(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポートコネクタ本体の各々の前記通路が軸中心線を画定し、さらに、前記軸中心線の各々の前記一次ルーメンの中心軸との交点が、90°未満の延在角度を形成する、請求項7に記載のリザーバデバイス。
前記ダウンチューブに対する前記第1のポートコネクタ本体の配設が、前記通路を通る500mL/分未満のポート流量で、前記第1のポートコネクタ本体からの流体流れが、前記一次ルーメンを通って流れる流体中に乱流を誘発しないように構成される、請求項1に記載のリザーバデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理による体外血液回路リザーバ20を、
図1Aおよび1Bに示す。リザーバ20は、ハウジング22および静脈入口アセンブリ24を含む。一部の実施形態では、本開示のリザーバは、心臓切開手術用リザーバと静脈リザーバとの組み合わせとして機能することが可能であり、
図1Aおよび
図1Bは、オプションの心臓切開手術用アセンブリ26を反映している。静脈構成要素の詳細は、以下に提供する。しかしながら、大まかに言えば、ハウジング22は、主チャンバ28を画定する。静脈入口アセンブリ24は、ハウジング22によって維持されて、静脈チャンバ30を形成するが、このチャンバを通って、静脈ダウンチューブ32からの静脈血液流れが、主チャンバ28中に方向付けられる。1または2以上のルアーポート34が、静脈ダウンチューブ32から延在して、他の補助回路構成要素から静脈ダウンチューブ32中への血液の送達を容易化する。提供される場合、心臓切開手術用アセンブリ26もまた、ハウジング22に保持されて、心臓切開手術用チャンバ36を確立し、このチャンバを通って、1または2以上の心臓切開手術用入口ポート38からの心臓切開手術血液流れが、主チャンバ28中に方向付けされる。心臓切開手術用アセンブリ26が含まれるかどうかとは無関係に、本開示の一部の態様は、静脈ダウンチューブ32とルアーポート34との間の関係に関し、これが、ルアーポート34を通る血液流れの、ダウンチューブ32を通る一次静脈血液流れとの静かで実質的に非乱流の合流を確立する。静脈ダウンチューブ32に対するルアーポート34のこの関係または配設とは別として、リザーバ20は、非常に様々な他の形態をとり得る。例えば、本開示の実施形態で有用なリザーバの特徴が、米国特許公開第2010/0268148号(「Cardiotomy and Venous Blood Reservoir and Method」という題名)に記述されているが、その教示を参照して本明細書に組み込む。したがって、本開示は、以下に説明するように、ハウジング22、静脈入口アセンブリ24、または心臓切開手術用アセンブリ26には限られない。
【0012】
さらに
図2を参照して、ハウジング22は、様々な形態をとり得るが、一部の実施形態では、フレーム40、蓋42、およびタレット44を含む。フレーム40および蓋42は組み合わさって主チャンバ28を画定し、蓋42およびタレット44は、心臓切開手術用入口ポート38などの1または2以上のポートを保持する。
【0013】
フレーム40は、上部側部50および下部側部52を画定する中空の本体である。蓋42は上部側部50に組み立てられ、下部側部52は、オプションとして、輪郭形成された形状を有し、さもなければ主チャンバ28に流体接続される排出ポート54で終端する。フレーム40は図示する概して円筒形状を有し得るが、箱形状などの他の形状も容認可能である。オプションとして、フレーム40は、介護人の手によって便利に把持されるような寸法のハンドルセグメント56を形成する。関連する実施形態では、ハンドルセグメント56は、オプションとして、例えば、ハンドルセグメント56を通って形成されたチャネル58を介して、リザーバ20の個別の支持構造(例えば、点滴スタンドなどのまっすぐな支柱)に対する装着を容易化するように構成される。
【0014】
