(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の骨組みを構成するフレーム材に対して材質の異なる面材を固定する際に、前記フレーム材及び前記面材に連通する連通孔の形成と前記フレーム材及び前記面材を対象とするセルフタッピングとの何れかの加工を行う場合に使用される建材用加工装置であって、
前記フレーム材及び前記面材の重なり方向に延びる軸線に沿って変位可能且つ当該軸線を中心として回転可能となるように構成された工具と、
前記工具の駆動制御を行う駆動制御手段と
を備え、
前記駆動制御手段は、前記フレーム材及び前記面材が重なっている状態にて前記加工を行う場合に、前記工具の回転速度及び送り速度のうち少なくとも一方を加工対象の移り変わりに応じて切り替える切替手段を有し、
前記切替手段により前記駆動制御手段による駆動制御の態様を切り替える場合に、当該切り替えを行う前に前記工具を送り方向とは反対側へ変位させる反転手段を備え、
前記フレーム材は金属製且つ前記面材は木製であり、
前記駆動制御手段による駆動制御の態様として、前記工具の回転速度が第1回転速度且つ前記工具の送り速度が第1送り速度となるように設定された第1駆動制御態様と、前記工具の回転速度が前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ前記工具の送り速度が前記第1送り速度よりも遅い第2送り速度となるように設定された第2駆動制御態様とが設けられており、
前記切替手段は、前記工具によって前記面材を加工する場合には前記第1駆動制御態様にて前記駆動制御を行い、前記工具によって前記フレーム材を加工する場合には前記第2駆動制御態様にて前記駆動制御を行うようにして駆動制御の態様を切り替えるように構成されており、
前記反転手段は、前記切替手段により駆動制御の態様が前記第1駆動制御態様から前記第2駆動制御態様に切り替えられる場合に前記反転を行うものであり、前記切替手段により駆動制御の態様が前記第2駆動制御態様から前記第1駆動制御態様に切り替えられる場合には、前記反転手段による反転を実施しない構成となっていることを特徴とする建材用加工装置。
複数の大梁とそれら大梁を繋ぐ小梁によって前記フレーム材が構成される第1床ユニットと、複数の大梁とそれら大梁を繋ぐ小梁によって前記フレーム材が構成され、大梁の下面から小梁の上面までの距離が前記第1床ユニットよりも大きい第2床ユニットとの両方に適用される建材用加工装置であって、
前記駆動制御手段による駆動制御の態様として、前記工具の回転速度が第1回転速度且つ前記工具の送り速度が第1送り速度となるように設定された第1駆動制御態様と、前記工具の回転速度が前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ前記工具の送り速度が前記第1送り速度よりも遅い第2送り速度となるように設定された第2駆動制御態様とが設けられており、
前記駆動制御手段においては、前記第2床ユニットにて前記小梁が存在すると想定される第1想定位置と、当該第1想定位置よりも前記工具の送り方向における奥側となる位置であって前記第1床ユニットにて前記小梁が存在すると想定される第2想定位置とが予め定められており、
前記切替手段は、前記工具が待機位置から加工完了位置に変位する過程にて前記工具が前記第1想定位置及び前記第2想定位置を通過する場合には前記駆動制御の態様を前記第1駆動制御態様から前記第2駆動制御態様に切り替えるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の建材用加工装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタイプの住宅においては、施工現場にて個別に行われていた建材の加工を工場にて一括して行うことにより製造効率を向上させることができる。但し、建材の加工を自動化して製造効率の向上を実現する上では、当該加工に係る構成について未だ改善の余地がある。
【0005】
なお、上記課題は床構造に限って発生するものではなく、フレームと面材とを組み合わせてなる他の建物構造(例えば天井構造)においても同様に発生し得る課題である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造効率を好適に向上させることができる建材用加工装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0008】
手段1.建物の骨組みを構成するフレーム材(床大梁12,床小梁13)に対して材質の異なる面材(下地材21)を固定する際に、前記フレーム材及び前記面材に連通する連通孔の形成と前記フレーム材及び前記面材を対象とするセルフタッピングとの何れかの加工を行う場合に使用される建材用加工装置(固定装置50)であって、
前記フレーム材及び前記面材の重なり方向に延びる軸線に沿って変位可能且つ当該軸線を中心として回転可能となるように構成された工具(ドリル63)と、
前記工具の駆動制御を行う駆動制御手段(制御装置54)と
を備え、
前記駆動制御手段は、前記フレーム材及び前記面材が重なっている状態にて前記加工を行う場合に、前記工具の回転速度及び送り速度のうち少なくとも一方を加工対象の移り変わりに応じて切り替える切替手段(制御装置54における切替機能)を有していることを特徴とする建材用加工装置。
【0009】
フレーム材及び面材を組み合わせて建物用のユニットを形成する場合に両者に何らかの加工が必要となる構成においては、例えばフレーム材及び面材を各々単体で加工し、加工後に組み合わせることも可能である。しかしながら、このように加工工程を分けた場合には、加工に伴う準備期間等が嵩みやすくなると想定される。これは、製造効率の向上の妨げになり得る。これに対して、本手段1に示すように、フレーム材及び面材をまとめて加工する構成とすれば、都度の加工が不要となり上記課題を解消することができる。
【0010】
但し、面材とフレーム材とで材質が異なっている場合、同じ条件で加工しようとすれば建物用のユニットの品質等を担保する上で無理が生じ得る。この点、本手段1においては、加工対象がフレーム材及び面材の一方から他方に移る場合には、それに応じて(すなわち、フレーム材及び面材の何れに対して加工を実施するかに応じて)加工に係る速度条件(回転速度,送り速度)が切り替わることとなる。これにより、フレーム材及び面材をまとめて加工する上で、品質の低下を抑えながら上述した製造効率の向上を実現することができる。
【0011】
手段2.前記フレーム材は前記面材よりも高強度の材料よりなり、
前記駆動制御手段による駆動制御の態様として、前記工具の回転速度が第1回転速度且つ前記工具の送り速度が第1送り速度となるように設定された第1駆動制御態様と、前記工具の回転速度が前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ前記工具の送り速度が前記第1送り速度よりも遅い第2送り速度となるように設定された第2駆動制御態様とが設けられており、
前記切替手段は、前記工具によって前記面材を加工する場合には前記第1駆動制御態様にて前記駆動制御を行い、前記工具によって前記フレーム材を加工する場合には前記第2駆動制御態様にて前記駆動制御を行うようにして駆動制御の態様を切り替えることを特徴とする手段1に記載の建材用加工装置。
【0012】
フレーム材が面材よりも高強度の材料によって形成されている場合には、比較的加工が容易である面材と同じ回転速度及び送り速度でフレーム材の加工を行うことにより、工具やフレーム材に生じる負荷が大きくなる。これは、加工装置(工具)の耐久性を低下させる要因となったり、フレームの変形等の製品の品質を低下させる要因となったりする。一方、比較的加工が困難であるフレーム材に合せて設定された回転速度及び送り速度にて面材を加工しようとすれば、面材の加工時間が間延びして製造効率の向上の妨げになる。そこで、回転速度及び送り速度を加工対象の強度に応じて低速/高速に切り替えることにより、製造効率の向上を図りつつそれに起因した上記各種不都合の発生を好適に抑制することができる。
