(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の部品が実装された基板を、照明光の複数の照射方向のそれぞれにて撮像した撮像画像を用いて前記基板の検査を行う基板検査装置についての情報を表示する検査情報表示装置であって、
前記基板に照明光を照射した場合に形成される前記照射方向ごとの影の分布を示す影画像を取得する影画像取得部と、
前記影画像を表示する表示部と、
を備え、
前記影画像は、前記照射方向ごとの前記影の分布を示す画像を単一画像に合成した画像であり、前記照射方向ごとの前記影が重なっている個数に応じて表示態様が異なる画像である、
検査情報表示装置。
前記表示部は、前記照射方向ごとの前記影が重なっている個数が閾値以上である領域の面積が、前記基板上の検査領域の面積に占める面積率である非照射面積率が判定値以上である前記検査領域を表示する、
請求項1に記載の検査情報表示装置。
複数の部品が実装された基板を、照明光の複数の照射方向のそれぞれにて撮像した撮像画像を用いて前記基板の検査を行う基板検査装置についての情報を表示する検査情報表示方法であって、
前記基板に照明光を照射した場合に形成される前記照射方向ごとの影の分布を示す影画像を取得する影画像取得工程と、
前記影画像を表示する表示工程と、
を含み、
前記影画像は、前記照射方向ごとの前記影の分布を示す画像を単一画像に合成した画像であり、前記照射方向ごとの前記影が重なっている個数に応じて表示態様が異なる画像である、
検査情報表示方法。
複数の部品が実装された基板を、照明光の複数の照射方向のそれぞれにて撮像した撮像画像を用いて前記基板の検査を行う基板検査装置についての情報を表示する機能をコンピュータに実現させる検査情報表示プログラムであって、
前記基板に照明光を照射した場合に形成される前記照射方向ごとの影の分布を示す影画像を取得する影画像取得機能と、
前記影画像を表示する表示機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記影画像は、前記照射方向ごとの前記影の分布を示す画像を単一画像に合成した画像であり、前記照射方向ごとの前記影が重なっている個数に応じて表示態様が異なる画像である、
検査情報表示プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の問題を解決せんとするもので、基板上に形成される影の分布を複数の照射方向について総合的に認識できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明の検査情報表示装置は、複数の部品が実装された基板を、照明光の複数の照射方向のそれぞれにて撮像した撮像画像を用いて基板の検査を行う基板検査装置についての情報を表示する検査情報表示装置であって、基板に照明光を照射した場合に形成される照射方向ごとの影の分布を示す影画像を取得する影画像取得部と、影画像と当該影画像の評価結果の少なくとも一方を表示する表示部と、を備える。
【0007】
前記の構成において、影画像取得部は、基板に照明光を照射した場合に形成される照射方向ごとの影の分布を示す影画像を取得する。そして、表示部は、影画像と当該影画像の評価結果の少なくとも一方を表示する。影画像は照射方向ごとの影の分布を示すため、ユーザは影画像を視認することにより、基板上に形成される影の分布を複数の照射方向について総合的に認識できる。また、影画像は照射方向ごとの影の分布を示すため、影画像を評価することにより、複数の照射方向のそれぞれにおいて照明光を照射した場合における検査の可否を容易に判断可能な評価結果を得ることができる。
【0008】
ここで、検査情報表示装置は、影画像と当該影画像の評価結果の少なくとも一方を表示すればよく、必ずしも撮像画像を用いて基板の検査を行う検査手段を備えていなくてもよい。すなわち、検査情報表示装置は、基板の検査を行う基板検査装置と別の装置であってもよいし、当該基板検査装置と同一の装置であってもよい。検査手段は、複数の撮像画像を用いて基板を検査すればよく、複数の撮像画像から得られる情報に基づいて基板の良否を判定するように構成されていればよい。例えば、検査手段は、撮像画像に基づいて基板の3次元形状又は2次元形状を取得し、当該3次元又は2次元形状に基づいて基板の良否判定を行えばよい。
【0009】
ここで、複数の照射方向で照明光が照射されるとは、基板と照明光の光源との間の相対方向が複数切り替えられることを意味する。例えば、照射方向が異なる複数の光源が用意されてもよいし、照射方向が変化するように光源が移動してもよいし、光源を固定した状態で基板の方向が変化してもよい。複数の照射方向とは、少なくとも2個以上の照射方向であればよく、例えば4方向や6方向や8方向の照射方向であってもよい。
