【文献】
TAKEICHI, Tsutomu et al.,Novel Poly(urethane-amide)s from Polyurethane Prepolymer and Reactive Polyamide. Preparation and Properties,Polymer Journal,日本,The Society of Polymer Science, Japan,2002年,第34巻第6号,第455頁−第460頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
5rpmにてスピンする円形ディスクを有するブルックフィールド円形ディスク粘度計によって測定したとき、70℃の温度にて、100,000cps未満の粘度を有する、請求項14に記載のテレケリックプレポリマー。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義:本発明者らは、括弧は、1)モノマー(複数可)が1つまたは複数のモノマーを意味し、または(メタ)アクリレートがメタクリレートまたはアクリレートを意味するように、何かが任意選択で存在し、2)既に記述した用語を限定またはさらに定義し、あるいは3)より狭い実施形態を列挙することを示すために使用する。
【0020】
本開示のポリ尿素/ウレタンポリマーおよびプレポリマーは、マクロモノマーとしてポリアミドセグメント中のアミド連結、ならびにアミドセグメントをポリマーまたはプレポリマー中に接続する尿素および/またはウレタン連結を利用することによる、ポリウレタン分散物の伸長物である。概念をより明らかに表すために、本発明者らは通常のポリウレタンを最初に定義する。熱可塑性ポリウレタンを作製および使用するための技術は周知であり、例えば、US6,777,466B2およびJ.K.Backusら、「Polyurethanes」:Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第13巻、H F. Markら、243〜303頁(1988年)に記載されている。500〜5,000g/モルの分子量のポリウレタン分散物マクロモノマー中のいくつかのポリウレタンを、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートの残基と接続させた。
【0021】
ポリウレタン分散物中の通常のポリウレタンは一般に、一般にジイソシアネートと一緒に連結している、またマクロモノマーとして公知のヒドロキシル末端オリゴマーに由来する、500g/モル〜5,000g/モルのソフトセグメントを有する直鎖状ポリマーであり、ジイソシアネートとオリゴマーのヒドロキシル基との反応からのジイソシアネートの両方の末端上にウレタン連結を形成する。ポリウレタン分散物は典型的には、後で教示するように水性媒体に分散した中程度の分子量のプレポリマーを最初に作製することによって作製する。プレポリマーは一般に、5,000g/モル〜100,000g/モルである。分散と同時に、または分散の後に、プレポリマーを一般に鎖延長させ、100,000g/モル超の分子量のウレタンポリマーとする。ウレタン連結の分子の大きさを増加させ、かつソフトセグメントおよびハードセグメントの間のさらなる相分離を促進したい場合、ジイソシアネートを、低分子量ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはブチレングリコールとさらに反応させ、2つの連結させるウレタン連結および短いアルキレンカップリングを有する1つのより大きいジイソシアネートへと2つのジイソシアネートを連結することができる。
【0022】
通常のポリウレタンにおいて、各ウレタン連結の間のセグメントは、ポリウレタンに1つまたは複数の重要な特性を実現する。セグメントのTgと同様に、ウレタンポリマーの意図する使用温度が軟化温度を有意に超える場合、セグメントはソフトセグメントであると考えられ、ポリマーはエラストマー特性を示す可能性があり、ソフトセグメントは変形され解きほぐされ、加えた応力に順応するため、破断することなくかなりの程度、例えば、20〜300%または400%の伸長まで機械的に変形させることができる。ソフトセグメントは、ポリマーのハードセグメントのガラス状の低表面積破壊を防止することによって、ポリウレタンポリマーに破壊抵抗および可撓性を実現することができる。
