特許第6506803号(P6506803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6506803
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】同軸コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20190415BHJP
【FI】
   H01R24/38
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-141550(P2017-141550)
(22)【出願日】2017年7月21日
(65)【公開番号】特開2018-32622(P2018-32622A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2017年7月21日
(31)【優先権主張番号】15/218,128
(32)【優先日】2016年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518405522
【氏名又は名称】アプティブ・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】コリー・アール・エンズリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アール・モレッロ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェリー・デモニカ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エル・ペン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エム・レイニー
(72)【発明者】
【氏名】ジェロニモ・マウリシオ・デ・ラ・トレ
(72)【発明者】
【氏名】クリスタル・エフ・クロムピーゲル
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−162351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0202372(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0164232(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0244115(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102010028802(DE,A1)
【文献】 特開2002−033161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00−12/91
H01R24/00−24/86
H01R13/40−13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸コネクタアセンブリ(10)であって、
同軸ケーブル(14)の中央導線(20)の末端を成すように構成される内側接触子(16)と、
前記内側接触子(16)を保持する絶縁性の内側スリーブ(18)と、
前記同軸ケーブル(14)のシールドブレード(28)の末端を成すように構成され、前記内側スリーブ(18)および前記内側接触子(16)を囲む管状の外側接触子(24)と、
絶縁性で円筒形の外側スリーブ(30)とを備えており、該外側スリーブ(30)は、その中を通って長手方向に延びる中央空洞(36)を画定しており、前記外側接触子(24)が前記中央空洞(36)内に配設されており、前記空洞(36)は、対応する同軸コネクタ(12)を受入れるように構成される開口部(38)を有し、前記外側スリーブ(30)の前端(42)のリップ(40)は、前記外側接触子(24)の前方エッジ(44)が前記開口部(38)の内部で露出されないように、前記開口部(38)の中に延びており
前記外側接触子(24)が、一対のロックタブ(46)を画定しており、
前記一対のロックタブ(46)の各ロックタブ(46)が、前記外側接触子(24)の外面(48)の対向する両側部から突出し、
前記外側スリーブ(30)が一対のアパーチャ(50)を画定しており、
前記一対のアパーチャ(50)の各アパーチャ(50)が、前記空洞(36)から、前記外側スリーブ(30)の対向する両側壁(52)を貫通して前記外面(48)へ径方向に延びて、前記一対のロックタブ(46)のうち1つを受入れ、
前記外側スリーブ(30)が一対の長手方向スロット(54)を画定しており、
前記一対のスロット(54)の各スロット(54)が、前記外側スリーブ(30)の対向する両側部を貫通して径方向に延び、