【0013】
手段3.前記切替手段により前記駆動制御手段による駆動制御の態様を切り替える場合に、当該切り替えを行う前に前記工具を送り方向とは反対側へ変位させる反転手段を備えていることを特徴とする手段1又は手段2に記載の建材用加工装置。
【0014】
駆動制御の態様が切り替わる場合、すなわち加工対象が移る場合に、工具を逆戻りさせることにより、加工対象に生じた切粉を排出することができる。これにより、一方の加工対象にて発生した切粉が他方の加工に影響することを抑制することができる。故に、フレーム材及び面材をまとめて加工する場合であっても、加工精度や加工効率の低下を好適に抑制することができる。
【0015】
なお、待機位置〜加工位置間にて工具が変位するタイプの加工装置においては、反転によって切粉を排出することができるのであれば足り、上記反転手段によって工具を変位させる場合に必ずしも待機位置まで戻す必要はない。
【0016】
手段4.前記フレーム材は金属製且つ前記面材は木製であり、
前記駆動制御手段による駆動制御の態様として、前記工具の回転速度が第1回転速度且つ前記工具の送り速度が第1送り速度となるように設定された第1駆動制御態様と、前記工具の回転速度が前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ前記工具の送り速度が前記第1送り速度よりも遅い第2送り速度となるように設定された第2駆動制御態様とが設けられており、
前記切替手段は、前記工具によって前記面材を加工する場合には前記第1駆動制御態様にて前記駆動制御を行い、前記工具によって前記フレーム材を加工する場合には前記第2駆動制御態様にて前記駆動制御を行うようにして駆動制御の態様を切り替えるように構成されており、
前記反転手段は、前記切替手段により駆動制御の態様が前記第1駆動制御態様から前記第2駆動制御態様に切り替えられる場合に前記反転を行うものであり、前記切替手段により駆動制御の態様が前記第2駆動制御態様から前記第1駆動制御態様に切り替えられる場合には、前記反転手段による反転を実施しない構成となっていることを特徴とする手段3に記載の建材用加工装置。
【0017】
手段3に示した途中反転機能は品質向上等を実現する上では有利であるものの、その実行頻度が高くなることが製造効率の向上を妨げる要因になり得る。そこで、上記構成に示すように、木材を加工した場合に発生した切粉を金属性のフレーム材を加工する前に排出することにより、比較的条件の厳しい金属製フレーム材の加工に影響が及ぶことを抑制できる。これに対して、木材については加工条件がそれほど厳しくはないため金属製のフレーム材を加工した場合に発生した切粉の影響が比較的小さくなる。そこで、第2駆動制御態様から第1駆動制御態様に切り替わる場合には、敢えて上記反転(切粉の排出)を行わない構成とすることにより、品質向上効果の恩恵を享受しつつ製造効率の向上に寄与することができる。
【0018】
例えば、面材の厚さがフレーム材の厚さよりも大きい構成に対して、本手段4に示した技術的思想を適用すれば、上記効果を好適に享受できる。
【0019】
因みに、「前記反転手段によって反転を行う場合には、反転前の加工位置へ復帰する場合の復帰速度が加工時の送り速度よりも速くなるように」構成することにより、製造効率の低下を一層好適に抑制することができる。
【0020】
手段5.前記フレーム材及び前記面材によって建物の床構造部分を構成する床ユニット(床ユニット10)が構築されるものであり、
前記駆動制御手段による駆動制御の態様として、前記工具の回転速度が第1回転速度且つ前記工具の送り速度が第1送り速度となるように設定された第1駆動制御態様と、前記工具の回転速度が前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ前記工具の送り速度が前記第1送り速度よりも遅い第2送り速度となるように設定された第2駆動制御態様とが設けられており、
前記駆動制御手段においては、前記フレーム材が存在すると想定される想定位置として、第1想定位置と当該第1想定位置よりも前記工具の送り方向における奥側となる第2想定位置とが予め定められており、
前記切替手段は、前記工具が待機位置から加工完了位置に変位する過程にて当該工具が前記第1想定位置及び前記第2想定位置を通過する場合には前記駆動制御の態様を前記第1駆動制御態様から前記第2駆動制御態様に切り替えるように構成されていることを特徴とする手段1乃至手段4のいずれか1つに記載の建材用加工装置。
【0021】
フレーム材と面材とを組み合わせてなる床ユニットについては、建物の仕様に応じてフレームと面材との位置関係が多様になり得る。様々な位置関係に対応させて上述した駆動制御の態様を個別に設定しようとすれば、制御パターンが複雑になるだけでなく、誤った情報等に基づく加工によって不良等が発生する可能性が高くなると懸念される。
【0022】
床ユニットについてはフレーム材上に面材が配置されるためフレーム材と面材との上下関係(加工順序)は一義的であり、面材の上面とフレーム材の上面との距離が仕様に応じて変化し得る。そこで、敢えて第1駆動制御態様と第2駆動制御態様とが交互に繰り返される構成とすれば、上述した位置関係の違いに対応させることができる。例えば、比較的浅い位置(第1想定位置)にフレーム材が存在するのであれば一度目の第2駆動制御態様にて当該フレーム材を加工することができ、比較的深い位置(第2想定位置)にフレーム材が存在するのであれば2度目以降の第2駆動制御態様にて当該フレーム材を加工することができる。これにより、上述した距離の違いを許容し、同様の駆動制御の態様によって加工可能となる。このように、加工装置の動作を共通化(統一)することは、上記ミスの発生を抑制する上で有利である。そして、位置関係に応じて制御態様を都度変更する必要がなくなることで、結果として製造効率の向上にも貢献できる。
【0023】
手段6.前記面材は、下地材(根太22)を介して前記フレーム材に固定される第1固定部(例えば下地材21の端部)と、前記下地材を介さずに前記フレーム材に固定される第2固定部(例えば下地材21の中央部)とを含んでおり、
前記駆動制御手段による駆動制御の態様として、前記工具の回転速度が第1回転速度且つ前記工具の送り速度が第1送り速度となるように設定された第1駆動制御態様と、前記工具の回転速度が前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ前記工具の送り速度が前記第1送り速度よりも遅い第2回転速度となるように設定された第2駆動制御態様とが設けられており、
前記駆動制御手段においては、前記2固定部にて前記フレーム材が存在すると想定される第1想定位置と、当該第1想定位置よりも前記工具の送り方向における奥側となる位置であって前記第2固定部にて前記フレーム材が存在すると想定される第2想定位置とが予め定められており、
前記切替手段は、前記工具が待機位置から加工完了位置に変位する過程にて当該工具が前記第1想定位置及び前記第2想定位置を通過する場合には前記駆動制御の態様を前記第1駆動制御態様から前記第2駆動制御態様に切り替えるように構成されていることを特徴とする手段1乃至手段5のいずれか1つに記載の建材用加工装置。
【0024】
