特許第6506720号(P6506720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6506720
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20190415BHJP
【FI】
   B07C5/36
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-96060(P2016-96060)
(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公開番号】特開2017-202457(P2017-202457A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】302046001
【氏名又は名称】アンリツインフィビス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古谷 竜実
(72)【発明者】
【氏名】小泉 孝治
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−70780(JP,A)
【文献】 特開2015−182822(JP,A)
【文献】 特開平5−312625(JP,A)
【文献】 特開平6−201411(JP,A)
【文献】 特開2013−53971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/00−5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される被検査物(W)の品質状態を表す検出信号を出力する検査部(3)と、前記検出信号に基づいた判定対象値により前記被検査物の品質を検査し、その検査結果に応じて被検査物を所定方向に振分け選別する選別部(5)を備えた物品検査装置(1)において、
前記検査部から前記選別部へ前記被検査物を搬送する中間搬送部(23、30)と、
所定数の前記判定対象値から前記被検査物を検査するための検査基準を設定する検査基準設定部(14)と、
前記検査基準の設定に用いる基準設定対象の被検査物に係る判定対象値を記憶する記憶部(13)と、
前記検査基準と前記記憶部に記憶された判定対象値とに基づいて前記基準設定対象の被検査物の品質の良否を判定する良否判定部(16)と、を備え、
前記選別部が前記良否判定部で判定した前記基準設定対象の被検査物を選別することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記検査基準が設定された後に前記基準設定対象の被検査物が前記選別部に到達するように前記中間搬送部を制御するとともに、前記良否判定部が判定した判定結果に応じた振分け方向に前記基準設定対象の被検査物を前記選別部で選別させる搬送制御部(15)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記良否判定部が、前記検査基準が設定されたタイミングで前記検査基準設定対象の被検査物の全ての判定を行ってその判定結果を前記記憶部に記憶し、
前記搬送制御部が、前記記憶部に記憶された判定結果に基づいて前記検査基準設定対象の被検査物を前記選別部で選別させることを特徴とする請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記中間搬送部が、前記検査部と前記選別部の間に配置された1つのベルトコンベアで構成され、
前記搬送制御部が、少なくとも前記検査基準が設定されるまで、前記被検査物が前記検査部を通過する速度より低速となるように前記ベルトコンベアの速度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記中間搬送部が、前記検査部と前記選別部の間に配置された1つのベルトコンベアで構成され、
前記搬送制御部が、前記検査基準が設定されるまで、前記基準設定対象の被検査物が前記検査部を通過するタイミングに同期して前記被検査物を間欠搬送することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記搬送制御部が、前記検査基準が設定された後、前記中間搬送部の搬送速度を前記被検査物が前記検査部を通過する速度と同じになるように前記中間搬送部を制御することを特徴とする請求項4または5に記載の物品検査装置。
【請求項7】
前記中間搬送部が、前記検査部と前記選別部の間に配置された1つのベルトコンベアと、少なくとも前記基準設定対象の被検査物が前記ベルトコンベアのベルト上から搬出されて再度ベルト上に搬入する待機部(31)とを含む構成であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項8】
前記検査基準設定部が、最初の前記基準設定対象の被検査物が前記選別部に到達する直前のタイミングで前記検査基準を設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項9】
前記検査基準設定部が、検査基準を設定する前に取得した前記判定対象値のそれぞれを検査基準を設定するためのデータに含めるか否かを判別する基準データ判別部(14a)を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の物品検査装置。
【請求項10】
前記基準データ判別部で検査基準を設定するためのデータから外れた判定対象値の被検査物Wが前記選別部へ搬送されないように排除する排除部(6)を備えたことを特徴とする請求項9に記載の物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、生肉、魚、加工食品、医薬などの被検査物を搬送しながら被検査物の品質を検査する物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査物の品質を検査する物品検査装置として、重量測定装置、X線検査装置、金属検出装置などの検査装置が知られている。このような従来の重量測定装置は、搬送される被検査物の質量を測定し、得られた測定値が基準範囲内にあるか否かを判定し、基準範囲内の良品とそれ以外の不良品とを選別している。また、従来のX線検査装置は、搬送される被検査物にX線を照射し、この照射したX線の透過量から被検査物中の異物混入や質量、欠陥などを検査している。また、従来の金属検出装置は、搬送ラインに交番磁界を発生させておき、交番磁界中に被検査物を通過させ、磁界を通過しているときの検波出力から金属が混入しているか否かを検出している。