各スロット(54)が前記一対のアパーチャ(50)の中間にあり、前記一対のスロット(54)が、前記外側スリーブ(30)の側部が外側に曲がることが可能なように構成され、
前記同軸コネクタアセンブリ(10)は、
前記外側スリーブ(30)が受入れられるコネクタハウジング(32)をさらに備え、
前記コネクタハウジング(32)が、前記外側スリーブ(30)の前記側部が外側に曲がるのを抑制する、同軸コネクタアセンブリ(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記リップ(40)が前記開口部(38)に向かって内側に角度が付けられる、同軸コネクタアセンブリ(10)。
【請求項3】
請求項1に記載の同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記外側接触子(24)が、前記外側接触子(24)の外面(48)から径方向に突出するロックタブ(46)を画定しており、
前記外側スリーブ(30)が、前記空洞(36)から前記外側スリーブ(30)の前記外面(48)へ径方向に延びて、前記ロックタブ(46)を受入れるアパーチャ(50)を画定する、同軸コネクタアセンブリ(10)。
【請求項4】
雌型同軸コネクタアセンブリ(10)であって、
同軸ケーブル(14)の中央導線(20)の末端を成すように構成される内側接触子(16)と、
第1の誘電体材料で形成され、前記内側接触子(16)を保持する内側スリーブ(18)と、
前記同軸ケーブル(14)のシールドブレード(28)の末端を成すように構成され、平坦な加工物から形成されて、前記内側スリーブ(18)および前記内側接触子(16)を囲む管状の外側接触子(24)と、
第2の誘電体材料で形成される円筒形の外側スリーブ(30)とを備え、該外側スリーブ(30)は、その中を通る長手方向の空洞(36)を画定しており、前記外側接触子(24)は前記空洞(36)内に配設されており、前記空洞(36)は、対応する雄型同軸コネクタ(12)を受入れるように構成される開口部(38)を有し、外側スリーブ(30)の前端(42)のリップ(40)は、前記開口部(38)に向かって内側に角度が付けられて、前記外側接触子(24)の前方エッジ(44)が前記開口部(38)の内部で露出されないように前記開口部(38)の中に延び
ロックタブ(46)が前記平坦な加工物から形成され、
前記ロックタブ(46)が前記外側接触子(24)から径方向に突出し、
前記外側スリーブ(30)が、前記空洞(36)から前記外側スリーブ(30)の前記外面(48)へ径方向に延びて、前記ロックタブ(46)が受入れられるアパーチャ(50)を画定し、
一対のロックタブ(46)が前記平坦な加工物から形成され、
前記一対のロックタブ(46)の各ロックタブ(46)が前記外側接触子(24)の対向する両側部から突出し、
前記外側スリーブ(30)が一対のアパーチャ(50)を画定し、
前記一対のアパーチャ(50)の各アパーチャ(50)が、前記空洞(36)から前記外側スリーブ(30)の対向する両側壁(52)を貫通して前記外面(48)へ径方向に延びて、前記一対のロックタブ(46)のうちの1つを受入れ、
前記ロックタブ(46)の後方エッジ(46b)が、前記外側スリーブ(30)と係合して、それによって前記外側接触子(24)が前記外側スリーブ(30)から外れるのを防止し、
前記外側スリーブ(30)が、前記外側スリーブ(30)の後方フランジ(68)から長手方向に延びる一対のスロット(54)を画定し、
前記一対のスロット(54)の各スロット(54)が、前記外側スリーブ(30)の対向する両側部を貫通して径方向に延び、
各スロット(54)が前記一対のアパーチャ(50)の中間にあり、
前記ロックタブ(46)の前面(46a)が前記外側スリーブ(30)の前記後方フランジ(68)に係合するときに、前記一対のスロット(54)が、前記外側スリーブ(30)の側部が外側に曲がることが可能なように構成され、
前記同軸コネクタアセンブリ(10)は、
前記外側スリーブ(30)が受入れられるコネクタハウジング(32)をさらに備え、前記コネクタハウジング(32)が、前記外側スリーブ(30)の前記側部が外側に曲がるのを抑制し、それによって前記一対のロックタブ(46)を前記一対のアパーチャ(50)の中に保持する、雌型同軸コネクタアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は全体的に電気コネクタに関し、より詳細には雌型同軸コネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]同軸ケーブルコネクタアセンブリは、全地球測位システム(GPS)、インフォテインメントシステム、およびエアバッグシステムなど、多くの自動車用途に使用されてきた。一般に同軸ケーブルは、外側シールド導線、内側中央導線、誘電体、および絶縁外装から構成される。同軸ケーブルの外側導線および内側導線は、ソケットおよびプラグコネクタを介して接続する同軸ケーブルと電気的に連結することが多い。そのような従来の同軸ケーブルコネクタが、当技術分野で知られている。
