(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリプロピレン系樹脂からなる基材層の片面に粘着層を、反対面に離型層を共押出により積層させてなり、アクリル板に対する最大粘着力が800cN/25mm以上であり、アクリル板に対する最大粘着力を分母に、離型層と粘着層との剥離力を分子に取った際の比が0.003から0.18であり、
前記粘着層を構成する樹脂は、スチレン系エラストマー、ポリエチレン系樹脂、及び粘着付与樹脂を含み、前記粘着層中のスチレン系エラストマーの含有量が35質量%以上99質量%以下、ポリエチレン系樹脂の含有量が1質量%以上65質量%以下であり、スチレン系エラストマー中のエチレン成分とポリエチレン系樹脂との和が前記粘着層成分中35質量%以上46.7質量%以下であり、
前記ポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン及びエチレンとα−オレフィンとの共重合体からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記粘着層中の粘着付与樹脂の配合量は、前記粘着層成分100質量%に対して3質量%以上10質量%以下であり、
前記離型層を構成する樹脂は、プロピレン−エチレンブロック共重合体を含む
ことを特徴とする自己粘着性表面保護フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂からなる基材層の片面に粘着層を、反対面に離型層を共押出により積層させてなり、アクリル板に対する最大粘着力が800cN/25mm以上でありながら、アクリル板に対する最大粘着力を分母に、離型層と粘着層との剥離力を分子に取った際の比が0.003から0.18であることを特徴とする自己粘着性表面保護フィルム(粘着フィルム)である。
以下、本発明の粘着フィルムの実施の形態を説明する。
【0020】
本発明の粘着フィルムの粘着力は、23℃において、アクリル板に対し800〜1200cN/25mmの範囲であることが、様々な被覆体に使用することを考慮すると好ましい。この評価に使用するアクリル板はメタクリル系樹脂を88質量%以上含有しているものを用いる。粘着力が800cN/25mm未満であると、被覆体によっては保護する際にめくれ等が生じることがあり、保護フィルムとしての機能を担えない場合がある。一方、粘着力が1200cN/25mmを超えると被覆体からフィルムを剥離する際にスムーズに剥離できないおそれがある。
また、23℃において、プリズムシートに対する粘着力が、2〜20cN/25mmの範囲であることが、使用することを考慮すると好ましい。粘着力が2cN/25mm未満であると保護する際にめくれ等が生じ、保護フィルムとしての機能を担えない。一方、粘着力が20cN/25mmを超えるとフィルムを剥離する際にスムーズに剥離できないおそれがある。粘着力は粘着層の樹脂組成や厚み等を変更することにより、粘着力を適宜設定することが可能である。
【0021】
本発明の粘着フィルムのアクリル板に対する最大粘着力を分母に、離型層と粘着層との剥離力を分子に取った際の比は0.003から0.18の範囲であることが、フィルムの粘着力とロール形態とした際のフィルムの繰出し性を両立する点から好ましい。この比が0.18よりも大きいとフィルムのアクリル板に対する粘着力と、離型層と粘着層との剥離力とが近い値となり、粘着力が不充分で被覆体によっては粘着力を示さない、もしくは剥離力が高くロール形態とした際のフィルムの繰出し性が悪くなる等の問題を生じる。この比の下限は現実的な値として0.003程度となる。なお、後述する実施例では、粘着力は25mm幅、剥離力は40mm幅で測定しているため、上記の比は、粘着力を1.6倍(40÷25)した値を分母にとって計算した値とする。
【0022】
(基材層)
本発明の粘着フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする基材層を必要とし、ここで用いるポリプロピレン系樹脂としては、結晶性ポリプロピレン、プロピレンと少量のα−オレフィンとのランダム共重合体やブロック共重合体等を挙げることができ、さらに詳しくは、結晶性ポリプロピレン樹脂として、通常の押出成形等で使用するn−へプタン不溶性のアイソタクチックのプロピレン単独重合体又はプロピレンを60質量%以上含有するプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができ、このプロピレン単独重合体あるいはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を、単独又は混合して使用することができる。
基材層にはプロピレン単位が60質量%以上含まれていることが好ましく、さらには70質量%以上含まれていることが好ましい。プロピレン単位が60質量%未満であると、フィルムに腰感がなくなり、取り扱いが困難になることがある。また、プロピレン単位量を60質量%未満にしたり、ポリエチレン系樹脂を用いると、フィルムが柔軟で伸びやすくなり、フィルムを繰出す際にも、フィルムが部分的に伸長したり、変形する等の問題が起き易くなる。
