【文献】
位相シフト・フルブリッジ,[online],日本テキサス・インスツルメンツ株式会社,2013年 4月16日,P.4-P.16,[retrieved on 2018.09.06], Retrieved from the Internet,URL,http://www.tij.co.jp/jp/lit/ug/jaju166/jaju166.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態による電源装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による電源装置1の一例を示すブロック図である。
【0015】
この図に示すように、電源装置1は、DC/DCコンバータ10を備えている。また、DC/DCコンバータ10は、電圧検出部12と、制御部13と、フルブリッジ回路20と、ドライバ部40と、平滑コンデンサ(Ci、Co)と、トランスTL1と、共振コンデンサC5と、直列リアクトルL1と、ダイオード(D5、D6)と、同期整流回路30と、チョークコイルL2とを備えている。
【0016】
平滑コンデンサCiは、入力の電源線VI(第1の電源線)と、電源線GND1(第2の電源線)との間に接続され、入力電圧を平滑化する。
フルブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1〜Q4と、寄生容量C1〜C4と、ボディダイオードD1〜D4とを備えている。すなわち、フルブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4を有し、当該4つのスイッチング素子Q1〜Q4をブリッジ接続して構成されている。具体的に、フルブリッジ回路20は、例えば、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とを直列接続し、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とを直列接続し、当該4つのスイッチング素子Q1〜Q4をブリッジ接続して構成されている。
【0017】
スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が電源線VIに、ソース端子がノードN1に、ゲート端子が駆動信号G1の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q1は、電源線VIと、共振コンデンサC5を介して後述する一次側コイルTL11の第1端との間に接続されている。また、スイッチング素子Q1は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C1及びボディダイオードD1を有している。
【0018】
スイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子がノードN1に、ソース端子が電源線GND1に、ゲート端子が駆動信号G2の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q2は、電源線GND1と、後述する一次側コイルTL11の第1端との間に接続されている。また、スイッチング素子Q2は、共振コンデンサC5を介して、後述する一次側コイルTL11の第1端との間に接続されている。また、スイッチング素子Q2は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C2及びボディダイオードD2を有している。
【0019】
スイッチング素子Q3(第3のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が電源線VIに、ソース端子がノードN2に、ゲート端子が駆動信号G3の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q3は、電源線VIと、直列リアクトルL1を介して後述する一次側コイルTL11の第2端(ノードN3)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q3は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C3及びボディダイオードD3を有している。
【0020】
スイッチング素子Q4(第4のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子がノードN2に、ソース端子が電源線GND1に、ゲート端子が駆動信号G4の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q4は、電源線GND1と、直列リアクトルL1を介して後述する一次側コイルTL11の第2端(ノードN3)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q4は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C4及びボディダイオードD4を有している。
なお、駆動信号G1〜G4は、スイッチング素子Q1〜Q4を制御する制御信号である。
【0021】
トランスTL1は、一次側コイルTL11と、センタタップ付きの二次側コイル(TL12、TL13)とを有し、一次側コイルTL11に供給された電力を変換して二次側コイル(TL12、TL13)に出力する。トランスTL1は、例えば、フルブリッジ回路20が直接的又は間接的に接続される一次側コイルTL11と、一次側コイルTL11と絶縁された二次側コイル(TL12、TL13)とを有している。
【0022】
一次側コイルTL11は、フルブリッジ回路20に接続される。一次側コイルTL11は、例えば、第1端が、共振コンデンサC5を介してスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2に接続されている。すなわち、一次側コイルTL11の第1端は、共振コンデンサC5を介してノードN1に接続されている。また、一次側コイルTL11の第2端が、ノードN3に接続され、直列リアクトルL1を介してスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4に接続されている。すなわち、一次側コイルTL11の第2端は、直列リアクトルL1を介してノードN2に接続されている。
【0023】
なお、本実施形態では、一例として、一次側コイルTL11は、共振コンデンサC5を介して間接的にフルブリッジ回路20に接続される例を説明するが、共振コンデンサC5を介さずに、直接的にフルブリッジ回路20に接続されるようにしてもよい。
直列リアクトルL1は、一次側コイルTL11と直列に接続され、寄生容量C1〜C4、及び配線容量との共振により、スイッチング素子Q1〜Q4のZVS(Zero Voltage Switching)動作を実現する。
【0024】
二次側コイル(TL12、TL13)は、一次側コイルTL11と絶縁されており、二次側コイルTL13の第1端がノードN4に、第2端が二次側コイルTL12の第1端にそれぞれ接続され、二次側コイルTL12の第2端がノードN5に接続されている。また、二次側コイル(TL12、TL13)は、センタタップ(二次側コイルTL13の第2端及び二次側コイルTL12の第1端)を有し、センタタップがノードN6に接続されている。なお、センタタップは、チョークコイルL2に接続されている。また、二次側コイル(TL12、TL13)は、後述する同期整流回路30に接続されている。