蓋42は、フレーム40に装着され(または、代替的にはその一部として形成され)、ルアーコネクタ、換気コネクタ、圧力逃し弁ハウジングコネクタなどの1または2以上のコネクタ60を保持または画定する。さらなるコネクタを形成するまたはこれに蓋42を備えることが可能である、および/または図示するコネクタ60のうちの1つまたは全てを省略することが可能である。さらに、蓋42は、オプションのチューブ管理アセンブリ64を選択的に受容して保持するように構成された取り付け金具62を形成し得る。とにかく、蓋42は、以下に説明するように、タレット44を回転可能に受容するような寸法の第1のアパーチャ66と、静脈アセンブリ24の対応する構成要素を回転可能に受容するような寸法の第2のアパーチャ68とを形成する。この点で、第1および第2のアパーチャ66、68は各々が、蓋42に対して、それぞれ、タレット44および静脈アセンブリ構成要素の回転可能な装着を促進するようにオプションとして構成されたリッジ70、72(
図2に最もよく示す)によって囲まれている。
【0015】
タレット44は、一部の実施形態では、心臓切開手術用入口ポート38、ルアーコネクタ82、一次コネクタ84などの一連のコネクタを保持するハブ80を含む。これより多いまたは少ないコネクタに、他の実施形態ではタレット44を備えることが可能である。とにかく、タレット44を蓋42の第1のアパーチャ66内で組み立てると、タレット44は、蓋42に対して(および、したがってフレーム40に対して)回転可能である。
【0016】
蓋42および/またはタレット44は、上述のそれとは異なる構成を有し得る。例えば、回転可能な特徴部は、オプションであって省略可能である。大まかに言えば、ハウジング22は、主チャンバ28と、リザーバへの静脈血液および心臓切開手術血液用の流路またはポートを確立し、リザーバ20からの処理された血液用の流路またはポートを確立する。
【0017】
静脈アセンブリ24は、静脈入口サブアセンブリ90、ボウル92、(
図1B)静脈フィルター94(
図1Bおよび2に一般的に参照される)、および静脈消泡器96を含む。大まかに言えば、静脈血液および他の血液は、静脈入口サブアセンブリ90からボウル92に、次に静脈フィルター94に方向付けされる。静脈消泡器96は、ボウル92内に蓄積された血液と関連するあらゆる泡と相互作用するように位置付けされる。より具体的には、ボウル92および静脈フィルター94は組み合わさって、静脈チャンバ30の少なくとも一部を画定し、静脈消泡器96は、静脈チャンバ30内での泡すすぎに晒される。
【0018】
静脈入口サブアセンブリ90は、ダウンチューブ32、ルアーポート34、および装着取り付け金具100を含む。装着取り付け金具100は、静脈入口サブアセンブリ24の蓋42の第2のアパーチャ68との組み立てを容易化する。ダウンチューブ32は、対向する入口端部と出口端部104、106間に延在しこれらの端部で開放している一次ルーメン102を形成または画定する。これらの慣例を念頭に置くと、ダウンチューブ32は、入口端部104に隣接する入口セクション108と、出口端部106に隣接する出口セクション110とを概して画定するものであると述べることが可能である。最終的に組み立てられると、入口セクション108は、ハウジング22の外部に置かれ、一方、出口セクション110は、ハウジング22の内部に置かれる。
【0019】
ダウンチューブ32の入口セクション108を含む静脈入口サブアセンブリ90は、
図3A〜
図3Cにより詳細に示す。
図3Cは、さもなければ入口端部104で開放されているダウンチューブの一次ルーメン102をより完全に示す。一次ルーメン102は、中心軸Cを画定する。
図3Cに示す入口セクション108の部分に少なくとも沿って、一次ルーメン軸Cは、線形であり得る。
【0020】
ルアーポート34は各々が、コネクタ本体112およびルアーアダプタもしくは接続金具114(
図3Bおよび3Cの図では省略されている)を含む。基準点として、
図3A〜
図3Cに反映されている静脈入口サブアセンブリ90は、ルアーポートコネクタ本体112のうちの2つ112a、112bを含むが、これより多いまたは少ない任意の他の数も容認可能である。とにかく、ポートコネクタ本体112a、112bの各々は、対応するルアーアダプタ114に対して組み立てるように構成された受容端部116を形成または画定する。
【0021】
ルアーポートコネクタ本体112a、112bおよび、特に、ダウンチューブ32に対するそれらの関係もしくは配設は、同一であり得るため、第1のルアーポートコネクタ本体112aの次の記述は、第2のコネクタ本体112bにも等しくあてはまる。