ここで、n−ヘプタン不溶性とは、ポリプロピレンの結晶性を指標すると同時に安全性を示すものであり、本発明では、昭和57年2月厚生省告示第20号によるn−ヘプタン不溶性(25℃、60分抽出した際の溶出分が150ppm以下〔使用温度が100℃を超えるものは30ppm以下〕)に適合するものを使用することが好ましい態様である。
【0023】
プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体のα−オレフィン共重合成分としては、炭素数が2〜8のα−オレフィン、例えば、エチレンあるいは1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のC4以上のα−オレフィンが挙げられる。ここで共重合体とは、プロピレンに上記に例示されるα−オレフィンを1種又は2種以上重合して得られたランダム又はブロック共重合体であることが好ましい。使用するポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kgf)は、1.0〜15g/10分の範囲が好ましく、2.0〜10.0g/10分の範囲がより好ましい。また、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を2種以上混合して使用することもできる。
またさらに、本発明で得られたフィルムを製品加工する際に出た屑フィルムを回収原料として再造粒し、基材層に添加することもできる。回収原料を使用することにより、生産コストを抑えることが可能である。
【0024】
(粘着層)
本発明の粘着層を構成する樹脂としては、高い粘着力を発現させるためにスチレン系エラストマーを用いることが好適である。また、粘着力とロール状態からのフィルムの繰出し性を発現するために、ポリエチレン系樹脂を添加することが好適である。さらにポリエチレン系樹脂を添加することにより、粘着面側から離型面に対する剥離力を低くすることができる。また、粘着力のコントロールのために、必要に応じ、ポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン樹脂、粘着付与樹脂、軟化剤、ポリスチレン等を混合することもできる。
【0025】
スチレン系エラストマーは、スチレン−ブタジエン−スチレン等のA−B−A型ブロックポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体等のA−B型ブロックポリマー、スチレン系重合体ブロックとスチレンとブタジエンとのランダム共重合体ブロックとのブロック共重合体等の水素添加物、スチレン−ブタジエンラバー等のスチレン系ランダム共重合体の水素添加物を挙げることができる。
【0026】
ポリエチレン系樹脂は、低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。これらの中でも、低密度ポリエチレン、特にはLLDPEといわれる直鎖状低密度ポリエチレンや、VLDPEといわれる超低密度ポリエチレンが、粘着力を保持しながら、ロール状態からのフィルムの剥離力を低くし、フィルムの繰出し性を向上させる上でさらに好ましい。これらはα−オレフィンを共重合させることによりエチレン鎖に短鎖分岐を導入したものであり、α−オレフィンの種類や共重合量により、ポリエチレン系樹脂に柔軟性を付与することができる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
【0027】
粘着層中のスチレン系エラストマー量は、高い粘着力の発現とロール状態からのフィルムの繰出し性を発現するために、35質量%以上、99質量%以下であることが好適である。35質量%未満であると粘着力が低下し、必要とする粘着力を得ることが難しくなる。粘着層中のスチレン系エラストマー量は好ましくは40質量%以上、90質量%以下の範囲である。
【0028】
粘着層中のポリエチレン系樹脂量は、高い粘着力の発現とロール状態からのフィルムの剥離力を低くし、繰出し性を発現するために、1質量%以上、65質量%以下であることが望ましい。粘着層中のポリエチレン系樹脂量が65質量%を超えると粘着力が低下し、必要とする粘着力を得ることが難しくなる。粘着層中のポリエチレン系樹脂量は好ましくは3質量%以上、60質量%以下の範囲である。
【0029】
スチレン系エラストマー中のエチレン成分とポリエチレン系樹脂との和は粘着層成分中35質量%以上70質量%未満の範囲である。エチレン成分とポリエチレン系樹脂との和が粘着層成分中70質量%以上では粘着力が低下し、充分な粘着力が得られない。エチレン成分とポリエチレン系樹脂との和が粘着層成分中35質量%未満であるとフィルム粘着層の離型層に対する剥離力が高くなってしまう。好ましくはエチレン成分とポリエチレン系樹脂との和は、粘着層成分中40質量%以上65質量%以下である。より好ましくはエチレン成分とポリエチレン系樹脂との和は、粘着層成分中好ましくは45質量%以上63質量%以下である。
