特許第6506087号(P6506087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6506087
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】電車線工事用接地棒
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/28 20060101AFI20190415BHJP
   H01R 4/66 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   B60M1/28 N
   H01R4/66 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-87521(P2015-87521)
(22)【出願日】2015年4月22日
(65)【公開番号】特開2016-203791(P2016-203791A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-85877(P2015-85877)
(32)【優先日】2015年4月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000143813
【氏名又は名称】株式会社砂▲崎▼製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】砂▲崎▼ 達哉
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−033615(JP,U)
【文献】 特開2012−044802(JP,A)
【文献】 実開昭63−163346(JP,U)
【文献】 特開平05−001468(JP,A)
【文献】 特開平09−112080(JP,A)
【文献】 実開昭57−098307(JP,U)
【文献】 特開2006−069448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M1/00−7/00
F16B7/00−7/22
H01R4/58−4/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地棒本体と前記接地棒本体の上端に設けられたフック金具とから成る架線工事用接地棒において、前記接地棒本体は、複数の中空導体と隣り合う中空導体を接続する導体接続部とによって構成され、且つ前記接地棒本体を少なくとも部分的に被覆する絶縁被覆と前記接地棒本体の中空導体の下方付近で前記中空導体にアース線を接続すべきアース線接続部とを備え、前記絶縁被覆層は、前記接地棒本体の導体接続部を除く部分で被覆され、前記導体接続部は、隣り合う中空導体の相対する端部に接続してそれぞれ取り付けられて相互に嵌合する導体継手半部を含む導体継手から成り、一方の導体継手半部は、他方の導体継手半部が嵌合する小径嵌合部に保持された少なくとも2つの止めピンを有し、他方の導体継手半部は、前記一方の導体継手半部の前記止めピンが係入する止め孔を有し、前記止めピンは、相応する導体継手半部の径方向に引っ込み自在であるが外径方向に突出して前記止め孔に係入するように付勢されていることを特徴とする架線工事用接地棒。
【請求項2】
請求項1に記載の架線工事用接地棒であって、前記フック金具は、前記中空導体の上端平坦部の平面に沿って首振り自在に支持されている架線工事用接地棒。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の架線工事用接地棒であって、前記一方の導体継手半部は、前記止めピンを保持して前記2つの止めピンを外径方向にそれぞれ付勢する板ばねを含んでいることを特徴とする架線工事用接地棒。
【請求項4】
請求項に記載の架線工事用接地棒であって、前記板ばねは、略U字形の形態を有し、その開口側の脚部分に前記止めピンが保持されていることを特徴とする架線工事用接地棒。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の架線工事用接地棒であって、前記一方の導体継手半部の小径嵌合部の外面と前記他方の導体継手半部の内面との間に配置されてこれらの面の間の軸線方向の抜出し抵抗を大きくするための介在部を有することを特徴とする架線工事用接地棒。
【請求項6】
請求項に記載の架線工事用接地棒であって、前記介在部は、小径嵌合部を径方向に貫通して取り付けられたねじの丸み付き頭部の形態であることを特徴とする架線工事用接地棒。