【0010】
影画像取得部は、基板に照明光を照射した場合に形成される照射方向ごとの影の分布を示す影画像を取得すればよく、影画像取得部は、複数の照射方向のそれぞれにおいて実際に基板に照明光を照射した場合に形成される影の分布を計算によって推定することにより、影画像を取得してもよい。具体的に、影画像取得部は、基板上に存在する物体(部品等)の形状と位置を取得し、当該物体によって照明光が遮られる領域に影が形成されると推定してもよい。また、複数の照射方向のそれぞれにおいて実際に基板に照明光を照射し、撮像することにより、影画像を取得してもよい。
【0011】
表示部は、影画像と当該影画像の評価結果の少なくとも一方を表示すればよく、影画像と当該影画像の評価結果との双方を表示してもよいし、これらのうち一方のみを表示してもよい。また、表示部は、影画像と当該影画像の評価結果とを組み合わせて表示してもよく、影画像上に当該影画像の評価結果を表示してもよい。
【0012】
ここで、影画像は、照射方向ごとの影の分布を示す画像を単一画像に合成した画像であってもよい。単一画像に合成した画像を視認することにより、照射方向ごとの影の分布を一枚の画像で認識できる。
【0013】
さらに、影画像は、照射方向ごとの影が重なっている個数に応じて表示態様が異なる画像であってもよい。これにより、影画像における影の表示態様に基づいて、影が重なっている個数を容易に認識できる。表示態様が異なるとは、表示色(明度、彩度、色相、濃度等)が異なることであってもよいし、輪郭線の線種が異なることであってもよいし、ハッチング等のテクスチャパターンが異なることであってもよいし、表示色等の変化態様(点滅等)が異なることであってもよい。影が重なっている個数が大きくなるほど、検査の精度や信頼度が低下するため、検査の精度や信頼度が低下する領域を容易に認識できる。
【0014】
また、表示部は、照射方向ごとの影が重なっている個数が閾値以上である領域の面積が、部品の検査領域の面積に占める面積率である非照射面積率が判定値以上である検査領域を表示してもよい。これにより、非照射面積率が判定値以上であり、多くの照射方向において影となる検査領域を容易に認識できる。すなわち、適正に検査できない検査領域を容易に認識できる。ここで、検査領域とは、基板上における検査を行う単位領域であり、例えば半田やパッドやフィレットが形成される個々の領域であってもよい。
【0015】
さらに、表示部は、影画像の評価結果に基づいて、基板と照明光の光源との位置関係が適切でない旨を表示してもよい。これにより、基板と照明光の光源との位置関係を変更すべきか否かを判断することができる。さらに、表示部は、影画像の評価結果に基づいて、基板と照明光の光源との望ましい位置関係を表示してもよい。例えば、表示部は、望ましい位置関係として、非照射面積率が判定値以上である検査領域が存在しなくなる基板と照明光の光源との位置関係を表示してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)基板検査装置の構成:
(2)基板検査処理:
(3)他の実施形態:
【0018】
(1)基板検査装置の構成:
図1は、本実施形態にかかる検査情報表示装置を含む基板検査装置10の概略構成を示している。同図において、基板検査装置10は、制御部20と記録媒体30と表示装置40と入力装置50と撮像部60とを備えている。
【0019】
撮像部60は、カメラ62とプロジェクタ61a,61b,61c,61dとX−Yステージ63とを備えている。
図2は、撮像部60の斜視図である。X−Yステージ63は、基板Nが載置されるステージであり、制御部20の制御の下で基板Nを当該基板Nの面方向に移動させる。カメラ62は、基板Nを撮像して撮像画像を生成する撮像装置であり、カメラ62が撮像する基板Nのうち視野V内となる領域を撮像する。なお、基板Nのうち視野V内となる領域は、X−Yステージ63によって可変である。カメラ62の光軸方向は基板Nに対して垂直な方向である。
【0020】
プロジェクタ61a,61b,61c,61dは、制御部20の制御の下で基板N上に照明光La,Lb,Lc,Ldを照射する光源である。図の簡略化のため照明光La,Lb,Lc,Ldの中央光軸のみを実線で示している。4個のプロジェクタ61a,61b,61c,61dが異なる位置に備えられており、プロジェクタ61a,61b,61c,61dのそれぞれが異なる照射方向で照明光La,Lb,Lc,Ldを基板Nに照射する。プロジェクタ61aは視野VからX軸の正方向に一定距離だけ移動した位置に備えられ、プロジェクタ61bは視野VからX軸の負方向に一定距離だけ移動した位置に備えられ、プロジェクタ61cは視野VからY軸の正方向に一定距離だけ移動した位置に備えられ、プロジェクタ61dは視野VからY軸の負方向に一定距離だけ移動した位置に備えられている。X軸とY軸は、X−Yステージ63が移動する方向であり、基板Nと平行な平面上において互いに直交する座標軸である。