【0030】
使用するスチレン系エラストマーのメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kgf)は、製膜性の面で0.5〜8g/10分の範囲が好ましく、2.0〜7.0g/10分の範囲がより好ましい。
使用するポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR:190℃、2.16kgf)は、0.5〜8g/10分の範囲が好ましく、0.8〜7.0g/10分の範囲がより好ましい。上記範囲にすることにより、各層の厚みを均一にした製膜が行い易くなる。
【0031】
スチレン系エラストマー中のスチレン成分は5質量%以上、40質量%以下であることが望ましい。5質量%未満であるとレジン(ペレット)作製時の造粒が困難となり、40質量%を超えると粘着力が低下し、必要とする粘着力を得ることが難しくなる。スチレン系エラストマー中のスチレン成分は、10質量%以上、30質量%以下の範囲であることがより好ましい。一方、スチレン系エラストマー中のエチレン成分は、ポリエチレン系樹脂を添加した際にポリエチレン系樹脂と混ざり易くするため、スチレン系エラストマー中の含有量が多いと、ロール状態からのフィルムの繰出し性改善効果が大きくなりやすいと考えられる。よってスチレン系エラストマー中のエチレン成分は、15質量%以上、70質量%以下であることが望ましい。また、スチレン系エラストマー中のエチレン成分は粘着力発現に大きく寄与していると考えられるため、70質量%を超えると、下記の条件でポリエチレン系樹脂を添加した場合、粘着力が低下し難くなる傾向にある。
【0032】
また、ポリエチレン系樹脂中のエチレン成分は70質量%以上であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂のエチレン成分は75質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは80質量%以上である。また、ポリエチレン系樹脂のエチレン成分は98質量%以下が好ましく、より好ましくは96質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。ポリエチレン系樹脂中のエチレン成分は70質量%未満であると、ロール状態からのフィルムの繰出し性改善効果が小さくなる傾向にある。ポリエチレン系樹脂中のエチレン成分が70質量%以上の樹脂としては住友化学製のCX3007やVL100等が挙げられる。
ちなみに、ポリエチレン系樹脂中のエチレン成分以外の成分は、30質量%未満であることが好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
【0033】
ポリエチレン系樹脂の密度は850〜920kg/m
3であることが好ましく、さらには860〜910kg/m
3であることが好ましく、最も好ましくは880〜906kg/m
3である。上記範囲にすることにより、良好な粘着性と繰出し性を両立させることができやすくなる。
【0034】
ポリエチレン系樹脂の曲げ弾性率は、10MPa以上、90MPa未満であることが望ましい。10MPa以上であるとロール状態からのフィルムの繰出し性がさらに向上し、90MPa未満であると、粘着力がさらに向上する。ポリエチレン系樹脂の曲げ弾性率はより好ましくは15〜80MPaの範囲であり、さらに好ましくは20〜70MPaの範囲である。
【0035】
ポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂は特に限定されず、結晶性ポリプロピレン、プロピレンと少量のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、一般的に少量配合するだけで粘着力が低下しやすい傾向があるため、1質量%以上20質量%以下の割合で配合するのが好ましい。
【0036】
粘着付与樹脂は、例えば石油樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、ロジン樹脂等を挙げることができる。粘着付与樹脂の分子量は特に制限されず適宣に設定できるが、分子量が小さくなると粘着層からの被覆体への物質移行や重剥離化等の原因となるおそれがあり、一方、分子量が大きくなると接着力の向上効果に乏しくなる傾向があることから、粘着付与樹脂の数平均分子量は1000〜10万程度のものが好ましい。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー等により測定できる。
【0037】
粘着層中の粘着付与樹脂の配合量は、粘着層成分100質量%に対して、好ましくは3質量%以上20質量%以下の範囲である。粘着付与樹脂の配合量が20質量%を超えると、粘着付与樹脂は分子量が低いため溶融粘度が極端に低くなり、Tダイ等を用いた共押出製膜を行う際にポリプロピレン系樹脂を主成分とした基材層との積層が困難となるだけでなく、粘着層がべたつくようになり、ロール状態からのフィルムの繰出し性が改善し難くなる傾向にある。また、粘着層中の粘着付与樹脂の配合量が3質量%未満であると、配合しても粘着層の粘着力変化に寄与しない。粘着付与樹脂の配合量は、好ましくは5質量%以上15質量%以下である。