【0025】
ダイオードD5は、アノード端子が一次側コイルTL11の第1端であるノードN3に接続され、カソード端子が電源線VIに接続されている。ダイオードD5は、クランプダイオードとして機能する。
ダイオードD6は、アノード端子が電源線GND1に接続され、カソード端子が一次側コイルTL11の第1端であるノードN3に接続されている。ダイオードD5は、クランプダイオードとして機能する。
【0026】
同期整流回路30は、スイッチング素子(Q5、Q6)と、寄生容量(C6、C7)と、ボディダイオード(D7、D8)とを備えている。すなわち、同期整流回路30は、スイッチング素子Q5と、スイッチング素子Q6とを有し、当該2つのスイッチング素子(Q5、Q6)が二次側コイル(TL12、TL13)に接続されて構成されている。
【0027】
スイッチング素子Q5(第5のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が二次側コイルTL13の第1端であるノードN4に、ソース端子が出力の電源線GND2に、ゲート端子が駆動信号G5の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q5は、電源線GND2と、二次側コイルTL13の第1端(ノードN4)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q5は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C6及びボディダイオードD7を有している。
【0028】
スイッチング素子Q6(第6のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が二次側コイルTL12の第2端であるノードN5に、ソース端子が出力の電源線GND2に、ゲート端子が駆動信号G6の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q6は、電源線GND2と、二次側コイルTL12の第2端(ノードN5)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q6は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C7及びボディダイオードD8を有している。
なお、駆動信号G5は、スイッチング素子Q5を制御する制御信号であり、駆動信号G6は、スイッチング素子Q6を制御する制御信号である。
【0029】
チョークコイルL2は、二次側コイル(TL12、TL13)のセンタタップに接続されたノードN6に第1端が接続され、第2端が出力の電源線VOに接続されている。チョークコイルL2は、後述する平滑コンデンサCoとともに、DC/DCコンバータ10が出力する直流電力の平滑化に利用される。
【0030】
平滑コンデンサCoは、出力の電源線VOと、電源線GND2との間に接続され、出力電圧を平滑化する。
ここで、負荷RLは、DC/DCコンバータ10が出力する直流電力を消費する負荷を示している。
電圧検出部12は、DC/DCコンバータ10の出力電圧を、基準電圧Vrefと比較するためにレベル変換して、信号Voを制御部13に出力する。
【0031】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などを含むプロセッサであり、フルブリッジ回路20と、同期整流回路30とが有するスイッチング素子Q1〜Q6のオン・オフを制御する。すなわち、制御部13は、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4と、同期整流回路30が有するスイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6とをON(オン)状態(導通状態)及びOFF(オフ)状態(非導通状態)を制御する。
【0032】
また、制御部13は、例えば、一次側コイルTL11の第1端に接続されるスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定のデューティ(所定の固定のデューティ)により制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をPWM(パルス幅変調)により制御する。制御部13は、基準電圧Vrefと、電圧検出部12が出力するフィードバック電圧信号である信号Voとに基づいて、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4のON状態のパルス幅を変更する。
また、制御部13は、例えば、スイッチング素子Q3又はスイッチング素子Q4がOFFする直前の少なくとも所定の期間(例えば、後述する期間Δt)、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6をON状態にする制御を行う。ここで、制御部13は、少なくとも軽負荷時に、所定の期間(期間Δt)、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6をON状態にする。
【0033】
具体的に、制御部13は、スイッチング素子Q5のOFF状態(オフ状態)の期間が、スイッチング素子Q4がON状態(オン状態)である期間のうちの一部期間を含むように、スイッチング素子Q5をOFF状態にする(オフさせる)とともに、スイッチング素子Q4がOFFする所定の期間(期間Δt)前に、スイッチング素子Q5をON状態にする(オンさせる)。また、制御部13は、スイッチング素子Q6のOFF状態の期間が、スイッチング素子Q3がON状態である期間のうちの一部期間を含むように、スイッチング素子Q6をOFF状態にする(オフさせる)とともに、スイッチング素子Q3がOFFする所定の期間(期間Δt)前に、スイッチング素子Q6をON状態にする(オンさせる)。
【0034】
このように、制御部13は、スイッチング素子Q3又はスイッチング素子Q4をOFFする直前の所定の期間、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6の両方をON状態にして、二次側コイル(TL12、TL13)の両端(ノードN4及びノードN5)を短絡させる。制御部13は、二次側コイル(TL12、TL13)の両端(ノードN4及びノードN5)を短絡させることで、一次側コイルTL11に流れる回生電流を一時的に増大させる。ここで、所定の期間(期間Δt)は、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子Q1〜Q4の寄生容量C1〜C4に充電された電荷を引き抜ける電流が発生するように定められている。
【0035】
