特許第6506421号(P6506421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6506421カバー要素を有するプーリーブロック、及び、プーリーブロックにカバー要素を取り付けるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6506421
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】カバー要素を有するプーリーブロック、及び、プーリーブロックにカバー要素を取り付けるための方法
(51)【国際特許分類】
   B66D 3/04 20060101AFI20190415BHJP
【FI】
   B66D3/04 D
   B66D3/04 J
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-564605(P2017-564605)
(86)(22)【出願日】2016年6月14日
(65)【公表番号】特表2018-517643(P2018-517643A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】EP2016063616
(87)【国際公開番号】WO2016202792
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2018年2月9日
(31)【優先権主張番号】102015109900.4
(32)【優先日】2015年6月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516083449
【氏名又は名称】コネクレーンズ グローバル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Konecranes Global Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】シュルト、フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ディンユアン
(72)【発明者】
【氏名】シュリーカー、ルネ
(72)【発明者】
【氏名】ベンカー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】イムブッシュ、ゲレオン
(72)【発明者】
【氏名】コーレンバーグ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】モル、オリバー
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許第01457455(EP,B1)
【文献】 独国特許発明第102008059071(DE,B3)
【文献】 独国特許発明第102008059074(DE,B3)
【文献】 特開2014−156319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66D 3/04
B66C 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重ケーブル(3)のための複数の出入口用開口(7)を有するカバーフード(6)に囲まれた少なくとも1つのケーブルプーリー(2)を備えるプーリーブロック、特に、ホイストのための下側ブロック(1)であって、前記出入口用開口(7)のうちの少なくとも1つには、カバー要素(8)が挿入されており、前記カバー要素は、前記出入口用開口(7)の縁(7a)の後側で係合する保持ストリップ(8c)により前記出入口用開口(7)に保持されており、前記カバー要素(8)は、前記荷重ケーブル(3)のための開口(9)を有し、前記カバー要素(8)における前記開口(9)は、前記カバーフード(6)における前記出入口用開口(7)よりも小さい構成において、前記カバー要素(8)は、少なくとも第1カバー部(8f)と第2カバー部(8g)とに分割されており、当該分割により、前記カバー要素(8)を前記カバーフード(6)に取り付けるために、前記荷重ケーブル(3)が通された状態において、前記第1カバー部(8f)及び前記第2カバー部(8g)に設けられた前記保持ストリップ(8)を用いてこれらのカバー部を前記出入口用開口(7)に挿入し、次に、これらのカバー部を、前記出入口用開口(7)の前記縁(7a)の後側で係合させ、最後に、互いに連結することにより、装着状態において前記カバー要素(8)を形成することができることを特徴とする、プーリーブロック。
【請求項2】
前記ケーブルプーリー(2)の周方向に見て、前記第1カバー部(8f)には、前記出入口用開口(7)の対応側縁(7a)に用いられる前記保持ストリップ(8c)の一部が設けられており、前記第2カバー部(8g)には、前記出入口用開口(7)の他の対応側縁(7a)に用いられる前記保持ストリップ(8c)の他の一部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のプーリーブロック。
【請求項3】
前記第1カバー部(8f)及び前記第2カバー部(8g)は、装着状態において、着脱自在に互いに連結していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプーリーブロック。
【請求項4】
