時刻を示す情報は失われる。
【0053】
屋外検出時間帯更新部31hは、ユーザの操作に基づいて、屋外検出時間帯を更新する。屋外検出時間帯は、後述する照度検出処理において、照度閾値の選択に用いられるものであり、照度の測定により衛星電波腕時計1が屋外にあるか否かを判定できる時間帯(昼間の時間帯)に相当する。屋外検出時間帯更新部31hは、季節や緯度による日の出や日の入りの時間の変化を屋外検出時間帯に反映するために、ユーザの操作部60に対する操作により予め定められた複数の時間帯(例えば5:00〜19:00、6:00〜18:00、7:00〜19:00)から適切なものを選択させ、屋外検出時間帯を選択された時間帯に更新する。なお、この屋外検出時間帯は、ユーザの操作以外にも、衛星電波腕時計1がカレンダ情報を保持する場合には、かかるカレンダ情報に基いて自動設定されてよく、さらに、衛星電波腕時計1が衛星電波に基いて、緯度を検出する場合には、かかる緯度に基いて自動設定されてよい。あるいは、屋外検出時間帯を一定範囲として固定しておいてもよい。
【0054】
次に、照度の検出および検出された照度の利用についてより詳細に説明する。マイクロコントローラ31は、現在時刻が屋外検出時間帯に含まれるか否か、パワーセーブモードであるか否か、要受信フラグの有無により照度を検出する態様を変化させる。
【0055】
図5は、照度を検出する態様と衛星電波腕時計1の状態との関係を説明する図である。本図に示す表は、パワーセーブモードの列と通常モードの列とを有し、受信不要の行と受信要の行とを有する。受信要の行は要受信フラグがオンの状態に相当し、受信不要の行は要受信フラグがオフの状態に相当する。また受信要の行は、昼間の行と夜間の行とを含む。昼間は現在時刻が屋外検出時間帯に属する場合を示し、夜間は現在時刻が屋外検出時間帯に属さない場合を示す。また列と行とにより特定される表のセルには、そのセルが存在する行及び列に相当する条件を満たす場合の照度を検出する態様が記載されている。
図5の各セルにおける「閾値」は、照度閾値を示している。
【0056】
図5に示すように、パワーセーブモードでは、要受信フラグや現在時刻にかかわらず照度の検出の態様は、照度閾値Lth1(二次電池42の充電が可能なレベル)かつ照度を検出する間隔は10秒である。また、通常モードでは、要受信フラグがオンでありかつ現在時刻が屋外検出時間帯に含まれるである場合に、照度検出の態様が照度閾値Lth3(屋外にあると判定されるレベル)かつ検出間隔10秒であり、要受信フラグがオフまたは現在時刻が屋外検出時間帯に含まれない場合に照度検出の態様は照度閾値Lth1および検出間隔1分である。照度検出制御部31eにより取得される照度の検出結果は、要受信フラグがオン、通常モードかつ現在時刻が屋外検出時間帯に含まれる場合には環境受信を開始するか否かの判定に用いられ、通常モードの場合はパワーセーブモードを開始するか否かの判定のための処理に用いられ、パワーセーブモードの場合は通常モードに復帰するか否かの判定に用いられる。
【0057】
次に、照度の検出および検出された照度を用いる具体的な処理について処理フローを用いて説明する。
図6は、制御回路30がパワーセーブモードにおいて実行する処理の一例を示すフロー図である。
図6に示す処理は、パワーセーブモードにおいてマイクロコントローラ31がカウンタ37により起動された際に、マイクロコントローラ31がパワーセーブフラグがオンであるか判定し、パワーセーブフラグがオンであると判定された場合に実行されてもよいし、カウンタ37による起動により直接的に実行されてもよい。
【0058】
図6に示す処理では、はじめに、受信要否判定部31aは、現在時刻が受信判定時刻(例えば午前6:00)であり、かつ前回の環境受信から7日間以上経過しているか判定する(ステップS201)。より具体的には、受信要否判定部31aは、前回のこのステップS201の判定が行われてから今回の判定が行われるまでの間に、受信判定時刻(例えば午前6時0分0秒)が存在する場合は現在時刻が受信判定時刻であると判定し、受信要否判定部31aは非受信カウンタを1増加させる。そして、非受信カウンタが7である場合に、受信要否判定部31aは前回の受信から7日間以上経過していると判定する。また、受信要否判定部31aは非受信カウンタを減少させ、減少された非受信カウンタが0の場合に前回の受信から7日間以上経過していると判定してもよいし、受信要否判定部31aは前回の時刻補正時刻と現在時刻との差が7日間以上の場合に前回の環境受信から7日間以上経過していると判定してもよい。
【0059】