手段6によれば、第1想定位置及び第2想定位置にて駆動制御の態様が第1駆動制御態様から第2駆動制御態様に切り替わる。このため、比較的浅い位置(第1想定位置)にフレーム材が存在するのであれば一度目の第2駆動制御態様にて当該フレーム材を加工することができ、比較的深い位置(第2想定位置)にフレーム材が存在するのであれば2度目の第2駆動制御態様にて当該梁材を加工することができる。これにより、複数種の位置関係を同様の駆動制御によって加工することが可能となる。このように、工具の動きを統一することは、上記不都合の発生を抑制する上で有利である。そして、上記位置関係に応じて駆動制御の態様を都度変更する必要がなくなるため結果として製造効率の向上にも貢献できる。
【0025】
手段7.前記フレーム材は、複数の大梁(床大梁12)とそれら大梁を繋ぐ小梁(床小梁13)とを有してなり、
前記面材は、前記大梁に対して根太(根太22)を介して固定される第1固定部(下地材21の端部)と、前記根太を介することなく前記小梁に対して固定される第2固定部(下地材21の中央部)とを有してなり、
前記工具は、前記第1固定部に対応する第1工具と前記第2固定部に対応する第2工具とを有してなり、それら第1工具及び第2工具によって前記加工が同時に行われる構成となっており、
前記駆動制御手段による駆動制御の態様として、前記両工具の回転速度が第1回転速度且つ前記両工具の送り速度が第1送り速度となるように設定された第1駆動制御態様と、前記両工具の回転速度が前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ前記両工具の送り速度が前記第1送り速度よりも遅い第2回転速度となるように設定された第2駆動制御態様とが設けられており、
前記駆動制御手段においては、前記2固定部にて前記小梁が存在すると想定される第1想定位置と、当該第1想定位置よりも前記両工具の送り方向における奥側となる位置であって前記第2固定部にて前記大梁が存在すると想定される第2想定位置とが予め定められており、
前記切替手段は、前記両工具が待機位置から加工完了位置に変位する過程にて前記両工具が前記第1想定位置及び前記第2想定位置を通過する場合には前記駆動制御の態様を前記第1駆動制御態様から前記第2駆動制御態様に切り替えるように構成されていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載の建材用加工装置。
【0026】
手段7に示すように、複数の固定部を複数の工具によってまとめて固定する構成によれば、各固定部を順番に固定する構成として加工時間の短縮を実現することができる。ここで、両工具の動作を個別に設定することは可能であるが、このような構成とした場合には制御負荷が増加するだけでなく、誤った加工によって不良等が発生する可能性が高くなると懸念される。また、加工時間については、最も時間の必要な箇所に左右されるため、それ以外の箇所にて部分的に工具の動きを変化させたとしても加工時間の実質的な短縮が期待できない。
【0027】
そこで、本手段7に示すように、第1固定部及び第2固定部の両方にて第1駆動制御態様と第2駆動制御態様とが交互に繰り返される構成とすれば、例えば、比較的浅い位置(第1想定位置)に小梁が存在するのであれば一度目の第2駆動制御態様にて当該小梁を加工することができ、比較的深い位置(第2想定位置)に大梁が存在するのであれば2度目の第2駆動制御態様にて当該大梁を加工することができる。これにより、複数種の位置関係を同様の駆動制御によって加工することが可能となる。このように、工具の動きを統一することは、上記不都合の発生を抑制する上で有利である。そして、上記位置関係に応じて駆動制御の態様を都度変更する必要がなくなるため結果として製造効率の向上にも貢献できる。
【0028】
手段8.複数の大梁(床大梁12)とそれら大梁を繋ぐ小梁(床小梁13)によって前記フレーム材が構成される第1床ユニットと、複数の大梁(床大梁12)とそれら大梁を繋ぐ小梁(床小梁13)によって前記フレーム材が構成され、大梁の下面から小梁の上面までの距離が前記第1床ユニットよりも大きい第2床ユニットとの両方に適用される建材用加工装置であって、
前記駆動制御手段による駆動制御の態様として、前記工具の回転速度が第1回転速度且つ前記工具の送り速度が第1送り速度となるように設定された第1駆動制御態様と、前記工具の回転速度が前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ前記工具の送り速度が前記第1送り速度よりも遅い第2送り速度となるように設定された第2駆動制御態様とが設けられており、
前記駆動制御手段においては、前記第2床ユニットにて前記小梁が存在すると想定される第1想定位置と、当該第1想定位置よりも前記両工具の送り方向における奥側となる位置であって前記第1床ユニットにて前記小梁が存在すると想定される第2想定位置とが予め定められており、
前記切替手段は、前記工具が待機位置から加工完了位置に変位する過程にて前記工具が前記第1想定位置及び前記第2想定位置を通過する場合には前記駆動制御の態様を前記第1駆動制御態様から前記第2駆動制御態様に切り替えるように構成されていることを特徴とする手段1乃至手段7のいずれか1つに記載の建材用加工装置。
【0029】
建物の1階部分を構成する床については屋内外の断熱を図るべく床ユニットに断熱層が形成されることが多い。これに対して2階部分等の階間を構成する床については1階部分を構成する床と比べて断熱機能の需要が低く、階下の天井構造部分に断熱機能を付与することもできるため、1階部分のような断熱層が不要になることが多い。1階部分に断熱層を形成する場合にはフレーム材(大梁及び小梁)と床材との間に配設された根太が断熱層の一部を担う。これに対して、断熱機能が不要となる2階部分では小梁が大梁よりも上方に突出するようにして配設されることで床材との間の根太が省略される。このような事情によって、フレーム材(小梁)と面材との位置関係が多様になり得る。各種位置関係に応じて上述した駆動制御の態様の切り替えを実施しようとすれば、制御パターンが複雑になるだけでなく誤った加工によって不良等が発生する可能性が高まると懸念される。
【0030】
そこで、第2床ユニットにおいては比較的浅い位置(第1想定位置)に小梁が存在するため当該小梁を1度目の第2駆動制御態様にて加工し、第1床ユニットにおいては比較的深い位置(第2想定位置)に小梁が存在するため当該小梁を2度目の第2駆動制御態様にて加工する構成とすればよい。これにより、位置関係の異なる複数種の床ユニットを同様の駆動制御によって加工することが可能となる。このように、一連の動作によって第1床ユニット及び第2床ユニットの両方に対応する構成とすれば、床ユニットの種類に応じた動作態様の設定変更が不要となり、結果として製造効率の向上にも貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、複数の建物ユニットを組み合わせて構築されるユニット式建物において建物ユニット(詳しくは床構造部分)の製造工程について具体化されている。建物ユニット及びユニット式建物の構成は周知であるため、図示による説明は割愛するが、簡単に説明をしておく。建物ユニットは、四隅の柱と、それら各柱の上端部を連結する天井大梁と、各柱の下端部を連結する床大梁とを有し、全体として直方体状に形成されている。この建物ユニットはユニット製造工場で製作された後、トラック等の搬送手段によって建物施工現場へ搬送される。そして、建物施工現場においては建物ユニットがクレーン等の据え付け手段を用いて据え付けられ、隣接する建物ユニットの柱同士が連結部材(ドッキングプレート等)により連結されることで建物本体が構築されるようになっている。
【0033】
以下、
図1を参照して建物ユニットの床構造部分について説明し、その後、床構造部分の製造の流れについて説明する。
図1(a)は建物ユニットの床構造部分の構成を示す平面図、
図1(b)は
図1のA−A線部分断面図である。なお、
図1については建物の1階部分を構成する建物ユニットの床構造部分を例示し、床上面を形成するフローリング材については図示を省略している。