【0038】
粘着層中への粘着付与樹脂の添加により溶融粘度が下がる傾向にある場合は、ポリスチレン樹脂を1質量%〜15質量%程度添加することで、基材層と粘着層との間の溶融粘度差が改善し、積層し易くすることができる。ポリスチレン樹脂配合量は、好ましくは3質量%以上、12質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上10質量%以下である。
【0039】
軟化剤は、例えば、低分子量のジエン系ポリマー、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエンやそれらの誘導体、ポリブテン等を挙げることができる。軟化剤の分子量は特に制限されず適宣に設定できるが、分子量が小さくなると粘着層からの被覆体への物質移行や重剥離化等の原因となるおそれがあり、一方、分子量が大きくなると接着力の向上効果に乏しくなる傾向があることから、軟化剤の数平均分子量は1000〜10万程度のものが好ましい。数平均分子量は、粘着付与樹脂の場合と同様の方法により測定できる。
【0040】
また、粘着層に使用する粘着付与樹脂や軟化剤は、種類によっては液体や粉体であり、押出時に押出機を汚す物もある。このような問題は粘着付与樹脂や軟化剤をポリエチレン系樹脂やポリオレフィン系樹脂とマスターバッチ化して使用することで改善されるため、粘着付与樹脂や軟化剤をポリエチレン系樹脂やポリオレフィン系樹脂とマスターバッチ化して使用するほうが好ましい。
【0041】
本発明の粘着フィルムは、公知の添加剤を必要に応じて含有させたりすることができる。例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃改良剤等を含有させたりしても良い。但し、これらの成分は比較的分子量が低く、粘着層表面にブリードアウトして、粘着層の粘着力を低下させる場合がある。したがって、添加剤を使用する場合は、粘着層表面の低分子量物質を1mg/m
2未満にすることが好ましい。
ここで、粘着層表面の低分子量物質の測定は、次の手順にて実施した。粘着層表面をエタノール等の粘着層を構成する樹脂を侵食しない有機溶剤を用いて洗浄し、その洗浄液から有機溶剤をエバポレーター等で除去した後、その残渣を秤量して求めた数値を洗浄した粘着層表面の表面積で割り、求めた。ここで、残渣が1mg/m
2以上存在すると、粘着層表面と被覆体表面の間に異物が存在することとなり、接触面積を減らし、ファンデルワールス力を低下させる原因となるため、粘着力が低下して好ましくない。添加剤を添加する場合は、高分子型等の添加剤を選択したり、添加量及び添加方法を検討する等して、粘着層への移行、転写がない様にすることが必要である。
【0042】
(離型層)
本発明の粘着フィルムは、基材層の片面に積層された粘着層とは反対面に、非シリコーン系樹脂であるポリプロピレン系樹脂よりなる離型層を形成するが、そうすることよって粘着フィルム同士を重ねても粘着フィルム同士のブロッキングが少なくなる。特に粘着フィルムをロール状態で保管し、その後フィルムを繰出す際にも、フィルムが部分的に伸長したり、変形する等の問題が起き難く、フィルムの加工適性に優れたものとなる。なお、粘着フィルム同士を重ねても粘着フィルム同士のブロッキングが発生しないようにするには、離型層に表面凹凸を形成させ、粘着層との接触面積を小さくすることが有効である。
【0043】
上記のような表面凹凸を形成するには、ポリプロピレン系樹脂に非相溶な樹脂を混合することが有効である。そうすることによって、マット状に表面が荒れた層を形成することができる。なお、ポリプロピレン系樹脂としてプロピレン−エチレンブロック共重合体を使用することによって、非相溶な樹脂を用いることなく同様の効果が期待できる。なお、当然プロピレン−エチレンブロック共重合体にさらに非相溶な樹脂を添加することも可能である。
【0044】
ポリプロピレン系樹脂に非相溶な樹脂としては、低密度ポリエチレン、4−メチルペンテン−1系(共)重合体等の炭素数4以上のα−オレフィン(共)重合体が好適に用いられる。その他にも、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと少量のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、ポリスチレン、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。特に4−メチルペンテン−1系(共)重合体はマット状に表面を荒らすだけでなく、フィルム表面の表面自由エネルギーが下がることでさらに剥離性の向上が見込める。
【0045】