【0003】
[0003]多様なコネクタのタイプを規格化して、それによって混乱を避けるために、特定の業界規格が確立されてきた。これらの規格の1つはFAKRAと称される。FAKRAとは、自動車分野での国際規格化の関係者を代表する、ドイツ規格協会(ドイツ語では「Deutsches Institut fur Normung」で、DINの略称でよく知られている)内の自動車規格委員会である。FAKRA規格は、コネクタを適切に取付けるために、キーイングおよび色コーディングに基づくシステムを提供する。FAKRAコネクタでは、同様のソケットキーは同様のプラグのキー溝にしか接続できない。コネクタハウジングの安全な位置付けおよびロックは、FAKRAで規定された、ソケットハウジングの留め金および協働するプラグハウジングの掛け金によって円滑化される。
【0004】
[0004]コネクタアセンブリは、内側接触子および内側接触子の遮蔽を提供する外側接触子を含む。一般に外側接触子は、製造するのに高価な、亜鉛ダイキャストまたはねじ切り盤による部品から製造される。
【0005】
[0005]経済性に優れ、かつ信頼できる方法で製造できるコネクタアセンブリに対する要望が依然としてある。さらに、打ち抜き部品および成形部品などの高価ではない部品を、ダイキャスト部品として作られた既存の外側ハウジングおよびロックに利用できるコネクタアセンブリに対する要望が、依然としてある。
【0006】
[0006]背景技術のセクションで説明された主題は、背景技術のセクションで述べた従来技術の単なる結果としての従来技術と見なすべきではない。同様に、背景技術のセクションで述べられた課題、または背景技術のセクションの主題に関連付けられた課題は、従来技術で事前に理解されたものと見なすべきではない。背景技術のセクションの主題は、それ自体も発明であり得る、異なるアプローチを表わすにすぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明の一実施形態において、同軸コネクタアセンブリが提供される。同軸コネクタアセンブリは、同軸ケーブルの中央導線の末端を成すように構成される内側接触子と、内側接触子をその中に保持する絶縁性の内側スリーブと、内側スリーブおよび内側接触子を囲む管状の外側接触子とを含む。外側接触子は、同軸ケーブルのシールドブレードの末端を成すように構成される。同軸コネクタアセンブリは、その長手方向に延びる中央空洞を画定する、絶縁性で円筒形の外側スリーブをさらに含む。外側接触子は、この空洞内に配設される。空洞は、対応する同軸コネクタを受入れるように構成される開口部を有する。外側スリーブの前端のリップは、外側接触子の前方エッジが開口部の内部で露出されないように、開口部の中に延びる。このリップは、開口部に向かって内側に角度を付けられてよい。
【0008】
[0008]外側接触子は、外側接触子の外面から径方向に突出するロックタブを画定してよい。外側スリーブはまた、空洞から外側スリーブの外面へ径方向に延びて、このロックタブが受入れられるアパーチャも画定してよい。
【0009】
[0009]代替として、外側接触子は一対のロックタブを画定してよい。この一対のロックタブの各ロックタブは、外側接触子の外面の対向する両側部から突出する。外側スリーブもまた一対のアパーチャを画定してよい。一対のアパーチャの各アパーチャは、空洞から、一対のロックタブの1つを受入れる外側スリーブの対向する両側部を貫通して、外面へ径方向に延びる。
【0010】
[0010]空洞は、一対の長手方向のスロットを画定してよい。一対のスロットの各スロットは、外側スリーブの対向する両側部を貫通して径方向に延び、各スロットは一対のアパーチャの中間にある。一対のスロットは、外側スリーブの側部が外側に曲がることが可能なように構成される。
【0011】
[0011]同軸コネクタアセンブリは、外側スリーブが受入れられるコネクタハウジングをさらに含んでよい。コネクタハウジングは、外側スリーブの側部が外側に曲がるのを抑制する。
【0012】
[0012]本発明の別の実施形態において、雌型同軸コネクタアセンブリが提供される。雌型同軸コネクタアセンブリは、同軸ケーブルの中央導線の末端を成すように構成される内側接触子と、第1の誘電体材料で形成されて内側接触子を保持する内側スリーブと、平坦な加工物から形成される管状の外側接触子とを含む。外側接触子は内側スリーブおよび内側接触子を囲む。外側接触子は、同軸ケーブルのシールドブレードの末端を成すように構成される。雌型同軸コネクタアセンブリはまた、第2の誘電体材料から形成される円筒形の外側スリーブも含む。外側スリーブは、外側スリーブを貫通して延びる長手方向の空洞を画定する。外側接触子は、この空洞内に配設される。空洞は、対応する雄型同軸コネクタを受入れるように構成される開口部を有する。外側スリーブの前端のリップは、開口部に向かって内側に角度が付けられ、外側接触子の前方エッジが開口部の内部で露出されないように、開口部の中に延びる。