【0034】
図1(a)に示すように、建物ユニットの床構造部においては、当該建物ユニットの柱が取り付けられる仕口11が設けられている。これら仕口11に対して互いに直交する2方向に床大梁12が連結されている。床大梁12は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして、すなわち溝部がユニット内側に向くように配設されている。床大梁12は全体として横長の矩形枠状をなすようにして配置されており、各床大梁12のうち長辺側となる一対の床大梁12の間に架け渡した状態で複数の床小梁13が設けられている。これら床大梁12及び床小梁13によって床フレーム14が構築されている。
【0035】
床フレーム14の上方には、床小梁13の並設方向(桁方向)に並べて木製の下地材21(詳しくはパーティクルボード)が敷設されている。
図1(b)に示すように、床フレーム14と下地材21との間には木製の根太22が介在しており、根太22を挟んだ状態で床フレーム14と下地材21とが固定されている。根太22の間には断熱材24(詳しくはウレタンフォーム)が配設されており、下地材21と床フレーム14との間に根太22及び断熱材24からなる断熱層が形成されている。これにより、床下での熱損失が軽減されている。
【0036】
根太22は床大梁12及び床小梁13に沿うようにして配置されており、下地材21側から挿通されたビス23が根太22を貫通して床フレーム14(床大梁12及び床小梁13の両梁)に固定されている。例えば、下地材21A〜21Cの繋ぎ部BPについては床小梁13上に位置しており、繋ぎ部BPを挟んだ両側にて当該床小梁13にビス23による固定を行うことで下地材21の端部の浮き上がりが抑制されている。これら、床フレーム14や下地材21によって床構造部分としての床ユニット10が構築されている。
【0037】
ここで、
図2を参照して、工場における床ユニット10の組み立てに係る構成及び組み立ての流れについて説明する。
図2(a)は床ユニット10の組み立ての流れを示す概略図、
図2(b)は床ユニット10の組み立てに係る構成を示す概略図である。
【0038】
図2に示すように、床ユニット10の製造工程においては、溶接工程及び塗装工程を経て形成された床フレーム14が床組み立て工程に搬送される。床組み立て工程には、床フレーム14と下地材21とを固定する固定装置50が設置されている。固定装置50は、床組み立て工程に搬送された床フレーム14(ワーク)が載置されるテーブル51と、テーブル51の上方に配設された穴あけ装置52及びビス締め装置53とを備えている。
【0039】
穴あけ装置52は、可動ベース61と、可動ベース61をテーブル51に沿ってスライド移動させるスライド機構62とを備えている。スライド機構62は制御装置54に接続されており、この制御装置54からの指令に基づいて可動ベース61の位置が変更されることとなる。なお、床組み立て工程へ搬送された床フレーム14は、スライド機構62によって規定された可動ベース61のスライド方向が当該床フレーム14の桁方向と一致するようにしてテーブル51に配置される。
【0040】
可動ベース61は、複数のドリル63と、各ドリル63に個別に対応させて設けられた回転用駆動部64(インバータ)及び送り用駆動部65(サーボ)とが配設されている。これら回転用駆動部64及び送り用駆動部65は制御装置54に接続されており、各ドリル63を個別に動作させることが可能となっている。
【0041】
ドリル63は、上記スライド方向と交差する方向(妻方向)に複数並べて配列されている。これにより、妻方向における複数の固定箇所にビス締め用の下穴をまとめて形成することが可能なっている。ドリル63については配列方向における位置が調整可能となっている。これにより、固定箇所のピッチを部分的に変更することができる。
【0042】
なお、ドリル63群の配置領域については床フレーム14における妻方向の長さよりも長くなっており、ドリル63群の一部(両端に位置するもの)についてはその調整範囲が床大梁12に対応する位置を含むように構成されている。これにより、床大梁12を対象とする固定箇所と、床小梁13を対象とする固定箇所の両方にて下穴の形成を並行して行うことが可能となっている。
【0043】
ビス締め装置53は、可動ベース71と、可動ベース71をテーブル51に沿って(可動ベース61と同じ方向に)スライド移動させるスライド機構72とを備えている。スライド機構72は制御装置54に接続されており、この制御装置54からの指令に基づいて可動ベース71の位置が変更されることとなる。
【0044】
可動ベース71は、固定具としてのビス23が装着される複数のビット73と、各ビット73に個別に対応させて設けられた回転用駆動部74(インバータ)及び送り用駆動部75(エアシリンダ)とが配設されている。これら回転用駆動部74及び送り用駆動部75は制御装置54に接続されており、各ビット73を個別に動作させることが可能となっている。
【0045】
穴あけ装置52によって下穴を形成するのに要する期間と、ビス締め装置53によって下穴にビス締めを行うのに要する期間とを比較した場合には、後者よりも前者の方が長くなる。そこで、本実施の形態においては、ビス締め装置53の待ち時間を短縮して、組み立て工程における製造効率を向上させるための工夫が施されている。具体的には、上記ビス締め装置53においてはビット73が一列となるように配設されているのに対して、穴あけ装置52ではドリル63が上記スライド方向にて複数列(本実施の形態においては2列)となるように構成されており且つ各列間の距離を変更可能となっている。これにより、桁方向にて複数の梁を対象とした下穴の形成を並行して(同時に)行うことが可能となっている。これにより、ビス締め装置53の待機期間を短縮している。
【0046】
ここで、
図2(a)を参照して、床ユニット10の組み立ての流れについて説明する。前工程から床組み立て工程に床フレーム14が搬送された後は、サイズ情報読取工程(S101)にて床フレーム14のサイズ情報を取得する。具体的には、床フレーム14には当該床フレーム14のサイズ情報(桁寸法及び妻寸法)が付与されたバーコード15が設けられており、制御装置54に付属の読取装置55によってこのバーコード15の読み取りを行う。これにより、制御装置54にて今回搬送された床フレーム14のサイズ情報が把握される。
【0047】
制御装置54には床フレーム14のサイズに応じて定められた標準固定箇所が記憶されており、把握したサイズ情報に基づいて今回の床フレーム14に対応する標準固定箇所(標準パターン)の仮設定を行う(S102)。そして、仮設定された標準固定箇所に係る情報を制御装置54に付属のタッチパネル56(詳しくは表示画面81)に表示する(S102)。その後は、根太配置工程(S103)、断熱材配置工程(S104)、下地材配置工程(S105)を経て床ユニット10を構成する各種建材が組み合わされた状態となる。
【0048】
続く個別指示工程(S106)では、今回搬入された床フレーム14に応じて、固定箇所の変更が行われる。本実施の形態に示す床組み立て工程においては、サイズや仕様の異なる複数種の床ユニット10を対象として組み立てが行われる。ここで、
図3を参照して、本床組み立て工程にて製造される各種床ユニット10の種類について補足説明する。
図3(a)は浴室対応の床ユニット10Xを示す概略図、
図3(b)は床下収納対応の床ユニット10Yを示す概略図である。
【0049】
図3(a)に示す床ユニット10Xには、バスユニットが組み入れられる浴室部分S1と、それに隣接して設けられる脱衣所部分S2と、浴室部分S1及び脱衣所部分S2からなるサニタリスペースに対して横並びとなるように設けられた居室部分S3とが設けられている。居室部分S3には、各床大梁12のうち長辺側となる一対の床大梁12の間に架け渡した状態で複数の床小梁13が設けられている。
