特許第6506906号(P6506906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6506906
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】自動作動洪水ガード
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20190415BHJP
   E02B 7/40 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   E06B5/00 Z
   E02B7/40
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-523200(P2013-523200)
(86)(22)【出願日】2011年7月27日
(65)【公表番号】特表2013-534282(P2013-534282A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】US2011045475
(87)【国際公開番号】WO2012018651
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2014年7月23日
【審判番号】不服2017-11153(P2017-11153/J1)
【審判請求日】2017年7月27日
(31)【優先権主張番号】12/851,308
(32)【優先日】2010年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510197656
【氏名又は名称】フロッドブレイク,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターズ,ルイス,エー,ジュニア
【合議体】
【審判長】 井上 博之
【審判官】 前川 慎喜
【審判官】 西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/190193(US,A1)
【文献】 特開平4−182503(JP,A)
【文献】 特開平10−152827(JP,A)
【文献】 特開2001−214425(JP,A)
【文献】 特開2003−221822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E02B 7/40
E04H 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水体に隣接する海岸線の少なくとも一部に沿って長手方向に走る直立壁又は隣接する地表面より上に少なくとも部分的に垂直に離間する開口を有する沿岸垂直壁を含む、建造物のための自動作動洪水防護ユニットであって、
近位側部と、遠位側部と、横方向側部と、近位側部から遠位側部までの高さと、横方向側部の間の幅とを有する、浮揚ゲートと、
前記建造物の1つに対して横方向に接続するための第1の垂直境界壁であって、前記建造物が前記海岸線に沿う前記直立壁を含むならば、前記水体の通常の表面水位線より下にある地面の部分付近の上に前記直立壁から延び、前記建造物が前記沿岸垂直壁を含むならば、前記開口に横方向に隣接して前記沿岸垂直壁から延びる、第1の垂直境界壁と、
同じ建造物に対して横方向に接続するための第2の垂直境界壁であって、そのような第1の垂直境界壁と同じ建造物から延び、前記浮揚ゲートの前記幅を収容するのに少なくとも十分な距離で前記第1の垂直境界壁から離間する、第2の垂直境界壁と、
前記第1及び第2の垂直境界壁が接続される前記建造物への水平な接続のための固定旋回部材と、該固定旋回部材に移動可能に連結される可動部材とを含み、該可動部材は、前記浮揚ゲートの前記近位側部に接続され、前記第1及び第2の垂直境界壁に対して横方向の水平軸について旋回可能である、旋回部材であって、前記第1及び第2の垂直境界壁が前記海岸線に沿って前記建造物に接続されるならば、前記通常の表面水位線より下にある前記地面より上に垂直に離間する第1の高さで、前記第1及び第2の垂直境界壁が前記開口に隣接して前記沿岸垂直壁に接続されるならば、前記地表面より上に垂直に離間する第2の高さで、前記浮揚ゲートの前記近位側部を、前記第1及び第2の垂直境界壁の間に配置し、前記第1又は第2の高さは、前記浮揚ゲートを浮揚的に持ち上げる前記第1又は第2の高さより上への水の上昇に基づき、前記浮揚ゲートを前記第1及び第2の垂直境界壁の間で前記水平軸について回転的に上向きに浮揚的に旋回させるように選択される、旋回部材とを含む、
洪水防護ユニット。
【請求項2】
前記距離は、前記浮揚ゲートの各横方向側部と隣接する境界壁との間にある間隙をもたらすのに十分な前記浮揚ゲートの前記幅よりも広く、前記間隙は、前記間隙を封止するための可撓なリップ封止ガスケットの収容のために適しており、
前記浮揚ゲートの前記横方向側部に沿い、且つ、前記境界壁を封止的に拭い且つ前記間隙を封止して前記間隙を通じる水の通過を阻止するのに十分な幅を有する、可撓なリップ封止ガスケットを更に含む、
請求項1に記載の洪水防護ユニット。
【請求項3】
前記建造物と前記浮揚ゲートの前記近位側部との間の水の通過を阻止するために、前記浮揚ゲートの前記近位側部に沿って前記旋回部材に亘る可撓なストリップガスケットを更に含む、請求項1に記載の洪水防護ユニット。
【請求項4】
前記浮揚ゲートが前記第1又は第2の高さよりも上に上向きに旋回されるとき、前記浮揚ゲートが所定の程度よりも多く前記水平軸について回転するのを防止するよう前記浮揚ゲートに対して作用するための抑制体を更に含む、請求項1に記載の洪水防護ユニット。
【請求項5】
前記浮揚ゲートが前記水平軸について回転するのを制約されるとき、前記抑制体は、前記浮揚ゲートに対して作用する水力からのゲート屈曲モーメントに抗するのに効果的である、請求項4に記載の洪水防護ユニット。
【請求項6】
前記抑制体は、前記地面に固着される張力部材を含む、請求項4に記載の洪水防護ユニット。
【請求項7】
前記所定の程度は、実質的に垂直である、請求項4に記載の洪水防護ユニット。
【請求項8】
前記抑制体は、前記水平軸より上のある距離で前記建造物に接続され、前記浮揚ゲートが実質的に垂直向きに回転させられるのを可能にする、請求項4に記載の洪水防護ユニット。
【請求項9】
前記建造物への接続のための水平フレーム部材を更に含み、該水平フレーム部材は、前記第1及び第2の垂直境界壁の間で、前記固定旋回部材を前記建造物に接続する、請求項1に記載の洪水防護ユニット。
【請求項10】
