特許第6506985号(P6506985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6506985
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20190415BHJP
   A23L 2/38 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
   A23L2/38 D
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-27566(P2015-27566)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-149945(P2016-149945A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】若林 明
(72)【発明者】
【氏名】鉄井 崇仁
【審査官】 西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−034076(JP,A)
【文献】 特開2014−223085(JP,A)
【文献】 特開2008−148586(JP,A)
【文献】 特開2014−054202(JP,A)
【文献】 特表2012−512631(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0244080(US,A1)
【文献】 特開2008−148588(JP,A)
【文献】 特開2004−250372(JP,A)
【文献】 特開2013−124221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/
C12G
C12C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆胚芽あるいはその抽出物と、アルドン酸二糖類を含有する飲料。
【請求項2】
さらに、コラーゲンペプチドを含有する請求項1記載の飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆胚芽あるいはその抽出物と、アルドン酸二糖類を含有する飲料に関する。なお本発明の飲料は、特定保健用食品、保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品など、経口摂取の分野の飲料すべてを含み得る。
【背景技術】
【0002】
大豆胚芽抽出物にはイソフラボンが多く含まれていることが知られている。しかしながらイソフラボンは苦味を有することが知られている(特許文献1参照)。また大豆は、その独特の青臭さや塩味を有するため、栄養機能性よりも嗜好性を重視する消費者にとっては商品選択の障壁となっている。新たな消費者の獲得および健康素材として無理なく常用するためには、大豆の不快な味や臭いの低減は非常に重要な課題となっている(特許文献2参照)。
【0003】
そこで、豆臭のマスキング方法として、例えば、パラチノースの添加による風味改善(特許文献3参照)、パノースの添加による不快臭低減方法(特許文献4参照))、酵母エキスの添加による豆乳臭の抑制(特許文献5参照)、ぶどう果皮抽出物による風味改善(特許文献6参照)などの提案がなされている。しかし、これらの方法はいずれも、大豆臭のマスキング効果が不十分であるか、あるいは、マスキング剤自身の風味が強く出てしまうため、実用上十分なものとは言えなかった。
【0004】
また、アルドン酸二糖類のカルシウム塩は、食品の煮崩れ防止剤(特許文献7参照)や、パンの老化抑制剤(特許文献8参照)等の用途が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−54202号公報
【特許文献2】特開2013−27347号公報
【特許文献3】特開2003−230365号公報
【特許文献4】特開2005−137362号公報
【特許文献5】特開2002−253163号公報
【特許文献6】特開2009−189356号公報
【特許文献7】特開2010−119343号公報
【特許文献8】特開2011−177121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大豆胚芽抽出物を配合した飲料における、苦味及び青臭さを改善し、清涼感を有する飲料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、大豆胚芽あるいはその抽出物を配合した飲料にアルドン酸二糖を配合することによって、前述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
(1)大豆胚芽あるいはその抽出物と、アルドン酸二糖を含有する飲料。
(2)さらにコラーゲンペプチドを含有する(1)記載の飲料。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、大豆胚芽あるいはその抽出物を配合した飲料における、苦味及び青臭さを改善し、清涼感を付与する効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
本発明の飲料は、大豆胚芽あるいはその抽出物と、アルドン酸を必須成分とする。
【0012】
大豆胚芽は、生のままでも、大豆胚芽油を抽出した残渣を用いてもよい。