【0003】
このような物品検査装置では、検査する品質に応じた良否を判定するための基準値が、検査対象となる被検査物の品種毎に検査基準として設定されている。この基準値は、同じ種類の被検査物を検査するときに常に一定となる場合もあるが、製品ロットによるばらつきや、周囲環境の変化などにより変動する場合もある。そのため、品種変更時やロット変更時などに、運転開始前や運転開始時にサンプルを搬送させて検査結果から基準値を変更することがある。
【0004】
運転開始時の基準値の設定に関しては、例えば、運転開始の最初に所定のサンプル数だけ仮検査を行い、その解析データから平均値や標準偏差を用いて基準値を自動設定し、さらに、その後も追従制御させるようにしたものが知られている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3054165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の物品検査装置は、仮検査に使用した検査品のサンプルは良否の判定が行われないため、これらのサンプルを廃棄したり、作業者がこれらのサンプルを収集し、物品検査装置の上流から収集したサンプルを搬送させて検査品として再検査させていた。そのため、歩留りの低下や作業者の負担増を招いていた。
【0007】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、検査基準を設定するためのデータ取得に用いられた検査対象物について、作業者の手を介さずにデータ取得によって設定された検査基準に従った検査を行って判定し、その判定結果に応じて選別することができる物品検査装置を提供することを目的としている。
【0008】
本発明に係る物品検査装置は、搬送される被検査物の品質状態を表す検出信号を出力する検査部と、前記検出信号に基づいた判定対象値により前記被検査物の品質を検査し、その検査結果に応じて被検査物を所定方向に振分け選別する選別部を備えた物品検査装置において、前記検査部から前記選別部へ前記被検査物を搬送する中間搬送部と、所定数の前記判定対象値から前記被検査物を検査するための検査基準を設定する検査基準設定部と、前記検査基準の設定に用いる基準設定対象の被検査物に係る判定対象値を記憶する記憶部と、前記検査基準と前記記憶部に記憶された判定対象値とに基づいて前記基準設定対象の被検査物の品質の良否を判定する良否判定部と、を備え、前記選別部が前記良否判定部で判定した前記基準設定対象の被検査物を選別することを特徴とする。
【0009】
この構成により、検査基準の設定に使用する基準設定対象の被検査物を中間搬送部で搬送させ、基準設定対象の被検査物が選別部に到達する前に基準設定対象の被検査物の判定対象値を用いて検査基準を設定するため、基準設定対象の被検査物に対し、再搬送させるなどの作業者の手を介する作業がなく検査を行い、検査基準に従って判定した判定結果に応じて選別をすることができる。これによって、作業者の負担を増やすことなく歩留りの向上を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記検査基準が設定された後に前記基準設定対象の被検査物が前記選別部に到達するように前記中間搬送部を制御するとともに、前記良否判定部が判定した判定結果に応じた振分け方向に前記基準設定対象の被検査物を前記選別部で選別させる搬送制御部を備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成により、前記検査基準が設定されるまで前記基準設定対象の被検査物が前記選別部に搬送されないよう中間搬送部を制御するので、基準設定対象の被検査物に対し、検査基準に従って判定し、その判定結果に応じた選別を確実に行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記良否判定部が、前記検査基準が設定されたタイミングで前記基準設定対象の被検査物の全ての判定を行ってその判定結果を前記記憶部に記憶し、前記搬送制御部が、前記記憶部に記憶された判定結果に基づいて前記基準設定対象の被検査物を前記選別部で選別させることを特徴とする。
【0013】
この構成により、検査基準の設定に用いた基準設定対象の被検査物の判定を速やかに行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記中間搬送部が、前記検査部と前記選別部の間に配置された1つのベルトコンベアで構成され、前記搬送制御部が、少なくとも前記検査基準が設定されるまで、前記被検査物が前記検査部を通過する速度より低速となるように前記ベルトコンベアの速度を制御することを特徴とする。
【0015】
この構成により、例えば、定間隔に連続して搬送される被検査物に対し、中間搬送部の速度を検査部を通過する速度より遅くするという簡単な制御で、検査基準の設定に用いた基準設定対象の被検査物を搬送方向の長さを短縮したベルトコンベアで効率よく選別部へ搬送することができる。
【0016】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記中間搬送部が、前記検査部と前記選別部の間に配置された1つのベルトコンベアで構成され、前記搬送制御部が、前記検査基準が設定されるまで、前記基準設定対象の被検査物が前記検査部を通過するタイミングに同期して前記被検査物を間欠搬送することを特徴とする。
【0017】