【0021】
プロジェクタ61a,61b,61c,61dは、照射方向に対し部品ごとの影を生じる光源であればよく、照明光は、光源からの直接の光であっても、スリットや縞パターンを介した基板Nの3次元形状を計測する光であってもよい。
【0022】
図1に示す制御部20は、図示しないCPUやROMやRAMで構成されるコンピュータであり、記録媒体30に記録された各種情報を用いて基板検査に必要な処理を実行する。
図1に示すように、制御部20は、検査情報表示プログラム21を実行する。
検査情報表示プログラム21のソフトウェア構成については後述する。
【0023】
記録媒体30は、基板情報30aと照明光情報30bと影画像(Aa,Ab,Ac,Ad,B,C,D)と評価結果(E,F)とを記録する。基板情報30aは、部品情報30a1と撮像領域情報30a2と検査領域情報30a3とを含む。部品情報30a1は、基板N上に実装された部品の位置と形状とを示す。撮像領域情報30a2は、撮像領域を示す。撮像領域は、基板Nのうちカメラ62によって撮像する対象の領域であり、視野Vと同じ形状を有する領域である。制御部20は、撮像領域情報30a2に基づいて撮像領域が視野V内となるようにX−Yステージ63を移動させる。検査領域情報30a3は、基板N上の検査領域の位置と形状とを示す情報である。本実施形態において、検査領域は、撮像領域のうち、個別に検査を行う単位領域である。本実施形態において、検査領域は、部品と基板Nとを電気的に接続する半田のフィレット等が形成される領域である。
【0024】
照明光情報30bは、プロジェクタ61a,61b,61c,61dから照射される照明光La,Lb,Lc,Ldの焦点位置を示す情報である。焦点位置とは、プロジェクタ61a,61b,61c,61dのレンズ面から空中に照射された照明光La,Lb,Lc,Ldの光線が一点で交差する位置である。照明光La,Lb,Lc,Ldは、それぞれ焦点位置に存在する点光源から放射状に照射されると見なすことができる。影画像(Aa,Ab,Ac,Ad,B,C,D)と評価結果(E,F)の詳細については後述する。
【0025】
表示装置40は、制御部20の制御の下で各種画像を表示するディスプレイである。入力装置50は、ユーザの操作を受け付ける装置であり、マウスやキーボードやタッチパネル等であってもよい。
【0026】
次に、影の分布を計算によって取得する検査情報表示プログラム21のソフトウェア構成について説明する。検査情報表示プログラム21は、基板検査モジュール21aと影画像取得モジュール21bと影画像評価モジュール21cと表示モジュール21dとを含む。影画像取得モジュール21bと表示モジュール21dとを実行する制御部20は、本発明の影画像取得部と表示部とを構成する。
【0027】
影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、基板Nに照明光La,Lb,Lc,Ldを照射した場合に形成される照射方向ごとの影の分布を示す影画像を取得する。影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、撮像領域を撮像領域情報30a2から取得し、当該撮像領域内に存在する部品の位置と形状とを部品情報30a1から取得する。さらに、制御部20は、プロジェクタを1つの照明光源として見立てた場合のプロジェクタ61aから照射される照明光Laの焦点位置を照明光情報30bから取得する。
【0028】
そして、影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、撮像領域内の各部品に照明光La,Lb,Lc,Ldが照射された場合に、基板面上に形成される影の領域である影領域を算出する。基板面とは、基板Nのうち部品が実装されていない面である。
図3は、影領域Sの算出手法を説明する模式図である。まず、制御部20は、撮像領域の位置と部品Mの位置と照明光Laの焦点位置Zとに基づいて、部品Mの各頂点T1〜T8(黒丸で図示)と照明光Laの焦点位置Zとの相対位置を取得する。
図3において、部品Mの形状は、直方体であり、8個の頂点T1〜T8を有する。本実施形態では、現実の形状よりも簡素な形状(直方体等)へと近似された各部品Mの形状が部品情報30a1に規定されている。
