特許第6506095号(P6506095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6506095
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】半導体メモリ装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20190415BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20190415BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20190415BHJP
   H01L 27/11524 20170101ALI20190415BHJP
【FI】
   H01L29/78 371
   H01L27/11524
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-95004(P2015-95004)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2016-213300(P2016-213300A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】理崎 智光
【審査官】 上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−141354(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0283817(US,A1)
【文献】 特開平06−163858(JP,A)
【文献】 特開平06−216351(JP,A)
【文献】 特開2000−294658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336,27/11524,29/788,29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板の表層に形成されたメモリセルトランジスタソース領域と、
前記メモリセルトランジスタソース領域と離間して形成されたメモリセルトランジスタドレイン領域と、
前記メモリセルトランジスタソース領域と前記メモリセルトランジスタドレイン領域の間に前記メモリセルトランジスタドレイン領域と接触して設けられたトンネルドレイン領域と、
前記トンネルドレイン領域の一部の前記半導体基板上に設けられたトンネル絶縁膜と、
前記トンネルドレイン領域の一部と前記メモリセルトランジスタソース領域の一部と前記トンネルドレイン領域と前記メモリセルトランジスタソース領域の間の前記半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記半導体基板上に前記トンネル絶縁膜を含む前記ゲート絶縁膜を介して形成された第1フローティングゲートと、
前記第1フローティングゲートの上面および側面の一部と接触して設けられた第2フローティングゲートと、
前記第2フローティングゲート上に絶縁膜を介して形成されたコントロールゲートと、を有し、
前記トンネル絶縁膜を介して前記第1フローティングゲートに電子が注入されたことを前記第2フローティングゲートの価電子帯の正孔の減少により記憶し、
前記トンネル絶縁膜を介して前記第1フローティングゲートから電子が排出されたことを前記第2フローティングゲートの価電子帯の正孔の増加により記憶する半導体メモリ装置。
【請求項2】
前記第1フローティングゲートはN型の半導体であり、前記第2フローティングゲートはP型の半導体であり、前記第1フローティングゲートと前記第2フローティングゲートとがPN接合を形成している請求項記載の半導体メモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EEPROMを例に取り、従来の半導体メモリ装置を説明する。図5は従来のEEPROMの概念図を示す断面図であり、特許文献1に掲載されている一般的な構造である。
EEPROMを構成する単位セルはメモリ本体部002とメモリ本体部002を選択するセレクトゲートトランジスタ部001から成る。メモリ本体部002にはフローティングゲート013と呼ばれる電荷を溜める電極が存在し、このフローティングゲート013に電子を溜めるとメモリ本体部002がしきい値の高い状態であるエンハンスとなり"1"状態、正孔を溜めるとしきい値が低い状態であるデプレッションになり"0"状態となる。
【0003】
"1"状態への書き込みは、セレクトゲート003とコントロールゲート015にプラス電圧を印加、n型セレクトトランジスタドレイン領域005とn型メモリセルソース011とp型半導体基板006の電位をGNDにし、トンネル絶縁膜010を介して電子をn型トンネルドレイン領域009からフローティングゲート013に注入する。これをバンド図で以下に説明する。
【0004】
図6に”1”状態書込み時の図5の線分A−A’に沿ったバンド図を示す。p型半導体基板006は省略した。図中のEF、EC、EVはそれぞれフェルミレベル、導電帯の上方、価電子帯の上方を示している。ここでフローティングゲート013とコントロールゲート015はn型のポリシリコンを想定している。
【0005】