前記カバー要素(8)は、前記ケーブルプーリー(2)の径方向に配向されるとともに前記カバー要素(8)の前記開口(9)の領域に延在する平面において、前記第1カバー部(8f)と前記第2カバー部(8g)とに分割されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載のプーリーブロック。
【請求項5】
前記出入口用開口(7)は、スロット形状を有し、前記カバー要素(8)は、前記出入口用開口(7)内において、前記ケーブルプーリー(2)の周方向に変位可能であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載のプーリーブロック。
【請求項6】
前記カバー要素(8)は、外側から前記出入口用開口(7)を覆うとともに、前記保持ストリップ(8c)を用いて、前記出入口用開口(7)の前記縁(7a)の内側に係合することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1つに記載のプーリーブロック。
【請求項7】
前記カバー要素(8)は、主ストリップ(8a)と、ウェブストリップ(8d)と、保持ストリップ(8c)と、を含み、これらのストリップは全体でH字形状の断面を有し、前記保持ストリップ(8c)は、そのガイド面(8e)が、前記出入口用開口(7)の領域において、前記カバーフード(6)の内面(6e)に当接していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載のプーリーブロック。
【請求項8】
前記カバー要素(8)は、一端で三角形状に広がり、前記荷重ケーブル(3)のための前記開口(9)を有するガイド領域(8b)を形成し、前記開口は、通路(9a)として形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載のプーリーブロック。
【請求項9】
前記ガイド領域(8b)における前記カバー要素(8)は、前記第1カバー部(8f)と前記第2カバー部(8g)とに分割されており、前記ガイド領域(8b)における前記保持ストリップ(8c)は、前記カバー要素(8)に設けられていることを特徴とする、請求項8に記載のプーリーブロック。
【請求項10】
上記請求項1〜9のいずれか1つに記載の前記プーリーブロック(1)にカバー要素(8)を取り付けるための方法であって、前記第1カバー部(8f)における前記保持ストリップ(8c)の部分を用いて、前記第1カバー部を、前記荷重ケーブル(3)に沿って前記出入口用開口(7)に挿入し、次に、前記第1カバー部(8f)を、前記ケーブルプーリー(2)の軸方向に変位させて、前記保持ストリップ(8c)の前記部分を、前記出入口用開口(7)の前記対応側縁(7)の後側で係合させ、次に、前記第2カバー部(8g)における前記保持ストリップ(8c)の部分を用いて、前記第2カバー部を、前記第1カバー部(8f)に占有されていない前記出入口用開口(7)の部分に挿入し、次に、前記第2カバー部(8g)を、前記ケーブルプーリー(2)の軸方向に変位させて、前記保持ストリップ(8c)の前記部分を、前記出入口用開口(7)の前記他の対応側縁(7)の後側で係合させ、且つ、前記第2カバー部(8g)を、前記出入口用開口(7)において、前記ケーブルプーリー(2)の周方向に沿って前記第1カバー部(8f)に向かって変位させて、前記荷重ケーブル(3)のための前記開口(9)の前記各部分を結合することにより、共通の開口(9)を形成し、次に、前記第1カバー部(8g)及び前記第2カバー部(8g)を、互いに前記ケーブルプーリー(2)の軸方向に押し合わせて、互いに着脱自在に連結させることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによるプーリーブロックに関する。本発明は、さらに、カバー要素を対応するプーリーブロックに取り付けるための方法に関する。
【0002】
欧州特許第1457455号B1は、ホイストの下側ブロックとして構成されたプーリーブロックを開示している。下側ブロックは、基本的に、中央の接続要素を備えており、当該接続要素は、その両端に回転可能に取り付けられたケーブルプーリー用の軸としての機能と、荷重フックの受容要素としての機能とを有する。荷重フックは、垂直軸を中心として回転可能なように、接続要素の下側に取り付けられている。2つのケーブルプーリーは、互いに同軸上となるように、接続要素の両側に回転可能に取り付けられている。ケーブルプーリーには、ホイストまで延びる荷重ケーブルが巻き掛けられている。ケーブルプーリーは、事故防止手段としてのカバーフードを備える。カバーフードは、作業者の指や手がケーブルとケーブルプーリーとの間に引き込まれたり挟まれたりすることを防止するためのものである。カバーフードは、ケーブルプーリーの外形に対応して略円盤形状を有しており、取り付けのために、ケーブルプーリーの軸方向において分割されている。長手方向の境界は、カバー形状の外側フード部が形成されるように延びている。この外側フード部は、ケーブルプーリーを覆うように外側から横方向に適切に配置され、内側フード部に当接した部分で固定されている。2つのフード部の周方向の分離線は、ケーブルプーリーの半径方向に見て、ケーブルプーリーのケーブル溝のほぼ中央の領域に延びている。内側フード部は、環状であり、外側フード部に接する外周縁を有する。また、この内側フード部は、接続要素と一体化したコンポーネントである。各カバーフードは、ケーブルプーリーに巻き掛けられた荷重ケーブルがカバーフードに出入りするための2つの出入口用開口を有する。