【0050】
浴室部分S1及び脱衣所部分S2には、短辺側の床大梁12と床小梁13との間に架け渡した状態で設けられた受け小梁31aXによって区分けされている。脱衣所部分S2には、床大梁12と受け小梁31aXとの間に架け渡した状態で複数の受け小梁31bXが設けられている。これら受け小梁31bX等によって脱衣所部分S2用の床板21Dが支持されている。
【0051】
浴室部分S1では、長辺側の床大梁12と受け小梁31aXとが互いに対向しており、これら床大梁12と受け小梁31aXとによって挟まれた部分は小梁の非配置領域(開口34X)となっている。この開口34Xを通じて給水用配管や排水用配管がバスユニットに接続されている。床大梁12及び受け小梁31aXには受け金具32Xが取り付けられており、それら受け金具32Xによってバスユニットが支持されている。
【0052】
図3(b)に示す床ユニット10Yには、その中央に収納ユニットが組み入れられる収納部分S4が設けられている。収納部分S4に相当する部位は、2つの床小梁13に架け渡すようにして受け小梁35aYが2つ配設されている。これら受け小梁35aYに架け渡すようにして受け小梁35bYが配設されており、それら受け小梁35bYによって収納ユニットが支持されている。受け小梁35aY,35bYによって囲まれた部分は、小梁の非配置領域(開口38Y)となっており、この開口38Yを通じて収納ユニットのケース部分が下方に突出している。
【0053】
このように、
図3(a),(b)に示す浴室対応の床フレーム14X及び床下収納対応の床フレーム14Yについては、床フレーム14X,14Yの外形(桁寸法及び妻寸法)については
図1(a)に示した床フレーム14と一致しているものの、バスユニット及び収納ユニットが設置される部分が小梁及び下地材の非配置領域となっている点(開口が形成されている点)で
図1(a)に示した床フレーム14と構成が相違している。また、床ユニット10X,10Yについては、開口34X,38Yが下地材21の非配置領域となっており、開口34X,38Yの周辺においてはビス23による固定箇所が省略されている。
【0054】
なお、浴室部分S1や収納部分S4の大きさ及び位置については建物の仕様に応じて変更される。
【0055】
再び
図2に戻り、床組み立て工程においては上記床ユニット10,10X,10Yの何れが搬送されてきたかによって、ビス23による固定箇所が相違する。標準パターンにて規定されている固定箇所については床ユニット10に対応しているため、他の床ユニット10X,10Yを組み立てる場合には固定箇所を変更する必要が生じる。そこで、床組み立て工程においては個別指示工程(S106)にて現物に合せた固定箇所の変更を行う。ここで、
図3を参照して固定箇所変更の様子について説明する。
図3は、上記タッチパネル56を示す概略図である。
【0056】
タッチパネル56の表示画面81には、床フレーム14を模した画像を表示するイメージ表示領域IEが設けられている。このイメージ表示領域IEには、サイズ情報読取工程(S101)にて読み取った情報に基づいて標準となる床フレーム14の形状及び固定箇所が表示される。
【0057】
表示画面81には操作メニュー表示領域MEが設けられており、この領域には作業者による操作内容毎に分類された複数の操作メニューが表示される。この操作メニューとしては、小梁の追加/削除を行うための「小梁位置」と、下地材21の繋ぎ部BPを変更するための「継目変更」と、ポストを回避するための「ポスト回避」と、開口を回避するための「開口回避」と、標準へ戻すための「標準」とが設けられている。
【0058】
例えば、「継目変更」によって下地材21の繋ぎ部BPを指定すれば、その指定先では当該繋ぎ部BPを挟んだ両側に固定箇所が設定される。また、「開口回避」や「ポスト回避」によって回避範囲を指定すれば、当該回避範囲に重なる固定箇所が削除されるとともに、回避範囲の最寄りとなる位置であって下地材21の縁寄りとなる位置に固定箇所が追加される。
【0059】
作業者がこれら操作メニューを選択することにより、その選択されたメニューに応じた詳細なパラメータがパラメータ表示領域PEに表示される。
図4においては「小梁位置」が選択されている場合のパラメータを表示している。
【0060】
例えば、搬入された床フレーム14Xが浴室に対応しているとしても、先ずは
図4(a)に示すように標準固定箇所を示す画像及び床フレームを模した標準画像が表示される。その後、作業者が床フレーム14Xに合わせて固定箇所を変更することにより、床フレームを模した画像及び固定箇所を示す画像が操作結果に応じて変更されることとなる。これにより、実物と変更結果との対比をしやすくしている。また、床フレーム14に対して下地材21を重ねた状態では、下地材21によって床フレーム14の目視による確認が困難になり得る。この点、床フレーム14を模した画像を表示する構成とすることにより、作業者の利便性の向上を図っている。
【0061】
個別指示工程における指示が完了し確定操作が行われた後は、穴あけ工程(S107)に移る。穴あけ工程では制御装置54にて穴あけ用加工シーケンスが起動される。このシーケンスでは、決定された固定箇所を把握して、穴あけ加工を行う順序を決定する。その後、穴あけ装置52の駆動制御を行い、固定箇所にビス締め用の下穴を形成する。この際、上述した複数のドリル63によって複数箇所における穴あけが並行して行われる。これにより、加工時間の短縮が図られている。また、本実施の形態においては、穴あけ装置52による穴あけ加工と並行してビス締め装置53によるビス締めが行われる構成となっている。つまり、下穴が形成されたものから順にビス締めを行うことにより、製造効率の向上が図られている。
【0062】
上述したように作業者が手作業にて固定箇所の変更を指示する構成においては、仕様変更等への対応幅を拡げることができる面では有利ではあるが、指示ミス等に起因した不良の発生確率が高くなると懸念される。これは、床ユニット10の品質の低下や後工程での作業効率の低下の要因になるため好ましくない。そこで、制御装置54では、例えば床ユニット10に上述した開口等が形成されている場合には当該開口周辺を固定箇所から外す処理が実行される。具体的には、穴あけ装置52及びビス締め装置53には、各ドリル63及び各ビット73に対応する位置に下地材21が存在しているか否かを検知する検知センサ66,76が設けられており、加工シーケンスを実行する場合にはそれら検知センサ66,76からの検知情報に基づいて下地材21の有無が確認される。仮に、下地材21が無いと判定された場合には、その位置での穴あけ及びビス締めが回避されることとなる。このような工夫によって上記不都合の発生を抑制している。
【0063】
穴あけ工程においては、床フレーム14及び下地材21が重ねられた状態にて、両者に連通する下穴を形成することにより、作業工程の簡素化を実現している。具体的には、木製の下地材21及び根太22と金属製の床フレーム14とをまとめて加工する構成となっている。
【0064】
ドリル63の回転速度として相対的に速い第1回転速度及び相対的に遅い第2回転速度が設定されており、ドリル63の昇降速度(送り速度)として相対的に速い第1送り速度及び相対的に遅い第2送り速度とが設定されている。ドリル63の待機位置から加工完了位置までの全ストロークが、第1回転速度及び第1送り速度となるようにして駆動制御の態様が規定された第1範囲と、第2回転速度及び第2送り速度となるようにして駆動制御の態様が規定された第2範囲とに分かれている。床ユニット10がテーブル51に配置されている状態では、下地材21及び根太22が第1範囲に位置し、床フレーム14(床大梁12及び床小梁13)が第2範囲に位置する構成となっている。つまり、加工対象の切り替わりに応じて加工条件が切り替わる構成となっている。なお、詳細には、床大梁12と床小梁13とでは板厚が相違しているが、第2範囲についてはこれら複数種の板厚に対応しており、床大梁12に下穴を形成するドリル63と床小梁13に下穴を形成するドリル63とで動作態様が統一されている。これにより、制御装置54における制御負荷の軽減を図っている。