本発明の粘着フィルムの粘着面の離型面に対する剥離力は、23℃において、250cN/40mm以下の範囲であることが、粘着フィルムをロール形態とした際のフィルムの繰出し性の点から好ましい。剥離力が250cN/40mmを超えると、粘着フィルムをロール形態とした際のフィルムの繰出しの際にフィルムが部分的に伸長したり、変形する等の問題が生じる。なお、粘着フィルムの粘着面の離型面に対する剥離力の下限は現実的な値として1cN/40mm程度、さらには5cN/40mm程度である。
【0046】
本発明の粘着フィルムのアクリル板に対する最大粘着力を分母に、離型層と粘着層との剥離力を分子に取った際の比は、0.003から0.18の範囲であることがフィルムの粘着力とロール形態とした際のフィルムの繰出し性を両立する点から好ましい。この比が0.18よりも大きいと、フィルムのアクリル板に対する粘着力と、離型層と粘着層との剥離力とが近い値となり、粘着力が不充分で被覆体によっては粘着力を示さない、もしくは剥離力が高く、ロール形態とした際のフィルムの繰出し性が悪くなる等の問題を生じる。この比の下限は現実的な値として0.003程度となる。なお、前記したように、上記比は、測定の際の試料の幅を勘案して計算する。好ましくは、0.01から0.18の範囲であり、さらに好ましくは0.05から0.15の範囲である。
【0047】
本発明の粘着層の樹脂組成に鑑みると、離型層表面の三次元平均表面粗さSRaを0.10μm以上、0.50μm以下とするのが好ましい。そうすることで耐ブロッキング性と被覆体の保護性能を向上させることができる。離型層の表面粗さが0.10μmより低くなると、フィルムをロール形態とした際のフィルムの繰出し性が悪くなる場合がある。離型層の表面粗さが0.50μmよりも高くなると、離型層の表面凹凸が粘着層の表面に転写し、粘着力が著しく低下する場合がある。このとき、離型層の表面凹凸は、表面の平均表面粗さSRaで0.25μm以上0.45μm以下となる様な表面にすることがより好ましい。
なお、離型層表面の三次元平均表面粗さSRaとは、表面粗さ曲線をサインカーブで近似した際の中心面における平均粗さを意味し、表面粗さ測定装置等により測定できる。
【0048】
(粘着フィルム)
本発明の粘着フィルムの粘着層の厚さは、1μm以上30μm未満であることが好ましい。粘着層の厚さが1μm未満であると、共押出による安定製膜が困難となり、30μm以上であると、コストの面で不利なフィルムとなる。
このとき、粘着力を大きくする場合は、その粘性を考慮し、厚みを大きくするのが好ましい。粘着層の厚みを大きくすることにより、被覆体との接触面積が大きくなりやすい。粘着層の厚さは、2μm以上20μm以下であることが好ましく、さらに3μm以上15μm以下が好ましく、特に4μm以上10μm以下が好ましい。
【0049】
本発明の粘着フィルムの基材層の厚さは、5μm以上100μm未満であることが好ましく、10μm以上75μm以下であることがより好ましく、15μm以上55μm以下であることがさらに好ましい。基材層の厚さが5μm未満であると、腰感が弱くなり、保護フィルムとして被覆体に貼り付けた際にシワ等が入りやすく、粘着力が十分に得られないという問題があり、100μm以上であるとコストの面で不利なフィルムとなる。
【0050】
本発明の粘着フィルムの離型層の厚さは、1μm以上30μm未満であることが好ましい。粘着フィルムの厚さが1μm未満であると、共押出による安定製膜が困難となり、30μm以上であると、コストの面で不利なフィルムとなる。離型層の厚さは、2μm以上、20μm以下であることがより好ましく、3μm以上15μm以下がさらに好ましい。なお、本発明の自己粘着性表面保護フィルムの厚みは10μm以上、150μm以下であるのが好ましく、より好ましくは15μm以上、120μm以下であり、さらに好ましくは20μm以上、100μm以下である。フィルムの総厚みが薄すぎると取り扱いに劣る場合があり、厚すぎると、剛性が高くなり取り扱い性が劣ると共に、コストの面でも不利なフィルムとなる場合がある。
【0051】
本発明の自己粘着性表面保護フィルムは、上記樹脂成分を含む基材層、粘着層、離型層の各層から構成され、各層を構成する樹脂は、例えば単軸、二軸の押出し機等を用いて溶融状態のまま、フィードブロック型やマルチマニフォールド型のTダイに送出され、3層以上で積層押出しされることにより得られる。各層の押出し機の温度は、各層を溶融状態にするために、適宜各層に使用される成分の成形温度を考慮して適宜調節してもよく、例えば200℃〜260℃の範囲で調節してもよい。Tダイの温度は、上記温度と同様であってもよい。
【0052】
本発明の粘着フィルムはロールの形態とするのが取り扱いの上で好適である。フィルムロールの幅および巻長の上限は特に制限されるものではないが、取扱いのしやすさから、一般的には幅1600mm以下、巻長はフィルム厚み40μmの場合で5000m以下が好ましい。また、巻取りコアとしては、通常、3インチ、6インチ、8インチ等のプラスチックコアや金属製コアを使用することができる。
また、加工の適性から長さ100m以上、幅450mm以上の寸法で巻き取ったフィルムロールであることが好ましい。
【0053】