【0003】
ケーブル用開口は、ケーブルプーリーのケーブル溝の幅にほぼ対応する幅、したがって荷重ケーブルの直径の約3倍に対応する幅を有する。ケーブル用開口の長さは、ケーブルプーリー又はカバーフードの周縁に対して約90°の範囲に相当し、カバーフードの上側領域には、2つの出入口用開口を分離する架橋部が設けられている。カバーフードの上部中央を角度ゼロの点とすると、第1出入口用開口は、ほぼ15°から105°の点まで延び、第2出入口用開口は、255°から345°の点まで延びている。出入口用開口は、ケーブルプーリーの周方向に沿ってこのように長く延びているが、この理由は、荷重ケーブルの2つのストランド間の開き角度が、ホイストの構成、及び、ホイストと下側ブロックとの間の離間距離に応じて、約0°〜30°の間で変化しうるからである。これに対応して、ケーブルプーリーに対する荷重ケーブルの係合離脱点は、出入口用開口の領域において、ケーブルプーリーの周方向に移動する。ケーブルの直径は、出入口用開口の長さに比してわずかなものである。このため、各出入口用開口には、ケーブル用の開口を除き当該出入口用開口を閉じるカバー要素が取り付けられる。この開口は、ケーブルの直径より僅かに大きいだけである。したがって、下側ブロックの作業者の手や指が、荷重ケーブルによって出入口用開口に残るすきまに引き込まれるのを防止することができる。このカバー要素は、ケーブルプーリーの周方向に変位可能であるように、スロット形状の出入口用開口に保持されている。このため、出入口用開口におけるケーブルの係合離脱点の変位に応じて移動しうる。この例では、カバー要素は、外側から出入口用開口を覆う一方、ケーブルプーリーの周方向に見て、出入口用開口に対するカバー要素の中央位置に示されるように、出入口用開口の中央領域において、内向きU字形状の形態でケーブル用開口の縁と係合している。カバー要素は、実質的には、上側主ストリップと、狭ウェブストリップと、下側保持ストリップとからなり、H字形状の断面を有する。また、カバー要素は、合成材料射出成形部品として一体成形される。カバー要素を取り付ける際、このカバー要素をケーブルの一端に沿ってスライドさせる必要があり、またスロット形状の出入口用開口を広げて下側保持ストリップを挿入するために、外側フード部を少なくとも緩める必要がある。
【0004】
ドイツ特許第102008059071号B3は、分割可能なカバー要素を有するプーリーブロックを開示している。カバー要素は、プーリーブロックのカバーフードの出入口用開口に挿入されて、当該出入口用開口よりも下側に押し込まれる。このとき、挿入されたカバー要素は、上方からカバーフードを通って係合したり、当該フードの後側で係合したりしていない。
【0005】
さらに、ドイツ特許第102008059074号B3、ドイツ公開第19602931号A1、米国特許第6,386,516号B1、米国特許第2,650,403号A、及び、米国特許第2,728,552号Aにおいて、他のプーリーブロックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1457455号B1
【特許文献2】ドイツ特許第102008059071号B3
【特許文献3】ドイツ特許第102008059074号B3
【特許文献4】ドイツ公開第19602931号A1
【特許文献5】米国特許第6,386,516号B1
【特許文献6】米国特許第2,650,403号A
【特許文献7】米国特許第2,728,552号A
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、ホイスト用の、保守容易性を有する改良型のプーリーブロック、特に下側ブロックを提供することである。
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1の各特徴を有するプーリーブロックにより達成される。従属する請求項には、このプーリーブロックの有利な実施態様が記載されている。上記目的は、請求項10によるプーリーブロックにカバー要素を取り付けるための方法によっても達成される。
【0009】
本発明によれば、カバーフードに囲まれた少なくとも1つのケーブルプーリーを有するプーリーブロック、特に、ホイストのための下側ブロックであって、前記カバーフードが、荷重ケーブルのための複数の出入口用開口を有し、前記出入口用開口のうちの少なくとも1つには、カバー要素が挿入されており、前記カバー要素が、前記出入口用開口の縁の後側で係合する保持ストリップにより前記出入口用開口に保持されており、前記カバー要素が、前記荷重ケーブルのための開口を有し、前記カバー要素における前記開口が、前記カバーフードにおける前記出入口用開口よりも小さいプーリーブロックにおいて、前記カバー要素が、少なくとも第1カバー部と第2カバー部とに分割されている。この分割により、前記カバー要素を前記カバーフードに取り付けるために、前記荷重ケーブルが通された状態において、前記第1カバー部及び前記第2カバーの保持ストリップを用いてこれらのカバー部を前記出入口用開口に挿入し、次に、これらのカバー部を、前記出入口用開口の前記縁の後側で係合させ、最後に、互いに連結することにより、装着状態において前記カバー要素を形成することができるため、メンテナンスを容易に行うことができる。これにより、取り付け作業のために、荷重ケーブルを再度通したり、カバーフードのフード部分を開いて出入口用開口を広げたりする必要性を排除することができる。