【請求項7】
請求項に記載の架線工事用接地棒であって、前記介在部が前記板ばねに対応した位置にあって、前記ねじは、板ばねの貫通孔を貫通していることを特徴とする架線工事用接地棒。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の架線工事用接地棒であって、前記中空導体は、アルミニウムパイプ又は銅パイプから成っていることを特徴とする架線工事用接地棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロリー線とも称される電車線の如き架線を停電状態で工事する際に、作業を安全に行うために、架線をレール等に電気的に接続して接地するための架線工事用接地棒の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
架線工事用接地棒は、架線を停電状態で安全に工事する際に、架線をレール等に接地するために、架線に引っ掛けるフック金具を上端に有し、このフック金具に接続されて下端から導出されるアース線を含む絶縁操作棒から成っている(特許文献1参照)。
【0003】
架線を工事する際には、架線の停電後、接地棒のアース線が接続された接地金具をレール等に接続し、その後、操作絶縁棒によってフック金具を架線に引っ掛けて架線をレール等に接地している。
【0004】
従来技術(特許文献1)の接地棒3は、相互に接続された複数の中空棒材から構成された絶縁操作棒8(ネオパイプ)とこの絶縁操作棒8内を延びる導電棒10とから成り、フック金具12は、絶縁操作棒8の頭部で導電棒10に接続され、アース線11は、絶縁操作棒8の下端付近で導電棒10に接続されている(特許文献1の図3参照)。
【0005】
また、他の従来技術の接地棒は、アース導体が絶縁操作棒(ネオパイプ)の内部ではなく、絶縁操作棒の外面に沿って配置され、その上端が頭部金具に接続された構造を有している。
【0006】
しかし、これらの従来技術の接地棒は、フック金具又は頭部金具からアース線までの導体が絶縁操作棒の内外を延びる中実導電体から成っているので、接地棒全体の重量が大きく、接地棒を持ち上げて架線に引っ掛ける作業が導電棒の大きな重量によって極めて厄介となり、作業性が低い欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−69448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、接地棒の持ち上げを容易に行うことができるように全体的に重量を軽減することができる架線工事用接地棒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題解決手段は、接地棒本体と前記接地棒本体の上端に設けられたフック金具とから成る架線工事用接地棒において、前記接地棒本体は、複数の中空導体と隣り合う中空導体を接続する導体接続部とによって構成され、且つ前記接地棒本体を少なくとも部分的に被覆する絶縁被覆と前記接地棒本体の中空導体の下方付近で前記中空導体にアース線を接続すべきアース線接続部とを備え、前記絶縁被覆層は、前記接地棒本体の導体接続部を除く部分で被覆され、前記導体接続部は、隣り合う中空導体の相対する端部に接続してそれぞれ取り付けられて相互に嵌合する導体継手半部を含む導体継手から成り、一方の導体継手半部は、他方の導体継手半部が嵌合する小径嵌合部に保持された少なくとも2つの止めピンを有し、他方の導体継手半部は、前記一方の導体継手半部の前記止めピンが係入する止め孔を有し、前記止めピンは、相応する導体継手半部の径方向に引っ込み自在であるが外径方向に突出して前記止め孔に係入するように付勢されていることを特徴とする架線工事用接地棒を提供することにある。
【0010】
本発明の上記課題解決手段において、前記フック金具は、前記中空導体の上端平坦部に接続されて支持されているのが好ましく、更に、前記フック金具は、前記中空導体の上端平坦部の平面に沿って首振り自在に支持されているのが好ましい。
【0011】
この場合、前記一方の導体継手半部は、前記止めピンを保持して前記2つの止めピンを外径方向にそれぞれ付勢する板ばねを含んでいるのが好ましく、また、板ばねは、略U字形の形態を有し、その開口側の自由端に前記止めピンが保持されているのが好ましい。
【0012】