図3Cを詳細に参照すると、ポートコネクタ本体112aは、筒形状を有し、内部通路120を画定または形成している。通路120は、例えば、ダウンチューブ32の壁の厚さを通過する流れ開口部122を介して、ダウンチューブ32の一次ルーメン102に対して流体的に開放されている。したがって、受容端部116でポートコネクタ本体112a中に導入された流体流れは、通路120を通って一次ルーメン102中に方向付けされる。一部の実施形態では、コネクタ本体112a、および、したがって通路120は、ダウンチューブ32からの延在の全体にわたって線形である。とにかく、一次ルーメン102中への流れ開口部122は、ダウンチューブ入口端部104の下流で形成され、通路120の軸中心線Aは(少なくとも流れ開口部122で)、
図3Cに反映されているように、一次ルーメン102の中心軸Cに対して非垂直である。別な言い方をすれば、延在角度αは、軸中心線Aの中心軸Cとの交点によって形成される。延在角度αは、90°未満であり、一部の実施形態では、1°〜85°の範囲にあり、他の実施形態では15°〜75°の範囲にある。
【0022】
一次ルーメン102に対する内部通路120の角度付きの(すなわち、非垂直の)関係が、ポートコネクタ本体112aからの液体流れの一次ルーメン102中の既存の一次液体流れ(すなわち、入口端部104に送達され、したがって、ポートコネクタ本体流れ開口部122の上流にある液体流れ)との非乱流合流を促進する。例えば、
図4Aは、ダウンチューブ32の入口セクション108と、ルアーポートコネクタ本体112a、112bを通る液体流れの簡略化された略図である。基準点として、体外血液回路内で用いられるとき、静脈血液は、入口端部104(一般的な言及)で一次ルーメン102に入るが、
図4Aの矢印Vは、一次ルーメン102に沿った静脈血液の(すなわち一次の)流路を表している。二次血液流れ(例えば、動脈フィルターパージ流れ)は、二次流路矢印S
1、S
2で表されるように、ルアーポートコネクタ本体112a、112b中に方向付けされる。
図4Aに示すように、二次流路S
1、S
2は、対応する流れ開口部122を介して、一次流路Vに対して非垂直角度で一次ルーメン102に入る。この角度付き関係は、二次流路S
1、S
2に沿って入ってくる二次血液流れが、一次流路Vに沿って移動する静脈血液中に乱流を誘発する可能性を減少させる。
【0023】
図4Aは、ルアーポートコネクタ本体112a、112bがダウンチューブ32に対して長手方向で整列している(すなわち、対応する流れ開口部122が整列している)ことを反映しているが、他の実施形態では、ルアーポートコネクタ本体112a、112bは長手方向にずらすことが可能である。同様に、ルアーポートコネクタ本体112a、112bならびに対応する内部通路120は、線形であるとして示されているが、他の実施形態では、1または2以上の屈曲部を、ダウンチューブ32から延長線上で、ルアーポートコネクタ本体112a、112bの一方または双方の長さに沿って生じさせることが可能である。これらの代替的な構造によって、ポートコネクタ本体軸中心線Aによって画定されるような非垂直延在角度α(
図3C)は、上述したように、少なくとも流れ開口部122で提示される。
【0024】
図4Bは、第1および第2のルアーポートコネクタ本体112a’、112b’と共に、上述した静脈ダウンチューブ32の入口セクション108を含む別の実施形態の静脈入口サブアセンブリ90’の一部分を略図で示す。ルアーポートコネクタ本体112a’、112b’は、ダウンチューブ32から延在し、各々が、対応する流れ開口部122a’、122b’を介して一次ルーメン102に対して流体的に開放している内部通路120a’、120b’を画定する。
図4Bに暗示される構造によって、ルアーポートコネクタ本体112a’、112b’はダウンチューブ32から非線形的に延在する。別な言い方をすれば、内部通路120a’、120b’によって画定される軸中心線A’は、非線形すなわち湾曲している。この構造によって、ルアーポートコネクタ本体112a’、112b’の入口側部124a、124bは、一次ルーメン102の中心軸C(