前記第1及び第2の垂直境界壁は、前記水平フレーム部材によって支持される、請求項9に記載の洪水防護ユニット。
【請求項11】
建造物の垂直壁の開口を防護するための請求項2に記載の洪水防護ユニットであって、前記開口は、底部と、横方向側部と、頂部とを有し、当該洪水防護ユニットは、前記開口の前記横方向側部に隣接した前記建造物への接続のための一対の離間した垂直フレーム部材と、前記開口の前記頂部より上での前記建造物への接続のための上方水平フレーム部材と、前記開口の前記底部より下での前記建造物への接続のための下方水平フレーム部材とを更に含み、前記垂直フレーム部材は、各々、前記第1及び第2の垂直境界壁の内向きに、細長い垂直圧縮ガスケットを支持し、前記上方水平フレーム部材は、前記第1及び第2の垂直境界壁の間で、細長い水平圧縮ガスケットを支持する、洪水防護ユニット。
【請求項12】
前記建造物と前記浮揚ゲートの前記近位側部との間の水の通過を阻止するために、前記浮揚ゲートの前記近位側部に沿って前記旋回部材に亘る可撓なストリップガスケットを更に含む、請求項11に記載の洪水防護ユニット。
【請求項13】
前記下方水平フレーム部材は、前記境界壁の間で、前記固定旋回部材を前記建造物に接続する、請求項12に記載の洪水防護ユニット。
【請求項14】
前記境界壁は、前記下方水平フレーム部材によって支持される、請求項13に記載の洪水防護ユニット。
【請求項15】
前記第1及び第2の垂直境界壁及び前記固定旋回部材は、前記海岸線に沿って前記建造物に接続される、複数の請求項1に記載の洪水防護ユニットであって、当該洪水防護ユニットは、連続的な組の洪水防護ユニットを含み、1つの前記垂直境界壁が第1の端壁を前記組にもたらし、他の垂直境界壁が第2の端壁を前記組にもたらし、少なくとも1つの中間境界壁が前記第1及び第2の端壁の間に配置され、第1の端部ゲートが、前記第1の端壁と隣の隣接する中間境界壁との間に配置され、第2の端部ゲートが、前記第2の端壁と隣の隣接する境界壁との間に配置される、洪水防護ユニット。
【請求項16】
前記第1及び第2の垂直境界壁及び前記固定旋回部材は、前記海岸線に沿って前記建造物に接続される、複数の請求項1に記載の洪水防護ユニットであって、当該洪水防護ユニットは、並んで配置される隣接する組の洪水防護ユニットを含み、隣の隣接するユニットの隣の隣接する境界壁は、前記海岸線に沿って前記建造物から立ち上がる垂直部材に接続される、洪水防護ユニット。
【請求項17】
水体に隣接する海岸線の少なくとも一部に沿って長手方向に走る直立壁を含む建造物のための連続的な自動作動洪水防護ユニットの組であって、
各防護ユニットは、
近位側部と、遠位側部と、横方向側部と、前記近位側部から前記遠位側部までの高さと、前記横方向側部の間の幅とを有する、浮揚ゲートと、
前記建造物に対して横方向に接続され、前記水体の通常の表面水位線より下にある地面の部分付近の上に前記建造物から延びる、第1の垂直境界壁と、
前記建造物に対して横方向に接続され、前記第1の垂直境界壁と同様に延び、前記浮揚ゲートの前記幅を収容するのに少なくとも十分な距離で前記第1の垂直境界壁から離間する、第2の垂直境界壁と、
前記建造物に水平方向に及び長手方向に接続される固定部材と、該固定部材に移動可能に連結される可動部材とを含む、旋回部材であって、前記可動部材は、前記浮揚ゲートの前記近位側部に接続され、前記第1及び第2の垂直境界壁に対して横方向の水平軸について旋回可能であり、前記旋回部材は、選択的な高さより上への水の上昇に基づき前記浮揚ゲートを前記第1及び第2の垂直境界壁の間で前記水平軸について回転的に上向きに旋回させて前記浮揚ゲートを浮揚的に持ち上げるために、前記浮揚ゲートの前記近位側部を、前記建造物の水側で前記通常の表面水位線より下にある地面より上の前記選択的な高さで、前記第1及び第2の垂直境界壁の間に配置する、旋回部材と、
前記浮揚ゲートが前記高さより上に上向きに旋回されるときに、前記浮揚ゲートが所定の程度より多く前記水平軸について回転することを阻止するよう前記浮揚ゲートに対して作用するために前記浮揚ゲートに取り付けられ且つ前記建造物の水側で前記通常の表面水位線より下にある前記地面に固着される、張力部材とを含み、
当該連続的な自動作動洪水防護ユニットの組は、第1の端壁を当該組にもたらす1つの前記垂直境界壁と、第2の端壁を当該組にもたらす他の境界壁とを含み、少なくとも1つの境界壁は、前記第1及び第2の端壁の中間に配置され、第1の端部ゲートが前記第1の端壁と隣の隣接する中間境界壁との間に配置され、第2の端部ゲートが前記第2の端壁と隣の隣接する境界壁との間に配置される、
連続的な自動作動洪水防護ユニットの組。
【請求項18】
前記建造物に接続される前記第2の垂直境界壁は、前記浮揚ゲートの各横方向側部と前記隣接する境界壁との間にある間隙をもたらす前記浮揚ゲートの前記幅よりも広い距離で、次の隣接する境界壁から離間し、前記間隙は、前記間隙を封止するための可撓なリップ封止ガスケットの収容に適し、
前記浮揚ゲートの前記横方向側部に沿い、且つ、前記境界壁を封止的に拭い且つ前記間隙を封止して前記間隙を通じる水の通過を阻止するのに十分な幅を有する、可撓なリップ封止ガスケットを更に含む、
請求項17に記載の連続的な自動作動洪水防護ユニットの組。
【請求項19】
前記建造物と前記浮揚ゲートの前記近位側部との間の水の通過を阻止するために、前記浮揚ゲートの前記近位側部に沿って前記旋回部材に亘る可撓なストリップガスケットを更に含む、請求項18に記載の連続的な自動作動洪水防護ユニットの組。
【請求項20】
沿岸建造物の垂直壁の開口を通じる洪水の進入を拒絶するための自動作動洪水ガードであって、
前記開口は、前記垂直壁に隣接する地表面より上に少なくとも部分的に垂直に離間し、幅と、底部、横方向側部、及び頂部を含む制限縁とを有し、
当該自動作動洪水ガードは、
基部と、近位側部と、頂部と、上方面と、下面とを有し、且つ、前記開口に近接して垂直に位置付けられるときに前記開口を閉塞するのに十分な、側部から側部までの幅と、底部から頂部までの高さとを有する、浮揚ゲートと、
前記開口に横方向に隣接して前記沿岸建造物の前記垂直壁から延びる、前記沿岸建造物に対して横方向に接続するための第1の垂直境界壁と、
間隙を封止するための可撓なリップ封止ガスケットの収容に適した前記浮揚ゲートの各横方向側部と隣接する境界壁との間にある前記間隙をもたらす前記浮揚ゲートの前記幅よりも広い距離で前記第1の垂直境界壁から離間した、前記開口に横方向に隣接して前記沿岸建造物の前記垂直壁から延びる、前記沿岸建造物に対して横方向に接続するための第2の垂直境界壁と、