図6(a)に示す熱平衡状態のメモリセルトランジスタにおいて、上記で示す"1"状態書込み時の電圧状態、すなわちn型トンネルドレイン領域009の電位をGNDに、コントロールゲート015の電位をプラス電圧にすると、図6(b)に示すバンド図になり、図6(b)の矢印で示すようにトンネル絶縁膜010を介して電子018がn型トンネルドレイン領域009からFN(Fowler-Nordheim)電流機構でフローティングゲート013に注入される。電子018が注入されたフローティングゲート013の電位は図6(c)の白抜き矢印に示すように降下し(図では上昇し)、トンネル絶縁膜010に印加されていた電位が弱まりFN電流がストップすると"1"状態の書込み動作が完了する。
【0006】
EEPROMは電源を切っても情報を保持できる不揮発性メモリであるため、図6(d)に示すようにn型トンネルドレイン領域009とコントロールゲート015の電位をGNDにした状態で"1"状態を一般的に数十年間保持できる能力を有していなければならない。しかしながら図6(c)の白抜き矢印で示したようにフローティングゲート013に注入された電子018によってフローティングゲート013の電位が降下しているため、データ保持状態である図6(d)においてフローティングゲート013に注入された電子018がトンネル絶縁膜010を介してn型トンネルドレイン領域009に抜けていく方向の電界がトンネル絶縁膜010に印加された状態になる。この状態でトンネル絶縁膜010が薄い場合や劣化している場合に図6(d)に示すように意図しない電子リーク020が発生しデータ保持不良を起こすことがある。
【0007】
次に"0"状態について考える。"0"状態への書き込みは、セレクトゲート003とドレインn型セレクトトランジスタドレイン領域005にプラス電圧を印加、コントロールゲート015とp型半導体基板006をGNDに接続、n型メモリセルトランジスタソース領域011をフローティングにし、電子018をトンネル絶縁膜010を介してフローティングゲート013からn型トンネルドレイン領域009に排出する。これをバンド図で以下に説明する。
【0008】
図7に”0”状態書込み時の図5の線分A−A’に沿ったバンド図を示す。図6同様に、p型半導体基板006は省略してあり、EF、EC、EVはそれぞれフェルミレベル、導電帯の上方、価電子帯の上方を示している。またフローティングゲート013とコントロールゲート015はn型のポリシリコンを想定している。
【0009】
図7(a)に示す熱平衡状態のメモリセルトランジスタにおいて、上記で示す"0"状態書込み電圧状態、すなわちコントロールゲート015の電位をGNDに、n型トンネルドレイン領域009の電位をプラス電圧にすると、図7(b)の様なバンド図になり、図7(b)の矢印で示すように電子018がトンネル絶縁膜010を介してフローティングゲート013からFN(Fowler-Nordheim)電流機構でn型トンネルドレイン領域009に排出される。電子018が減少したフローティングゲート013の電位は図7(c)の白抜き矢印に示すように上昇し、トンネル絶縁膜010に印加されていた電位が弱まりFN電流がストップすると"0"状態の書込み動作が完了する。
【0010】
EEPROMは電源を切っても情報を保持できる不揮発性メモリであるため、図7(d)に示すようにn型トンネルドレイン領域009とコントロールゲート015の電位をGNDにした状態で"0" 状態を一般的に数十年間保持できる能力を有していなければならない。しかしながら図7(c)の白抜き矢印で示したようにフローティングゲート013の電子018の減少によってフローティングゲート013の電位が上昇しているため、データ保持状態である図7(d)においてn型トンネルドレイン領域009の電子018がトンネル絶縁膜010を介してフローティングゲート013に注入される方向の電界がトンネル絶縁膜010に印加された状態になる。この状態でトンネル絶縁膜010が薄い場合や劣化している場合に図7(d)に示すように意図しない電子リーク020が発生しデータ保持不良を起こすことがある。
このように、不揮発性メモリにはデータ保持不良(リテンション不良)問題が付きまとう。
【0011】
特許文献1は上記リテンション不良を抑制する手法の発明である。この発明はトンネル絶縁膜付近のフローティングゲート内不純物濃度を低くすることで、トンネル絶縁膜中のトラップサイトを抑制するもので、トラップサイトが原因で生じるリテンション不良を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−067940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の手法を用いたとしても、フローティングゲート013内に存在する電荷の保持を阻害する方向の電界がトンネル絶縁膜010に印加されることには変わりはなく、図6および図7を用いて説明したリテンション不良の根本改善にはなっていない。また、リテンション不良を抑制する別の手法として単純にトンネル絶縁膜010を厚くする手法があげられるが、これも図6および図7により説明したリテンション不良の根本改善にはなっていない。トンネル絶縁膜010の膜厚を厚くした分、高い書込み電圧が必要となるため、結果としてチップサイズが大きくなる問題が発生する。
【0014】
つまりこれらの改善手法は、データ保持の支障となる意図しない電子リーク020が流れるほどトンネル絶縁膜010を薄膜化できないと言い換えることができ、これは書込み電圧低電圧化とチップサイズシュリンクの障害となって不揮発性メモリのブレイクスルーの妨げになっていると言える。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題解決のために以下の手段を用いた。