ドライバ部40は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q4、スイッチング素子Q5、及びスイッチング素子Q6の制御用の信号を、各スイッチング素子の駆動用の電圧に変換して、各スイッチング素子のゲート端子に供給する。すなわち、ドライバ部40は、制御部13が生成した制御用の信号に基づいて、駆動信号G1〜G6を出力する。なお、制御部13及びドライバ部40により生成する駆動信号G1〜G6の詳細については、
図2を参照して後述する。
また、ドライバ部40は、例えば、ドライバ41〜46を備えている。なお、本実施形態のDC/DCコンバータ10は、トランスTL1で絶縁しているため、制御部13又はドライバ部40で絶縁する必要がある。
【0036】
ドライバ41は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q1の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q1を駆動する駆動信号G1をスイッチング素子Q1のゲート信号に供給する。
ドライバ42は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q2の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号G2をスイッチング素子Q2のゲート信号に供給する。
ドライバ43は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q3の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q3を駆動する駆動信号G3をスイッチング素子Q3のゲート信号に供給する。
【0037】
ドライバ44は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q4の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q4を駆動する駆動信号G4をスイッチング素子Q4のゲート信号に供給する。
ドライバ45は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q5の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q5を駆動する駆動信号G5をスイッチング素子Q5のゲート信号に供給する。
ドライバ46は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q6の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q6を駆動する駆動信号G6をスイッチング素子Q6のゲート信号に供給する。
【0038】
ここで、
図2を参照して、本実施形態によるDC/DCコンバータ10の制御(駆動信号G1〜G6)について説明する。
図2は、本実施形態によるDC/DCコンバータ10の制御の一例を示すタイムチャートである。
この図において、波形W1〜W6の各波形は、上から順に、駆動信号G1〜G6の電圧波形を示している。また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は論理レベルを示している。
【0039】
時刻T1において、制御部13は、まず、スイッチング素子Q1の駆動信号G1、及びスイッチング素子Q4の駆動信号G4をH(High:ハイ)状態にし、スイッチング素子Q5の駆動信号G5をL(Low:ロウ)状態にする。なお、時刻T1において、制御部13は、スイッチング素子Q2の駆動信号G2、及びスイッチング素子Q3の駆動信号G3を予めL状態にしており、スイッチング素子Q6の駆動信号G6を予めH状態にしている。
【0040】
これにより、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q4、及びスイッチング素子Q6がON状態になり、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q5がOFF状態になる。その結果、電源線VIからスイッチング素子Q1、共振コンデンサC5、一次側コイルTL11、直列リアクトルL1、及びスイッチング素子Q4の経路により電流が流れる。これにより、一次側コイルTL11から二次側コイルTL12に電力が発生する。また、二次側コイルTL12に接続されている同期整流回路30では、スイッチング素子Q6を介してこの電力を整流し、チョークコイルL2及び平滑コンデンサCoを介して、平滑化された直流電圧を電源線VOに出力する。
また、制御部13は、電圧検出部12が検出した出力信号Voと、基準電圧Vrefとが一致するように、駆動信号G4のパルス幅(H状態の期間DT2)を決定し、スイッチング素子Q4のON状態を維持する。また、制御部13は、スイッチング素子Q1のON状態の期間(ターンオン期間)が所定のデューティ(所定の固定のデューティ)になるようにスイッチング素子Q1のON状態を維持する。
【0041】
次に、時刻T2において、制御部13は、駆動信号G5をH状態にして、スイッチング素子Q5をON状態にする。ここで、制御部13は、駆動信号G4をL状態にする直前の期間Δt前に、駆動信号G5をH状態する。この期間Δtの間、スイッチング素子Q5と、スイッチング素子Q6との両方が、ON状態となり、二次側コイル(TL12、TL13)の両端(ノードN4及びノードN5)を短絡させる。その結果、一次側コイルTL11に流れる回生電流が一時的に増大する。
【0042】
次に、時刻T3において、制御部13は、駆動信号G4をL状態にして、スイッチング素子Q4をOFF状態にする。このスイッチング素子Q4のON状態の期間DT2は、出力信号Vo及び負荷RLの消費電流により変化する。すなわち、制御部13は、PWM(パルス幅変調)により、スイッチング素子Q4のON状態の期間DT2を制御する。
【0043】
また、時刻T4において、スイッチング素子Q1のON状態の期間が所定のデューティに達し、制御部13は、駆動信号G1をL状態にして、スイッチング素子Q1をOFF状態にする。ここで、所定のデューティとは、例えば、期間TT1におけるON状態の期間DT1の割合(例えば、40%など)であり、予め定められた1周期(期間TT1)当たりの導通時間(期間DT1)の比率(DT1/TT1×100)を示す時比率である。
【0044】
次に、時刻T5において、制御部13は、まず、スイッチング素子Q2の駆動信号G2、及びスイッチング素子Q3の駆動信号G3をH状態にし、スイッチング素子Q6の駆動信号G6をL状態にする。
これにより、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q5がON状態になり、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q4、及びスイッチング素子Q6がOFF状態になる。その結果、電源線VIからスイッチング素子Q3、直列リアクトルL1、一次側コイルTL11、共振コンデンサC5、及びスイッチング素子Q2の経路により電流が流れる。これにより、一次側コイルTL11から二次側コイルTL12に電力が発生する。また、二次側コイルTL13に接続されている同期整流回路30では、スイッチング素子Q5を介してこの電力を整流し、チョークコイルL2及び平滑コンデンサCoを介して、平滑化された直流電圧を電源線VOに出力する。