この構成により、検査基準の設定に用いた基準設定対象の被検査物が検査部を通過するタイミングに同期して間欠搬送するので、不定間隔で搬送される被検査物に対しも、被検査物の搬送方向の長さと検査基準の設定するためのデータ数に応じて中間搬送部の搬送方向の長さを最適にすることができる。
【0018】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記搬送制御部が、前記検査基準が設定された後、前記中間搬送部の搬送速度を前記被検査物が前記検査部を通過する速度と同じになるように前記中間搬送部を制御することを特徴とする。
【0019】
この構成により、検査基準を設定した後は、被検査物が検査部を通過する速度のまま中間搬送部を経由して選別部に到達する通常の検査状態の搬送にすることができる。
【0020】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記中間搬送部が、前記検査部と前記選別部の間に配置された1つのベルトコンベアと、少なくとも前記基準設定対象の被検査物が前記ベルトコンベアのベルト上から搬出されて再度ベルト上に搬入する待機部とを含む構成であることを特徴とする。
【0021】
この構成により、検査部と選別部との直線距離を短くしつつ、検査基準の設定に用いた基準設定対象の被検査物を判定し、その判定結果に応じた選別を行うことができる。
【0022】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記検査基準設定部が、前記基準設定対象の被検査物が前記選別部に到達する直前のタイミングで前記検査基準を設定することを特徴とする。
【0023】
この構成により、検査部を通過した最初の基準設定対象の被検査物が選別部に到達する直前のタイミングで、それまで取得した判定対象値が所定数のデータとなって検査基準の設定を行うので、基準設定対象の被検査物に対し、検査基準が設定された後にその検査基準で判定した判定結果に応じた選別を行うことができる。
【0024】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記検査基準設定部が、検査基準を設定する前に取得した前記判定対象値のそれぞれを検査基準を設定するためのデータに含めるか否かを判別する基準データ判別部を有することを特徴とする。
【0025】
この構成により、検査基準を設定するのに所望の基準値から大きく外れるなどの不適切な値の判定対象値を検査基準を設定するためのデータに含めないようにすることができ、正しく検査基準を設定することができる。
【0026】
また、本発明に係る物品検査装置において、前記基準データ判別部で検査基準を設定するためのデータから外れた判定対象値の被検査物が前記選別部へ搬送されないように排除する排除部を備えたことを特徴とする。
【0027】
この構成により、検査基準を設定するためのデータから除外された基準設定対象の被検査物が、中間搬送部に搬送される前、または中間搬送部上から排除されるので、検査基準を設定するためのデータとなった基準設定対象の被検査物だけが中間搬送部上に残って選別部まで搬送されることになり、選別部での選別を効率的に実施することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、検査基準を設定するためのデータ取得に用いられた検査対象物について、作業者の負担を増やすことなく検査基準に従った検査を行って判定し、その判定結果に応じて選別することができる。また、これにより、歩留りの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態に係る物品検査装置の構成の概略を示す構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る物品検査装置を上方からみた模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る物品検査装置を上方からみた被検査物の搬送動作を示す動作図である。
図4】本発明の実施形態に係る物品検査装置の検査基準設定の概略の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る物品検査装置の検査基準設定の概略の流れを示す他のフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る物品検査装置の振分け選別の概略の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の他の実施形態に係る物品検査装置を上方からみた模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る物品検査装置の実施形態について図面を参照して説明する。
図1図2 は、本発明に係る物品検査装置の実施形態を示す図であり、はかりによる重量検査に適用した例を示している。
【0031】
図1において、物品検査装置1は、搬送部2と、検査部として被検査物Wの品質状態を表す検出信号を出力する測定部3と、搬入センサ4と、制御部10と、表示操作部7、選別部5とを備えて構成されている。
【0032】
この物品検査装置1は、上流から所定の間隔で矢印方向に順次搬送されてくる被検査物Wの質量を測定し、得られた測定値(以下、計量値という)を設定された計量値の上限および下限の基準値とそれぞれ比較し、得られた計量値が基準値の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内のものを良品とし範囲外のものを不良品として選別するようになっている。
【0033】
搬送部2は、予め表示操作部7で設定される品種の被検査物Wを順次搬送するもので、助走コンベア21、計量コンベア22、中間搬送部としての中間コンベア23から構成されている。各コンベアは、2つのローラに巻き付けらた無端状の搬送ベルトで構成され、ローラを駆動することにより被検査物Wを搬送するようになっている。
【0034】
助走コンベア21は、前段から搬送されてきた被検査物Wを、測定するのに最適な速度になるよう加速または減速して計量コンベア22へと被検査物Wを搬送する。