そして、現在時刻が受信判定時刻であり、かつ前回の環境受信から7日間以上経過していると判定された場合には(ステップS201のY)、受信要否判定部31aは要受信フラグをオンに設定する(ステップS202)。また、現在時刻が受信判定時刻でない、または前回の環境受信から7日間以上経過していないと判定された場合には(ステップS201のN)、ステップS202の処理をスキップする。
【0060】
次に、照度検出制御部31eは、照度の検出に用いる照度閾値を選択し、選択された照度閾値より入力照度Lが大きいかを検出する照度検出処理を実行する(ステップS203)。
【0061】
ここで照度検出処理の詳細を説明する。
図7は、照度検出制御部31eによる照度検出処理の一例を示すフロー図である。はじめに、照度検出制御部31eは、パワーセーブフラグがオンに設定されている場合(パワーセーブモード)には(ステップS301のY)、照度検出回路70に含まれ、照度閾値Lth1に対応するスイッチ素子であるスイッチSw3をオンし(ステップS305)、さらにスイッチSw1をオフしてコンパレータ77の出力を取得する(ステップS306)。一方、パワーセーブフラグが設定されていない場合(通常モード)には(ステップS301のN)、衛星電波腕時計1が屋外にいるか否かを検出可能とするか否かを判定する。より具体的には、照度検出制御部31eは要受信フラグが設定され、かつ現在時刻が屋外検出時間帯に含まれるか判定し(ステップS302)、その条件を満たすと判定された場合には(ステップS302のY)、照度検出制御部31eは照度検出回路70に含まれ、照度閾値Lth3に対応するスイッチ素子であるスイッチSw5をオンし(ステップS303)、さらにスイッチSw1をオフしてコンパレータ77の出力を取得する(ステップS306)。また、要受信フラグが設定されない、または現在時刻が屋外検出時間帯に含まれないと判定された場合には(ステップS302のN)、照度検出制御部31eはパワーセーブモードに移行するかのみを判定するための処理を行う。具体的には、照度検出制御部31eは前回の照度検出から1分経っているかを判定し、1分経っている場合には、ステップS305およびステップS306の処理を実行する。なお、どの場合にも照度検出制御部31eは、ステップS306の後にスイッチSw1をオンし、照度閾値に対応するスイッチ素子をオフすることで、二次電池42の充電が行われる時間を保持しつつ電力の消費も抑えられる。
【0062】
パワーセーブモードでは、照度検出処理により、照度検出制御部31eは、起動間隔である10秒ごとに照度閾値Lth1より明るい光が入力されたか否かを示すコンパレータ77の信号(以下では「第1信号」と記載する)を取得する。これにより、例えば衛星電波腕時計1がユーザにより暗所から取り出された場合に、その屋内外を問わず、長時間ユーザを待たせることなく(すなわち、少なくとも10秒以内に)、パワーセーブモードからの復帰がなされる。
【0063】
一方、上述したように要受信フラグが設定されない、または現在時刻が屋外検出時間帯に含まれないと判定された場合には(ステップS302のN)、第1信号を取得する間隔は1分と、パワーセーブモードの場合や、要受信フラグが設定され、かつ現在時刻が屋外検出時間帯に含まれる場合より長い。これにより、二次電池42の充電が行われる時間を長く確保し、二次電池42の充電電圧の低下を可能な限り抑える。
【0064】
パワーセーブモードにおいて照度検出処理が実行され、照度検出処理により取得された第1信号が、選択された照度閾値Lth1より、太陽電池41に入力される入力照度Lが明るいことを示す場合には(ステップS204のY)、パワーセーブ制御部31dはパワーセーブモードから復帰し、パワーセーブフラグを解除する(ステップS205)。なお、受信要否判定部31aは、ステップS201およびステップS202のタイミングで処理を行わずに、ステップS205の後に、前回の環境受信から7日間以上経過しているか判定し、7日間以上経過している場合に要受信フラグを設定してもよい。この場合、受信要否判定部31aは、前回の時刻補正時刻と現在時刻との差が7日間以上の場合に前回の受信から7日間以上経過していると判定してもよいし、パワーセーブの期間に相当する値を非受信カウンタに加算し、非受信カウンタの値に基づいて前回の受信から7日間以上経過しているか判定してもよい。
【0065】
図8および
図9は、制御回路30が通常モードにおいて実行する処理の一例を示すフロー図である。
図8および
図9に示す処理は、カウンタ37が所定の時間間隔(例えば10秒)が経過するごとに実行される。この処理は、マイクロコントローラ31がパワーセーブモードではないと判定した場合に実行されてもよいし、カウンタ37が出力する信号に基づいて直接的に起動されてもよい。