【0029】
そして、制御部20は、焦点位置Zと部品Mの各頂点T1〜T8とを接続する各直線(一点鎖線で図示)が基板面と交差する投影点P1〜P8を算出する。なお、頂点T1〜T8のうち、基板面上の頂点T5〜T8の投影点P5〜P8は、頂点T5〜T8と一致する。影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、投影点P1〜P8同士を接続する線分によって囲まれた領域を影領域S(グレーで図示)として算出する。制御部20は、照明光Laを照射した場合の影領域Sを示す方向別影画像Aaを生成する。方向別影画像Aaは、視野V内の各位置に対応する各画素で構成され、当該各画素が影領域S内であるかを示す情報が対応付けられた画像である。本実施形態において、各画素に濃度(0〜最大濃度)が対応付けられており、影領域S外の画素には濃度として0が対応付けられ、影領域S内の画素には最大濃度の25%の濃度が対応付けられている。
【0030】
図3によってプロジェクタ61aについての方向別影画像Aaを得る手法を説明したが、影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、他のプロジェクタ61b,61c,61dについても同様の算出手法により方向別影画像Ab,Ac,Adを生成する。影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを影画像として記録媒体30に記録しておく。
【0031】
図4A〜
図4Dは、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを示す。同図に示すように、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adにおいては影領域Sの分布が示される。すなわち、影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、基板Nに照明光La,Lb,Lc,Ldを照射した場合に形成される照射方向ごとの影の分布(影領域S)を示す影画像として方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを取得する。
【0032】
図4A〜
図4Cに示すように、基板面からの高さHがそれぞれ2h,3h,5h,hとなる直方体状の部品M1〜M4が視野V内に存在し、部品M1〜M4のそれぞれよって照明光La,Lb,Lc,Ldが遮蔽された影領域Sが存在している。なお、図の簡略化のため、
図4A〜
図4Dでは照明光La,Lb,Lc,Ldが平行光であることとして影領域Sを示している。影領域Sは、部品M1〜M4の高さHが高いほど大きくなる。
【0033】
本実施形態において、影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、照射方向ごとの影の分布(影領域S)を示す方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを単一画像に合成した合成影画像Bを生成する。具体的に、影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adにおいて同一位置の画素の濃度同士を合計することにより、合成影画像Bを生成する。影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、合成影画像Bを影画像として記録媒体30に記録しておく。
【0034】
図5は、合成影画像Bを示す。方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adのうち、1個も影領域Sが存在していない画素は0%の濃度を示すこととなり、1個のみにて影領域Sが存在している画素は最大濃度の25%の濃度を示すこととなり、2個にて影領域Sが存在している画素は最大濃度の50%の濃度を示すこととなり、3個にて影領域Sが存在している画素は最大濃度の75%の濃度を示すこととなり、4個すべてにて影領域Sが存在している画素は最大濃度の100%の濃度を示すこととなる。このように、合成影画像Bは、照射方向ごとの影領域Sが重なっている個数に応じて表示態様が異なる画像となる。
【0035】
影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、合成影画像B上に、検査領域を重畳した検査領域対比影画像を生成する。
図6Aは、