【0010】
比較的小さい開口を有するカバー要素により、作業者の手や指が、荷重ケーブルによってカバーフードのケーブル用開口に引き込まれることを回避することができる。さらに、カバー要素は、カバーフードに出入りする荷重ケーブルが、カバーフードの出入口用開口の縁で擦れて摩耗することを防止するため、有利である。また、埃、泥、及び湿気の侵入に対してケーブルプーリーをより効果的に保護することができる。
【0011】
有利な点として、前記ケーブルプーリーの周方向に見て、前記第1カバー部には、前記出入口用開口の対応側縁に用いられる前記保持ストリップの一部が設けられており、前記第2カバー部には、前記出入口用開口の他の対応側縁に用いられる前記保持ストリップの他の一部が設けられている。この結果、前記出入口用開口の領域において、前記カバー要素を前記カバーフードに容易に固定することができる。
【0012】
前記第1カバー部及び前記第2カバー部は、装着状態において、着脱自在に互いに連結している。このため、摩耗時のカバー要素の交換を容易に行うことができる。この着脱自在な連結は、特に、ネジを用いた連結によって実現することができる。
【0013】
前記カバー要素は、前記ケーブルプーリーの径方向に配向されるとともに前記カバー要素の前記開口の領域に延在する平面において、前記第1カバー部と前記第2カバー部とに分割されている。このため、取り付けを特に容易に行うことができる。
【0014】
前記出入口用開口は、スロット形状を有し、前記カバー要素は、前記出入口用開口において、前記ケーブルプーリーの周方向に変位可能である。このため、前記カバー要素は、特に耐久性に優れている。
【0015】
前記カバー要素は、外側から前記出入口用開口を覆うとともに、前記保持ストリップを用いて、前記出入口用開口の前記縁の周囲で内的に係合する。これにより、前記カバー要素を、前記カバーフードに容易に固定することができる。
【0016】
特に単純な設計においては、前記カバー要素は、主ストリップと、ウェブストリップと、保持ストリップとを含み、これらのストリップは全体でH字形状の断面を有し、前記保持ストリップは、そのガイド面が、前記出入口用開口の領域において、前記カバーフードの内面に当接している。
【0017】
前記荷重ケーブルを用いた効果的な誘導を実現するために、前記カバー要素は、一端で三角形状に広がり、前記荷重ケーブルのための前記開口を有するガイド領域を形成し、前記開口は、通路として形成されている。
【0018】
取り付けを容易に行うためには、前記ガイド領域における前記カバー要素が、前記第1カバー部と前記第2カバー部とに分割され、前記ガイド領域における前記保持ストリップが、前記カバー要素に設けられていればよい。
【0019】
本発明によれば、前記プーリーブロックに前記カバー要素を取り付けるための方法においては、前記第1カバー部における前記保持ストリップの部分を用いて、前記第1カバー部を、前記荷重ケーブルに沿って前記出入口用開口に挿入し、次に、前記第1カバー部を、前記ケーブルプーリーの軸方向に変位させて、前記保持ストリップの前記部分を、前記出入口用開口の前記対応側縁の後側で係合させ、次に、前記第2カバー部における前記保持ストリップの部分を用いて、前記第2カバー部を、前記第1カバー部に占有されていない前記出入口用開口の部分に挿入し、次に、前記第2カバー部を、前記ケーブルプーリーの軸方向に変位させて、前記保持ストリップの前記部分を、前記出入口用開口の他の反対側の対応縁の後側で係合させ、且つ、前記第2カバー部を、前記出入口用開口において、前記ケーブルプーリーの周方向に沿って前記第1カバー部に向かって変位させて、前記荷重ケーブルのための前記開口の前記各部分を結合することにより、共通の開口を形成し、次に、前記第1カバー部及び前記第2カバー部を、互いに前記ケーブルプーリーの軸方向に押し合わせて、互いに着脱自在に連結させることにより、前記カバー要素を前記カバーフードに容易に取り付けることができる。これにより、取り付け作業を行うために、荷重ケーブルを再度通して、フード部分を開いて出入口用開口を広げなければならないような状況を避けることができる。
【0020】
本発明の例示的な実施形態を以下で詳細に説明し、図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】下側ブロックとして設計されるとともに2つのケーブルプーリーを含む、本発明によるプーリーブロックを示す斜視図である。
図2図1に示す下側ブロックを、ケーブルプーリーのカバーフードの領域で切断した様子を示す正面図であり、同図において、カバー要素は第1位置に配置されている。
図3図2において、カバー要素を第2位置に配置した状態を示す図である。
図4】カバーフードを示す側面図である。
図5図4を部分的に断面で示す図である。
図6図4の断面図である。
図7】カバー要素の第1カバー部を示す斜視図である。
図8】カバー要素の第2カバー部を示す斜視図である。