前記開口の前記横方向側部に隣接する前記沿岸建造物への接続のための一対の離間した垂直フレーム部材であって、各々が前記境界壁の内側に細長い垂直圧縮ガスケットを支持する垂直フレーム部材と、前記開口の頂部より上での前記沿岸建造物への接続のための上方水平フレーム部材であって、前記境界壁の間で細長い水平圧縮ガスケットを支持する上方水平フレーム部材と、前記開口の底部より下での前記沿岸建造物への接続のための下方水平フレーム部材と、
前記下方水平フレーム部材に接続される固定部材と、該固定部材に移動可能に連結される可動部材とを含む、旋回部材であって、前記可動部材は、前記浮揚ゲートの前記基部に接続され、前記境界壁に対して横方向の水平軸について旋回可能であり、前記旋回部材は、前記浮揚ゲートの基部を、前記地表面より上に垂直に離間した選択的な高さで、前記境界壁の間に配置し、前記地表面より上に垂直に離間した高さは、前記浮揚ゲートを、前記地表面より上に垂直に離間した選択的な高さより上への水の上昇に基づき、前記境界壁の間で前記水平軸について回転的に上向きに浮揚的に旋回させるように選択される、旋回部材と、
前記浮揚ゲートの前記横方向側部に沿い、前記境界壁を封止的に拭うのに十分な幅を有する、可撓なリップ封止ガスケットと、
前記浮揚ゲートの前記基部に沿って並びに前記下方水平フレーム部材に沿って固定される前記旋回部材に亘る可撓なストリップガスケットとを含み、
水が地面より十分に上に上昇して前記浮揚ゲートを前記開口に向かって前記水平軸について回転的に上向きに浮揚させるとき、前記リップ封止ガスケット及び前記ストリップガスケットは協働して、前記浮揚ゲートと前記境界壁との間と前記下方水平フレーム部材との間の開口内への水の進入を阻止し、前記浮揚ゲートの下方面に対する静水力が前記浮揚ゲートを前記垂直圧縮ガスケット及び前記水平圧縮ガスケットに抗して押圧するのに効果的であるとき、前記垂直圧縮ガスケット及び前記水平圧縮ガスケットは、少なくとも前記ストリップガスケットと協働して、水の進入を阻止する、
自動作動洪水ガード。
【請求項21】
前記垂直フレーム部材は、前記境界壁を前記沿岸建造物に接続する、請求項20に記載の自動作動洪水ガード。
【請求項22】
前記境界壁は、前記下方水平フレーム部材によって支持される、請求項20に記載の自動作動洪水ガード。
【請求項23】
前記第1の垂直境界壁、前記第2の垂直境界壁、前記一対の離間した垂直フレーム部材、前記上方水平フレーム部材、及び前記下方水平フレーム部材は、全て前記沿岸建造物に接続される、請求項20に記載の自動作動洪水ガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は建造物のための洪水ガードに関する。
【背景技術】
【0002】
ドア及び他の基準面レベル開口は、自動作動するゲートによって水の進入から保護される。本発明の発明者による米国特許第6,623,209号及び第7,101,114号を参照。水閉込めバリアをもたらすよう支柱の間に相互接続可撓シートを使用する自己昇降支柱によって覆われた川岸が記載されている。米国特許第4,377,352号を参照。
【0003】
洪水の水は物的損害の主要な原因である。洪水の水は、ハリケーンによって引き起こされる暴風雨のうねりのような水体(body of water)からの水の上昇に由来し、雪解け又は大雨から洪水位より上に上昇する川の増水に由来し、或いは、排水システムを圧倒する雨の持続に起因する地表面で蓄積し且つ上昇する水に由来し得る。洪水の水が建物及び他の建造物を浸水し或いは浸潤するのを防止する必要が存在し続けている。
【0004】
水体の岸にある建物は特に無防備である。暴風雨のうねり又は洪水の水の上昇を抑えるよう組立て鋼又はコンクリート壁又は畦を岸辺に恒久的に架設することを提案する解決策は費用が嵩み、実現可能であるとしても、そもそも、多くの場合には美しい地域の風景を恒久的に損ない、水体付近の建物の架設を引き寄せる水体の所望の開放眺望を遮り、そこへのアクセスを妨げる。そのような費用の嵩む望ましくない解決策は実現不可能であることさえもある。防水壁及び防潮壁での零位線の故に、建物と海岸線との間の固定壁又は畦のような恒久的な改良物のために利用可能な空間がないことがあり得る。換言すれば、建物が防潮壁又は防水壁の直ぐ上にあることがあり、高さの2倍の幅であることが必要であることが典型的な畦を置く空間がないことがある。
【0005】
岸辺の建物を保護することに加え、現在の解決策によって満足されない建造物中の垂直壁の地上開口の自動作動保護のための低コストの解決策が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は従来技術の上記問題点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な実施態様の以下の詳細な記載では、添付の図面を参照する。図面は詳細な記載の一部を形成し、図面は本発明を実施し得る例示的な実施態様の実施例が例示によって示している。図面及び記載中、同等又は対応する部分を、明細書及び図面を通じて同じ参照番号で記す。必ずしも原寸通りに図面を描写していない。本発明の特定の機能を誇張した尺度で或いは幾分概略的な形態で示し得る。明瞭性及び簡潔性のために従来的な素子の一部の詳細を示さない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の例示的な実施態様を示す端面図であり、海岸の海岸線に隣接する建造物で、隣接する組内に据え付けられる実施態様のユニットを示している。
図2図1の例示的な実施態様を示す頂面図であり、海岸の海岸線に隣接する建造物で、隣接する組内に据え付けられる実施態様のユニットを同様に示している。
図3図1の実施態様を示す斜視図であり、隣接するユニットを破線で示している。
図4】他の例示的な実施態様を示す斜視図であり、海岸の海岸線に隣接するようなユニットの代替的な構成を示しており、隣接するユニットを破線で示している。
図5図6中の線5−5に沿って取られた図1の例示的な実施態様を示す断面図である。
図6図2の図面の一部を拡張した、図5中の線6−6に沿って取られた平面図である。
図7】破線の輪郭によって示され且つ番号7によって示される図5の部分の拡大図である。
図8】破線の輪郭によって示され且つ番号8によって示される図9の部分の拡大図である。
図9】水体の上の通常の非上昇位置にある洪水ガードゲートを示す図5中の線9−9に沿って取られた側断面図である。
図10】水体の上昇によって引き起こされた上昇位置にある洪水ガードゲートを示す図9と同様の側断面図である。
図11】建造物の垂直壁内の開口を防護するための実施態様の実施例を示す本発明の他の例示的な実施態様の斜視図である。