本発明の粘着フィルムは、光学用途に用いられているプリズムシート等の部材、合成樹脂板(例えば建築資材用)、ステンレス板(例えば、建築資材用)、アルミ板、化粧合板、鋼板、ガラス板、家電製品、精密機械および、製造時の自動車ボディーの表面を保護するため、物品を積み重ねたり、保管したり、輸送したり、製造工程で搬送する際の傷付きから保護するため、ならびに、物品を二次加工する(たとえば、曲げ加工やプレス加工)際の傷付きから保護する場合に用いることができる。
【0054】
本願は、2012年10月5日に出願された日本国特許出願第2012−223642号と2013年3月28日に出願された日本国特許出願第2013−069822号に基づく優先権の利益を主張するものである。上記日本国特許出願第2012−223642号と上記日本国特許出願第2013−069822号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【実施例】
【0055】
次に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない限り下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における物性の評価方法は以下の通りである。
【0056】
(1)粘着性の評価
JIS−Z−0237(2000)粘着テープ・粘着シート試験方法に準拠して下記の方法にて測定した。
被覆体として、アクリル板(三菱レイヨン製:アクリライト(登録商標)3mm厚)50mm×150mm、プリズムシート(レンズ部は三角柱からなり、三角柱の高さは25μm、三角柱の幅は50μm)50mm×150mmを準備し、試験片として、フィルム製造時の巻き取り方向に150mm、それとは直交する方向に25mmの試験片を切り出し、質量2000gのゴムロール(ローラ表面のスプリング硬さ80Hs、厚さ6mmのゴム層で被覆された、幅45mm、直径(ゴム層を含む)95mmのもの)を用いて、5mm/秒の速さで1往復させて、被覆体上に試験片を圧着した。圧着後、温度23℃、相対湿度65%の環境下で30分放置したものを、島津製作所製「オートグラフ(登録商標)」(AGS−J)を用いて、300mm/分の速度で180度剥離した際の抵抗最大値を粘着力[cN/25mm]とした。180度剥離とは、剥離時の抵抗値を測定する際のアクリル板とフィルムの剥離角度を180度に保持することを意味する。
測定の際は測定試料のつかみ代として厚み190μm、サイズ25mm×170mmのポリエステルシートを準備し、上記、粘着フィルムとアクリル板を圧着した測定試料の粘着フィルム側の端に、のり代15mmの幅でセロハンテープにて貼り付けて、測定の際のつかみ代とした。測定試料の模式図を
図1に示す。測定は一つのサンプルに関して3回実施し、その平均値をそのサンプルの粘着力とした。
【0057】
(2)レジンのMFR測定
JIS−K7210に準拠して測定を行った。
【0058】
(3)レジンの曲げ弾性率測定
ASTM D747−70に準拠して測定を行った。
【0059】
(4)スチレン系エラストマー中のエチレン成分の測定
レジンサンプル約330mgを、重クロロホルムに溶解し、
13C−NMR(BRUKER製、AVANCE500)測定した。得られた測定結果より、スチレン系エラストマー中のエチレン成分量を同定した。
【0060】
(5)剥離力の評価
アクリル板(三菱レイヨン製:アクリライト(登録商標)3mm厚)50mm×150mm全面に両面接着テープ(日東電工製)を貼付け、両面接着テープの他面に試験片の粘着面が来るように150mm(フィルム製造時の巻き取り方向)×50mm(フィルム製造時の巻き取り方向とは直交方向)の試験片を貼付けた。
新たに試験片として、フィルム製造時の巻き取り方向に150mm、それとは直交する方向に40mmの試験片を切り出し、その粘着面とアクリル板に両面接着テープを介して貼付けた試験片の離型面を重ね合わせた後、質量2000gのゴムロール(ロール表面のスプリング硬さ80Hs、厚さ6mmのゴム層で被覆された、幅45mm、直径(ゴム層を含む)95mmのもの)を用いて、5mm/秒の速さで1往復させて、離型面と試験片を圧着した。圧着後、巻き取り方向に100mm、それとは直交する方向に40mmの合計面積4000mm
2に60kgの荷重を掛け、温度40℃、相対湿度65%の環境下で24時間放置後、23℃まで冷却したものを、島津製作所製「オートグラフ(登録商標)」(AGS−J)を用いて、300mm/分の速度で180度剥離することにより剥離力を評価した。
測定の際は測定試料のつかみ代として厚み190μm、サイズ40mm×170mmのポリエステルシートを準備し、150mm×40mmの試験片の端に、のり代15mmの幅でセロハンテープにて貼り付けて、測定の際のつかみ代とした。測定は試験片の圧着部100mmの内、40mmから60mm剥がした際の抵抗値の平均値をその試験片の剥離力[cN/40mm]とした。測定は3回実施し、その平均値を最終的な剥離力とした。
【0061】