図9a-9d】下側ブロックのカバーフードに対するカバー要素の取り付けを説明するための、カバー要素の第1及び第2のカバー部を示す一連の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明によるプーリーブロックを示す斜視図である。このプーリーブロックは、下側ブロック1として設計されており、ケーブルプーリー2(図2も参照)に巻き掛けられた二対の荷重ケーブル3によって、ホイスト(図示略)から吊り下げられている。図1においては、各々の場合において下側ブロック1を出入りする二対の荷重ケーブル3のうちの3本のストランドのみが示されており、4本目のストランドは、下側ブロック1の背後にある。下側ブロック1は、主な要素として中央接続要素4を備えており、この中央接続要素は、当該中央接続要素に横方向に取り付けられた2つのケーブルプーリー2と、当該中央接続要素の下側に吊り下げられた1つの荷重フック5とを有する。荷重フック5は、垂直軸を中心として回転できるように、図示していない軸ベアリングを介して接続要素4の凹部に取り付けられている。互いに同軸上に配置されるとともに接続要素4を介して互いに離間するケーブルプーリー2は、各々が、カバーフード6により囲まれている。このカバーフードは、ケーブルプーリー2の軸方向に見ると、ケーブルプーリー2の面において外側フード部6aと内側フード部6bとに分かれている。2つのフード部6a、6bは同一の構成を有する。外側フード部6a及び内側フード部6bは、各々が、外周が円弧状の縁6cを有する扁平なリング状ディスクとして設計される。したがって、外側フード部6a及び内側フード部6bは、椀状又は板状である。外側フード部6aは、装着状態において、その縁6cが内側フード部6bの縁6cに当接するように配置される。したがって、2つのフード部6a、6bは、ケーブルプーリー2を受容するための扁平筒状の空洞を画定している。フード部6a、6bの縁6cにおける対応する穴に挿入される位置決めスリーブにより、2つのフード部6a、6bを、互いに正確な角度で容易に取り付けることができる。
【0023】
各カバーフード6には、荷重ケーブル3をケーブルプーリー2に掛け回したり、ケーブルプーリー2から外したりすることを可能にする2つの出入口用開口7が設けられている(図4も参照)。ケーブルプーリー2又はカバーフード6の周方向に見て、これらの出入口用開口7は、荷重ケーブル3の直径の倍数に対応する長さLを有するとともにスロット形状を有する。長さLは、カバーフード6の周縁の6分の1に対応する。先行技術に関する説明の導入部分で既に説明したように、この長さLが必要な理由は、ホイストの動作中に、荷重ケーブル3のストランド間の角度が変化して、ケーブルプーリー2から離脱する荷重ケーブル3の係合離脱点10(図2を参照)が変動するからである。したがって、出入口用開口7の上記長さLにより、荷重ケーブル3が出入口用開口7の縁7aに当たって擦れたり、カバーフード6又は荷重ケーブル3に損傷を与えるのを防ぐことができる。
【0024】
このように比較的大きな出入口用開口7は、各々が、カバー要素8によって少なくとも部分的に閉じられる。当該カバー要素は、荷重ケーブル3をケーブルプーリー2から、或いはケーブルプーリー2に向かって誘導するための開口9を有する。作業者が下側ブロック1を操作する位置である、下側ブロック1の下降位置において、各入口及び出口開口7は、カバー要素8によって完全に閉じられている。下側ブロック1の最高上昇位置よりも数メートル前において荷重ケーブル3のストランドが広がると、カバー要素8が周方向Uにおいて下方に変位して、各カバー要素が出入口用開口7の上部を露出させる。作業者は、上昇位置では下側ブロック1を操作しないので、出入口用開口7を部分的に露出させても安全面での危険性はない。
【0025】
荷重ケーブル3の開口9は、荷重ケーブル3の直径よりも僅かに大きく、角を丸めた矩形断面を有し、その幅と長さは、荷重ケーブル3の直径に対して、2:1〜3:1の割合である。このため、入ってくる荷重ケーブル3によって、作業者が出入口用開口7に指や手を引き込まれる危険性を大幅に低減することができる。下側ブロック1の動作中、すなわち昇降中、ケーブルプーリー2からの荷重ケーブル3の係合離脱点10が変化するという上述した事実を考慮に入れて、カバーフード6の周方向Uにカバー要素8を変位させることにより、所定の上端位置および下端位置の間の往復運動を可能にすることができる。
【0026】
カバー要素8は、主たる要素として、上側主ストリップ8aを備えている。この上側主ストリップは、カバーフード6の縁6cに対応して円形状に湾曲するとともに、フード部6a、6bの縁6cの領域において当該フード部6a、6bの外面6dに沿うように配置されている。これにより、主ストリップ8aは、入口及び出口用開口7aの各々を覆っている。カバー要素8の下端を起点とし、カバーフード6の周方向Uに見ると、主ストリップ8aは、その中心から徐々に広がることにより、荷重ケーブル3のためのガイド領域8bを形成している。このガイド領域は、実質的には直角三角形状であり、その斜辺は、主ストリップ8aにより形成されるとともに、フード部6a、6bの縁6cに対応して湾曲している。ガイド領域8b以外の部分では、主ストリップ8aは、扁平な帯状である。
【0027】
また、図1に示すように、カバー要素8には、荷重ケーブル3のための開口9が形成されており、この開口は、主ストリップ8aから、ガイド領域8bの2つの外辺部のうちの上方の外辺部に延びる通路9aとして形成されている。通路9aの長手方向は、ケーブルプーリー2を含む面において、ケーブルプーリー2からの荷重ケーブル3の係合離脱点10とケーブルプーリー2の中心点Mとを通る概念上の直線に対して90°の角度をなしている。
【0028】
さらに、図1に示すように、作業者が容易に取り扱いできるように、下側ブロック1は、凹状把持部11を有する。この把持部は、接続要素4の領域において、上面が開口するとともに水平方向に延びており、2つのカバーフード6間の間隔に対応する幅を有している。