図12図14中の線12−12からの図11の例示的な実施態様の平面図である。
図13】破線の輪郭によって示され且つ番号13によって示される図12の部分の拡大図である。
図14図12中の線14−14に沿って取られた図11の例示的な実施態様を示す正面断面図である。
図15】破線の輪郭によって示され且つ番号15によって示される図14の部分の拡大図である。
図16】通常の非上昇位置にある洪水ガードゲートを示す図14の線16−16に沿って取られた図11の実施態様の側断面図である。
図17A】破線の輪郭によって示され且つ番号17Aによって示される図16の部分の拡大図である。
図17B】破線の輪郭によって示され且つ番号17Bによって示される図16の部分の拡大図である。
図18図16と同様な図11の実施態様の側断面図であり、表面水の上昇によって引き起こされた上昇位置にある洪水ガードゲートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
要約中に述べるものを含む、ここに記載する特別な詳細は、あらゆる場合において、本発明の着想を実施し得る具体的な方法を表す実施態様の非限定的な記載及び実例である。これはそれらの着想と一致する実質的にあらゆる適切に詳説されるシステム、構成、又は方法において本発明を利用することを当業者に教示する働きをする。この明細書を通じての「ある実施態様」への言及は、その実施態様との関係で記載する特定の機能、構成、又は特徴が、本発明の少なくとも1つの例示的な実施態様に含まれることを意味する。よって、この明細書を通じた様々な場所における「ある例示的な実施態様において」の成句又は類字の表現の出現は、必ずしも全て同じ実施態様に言及していない。更に、特定の機能、構成、又は特徴を1つ又はそれよりも多くの実施態様において任意の適切な方法において組み合わせ得る。特別に記載する実施態様及びそれらの実施態様の詳細への様々な変更及び代替を本発明の範囲内で行い得る。図面に描写する1つ又はそれよりも多くのの素子を、より分離した或いはより一体的な方法において実施し得るし、特定の場合には、特定の用途に従って有用であるように、除去したり動作不能にさせたりし得る。ここに記載する発明着想の範囲内で並びにここに詳説する例示的な実施態様内で多くの様々な異なる実施態様を行い得るので、ここにおける詳細は、例示的なものとして解釈されるべきであり、本発明をここに例示し且つ記載するものに限定するものとして解釈されてはならない。
【0010】
例示的な実施態様の詳細な記載において使用する「上方」、「下方」、「後方」、「前方」、「横断方向」、「直角」、「垂直」、「水平」、「長さ」、「高さ」、「幅」、「横方向」、「近位」、「遠位」等のような様々な方向は、図面と共に、より容易な説明のためにのみ行われている。本発明の着想を具現するここに詳細に記載する例示的な実施態様と同じ機能を行い且つ同じ結果を達成しながら、構成部品を異なって方向付け得る。そのような用語はそれらの実施態様が例示する着想を制限するものとして理解されてはならない。
【0011】
ここにおいて使用するとき、請求項及び/又は明細書中の「含む」(又は類義語の「有する」又は「包含する」)と共に使用されるときの単数形(“a”又は”an”)の使用は、「1つ」を意味し得るが、それは「1つ又はそれよりも多くの」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は1よりも多くの」の意味とも一致する。
【0012】
加えて、ここにおいて使用するとき、「(〜)への接続」又は「(〜)に接続され」という成句は、直接的に或いは中間構成部品を通じて連結されることを意味する。「地面」(“ground”)という用語は、改良物が構築される表面又は床を意味する。「建造物」(“construction”)は、地上又は地中に建造される如何なる改良物であってもよい。ここに記載する実施態様において、例示的な建造物は、無制限に、地面より上の高さに通気窓を収容する建物(building)や、海岸線に沿って並ぶ防水壁のような壁であり、その普通は露出される部分は、普通は水体(body of water)によって浸される防水壁の水側で地面から離間している(もし潮の干満があるならば、低い潮汐を除く)。水体は、例えば、小川、運河、川、池、湖、入江、湾、又は海であり得る。
【0013】
図1乃至10及び図11乃至18を参照すると、ある建造物のための自動作動洪水防護ユニット20の例示的な実施態様を例示している。図1乃至10は、洪水防護ユニット20の実施態様を例示し、連続して配置されるとき、上昇する水体に対する海岸線防御をもたらすために洪水防護ユニット20を使用し得る。例示的な実施態様は、建造物「C」、例えば、水体「W」の海岸線で海岸「S」に沿って並ぶ低い壁(ここでは、防水壁)での据付けのためであり(且つ、ここでは、据え付けられた状態で示されている)。図11乃至18は、自動作動洪水防護ユニット20のある例示的な実施態様の他の使用、即ち、例えば、海岸線の直ぐ付近ではない土地を浸す暴風雨のうねりからの洪水に起因するような或いは暴風雨下水管又は表面排水が圧倒されるときの熱帯暴風雨の間の表面水の蓄積の持続的な上昇に起因するような水の侵入に対する、ある建造物の垂直壁「C」の通気窓のような開口「O」を防護する据付けのための使用を示している。
【0014】
図3乃至5、及び、特に図11を参照すると、浮揚性のゲート22が、近位側又は近位端21にある基部と、遠位側又は遠位端23にある頂部と、横方向側部25,27と、近位端21から遠位端23までの高さ29と、横方向側部の間の幅31とを有する。ゲート22は、浮揚性の材料を含み、例えば、ゲート22は、図5、7乃至10、14、15、16、17B、18の断面図中に参照番号19で示すような、並んで配置される複数の封止チューブ又は2つの剛性パネルの間に封止的に配置される蜂の巣コア構造を含み得る。代替的に、ゲート22は、浮揚材料のための嚢(bladder)を含み得る。
【0015】
第1の垂直境界壁24が、例えば、壁の一方の端部で外向きに折り返されたフランジ24Lによって、建造物への接続のために適合される。第2の垂直境界壁26が、ゲート22の幅を収容するのに少なくとも十分な距離で第1の境界壁24から離間させられる、第2の境界壁26のある端部で外向きに折り返されたフランジ26Lによって、建造物への接続のために同様に適合される。
【0016】
描写されるように、第2の境界壁26は、ゲート22の各横方向側部25,27と隣接する境界壁24,26との間に間隙33をもたらすのに十分なゲート22の幅31よりも広い距離で、第1の垂直境界壁24から離間させられ、間隙33は、間隙33を封止するための(以下に記載する)可撓リップ封止ガスケット28の収容に適している。