(6)アクリル板に対する最大粘着力を分母に、離型層と粘着層との剥離力を分子に取った際の比
測定の際の試料の幅を勘案して計算する。具体的には、上記(5)での剥離力の値を25/40倍した値を分子に取って計算した。
【0062】
(7)ロールからの繰出し性
550mm幅、500m巻きのフィルム巻回体をスリットで得た後、温度23℃、湿度75%の遮光環境下で、7日間ロール状態で保管した。この保管ロールに関して、他のプラスチックコア(直径9cm)に300m巻返した直後にフィルム端部を手で把持して引っ張り、3m巻き戻した。巻き戻した際にフィルムに部分的な伸長もしくは変形があるかどうかを目視確認した。部分的な伸長もしくは変形がなかったものを○(良好)、部分的な伸長もしくは変形があったものを×(不良)とした。
【0063】
[実施例1]
(基材層の作製)
ホモポリプロピレン樹脂(住友化学製:FLX80E4、230℃MFR:7.5g/10min)100質量%を90mmφ単軸押出し機にて240℃で溶融押出しして基材層とした。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)40質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:CX3007、190℃MFR:3.7g/10min、曲げ弾性率:26MPa)50質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)10質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
(離型層の作製)
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(日本ポリプロピレン製:BC3HF)90質量%と低密度ポリエチレン樹脂(宇部興産製:R300)10質量%を65mmφ単軸押出し機にて230℃で溶融押出しして離型層とした。
(フィルムの作製)
基材層、粘着層、離型層それぞれが各押出し機にて溶融された状態のまま、245℃の3層Tダイ(フィードブロック型、リップ幅850mm、リップギャップ1mm)内で積層押出しを行った。押出したフィルムを温度30℃のキャスティングロールへ20m/min速度で引取り、冷却固化して、基材層厚みが28μm、粘着層厚みが6μm、離型層厚みが6μm、フィルム幅が600mm、フィルム長さが1100mの3種3層未延伸フィルムを得た。さらにこのフィルムを、引取張力を40Nとし、ゴムロールでフィルム幅に対し50N接圧をかけて、50m/minの速度でスリットすることで、フィルム幅が550mm、フィルム長さが500mの未延伸フィルムを得た。
【0064】
[実施例2]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)60質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:CX3007、190℃MFR:3.7g/10min、曲げ弾性率:26MPa)40質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0065】
[実施例3]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)40質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:VL100、190℃MFR:0.8g/10min、曲げ弾性率:64MPa)50質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)10質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0066】
[実施例4]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1041、スチレン成分比30質量%、エチレン成分比49質量%、230℃MFR:5.0g/10min)85質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:CX3007、190℃MFR:0.8g/10min、曲げ弾性率:26MPa)5質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)10質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0067】
[実施例5]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更し、基材層厚みを24μm、粘着層厚みを10μm、離型層厚みを6μmとした以外は実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)50質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:CX3007、190℃MFR:3.7g/10min、曲げ弾性率:26MPa)37質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)13質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0068】