【0013】
[0013]ロックタブは平坦な加工物から形成されてよい。ロックタブは、外側接触子から径方向に突出する。また外側スリーブは、空洞から外側スリーブの外面に径方向に延びて、このロックタブが受入れられるアパーチャも画定してよい。
【0014】
[0014]代替として、一対のロックタブは平坦な加工物から形成されてよい。一対のロックタブの各ロックタブは、外側接触子の対向する両側部から突出する。外側スリーブもまた一対のアパーチャを画定してよい。一対のアパーチャの各アパーチャは、空洞から外側スリーブの対向する両側部を貫通して、外面へ径方向に延びて一対のロックタブの1つを受入れる。ロックタブの後方エッジは、アパーチャの前方エッジと係合し、それによって外側接触子が外側スリーブから外れるのを防止する。
【0015】
[0015]外側スリーブは、外側スリーブの後方フランジから長手方向に延びる一対のスロットを画定してよい。一対のスロットの各スロットは、外側スリーブの対向する両側部を貫通して径方向に延びる。各スロットは一対のアパーチャの中間に位置する。ロックタブの前面が外側スリーブの後方フランジと係合するときに、一対のスロットは、外側スリーブの両側部が外側に曲がることが可能なように構成される。
【0016】
[0016]雌型同軸コネクタは、外側スリーブが受入れられるコネクタハウジングをさらに含んでよい。コネクタハウジングは、外側スリーブの側部が外側に曲がるのを抑制し、それによって一対のロックタブを一対のアパーチャの中に保持する。
【0017】
[0017]次に、添付の図面を例として参照して、本発明が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[0018]一実施形態による同軸コネクタアセンブリの斜視図である。
図2】[0019]一実施形態による、図1の同軸コネクタアセンブリの分解斜視図である。
図3】[0020]一実施形態による、図1の同軸コネクタアセンブリの断面図である。
図4】[0021]一実施形態による、図1の同軸コネクタアセンブリの外側スリーブおよび同軸コネクタの斜視図である。
図5】[0022]一実施形態による、外側スリーブおよび同軸コネクタ組立てのプロセス図である。
図6】[0023]一実施形態による、同軸コネクタと組立てられた外側スリーブの斜視図である。
図7】[0024]一実施形態による、図1の同軸コネクタアセンブリのコネクタハウジングの斜視図である。
図8】[0025]図8Aは一実施形態による、図1の同軸コネクタアセンブリの代替斜視図である。[0026]図8Bは一実施形態による、図8Aの同軸コネクタアセンブリの断面図である。
図9】[0027]図9Aは一実施形態による、コネクタハウジングに対する異なる配向の同軸コネクタを伴う、図1の同軸コネクタアセンブリの背面図である。図9Bは一実施形態による、コネクタハウジングに対する異なる配向の同軸コネクタを伴う、図1の同軸コネクタアセンブリの背面図である。図9Cは一実施形態による、コネクタハウジングに対する異なる配向の同軸コネクタを伴う、図1の同軸コネクタアセンブリの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0028]本明細書では、遮蔽された同軸ケーブルの末端を成すように構成され、自動車用途の使用に好適な、同軸コネクタアセンブリの説明が提示される。
[0029]図1図3は、直角の雌型同軸コネクタアセンブリの非限定の例であり、以降アセンブリ10と称する。アセンブリ10は、同軸ケーブル14に取付けられた直角の雌型同軸コネクタを含み、以降同軸コネクタ12と称する。雌型同軸コネクタは、絶縁性の内側スリーブ18内に入っている内側接触子16を含む。内側接触子16は、同軸ケーブル14の中央導線20の末端を成すように構成され、対応して接続する雄型同軸コネクタアセンブリ(図示せず)の内側接触子(図示せず)との接触を提供する。内側接触子16は、銅などの導電性材料で形成されてよく、内側接触子16の領域によって、たとえばニッケル、錫、または金でメッキしてよい。内側接触子16は、打ち抜きおよび圧延して概ね管状にされた単一の加工物から形成される。内側接触子16の一方の端は、第1の雌型ソケット16aを画定する。第1の雌型ソケット16aは、対応して接続する雄型同軸コネクタアセンブリの雄型ピンの内側接触子を受入れるように構成される。内側接触子16の他方の端は、第2のソケット16bを画定する。第2のソケット16bは第1のソケット16aに対して概ね90°の角度で配向される(方向決めされる)。第2のソケット16bは、同軸ケーブル14の中央導線20に取付けられる雄型ピン末端22を受入れるように構成される。他の実施形態は雄型ピン末端を省略してよく、同軸ケーブル14の中央導線20は第2のソケット16bの中に直接受入れられてよい。