【0017】
水体「W」の海岸の海岸線「S」に隣接する建造物での据付けのための(並びに据え付けられて示された)図1、2、及び3に描写するある実施態様では、連続的な組の洪水防護ユニット20,20’が利用され、そこでは、1つの垂直境界壁24が、第1の端壁をその連続にもたらし、他の境界壁24’が、第2壁をその連続にもたらし、少なくとも1つの中間境界壁26が端壁24,24’の間に配置される。第1の端部ゲート22が、第1の端壁24と隣の隣接する中間境界壁26との間に配置され、第2の端部ゲート22’が第2の端壁24’と隣の隣接する中間境界壁26との間に配置される。境界壁26は、洪水防護ユニット20,20’に共通であり、第1の端部ゲート22及び第2の端部ゲート22’の両方の目的に適う。この配置を連続組(continuous series)と呼ぶ。
【0018】
図1及び2に示す実施態様は、2つの洪水防護ユニット20だけを並べて示している。これらは並んで接続される多数の反復するそのようなユニットの例である。図1及び2中に示す端部境界壁24,24’の片側又は両側に端と端とを接続して一連のユニット20を配置することは、2つの初期的な端部境界壁24,24’の少なくとも一方を、中間境界壁26’に変換し、多数のユニット20を共に追加した後、最終的には、ユニット20を終端させるために(端部のみから構築される)端部境界壁24又は24’或いは(両端部から構築される)端部境界壁24及び24’を終端させる。よって、「隣の隣接する境界壁」26は、海岸線を防御するために並んで配置される一連の連続における、洪水防御ユニット内の1つ又はそれよりも多くの境界壁26,26’等、中間終端壁24,24’を指し、更に、ゲート22は、隣接する中間境界壁26,26’の間に並びに終端境界壁24又は24と隣の隣接する中間境界壁26又は26’との間に介装される。
【0019】
図4を参照すると、洪水に対する防御として洪水防護ユニット20を連続で配置する前記の方法に関する変形を描写している。この実施態様では、共通の境界壁はない。各々の隣接する洪水防護ユニット20は、完全な組の境界壁24,26を有する。この配置を隣接組(contiguous series)と呼ぶ。よって、複数の洪水防護ユニット20が、並んで配置される隣接組の前記ユニットを含み、そこでは、隣の隣接するユニットの隣の隣接する境界壁、例えば、ユニット20の境界壁26と隣の隣接するユニット20’の隣の隣接する境界壁24’とは、海岸に沿って並ぶ建造物「C」から立ち上がるライザ(riser)55に接続される。ライザは、隣接する壁26,24’の間で上昇する水を遮る。
【0020】
向きに関して図6及び12を特に参照し、詳細に関して図8及び17Bを参照し、水平から垂直へのゲート22の配置の変化の描写に関して図9、10、16、及び18を参照すると、旋回部材が、建造物「C」への接続のために適合される静止部材32と、境界壁24,26に対して垂直な水平軸36で静止部材32に移動可能に連結される可動部材34とを含む。可動部材34は、ゲート22の近位側21に接続され、軸36について旋回可能である。接続され且つ連結される旋回部材32,34は、ゲート22の旋回のために普通は浸水される地面「G」(図1、8、9、10、13、15、及び17を参照)から離間する選択的な高さでゲート22の近位側21を配置し、高さ「E」より上の水「W」の上昇でゲート22の遠位端23を上向きに揺動させる。
【0021】
ゲート22を高さ「E」より上に浮揚させるのに十分な水「W」の上昇に基づきゲートは浮揚させられ、上昇する水の力(静水圧力)によって、旋回軸36について上向きに回転させられる。ゲート22が45度を越えて回転する前に、益々の静水圧力がゲートを「持ち上げる」。45度の後、益々の静水圧力がゲート22の背面を押して、それを閉じる。その結果は、連続的なカーブ(円弧)の力であり、それは、先ず、ゲートを旋回軸36に対して押圧する重力に抗して、部分的に上昇した位置においてゲートを均衡させ、最後には、ゲートの全高の約1/3〜1/2の高さで、ゲートの重さを克服し、ゲートを押して完全に閉塞させる。ゲートの全高、配置、及び大きさは、「回転地点」を力のカーブの上又は下に移動させる。水位が沈み、重力の力が引き継いでゲートを下げるまで、ゲート閉塞は静水圧力の押圧によって維持される。
【0022】
向きに関して特に図5及び12を参照し、以下の更なる詳細としての詳細に関して図7及び15を参照すると、ゲート22の横方向側部25,27の長さに沿う可撓なリップ封止ガスケット(lip seal gasket)28は、間隙33を封止するよう境界壁24,26を封止的に拭う(wipe)のに十分な幅を有する。描写される実施態様はリップ封止ガスケット28を含むが、それらを省略し得る。(ゲート22が完全に上昇させられる)完全洪水では、境界壁を拭い且つ封止するガスケット28の存在がないならば、水の僅かな垂直の薄片(スライス)が、ゲートの全面に亘って拒絶される極めて大きな水平方向の水の質量に対して、ゲートの各々の横方向縁部に存在する。ゲートの全幅に依存して、海岸への水の流れの減少は、境界壁に隣接するゲートの縁部にある縁を通じて流れる水の小さな薄片(スライス)よりも大きな大きさのオーダにある。海岸線の保護のために、ゲートの縁でのそのような「漏れ」は、ゲートによって遮られる水の大きな質量に比べて些細である。よって、リップ封止が時間の経過と共に劣化させられるならば、あるいは、そもそも存在しないとしても、ゲートによって防護される最も大きな改良は、十分に保護される。
【0023】
向きに関して図6及び12を特に参照し、以下に記載する更なる詳細に関して図13及び17Bを参照すると、可撓なストリップガスケット(strip gasket)38が、旋回部材32,34に横断して亘るゲート24の近位側21でのゲート22の幅31に沿う。ストリップガスケット(条片ガスケット)38は、建造物「C」とゲート22の近位側21との間の水の通過を阻止し、リップガスケット28は、ゲート22を境界壁24,26の間で旋回軸部材32について回転的に上向きに浮揚させるよう水が高さ「E」より十分に上に上昇するとき、間隙33を通じる水の通過を阻止する。
【0024】