【0013】
またその抽出物を用いる場合、その抽出は、任意の抽出溶媒に所定時間浸漬して行うことができる。抽出溶媒は、必要に応じて加熱してもよい。あるいは、超臨界流体や亜臨界流体を用いた抽出方法でも行うことができる。抽出効率を上げるため、撹拌したり抽出溶媒中でホモジナイズしたりしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は、抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
【0014】
抽出溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類などの溶媒を用いることができる。これらは、単独で用いられるほか、任意の2種以上を組み合わせて用いてもよい。生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。さらに、水や二糖化炭素、エチレン、プロピレン、エタノール、メタノール、アンモニアなどの1種又は2種以上の超臨界液体や亜臨界液体を用いてもよい。
【0015】
大豆胚芽の上記溶媒による抽出物は、そのままでも使用することができるが、一定期間そのまま静置して熟成させて用いてもよいし、濃縮、乾固した物を水や極性溶媒に再度溶解して使用することもできる。或いは、これらの生理作用を損なわない範囲で、脱色、脱臭、脱塩等の精製処理や、カラムクロマトグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよい。大豆胚芽の前記抽出物やその処理物及び分画物は、各処理及び分画後に凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
【0016】
大豆胚芽は、飲料への配合しやすさから、その抽出物を用いることが好ましい。また大豆胚芽抽出物を得る際には、イソフラボン類の抽出しやすさから、水、特に熱水抽出物を用いることが最も好ましい。
【0017】
大豆胚芽あるいはその抽出物の飲料への配合量は、特に限定されないが、飲料100mL当たり、10mg〜1000mg、さらには10mg〜500mgが好ましい。1000mgを超えて配合すると、青臭さや苦味がマスキングできない場合がある。10mg未満の配合では、大豆摂取により期待される効果が発揮されない場合がある。
【0018】
本発明に用いるアルドン酸二糖類としては、4−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコン酸、4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−グルコン酸、4−O−β−D−グルコピラノシル−D−グルコン酸等が例示される。これらのなかでも4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−グルコン酸を用いることが、イソフラボン及びその配糖体の臭気を改善する効果の点から好ましい。アルドン酸二糖類はその塩として用いることもできる。塩としてはカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、等が挙げられるが、カルシウム塩を用いることが、栄養強化並びに飲料への溶解性の観点から好ましい。
【0019】
アルドン酸二糖の飲料への配合量は、特に限定されない。大豆胚芽あるいはその抽出物とアルドン酸二糖の配合比率は質量比で1:5〜10:1の範囲であることが好ましい。大豆胚芽あるいはその抽出物とアルドン酸二糖の配合量が上記範囲を超えると、マスキング効果や味のバランスが崩れる場合がある。
【0020】
本発明の飲料は、コラーゲンペプチドを配合することができる。
【0021】
本発明に用いるコラーゲンペプチドとは、動物の骨や皮に多く含まれるたんぱく質であるコラーゲンを加熱・変性させて得られるゼラチンや、それをさらに酸やアルカリあるいは酵素等で加水分解させたコラーゲンペプチドをいう。本発明においてコラーゲンは、由来生物(豚、牛、魚など)や製法(酸処理、アルカリ処理など)に関して特に限定されずに使用することができる。例えば動物としては、牛や豚、鶏などの動物の骨や皮、鮭、マグロ、ティラピア等の魚の皮、鱗を用いることができる。
本発明に用いるコラーゲンペプチドの平均分子量は特に限定されないが、飲料への可溶性の点から平均分子量が2万以下のものを用いることが好ましく、さらには平均分子量が5000未満のものを用いることが好ましい。
【0022】
本発明の飲料はpHを5未満に調整して用いることが好ましい。pH調整剤としてはフィチン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸などの有機酸、塩酸、リン酸などの無機酸、レモン果汁、リンゴ果汁などの酸性を呈する果汁と併用して調整してもよい。
【0023】
本発明の飲料はpHを5未満、好ましくは2〜5、更に好ましくは2.3〜4.5に調整することが好ましい。pHが5以上の場合、微生物汚染の危険性が高まる場合がある。pHが2未満の場合、酸味が強すぎて服用時に刺激を感じる場合がある。
【0024】