【0020】
[0030]同軸コネクタ12はまた、内側接触子16および内側スリーブ18を保持するように構成された、外側接触子24も含む。外側接触子24は導電性材料の平坦シート(図示せず)から形成され、互いに実質的に直角に配向される(方向決めされる)第1および第2の胴部24a、24bに折り曲げられる。また外側接触子24は、導電性材料のシートから形成され、メッキされてもよい。長手方向に(たとえばX軸に沿って)延びる第1の胴部24aは、内側接触子16を入れる内側スリーブ18を受入れるように構成される。垂直方向に(たとえばZ軸に沿って)延びる第2の胴部24bは、同軸ケーブル14を受入れるように構成され、外側接触子24にかしめられた管状口輪26によって同軸ケーブル14のシールド導線28に取付けるように構成されている。外側接触子24は、導電性材料から形成され、同軸ケーブル14のシールド導線28と、対応して接続する雄型同軸コネクタアセンブリの外側接触子(図示せず)との間の電気的連続性を提供する。
【0021】
[0031]外側接触子24は、コネクタハウジング32の中にスナップ嵌めされる絶縁性の外側スリーブ30内に保持される。コネクタハウジング32は、接続する雄型同軸コネクタアセンブリの対応するコネクタハウジングを受入れるように構成されている。コネクタハウジング32は、コネクタ位置保証(CPA)装置34をさらに含む。このアセンブリ10は、FAKRA規格に準拠してよい。
【0022】
[0032]FAKRAコネクタは、FAKRAの自動車専門グループによって確立された統一コネクタシステムの規格に従うインターフェースを有する、無線周波数(RF)コネクタである。FAKRAコネクタは、自動車適用の高い機能性と安全性要求を満たす、規格化されたキーイングシステムおよびロックシステムを有する。FAKRAコネクタは、超小型バージョンBコネクタ(SMBコネクタ)に基づいており、スナップオン連結に特徴がある。FAKRAコネクタは、50オームまたは75オームのインピーダンスを提供するよう設計されている。同軸コネクタ12は、本明細書で説明されたFAKRAコネクタ以外の他のタイプのコネクタを利用してよい。
【0023】
[0033]図2および図3に示すように、外側スリーブ30は、外側スリーブ30を長手方向に(すなわちX軸に沿って)貫通して延びて同軸コネクタ12が配設される、中央スリーブ空洞(キャビティ)36を画定する。このスリーブ空洞36は開口部38を有し、そこを介し、対応して接続する雄型同軸コネクタが受入れられる。図3に最もよく示されるように、外側スリーブ30の前端42のリップ40は、開口部38の中に延びている。それによって、外側接触子24の前方エッジ44が、リップ40によって覆われ、開口部38の内部で露出されないようになっている。本明細書で使用するとき、前方および後方は、同軸コネクタの一方から他方に挿入する方向に基づいて言及される。リップ40は、内側に開口部38に向かって角度を付けられる。このリップ40は、対応する雄型同軸コネクタの外側接触子を、同軸コネクタ12の外側接触子24の内側に導き、雄型および雌型同軸コネクタを接続するときに、外側接触子24の前方エッジ44と、対応する雄型同軸コネクタの外側接触子の前方エッジとがぶつからないよう防護する。
【0024】
[0034]図4図6は、外側スリーブ30を同軸コネクタ12に組立てるプロセスを示す。図4に示されるように、外側接触子24は、エンボス加工プロセスによって外側接触子24に形成された、一対のロックタブ46を画定する。代替的に、ロックタブ46は、外側接触子24の側部のタブを切断して、それらを外側に曲げることによって形成されてよい。各ロックタブ46は、外側接触子24の外面48の対向する両側部から突出する。各ロックタブ46の前面46aは、外側接触子24の外面48に対して鋭角を画定する。各ロックタブ46の後方エッジ46bは、外側接触子24の外面48に対して実質的に垂直かつ同心である表面を画定する。
【0025】
[0035]図4でさらに示されるように、外側スリーブ30は、外側スリーブ30の側壁52に一対のアパーチャ50を画定する。各アパーチャ50は、スリーブ空洞36から径方向に、一方が他方と対向して、外側スリーブ30の側壁52を貫通して延びている。ロックタブ46の内の1つは、各アパーチャ50に受入れられる。外側スリーブ30はまた、スリーブの後端56から長手方向に(すなわちX軸に沿って)延びる一対のスロット54も画定する。スロット54は、外側スリーブ30の前端42までは延びない。スロット54の各々は、スリーブ空洞36から径方向に、一方が他方と対向して、外側スリーブ30の側壁52を貫通して延びる。各スロット54は、前記一対のアパーチャ50の中間に位置する。図5で示されるように、同軸コネクタ12が外側スリーブ30内に挿入されると、ロックタブ46の角度が付いた前面は、外側スリーブ30の後端56に接触して、外側スリーブ30に、外側に向けた力を加える。スロット54によって、外側スリーブ30の側壁52が外側に曲がることができ、これにより、ロックタブ46が後端56をスライドして越えてアパーチャ50に入ることが可能となっている。ロックタブ46の後方エッジ46bがアパーチャ50に入ると、外側スリーブ30の側壁52は元の位置まで内側に曲がり、図6に示されるように、ロックタブ46の後方エッジ46bは外側スリーブ30と係合して、同軸コネクタ12が外側スリーブ30から外れるのを防止する。