図5の合成影画像Bのうち、部品M2の周辺領域(破線枠)の拡大図であり、当該拡大図において検査領域G1〜G10の輪郭を重畳した検査領域対比影画像Cを示す。
図6Aにおいて、部品M2の周辺に10個の検査領域G1〜G10が示されている。ここで、検査領域G1〜G10は、部品M2のリード(ハッチングで図示)と、基板Nとを電気的に接続するための半田のフィレットが形成される領域である。影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、検査領域対比影画像Cを影画像として記録媒体30に記録しておく。
【0036】
影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、照射方向ごとの影領域Sが重なっている個数が閾値以上である領域の面積が、基板N上の検査領域G1〜G10の面積に占める面積率である非照射面積率が判定値以上である検査領域G1〜G10を取得する。まず、制御部20は、検査領域G1〜G10のうち、照射方向ごとの影領域Sが重なっている個数が第1閾値(本実施形態において3個)以上となっている非照射領域を特定する。具体的に、制御部20は、検査領域G1〜G10内の画素を、濃度が判定濃度(最大濃度の75%)以上となっているか否かによって二値化した画像である二値化影画像を生成する。
【0037】
図6Bは、二値化影画像Dを示す。二値化影画像Dにおいて、濃度が判定濃度以上の画素で構成される非照射領域Q(黒色で図示)と、濃度が判定濃度未満の画素で構成される照射領域W(白色で図示)とによって検査領域G1〜G10内が色分けされている。制御部20は、二値化影画像Dを影画像として記録媒体30に記録しておく。
【0038】
影画像評価モジュール21cの機能により制御部20は、検査領域G1〜G10のそれぞれについて、検査領域G1〜G10全体の面積と、非照射領域Qの面積である非照射面積とを取得し、非照射面積を全体の面積で除算することにより、非照射面積率を算出する。そして、影画像評価モジュール21cの機能により制御部20は、非照射面積率が判定値(例えば30%)以上の検査領域G1〜G10である検査不能領域を特定する。
図6Bの例では、検査領域G3における非照射面積率が50%であり、検査領域G4における非照射面積率が100%であり、検査領域G3,G4が検査不能領域となる。
【0039】
影画像評価モジュール21cの機能により制御部20は、検査不能領域を示す検査不能領域画像を生成する。
図6Cは、検査不能領域画像Eを示す。同図において、検査不能領域としての検査領域G3,G4が黒色で図示され、検査不能領域ではない検査領域G1,G2,G5〜G10が白色で図示されている。制御部20は、検査不能領域画像Eを影画像の評価結果として記録媒体30に記録しておく。
【0040】
さらに、影画像評価モジュール21cの機能により制御部20は、検査不能領域リストを生成する。
図6Dは、検査不能領域リストFを示す。同図において、検査不能領域としての検査領域G3,G4がリスト化されて示されている。さらに、検査不能領域リストFにおいては、撮像領域が適切でない旨、すなわち基板Nと照明光La,Lb,Lc,Ldの光源との位置関係が適切でない旨のメッセージが示されている。制御部20は、検査不能領域リストFを影画像の評価結果として記録媒体30に記録しておく。
【0041】
表示モジュール21dの機能により制御部20は、影画像と当該影画像の評価結果の少なくとも一方を表示する。表示モジュール21dの機能により制御部20は、
図4A〜
図4Dの方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを表示装置40に表示させる。具体的に、制御部20は、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを並べて表示装置40に表示させる。方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adは照射方向ごとの影領域Sの分布を示すため、ユーザは方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを視認することにより、基板N上に形成される影の分布を複数の照射方向について総合的に認識できる。また、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adは照射方向ごとの影領域Sの分布を示すため、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを評価することにより、複数の照射方向のそれぞれにおいて照明光La,Lb,Lc,Ldを照射した場合における検査の可否を容易に判断可能な評価結果(