本発明の飲料には、ビタミン類を配合することができる。かかるビタミン類としては、飲料に配合し得るビタミンであれば特に限定されない。例えばアスコルビン酸若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のビタミンC類、チアミン若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上のビタミンB1類、リボフラビン若しくはその誘導体並びにそれらの塩類から選ばれる1種又は2種以上のビタミンB2類、ナイアシン、パントテン酸、ピリドキシン若しくはその誘導体並びにそれらの塩から選ばれる1種または2種以上のビタミンB6類などが例示される。
【0025】
本発明の飲料には、アミノ酸、コラーゲンペプチド以外のペプチド、タンパク質を配合することができる。かかるアミノ酸、コラーゲンペプチド以外のペプチド、タンパク質としては保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に利用しうるものであれば特に限定されない。例えばアミノ酸としては、バリン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、リジン、スレオニン、アスパラギン、フェニルアラニン、セリン、メチオニン、グリシン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、シスチン、テアニンなどが例示される。ペプチド、タンパク質としては、例えばコラーゲン及びその加水分解物、エラスチン及びその加水分解物などが例示される。
【0026】
本発明の飲料には、甘味料を配合することができる。かかる甘味料としては保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に利用しうる甘味料であれば特に限定されず、白砂糖、グラニュー糖、和三盆、黒糖、三温糖などの砂糖、蜂蜜、メープルシロップ、糖蜜、水飴、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、ブドウ糖果糖液糖、還元麦芽糖水飴、粉飴、還元澱粉糖化物、エリスリトール、マルトーストレハロース、マルチトール、パラチノース、キシリトール、ソルビトール、甘草抽出物、ステビア抽出物及び/又はその精製物、羅漢果抽出物、ソーマチン、モネリン、ミラクリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン及び/又はその塩、ズルチン、ネオテームなどが挙げられる。これらの甘味料は、1種を単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
本発明の飲料は、増粘剤を配合して、ゼリー状飲料として用いることもできる。かかる増粘剤としては保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野に利用しうる増粘剤であれば特に限定さない。例えば寒天、ローカストビーンガム、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、タマリンド種子多糖類、ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、未加工でんぷん、加工でんぷん、ペクチン、タラガム等が挙げられる。
【0028】
本発明の飲料には、通常保健機能食品、食品、医薬品および医薬部外品の分野の飲料に用いることが可能な成分、例えば、上記以外のビタミン類、有機酸類、無機酸類、生薬、着色料、香料、保存剤、増粘剤、オリゴ糖類、多糖類、などの他、キトサン化合物、栄養強化成分、滋養強壮成分などを適時選択して配合することができ、飲料製造の常法により製造することができる。
【0029】
本発明の飲料は通常の液状又はゼリー状の飲料であり、炭酸タイプの液状又はゼリー状飲料であってもよい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【0031】
まず、アルドン酸二糖による大豆胚芽の味覚への影響を検討した。表1に示す成分を含有する飲料を調製し、味認識装置TS−5000Z (株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)を用いて、味覚の変化を確認した。結果を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
表2に示した通り、大豆胚芽抽出物とアルドン酸二糖を併用した実施例1は、さわやかな酸味を有し、苦味、青臭さに由来する旨味(先味)、清涼感の関係する塩味が減少した。
【0035】
表3〜6に示す処方によって本発明の実施例にかかる飲料を調製した。飲料はクエン酸によりpHを3.9に、総量を100mLとなるように精製水で、それぞれ調整した。また、同時に4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−グルコン酸含有乳糖発酵物を乳糖に置換した比較例を調製し、下記の官能評価を行った。結果を表3〜6に合わせて示す。なお、以下の実施例においてコラーゲンペプチドとしては魚由来の平均分子量2000のものを用いた。
【0036】
[官能評価方法]
本発明の実施例、比較例にかかる飲料について、各実施例と4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−グルコン酸含有乳糖発酵物を配合していない比較例の2点評価で、「大豆由来の青臭さがない」、「苦味がない」、「清涼感が高い」の3項目を比較評価した。結果を表に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】