【0065】
ここで、床ユニット10については、建物における1階の床構造部分を構成するものと、建物における2階以上(階間)の床構造部分を構成するものとで具体的な構造が相違する。ここで、
図1(b)及び
図5(a)を参照して、この違いについて説明する。以下の説明では、1階部分を構成する床ユニットを「床ユニット10L」、2階部分を構成する床ユニットを「床ユニット10U」として区別する。
図5(a)は床ユニット10Uを示す概略図である。
【0066】
図1(b)に示したように建物の1階部分を構成する床については屋内外の断熱を図るべく床ユニット10Lに断熱層が形成されることが多い。これに対して2階部分等の階間を構成する床については、1階部分を構成する床と比べて断熱機能の需要が少なく更に階下の天井構造部分に断熱機能を付与することもできるため1階部分のような断熱層が不要になることが多い。1階部分に断熱層を形成する場合には床フレーム14L(床大梁12及び床小梁13L)と下地材21との間に配設された根太22が断熱層の一部を担う。これに対して、断熱機能が不要となる2階用の床フレーム14Uでは、
図5(b)に示すように床小梁13Uが床大梁12よりも上方に突出するようにして配設されることで下地材21と床小梁13Uとの間の根太22が省略されている。
【0067】
このような事情によって、1階用の床フレーム14Lと2階用の床フレーム14Uとでは、下地材21の上面から床小梁13L,13Uの上面までの距離が相違する(断面Y及び断面Z参照)。搬送された床フレーム14L,14Uの種類に応じて上述した駆動制御の態様の切り替えを実施しようとすれば、制御パターンが複雑になるだけでなく誤った加工によって不良等が発生する可能性が高まると懸念される。
【0068】
また、2階用の床フレーム14Uにおいては、床大梁12については根太22を介して下地材21と固定されているのに対して、床小梁13Uについては根太22が省略されている。このため、床大梁12に係る固定箇所と床小梁13Uに係る固定箇所とを比較した場合には、下地材21の上面から床小梁13Uの上面までの距離と下地材21の上面から床大梁12の上面までの距離とが相違する(断面X及び断面Z参照)。2階用の床フレーム14Uにて床大梁12及び床小梁13Uにまとめて下穴を形成する上で、加工箇所に応じて駆動制御態様の設定変更を行う構成とした場合にも、上述した不良の発生等の懸念が生じる。
【0069】
本実施の形態においては穴あけ対象及び穴あけ位置の違いを許容するようにして駆動制御の態様が統一されていることを特徴の1つとしている。具体的には、第1回転速度且つ第1送り速度となるようにして駆動制御を行う第1駆動制御態様と、第2回転速度且つ第2送り速度となりようにして駆動制御を行う第2駆動制御態様とが、所定の順序で繰り返されることを特徴の1つとしている。以下、
図5のタイミングチャートを参照して、穴あけ加工の流れについて説明する。
【0070】
上記個別指示工程にて固定箇所の確定操作が行われると、続く穴あけ工程にて穴あけ装置52による穴あけ加工が開始される。穴あけ加工が開始されたt1のタイミングでは、ドリル63が相対的に速い回転速度である第1回転速度で回転を開始し、相対的に速い送り速度である第1送り速度で降下を開始する。t1のタイミングから第1所定期間が経過したt2のタイミングではドリル63が下地材21を貫通する。今回のワークが2階用の床ユニット10Uである場合には、床小梁13Uに対応するドリル63が床小梁13Uの上面に到達する。このt2のタイミングでは、ドリル63が反転して待機位置の手前(下地材21の上方)まで戻る。これにより、下地材21に下穴を形成した際に発生した切粉が排出されることとなる。
【0071】
t3のタイミングにて再び降下を開始してから第1所定期間が経過したt4のタイミングでは、ドリル63が第2回転速度且つか第2送り速度となるように減速される。今回のワークが2階用の床ユニット10Uである場合には、加工対象が金属製の床小梁13Uに移るため、それに併せて駆動制御の態様が第1駆動制御態様から第2駆動制御態様に切り替わることとなる。ここで、ワークが床ユニット10Uである場合、床大梁12では未だドリル63が床大梁12に到達しているわけではなく、根太22が穴あけ加工の対象となる。同様に、ワークが1階用の床ユニット10Lである場合にも、根太22が穴あけ加工の対象となる。但し、加工対象の材質については加工条件がシビアな金属性ではなく木製であるため、ドリル63の回転速度等の低下に起因した加工品質の悪化は抑制される。
【0072】
駆動制御の態様が第2駆動制御態様に切り替わってから第2所定期間が経過したt5のタイミングでは再び駆動制御の態様が第1駆動制御態様に切り替わる。これにより、ドリル63の回転速度が第1回転速度となり、送り速度が第1送り速度となる。加工箇所が1階用の床ユニット10L又は2階用の床ユニット10Lにおける床大梁12に対応している場合には加工対象が根太22に移り、根太22に下穴が形成されることとなる。これに対して、加工箇所が2階用の床ユニット10Uにおける床小梁13Uに対応する部分である場合には加工対象が既に終了しており、ドリル63が空転することとなる。但し、床小梁13Uの上面よりも下側には、ドリル63の動作領域(空隙)が確保されているため、ドリル63の先端部分との干渉が回避される。なお、下地材21の厚さと比べて床小梁13Uの板厚は十分に小さく切粉が以降の加工を妨げる量にならないため、t5のタイミングで上述したような反転は発生しない。
【0073】
t5のタイミングから第3所定期間が経過したt6のタイミングでは、ドリル63が根太22を貫通する。加工箇所が1階用の床ユニット10Lの床大梁12及び床小梁13Lに対応している場合には、ドリル63が床大梁12及び床小梁13Lの上面に到達する。また、加工箇所が2階用の床ユニット10Uの床大梁12に対応している場合には、ドリル63が床大梁12の上面に到達する。このt6のタイミングでは、ドリル63が反転して待機位置の手前(下地材21の上方)まで戻る。これにより、根太22に下穴を形成した際に発生した切粉が排出されることとなる。
【0074】
t7のタイミングにて再び降下を開始してから第4所定期間が経過したt8のタイミングでは、ドリル63が第2回転速度且つか第2送り速度となるように減速される。加工箇所が1階用の床ユニット10Lの床大梁12及び床小梁13L又は2階用の床ユニット10Uの床大梁12に対応している場合には、加工対象が金属製の床大梁12及び床小梁13Lに移るため、それに併せて駆動制御の態様が第1駆動制御態様から第2駆動制御態様に切り替わることとなる。
【0075】
t8のタイミングから第5所定期間が経過したt9のタイミングでは、加工対象となっていた床大梁12及び床小梁13Lに下穴が形成され、下地材21及び床フレーム14に貫通する下穴の形成が完了する。その後は、ドリル63が反転して待機位置への復帰を開始し、t10のタイミングにて待機位置に復帰した後に回転を停止する。
【0076】
以上、詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0077】
下地材21と床フレーム14との固定箇所についてはフレーム材の大きさ等に依存する。そこで、床フレーム14のサイズ情報に基づいて標準固定箇所を設定することで、全ての固定箇所を個々に指示する必要がなくなる。このようにして設定された標準固定箇所を実際の下地材21及び床フレーム14の形状や組み合わせに応じて変更可能とすることにより、製造対象となる製品の多様化を実現しつつそれに起因した製造効率(作業効率)の低下を抑制することができる。