【0066】
はじめに、受信要否判定部31aは、現在時刻が受信判定時刻であり、かつ前回の環境受信から7日間以上経過しているか判定する(ステップS251)。そして、現在時刻が受信判定時刻であり、かつ前回の環境受信から7日間以上経過していると判定された場合には(ステップS251のY)、受信要否判定部31aは要受信フラグをオンに設定する(ステップS252)。また、現在時刻が受信判定時刻でない、または前回の環境受信から7日間以上経過していないと判定された場合には(ステップS251のN)、ステップS202の処理をスキップする。ステップS251およびS252の処理は、パワーセーブモードにおけるステップS201およびステップS202の処理と同じである。
【0067】
次に、照度検出制御部31eは、照度の検出に用いる照度閾値を選択し、選択された照度閾値より入力照度Lが大きいかを検出する照度検出処理を実行する(ステップS203)。照度検出処理は
図7で説明された処理であるので詳細の説明を省略する。
【0068】
そして、選択された照度閾値より入力照度Lが明るい場合には(ステップS254のY)、パワーセーブモードへの移行の判定に関する処理や、衛星信号受信部31bに関する処理が実行される。より具体的には、パワーセーブ制御部31dは、未受光カウンタをリセットする(ステップS255)。ここで未受光カウンタは選択された照度閾値を超える光を受光していない期間(未受光期間)を示す情報であり、太陽電池41が最後に発電を行ってからの経過時間を示す情報である。パワーセーブ制御部31dは、未受光カウンタの初期化として、その未受光カウンタに0を設定する。これは、未受光カウンタが増加する場合の処理である。未受光カウンタが減少する場合には、パワーセーブ制御部31dはパワーセーブを判定するための発電しない期間の閾値(未発電期間閾値)に相当する値を未受光カウンタに設定してもよい。なお、未受光カウンタの初期化の代わりに、ステップS255における現在時刻を最終発電日時としてRAM33に格納してもよい。ここで、環境受信を開始するか判定するのに適した照度閾値Lth3による検出結果も、未受光期間の測定のための未受光カウンタの制御に用いられている。
【0069】
さらに、要受信フラグが設定され、かつ現在時刻が屋外検出時間帯に含まれる場合には(ステップS256のY)、衛星信号受信部31bは屋外カウンタを1増加させる(ステップS257)。また増加された屋外カウンタが2以上である場合には(ステップS258のY)、衛星信号受信部31bは衛星信号を取得し、取得された衛星信号に含まれる時刻情報に基づいて衛星電波腕時計1の内部時刻を補正する(ステップS259)。ステップS259では、より具体的には、衛星信号受信部31bは、受信回路20を起動し、受信回路20に時刻情報を含む衛星信号を受信させ、受信回路20から受信された衛星信号を取得する。屋外カウンタを用いることで、衛星信号受信部31bは選択された照度閾値Lth3より入力照度Lが明るいと2回連続して判定された場合に、衛星信号の受信と時刻の補正を行う。衛星信号の受信には、より多くの電力を消費するため、衛星信号受信部31bは、確実に屋外であることが判定された上で受信動作を開始する必要がある。そのため、照度閾値Lth3より入力照度Lが1回だけ明るいことではなく、2回連続して入力照度Lが照度閾値Lth3より明るいことを、受信移行の判定条件としている。
【0070】
一方、ステップS254において、選択された照度閾値より入力照度Lが暗いと判定された場合には(ステップS254のN)、屋外カウンタを0にし(ステップS260)、さらにパワーセーブモードに移行するか否かを判定するための処理を実行する。具体的には、パワーセーブ制御部31dは、現在時刻がパワーセーブ判定時刻か判定し(ステップS261)、パワーセーブ判定時刻と判定された場合には(ステップS261のY)、太陽電池41が最後に発電を行ってからの経過時間を示す情報に基づいて、パワーセーブモードに移行するか否かを制御する。パワーセーブ判定時刻は、例えば午前0時であり、日付は含まれない。パワーセーブ制御部31dは未受光期間が未発電期間閾値より大きくなる場合に、パワーセーブモードに移行するよう制御する。さらに、二次電池42の電圧が低い場合は、パワーセーブ制御部31dは、パワーセーブモードに移行するまでの経過時間(未発電期間閾値)を短く設定しても良いし、非受信カウンタの値を大きくして要受信フラグが設定されるまでの期間を長く設定しても良い。これらにより二次電池が電力を供給する期間を延ばすことができる。また、