更に、本発明の課題解決手段において、前記一方の導体継手半部の小径嵌合部の外面と他方の導体継手半部の内面との間に配置されてこれらの面の間の軸線方向の抜出し抵抗を大きくするための介在部を有するのが好ましく、この介在部は、小径嵌合部を径方向に貫通して取り付けられたねじの丸み付き頭部の形態であるのが一層好ましく、前記介在部が前記板ばねに対応した位置にある場合には、前記ねじは、板ばねの貫通孔を貫通している。
【0013】
また、前記中空導体は、アルミニウムパイプ、銅パイプその他の導電性パイプから成っているのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記のように、接地棒本体は、主に、中空導体から成っているので、この中空導体が接地導体としての機能と操作棒としての機能を有するので、これらの機能部分を別個とする従来技術の接地棒に比べて接地棒全体の重量を軽減することができ、従って接地棒を架線に引っ掛ける目的で接地棒を持ち上げる操作が容易であり、架線の接地作業を向上することができる。また、絶縁被覆層は、導体接続部を除く部分に施されているので、導体接続部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の1つの実施の形態による架線工事用接地棒の側面図である。
図2図1の隣り合う中空導体の導体接続部を示し、同図(A1)(A2)は、それぞれ、その一方の中空導体に接続された導体継手半部と他方の中空導体に接続された導体継手半部とを解体した状態の上面図、同図(B1)(B2)は、その側面図、同図(C)は、同図(A1)のC−C線断面図である。
図3図1の最上端の中空導体を示し、同図(A)は、その上面図、同図(B)は、その側面図である。
図4図1のフック金具の上面図である。
図5図1の接地棒のアース線接続部を示し、同図(A)は、その上面図、同図(B)は、その側面図、同図(C)は、同図(B)のC−C線断面図、同図(D)は、同図(B)のD−D線断面図である。
図6】本発明の他の実施の形態の接地棒の側面図である。
図7図6の接地棒の最上端の中空導体とフック金具との正面図である。
図8図6の接地棒のアース線接続部を示し、同図(A)は、その上面図、同図(B)は、その側面図、同図(C)は、同図(A)のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい1つの実施の形態による架線工事用接地棒10が図1に示されており、この接地棒10は、接地棒本体20と、この接地棒本体20の後に述べる導体上端に設けられたフック金具30と、接地棒本体20の導体下端に設けられたアース線接続部40とから成っている。なお、図1は、接地棒10を横向きに配置して示されているが、架線工事の使用時には、図1の左側のフック金具30が架線に引っ掛けられ、図1の右側のアース線接続部40に接続されるアース線がレール等の接地部に接続されるので、図1の左側を接地棒10の上側、図1の右側を接地棒10の下側として説明する。
【0017】
接地棒本体20は、複数、図示の形態では、3つの中空導体22A乃至22C(総体的に符号22で示す)と、隣り合う中空導体22を接続する導体接続部24とによって構成されている。図示の形態では、中空導体22は、アルミニウムパイプから成っているが、銅、その他の導電材料のパイプから成っていてもよく、また中空導体22の数は、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
【0018】
また、導体接続部24は、図2に示すように、真鍮の如き導電性材料から形成された中空のパイプ状導体継手半部24PA、24PBを含む導体継手24Pから成っており、これらの導体継手半部24PA、24PBは、それぞれ隣り合う上下の中空導体22A、22Bに嵌合してねじ24SA、24SBによって固定して取り付けられている。なお、図2は、図1とは向きが逆で、図2の左側が接地棒10の下側、図2の右側が接地棒10の上側である。
【0019】
一方(下側)の導体継手半部24PBは、図2(C)から明らかなように、他方(上側)の導体継手半部24PAが嵌合する小径嵌合部24PBLとこの導体継手半部24PAをワンタッチで接合する少なくとも2つ(1対)の止めピン26Pを有し、これらの止めピン26Pは、導体継手半部24PBの壁孔24PBHを径方向に貫通し、導体継手半部24PBの内面に配置されて自身の広がり弾性によって導体継手半部24PB内に保持された鋼製の略U字形の板ばね28に加締め止めして保持され、板ばね28の自由端28Eは、導体継手半部24PBを径方向に貫通する押しボタン28Bを有する。
【0020】