【0035】
計量コンベア22は、被検査物Wを所定の搬送条件により搬送し、搬送されている間に被検査物Wが測定部3により計量されるようになっている。計量後はさらに中間コンベア23を経由して後段の選別部5に搬送され、測定部3で取得した計量値に基づいて振り分けられるようになっている。
【0036】
中間コンベア23は、計量コンベア22で計量された被検査物Wを選別部5まで搬送するものであり、被測定物Wを最適なタイミングで選別するように搬送速度が制御されるようになっている。
【0037】
測定部3は、計量コンベア22を支持し被検査物Wの荷重に基づいて測定信号を出力する荷重センサであり、電磁平衡機構などのはかり機構で構成され、被検査物Wが計量コンベア22で搬送されている間に、測定部3に加わる荷重を測定するようになっている。測定部3は、荷重を測定できるはかり機構であればよく、例えば、差動トランス機構や歪みゲージ機構などのはかり機構で構成してもよい。
【0038】
搬入センサ4は、助走コンベア21と計量コンベア22との間に配置されており、助走コンベア21から計量コンベア22へと被検査物Wが通過するのを検知する光電センサで構成されている。光電センサは、例えば、投光部からの光をミラーで反射させて受光部で受光する投光部と受光部とが一体型のセンサや、投光部と受光部が分離されれいるセンサを用いることができ、被検査物Wが投光部から受光部への光軸を遮ることで、被検査物Wの搬入が開始されたことを検出するようになっている。搬入センサ4で検出された搬入開始の信号は、制御部10に出力されるようになっている。
【0039】
制御部10は、物品検査装置1の全体の制御を行うものであり、信号処理部11、計量部12、記憶部13、検査基準設定部14、搬送制御部15、良否判定部16を備えており、記憶部13に記憶されたプログラムを実行して、物品検査装置1の各種制御等を行うようになっている。
【0040】
信号処理部11は、測定部3からの測定信号を受け所定の信号処理条件に基づいて信号処理して信号処理済信号を出力するようになっていて、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器を備えている。具体的には、信号処理部11は、測定部3からの測定信号に対して、種類や特性の異なる複数のローパスフィルタから選択したフィルタを用いて、測定信号の低周波成分のみを信号処理済信号として通過させるようになっている。なお、信号処理部11が選択するローパスフィルタは、1つの場合、または、複数を組み合わせたものの場合がある。
【0041】
計量部12は、信号処理部11が出力する信号処理済信号に基づいて被検査物Wの計量値を算出(グラム換算)するようになっている。また、計量部12においては、搬入センサ4によって被検査物Wが計量コンベア22に搬入されたことが検知されてから被検査物Wが計量コンベア22に完全に載り移り、さらに測定部3から出力された測定信号が安定するまでに必要な基準時間Tkが経過した後、被検査物Wが計量コンベア22から排出されるまでの間に計量を行い、測定部3から測定信号が出力された被検査物Wに対して、計量値を算出するようになっている。計量部12により算出された個々の計量値は、記憶部13に良否判定部16で判定される判定対象値として記憶されるようになっている。
【0042】
なお、計量部12においては、被検査物Wの品種(特に、サイズ)に応じて、その測定範囲、測定能力および検査精度などの検査条件を基に計量に関する計量パラメータが選択されるようになっており、被検査物Wの品種に応じて、例えば、測定範囲が6g〜600g、測定能力が最大150個/minで選択されるようになっている。
【0043】
この場合、被検査物Wの1個当たりの基準時間Tkは、最小400msecに設定されることになり、基準時間Tkは400msec以上であればよいが、被検査物Wのサイズ、ラインの処理能力、生産その他の条件により設定されるようになっている。
【0044】
記憶部13は、記憶媒体などから構成されており、計量コンベア22による被検査物Wの所定の搬送条件、および計量部12で使用する計量パラメータを含む条件パラメータを被検査物Wの品種に対応させて記憶するようになっている。
【0045】
記憶部13には、被検査物Wの品種毎に付された各品種番号に対応して、条件パラメータの搬送速度、LPF(Low Pass Filter)特性が記憶されている。また、記憶部13には、検査パラメータとして、被検査物Wの標準的な値の仮標準値と仮標準値を基準にした被検査物Wの良否を判定するための良品範囲としての上限および下限の仮基準値が記憶される。
【0046】
ここで、搬送速度は、被検査物Wを搬送する搬送部2を構成する各コンベアの速度であり、LPF特性は、どのような特性のローパスフィルタであるかを示すものであり、良品範囲とは、仮標準値を基にして良品と判定される被検査物Wの計量値の許容範囲である。
【0047】
また、記憶部13は、良否判定部16で判定される判定対象値である計量値をFIFOの構造で記憶するようになっている。FIFOへの書き込みは、計量部12で計量値が算出されたタイミングで行われ、算出された計量値に対応する被検査物Wが搬入センサ4を検知した時刻とともに計量値を書き込み、入力ポインタが更新される。そして、良否判定部16による判定タイミングで対応する入力ポインタに判定結果が書き込まれる。一方、FIFOからの判定結果の読み出しは、選別部5における選別タイミングで行われ、出力ポインタが更新される。これにより、検査基準となる許容範囲の設定に用いる被検査物Wの計量値をバッファリングし、検査基準設定部14で許容範囲が設定された後、基準設定対象となった検査基準設定用の被検査物Wの良否判定を順次行い、選別部5で振り分け選別する被検査物Wと判定結果を対応付けることができる。
【0048】
検査基準設定部14は、運転開始または運転中の品種変更(品種番号切替え)から所定個数の被検査物Wを基に検査基準となる許容範囲を設定する状態(以下、検査基準設定モードという)において、許容範囲を設定するまでに搬入センサ4で検出した被検査物Wを検査基準設定用の被検査物Wとし、この検査基準設定用の被検査物Wの計量値から許容範囲である許容範囲としての上限および下限の基準値を設定するようになっている。