水体「W」の海岸「S」の海岸線に隣接する建造物「C」での据付けのために適合される(据え付けられた状態で示される)実施態様の例における図1、3、9、及び10を特に参照し、建造物の垂直壁における通気窓のような開口を保護する据付けのための実施態様の例における図13、16、及び17Aを参照すると、ゲート22が高さ「E」より上に上向きに回転的に上昇させられるとき、ゲート22に対して作用する抑制体(restraint)40は、ゲート22が所定の程度よりも軸36について回転するのを防止する。図示の実施態様において、所定の程度は垂直であるが、一部の据付けでは、垂直も多い又は少ないものを許容し得る。図1、3、9、及び10に示す実施態様において、抑制体40は、例えばパイリング(杭打ち)によって、水体「W」の下で浸水される地面「G」に固定される、チェーン又はケーブルのような張力部材である。任意的に、張力部材の代わりに、抑制体40は、水平軸36より上のある距離で建造物「C」のライザ55に接続される、(図1、3、及び5に破線で示す)水平方向ストリンガ(stringer)40’であってもよく、ゲート22が実質的に垂直な向きに回転するのを可能にする。
【0025】
海岸線防御のための実施態様における図3、4、6、9、及び10を参照し、地面から離間した高さにある開口内への水の侵入を防止するための図11、12、16、17A、及び18を参照すると、任意的な筋交い(brace)39が、水平軸36から遠位の壁の足部で、対にされた境界壁24,26に横断して亘っている。ゲート22は、任意的に、遠位頂端部23にL形状のフランジ85を含む。休止時、図1、5、及び9に示す据付けにあるゲート22は、水の上に浮かぶ。水位「W」が降下すると、ゲート22の遠位頂端部23は降下して浸り、遠位端部23の降下を停止し且つゲートを支持する筋交い(ブレース)は不要である。同様に、図11の実施態様(以下参照)は、ゲート22を地面「G」と同じ高さに維持するよう停止する必要がない。それは垂れ下がり、依然として機能し、水が地面「G」から上昇するときに上向きに浮揚して、ゲート頂端部23に達する。しかしながら、筋交い39は、両方の実施態様において、対にされる境界壁24,26の平行な向き及び間隙33の隙間を維持するのに有用である。任意的なフランジ85は、ゲート22の前面をストリンガ40’に接触させるよりもむしろ、図1乃至10の実施態様における任意的な水平ストリンガ40’と接触するための拡張ゲート表面をもたらす。図11乃至18の実施態様において、任意的なフランジ85は、水平な上方フレーム部材42及びその被支持圧縮ガスケット92と接触するよう使用し得る表面をもたらす(図17A)。任意的な筋交い39を使用するならば、ゲート22が休止時に通常位置にあるときに、フランジ85は筋交い39の上に位置し得る(図16)。
【0026】
隣接する水体から上昇する水に対する海岸防御に加えて、海岸線に据え付けられる洪水防護ユニット20は、休止時に二重の努めをもたらす。即ち、それは素晴らしい釣り桟橋及びダイビングプラットフォームを作成する。この意味で、筋交い39及びフランジ85はユニット20の一部として有利に含められ、水辺でのゲートの娯楽的な使用のためにゲート及びゲート上の人々のための支持を追加する。
【0027】
実施態様の前記の一般的な記載を図1乃至10及び図11乃至18に示す実施態様のより詳細な記載によって補足する。一部の詳細は既に十分に説明されており、反復しない。
【0028】
図1乃至10を今や参照すると、一連の連続的な自動作動洪水防護ユニット20,20’が、海岸に沿って並ぶ防水壁建造物「C」より上の隣接する水体「W」の上昇に基づく洪水から海岸「S」を保護するために据え付けられている。各々のユニットは、近位側部21と、遠位側部23と、横方向側部25及び27と、近位側部21から遠位側部23までの高さ29と、横方向側部25,27の間の幅31とを含む。第1の垂直境界壁24が、フランジ24で、締結具35によって防水壁建造物「C」に直接的に接続されている。第2の垂直境界壁26が、ゲート22の各々の横方向側部25及び27と隣接する境界壁24又は26との間の間隙33をもたらすゲート22の幅31よりも広い距離だけ第1の垂直境界壁24から離間して、フランジ26Lで、締結具37によって防水壁建造物「C」に直接的に接続されており、間隙33は、間隙33を封止する可撓なリップ封止ガスケット28の収容に適している。
【0029】
図8を特に参照すると、水平なL形状のフレーム部材42が、垂直脚41によって、建造物防水壁「C」に取り付けられている。ゲート22の幅と同じ長さを有する第1のL形状フランジ44が、フランジ44の垂直脚43によって、フレーム部材42の垂直脚41に取り付けられている。ゲート22の幅と同じ高さを同様に有する第2のL形状フランジ46が、第2のフランジの垂直脚45で、ゲート22の基部又は近位端部21に取り付けられている。可撓なストリップガスケット38が、L形状フランジ部材44,46の長さに沿って、L形状フランジ部材44,46の夫々の水平脚部47,49に亘って配置されている。ゲート22の幅と同じ長さを有する第1の平坦バンド50が、フランジ44の水平方向脚部47の上に軸方向にストリップ38を覆って配置されている。ネジ山付き締結具48が、第1の平坦バンド50、ストリップ38、及び第1のL形状フランジ44の水平脚部47内の通路を連続的に通じて通り、そこから、穿孔付き及びタップ付きの固定旋回部材32(1つ又は1つよりも多くの旋回部材32)に至ることで、ストリップ38及び固定旋回部材32をその垂直脚43で水平L形状フレーム部材42の垂直脚41に取り付けられる第1のL形状フランジ44の水平脚部47に締結し、それによって、ストリップ38及び旋回部材32を水平L形状フレーム部材42に固定する。ゲート22の幅と同じ長さを有する第2の平坦バンド54が、L形状フランジ46の水平脚部49の上に軸方向にストリップ38を覆って配置されている。ネジ山付き締結具52が、第2の平坦バンド54、ストリップ38、及び第2のL形状フランジ46の水平脚部49内の通路を連続的に通じて通り、そこから、穿孔付き及びタップ付きの移動可能な旋回部材34(1つ又はそれよりも多くの旋回部材)に至ることで、移動可能な旋回部材34を第2のL形状フランジ46の水平脚部49に取り付け、ストリップ38及び移動可能な旋回部材34をその垂直脚45でゲート22の近位側部21に取り付けられる第2のL形状フランジ46の水平脚部49に固定し、それによって、ストリップ38及び旋回部材32をゲート22に固定する。移動可能な旋回部材34は、境界壁24,26に対して垂直な水平軸36について旋回可能な固定部材32に移動可能に連結される。
【0030】
図8、9、及び10を特に参照すると、水平なL形状フレーム部材42とゲート22の近位側部21に取り付けられる第2のL形状フランジ46に連結される第1のL形状フランジ44とを介した建造物「C」への旋回部材32,34の接続は、高さ「E」より上の水の上昇で境界壁24,26の間でゲート22を軸36について回転的に上向きに旋回させてゲート22を浮揚的に持ち上げるために、ゲート22の近位側部21を、防水壁建造物「C」の水側で、境界壁24,26の間で、普通は浸水される地面「G」から離間した選択的な高さ「E」に位置付ける。