図6Cの検査不能領域画像E,
図6Dの検査不能領域リストF)を得ることができる。
【0042】
また、表示モジュール21dの機能により制御部20は、
図5の合成影画像Bを表示装置40に表示させる。このように、単一画像に合成した合成影画像Bを視認することにより、照射方向ごとの影領域Sの分布を一枚の画像で認識できる。また、合成影画像Bは、照射方向ごとの影領域Sが重なっている個数に応じて表示態様が異なる画像であるため、当該表示態様に基づいて、影領域Sが重なっている個数を容易に認識できる。影領域Sが重なっている個数が大きくなるほど、検査の精度や信頼度が低下するため、検査の精度や信頼度が低下する領域を容易に認識できる。
【0043】
さらに、表示モジュール21dの機能により制御部20は、
図6Aの検査領域対比影画像Cを表示装置40に表示させる。検査領域対比影画像Cを表示することにより、各検査領域G1〜G10上において影領域Sが重なっている領域を容易に認識できる。また、表示モジュール21dの機能により制御部20は、
図6Bの二値化影画像Dを表示装置40に表示させる。二値化影画像Dを表示することにより、各検査領域G1〜G10上において検査の精度や信頼度が一定の基準以下となる領域を明瞭に識別できる。
【0044】
さらに、表示モジュール21dの機能により制御部20は、
図6Cの検査不能領域画像Eを影画像の評価結果として表示装置40に表示させる。すなわち、表示モジュール21dの機能により制御部20は、照射方向ごとの影領域Sが重なっている個数が閾値以上である領域の面積(非照射面積)が、検査領域G1〜G10の面積に占める面積率である非照射面積率が判定値以上である検査不能領域を表示する。これにより、非照射面積率が判定値以上であり、多くの照射方向において影領域Sとなる検査不能領域を容易に認識できる。すなわち、適正に検査できない検査不能領域を容易に認識できる。
【0045】
また、表示モジュール21dの機能により制御部20は、
図6Dの検査不能領域リストFを影画像の評価結果として表示装置40に表示させる。すなわち、表示モジュール21dの機能により制御部20は、影画像の評価結果に基づいて、基板Nと照明光La,Lb,Lc,Ldの光源との位置関係が適切でない旨を表示する。これにより、基板Nと照明光La,Lb,Lc,Ldの光源との位置関係を変更すべきか否かを判断することができる。つまり、視野Vが設定される撮像領域の位置を変更すべき否かを判断することができる。
【0046】
表示モジュール21dの機能により制御部20は、
図4A〜
図4Dの方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adと、
図5の合成影画像Bと、
図6Aの検査領域対比影画像Cと、
図6Bの二値化影画像Dと、
図6Cの検査不能領域画像Eと、
図6Dの検査不能領域リストFのうち少なくとも1種類を表示すればよい。本実施形態において、制御部20は、入力装置50に対するユーザの操作に基づいて表示対象(Aa,Ab,Ac,Ad,B,C,D,E,F)を切り替えることとする。また、制御部20は、入力装置50に対するユーザの操作によって予め設定された表示対象(Aa,Ab,Ac,Ad,B,C,D,E,F)のみを表示してもよい。
【0047】
次に、基板検査モジュール21aの機能により制御部20は、基板Nの検査を行う。以下、基板Nの検査手順について簡単に説明する。まず、基板検査モジュール21aの機能により制御部20は、撮像領域情報30a2に規定された撮像領域が視野V内となるように、X−Yステージ63を移動させる。そして、制御部20は、影による影響が少ないプロジェクタから、例えば3次元計測のための縞パターンによる照明光Laを基板Nに照射させた状態においてカメラ62が撮像した撮像画像を取得する。このとき、制御部20は、照明光Laの縞パターンの位相をシフトさせ、シフトさせた位相ごとに撮像された撮像画像を取得する。同様に、制御部20は、他のプロジェクタから照明光を基板Nに照射させた状態のそれぞれにおいてカメラ62が撮像した撮像画像を、順次、取得する。その結果、制御部20は、照明光La,Lb,Lc,Ldの照射方向ごとの撮像画像を取得することとなる。
【0048】
次に、基板検査モジュール21aの機能により制御部20は、プロジェクタから照明光の縞パターンの位相をシフトさせながら撮像した複数の撮像画像に基づいて視野V内の位置(画素)ごとの高さを算出する。具体的に、制御部20は、縞パターンの位相がシフトした複数の撮像画像を比較することにより、視野V内の位置ごとに縞パターンの位相値を算出し、当該位相値を高さに変換することにより視野V内の位置ごとの高さを算出する。