【0023】
通常のポリウレタンにおいて、意図する使用温度超のTgを有するためハードセグメントと考えられることが多いウレタン連結相は、ポリマーの物理的架橋として作用することができる。これらのウレタンセグメントはウレタンポリマーに沿っていくらか均一に間隔をあけており、約500〜5,000グラム/モルのソフトポリマーのセグメントは、会合している場合、各エラストマー相の末端が動くことを防止することができる。このように、ポリマーの任意の伸張、屈曲などは弾性的に保存され、ウレタンポリマーは、それぞれの変形の後にその当初の形状を保持しようとする。ハードウレタンセグメントはまた、これらが高Tgのポリマーであり、またはポリウレタンの総重量に対して大量に存在する場合、ポリウレタンをより硬くすることができる。
【0024】
ポリウレタンを作製するために使用されるオリゴマーまたはマクロモノマーは通常、環境抵抗に関してポリウレタンの物理的により弱い部分として特徴付けられる。脂肪族ポリエステルからのセグメントは、エステル連結の加水分解による鎖の切断に影響されやすい傾向がある。ポリエーテルからのセグメントは、乏しい紫外線抵抗性を有する傾向があり、通常の太陽光中の紫外線によって分解し得る。ポリカーボネートからのセグメントは、ポリエステルおよびポリエーテルより加水分解および紫外線に対するより良好な抵抗性を有するが、より高価である。このように、ポリカーボネートは、ウレタンにおいて、ポリエーテルまたはポリエステルより頻繁でなく使用される。
【0025】
本発明の第1の部分は、イソシアネートに由来するハードセグメントおよび既に記述したマクロモノマーから作製したポリマー中のポリエステル、ポリエーテル、またはポリカーボネートセグメントについての、ポリアミドセグメントの置換である。ポリアミドセグメントによるポリエステル、ポリエーテル、またはポリカーボネートセグメントの置換えは、部分的または完全であり得る。最適の環境抵抗は、より容易な鎖の切断の可能性によってポリエステルおよびポリエーテルセグメントの完全な置換えに起因するが、しかしいくつかの用途において、ポリエステルおよび/またはポリエーテルセグメントのいくつかは、エラストマー部分を軟化し、または他のポリマー表面とのこのように得られたポリマーの適合性を修飾するこれらの能力のために保持することができる。ポリエステルまたはポリエーテルからのポリマーが、加水分解または紫外線によって活性化される鎖の切断によって分解されるとき、ポリマーの分子量は減少し、ポリマー(またはセグメント)は、鎖の切断の前の同じポリマーに対して、減少した引張強度、破断時伸び、溶剤に対する抵抗性などを示す。ナイロン6−ポリエチレングリコールブロックコポリマーのブロックコポリマーに対する紫外線曝露の効果は、Gauvin, Pascal; Lemaire, Jacques、Makromolekulare Chemie(1987年)、188巻(5号)、971〜986頁に報告されている。鎖の切断の後のコーティングの場合、ポリマーの低分子量フラグメントは、溶剤、穏やかな研摩、および塑性流動によって除去され、基材はコーティングを伴わずに曝露されたままとなる。色素性コーティングおよびインクの場合、鎖の切断または破壊はバインダーの喪失をもたらし、色素(バインダーが存在しない)は、任意の溶剤または穏やかな摩擦または圧力によって除去される。
【0026】
本発明の第2の実施形態は、ポリ尿素連結によるウレタン連結のいくつかまたは全ての置換である。尿素連結は、イソシアネート基と第一級または第二級アミンとの反応に由来する。ウレタン連結は、イソシアネート基とヒドロキシル基の酸素との反応に由来する。尿素連結は、ウレタン連結より高い融解温度を有するハードセグメントを形成する。このように、尿素連結の百分率を増加させることは、ポリマーの実際的な使用温度を上昇させ、ハードセグメントは、一緒に会合している場合、ポリマーが応力に反応した塑性流動によって持続的に変形しないように十分に剛性である。
【0027】