図3C)に対して実質的に垂直に配設することが可能である。しかしながら、ルアーポートコネクタ本体112a’、112b’は、対応する流れ開口部122a’、122b’において、対応する軸中心線A’が、一次ルーメン102に対して角度が付いているすなわち非垂直であるように、構成し、配設される。その結果、二次流路S
1’、S
2’に沿った二次血液流れは、一次流路Vに沿った静脈血液流れと穏やかに合流し、誘発される乱流は、もしあったとしても最小になる。
【0025】
図3A〜
図3Cに戻ると、静脈入口サブアセンブリ90は、ダウンチューブ32から突出するさらなるポートを含むことが可能である。例えば、温度サンプリングポート130を、ルアーポートコネクタ本体112a、112bに隣接するダウンチューブ32に組み立てることが可能である。温度サンプリングポート130は一次ルーメン102に対して流体的に開放されているが、対応する内部通路は、一次ルーメン102に対して垂直に配設されたりされなかったりし得る。温度サンプリングポート130は液体流れを一次ルーメン102中に送達するために用いられているわけではないため、ルアーポートコネクタ本体112a、112bによって対処される乱流という懸案は存在しない。例えば、鞘(図示せず)は、温度プローブ(図示せず)と結合する温度サンプリングポート130中に埋め込むことが可能であり、これで、温度サンプリングポート130を一次ルーメン102から流体的に隔離する。
【0026】
図1A〜
図2に戻ると、静脈アセンブリ24の残余の構成要素は、図面に暗示し得るまたは暗示し得ない様々な形態をとることが可能である。例えば、ボウル92は、床表面150を形成し、一部の構造では、ハウジング22の一体形成された構成要素であり、代替的には、ハウジング22およびボウル92は、個別に形成して、次いで組み立てることが可能である。床表面150は、静脈血液流れを静脈チャンバ30内で誘導するまたは方向付けするように働き、そのため、静脈チャンバ30は、ダウンチューブ32の出口端部106での入口および静脈フィルター94での出口を有するものと見なすことが可能である。床表面150は、オプションとして、
図1Bに反映されている輪郭形成された領域(例えば、傘形状)を形成するが、他の様々な形状も容認可能である。図示する1つの実施形態では、ボウル表面150の湾曲は、ダウンチューブ32から静脈フィルター94への接線方向移行によって泡を上方に方向付けするように構成される。このオプションの特徴は、乱流を防止または最小化して、泡の完全性を維持する。
【0027】
静脈フィルター94は、篩材料(例えば、105ミクロンの篩)などの静脈血液フィルタリング用に従来用いられてきた形式に釣り合った形態をとることが可能である。一部の構造では、静脈フィルター94は、環状のリングとして形成されたひだのある篩である。静脈フィルター94は、ケージ164に組み立てることが可能であり、これが次に、図示するようにボウル92に装着される。リング形状の静脈フィルター94は、形状が概して円筒形であり得るかまたはテーパー形状を有し得る。
【0028】
静脈消泡器96は、オプションとしてシメチコンなどの泡止め剤で被覆された静脈血液消泡目的で従来用いられている材料(例えば、ポリウレタン発泡体)で形成される。一部の実施形態では、ケージ164は、ダウンチューブ出口端部106から長手方向に離間した位置でダウンチューブ32の周りで静脈消泡器96に保持されるように構成される。静脈消泡器96の他の構造および配設もまた想定される。例えば、静脈消泡器96は、ダウンチューブ32に直接に装着することが可能である。さらに別の実施形態では、静脈消泡器96は省略することが可能である。
【0029】
上記の構造では、ダウンチューブ32中への静脈血液流れは、一次ルーメン102によって出口端部106に方向付けされる。静脈血液は次に、出口端部106から、ボウル92の床表面150上に分注される。静脈血液はボウル92内に蓄積し、床表面150は、静脈血液流れを静脈フィルター94に方向付けし、ここで、静脈血液が主チャンバ28に入る前に適切な濾過が発生する。上述したように、ボウル床表面150のオプションとしての傘様形状が、乱流を最小化し、泡の完全性を維持するが、それは、血液流れがダウンチューブ32から静脈フィルター94に移行するからである。静脈消泡器96の先端部170は、静脈血液が静脈消泡器96と不必要に相互作用しないように、上記の静脈血液流路からずらされている。むしろ、静脈チャンバ30内の静脈血液と関連するいかなる泡も、上方向に上ってからやっと、静脈消泡器96と接触して、所望の消泡を達成する。