【0029】
さらに図1に示すように、カバー要素8は、第1カバー部8fと第2カバー部8gとに分かれている。この分割は、カバー要素8のガイド領域8bにおいて行われており、ケーブルプーリー2の径方向に平行であって、ケーブルプーリー2の中心点Mと交差する平面で実現される。この平面は、カバー要素8に対して中心に配向されるのではなく、カバー要素8の幅に対して、カバー要素8の幅の約2/3〜1/3のところに配向されている。一例として、第1カバー部8fは、カバー要素8の幅の2/3の幅を有する。このため、カバー要素8の幅の中心を断面位置とすれば、図2及び3に示すように、第1カバー部8fのみが断面で表される。カバー要素8が分割可能であるため、第1取り付けステップにおいて、第1カバー部8fを出入口用開口7に挿入し、第2取り付けステップにおいて、第2カバー部8gを出入口用開口7に挿入することにより、第1カバー部を所定の位置にロックすることが可能になる。取り付け作業の終了時には、第2カバー部8gは第1カバー部8fに対して着脱自在に固定されている。
【0030】
図2及び3の各々には、2つのケーブルプーリー2のうちの一方の断面が示されている。これらの図においては、さらに、隣接するカバーフード6と、カバー要素8とが示されており、当該カバー要素8に関しては、荷重ケーブル3のストランドが互いに異なる2つの角度位置にあるため、ケーブル用開口7においてカバー要素が2つの異なる変位位置に配置されている。明瞭化のため、荷重ケーブル3は図示していない。
【0031】
図2において、2つのカバー要素8の各々は、出入口用開口7のいわゆる基準位置に配置されている。この位置においては、下側ブロック1は、ホイストの下方において垂直に吊り下げられており、荷重ケーブル3の2つのストランドは、互いにほぼ平行に延びている。この基準位置において、下側ブロック1は、作業者が、好ましくは把持部11を用いて下側ブロック1をガイド及び/又は管理する領域に吊り下げられている。このとき、出入口用開口7の各々は、カバー要素8により完全に覆われている。開口9の通路9aは、ほぼ垂直に延びており、荷重ケーブル3と平行であることが分かる。この場合、重力により、ケーブルプーリー2に対して内側に配置された通路9aの内壁が、反対側の荷重ケーブル3に対向する荷重ケーブル3の側面に接する。これは、出入口用開口7における摩擦が比較的低い状態で、カバー要素8が、カバーフード6の周方向に変位可能に誘導されるからである。カバー要素8は非常に軽量であるため、荷重ケーブル3とカバー要素8の通路9aとの間に生じる摩擦力は小さい。さらに、カバー要素8は、耐摩耗性の高い材料からなる合成材料射出成形部品として作製される。
【0032】
図3は、図2に示す基準位置からずれた変位位置にある2つのカバー要素8を示す。同図において、荷重ケーブル3の2つのストランドは、例えば、50°の角度をなしているため、2つのカバー要素8は、下方変位位置に配置されている。この場合、下側ブロック1は、最も高い位置においてクレーントロリーの下で吊り下げられているため、ユーザによる接触はできない。この変位位置においては、出入口用開口7の上部は、カバー要素8で覆われていないが、この理由は、安全面から、そのようなことをする必要がないからである。原則的に、カバー要素8の長さは、基準位置においても変位位置においても出入口用開口7の各々が完全に覆われるような長さにすることもできる。
【0033】
図4は、下側ブロック1がホイストから垂直に吊り下げられた配向における、カバー要素がない状態の1つのカバーフード6を示す。選択された面は、下側ブロック1の前側又は後側であり、出入口用開口7のうちの一方が明確に見えるように、ケーブルプーリー2の回転軸に垂直である。出入口用開口7は、端部が丸まった細長い矩形の形態を有する。出入口用開口7の幅Bは、荷重ケーブル3の直径Dの約2〜3倍に対応する。また、出入口用開口7の長さは、荷重ケーブル3の直径Dの約10〜15倍、又は、カバーフード6の周縁の約1/6に対応する。
【0034】
図2又は3と併せて図4を参照すると、同図は、カバーフード6の周面において、カバーフード6の最上点の角度が0°に設定されていると前提とすると、第1出入口用開口7が、約40°で始まり100°まで続いていることを示しており、反対側の第2出入口用開口7が、260°の領域で始まり320°で終結することを示している。カバー要素8は、可能な限り上方に移動した基準位置において、出入口用開口7の下端を覆うことができるような長さに設定されている。可能な限り下方に移動した変位位置においては、出入口用開口7の上端は覆われていない。しかしながら、作業者の怪我の危険性に関して言えば、この上側の領域は、通常、アクセス可能な領域ではないため、開放した状態のままであってもよい。
【0035】
図5は、図4を垂直断面で見た図であり、カバー要素8が通路9aの領域で切断されている。通路9aに関して説明すると、同図から分かるように、通路9aは、ケーブルプーリー2から始まり、カバーフード6の周方向を横切って上方に広がっている。このため、荷重ケーブル3は、横方向にも向きを変えて、荷重ケーブル3と通路9aの内壁との間に過大な摩擦が生じないようにすることができる。これに対して、図2及び3から分かるように、通路9aは、周方向にはほとんど広がっていない。これは、出入口用開口7におけるカバー要素8の変位により、ケーブルの方向変位が可能であるからである。