【0049】
具体的には、例えば、対象となる検査基準設定用の被検査物Wの計量値の平均値を仮標準値に合わせ、仮の検査基準である上限および下限の仮基準値から良品範囲をシフトさせて検査基準の上限及び下限を設定する。すなわち、仮標準値を基点として仮下限値と仮標準値との差分と仮上限値と仮標準値の差分を当該計量値の平均値に対してそれぞれの方向へ加えたものが許容範囲の下限値と上限値になる。また、例えば、平均値±3σを許容範囲とするようにしてもよい。
【0050】
また、検査基準設定部14は、基準データ判別部としての判別部14aを有するのが好ましい。この場合、判別部14aは、記憶部13に記憶されている仮の検査基準を基に、仮の検査基準から大きく外れている(所定の値以上外れている)計量値を平均値や標準偏差を求めて許容範囲を設定するためのデータに含めないように判別する。
【0051】
また、検査基準を設定するためのデータから外れた検査基準設定用の被検査物Wを中間コンベア23に載り移つらないように、中間コンベア23への載り継ぎ位置付近で搬送部2の搬送方向外へ排除する排除部6を設けるのが好ましい。なお、排除部6は一方向への排除ができればよく、エアーや押出し等の簡単な方式で構成することができる。
【0052】
搬送制御部15は、被検査物Wの品種に応じて記憶部13から所定の搬送条件および所定の信号処理条件を読み出して助走コンベア21と計量コンベア22ついて、図示しないモータの回転速度(rpm)を駆動制御して、被検査物Wの搬送速度をそれぞれ制御するようになっている。
【0053】
また、搬送制御部15は、記憶部13に記憶している複数の品種に対応する検査パラメータを切り換えて良否判定部16を制御し、検査基準設定モードにおいて検査基準設定部14が基準値を設定するまで、検査基準設定用の被検査物Wを選別待機状態とするべく、検査基準設定用の被検査物Wの選別までの時間をが遅延させるように中間コンベア23の搬送を制御するようになっている。
【0054】
搬送制御部15は、検査基準設定モードになって最初の検査基準設定用の被検査物Wが検出されるタイミングで、計量コンベア22の搬送速度よりも低速になるように中間コンベア23を制御し、検査基準設定部14で許容範囲が設定された後に、計量コンベア22の搬送速度になるまでゆっくり加速させる、または、段階的に徐々に搬送速度を上昇させるように制御する。
【0055】
図2に示すような被検査物Wが定間隔で搬送される場合には、搬送間隔L1に対する被検査物Wの搬送方向の長さLwの割合と計量コンベア22の搬送速度に対する中間コンベア23の搬送速度の割合を同じにすると、中間コンベア23上での検査基準設定用の被検査物Wの間隔が最小となり、中間コンベア23の長さL2を最短とすることができる。例えば、搬送方向の長さLwが25cmの被検査物Wが計量コンベア22上を毎分30個の検査能力で50cm/secの搬送速度で搬送されるとすると、搬送間隔L1は100cmとなる。中間コンベア23の搬送速度を計量コンベア22の1/4にすることで、検査能力に対して搬送方向の長さLw分だけ移動し検査基準設定用の被検査物W間の間隔がゼロとなる。計量コンベア22から中間コンベア23に順次搬入し、検査基準設定のために中間コンベア23上で選別待機する個数を10個とした場合には中間コンベア23を最短で2.5mの長さにすることができる。
【0056】
なお、中間コンベア23の搬送制御は、検査基準設定モードにおける中間コンベア23の低速制御の代わりに、間欠搬送とすることもできる。例えば、計量コンベア22から検査基準設定用の被検査物Wが搬出されるタイミングで被検査物Wの搬送方向の長さLw分だけ搬送するように制御して、検査基準設定部14で許容範囲が設定されるまで間欠搬送させる。また、ここでは、被検査物W間の間隔が最少となるゼロとして説明したが、検査能力、搬送速度、中間コンベア23の長さから図2に示すように適度に間隔を空けて搬送するなど、適宜行うようにしても良い
【0057】
また、搬送制御部15は、搬入センサ4による被検査物Wの計量コンベア22への搬入検知を基点とし、計量コンベア22の長さと搬送速度、中間コンベア23の長さと搬送制御に基づいて、中間コンベア23上の被検査物Wの選別タイミングを把握し、判定結果を選別部5に出力するようになっている。
【0058】
検査基準設定用の被検査物Wの選別タイミングは、まず、許容範囲を設定するタイミング(以下、検査基準設定タイミングTsという)における各検査基準設定用の被検査物Wの位置が、搬入センサ4による各検査基準設定用の被検査物Wの計量コンベア22への搬入検知を基点とし、計量コンベア22の長さと搬送速度、選別待機のための中間コンベア23の搬送制御に基づいて決定される。そして、検査基準設定タイミングTsにおける各検査基準設定用の被検査物Wの位置から選別位置までの移動時間が、搬送制御部15による中間コンベア23の搬送速度制御によって決定される。したがって、各検査基準設定用の被検査物Wの選別タイミングは、検査基準設定タイミングTsを基点として制御する中間コンベア23の搬送速度制御によって求められる。
【0059】
搬送速度制御は、検査基準設定用の被検査物Wのすべてが中間コンベア23から搬出された後、中間コンベア23の搬送速度が計量コンベア22の搬送速度と同じになるように搬送速度を制御する。具体的には、例えば、被検査物Wが中間コンベア23の長さL2で検査基準設定タイミングTsの搬送速度から計量コンベア22の搬送速度となるように等加速度で加速させる。または、検査基準設定タイミングTsにおける中間コンベア23と計量コンベア22の速度差を検査基準設定用の被検査物Wの数で分け、検査基準設定用の被検査物Wの選別タイミングで段階的に速度を上昇させるように制御する。
【0060】