【0026】
[0036]コネクタハウジング32が図7図8Bに詳細に示される。図に示されるように、コネクタハウジング32は長手方向(すなわちX軸)に沿って延びる。コネクタハウジング32は誘電体材料、好ましくはポリマー材料で作られる。コネクタハウジング32は、外側スリーブ30を受入れるように構成されたハウジング空洞(ハウジングキャビティ)58(図7参照)を画定する。図7にさらに示されるように、コネクタハウジング32は、コネクタハウジング32の長手方向端のうちの1つにおいて、一方が他方に対向して側壁52に配置される、2つの弾性のある1次ロックアーム60を含む。ここで示される例では2つのロックアーム60が示されるが、他の実施形態ではより多いまたはより少ないロックアームを有するものと想定してよい。
【0027】
[0037]図7で示されるように、ハウジング空洞58の内面62は、2次ロック機能部として役立つ、1つまたは複数の剛性の尖った先端64を画定してよい。尖った先端64は、ハウジング空洞58の周囲へ均等に配置されてもよく、均等に配置されなくてもよい。図示の例の尖った先端64は、コネクタハウジング32の、1次ロックアーム60と同じ長手方向端またはその近傍に配置されている。
【0028】
[0038]再び図6を参照すると、外側スリーブ30は、アパーチャ50の前方に位置する断続した前方スプリットフランジ66と、アパーチャ50の後方に位置する後方スプリットフランジ68とを画定する。
【0029】
[0039]図8Aおよび図8Bに示されるように、同軸コネクタ12および同軸ケーブル14を伴う外側スリーブ30が、ハウジング空洞58の中に挿入される。図8Bに示されるように、同軸コネクタ12および同軸ケーブル14は、12時方向の位置にある。この配向において、尖った先端64は前方フランジ66の障害物70を通り抜けることができる。ハウジング空洞58に完全に挿入されると、外側スリーブ30の側壁52はハウジング空洞58の内面62にほぼ接触して、外側スリーブ30の外に向かう動きを防止し、ロックタブ46をアパーチャ50内に固定する。1次ロックアーム60は前方フランジ66も係合して、外側スリーブ30がハウジング空洞58から外れるのを防止する。外側スリーブ30がハウジング空洞58に完全に挿入されると、使用者は外側スリーブ30を図9A図9Cに示されるように回転できる。同軸コネクタ12および同軸ケーブル14が、12時の位置から3時、6時、9時などの別の位置に回転されると、尖った先端(尖端)64が前方フランジ66と係合して、外側スリーブ30がハウジング空洞58から外れるのも防止する。後方フランジ68は、前方フランジ66と同じサイズである。後方フランジは、尖った先端64の後ろで停止して、適切な位置を提供する。両フランジの外周面は、ハウジング空洞58の内面62と相互作用して、ハウジング32に対する外側スリーブ30の移動/がたつきを制限する。外側スリーブ30がハウジング空洞58に挿入されると、後方フランジ68はコネクタハウジング32と接触し、ハウジング空洞58内での外側スリーブ30の適切な位置を提供する。
【0030】
[0040]図示の例のアセンブリ10が、同軸ケーブル14と外側接触子および内側接触子との間で、直角すなわち90°の構成である一方で、他の実施形態では、同軸コネクタが直線すなわち180°の構成または任意の他の角度構成としてもよい。
[0041]さらに、本明細書に示されるアセンブリ10が、雌型ソケットの内部接触子16を含むために雌型同軸コネクタアセンブリと称される一方で、他の実施形態では、アセンブリ10が雄型ピンの内部接触子を含むようにしてもよい。
【0031】
[0042]このようにして、同軸コネクタアセンブリ10が提供される。アセンブリ10は、コネクタハウジング32内で同軸コネクタ12を保持する外側スリーブ30を含む。この外側スリーブ30は前端42にリップ40を有する。リップ40は、接続する同軸コネクタの外側接触子を、同軸コネクタ12の外側接触子24内に導く。リップ40は、また、同軸コネクタ12の外側接触子24の前方エッジ44を覆い、これによって外側接触子同士が接続されるときに、ぶつかる(すなわち接触子のバッティング)のを防ぐ。コネクタハウジング32はまた、1次および2次ロック部も含み、コネクタハウジング32内で同軸コネクタ12を保持する外側スリーブ30を固定する。このアセンブリ10は、FAKRAコネクタ規格に適合するよう構成されてよい。