【0036】
さらに、図5は、カバー要素8が、上端が三角形状のガイド領域8bとして形成された主ストリップ8aを用いて、外側から出入口用開口7の縁を覆っていることを示している。ガイド領域8bにおいて、主ストリップ8aは、ウェブストリップ8dを介して保持ストリップ8cに接続しており、この保持ストリップは、出入口用開口7の縁6cの後側で係合している(図6を参照)。したがって、保持ストリップ8cは、中央のウェブストリップ8dによって主ストリップ8aの下側に固定されており、この領域において、カバー要素8は、H字形状の断面を有する。この結果、カバー要素8は、カバーフード6上を、その周方向に変位することができる。したがって、保持ストリップ8cは、縁6cに対向するガイド面8eが、縁6cの内面6eに接するように配置されている。開口9の領域にはウェブストリップ8dは設けられておらず、保持ストリップ8cは、ウェブストリップ8dにより開口9の前側及び後側で保持されている。図2において、保持ストリップ8cは、約30°の領域に延在していることが分かる。主ストリップ8aにおいて、底部でガイド領域8bに隣接する部分は、保持ストリップ8c及びウェブストリップ8dを含まない。カバー要素8において、ガイド領域8bに保持ストリップ8cを有する残りの部分により、誘導を行うことができる。
【0037】
図6は、図4の他の断面図を示しており、この断面は、ケーブルプーリー2の軸13を通るように切断されたものである。軸13は、接続要素4のコンポーネントである。ケーブルプーリー2は、ベアリング14を用いて軸13に取り付けられる。軸13又は接続要素4は、板金成形部品として形成された円形状の内側及び外側のフード部6a、6bを支持する働きをする。最初に軸に対してスライドされる内側フード部6bは、軸13を区切る接続要素4のショルダー部に支持され、続いてベアリング14、次に外側フード部6aがスライドされる。この外側フード部は、ロックリング15により軸13に保持される。さらに、環状の外側フード部6aは、軸13の領域において、円形カバー19により閉じられる。また、主ストリップ8aは、断面が帯状であることが分かる。
【0038】
図7は、下側ブロック1の外側にあって、未装着状態にあるカバー要素8の第1カバー部8fを示す斜視図である。上述したように、第1カバー部8fは、実質的には、円弧形状の主ストリップ8aからなり、当該主ストリップは、装着状態においてカバーフード6の外面6dに設けられる。カバー要素8の略中央から見ると、主ストリップ8aの上部が広がって、三角形状のガイド領域8bを形成するあるいはこのガイド領域に遷移している。主ストリップ8aの下部は帯状のままであり、カバー要素8の周方向に見て、中央で断面がU形状になり、縁ストリップ8hが主ストリップ8aの縁に横方向に隣接している。これらの縁ストリップ8hは、主ストリップ8aの下端に向かって漸減しており、主ストリップ8aの端部には存在しない。さらに、互いに平行且つ離間して延びる主ストリップ8a用の補強リブ8iが、主ストリップ8aの内面に設けられている。これらの補強リブにより、出入口用開口7が確実に覆われるとともに、材料を節約することができる。補強リブ8iの幅は、縁ストリップ8hの幅と同様に、主ストリップ8aの下端に向かって漸減している。
【0039】
ガイド領域8bにおいて、荷重ケーブル3のための開口9が見える。第1カバー部8fの第1分離面8jの領域には、扁平円筒状の突起部12がグリッド状に設けられており、これらの各々が、第1分離面8jから突出している。また、ネジ17(図9dを参照)用の円筒状のネジ穴16が、ガイド領域8bにおいて、開口9の右側及び左側にそれぞれ設けられている。ネジ穴16は、その縦方向の延長部分がケーブルプーリー2の回転軸と平行な状態で延在している。
【0040】
これに加えて、図7には、底部において、ウェブストリップ8dと保持ストリップ8cとが、開口9に隣接するとともにカバーフード6の周方向に延在する領域で主ストリップ8aに接続していることが示されている。開口9の領域において、ウェブストリップ8dは途切れており、保持ストリップ8cは連続している。保持ストリップ8cは、カバー要素8の長さの約1/3しかないため、カバー要素8が、カバーフード6の周方向に誘導されて変位可能であることは明らかである。
【0041】
第2カバー部8gが第1分離面8j上に配置されていないため、開口9は筒状ではなく、溝状に開いた状態である。
【0042】
図8は、カバー要素8の第2カバー部8gを示す斜視図である。この第2カバー部は、筒状開口9を有するカバー要素8を形成するために、対応する取り付けを行った後、第1カバー部8fに結合される。図7に示す第1カバー部8fに関連して、第2カバー部8gは、第2分離面8kが見えるようにミラー反転して示されている。装着状態において、第1カバー部8fの第1分離面8jと第2カバー部8gの第2分離面8kとは互いに重なり合う。相対的な配向を容易に決定するとともに互いの接触を向上させるために、第2分離面8kには円筒状の穴18がグリッド状に設けられており、当該穴18は、2つのカバー部8f、8gが装着された状態において、形状篏合するように、第1分離面8jの突起部12を受容する。穴18は、さらに、突起部12と係合すると、横方向の力を吸収してネジ17にかかる負荷を軽減する。また、第1カバー部8fにおいて、ネジ17用のネジ穴16は、それぞれ開口9に隣接して左右に設けられている。第2カバー部8gの形状は、ガイド領域8bと同様、実質的に三角形状である。