また、中間コンベア23の直後に選別部5の選別機構がある場合には、選別機構による選別動作に影響を与えない後続の被検査物Wとの間隔が中間コンベア23の後端で必要となるため、例えば、検査基準設定用の被検査物Wの判定結果が全て良品のときには上述したように加速し、良品と不良品が混在する場合は、計量コンベア22の後端で選別機構による選別動作に影響を与えないような後続の被検査物Wとの間隔を確保できるように、検査基準設定用の被検査物Wを含む被検査物Wの判定結果に応じて中間コンベア23の搬送速度の制御を行うのが好ましい。
【0061】
良否判定部16は、判定回路などから構成されており、記憶部13に記憶されている計量値と検査基準設定部14で設定した検査基準との比較に基づき良否を判定して判定結果を記憶部13に記憶されるようになっている。
【0062】
具体的には、良否判定部16は、記憶部13に記憶された計量値を読み出し、検査基準設定部14で設定した許容範囲の上限値および下限値とそれぞれ比較し、許容範囲内にあるか否かを判定するようになっている。また、検査基準設定用の被検査物Wの判定は、検査基準設定タイミングTsで検査基準設定用の被検査物W全ての判定を行い、これ以降に測定される被検査物Wは、計量値を記憶部13に記憶するときに判定を行い、判定した判定結果が記憶部13に記憶される。
【0063】
良否判定部16において判定された判定結果は、表示操作部7に出力され、良品または不良品として表示されるようになっている。また、判定結果は搬送制御部15を介して選別部5に出力され、被検査物Wが良品または不良品として振分け選別されるようになっている。なお、検査基準設定用の被検査物Wを含む被検査物Wの判定を、被検査物Wが選別されるタイミングで行って判定結果を選別部5に出力するようにしてもよい。
【0064】
表示操作部7は、入力操作機能および表示機能を兼用するタッチパネルから構成されており、入力操作としては、搬送部2によって搬送させる被検査物Wの品種の設定操作や、被検査物Wの計量に関する各種設定操作や指示操作を行うようになっている。
【0065】
また、表示操作部7は、表示動作としては、被検査物Wの品種の設定操作が行われるときの設定値、指示操作が行われるときの指示値、各種判定結果等、種々の表示を行うようになっている。
【0066】
なお、表示操作部7は、入力操作機能と表示機能とが独立した構成としてもよく、この
場合、入力操作機能のために、設定や指示のために入力操作する複数のキーやスイッチ等
を設けるとともに、表示機能のために、液晶表示器等を設けた構成とすることができる。
【0067】
選別部5は、図2に示すように、中間コンベア23の後段に接続されており、良否判定部16の判定結果を搬送制御部15から受けて被検査物Wをアームを用いて振り分けるようになっている。判定結果が良品の場合は、中間コンベア23の搬送方向と同一方向の下流へ選別用コンベア51により搬送し、判定結果が不良品の場合は、中間コンベア23の搬送方向と異なる方向へと振り分けるようになっている。過量不良の場合は+NG方向へと振り分け、軽量不良の場合は−NG方向へと振り分ける。なお、選別部5の選別機構は、良品と不良品を振分けるものであればよく、押出し方式やドロップ方式等の機構で構成することができる。また、選別機構による振り分けは、中間コンベア23から選別用コンベア51に被検査物Wが完全に載り移った後に行われのが好ましく、判定結果を、被検査物Wが選別用コンベア51に完全に載り移るタイミングで受けるのが好ましい。
【0068】
次に、本実施形態の物品検査装置1において、検査基準設定モードの検査基準設定用の被検査物Wの動作について説明する。図3は、検査基準を設定するための所定数の被検査物Wが検査基準設定用の被検査物Wとして中間コンベア23の上に搬送され、検査基準設定後に検査基準設定用の被検査物Wが順次選別される動作について示すものである。四角内の番号は、検査基準設定モードになってから順次計量された被検査物Wの番号を示し、検査基準設定用の被検査物Wを四角内の番号で1〜10としている。
【0069】
図3(a)は、検査基準設定モードに入ってから最初の検査基準設定用の被検査物Wの計量値を取得し、その検査基準設定用の被検査物Wが中間コンベア23へ搬送された状態を示し、図3(b)は、2つ目の検査基準設定用の被検査物Wが中間コンベア23へ搬送された状態をを示している。そして、順次検査基準設定用の被検査物Wが計量されて、検査基準設定タイミングTsまで中間コンベア23で選別待機状態となる。図3(c)は、所定数10個の検査基準設定用の被検査物Wの計量が完了して許容範囲を設定し、これから中間コンベア23上で選別待機状態にある検査基準設定用の被検査物Wに対し選別を開始する状態を示している。
【0070】
図3(d)は、選別待機状態から中間コンベア23が搬送速度を上げて、検査基準設定用の被検査物Wとなった1番目の被検査物Wの選別を開始する状態を示している。このとき、計量コンベア23からは検査基準を決定するための所定数外で検査基準設定用の被検査物Wとならない11番目の被検査物が中間コンベア23に載り移り、さらに、図3(e)で示すように、検査基準設定用の被検査物Wとなった2番目の被検査物Wの選別が開始され、順次検査基準設定用の被検査物Wが選別される。
【0071】
そして、図3(f)〜図3(h)に示すように、中間コンベア23の搬送速度が上昇するにつれて被検査品Wの間隔が広がり、図3(g)に示すように、検査基準設定用の被検査物Wのすべてが中間コンベア23から搬出され、計量コンベア22の搬送速度と中間コンベア23の搬送速度が同じになると、これ以降に中間コンベア23に搬入される被検査品Wの間隔は、図3(h)に示すように、被検査品Wの計量コンベア22への搬入間隔と同じになり、検査基準設定モードに伴う中間コンベア23の搬送制御を終了し、中間コンベア23の搬送制御が計量コンベア22の搬送制御と同様の制御に移行する。
【0072】
次に、本実施形態の物品検査装置1において、検査基準設定モードの検査基準設定用の被検査物Wから検査基準となる許容範囲を設定する動作について説明する。なお、ここでは、検査基準設定用の被検査物Wの排除チェックが無いものとして説明する。図4は、被検査物Wが所定間隔で搬送され、中間コンベア23を低速に搬送制御する場合を想定した検査基準設定の概略の流を示すフローチャートである。また、図5は、中間コンベア23が間欠搬送する場合を想定した検査基準設定の概略の流れを示す他のフローチャートである。