半導体から成るフローティングゲートが、第1フローティングゲートと第2フローティングゲートから構成され、前記第1フローティングゲートと前記第2フローティングゲートの導電体の極性が異なる半導体メモリ装置とした。
【0016】
また、第1導電型の半導体基板の表層に形成されたメモリセルトランジスタソース領域と、
前記メモリセルトランジスタソース領域と離間して形成されたメモリセルトランジスタドレイン領域と、
前記メモリセルソース領域と前記メモリセルトランジスタドレイン領域の間に前記メモリセルトランジスタドレイン領域と接触して設けられたトンネルドレイン領域と
前記トンネルドレイン領域の一部の前記半導体基板上に設けられたトンネル絶縁膜と
前記トンネルドレイン領域の一部と前記メモリセルトランジスタソース領域の一部と前記トンネルドレイン領域と前記メモリセルトランジスタソース領域の間の前記半導体基板上に設けられたゲート絶縁膜と、
前記半導体基板上に前記トンネル絶縁膜を含む前記ゲート絶縁膜を介して形成された第1フローティングゲートと、
前記第1フローティングゲートと接触して設けられた第2フローティングゲートと、
前記第2フローティングゲート上に絶縁膜を介して形成されたコントロールゲートと、
を有する半導体メモリ装置とした。
【発明の効果】
【0017】
データ保持状態でのリーク電流を抑制するため、リテンション特性向上の効果が得られる。さらに、トンネル絶縁膜厚の薄膜化も可能になるため、データ書込みの低電圧化が可能となりチップサイズのシュリンクに繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のEEPROMを示す断面図である。
図2】本発明のEEPROMを示す図1の線分A−A’のバンド図であり"1"状態書込みを説明する図である。 (a)は熱平衡状態、(b)は"1"状態書込み初期、(c)は"1"状態書込み終了、(d)は"1"状態保持のバンド図である。
図3】本発明のEEPROMを示す図1の線分A−A’のバンド図であり"0"状態書込みを説明する図である。 (a)は熱平衡状態、(b)は"1"状態書込み初期、(c)は"0"状態書込み終了、(d)は"0"状態保持のバンド図である。
図4】本発明のEEPROMを示す断面図である。
図5】従来のEEPROMを示す断面図である。
図6】従来のEEPROMを示す図5の線分A−A’のバンド図であり"1"状態書込みを説明する図である。 (a)は熱平衡状態、(b)は"1"状態書込み初期、(c)は"1"状態書込み終了、(d)は"1"状態保持のバンド図である。
図7】従来のEEPROMを示す図5の線分A−A’のバンド図であり"0"状態書込みを説明する図である。 (a)は熱平衡状態、(b)は"0"状態書込み初期、(c)は"0"状態書込み終了、(d)は"0"状態保持のバンド図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明のEEPROMを示す断面図である。本発明のEEPROMは図5に示す従来のEEPROMと同様にメモリ本体部002とメモリ本体部002を選択するセレクトゲートトランジスタ部001から成る。動作原理も、前記した従来のEEPROMと同じであるが、異なる点は、本発明のフローティングゲートが第1フローティングゲート016と第2フローティングゲート017から成ることである。これらのフローティングゲートはポリシリコンの様な半導体から成ること想定しており、第1フローティングゲート016と第2フローティングゲート017の違いは半導体の極性が異なることである。その結果、フローティングゲート内において、第1フローティングゲート016と第2フローティングゲート017とはPN接合を形成している。
【0020】
例えば、第1フローティングゲート016をn型半導体、第2フローティングゲート017をp型半導体としたときの、”1”状態書込み時の図1の線分A−A’に沿ったバンド図を図2に示す。p型半導体基板006は省略した。図中のEF、EC、E Vはそれぞれフェルミレベル、導電帯の上方、価電子帯の上方を示している。ここでコントロールゲート015はn型の半導体を想定している。
【0021】
図2(a)に示す熱平衡状態のメモリセルトランジスタにおいて、上記で示す"1"状態書込み電圧状態、すなわちn型トンネルドレイン領域009の電位をGNDに、コントロールゲート015の電位をプラス電圧にすると、図2(b)の様なバンド図になり、図2(b)の矢印で示すようにトンネル絶縁膜010を介して電子018がn型トンネルドレイン領域009からFN電流機構で第1フローティングゲート016に注入される。電子018が注入されたフローティングゲート013の電位は図2(c)の白抜き矢印に示すように降下し(図では上昇し)、トンネル絶縁膜010に印加されていた電位が弱まりFN電流がストップすると同時に、第1フローティングゲート016と第2フローティングゲート017間のビルトインポテンシャルが減少し、図2(d)に示すように第1フローティングゲート016の伝導帯の電子018が第2フローティングゲート017の伝導帯へと流れる。第2フローティングゲート017の伝導帯へ流入した電子018は第2フローティングゲート017の価電子帯へ落ちる(正孔と再結合する)。その電子018は第2フローティングゲート017の電位を図2(d)の白抜き矢印が示すように降下させ(図では上昇させ)、減少した第1フローティングゲート016と第2フローティングゲート017間のビルトインポテンシャルが元に戻り、第1フローティングゲート016の伝導帯から第2フローティングゲート017の伝導帯への電子018の流入が停止し、安定状態になり”1”状態書込み動作が完了する。