【0045】
また、制御部13は、電圧検出部12が検出した出力信号Voと、基準電圧Vrefとが一致するように、駆動信号G3のパルス幅(H状態の期間DT4)を決定し、スイッチング素子Q3のON状態を維持する。また、制御部13は、スイッチング素子Q2のON状態の期間(ターンオン期間)が所定のデューティ(所定の固定のデューティ)になるようにスイッチング素子Q2のON状態を維持する。
【0046】
次に、時刻T6において、制御部13は、駆動信号G6をH状態にして、スイッチング素子Q6をON状態にする。ここで、制御部13は、駆動信号G3をL状態にする直前の期間Δt前に、駆動信号G6をH状態する。この期間Δtの間、スイッチング素子Q5と、スイッチング素子Q6との両方が、ON状態となり、二次側コイル(TL12、TL13)の両端(ノードN4及びノードN5)を短絡させる。その結果、一次側コイルTL11に流れる回生電流が一時的に増大する。
【0047】
次に、時刻T7において、制御部13は、駆動信号G3をL状態にして、スイッチング素子Q3をOFF状態にする。このスイッチング素子Q3のON状態の期間DT4は、出力信号Vo及び負荷RLの消費電流により変化する。すなわち、制御部13は、PWM(パルス幅変調)により、スイッチング素子Q3のON状態の期間DT2を制御する。
また、時刻T8において、スイッチング素子Q2のON状態の期間が所定のデューティに達し、制御部13は、駆動信号G2をL状態にして、スイッチング素子Q2をOFF状態にする。
【0048】
続く、時刻T9〜時刻T17までの処理は、上述した時刻T1〜時刻T9までの処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0049】
次に、図面を参照して、本実施形態による制御部13の構成及び動作について説明する。
図3は、本実施形態による制御部13の一例を示すブロック図である。
なお、本実施形態では、制御部13が、遅延調整部50を備え、遅延調整部50により、駆動信号G1〜G6の信号遅延を調整する一例を説明する。
【0050】
図3に示すように、制御部13は、制御信号生成部130と、インバータ回路(131、132)と、遅延調整部50とを備えている。
制御信号生成部130は、駆動信号G1〜G6を制御するための各種制御信号を生成する。制御信号生成部130は、例えば、内部で基準となる所定の周波数のキャリア信号を生成し、当該キャリア信号に基づいて、各種制御信号S1〜S4を生成する。
【0051】
制御信号生成部130は、例えば、駆動信号G1を生成するための信号S1、及び駆動信号G2を生成するための信号S2を生成する。ここで、信号S1、及び信号S2は、所定のデューティの信号である。
また、制御信号生成部130は、例えば、駆動信号G3及び駆動信号G6を生成するための信号S3と、駆動信号G4及び駆動信号G5を生成するための信号S4を生成する。なお、信号S3、及び信号S4は、PWMによりパルス幅が制御された信号である。制御信号生成部130は、例えば、基準電圧Vrefと、フィードバック電圧信号である信号Voとに基づいて、PWMのパルス幅を変更した信号S3、及び信号S4を生成する。制御信号生成部130は、例えば、PID(Proportional-Integral-Derivative)制御に基づいて、信号S3、及び信号S4のパルス幅を変更する。ここで、制御信号生成部130は、負荷RLが重い(大きい)場合に、信号S3、及び信号S4のパルス幅を長くし、負荷RLが軽い(小さい)場合(軽負荷時)に、信号S3、及び信号S4のパルス幅を短くする。
【0052】
インバータ回路131は、例えば、論理反転回路であり、信号S4を入力信号として、信号S4を論理反転した信号S5をドライバ45に出力する。ドライバ45は、信号S5に基づいて、駆動信号G5を出力する。
インバータ回路132は、例えば、論理反転回路であり、信号S3を入力信号として、信号S3を論理反転した信号S6をドライバ46に出力する。ドライバ46は、信号S6に基づいて、駆動信号G6を出力する。
【0053】
遅延調整部50は、スイッチング素子Q5がONするタイミングより期間Δt遅れてスイッチング素子Q4がOFFするように、スイッチング素子Q4の駆動信号G4を遅延させる。すなわち、遅延調整部50は、信号S4を期間Δtだけ遅延させた信号S42を生成し、当該信号S42をドライバ44に出力する。ドライバ44は、信号S42に基づいて、駆動信号G4を出力する。
また、遅延調整部50は、スイッチング素子Q6がONするタイミングより期間Δt遅れてスイッチング素子Q3がOFFするように、スイッチング素子Q3の駆動信号G3を遅延させる。すなわち、遅延調整部50は、信号S3を期間Δtだけ遅延させた信号S32を生成し、当該信号S32をドライバ43に出力する。ドライバ43は、信号S32に基づいて、駆動信号G3を出力する。
【0054】
また、遅延調整部50は、スイッチング素子Q1がONするタイミングを駆動信号G4と同様に期間Δt遅れるように、駆動信号G1を遅延させる。すなわち、遅延調整部50は、信号S1を期間Δtだけ遅延させた信号S12を生成し、当該信号S12をドライバ41に出力する。ドライバ41は、信号S12に基づいて、駆動信号G1を出力する。
また、遅延調整部50は、スイッチング素子Q2がONするタイミングを駆動信号G3と同様に期間Δt遅れるように、駆動信号G2を遅延させる。すなわち、遅延調整部50は、信号S2を期間Δtだけ遅延させた信号S22を生成し、当該信号S22をドライバ42に出力する。ドライバ42は、信号S22に基づいて、駆動信号G2を出力する。
【0055】
また、遅延調整部50は、バッファ回路(511、514、521、524、531、534、541、544)と、抵抗(512、522、532、542)と、コンデンサ(513、523、533、543)とを備えている。
【0056】
バッファ回路511は、入力端子が信号S1の信号線に、出力端子が抵抗512の第1端にそれぞれ接続され、入力されたS1と同相の信号を出力する。
抵抗512は、第1端がバッファ回路511の出力端子に、第2端がノードN7にそれぞれ接続されている。また、コンデンサ513は、第1端がノードN7に、第2端が電源線GND1にそれぞれ接続されている。なお、抵抗512及びコンデンサ513は、RC回路を構成している。
バッファ回路514は、入力端子がノードN7に、出力端子がドライバ41の入力端子にそれぞれ接続され、信号S12を出力する。
このように、バッファ回路(511、514)と、抵抗512と、コンデンサ513とは、信号S1を期間Δt遅延させた信号S12を出力する遅延回路を構成している。ここで、遅延値である期間Δtは、抵抗512と抵抗値と、コンデンサ513の静電容量値との時定数により定められている。
【0057】
バッファ回路521は、入力端子が信号S2の信号線に、出力端子が抵抗522の第1端にそれぞれ接続され、入力されたS2と同相の信号を出力する。
抵抗522は、第1端がバッファ回路521の出力端子に、第2端がノードN8にそれぞれ接続されている。また、コンデンサ523は、第1端がノードN8に、第2端が電源線GND1にそれぞれ接続されている。なお、抵抗522及びコンデンサ523は、RC回路を構成している。