【0078】
特に、床フレーム14が床大梁12及び床小梁13によって構成されている場合には、床小梁13の配置が床大梁12の長さ等に依存することとなる。そこで、床大梁12の長さに応じて標準固定箇所の設定を行うことにより、仮にその後の修正が必要になった場合であっても当該修正を軽微なものとすることができる。
【0079】
床小梁13の配置については建物の仕様に基づいて変更される可能性がある。例えばバスユニットや床下収納等の建物設備が配設される場合には、それら建物設備との干渉を回避すべく一部の床小梁が削除されたり、配設箇所周辺の補強用に追加されたりする。そこで、本実施の形態に示すように床小梁13の配置に基づいて固定箇所を変更可能とすることにより、各種仕様への対応が容易となり、製造対象となる製品の多様化を実現しつつそれに起因した製造効率(作業効率)の低下を抑制するという上記効果を好適に発揮させることができる。
【0080】
例えばバスユニットや床下収納等の建物設備が配設される場合には、それら建物設備との干渉を回避すべくフレーム材及び面材に開口が形成され得る。そこで、初期設定時に開口の有無が特定されていない場合であっても、固定箇所の変更によって開口に係る固定箇所を削除可能とすることにより、各種仕様への対応が容易となる。
【0081】
上述したように標準設定箇所から一部の固定箇所を削除する構成においては、仕様毎の対応の自由度を高めることができる反面、作業ミス等の要因によって品質が低下する可能性がある。例えば、固定箇所が誤って追加された場合には後工程への影響は比較的小さいものの、固定箇所が誤って追加された場合には手直しの必要性が高くなり後工程への影響が比較的大きくなると想定される。そこで、面材が検知できない場合には、固定箇所として設定されている場合であっても、穴あけ加工及びビス締めを行わない構成とすることで、上記不都合の発生を好適に抑制することができる。
【0082】
下地材21の組み合わせパターンについては建物の仕様によって様々であり、床フレーム14の大きさが同じであっても組み合わせパターンが複数存在し得る。そこで、本実施の形態に示したように、繋ぎ部BPに合せて固定箇所を変更可能とすれば、各種仕様への対応が容易となる。これにより、上記効果を好適に発揮させることができる。
【0083】
建物躯体を構成する床大梁12については、その両端に同じく建物躯体を構成する柱が接続される。ここで、建物の仕様によって柱だけでは建物躯体の強度を十分に確保できない可能性があり、このようなケースでは柱間にポスト等の中間部材が配設されることで強度確保がなされる。中間部材が縦方向に延びる場合には、下地材21に中間部材との干渉を回避する切欠き等が形成される。このような構成では、中間部材の周辺にて下地材21の浮き上がりが発生しやすくなる。そこで、中間部材の周辺にて固定箇所を変更可能とすることで、仕様の違いを好適に許容することができる。
【0084】
床フレーム14及び下地材21を組み合わせて床ユニット10を形成する際に両者に何らかの加工が必要となる構成においては、例えば床フレーム14及び下地材21を各々単体で加工し、加工後に組み合わせることも可能である。しかしながら、このように加工工程を分けた場合には、加工に伴う準備期間等が嵩みやすくなると想定される。これは、製造効率の向上の妨げになり得る。これに対して、本実施の形態に示したように、床フレーム14及び下地材21をまとめて加工する構成とすれば、都度の加工が不要となり上記課題を解消することができる。
【0085】
但し、床フレーム14と下地材21(根太22)とで材質が異なっている場合、同じ条件で加工しようとすれば加工品質を担保する上で無理が生じ得る。この点、加工対象が床フレーム14及び下地材21(根太22)の一方から他方に移る場合には、それに応じて加工に係る速度条件(回転速度,送り速度)が切り替わることとなる。これにより、材質の異なる床フレーム14及び下地材21(根太22)をまとめて加工する上で、品質の低下を抑えながら上述した製造効率の向上を実現することができる。
【0086】
床フレーム14が下地材21(根太22)よりも高強度となる場合には、比較的加工が容易である下地材21(根太22)と同じ回転速度及び送り速度で床フレーム14の加工を行うことにより、工具や床フレーム14に生じる負荷が大きくなる。これは、加工装置(工具)の耐久性を低下させる要因となったり、床フレーム14の変形等の製品の品質を低下させる要因となったりする。一方、比較的加工が困難である床フレーム14に合せて設定された回転速度及び送り速度にて下地材21(根太22)を加工しようとすれば、下地材21(根太22)の加工時間が間延びして製造効率の向上の妨げになる。そこで、回転速度及び送り速度を加工対象の強度に応じて低速/高速に切り替えることにより、製造効率の向上を図りつつそれに起因した上記各種不都合の発生を好適に抑制することができる。
【0087】
駆動制御の態様が切り替わる場合、すなわち加工対象が移る場合に、工具を逆戻りさせることにより、加工対象に生じた切粉を排出することができる。これにより、一方の加工対象にて発生した切粉が他方の加工に影響することを抑制することができる。故に、フレーム材及び面材をまとめて加工する場合であっても、加工精度や加工効率の低下を好適に抑制することができる。
【0088】
上述した途中反転機能は品質向上等を実現する上では有利であるものの、その実行頻度が高くなることが製造効率の向上を妨げる要因になり得る。そこで、上記構成に示すように、木材を加工した場合に発生した切粉を金属性の床フレーム14を加工する前に排出することにより、比較的条件の厳しい床フレーム14の加工に影響が及ぶことを抑制できる。これに対して、木材については加工条件がそれほど厳しくはないため金属製の床フレーム14を加工した場合に発生した切粉の影響が比較的小さくなる。そこで、第2駆動制御態様から第1駆動制御態様に切り替わる場合には、敢えて上記反転(切粉の排出)を行わない構成とすることにより、品質向上効果の恩恵を享受しつつ製造効率の向上に寄与することができる。
【0089】
建物の1階部分を構成する床については屋内外の断熱を図るべく床ユニットに断熱層が形成されることが多い。これに対して2階部分等の階間を構成する床については1階部分を構成する床と比べて断熱機能の需要が低く、階下の天井構造部分に断熱機能を付与することもできるため、1階部分のような断熱層が不要になることが多い。1階部分に断熱層を形成する場合には床大梁12及び床小梁13と下地材21との間に配設された根太22が断熱層の一部を担う。これに対して、断熱機能が不要となる2階部分では床小梁13が床大梁12よりも上方に突出するようにして配設されることで下地材21との間の根太が省略される。このような事情によって、床小梁13と下地材21との位置関係が多様になり得る。各種位置関係に応じて上述した駆動制御の態様の切り替えを実施しようとすれば、制御パターンが複雑になるだけでなく誤った加工によって不良等が発生する可能性が高まると懸念される。
【0090】
そもそも床ユニット10については床フレーム14上に下地材21が配置されるため床フレーム14と下地材21との上下関係は一義的である。そこで、敢えて第1駆動制御態様と第2駆動制御態様とが交互に繰り返される構成とすれば、床ユニット10の種類に応じて加工装置の動作態様を個別に設定することなく、上述した位置関係の違いを許容することができる。このように、加工装置の動作を統一することは、上記不都合の発生を抑制する上で有利である。そして、床ユニット10の種類に応じた動作態様の設定変更が不要となることで、結果として製造効率の向上にも貢献できる。
【0091】