【0073】
図4に示すように、検査基準設定モードに入ると、中間コンベア23が品種に従った計量コンベア22の搬送速度よりも低い速度で搬送が行なわれ(ステップS1)、助走コンベア21と計量コンベア22が品種に従った設定速度で搬送が行われる(ステップS2)。
【0074】
次いで、搬入センサ4で被検査物Wが検知されたかどうかを判断し(ステップS3)、検知されなければ(ステップS3でNOの場合)、検査基準設定モードに入って最初に計量値を測定した検査基準設定用の被検査物Wが中間コンベア23から搬出されて選別を行う必要がある選別タイミングかどうかを判断し(ステップS4)、選別を行う必要がある選別タイミングならば、これまでに取得した計量値をもって許容範囲を設定するための所定のデータ数に達したとしてステップ8に進み、選別タイミングでないならば(ステップS4でNOの場合)、被検査物Wが検知されるまで、この判断処理が短周期で繰り返される。
【0075】
そして、被検査物Wが検知されたら、計量部12から計量値を取得して記憶部13に記憶し(ステップS5)、FIFOの入力ポインタを更新する(ステップS6)。
【0076】
次いで、予め設定されている所望のデータ数に達したか否かを判断し(ステップS7)、所望のデータ数に達していなければ(ステップS7でNOの場合)、ステップ3に戻り、所望のデータ数に達したら、許容範囲を設定し、設定に用いた全ての検査基準設定用の被検査物Wについて、計量値が設定した許容範囲内にあるか否かの良否判定を行って判定結果を記憶部13に記憶する(ステップS8)。
【0077】
次いで、中間コンベア23の速度を上昇させて(ステップS9)終了する。
【0078】
なお、予め設定される所望のデータ数分の検査基準設定用の被検査物Wを中間コンベア23が十分バッファリングできる長さであれば、所望のデータ数を所定数とすることができ、選別タイミングかどうかの判断(ステップS4)を省略することができる。また、検査基準設定用の被検査物Wが中間コンベア23から搬出されて選別を行う必要がある選別タイミングとなるまでに取得できる最大の数を所定数として許容範囲を設定する場合は、所望のデータ数の判断(ステップS7)を省略するようにしてもよい。
【0079】
また、他の例としては、図5に示すように、検査基準設定モードに入ると、助走コンベア21と計量コンベア22が品種に従った設定速度で搬送が行われる(ステップS21)。
【0080】
次いで、搬入センサ4で被検査物Wが検知されたかどうかを判断し(ステップS22)、検知されなければ(ステップS22でNOの場合)、被検査物Wが検知されるまで、この判断処理が短周期で繰り返される。そして、被検査物Wが検知されたら計量部12から計量値を取得して記憶部13に記憶し(ステップS23)、FIFOの入力ポインタを更新(ステップS24)し、さらに、中間コンベア23を被検査物Wの搬送方向の長さ分だけ移動して停止する間欠搬送を行う(ステップS25)。
【0081】
次いで、予め設定されている所望のデータ数に達したか否かを判断し(ステップS26)、所望のデータ数に達していなければ(ステップS26でNOの場合)、ステップ22に戻り、所望のデータ数に達したら、許容範囲を設定し、設定に用いた全ての検査基準設定用の被検査物Wについて、計量値が設定した許容範囲内にあるか否かの良否判定を行って判定結果を記憶部13に記憶する(ステップS27)。
【0082】
次いで、中間コンベア23の速度を上昇させて(ステップS28)終了する。
【0083】
次に、本実施形態の物品検査装置1の検査基準設定モードに用いた検査基準設定用の被検査物Wが選別される動作について説明する。図6は、検査基準が設定された後、振分け選別の概略の流れを示すフローチャートである。
【0084】
各検査基準設定用の被検査物Wの選別タイミングは、検査基準設定タイミングTsの時刻と検査基準設定タイミングTsにおける各検査基準設定用の被検査物Wの位置から選別位置までの移動時間が中間コンベア23の搬送速度制御によって求まる。そして、図6に示すように、まず、選別タイミングかどうかを判断し(ステップS31)、選別タイミングでないならば(ステップS31でNOの場合)、ステップS36に進む。
【0085】
そして、選別タイミングならば、搬送制御部15は選別の対象となる検査結果を記憶部13から読み出し、判定結果を選別部5に出力して、検査基準設定用の被検査物Wが良品または不良品として振分け選別され(ステップS32)、記憶部13のFIFOの出力ポインタを更新する(ステップS33)。
【0086】
次いで 搬送制御部15は、中間コンベア23の搬送速度の上昇が必要であるかどうかを判断し(ステップS34)、必要ではなく計量コンベア22の搬送速度に達していれば(ステップS34でNOの場合)、ステップS36に進み、計量コンベア22の搬送速度に達しいなくて計量コンベア22の搬送速度の上昇が必要ならば、計量コンベア22の搬送速度に徐々に近づくように中間コンベア23の搬送速度を上昇させる(ステップS35)。
【0087】
次いで、運転停止かどうかの判断(ステップS36)を行い、運転停止ならば処理を終了し、運転停止でなければ、ステップS31に戻り、運転停止になるまで繰り返される。
【0088】
なお、ステップS34、ステップS35は、搬送速度制御を選別タイミングに応じて段階的に速度を上昇させる場合に必要であり、検査基準を設定したときに所定時間で計量コンベア22の速度に達するように加速度を設定する場合は、選別タイミングによらない搬送制御部15の搬送速度制御となるので省略することができる。
【0089】
以上、上述の実施形態では、中間搬送部について、1つのコンベアからなる中間コンベア23上で待機させて検査基準設定用の被検査物Wの選別を遅延させる構成を例にして説明したが、図7に示すように、短いベルトコンベアとベルトコンベアから外れた位置に待機させて検査基準設定用の被検査物Wの選別を遅延させる構成としてもよい。図7の中間搬送部30は、計量コンベア22と選別部5の間に配置されるベルトコンベア32と、ベルトコンベア32の搬送方向から外れた位置に配置されるターンテーブル31と、ベルトコンベア32からターンテーブル31へ搬出させる搬出ゲート33と、ターンテーブル31からベルトコンベア32に搬入させて被検査物Wをベルトコンベア32に戻す搬入ゲート34とから構成される。