バッファ回路524は、入力端子がノードN8に、出力端子がドライバ42の入力端子にそれぞれ接続され、信号S22を出力する。
このように、バッファ回路(521、524)と、抵抗522と、コンデンサ523とは、信号S2を期間Δt遅延させた信号S22を出力する遅延回路を構成している。
【0058】
バッファ回路531は、入力端子が信号S3の信号線に、出力端子が抵抗532の第1端にそれぞれ接続され、入力されたS3と同相の信号を出力する。
抵抗532は、第1端がバッファ回路531の出力端子に、第2端がノードN9にそれぞれ接続されている。また、コンデンサ533は、第1端がノードN9に、第2端が電源線GND1にそれぞれ接続されている。なお、抵抗532及びコンデンサ533は、RC回路を構成している。
バッファ回路534は、入力端子がノードN9に、出力端子がドライバ43の入力端子にそれぞれ接続され、信号S32を出力する。
このように、バッファ回路(531、534)と、抵抗532と、コンデンサ533とは、信号S3を期間Δt遅延させた信号S32を出力する遅延回路を構成している。
【0059】
バッファ回路541は、入力端子が信号S4の信号線に、出力端子が抵抗542の第1端にそれぞれ接続され、入力されたS4と同相の信号を出力する。
抵抗542は、第1端がバッファ回路541の出力端子に、第2端がノードN10にそれぞれ接続されている。また、コンデンサ543は、第1端がノードN10に、第2端が電源線GND1にそれぞれ接続されている。なお、抵抗542及びコンデンサ543は、RC回路を構成している。
バッファ回路544は、入力端子がノードN10に、出力端子がドライバ44の入力端子にそれぞれ接続され、信号S42を出力する。
このように、バッファ回路(541、544)と、抵抗542と、コンデンサ543とは、信号S4を期間Δt遅延させた信号S42を出力する遅延回路を構成している。
【0060】
次に、
図4を参照して、上述した制御部13の動作について説明する。
図4は、
図3に示す制御部13による制御の一例を示すタイムチャートである。
この図において、波形W11〜W22の各信号は、上から順に、信号S1〜S6、駆動信号G1〜G6を示している。なお、駆動信号G1〜G4のそれぞれの波形は、上から順に、信号S12、信号S22、信号S32、信号S42と同様の波形となる。
また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は、論理レベルを示している。
【0061】
まず、初期状態において、制御部13の制御信号生成部130は、信号S1〜S4をL状態にしており、ドライバ部40は、駆動信号G1〜G4をL状態、駆動信号G5及び駆動信号G6をH状態にしているものとする。
【0062】
次に、時刻T21において、制御信号生成部130が、信号S1及び信号S4をH状態にする(波形W11及び波形W14参照)。また、インバータ回路131が、信号S4に基づいて、信号S5をL状態にする(波形W15参照)。その結果、ドライバ45は、信号S5に基づいて、駆動信号G5をL状態にする。
【0063】
次に、時刻T22において、遅延調整部50が、信号S1及び信号S4に基づいて、期間Δt遅延した信号S12及び信号S42をH状態にする(波形W17及び波形W20参照)。ここで、バッファ回路(511、514)、抵抗512、及びコンデンサ513は、信号S1を期間Δt遅延させて、信号S12をH状態にする。また、バッファ回路(541、544)、抵抗542、及びコンデンサ543は、信号S4を期間Δt遅延させて、信号S42をH状態にする。その結果、ドライバ41は、信号S12に基づいて、駆動信号G1をH状態にし、ドライバ44は、信号S42に基づいて、駆動信号G4をH状態にする。
【0064】
次に、時刻T23において、制御信号生成部130が、PWMにより信号S4をL状態にする(波形W14参照)。これにより、インバータ回路131が、信号S4に基づいて、信号S5をH状態にする(波形W15参照)。その結果、ドライバ45は、信号S5に基づいて、駆動信号G5をH状態にする。
【0065】
次に、時刻T24において、遅延調整部50が、信号S4に基づいて、期間Δt遅延した信号S42をL状態にする(波形W20参照)。ここで、バッファ回路(541、544)、抵抗542、及びコンデンサ543は、信号S4を期間Δt遅延させて、信号S42をL状態にする。その結果、ドライバ44は、信号S42に基づいて、駆動信号G4をL状態にする。
このように、制御部13は、駆動信号G4をL状態にする(スイッチング素子Q4をOFFする)前の期間Δtの間、駆動信号G5及び駆動信号G6がH状態にする。その結果、時刻T23から時刻T24の期間Δtの間、スイッチング素子Q4、スイッチング素子Q5、及びスイッチング素子Q6が、すべてON状態になる。
【0066】
次に、時刻T25において、制御信号生成部130が、固定のデューティにより信号S1をL状態にする(波形W11参照)。
次に、時刻T26において、遅延調整部50が、信号S1に基づいて、期間Δt遅延した信号S12をL状態にする(波形W17参照)。ここで、バッファ回路(511、514)、抵抗512、及びコンデンサ513は、信号S1を期間Δt遅延させて、信号S12をL状態にする。その結果、ドライバ41は、信号S12に基づいて、駆動信号G1をL状態にする。
【0067】
次に、時刻T27において、制御信号生成部130が、信号S2及び信号S3をH状態にする(波形W12及び波形W13参照)。また、インバータ回路132が、信号S3に基づいて、信号S6をL状態にする(波形W16参照)。その結果、ドライバ46は、信号S6に基づいて、駆動信号G6をL状態にする。
【0068】
次に、時刻T28において、遅延調整部50が、信号S2及び信号S3に基づいて、期間Δt遅延した信号S22及び信号S32をH状態にする(波形W18及び波形W19参照)。ここで、バッファ回路(521、524)、抵抗522、及びコンデンサ523は、信号S2を期間Δt遅延させて、信号S22をH状態にする。また、バッファ回路(531、534)、抵抗532、及びコンデンサ533は、信号S3を期間Δt遅延させて、信号S32をH状態にする。その結果、ドライバ42は、信号S22に基づいて、駆動信号G2をH状態にし、ドライバ43は、信号S43に基づいて、駆動信号G3をH状態にする。
【0069】
次に、時刻T29において、制御信号生成部130が、PWMにより信号S3をL状態にする(波形W13参照)。これにより、インバータ回路132が、信号S3に基づいて、信号S6をH状態にする(波形W16参照)。その結果、ドライバ46は、信号S6に基づいて、駆動信号G6をH状態にする。
【0070】
次に、時刻T30において、遅延調整部50が、信号S3に基づいて、期間Δt遅延した信号S32をL状態にする(波形W19参照)。ここで、バッファ回路(531、534)、抵抗532、及びコンデンサ533は、信号S3を期間Δt遅延させて、信号S32をL状態にする。その結果、ドライバ43は、信号S32に基づいて、駆動信号G3をL状態にする。
このように、制御部13は、駆動信号G3をL状態にする(スイッチング素子Q3をOFFする)前の期間Δtの間、駆動信号G5及び駆動信号G6がH状態にする。その結果、時刻T29から時刻T30の期間Δtの間、スイッチング素子Q3、スイッチング素子Q5、及びスイッチング素子Q6が、すべてON状態になる。