【0030】
心臓切開手術用アセンブリ26は、提供される場合、一部の実施形態では、静脈アセンブリ24からずれている。
図1Bに最もよく示すように、心臓切開手術用アセンブリ26は、フレームワーク200、ディッシュ202、心臓切開手術用フィルター204、および心臓切開手術用消泡器206を含み得る。大まかに言えば、フレームワーク200は、心臓切開手術用フィルター204および心臓切開手術用消泡器206を保持する。ディッシュ202は、心臓切開手術液体流れを心臓切開手術用入口ポート38からフレームワーク200に方向付けし、フレームワーク200は次に、心臓切開手術液体流れを、誘導表面208を介して心臓切開手術用フィルター204に方向付けする。フィルタリングされた心臓切開手術液体は、次いで、以下に説明するように主チャンバ28に方向付けされる。さらに、心臓切開手術用消泡器206は、心臓切開手術用チャンバ36に送達され、これによって保持される心臓切開手術液体の主として泡部分と選択的に相互作用するように位置付けされる。
【0031】
フレームワーク200は、様々な形態をとり得るし、一部の構造では、内側支柱212、床214、および外側フレーム216を含む。内側支柱212は、直径が先端部220から床214にかけて徐々に増す、図示するように概して円筒形状を取り得る。先端部220は、ディッシュ202からの液体の非乱流流れを促進するように丸めることが可能であり、支柱212の外側誘導表面208は平滑である。フレームワーク200は、ハウジング22と一体的に、かつ均一に形成する、または、ハウジング22とは分離して形成して次いでこれに対して組み立てることが可能である。
【0032】
床214は、内側支柱212から半径方向外向きかつ下向きに延在し、一部の構造では、心臓切開手術用フィルター204の一部分を保持するように適合される。床214は、
図1Bに反映される、静脈アセンブリ24に向かう一般的な流れ方向を画定する角度付き構成を取ることが可能である。代替的には、他の形状および/または流れ方向もまた容認可能である。
【0033】
外側フレーム216は、内側支柱212の反対側の床214から延在し、心臓切開手術用消泡器206を支持し、かつ保持するように構成される。また、外側フレーム216は、心臓切開手術用フィルター204を支持する支援と成り得る。
【0034】
心臓切開手術用フィルター204は、心臓切開手術血液の濾過目的で従来用いられてきたタイプのものであり得るし、したがって、フェルト材料(例えば、30ミクロンの奥行きまたはメッシュのフィルター)であり得る。一部の構造では、心臓切開手術用フィルター204は、リングとして形成され、フレームワーク200を囲んでいるひだ付きの奥行きまたはメッシュのフィルターである。
【0035】
心臓切開手術用消泡器206は、心臓切開手術液体の消泡に従来用いられてきたタイプ(例えば、ポリウレタン発泡体)のものでもあり、床214から離間されるようにフレームワーク200に組み立てられる。この構造で、床214に沿った心臓切開手術液体の流れは、心臓切開手術用消泡器206と必ずしも相互作用する必要はない。
【0036】
ディッシュ202はじょうご様形状を有し得て、中心アパーチャ230(一般的な言及)を形成している。中心アパーチャ230は、内側支柱212を中心として同軸的に配置され、心臓切開手術液体流れを、アパーチャ230を介して心臓切開手術用入口ポート38から誘導表面208に方向付けするように構成される。最終的に構成されると、内側支柱212および心臓切開手術用フィルター204は組み合わされて、心臓切開手術用チャンバ36を少なくとも部分的に画定し、誘導表面208および床214は、心臓切開手術用チャンバ36を通る流路を画定する。
【0037】
より特定的には、心臓切開手術用入口ポート38を介してリザーバ20に入る心臓切開手術液体は、ディッシュ202によって内側支柱212に方向付けされる。心臓切開手術液体は、中心アパーチャ230を介してディッシュ202から誘導表面208に移動する。心臓切開手術液体は(重力によって)、誘導表面208に沿って、心臓切開手術用フィルター204に流れる。さもなければ心臓切開手術用フィルター204の「背後の」誘導表面208に沿って蓄積する心臓切開手術液体と関連するいかなる泡も、上向きに上って、心臓切開手術用消泡剤206と接触する。心臓切開手術液体は、次いで、心臓切開手術用フィルター204によってフィルタリングされ、次に、フィルタリングされた静脈血液とより完全に混合されるように、主チャンバ28に方向付けされる。