図9におけるステップS260の屋外カウンタを0にする処理に加えて、入力照度Lが照度閾地Lth1を越えている場合は、未受光カウンタをリセットすることとしても良い。これによりパワーセーブモードへ不用意に移行することを防ぐことができる。
【0071】
より具体的には、未受光カウンタの値を1増加させ(ステップS262)、未受光カウンタの値が4以上の場合には(ステップS263のY)、パワーセーブ制御部31dは最終的に発電がされてから3日以上経っている(未受光期間が未発電期間閾値より大きい)と判定する。そして、その判定がされた場合に、パワーセーブ制御部31dはパワーセーブモードに移行する処理を実行し、パワーセーブフラグを設定する(ステップS264)。パワーセーブ制御部31dは、ステップS261からステップS263の代わりに未受光カウンタを1減少させ、未受光カウンタの値が0になるか否かで未受光期間が未発電期間閾値を超えるか判定してもよいし、最終発電時刻と現在時刻との差から未受光期間が未発電期間閾値を超えるか判定してもよい。
【0072】
ここで、パワーセーブモードに移行するか否かの判定は1日につきパワーセーブ判定時刻(例えば午前0時)の1回のみ行われる。これにより、パワーセーブモードに移行する際の指針52の位置が一定になるため、この後にパワーブレイク状態に移行して針の位置に関する情報が失われてしまっても、その状態から容易に復帰することが可能になる。
【0073】
図10は、選択される照度閾値と入力照度Lとの時間変化の一例を示す図である。時刻t1〜t6は照度検出が行われるタイミングであり、時刻t2は受信判定時刻であり、時刻t1は受信判定時刻の10秒前である。また時刻t3〜t6は屋外検出時間帯に含まれるとする。例えば、時刻t2は午前6時ちょうどであり、時刻t3は朝の起床により蛍光灯が点灯された、または窓のカーテンが開けられた時刻であり、時刻t5は昼間に外出した時刻である。ここで、パワーセーブ判定時刻(例えば午前0時)と受信判定時刻(例えば午前6時0分0秒)とが、互いに異なっているのは以下の理由による。パワーセーブ判定では周囲が暗い状態を検出し、受信判定では周囲が明るい状態を検出する。この関係を有する二つの状態を同一の回路で検出させるため、受信を行う時間帯(例えば午前6時0分0秒から午後6時0分0秒)と重ならないパワーセーブ判定時刻(例えば午前0時)を設定している。これにより、それぞれの判定において適切な照度閾値と入力照度Lとの比較を実施することができる。
【0074】
時刻t1では、非受信カウンタの値は6でありかつパワーセーブモードであり、パワーセーブ制御部31dは、照度閾値Lth1より入力照度Lが暗いために、パワーセーブフラグを変更せず、パワーセーブモードを維持する。時刻t2には受信要否判定部31aは前回の環境受信から7日間以上経過したと判定し、要受信フラグを設定する。しかし、パワーセーブフラグが設定されているため、照度検出制御部31eは照度閾値Lth1を選択し、その照度閾値Lth1と入力照度Lとの比較結果を示す信号を取得する。そして、時刻t3になると、照度検出制御部31eは選択された照度閾値Lth1より入力照度Lが明るいことを示す信号を取得し、パワーセーブフラグを解除するとともに、パワーセーブモードから通常モードに復帰させる。時刻t4から時刻t6までは、屋外検出時間帯に含まれかつ要受信フラグが設定されているので、照度検出制御部31eは照度閾値Lth3を選択し、その照度閾値Lth3より入力照度Lが明るいかを否かを示す信号を取得する。時刻t5になると照度閾値Lth3より入力照度Lが明るくなり、次の照度検出の時刻t6において、衛星信号受信部31bはその状態が2回連続したことを判定し、衛星信号を受信し、時刻修正部31cは衛星電波腕時計1の時刻を修正する。そして、要受信フラグは解除され、非受信カウンタは0となる。その後は、図示していないが、パワーセーブモードに入るか否かを判定するための未発電期間を測定するために、照度検出制御部31eによる照度測定で選択される照度閾値はLth1となり、これまでの間隔と異なり1分間隔で照度の検出を行うようになる。
【0075】
図10に示すように、本実施形態にかかる衛星電波腕時計1は、照度検出処理において、要受信フラグとパワーセーブフラグとに基づいて照度閾値を制御することにより、パワーセーブモードと通常モード、衛星信号の受信による時刻補正の必要性に応じた照度の検出をすることができる。これにより、例えば、パワーセーブモードや通常モードにおいて一定の間隔ごとに1つの照度閾値と入力照度Lとの比較をするのみでパワーセーブモードの移行と復帰や、環境受信の開始の判定をすることが可能となる。