【0022】
つまり、フローティングゲート017に蓄積された”1”状態の情報は、第2フローティングゲート017の価電子帯の正孔減少現象(電子増加現象)によって保存されたことになる。これをデータ保持状態、すなわち図2(e)に示すようにn型トンネルドレイン領域009とコントロールゲート015の電位をGNDにした状態で考える。従来技術と同様に第1フローティングゲート016からn型トンネルドレイン領域009へ電子018がトンネル絶縁膜010を介してリークする方向に電位が印加されているため、第1フローティングゲート016の伝導帯の電子018が意図しない電子リーク020としてn型トンネルドレイン領域009へ逃げていく可能性があるが、ほとんどの”1”状態の情報は第2フローティングゲート017の価電子帯に保管されているため、トンネル絶縁膜010が薄い場合でも”1”状態を保つことが可能となり、リテンション不良とならない。
【0023】
次に”0”状態に書込み時について考える。図3(a)に示す熱平衡状態のメモリセルトランジスタにおいて、"0"状態書込み電圧状態、すなわちコントロールゲート015の電位をGNDに、n型トンネルドレイン領域009の電位をプラス電圧にすると、図3(b)に示すバンド図になり、図3(b)の矢印で示すようにトンネル絶縁膜010を介して電子018が第1フローティングゲート016からFN電流機構でn型トンネルドレイン領域009に排出される。電子018が排出されたフローティングゲート013の電位は図3(c)の白抜き矢印に示すように上昇し(図では下降し)、トンネル絶縁膜010に印加されていた電位が弱まりFN電流がストップすると同時に、第1フローティングゲート016と第2フローティングゲート017間のビルトインポテンシャルが増大し、図2(c)に示すように第2フローティングゲート017の価電子帯の電子018が第1フローティングゲート016の伝導帯へとツェナー機構もしくはアバランシェ機構によって流れる(図2(c)の矢印はツェナー機構をイメージしている)。その電子018の移動によって、図3(d)の白抜き矢印が示すように、第1フローティングゲート016の電位は降下、第2フローティングゲート017の電位は上昇し、第1フローティングゲート016と第2フローティングゲート017間のビルトインポテンシャルが元に戻り、ツェナー機構もしくはアバランシェ機構による第2フローティングゲート017の価電子帯から第1フローティングゲート016の伝導帯への電子018の流入が停止し、安定状態になり”0”状態書込み動作が完了する。
【0024】
つまり、フローティングゲート017に蓄積された”0”状態の情報は、第2フローティングゲート017の価電子帯の正孔増加現象によって保存されたことになる。これをデータ保持状態、すなわち図3(e)に示すようにn型トンネルドレイン領域009とコントロールゲート015の電位をGNDにした状態で考える。従来技術と同様にn型トンネルドレイン領域009から第1フローティングゲート016へ電子018がトンネル絶縁膜010を介してリークする方向に電位が印加されているため、n型トンネルドレイン領域009の伝導帯の電子018が意図しない電子リーク020として第1フローティングゲート016へ流入する可能性があるが、ほとんどの”0”状態の情報は第2フローティングゲート017の価電子帯に保管されているため、トンネル絶縁膜010が薄い場合でも”0”状態を保つことが可能となり、リテンション不良とならない。
【0025】
上記に示すとおり、本発明によってメモリの情報はトンネル絶縁膜010に直接接触していない第2フローティングゲート017に保存されるため、トンネル絶縁膜010の薄膜化によって意図しない電子リーク020が増大してもリテンション不良が発生しにくい。そのためトンネル絶縁膜010の薄膜化による書込み電圧の低電圧化が可能となり、チップサイズを小さくすることが可能となる。
【0026】
他の実施形態について説明する。上記の効果を得るには、トンネル絶縁膜010に接触しているフローティングゲートは第1フローティングゲート016のみで、かつ、第1フローティングゲート016は第2フローティングゲート017と接触していれば良いので、図4に示すように、第2フローティングゲート017がL字を描いており、第1フローティングゲート016の上面と側面の一部と接触して覆う構造に成っていても良い。
【0027】
また、上記例では第1フローティングゲート016をn型半導体、第2フローティングゲート017をp型半導体としたが、第1フローティングゲート016をp型半導体、第2フローティングゲート017をn型半導体としても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0028】
001 セレクトトランジスタ
002 メモリセルトランジスタ
003 セレクトゲート
004 セレクトゲート絶縁膜
005 n型セレクトトランジスタドレイン領域
006 p型半導体基板
007 n型領域
008 n型セレクトトランジスタソース領域 (n型メモリセルトランジスタドレイン領域)
009 n型トンネルドレイン領域
010 トンネル絶縁膜
011 n型メモリセルトランジスタソース領域
012 メモリセルゲート絶縁膜
013 フローティングゲート
014 フローティング・コントロールゲート間絶縁膜
015 コントロールゲート
016 第1フローティングゲート
017 第2フローティングゲート
018 電子
019 正孔
020 意図しない電子リーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7