【0071】
次に、時刻T31において、制御信号生成部130が、固定のデューティにより信号S2をL状態にする(波形W12参照)。
次に、時刻T32において、遅延調整部50が、信号S2に基づいて、期間Δt遅延した信号S22をL状態にする(波形W18参照)。ここで、バッファ回路(521、524)、抵抗522、及びコンデンサ523は、信号S2を期間Δt遅延させて、信号S22をL状態にする。その結果、ドライバ42は、信号S22に基づいて、駆動信号G2をL状態にする。
【0072】
このように、制御部13は、RC回路を含む遅延調整部50を備え、遅延調整部50により遅延信号を生成することにより、
図4に示すような駆動信号G1〜G6を生成する。
【0073】
次に、
図5及び
図6を参照して、本実施形態による電源装置1の軽負荷時の動作について説明する。
ここではまず、比較のために、従来の電源装置の軽負荷時の動作について、
図5を参照して説明する。
【0074】
図5は、従来の電源装置の軽負荷時の動作を示すタイムチャートである。
この図において、波形W31〜W38の各信号は、上から順に、駆動信号G1〜G6、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間の電圧Vds、及びスイッチング素子Q2のドレイン−ソース間の電流Idsを示している。なお、電圧Vdsの波形W37、及び電流Idsの波形W38は、シミュレーション波形である。
また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は、駆動信号G1〜G6が論理レベルを示し、電圧Vdsが電圧を示し、電流Idsが電流を示している。また、初期状態において、駆動信号G1、駆動信号G4及び駆動信号G6がH状態であり、駆動信号G2〜G4がL状態である。
【0075】
図5に示すように、従来の電源装置では、時刻T41において、駆動信号G1がL状態にされ、時刻T42において、駆動信号G2及び駆動信号G3がH状態にされるとともに、駆動信号G6がL状態にされる。また、時刻T43において、駆動信号G3がPWMによりL状態にされ、時刻T44において、駆動信号G6がH状態にされる。そして、時刻T45において、駆動信号G2がL状態にされ、時刻T46において、駆動信号G1及び駆動信号G4がH状態にされるとともに、駆動信号G5がL状態にされる。
【0076】
このような制御が行われる従来の電源装置では、軽負荷時に、時刻T41から時刻T42、及び時刻T45から時刻T46に示の波形W37に示すように、ZVS動作がされずにスイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q3(スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q4)がON状態にされる。そのため、時刻T42及び時刻T46において、波形W38に示すように、過大な電流である貫通電流がスイッチング素子Q2に流れる。これは、軽負荷時のため、例えば、スイッチング素子Q2に流れる電流I1が少ないため、スイッチング素子Q1〜Q4の寄生容量C1〜C4に充電された電荷を引き抜けずに、ZVS動作がされないことが主な原因である。なお、スイッチング素子Q1〜Q4が、例えば、スーパージャンクション構造のFET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)の場合、電圧Vdsが低い程、寄生容量が大きくなる傾向にあり、軽負荷時に、貫通電流が流れる問題が顕著に現れる。
【0077】
これに対して、本実施形態による電源装置1では、
図6に示すように、貫通電流が発生しない。
図6は、本実施形態による電源装置1の軽負荷時の動作の一例を示すタイムチャートである。
この図において、波形W41〜W48の各信号は、上から順に、駆動信号G1〜G6、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間の電圧Vds、及びスイッチング素子Q2のドレイン−ソース間の電流Idsを示している。なお、電圧Vdsの波形W47、及び電流Idsの波形W48は、シミュレーション波形である。
また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は、駆動信号G1〜G6が論理レベルを示し、電圧Vdsが電圧を示し、電流Idsが電流を示している。また、初期状態において、駆動信号G1、駆動信号G4及び駆動信号G6がH状態であり、駆動信号G2〜G4がL状態である。
【0078】
図6に示すように、本実施形態による電源装置1は、時刻T51において、駆動信号G1をL状態にし、時刻T52において、駆動信号G2及び駆動信号G3をH状態にするとともに、駆動信号G6をL状態にする。また、時刻T53において、電源装置1は、駆動信号G6をH状態にし、時刻T54において、駆動信号G3をPWMによりL状態にする。
【0079】
ここで、時刻T53から時刻T54の期間Δt、電源装置1は、駆動信号G5及び駆動信号G6がH状態にして、二次側コイル(TL12、TL13)の両端(ノードN4及びノードN5)を短絡させる。これにより回生電流が増大し、波形W48に示すように、スイッチング素子Q2の電流Idsに、電流I2が流れる。この電流I2は、
図5に示す従来の電源装置の場合の電流I1よりも大きい。また、期間Δtは、この電流I2により、スイッチング素子Q1〜Q4の寄生容量C1〜C4に充電された電荷を引き抜けるように定めされている。
【0080】
また、時刻T55において、電源装置1は、駆動信号G2をL状態にし、時刻T56において、駆動信号G1及び駆動信号G4をH状態にするとともに、駆動信号G5をL状態にする。ここでは、スイッチング素子Q1〜Q4の寄生容量C1〜C4に充電された電荷が引き抜かれて、ZVS動作が可能になるので、電源装置1では、時刻T56において、貫通電流がスイッチング素子Q2に流れない。また、時刻T52においても、同様に、ZVS動作が可能になるので、電源装置1では、貫通電流がスイッチング素子Q2に流れない。
【0081】
なお、
図6に示す動作は、他のスイッチング素子(Q1、Q3、Q4)についても同様であり、このように、電源装置1は、軽負荷時に、スイッチング素子Q1〜Q4に過大な電流(貫通電流)が流れることを防止することができる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1は、DC/DCコンバータ10を備え、当該DC/DCコンバータ10は、フルブリッジ回路20と、トランスTL1と、同期整流回路30と、フルブリッジ回路20と、同期整流回路30とが有するスイッチング素子Q1〜Q6のオン・オフを制御する制御部13とを備えている。フルブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子)とスイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子)とを直列接続し、スイッチング素子Q3(第3のスイッチング素子)とスイッチング素子Q4(第4のスイッチング素子)とを直列接続し、当該4つのスイッチング素子をブリッジ接続した構成である。トランスTL1は、フルブリッジ回路20が直接的又は間接的に接続される一次側コイルTL11と、一次側コイルTL11と絶縁された二次側コイル(TL12、TL13)とを有する。同期整流回路30は、スイッチング素子Q5(第5のスイッチング素子)と、スイッチング素子Q6(第6のスイッチング素子)とを有し、当該2つのスイッチング素子が二次側コイル(TL12、TL13)に接続された構成である。そして、制御部13は、一次側コイルTL11の第1端に接続されるスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティにより制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をパルス幅変調により制御する。また、制御部13は、スイッチング素子Q3又はスイッチング素子Q4がOFF(オフ)する直前の少なくとも所定の期間(例えば、期間Δt)、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6をON状態(オン状態)にする。