複数の加工箇所を複数のドリル63によってまとめて加工する構成によれば、各加工箇所を順番に加工する構成として加工時間の短縮を実現することができる。各ドリル63の動作を個別に設定することは可能であるが、このような構成とした場合には制御負荷が増加するだけでなく、誤った加工によって不良等が発生する可能性が高くなると懸念される。また、加工時間については、最も時間の必要な箇所に左右されるため、それ以外の箇所にて部分的にドリル63の動きを変化させたとしても加工時間の実質的な短縮が期待できない。
【0092】
そこで、本実施の形態に示すように、複数の加工箇所にて第1駆動制御態様と第2駆動制御態様とが同じように繰り返される構成とすれば、複数種の組み合わせを同様の駆動制御によって加工することが可能となる。このように、工具の動きを統一することは、上記不都合の発生を抑制する上で有利である。そして、上記位置関係に応じて駆動制御の態様を都度変更する必要がなくなるため結果として製造効率の向上にも貢献できる。
【0093】
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0094】
(1)上記実施の形態では、床フレーム14に配設されるバーコード15に当該床フレーム14の桁寸法及び妻寸法(「対応情報」に相当)を付与する構成とし、制御装置54によって床フレーム14の外形を把握する構成とした。但し、バーコード15に付与される情報についてはこれに限定されるものではない。例えば、床小梁13の数及び位置に係る情報を付与する構成としてもよいし、下地材21との組み合わせに係る情報を付与する構成としてもよい。
【0095】
但し、床ユニット10の多様性に配慮した場合には、付与される情報が多くなることで情報管理に係る負荷が増大する。また、バーコード15に付与される情報への依存が強まることで、仕様変更等への対応する際の自由度が低下すると懸念される。このような事情に鑑みた場合、上記実施の形態に示したように取得した最小限の情報に基づいて標準固定箇所を設定し、その標準固定箇所を実物に応じて変更する構成とすることが好ましい。これにより、情報管理に係る負荷の軽減や上記自由度の向上を好適に実現することができる。
【0096】
(2)上記実施の形態では、読取装置55(「情報取得手段」に相当)からの情報に基づいて設定された標準固定箇所が作業者の手動操作に基づいて変更される構成とした。これを変更し、開口検知センサや繋ぎ部検知センサ等の各種検知手段からの情報に基づいて制御装置54が固定箇所の変更処理を独自に行う構成としてもよい。
【0097】
(3)上記実施の形態では、「フレーム材」を構成する床小梁13に沿うようにして根太22を配置する構成について例示したが、これに限定されるものではない。床小梁13と交差するようにして根太22を配置する構成としてもよい。但し、このような構成では、床小梁13が延びる方向(妻方向)にて根太22の位置がずれた場合には、床小梁13と下地材21との固定が上手く行われなくなる可能性が高まる。故に、望ましくはドリル63が妻方向に配列されている構成においては根太22につても床小梁13に沿って配設することが好ましい。
【0098】
(4)上記実施の形態では、「表示装置」を構成する表示画面81に床フレーム14及び固定箇所を模した画像(疑似画像)を表示する構成としたが、少なくとも作業者が固定箇所を把握し得る情報が表示されるのであれば足り、具体的な表示態様については任意に変更することも可能である。但し、床フレーム14に下地材21が配置された状態では床小梁13の位置等を目視で確認することが困難になり得る。故に、上述したように視覚的に床フレーム14をイメージさせるような疑似画像を表示することにより作業者の利便性を向上に貢献できる。
【0099】
なお、上記実施の形態では、固定箇所の変更に応じて床フレーム14の疑似画像の形状についても変更される構成としたが、これに限定されるものではなく、固定箇所の表示のみが変更される構成とすることも可能である。
【0100】
(5)上記実施の形態では、床フレーム14が床組み立て工程に搬送された場合には下地材21の配置が行われる前にバーコード15の読み取り及び標準固定箇所の表示を行う構成したが、この順序に限定されるものではない。下地材21の配置が行われた後にバーコード15の読み取り及び標準固定箇所の表示を行う構成とすることも可能である。
【0101】
(6)上記実施の形態では、床大梁12及び床小梁13を有する床フレーム14と下地材21とに跨るようにして下穴25を形成する穴あけ装置52と、当該下穴25に挿通させたビス23により床フレーム14と下地材21とを固定するビス締め装置53とを併用する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、セルフタッピング用のビスにより床フレーム14と下地材21とを固定する場合には、穴あけ装置52を省略することも可能である。
【0102】
この場合、ビス締め装置53の回転速度及び送り速度をビス23の到達位置(加工対象)に応じて切り替える構成とするとよい。例えば、「面材」としての下地材21がタッピングの対象となっている場合にはビット73の回転速度を第1回転速度且つ送り速度を第1送り速度とし、「フレーム材」としての床大梁12及び床小梁13がセルフタッピングの態様となっている場合にはビット73の回転速度を第1回転速度よりも遅い第2回転速度且つ送り速度を第1送り速度よりも遅い第2送り速度となるように切り替える構成とするとよい。
【0103】
(7)上記実施の形態では、固定装置50を用いて床ユニット10を構成する床フレーム及び下地材21を固定する場合について例示したが、固定装置50を用いて天井フレーム及び天井パネルを固定する構成とすることも可能である。また、固定装置50を用いて建物ユニットのフレーム等に壁を固定する構成とすることも可能である。
【0104】
(8)穴あな装置52の駆動制御においては、第1駆動制御態様→第2駆動制御態様を繰り返す構成としたが、この繰り返し回数については加工対象となる床フレーム14及び下地材21の組み合わせパターン数に応じて設定するとよい。例えば、下地材21の上面から床フレーム14までの距離が3パターン存在する場合には、第1駆動制御態様→第2駆動制御態様の切り替えを3度繰り返す構成とするとよい。
【0105】
(9)上記実施の形態では、穴あけ装置52の駆動制御の態様が第1駆動制御態様から第2駆動制御態様に切り替わる場合に、一旦ドリル63を送り方向とは反対方向(上方)に逆戻りさせて、切粉を排出する(掃出し動作を行う)構成としたが、これに限定されるものではない。このような掃出し動作を省略してもよい。
【0106】
また、第2駆動制御態様から第1駆動制御態様に切り替わる場合に掃出し動作を行う構成としてもよい。但し、加工条件の厳しさや切粉の発生具合に配慮して品質の担保及び製造効率の向上を実現する上では、上記実施の形態に示した床フレーム14と下地材21との組み合わせにおいては、第1駆動制御態様から第2駆動制御態様への切り替え時に掃出し動作を行う構成とすることが好ましい。
【0107】
(10)上記実施の形態では、第1駆動制御態様から第2駆動制御態様への切替タイミングを制御装置54に予め記憶させておく構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、ドリル63に加わる負荷に応じて加工対象の変化を判別し、その判別結果に応じて駆動制御の態様を切り替える構成としてもよい。
【0108】
(11)上記実施の形態では、穴あけ装置52のドリル63の列数(2列)をビス締め装置53のビット73の列数(1列)よりも多く設定したが、ドリル63の列数及びビット73の列数については任意に変更してもよい。但し、ビス23の取り付けに要する期間が、下穴25の形成に要する期間よりも長くなる点に配慮した場合には、ドリル63の列数をビット73の列数よりも多くして同時に複数列の下穴25を形成可能な構成とすることが好ましい。