【0049】
ここで、視野V内のうち、縞パターンが投影されない位置、すなわち部品M1〜M4等の影領域Sとなる位置については、位相値が算出できないため、高さが対応付けられないこととなる。
【0050】
基板検査モジュール21aの機能により制御部20は、平均高さ画像のうち検査領域G1〜G10が示すフィレットの形状の良否を判定する。フィレットの形状の良否を判定する手法はどのような手法であってもよい。例えば、制御部20は、理想的なフィレットの形状との類度が閾値以下となる検査領域G1〜G10を不良であると判定してもよい。ここで、照射方向ごとの影領域Sが重なっている個数が閾値以上である領域の面積(非照射面積)が、検査領域G1〜G10の面積に占める面積率である非照射面積率が判定値以上である検査領域(
図6Cにて黒色で示す検査不能領域としての検査領域G3,G4)においては、フィレットの3次元形状の良否を判定する精度や信頼度を、予め決められた基準よりも高く確保することができないこととなる。
【0051】
以上のように、検査不能領域が存在することを認識できるため、ユーザは、当該検査不能領域について3次元形状の検査ではなく、2次元形状の検査を行うように切り替えることができる。例えば、制御部20は、縞パターンでない照明光を照射して撮像した撮像画像において、検査不能領域の2次元形状が正常であるか否かを判定してもよい。縞パターンでない照明光は、液晶の縞パターンを使用しないプロジェクタ61a,61b,61c,61dの光源からの光によって照射されてもよいし、プロジェクタ61a,61b,61c,61dよりも照射方向が垂直に近い照明によって照射されてもよい。さらに、ユーザは、表示対象(Aa,Ab,Ac,Ad,B,C,D,E,F)を視認することにより、いずれかのプロジェクタ61a,61b,61c,61dによる照明光La,Lb,Lc,Ldの照射と撮像とを省略してもよい。例えば、方向別影画像Aa,Abの双方において検査領域G1〜G10のすべてが影となっていないことを認識したユーザは、プロジェクタ61c,61dによる照明光Lc,Ldの照射と撮像とを省略するように設定することにより、検査の所要期間を短縮してもよい。
【0052】
(2)基板検査処理:
図7は、基板検査処理のフローチャートである。
まず、影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、基板情報30a(部品情報30a1,撮像領域情報30a2,検査領域情報30a3)を取得する(ステップS100)。次に、影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、照明光情報30bを取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、プロジェクタ61a,61b,61c,61dから照射される照明光La,Lb,Lc,Ldの焦点位置Zを取得する。
【0053】
次に、影画像取得モジュール21bの機能により制御部20は、影画像を取得する(ステップS120)。具体的に、制御部20は、
図4A〜
図4Dの方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adと、
図5の合成影画像Bと、
図6Aの検査領域対比影画像Cと、
図6Bの二値化影画像Dとを取得する。
【0054】
次に、影画像評価モジュール21cの機能により制御部20は、影画像を評価する(ステップS130)。具体的に、制御部20は、
図6Bの二値化影画像Dに基づいて、
図6Cの検査不能領域画像Eと、
図6Dの検査不能領域リストFとを取得する。
【0055】
次に、表示モジュール21dの機能により制御部20は、影画像と当該影画像の評価結果の少なくとも一方を表示する(ステップS140)。具体的に、制御部20は、
図4A〜
図4Dの方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adと、
図5の合成影画像Bと、
図6Aの検査領域対比影画像Cと、
図6Bの二値化影画像Dと、
図6Cの検査不能領域画像Eと、
図6Dの検査不能領域リストFのうち少なくとも1種類を表示する。本実施形態において、制御部20は、入力装置50に対するユーザの操作に基づいて表示対象(Aa,Ab,Ac,Ad,B,C,D,E,F)を切り替える。これにより、ユーザは、複数の照射方向ごとの影の分布に基づいて、現状の撮像領域に満足であるか否かを判断できる。
【0056】