【0083】
これにより、本実施形態による電源装置1は、上記の所定の期間、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6の両方をON状態にすることで、二次側コイル(TL12、TL13)の両端(ノードN4及びノードN5)を短絡させることで、一次側コイルTL11に流れる回生電流を一時的に増大させる。そのため、本実施形態による電源装置1は、軽負荷時においても一次側のスイッチング素子Q1〜Q4の寄生容量C1〜C4に充電された電荷を放電することができ、ZVS動作が可能になる。よって、本実施形態による電源装置1は、軽負荷時において、スイッチング素子Q1〜Q4に過大な電流(貫通電流)が流れることを防止することができる。
【0084】
また、本実施形態では、制御部13は、スイッチング素子Q5のOFF状態の期間(例えば、
図2の時刻T1から時刻T2の期間)が、スイッチング素子Q4がON状態である期間(例えば、
図2の期間DT2)のうちの一部期間を含むように、スイッチング素子Q5をOFFさせるとともに、スイッチング素子Q4がOFFする所定の期間(期間Δt)前に、スイッチング素子Q5をONさせる。すなわち、制御部13は、スイッチング素子Q5をONさせた後の所定の期間(期間Δt)後に、スイッチング素子Q4がOFFさせる。また、制御部13は、スイッチング素子Q6のOFF状態の期間(例えば、
図2の時刻T5から時刻T6の期間)が、スイッチング素子Q3がON状態である期間(例えば、
図2の期間DT4)のうちの一部期間を含むように、スイッチング素子Q6をOFFさせるとともに、スイッチング素子Q3がOFFする所定の期間(期間Δt)前に、スイッチング素子Q6をONさせる。すなわち、制御部13は、スイッチング素子Q6をONさせた後の所定の期間(期間Δt)後に、スイッチング素子Q3がOFFさせる。
これにより、本実施形態による電源装置1は、簡易な手法により、所定の期間(期間Δt)、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6の両方をON状態にすることができる。
【0085】
また、本実施形態では、制御部13は、少なくとも軽負荷時に、所定の期間(期間Δt)、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6をオン状態にする。
これにより、本実施形態による電源装置1は、軽負荷時において、確実にZVS動作が可能になり、軽負荷時において、スイッチング素子Q1〜Q4に過大な電流(貫通電流)が流れることを防止することができる。
なお、本実施形態では、制御部13は、軽負荷時と、軽負荷時よりも負荷が大きい通常負荷時とで、同一の制御を行っている。すなわち、本実施形態による電源装置1は、軽負荷時と通常負荷時とで制御を変更することなしに、軽負荷時において、スイッチング素子Q1〜Q4に過大な電流(貫通電流)が流れることを防止することができる。
【0086】
また、本実施形態では、制御部13は、遅延調整部50を備えている。遅延調整部50は、スイッチング素子Q5がONするタイミングより所定の期間(期間Δt)遅れてスイッチング素子Q4がOFFするように、スイッチング素子Q4の制御信号(駆動信号G4)を遅延させる。また、遅延調整部50は、スイッチング素子Q6がONするタイミングより所定の期間(期間Δt)遅れてスイッチング素子Q3がOFFするように、スイッチング素子Q3の制御信号(駆動信号G3)を遅延させる。
これにより、本実施形態による電源装置1は、遅延調整部50を備えるという簡易な構成により、軽負荷時において、スイッチング素子Q1〜Q4に過大な電流(貫通電流)が流れることを防止することができる。
【0087】
また、本実施形態では、所定の期間(期間Δt)は、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子Q1〜Q4の寄生容量C1〜C4に充電された電荷を引き抜ける電流(回生電流)が発生するように定められている。
これにより、本実施形態による電源装置1は、軽負荷時において、一次側のスイッチング素子Q1〜Q4の寄生容量C1〜C4に充電された電荷を適切に放電することができ、ZVS動作が可能になる。
【0088】
また、本実施形態による電源制御方法は、DC/DCコンバータ10を備える電源装置1の電源制御方法である。この電源制御方法では、制御部13が、一次側コイルTL11の第1端に接続されるスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティにより制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をPWM(パルス幅変調)により制御する。そして、制御部13が、スイッチング素子Q3又はスイッチング素子Q4がオフする前の少なくとも所定の期間(例えば、期間Δt)、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q6をON状態にする。
これにより、本実施形態による電源制御方法は、軽負荷時においても一次側のスイッチング素子Q1〜Q4の寄生容量C1〜C4に充電された電荷を放電することができ、ZVS動作が可能になる。よって、本実施形態による電源制御方法は、軽負荷時において、スイッチング素子Q1〜Q4に過大な電流(貫通電流)が流れることを防止することができる。
【0089】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、制御部13は、軽負荷時と、通常負荷時とで同一の制御を行う例を説明したが、軽負荷時と、通常負荷時とで異なる制御を切り替えて行うようにしてもよい。この場合、例えば、
図3において、軽負荷時に、信号S12〜S42に基づいて駆動信号G1〜G4を出力し、通常負荷時に、遅延調整部50により遅延される前の信号S1〜S4に基づいて駆動信号G1〜G4を出力するように、切り替えて制御してもよい。
このように、制御部13が、軽負荷時と、通常負荷時とで異なる制御を切り替えて行うことで、電源装置1は、通常負荷時の変換効率を高めつつ、軽負荷時において、スイッチング素子Q1〜Q4に過大な電流(貫通電流)が流れることを防止することができる。