【0032】
[0043]本発明が、その好ましい実施形態という点で説明されたが、そのような限定を意図するものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に記載される範囲においてのみ限定される。さらに、使用される、第1の、第2の、1次、2次などの用語は、いかなる重要性の順番をも意味せず、むしろ、第1の、第2の、などの用語は、1つの要素を別の要素と区別するために使用される。その上、1つの、などの用語の使用は数量の限定を意味せず、むしろ参照される要素のうちの少なくとも1つの存在を意味する。
本願発明は、下記のように構成してもよい。
[番号1]
同軸コネクタアセンブリ(10)であって、
同軸ケーブル(14)の中央導線(20)の末端を成すように構成される内側接触子(16)と、
前記内側接触子(16)を保持する絶縁性の内側スリーブ(18)と、
前記同軸ケーブル(14)のシールドブレード(28)の末端を成すように構成され、前記内側スリーブ(18)および前記内側接触子(16)を囲む管状の外側接触子(24)と、
絶縁性で円筒形の外側スリーブ(30)とを備えており、該外側スリーブ(30)は、その中を通って長手方向に延びる中央空洞(36)を画定しており、前記外側接触子(24)が前記中央空洞(36)内に配設されており、前記空洞(36)は、対応する同軸コネクタ(12)を受入れるように構成される開口部(38)を有し、前記外側スリーブ(30)の前端(42)のリップ(40)は、前記外側接触子(24)の前方エッジ(44)が前記開口部(38)の内部で露出されないように、前記開口部(38)の中に延びている、同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号2]
番号1に記載の同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記リップ(40)が前記開口部(38)に向かって内側に角度が付けられる、同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号3]
番号1に記載の同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記外側接触子(24)が、前記外側接触子(24)の外面(48)から径方向に突出するロックタブ(46)を画定しており、
前記外側スリーブ(30)が、前記空洞(36)から前記外側スリーブ(30)の前記外面(48)へ径方向に延びて、前記ロックタブ(46)を受入れるアパーチャ(50)を画定する、同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号4]
番号1に記載の同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記外側接触子(24)が、一対のロックタブ(46)を画定しており、
前記一対のロックタブ(46)の各ロックタブ(46)が、前記外側接触子(24)の外面(48)の対向する両側部から突出し、
前記外側スリーブ(30)が一対のアパーチャ(50)を画定しており、
前記一対のアパーチャ(50)の各アパーチャ(50)が、前記空洞(36)から、前記外側スリーブ(30)の対向する両側壁(52)を貫通して前記外面(48)へ径方向に延びて、前記一対のロックタブ(46)のうち1つを受入れる、同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号5]
番号4に記載の同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記外側スリーブ(30)が一対の長手方向スロット(54)を画定しており、
前記一対のスロット(54)の各スロット(54)が、前記外側スリーブ(30)の対向する両側部を貫通して径方向に延び、
各スロット(54)が前記一対のアパーチャ(50)の中間にあり、前記一対のスロット(54)が、前記外側スリーブ(30)の側部が外側に曲がることが可能なように構成される、同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号6]
番号5に記載の同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記外側スリーブ(30)が受入れられるコネクタハウジング(32)をさらに備え、
前記コネクタハウジング(32)が、前記外側スリーブ(30)の前記側部が外側に曲がるのを抑制する、同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号7]
雌型同軸コネクタアセンブリ(10)であって、