中空導体22B側の導体継手半部24PBを導体継手半部24PAに接合する場合、押しボタン28Bを内径方向に押して止めピン26Pを導体継手半部24PBの小径嵌合部24PBLの外面より引っ込ませ、この状態で中空導体22A側の導体継手半部24PA内に導体継手半部24PBの小径嵌合部24PBLに嵌入し、押しボタン28Bを解放すると、止めピン26Pが中空導体22A側の導体継手半部24PAの止め孔24PAHに係入して止めピン26Pによって中空導体22B側の導体継手半部24PBが導体継手半部24PAに接合され、従って、下側の中空導体22Bは、導体継手半部24PA、24PBを介して上側の中空導体22Aにワンタッチで接続することができる。
【0021】
他の隣り合う中空導体22B、22Cも同様の導体継手24Pを介してワンタッチで接続される。
【0022】
図示の形態では、板ばね28は、U字形であってその両側の自由端28Eに2つの止めピン26Pを保持しているが、板ばねは、U字形でなくてもよく、2つの止めピン26Pを別個の帯状板ばねにそれぞれ保持し、これらの帯状板ばねをそれぞれ導体継手半部24PBの内面に取り付けてもよい。
【0023】
導体継手24Pは、一方の導体継手半部24PBの小径嵌合部24PBLの外面と他方の導体継手半部24PAの内面との間に配置されてこれらの面の間の軸線方向の抜出し抵抗を大きくするように作用する介在物24PPを有しているのが好ましい。図示の形態では、この介在物24PPは、導体継手半部24PBの小径嵌合部24PBLの径方向に貫通して保持されたねじ24PPSの丸み付き頭部24PPSHの形態であり、このねじ24PPSが板ばね28に対応した位置にある場合には、ねじ24PPSは、板ばね28の貫通孔を緩く貫通している。なお、この介在物24PPは、導体継手半部24PB側ではなく、導体継手半部24PA側、即ち、導体継手半部24PBの小径嵌合部24PBLに嵌合する導体継手半部24PAの内面に適宜の手段で設けられていてもよい。
【0024】
この介在物24PPは、導体継手半部24PAに小径嵌合部24PBLを嵌入したときに、導体継手半部24PAをねじ24PPSの頭部側に押すので、このねじ24PPSとは反対側にある導体継手半部24PAの内面部分を小径嵌合部24PBLに押し付ける機能を有し、継手半部24PA、24PBを電気的、機械的に相互に密着して接続することができる。
【0025】
中空導体22A及び22B及びそれらの導体継手24Pは、その外面に熱収縮チューブを被覆することによって形成された絶縁被覆層23を有し、図示の形態では、絶縁被覆層23の両端に蛍光テープを巻き付けて形成された蛍光層23Lを有する。これは、夜間での工事を容易にする機能を有する。なお、図示していないが、中空導体22Cは、FRP等の絶縁材料を塗布して形成された被覆層を有する。
【0026】
フック金具30は、図1に示すように、フック導体32とこのフック導体32を覆う絶縁カバー34とから成っており、その基部30Bは、図3に示すように、最上の中空導体22Aの上端を扁平に圧縮変形して形成された平坦部22AFに複数のねじ36A、36Bによって取り付けて中空導体22Aに電気的、機械的に接続されている。
【0027】
図4から解るように、フック金具30を取り付ける一方のねじ36Aは、フック金具30を首振り自在に取り付け、他方のねじ36Bは、フック金具30の基部30Bに設けられた円弧状貫通孔30BHを貫通してフック金具30の首振りを妨げることがないようにしている。従って、接地棒10は、フック金具30が架線等に掛け止めされる位置から斜めに配置することができるので、接地位置から架線までの高さが異なっている場合でも、有効に接地することができる。
【0028】
アース線接続部40は、図1及び図5に示すように、最下の中空導体22Cの下端に嵌入してねじ42で中空導体22Cに取り付けて電気的、機械的に接続されたアルミニウム又はその他の導電材料から形成された円柱状のアース端子金具44から成っている。このアース端子金具44は、図5(D)から明らかなように、端子金具本体を径方向に横断するように延びてアース線46の端子46Tが係入すべき凹部44Rを有し、アース線46は、この凹部44R内でねじ48によってアース線端子金具44に取り付けられて電気的、機械的に接続されている。
【0029】
図1の接地棒10は、複数の中空導体22を導体継手24Pによって順次接続して組み立てた後、アース端子金具44に接続されたアース線46に接続されている図示しない接地金具を鉄道レール等の接地部分に接続し、接地棒10を持ち上げてフック金具30を架線に引っ掛けて架線を接地する。架線工事終了後は、フック金具30を架線から外し、接地棒10を地上に倒し、接地金具を鉄道レール等の接地部分から外し、導体継手24Pを解体して3つの中空導体22に分割して運搬し、保管する。