【0090】
また、上記の実施形態において、一例として、
図3に示す遅延調整部50を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御部13は、
図7に示すような遅延調整部50aを備えるようにしてもよい。
図7は、本実施形態による別の一例の遅延調整部50aを示すブロック図である。
図7において、
図3に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。この図に示す例では、遅延調整部50aは、バッファ回路(511、514、521、524、531、534、541、544)と、抵抗(512、522、532、542)と、コンデンサ(513、523、533、543)と、OR(オア)回路(515、525、535、545)とを備えている。
【0091】
OR回路515は、論理和回路であり、信号S1と、バッファ回路514の出力信号とを論理和した信号S12を出力する。OR回路515は、立ち上がりのタイミンが信号S1と同様で、立ち下がりのタイミングのみ信号S1から期間Δt遅延した信号S12を出力する。
OR回路525は、論理和回路であり、信号S2と、バッファ回路524の出力信号とを論理和した信号S22を出力する。OR回路525は、立ち上がりのタイミンが信号S2と同様で、立ち下がりのタイミングのみ信号S2から期間Δt遅延した信号S22を出力する。
【0092】
OR回路535は、論理和回路であり、信号S3と、バッファ回路534の出力信号とを論理和した信号S32を出力する。OR回路535は、立ち上がりのタイミンが信号S3と同様で、立ち下がりのタイミングのみ信号S3から期間Δt遅延した信号S32を出力する。
OR回路545は、論理和回路であり、信号S4と、バッファ回路544の出力信号とを論理和した信号S42を出力する。OR回路545は、立ち上がりのタイミンが信号S4と同様で、立ち下がりのタイミングのみ信号S4から期間Δt遅延した信号S42を出力する。
このように、制御部13が、遅延調整部50aを備えることにより、上述した
図2に示す制御を実行することが可能になる。
なお、上述した
図7に示す例では、遅延調整部50aは、信号S1及び信号S2の立ち下がりタイミングを期間Δtだけ遅延させる例を説明したが、これに限定されるものではない。遅延調整部50aは、例えば、信号S1及び信号S2を直接ドライバ部40に出力し、信号S3及び信号S4の立ち下がりタイミングのみ期間Δtだけ遅延させるようにしてもよい。この場合も、制御部13は、上述した
図2に示す制御と同様の制御を実行することが可能になる。
【0093】
また、上記の実施形態において、制御部13は、PWMによりスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4を制御する例を説明したが、カレント制御モードのPWMによりスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4を制御するようにしてもよい。また、本発明に係る電源装置は、例えば、
図8に示すように、三相の制御の電源装置1aであってもよい。
【0094】
図8は、本実施形態による三相制御の電源装置1aの一例を示すブロック図である。
この図に示す電源装置1aは、三相交流電源(R、S、T)から所定の直流電圧を出力する。電源装置1は、PFC(Power Factor Correction:力率改善)部2−1〜2−3と、DC/DCコンバータ10−1〜10−3とを備えている。
PFC部2−1は、U相用のPFC回路であり、PFC部2−2は、V相用のPFC回路であり、PFC部2−3は、W相用のPFC回路である。なお、この図において、PFC部2−1〜2−3は、同一の構成であり、例えば、力率改善回路である。PFC部2−1〜2−3は、高周波電流成分を除去して、入力された交流電力を直流電力に変換して出力する。
【0095】
DC/DCコンバータ10−1〜10−3は、上述したDC/DCコンバータ10と同一の構成である。DC/DCコンバータ10−1は、PFC部2−1から供給されるU相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。また、DC/DCコンバータ10−2は、PFC部2−2から供給されるV相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。また、DC/DCコンバータ10−3は、PFC部2−3から供給されるW相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。
なお、電源装置1aは、PFC部2−1〜2−3、及びDC/DCコンバータ10−1〜10−3を備えることにより、高変換効率の電源装置を実現できるとともに、軽負荷時において、スイッチング素子Q1〜Q4に過大な電流(貫通電流)が流れることを防止することができる。さらに、DC/DCコンバータ10−1〜10−3に、カレント制御モードによるPWMを適用することにより、電源装置1aは、各相電流のバランスが取れるため、電源の変換効率をさらに向上させることができる。
【0096】
また、上記の実施形態において、一例として、DC/DCコンバータ10は、直列リアクトルL1、共振コンデンサC5、及びダイオード(D5、D6)を備える構成を説明したが、これに限定されるものではない。DC/DCコンバータ10は、例えば、直列リアクトルL1、共振コンデンサC5、及びダイオード(D5、D6)の一部又は全部を備えない構成であってもよい。
【0097】
また、トランスTL1は、センタタップ付きの二次側コイル(TL12、TL13)を備える例を説明したが、センタタップを有さないものであってもよい。
また、同期整流回路30は、両波整流回路である例を説明したが、これに限定されるものではなく、フルブリッジなどの全波整流回路であってもよい。
また、上記の実施形態において、制御部13は、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を40%の固定のデューティにより制御する例を説明したが、これに限定されるものではなく、他のデューティにより制御するようにしてもよい。
【0098】
また、上記の実施形態において、制御信号生成部130は、PID制御に基づいて、PWMにより制御する例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の制御方式によりPWMにより制御するようにしてもよい。
また、上記の実施形態において、遅延調整部50(50a)は、
図3(
図7)に示す回路構成に限定されるものではなく、他の回路構成により実現されてもよい。
【0099】
また、上記の実施形態において、制御部13の各部の処理は、IC(Integrated Circuit)などの専用のハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェア処理によって実現されてもよい。
【0100】
上述の電源装置1(1a)は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した制御部13の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。