【0031】
図5及び7を特に参照すると、ゲート22の横方向側部25の長さと同じ長さを有する第3のL形状フランジ56が、ゲート22の側部25に取り付けられる垂直脚51を有する。可撓なL形状リップ封止ガスケット28の本体部分58が、フランジ56の長さに沿って、第3のL形状フランジ56の水平脚53の上に位置付けられ、ガスケット28の遠位拭取りリップ部分60は、防水壁建造物「C」から離れる方向に向けられ、遠位部分60の横方向の拡張に沿って境界壁26と接触する。リップ封止ガスケット28と同じ長さの保護ガスケット62が、ガスケット28を覆って長手方向に位置付けられている。ガスケット28と同じ長さを有する第3の平坦バンド64が、第3のフランジ56の水平脚53上でガスケット28の本体58の上に長手方向に、保護ガスケット62を覆って配置されている。ネジ山付き締結具66が、第3の平坦バンド64及びガスケット28の本体58内の通路を連続的に通じて通り、第3のL形状フランジ56の穿孔付き及びタップ付きの水平脚53に至ることで、フランジ56を介してガスケット28をゲート22の横方向側部23に接続し、境界壁26を封止的に拭い、側部25に隣接する間隙33を封止し、間隙33を通じる水の通過を阻止する。
【0032】
ゲート22の側部27の上に封止ガスケット28を固定するための素子及び構成は、ゲート22の側部25の上にガスケット28を固定するための素子及び構成と同じであり、図面中に同じ詳細が見える場合には、同じ参照番号を使用する。
【0033】
図1、5、9、及び10を参照すると、ゲート22が高さ「E」より上向きに旋回されるときに、ゲート22が、垂直に描写されるように、所定の程度よりも軸36について回転するのを防止するようゲート22に対して作用するために、一端部でゲート22の背面72に接続される張力部材40が、反対端部で、地面G中に沈められたパイリング74に固着されている。
【0034】
図1及び2を参照すると、一連の隣接する洪水防護ユニットは、第1の端部垂直境界壁26と、第2の端部垂直境界壁24と、端壁26,26’の中間に配置される少なくとも1つの垂直境界壁とを含む。第1の端部ゲート22が、第1の端壁26と隣の隣接する中間境界壁24との間に配置され、第2の端部ゲート22’が、第2の端壁26’と隣の隣接する境界壁24との間に配置されている。
【0035】
図11乃至18を今や参照すると、建造物「C」の垂直壁内の地面「G」から離間する開口「O」を通じて上昇する表面水の進入を拒絶するための、自動作動洪水ガード20のある例示的な実施態様を描写している。開口「O」は、幅と、底部59、横方向側部61,63、及び頂部65を含む限定的な縁とを有する。例示において、開口「O」は、固定下方傾斜スラット(羽根板)によって形成される固定ルーバによって普通に落下する雨からの水の進入から保護された開放窓である。保護は洪水ガード20によってもたらされ、それは、基部21と、横方向側部25,27と、頂部23と、背面72と、前面76とを有する浮揚ゲート22を含み、開口「O」に近接して垂直に位置付けられるときに開口「O」を閉塞するのに十分な側部から側部までの幅と基部から頂部までの高さとを有し、記載するガスケットの配置によって開口「O」を水浸入から封止する。
【0036】
図11、13、14、及び17Bを特に参照すると、この実施態様ではZ形状の一対の離間した垂直フレーム部材78,80が、それらの下方水平脚69,71で、締結具82によって、開口「O」の横方向側部61,63に隣接する建造物「C」に接続されている。Zフレーム78,80の直立部73,75は、それぞれの下方水平脚69,71に対して垂直であり、「Z形状」という用語が示唆し得る鋭角ではない。細長い垂直な圧縮ガスケット84,86は、垂直なZフレーム78,80の上方垂直脚77,79にそれぞれ支持され且つ固定される。この実施態様では同様にZ形状である上方水平フレーム部材88が、その下方水平脚81で、締結具90によって、開口「O」の頂部65より上で建造物「C」に接続されている。細長い水平な圧縮ガスケット92が、Zフレーム88の上方水平脚83に支持され且つ固定されている。
【0037】
図11、12、及び14を特に参照すると、第2の垂直境界壁26が、直立部75と水平上方脚79との接合部で第2の垂直なZフレーム部材80に接続され、それによって、開口「O」の横方向側部61に隣接する建造物「C」に接続されている。第1の垂直な境界壁24が、(第1の垂直なZフレーム部材78によって直立部73と水平上方脚77との間の接合部で)建造物「C」に同様に接続され、ゲート22の幅よりも広い幅だけ第2の垂直な境界壁26から離間し、ゲート22の各横方向側部25,27と隣接する境界壁24又は26との間に間隙をもたらし、その間隙は、間隙を封止するための可撓なリップ封止ガスケット28の収容に適している。
【0038】
図16及び17Aを特に参照すると、水平なL形状フレーム部材42が、垂直脚41によって、建造物防水壁「C」に取り付けられている。ゲート22の幅と同じ高さを有する第1のL形状フレーム44が、フランジ44の垂直脚43によって、フレーム部材42の垂直脚41に取り付けられている。ゲート22の幅と同じ高さを同様に有する第2のL形状フランジ46が、第2のフランジ垂直脚45で、ゲート22の基部又は近位端部21に取り付けられている。可撓なストリップガスケット38が、L形状フランジ部材44,46の長さに沿って、L形状フランジ部材44,46の夫々の水平脚47,49を覆って配置されている。ゲート22の幅と同じ長さを有する第1の平坦バンド50が、フランジ44の水平脚47の上に長手方向にストリップ38を覆って配置されている。ネジ山付き締結具48が、第1の平坦バンド50、ストリップ38、及び第1のL形状フランジ44の水平脚47内の通路を連続的に通じて通り、そこから、穿孔付き及びタップ付きの固定旋回部材32(1つ又は1つよりも多くの部材32)内に至ることで、ストリップ38及び固定旋回部材32をその垂直脚43で水平L形状フレーム部材42の垂直脚41に取り付けられる第1のL形状フランジ44の水平脚47に締結し、それによって、ストリップ38及び旋回部材32を水平L形状フレーム部材42に固定する。ゲート22の幅と同じ長さを有する第2の平坦バンド54が、L形状フランジ46の水平脚49の上に長手方向にストリップ38を覆って配置されている。ネジ山付き締結具52が、第2の平坦バンド54、ストリップ38、第2のL形状フランジ46の水平脚49内の通路を連続的に通じて通り、そこから、穿孔付き及びタップ付きの移動可能な旋回部材34(1つ又は1つよりも多くの旋回部材)内に至ることで、移動可能な旋回部材34を第2のL形状フランジ46の水平脚49に取り付け、ストリップ38及び移動可能な旋回部材34をその垂直脚45でゲート22の近位側部21に取り付けられる第2のL形状フランジ46の水平脚49に固定し、それによって、ストリップ38及び旋回部材32をゲート22に固定する。移動可能な旋回部材34は、境界壁24,26に対して垂直な水平軸36について旋回可能な固定部材32に移動可能に連結される。