【0090】
この構成では、検査基準設定モードに入ると、ターンテーブル31は低速回転または間欠動作し、搬出ゲート33が被検査物Wをターンテーブル31へ導くように作動する。そして、少し遅れてベルトコンベア32上の被検査物Wがなくなるタイミングでターンテーブルから被検査物Wを導くように搬入ゲート34が作動する。ここで、搬入ゲート34は、ベルトコンベア32から選別部5への搬入を遮ぎることになる。したがって、検査基準を設定するためのデータから外れた検査基準設定用の被検査物Wの排除は、搬出ゲート33を元に戻してベルトコンベア32上に排除すべき検査基準設定用の被検査物Wを搬送させることで搬入ゲート34によって排除することができる。また、検査基準が設定された後は、ターンテーブル31上の被検査物Wを無くすように回転を速くし、ターンテーブル31上に被検査物Wが無くなると、搬出ゲート33及び搬入ゲート33が元に戻り、被検査物Wがベルトコンベア32をそのまま搬送して選別部5に到達する。
【0091】
なお、計量コンベア22と選別部5を結ぶ直線上から外れた位置で検査基準設定用の被検査物Wを待機させる方式としては、図7に示すターンテーブル式のほかに、スターホール式の移動装置で待機させるようにしてもよい。
【0092】
以上、検査部が被検査物Wの荷重を計測する方式の質量検査を例に説明したが、本発明は、他の方式で検査する他の物品検査装置として、例えば、被検査物WにX線を照射してその透過量から被検査物Wの質量、欠陥、異物の有無等を検査するX線検査装置、磁界の変化や被検査物Wの残留磁気を磁気センサで検出して金属異物を検出する金属検出装置にも同様に適用できる。この場合、例えば、X線検査装置の検査基準は、X線が被検査物Wを透過して得られるX線透過画像における濃淡値であり、金属検出装置の検査基準は、磁気センサで検出した検出信号に対する金属の有無の判定基準となる信号レベルである。
【0093】
また、間隔を開けて搬送される被検査物Wを測定する例に説明したが、食品生地やミンチ肉などの帯状のような連続体で搬送した被検査物Wを装置内部で作られる所定周期のタイミングで検査するX線検査装置や金属検出装置においても、内部タイミングで得られる所定数のデータから検査基準を求めるようにすれば同様に適用でき、さらに、搬送路に物品検査装置の検査部と選別部を離間して配置し、検査部から選別部の間を複数の被検査物Wが一定速度で搬送される構成においても同様に適用できる。
【0094】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る物品検査装置1は、測定部3から選別部5へ被検査物Wを搬送する中間コンベア23と、所定数の計量値から被検査物Wを検査するための検査基準となる計量値の許容範囲を設定する検査基準設定部14と、許容範囲の設定に用いる基準設定対象の被検査物Wの計量値を記憶する記憶部13と、許容範囲と記憶部13に記憶された計量値とに基づいて基準設定対象の被検査物Wの良否を判定する良否判定部16と、を備え、選別部5が良否判定部16で判定した基準設定対象の被検査物Wを選別することを特徴とする。
【0095】
この構成により、許容範囲を設定するためのデータ取得に用いられた被検査物Wについて、作業者の負担を増やすことなく許容範囲に従った検査を行って判定し、その判定結果に応じて選別することができる。また、これによって、作業者の負担を増やすことなく歩留りの向上を図ることができる。
【0096】
また、本発明の実施形態に係る物品検査装置1は、許容範囲が設定されるまで基準設定対象の被検査物Wが選別部5に搬送されないように中間コンベア23を制御するともに、良否判定部16が判定した判定結果に応じた振分け方向に基準設定対象の被検査物Wを選別部5で選別させる搬送制御部15を備えたことを特徴とする。
【0097】
この構成により、許容範囲が設定されるまで基準設定対象の被検査物Wが選別部5に搬送されないよう中間コンベア23を制御するので、基準設定対象の被検査物Wに対し、許容範囲に従って判定し、その判定結果に応じた選別を確実に行うことができる。
【0098】
また、本発明の実施形態に係る物品検査装置1は、検査基準設定部14が、許容範囲を設定する前に取得した判定対象値のそれぞれを許容範囲を設定するためのデータに含めるか否かを判別する基準データ判別部14aを有することを特徴とする。
【0099】
この構成により、許容範囲を設定するのに不適切な値の計量値を許容範囲を設定するためのデータに含めないようにすることができ、正しく許容範囲を設定することができる。また、データに含めない不適切な値の被検査物Wを排除する排除部6を備えることにより、許容範囲を設定するためのデータとなった基準設定対象の被検査物Wだけを選別部5まで搬送し、選別部5での選別を効率的に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明に係る物品検査装置は、検査基準を設定するためのデータ取得に用いられた検査対象物について、作業者の負担を増やすことなく検査基準に従った検査を行って判定し、その判定結果に応じて選別することができるという効果を有し、被検査物を搬送しながら被検査物をの品質の検査を行う物品検査装置に有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 物品検査装置
3 測定部(検査部)
5 選別部
6 排除部
7 表示操作部
13 記憶部
14 検査基準設定部
14a 判別部(基準データ判別部)
15 搬送制御部
16 良否判定部
23 中間コンベア(中間搬送部)
30 中間搬送部
31 ターンテーブル(待機部)
W 被検査物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7