同軸ケーブル(14)の中央導線(20)の末端を成すように構成される内側接触子(16)と、
第1の誘電体材料で形成され、前記内側接触子(16)を保持する内側スリーブ(18)と、
前記同軸ケーブル(14)のシールドブレード(28)の末端を成すように構成され、平坦な加工物から形成されて、前記内側スリーブ(18)および前記内側接触子(16)を囲む管状の外側接触子(24)と、
第2の誘電体材料で形成される円筒形の外側スリーブ(30)とを備え、該外側スリーブ(30)は、その中を通る長手方向の空洞(36)を画定しており、前記外側接触子(24)は前記空洞(36)内に配設されており、前記空洞(36)は、対応する雄型同軸コネクタ(12)を受入れるように構成される開口部(38)を有し、外側スリーブ(30)の前端(42)のリップ(40)は、前記開口部(38)に向かって内側に角度が付けられて、前記外側接触子(24)の前方エッジ(44)が前記開口部(38)の内部で露出されないように前記開口部(38)の中に延びている、雌型同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号8]
番号7に記載の雌型同軸コネクタアセンブリ(10)において、
ロックタブ(46)が前記平坦な加工物から形成され、
前記ロックタブ(46)が前記外側接触子(24)から径方向に突出し、
前記外側スリーブ(30)が、前記空洞(36)から前記外側スリーブ(30)の前記外面(48)へ径方向に延びて、前記ロックタブ(46)が受入れられるアパーチャ(50)を画定する、雌型同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号9]
番号7に記載の雌型同軸コネクタアセンブリ(10)において、
一対のロックタブ(46)が前記平坦な加工物から形成され、
前記一対のロックタブ(46)の各ロックタブ(46)が前記外側接触子(24)の対向する両側部から突出し、
前記外側スリーブ(30)が一対のアパーチャ(50)を画定し、
前記一対のアパーチャ(50)の各アパーチャ(50)が、前記空洞(36)から前記外側スリーブ(30)の対向する両側壁(52)を貫通して前記外面(48)へ径方向に延びて、前記一対のロックタブ(46)のうちの1つを受入れ、
前記ロックタブ(46)の後方エッジ(46b)が、前記外側スリーブ(30)と係合して、それによって前記外側接触子(24)が前記外側スリーブ(30)から外れるのを防止する、雌型同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号10]
番号9に記載の雌型同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記外側スリーブ(30)が、前記外側スリーブ(30)の後方フランジ(68)から長手方向に延びる一対のスロット(54)を画定し、
前記一対のスロット(54)の各スロット(54)が、前記外側スリーブ(30)の対向する両側部を貫通して径方向に延び、
各スロット(54)が前記一対のアパーチャ(50)の中間にあり、
前記ロックタブ(46)の前面(46a)が前記外側スリーブ(30)の前記後方フランジ(68)に係合するときに、前記一対のスロット(54)が、前記外側スリーブ(30)の側部が外側に曲がることが可能なように構成された、雌型同軸コネクタアセンブリ(10)。
[番号11]
番号10に記載の同軸コネクタアセンブリ(10)において、
前記外側スリーブ(30)が受入れられるコネクタハウジング(32)をさらに備え、前記コネクタハウジング(32)が、前記外側スリーブ(30)の前記側部が外側に曲がるのを抑制し、それによって前記一対のロックタブ(46)を前記一対のアパーチャ(50)の中に保持する、雌型同軸コネクタアセンブリ(10)。
【符号の説明】
【0033】
10 アセンブリ、同軸コネクタアセンブリ、雌型同軸コネクタアセンブリ
12 同軸コネクタ
14 同軸ケーブル
16 内側接触子
16a 第1のソケット
16b 第2のソケット
18 内側スリーブ
20 中央導線
22 雄型ピン末端
24 外側接触子
24a 第1の胴部
24b 第2の胴部
26 管状口輪
28 シールド導線、シールドブレード
30 外側スリーブ
32 コネクタハウジング
34 コネクタ位置保証(CPA)装置
36 スリーブ空洞
38 開口部
40 リップ
42 前端
44 前方エッジ
46 ロックタブ
46a 前面
46b 後方エッジ
48 外面
50 アパーチャ(孔)
52 側壁
54 スロット
56 後端
58 ハウジング空洞
60 1次ロックアーム
62 内面
64 尖った先端
66 前方フランジ、前方スプリットフランジ
68 後方フランジ、後方スプリットフランジ
70 障害物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9