【0038】
心臓切開手術用アセンブリ26は、上記のものと構造または構成が異なることがあり得る。例えば、心臓切開手術用アセンブリ26は、静脈アセンブリ24に対して積層された構造を有し得る。さらに別の実施形態では、心臓切開手術用アセンブリは、完全に省略することが可能である。
【0039】
リザーバ20が心臓切開手術用アセンブリ26を組み込むかどうかとは無関係に、リザーバ20は、概して
図5に示すように、体外血液回路300に組み込むことが可能である。回路300は、患者302に接続されるが、一般的に、ポンプ304、人工心肺306、および動脈フィルター308を含む。静脈カニューレ310(一般的な言及)は、静脈血液を、静脈ライン312を介して患者302からリザーバ20に送達する。心臓切開手術用ライン314は、心臓切開手術用流れを、直接にリザーバ20にまたは、個別の心臓切開手術用リザーバに方向付けするが、そのリザーバの出力がリザーバ20に送達される。とにかく、ポンプ304は、リザーバ20から人工心肺306(熱交換器特徴部を組み込んだり組み込まなかったりし得る)への血液流れを制御する。最終的に、酸素添加された血液流れは、人工心肺306から動脈フィルター308に方向付けされ、次に、復帰ライン316および動脈カニューレ318を介して患者302に戻るように方向付けされる。
図1Bおよび5を相互参照すると、静脈ライン312は、静脈ダウンチューブ32の入口端部104と流体的に結合されている。動脈フィルター308を備えているパージポート320は、ルアーポート34のうちの1つに流体的に接続されている。この点で、パージポート320は、選択されたルアーポート34に直接に接続することが可能である。代替的には、サンプリングマニホルド(図示せず)を提供することが可能である。サンプリングマニホルドの動脈ラインは、動脈フィルターパージポート320に接続され、サンプリングマニホルドの静脈ラインは選択されたルアーポート34に接続される。回路300の他の構成要素もまた、ルアーポート34のうちの選択された1つに接続することが可能である。例えば、
図5は、ルアーポート34のうちの第2のものに(直接的にまたはオプションのサンプリングマニホルドを介して)流体的に接続されている人工心肺306と関連するパージポート322を反映している。代替的には、他の補助装置(例えば、血液濃縮器)を、ルアーポート34のうちの選択された1つに接続することが可能である。さらに別の応用物では、利用可能なルアーポート34のうちの1または2以上を不使用にして、したがって流体的に閉じられる。
【0040】
体外血液回路300の動作中、患者302からの静脈血液流れは、ダウンチューブ32に入り、選択されたルアーポート34を介してダウンチューブ32に入る補助血液流れと混合される。ダウンチューブ32の一次ルーメン102に対する対応するルアーポートコネクタ本体112の角度の付いた(すなわち、非垂直の)配設のため、補助血液流れのダウンチューブ32内での静脈血液流れとの合流による乱流は、たとえ存在しても、最小化される。その結果、ダウンチューブ32中への静脈血液流れによって運ばれる全体の気泡は、あからさまには破裂せず、リザーバ20から容易に除去される。大まかに言えば、気泡全体は、リザーバ20中(例えば、静脈チャンバ30内)の液体の表面に浮遊し、排出口を介して大気中に散逸する。角度付きルアーポートコネクタ本体112が、GMEの除去をより困難にする気泡全体の発生を最小化する。リザーバ20の全体的なGME成績が向上し、より大きい孔寸法の静脈フィルター94が実装可能となり、これによって、血液損傷が最小化される(また、動的なホールドアップも軽減可能である)。
【0041】
ルアーポートが対応する静脈ダウンチューブに対して全く垂直である従来の構造と比較して本開示の角度付きルアーポートの性能を評価するために試験が実施された。特に、リザーバは、