第1カバー部8jと同様に、第2カバー部8gの主ストリップ8aの領域にも、ウェブストリップ8dを介して保持ストリップ8cが設けられている。ウェブストリップ8d及び保持ストリップ8cは、開口9に隣接しており、この位置から始まって、第2カバー部8gの主ストリップ8aの一部に亘ってのみ延設されている。開口9の領域において、ウェブストリップ8dは途切れている。ウェブストリップ8d及び保持ストリップ8cの領域において、第1カバー部8f及び第2カバー部8gは、取り付けが完了した状態において、第1カバー部8f及び第2カバー部8gのそれぞれのウェブストリップ8d及び保持ストリップ8cの部分が結合されて完全な保持ストリップ8c及び完全なウェブストリップ8dを形成し、これらのストリップが出入口用開口7の左右の縁7aの後側で係合するように、形成されている。
【0043】
図9a〜9dは、下側ブロック1のカバーフード6にカバー要素8を取り付けるために必要な個々のステップを詳細に説明するための、カバー要素8の第1カバー部8f及び第2カバー部8gを示す一連の斜視図である。第1取り付けステップにおいて、出入口用開口7を閉じるべく、当該出入口用開口から出ている荷重ケーブル3の領域に開口9を配置させた状態で、第1カバー部8fをスライドさせる(図9aを参照)。カバー部8fと出入口用開口7との間には間隔が空いている。次に、第2取り付けステップにおいて、第1カバー部8fの主ストリップ8aがカバーフード6の外面6dに配置されるまで、荷重ケーブル3に沿って出入口用開口7の方向に当該第1カバー部を押し動かす。出入口用開口7は、第1カバー部8fにおける保持ストリップ8cの部分よりも広いため、保持ストリップ8cは、スライドされたときに、出入口用開口7の縁7を通り越してカバーフード6の内部に入り込むことができる。次に、第3取り付けステップにおいて、カバーフード6の外面6dに配置された第1カバー部8fを、ケーブルプーリー2の軸13と平行に延びる取り付け方向M2に沿って、左側に横方向に押し動かす(図9bを参照)。この結果、保持ストリップ8cの左側部分が、出入口用開口7の左側の縁7aの後側で係合され、ケーブルプーリー2の径方向において出入口用開口7で保持される。このとき、出入口用開口7の上部が開放されるように、第1カバー部8fを、出入口用開口7の下端の方向に変位させる。次に、第4取り付けステップにおいて、第2カバー部8gの主ストリップ8aがカバーフード6の外面6dに配置されるまで、出入口用開口7の上部の開放された部分に、当該第2カバー部を挿入する(図9cを参照)。出入口用開口7は、第2カバー部8gにおける保持ストリップ8cの右側部分よりも広いため、保持ストリップ8cは、スライドされたときに、出入口用開口7の縁7を通り越してカバーフード6の内部に入り込むことができる。次に、第5取り付けステップにおいて、カバーフード6の外面6dに配置された第2カバー部8fを、ケーブルプーリー2の軸13と平行に延びる取り付け方向M3に沿って、右側に横方向に押し動かす。結果として、保持ストリップ8cの右側部分が、出入口用開口7の右側の縁7aの後側で係合される。その後、第6取り付けステップにおいて、第2カバー部8gの前端が第1カバー部8fに接触するまで、カバーフード6の外面6dに沿って取り付け方向M4に第2カバー部8gを押し動かして、当該第2カバー部を第1カバー部8fのガイド領域8bに移動させる。このとき、保持ストリップ8cの右側部分は、出入口用開口7の右側の縁7aの後側で係合したままである。第7取り付けステップにおいて、右側及び左側のカバー部8f、8gを、ケーブルプーリー2の軸と平行に延びる取り付け方向M5において、互いに重なるようにスライドさせることにより、第1及び第2の分離面8j、8kを当接させ、各突起部12が、穴18に入り込むようにする(図9dを参照)。突起部12の高さは、約0.5mm〜3.0mmの間で選択される。この理由は、2つのカバー部8f、8gが互いに重なるようにスライドされた後、右側と左側の保持ストリップ8cが出入口用開口7の縁7aの後側で確実に係合し、且つ、少なくとも突起部12の高さと対応する横方向の小さな隙間がある状態で、カバー要素8が、出入口用開口7に保持されるようにするためである。続いて、ネジ17がネジ穴16に差し込まれ、第2カバー部8gが、第1カバー部8fにねじ止めされる。
【符号の説明】
【0044】
1 下側ブロック
2 ケーブルプーリー
3 荷重ケーブル
4 接続要素
5 荷重フック
6 カバーフード
6a 外側フード部
6b 内側フード部
6c 縁
6d 外面
6e 内面
7 出入口用開口
7a 出入口用開口の縁
8 カバー要素
8a 主ストリップ
8b 荷重ケーブル3のためのガイド領域
8c 保持ストリップ
ウェブストリップ
8e ガイド面
8f 第1カバー部
8g 第2カバー部
8h ガイドストリップ
8i 補強リブ
8j 第1分離面
8k 第2分離面
9 開口
9a 通路
10 係合離脱点
11 凹状把持部
12 突起部
13 軸
14 ベアリング
15 ロックリング
16 ネジ穴
17 ネジ
18 穴
19 カバー
B 出入口用開口7の幅
D 荷重ケーブルの直径
L 出入口用開口7の長さ
M 中心点
M1 第1取り付け方向
M2 第2取り付け方向
M3 第3取り付け方向
M4 第4取り付け方向
M5 第5取り付け方向
U 周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d