次に、基板検査モジュール21aの機能により制御部20は、撮像領域に満足であるか否かを判定する(ステップS150)。具体的に、制御部20は、表示装置40において現状の撮像領域にユーザが満足しているか否かを問い合わせる画像を表示し、撮像領域に満足している旨を指定する操作が入力装置50にて受け付けられたか否かを判定する。
【0057】
撮像領域に満足であると判定しなかった場合(ステップS150:N)、基板検査モジュール21aの機能により制御部20は、撮像領域の変更を受け付ける(ステップS160)。例えば、制御部20は、基板N上における撮像領域の中心座標やいずれかの頂点の座標を変更する操作を入力装置50にて受け付けてもよい。撮像領域の変更を受け付けると、制御部20は、撮像領域情報30a2を更新する。次に、制御部20は、ステップS100に戻る。これにより、変更後の撮像領域について影画像と当該影画像の評価結果の少なくとも一方を表示することができる。従って、ユーザが満足できる影画像と当該影画像の評価結果が得られるように、撮像領域を変更していくことができる。
【0058】
一方、撮像領域に満足であると判定した場合(ステップS150:Y)、基板検査モジュール21aの機能により制御部20は、照射方向ごとに基板N(視野V)を撮像する(ステップS170)。すなわち、制御部20は、実際の検査に移行する。次に、基板検査モジュール21aの機能により制御部20は、照射方向ごとの撮像画像を用いて検査を行う(ステップS180)。すなわち、制御部20は、照射方向ごとの撮像画像に基づいて平均高さ画像を算出し、当該平均高さ画像のうち検査領域G1〜G10が示すフィレットの3次元形状の良否を判定する。
【0059】
なお、影画像と当該影画像の評価結果にユーザが満足した場合、制御部20は、必ずしも検査を実行しなくてもよく、別の撮像領域を対象にステップS100〜S140を繰り返して実行してもよい。これにより、複数の撮像領域を変更していくことができる。
【0060】
(3)他の実施形態:
前記実施形態において、制御部20は、計算によって方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adを取得したが、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adは実際に視野V内に移動した撮像領域に照明光を照射した影を撮像することにより得られてもよい。この場合、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adが部品M1〜M4の実装位置のばらつきの影響を受けることとなるが、実装位置が正確であることが確認済みの基板Nを使用することにより実装位置のばらつきの影響を抑制してもよい。
【0061】
前記実施形態では、影画像の評価結果も表示可能であったが、必ずしも影画像の評価結果が表示されなくてもよい。影画像の評価結果を表示しない場合、
図7のステップS130を省略できる。さらに、制御部20は、影画像として方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adのみを表示してもよい。この場合、
図5の合成影画像Bと、
図6Aの検査領域対比影画像Cと、
図6Bの二値化影画像Dと、
図6Cの検査不能領域画像Eと、
図6Dの検査不能領域リストFとを生成する処理を省略できる。すなわち、制御部20は、表示対象の影画像と、当該表示対象の影画像を生成するために必要な影画像のみを生成すればよい。むろん、影画像を順次生成しなくてもよく、例えば制御部20は、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Adに基づいて、直接、検査不能領域画像Eを生成してもよい。
【0062】
さらに、制御部20は、評価結果を表示装置40にて同時に表示したり、組み合わせて表示したりしてもよい。例えば、制御部20は、方向別影画像Aa,Ab,Ac,Ad上に、検査領域G1〜G10を重畳して表示してもよい。
【0063】
さらに、
図7のステップS150において、撮像領域に満足であるか否かをユーザではなく制御部20が判定してもよい。例えば、
図6Cにて黒色で示す検査不能領域(検査領域G3,G4)の個数が予め決められた判定数(例えば0個)以下である場合に、制御部20は、撮像領域に満足であると判定してもよい。この場合、制御部20は、予め決められた移動軌跡上で単位距離(例えば数ミリ)ずつ移動するように撮像領域の位置を変更してもよい。移動軌跡は、例えば撮像領域の中心座標が渦巻き状に移動する軌跡であってもよいし、当該中心座標がジグザグ状に移動する軌跡であってもよい。