図1Bの構成に従って構築され、同様に、比較用のリザーバは、ルアーポートが、静脈ダウンチューブルーメンに対して90°の角度で配設されたことを除けば実質的に同じ構造を有していた。サンプル用のリザーバおよび比較用リザーバは、100mL/分で連続的な空気のボーラスが、4.5L/分のグリセロール流量でダウンチューブに送達される試験に供された。さらに、グリセロールが、様々な流量で、ルアーポートの一方または双方に連続的に送達された。2分間の試験期間の経過にわたって、静脈フィルターを通過する空気の量(マイクロリットル)が、測定されて記録された。試験の結果を
図6に示す。図示するように、より多量の(静脈フィルターを通過する)空気が、垂直のルアーポートの比較例の場合に見受けられ、次いで、本開示の角度付きルアーポート構造の場合で立証された。例えば、補助液体流れが500mL/分の速度で双方のルアーポート中に導入された場合、角度付きルアーポートを組み込んだサンプルリザーバと比較して、6倍を超える量の空気が、従来のすなわち比較例のリザーバの静脈フィルターを通過した。この発見は、乱流に晒される静脈ダウンチューブを通る一次液体流れによって運ばれる気泡全体が、その寸法(例えば、GME)が減少し、したがって、静脈フィルターを通過することが可能であることを示している。
【0042】
本開示の他の実施形態は、リザーバの動的ホールドアップ性能を向上させ得る静脈アセンブリ24(
図1B)での1または2以上のオプションの構成要素を提供する。基準点として、動的ホールドアップのためには、第一の目標は、血液がリザーバを通って流れている間に、灌流技師にとって入手可能でない血液の量を減少させることである。リザーバの静脈部分の場合、これは、高い流量(例えば、7L/分)で開放するときに静脈フィルターまたはスクリーンによって渋滞させられる血液の量、またはより簡単には、リザーバ/主チャンバ中の液体レベルを超える静脈チャンバ(または静脈ケージ)内の液体の量として定義される。
【0043】
これらを念頭に置いて、
図7は、本開示のリザーバで役に立つ代替の静脈アセンブリ24’の一部分を示す。静脈アセンブリ24’は、上述の静脈アセンブリに類似していて、ダウンチューブ32、ボウル92、およびケージ164(静脈フィルター(図示せず)を支持する)を含む。加えて、ダウンチューブ出口端部106から近接して延在する体積ディスプレーサー400が、ダウンチューブ32の周りに形成される。体積ディスプレーサー400は、中実で、管状の本体であり、ケージ164から(そして次にそれによって担持される静脈フィルターから)半径方向に離間されている。再循環経路402が、ダウンチューブ32と体積ディスプレーサー400との間でオプションとして画定される(また、再循環ポート(図示せず)と流体連通している)。代替的には、体積ディスプレーサー400は、ダウンチューブ32に直接に当接し得る。とにかく、体積ディスプレーサー400は、原則として、ダウンチューブ30とケージ164との間の解放体積を減少させる(すなわち、体積ディスプレーサー400がなければ、利用可能なスペースすなわち体積はより大きくなる)。この配設では、体積ディスプレーサー400は、実質的に全てのリザーバ液体レベルで動的ホールドアップを改善し、乱流を惹起させない。
図7に反映されるように、体積ディスプレーサー400は、気泡Bを静脈フィルターの表面に方向付けする(さもなければケージ164に保持される)。静脈ケージの表面に直接向かう泡Bの流路は、体積ディスプレーサー40に、泡Bが乱流中を循環するのを妨げる羽根を追加することによってさらに向上する。とにかく、体積ディスプレーサー400は、泡Bを、それが分裂してGMEになる可能性が出る前に、表面に向かって加速させる働きをする(断面積は小さいほど流速が高い)。
【0044】
本開示のリザーバは、以前の設計にない画期的な向上を提供する。静脈ダウンチューブを持つ角度付きルアーポートを組み込むことによって、本開示のリザーバは、対応するルアーポートを通って連続的なパージまたはボーラスを走行させるときダウンチューブ内での乱流を減少させ、それによりGME成績が優れたものになる結果をもたらす。
【0045】
本開示を好ましい実施形態を参照して説明したが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細に対して変更が可能であることを、当業者は認識するであろう。