[実施例6]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更し、基材層厚みを30μm、粘着層厚みを4μm、離型層厚みを6μmとした以外は実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)40質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:CX3007、190℃MFR:3.7g/10min、曲げ弾性率:26MPa)55質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)5質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0069】
[比較例1]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)70質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:CX3007、190℃MFR:3.7g/10min、曲げ弾性率:26MPa)20質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)10質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0070】
[比較例2]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)70質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:VL100、190℃MFR:0.8g/10min、曲げ弾性率:64MPa)20質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)10質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0071】
[比較例3]
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)20質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:CX3007、190℃MFR:3.7g/10min、曲げ弾性率:26MPa)70質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)10質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0072】
[比較例4]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレン系エラストマー(旭化成ケミカルズ製:タフテック(登録商標)H1221、スチレン成分比12質量%、エチレン成分比18質量%、230℃MFR:4.5g/10min)40質量%とホモポリプロピレン(住友化学製:FLX80E4、190℃MFR:7.5g/10min)50質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)10質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0073】
[比較例5]
基材層、離型層は実施例1のまま、粘着層を下記の内容に変更して、実施例1と同様の製法で3種3層の未延伸フィルムを得た。
(粘着層の作製)
スチレンとブタジエンのランダム共重合体の水素添加体(JSR製:ダイナロン(登録商標)1320P、スチレン成分比10質量%、エチレン成分比22質量%、230℃MFR:3.5g/10min)80質量%と石油樹脂(荒川化学工業製:アルコン(登録商標)P125)10質量%とエチレン・α−オレフィン共重合体(住友化学製:CX3007、190℃MFR:3.7g/10min、曲げ弾性率:26MPa)10質量%を40mmφ単軸押出し機にて210℃で溶融押出しして粘着層とした。
【0074】
上記結果を表1、2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
表1から明らかなように実施例1〜6で得られたフィルムは保護フィルムとして使用した際に実用上充分な粘着力を有し、フィルムをロールとして繰り出した際の繰出し性も良好であった。
【0078】
一方、比較例1、2及び5で得られたフィルムは、フィルムをロールとして繰り出した際の繰出し性が良好とは言えなかった。比較例3及び4で得られたフィルムは、被覆体への粘着力が充分とは言えなかった。このように比較例で得られたフィルムはいずれも品質が劣り、実用性が低いものであった。