【0030】
接地棒10は、中空導体22が操作棒とアース線46への接続導体とを兼ねているので、従来技術の接地棒のように、操作棒の内外にアース線接続用導体を備えているものに比べて全体的に重量が低く、従って接地棒の持ち上げ作業を容易に行うことができる。
【0031】
また、接地棒の組立、解体は、導体継手によってワンタッチ操作で行うことができるので、架線工事前後の接地棒の組立、解体を高い作業性で行うことができる。
【0032】
本発明の他の実施の形態による接地棒100が図6に示されており、この接地棒100は、2つの中空導体122A、122Bと1つの中空絶縁体122Cとから成っている。上側の中空導体122Aは、く字形に湾曲しており、下側の中空導体122B及び中空絶縁体122Cは、直線状となっている。中空絶縁体122Cは、例えばFRPから形成することができる。尚図中、符号123は、絶縁被覆層、符号123Lは、蛍光層を示し、それぞれ前の実施例の絶縁被覆層23、蛍光層23Lと同様のものである。
【0033】
中空導体122Aと122B及び中空導体122Bと中空絶縁体122Cとは、図1の実施例で用いられた図2の導体継手24Pと同様の構造の継手124Pによって相互にワンタッチで組立、解体することができるように接続されているので、詳細な説明は省略する。
【0034】
図1の実施例と同様の構造を用いて、フック金具130は、図7に示すように、上側の中空導体122Aの先端平坦部122AFに首振り自在に取り付けられている。
【0035】
アース線接続部140は、図6及び図8に示すように、下側の中空導体122Bに下端露出部にねじ142によって取り付けられたアース端子金具144から成っている。アース線146の端子146Tは、このアース端子金具144にねじ148によって取り付けられて電気的、機械的に接続されている。アース線146をアース端子金具144に確実に固定されるのを補助するためにアース線146の末端(端子側の端部)を押えるためのアース線押え金具144Aが設けられ、この押え金具144Aは、その両端を2つのねじ144ASによってアース端子金具144に固定して取り付けられている。
【0036】
この図6の実施の形態では、フック金具130が上側中空導体122Aの湾曲によって直線部分からずれて配置される。この接地棒100は、レールの脇に設置された接地ブラケットの如き接地位置がレールからずれている場合のように架線の真下にない場合に好適に使用することができる。
【0037】
この実施の形態でも、中空導体は、操作棒とアース導体とを兼ねているので、架線工事の際の接地作業に際してその持ち上げを容易に行うことができ、また工事の前後で中空導体及び中空絶縁体の組立、分解をワンタッチで簡単に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、上記のように、接地棒の中空導体が操作棒とアース導体とを兼ねているので、接地棒は、全体的に軽量化され、架線工事の際の架線接地作業を高い作業性で行うことができ、高い産業上の利用性を有する。
【符号の説明】
【0039】
10 接地棒
20 接地棒本体
22、22A乃至22C 中空導体
22AF 平坦部
23 絶縁被覆層
23L 蛍光層
24 導体接続部
24P 導体継手
24PA、24PB 中空のパイプ状導体継手半部
24PBL 小径嵌合部
24PP 介在物
24PPS ねじ
24PPSH ねじの丸み付き頭部
24PBH 壁孔
24SA、24SB ねじ
26P 止めピン
24PH 止め孔
28B 押しボタン
30 フック金具
30B 基部
30BH 円弧状貫通孔
32 フック導体
34 絶縁カバー
36A、36B ねじ
40 アース線接続部
42 ねじ
44 アース端子金具
44R 凹部
46 アース線
46T 端子
48 ねじ
100 接地棒
122A、122B 中空導体
122AF 先端平坦部
122C 中空絶縁体
123 絶縁被覆層
123L 蛍光層
124 継手
130 フック金具
140 アース線接続部
142 ねじ
144 アース端子金具
144A アース線押え金具
144AS ねじ
146 アース線
146T 端子
148 ねじ




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8