【0039】
図16及び17Bを特に参照すると、水平L形状フレーム部材42とゲート22の近位側部21に取り付けられた第2のL形状フランジ46に連結された第1のL形状フランジとを介した建造物「C」への旋回部材32,34の接続は、高さ「E」より上の水の上昇で境界壁24,26の間でゲート22を軸36について回転的に上向きに旋回させてゲート22を浮揚的に持ち上げるために、ゲート22の近位側部21を、境界壁24,26の間で、地面「G」(ここでは地上「G」)から離間する選択的な高さ「E」に配置する。
【0040】
図12、14、15、16、及び17Bを参照すると、ゲート22の横方向側部25の長さと同じ長さを有する第3のL形状フランジ56が、ゲート22の側部25に取り付けられた垂直脚51を有する。可撓なL形状リップ封止ガスケット28の本体部分58は、第3のL形状フランジ56の長さに沿って、第3のL形状フランジ56の水平脚53の上に位置付けられ、ガスケット28の遠位拭取りリップ部分60は、防水壁建造物「C」から離れる方向に向けられ、遠位部分60の横方向の拡張に沿って境界壁26と接触する。リップ封止ガスケット28と同じ長さの保護ガスケット62が、ガスケット28を覆って長手方向に配置されている。ガスケット28と同じ長さを有する第3の平坦バンド64が、第3のフランジ56の水平脚53の繪でガスケット28の本体58の上に長手方向に保護ガスケット62を覆って配置されている。ネジ山付き締結具66が、第3の平坦バンド64及びガスケットの本体58内の通路を連続的に通じて通り、第3のL形状フランジ56の穿孔付き及びタップ付き水平脚53に至ることで、フランジ56を介してガスケット28をゲート22の横方向側部25に接続し、境界壁26を封止的に拭い取り、側部25に隣接する間隙33を封止し、その間隙33を通じる水の通過を阻止する。
【0041】
ゲート22の横方向側部27の長さと同じ長さを有する第4のL形状フランジ68が、ゲート22の側部27に取り付けられる垂直脚を有する。側部25のためと同様に、可撓なL形状リップ封止ガスケット28の本体部分が、フランジ68の長さに沿って第4のL形状フランジ68の上に位置付けられ、ガスケット28の遠位拭取りリップ部分は、防水壁建造物「C」から離れる方向に向けられ、遠位部分60の幅に沿って境界壁と接触する。側部25のための同様に、保護ガスケットがリップ封止ガスケット28を覆って位置付けられ、締結具70が、第4の平坦バンド72及びガスケット28の本体内の通路を通じて通り、穿孔付き及びタップ付きの第4のL形状フランジ68に至ることで、第4のフランジ68を介してガスケット28をゲート22の横方向側部27に接続し、境界壁24を封止的に拭い、側部27に隣接する間隙33を封止し、その間隙33を通じる水の通過を阻止する。
【0042】
水が地面「G」から離間した高さ「E」より十分に上に上昇して、ゲート22を旋回軸36について回転的に上向きに開口「O」に向かって浮揚させるとき、リップガスケット28及びストリップガスケット38は協働して、ゲート22と境界壁24,26と下方水平フレーム部材42との間の開口「O」内への水の進入を防止する。ゲート22の背面76に対する静水力が垂直圧縮ガスケット84,86及び水平圧縮ガスケット92に抗してゲート22を押すのに効果的であるとき、垂直圧縮ガスケット84,86及び水平圧縮ガスケット92は、ストリップガスケット38及びリップガスケット28と協働して、水の進入を防止する。
【0043】
図11乃至17Bの実施態様は、開口が地面より上にある建造物における地面から離間した開口の保護を例示しているが、開口が完全に地面より上にあることは必要とされない。建造物中で当初は地面より上にある通気開口は、時折、時間の経過と共に、地理的事象の故に或いは景観設計のような進行中の建造又は道路の上昇によって、地面より部分的に下になり得るが、ここに記載する本発明によって依然として保護可能である。例えば、図11乃至17Bの通気窓を地面又は通常の表面水位線より部分的に下に想像し得る。よって、通気窓が表面水位線の通常の高さより部分的に下にある建造物に取り付けられる図11乃至17Bに描写される実施態様は、水中で常に部分的に上昇させられるゲート22を有し、(ゲートの側部から見るときに)楔形状の空気空間を創成し、そこでは、楔の底部は通常の水線であり、楔の垂直側は通気窓開口であり、楔の頂部は空気に対して開放されている。そのような用途において、高さ「E」より上への水の上昇で境界壁24,26の間でゲート22を軸36について回転的に上向きに旋回させて、ゲート22を浮揚的に持ち上げるために、水平L形状フレーム部材42とゲート22の近位側部21に取り付けられる第2のL形状フランジ46に連結される第1のL形状フランジ44とを介した建造物「C」への旋回部材32,34の接続は、ゲート22の近位側部21を、地面「G」(ここでは部分的に地下「G」)から選択的な高さ「E」で、境界壁24,26の間に配置する。
【0044】
前述の詳細は、洪水の水に対して防御する既述の素子の組み合わせの使用を例示し、そこでは、防御されるべきものは地面から離間した高さにある。詳細な記載の初めに説明したように、1つの実施態様中に示す素子を他の実施態様において使用し得る。例えば、窓保護ユニット実施態様における垂直圧縮ガスケットを海岸保護ユニット20において使用し得るし、海岸保護ユニット20において使用される素子は窓保護ユニットにおいて使用し得る。開示される主題は例示的である考えられるべきであり、限定的であると考えられるべきではない。付属の請求項は、全ての変形、改良、及び、本発明の真正な範囲内に入る他の実施態様をカバーすることが意図され、本発明の真正な範囲は、法律によって許容される最大の範囲まで、本発明の例示的な実施態様の前述の詳細な記載によって制約されず或いは制限される、以下の請求項及びそれらの均等物の最広義の許容可能な解釈によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18