本発明の第1の部分(ポリエーテルまたはポリエステルセグメントを低Tgのポリアミドセグメントで置換)の第2の利益は、ポリアミドセグメントが、ポリエステルまたはポリエーテルをベースとするポリウレタンより、より良好な湿潤、ならびに種々の極性基材、例えば、ガラス、ナイロン、および金属への接着を促進する傾向があることである。ポリアミドの疎水性/親水性の性質は、ポリアミド中のヒドロカルビル部分とアミド連結の異なる比を使用することによって調節することができる。大きな炭素と窒素の比を有する二酸、ジアミン、アミノカルボン酸、およびラクタムは、疎水性である傾向がある。ポリアミド中の炭素の窒素の比がより小さくなるとき、ポリアミドはより親水性である。
【0028】
このように、ポリアミドセグメントから作製したポリマーは、良好な耐溶剤性を有することができる。溶剤は、膨潤し、それによってポリマーまたはポリマーからの部分の初期破損をもたらすことによって、ポリマーを変形させ、応力をかけ得る。溶剤は、コーティングが膨潤して、2つの間の境界面において基材から剥離することをもたらし得る。ポリマーにポリアミドを加えることによって、ポリアミドへの同様または適合性表面を有する基材への接着を増加することができる。
【0029】
この時点において、従来技術のポリアミドの多くは、高融点の結晶性ポリアミド、例えば、100℃を超えた高すぎる温度で溶融する6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロンであり、ブロック状の熱可塑性ポリマーが望ましい場合、ソフトセグメントの役割を果たすことを説明することができる。従来技術の公開資料のいくつかにおいて、ポリアミド、多くの場合、結晶性または高Tgのポリアミドタイプを加え、ポリアミドと適合性であった基材との表面相互作用を単に増加させた。より低いTgのポリマーを柔らかく生じさせるために、低Tgのポリエステル、ポリエーテルまたはポリカーボネートをポリアミドセグメントに加え、より低い複合Tgのエラストマーセグメントを実現した。他の従来技術の公開資料において、ほんの僅かなポリアミド連結をポリマー中に挿入し、ポリマーの極性を修飾して、耐溶剤性を増加させ、または軟化温度を上昇させた。
【0030】
本特許出願の1つの目的は、ポリイソシアネートとの反応によって熱可塑性の特性、任意選択でエラストマー特性を有するコポリマー中に組み込まれたポリマーセグメントにおいて高百分率のアミド連結を使用し、加水分解および紫外線によって活性化される鎖の切断からの鎖の切断に対する抵抗性を実現することである。このように、多くの実施形態は、ソフトセグメントにおける繰り返し単位の間の総連結の高百分率がアミド連結であるソフトセグメントを説明する。いくつかの実施形態は、繰り返し単位の間のいくつかの連結がアミド連結以外であることを可能とし得る。いくつかの実施形態において、ポリアミドオリゴマーとポリイソシアネートのイソシアネート基の間の連結は、かなりの部分の尿素連結を有する。尿素連結は、ウレタン連結より高い融解温度を有し、したがってより高い使用温度を実現する傾向がある。いくつかの実施形態は、鎖の切断を防止することが最優先でないとき、ポリアミドオリゴマーおよびポリイソシアネート構成要素のイソシアネート基の間のウレタン連結を可能とし得る。
【0031】
低Tgのポリアミドのソフトセグメントを得るための通常のポリアミドからの重要な修飾は、ポリアミドの形成における第二級アミン末端基を有するモノマーの使用である。第二級アミンおよびカルボン酸タイプ基から形成されるアミド連結は、第三級アミド連結と称される。第一級アミンはカルボン酸タイプ基と反応して、第二級アミドを形成する。第二級アミドの窒素原子は、近くのアミドのカルボニル基と水素結合することが多い付着した水素原子を有する。分子内のH結合は、高融点を伴う結晶化度を誘発し、鎖の移動性を低減させる架橋として作用する。第三級アミド基では、アミド連結の窒素上の水素は、水素結合と共に除去される。ポリマーがバルクポリマー試料中に存在するとき、そこに付着した1つのさらなるアルキル基を有する第三級アミド連結は、そこに付着した水素を有する第二級アミド基と比較して、近くのアミド基との低減した極性相互作用を有する。低減した極性相互作用とは、アミド連結を含むガラス相または結晶相が、第二級アミド基である同様のアミド基より低い温度で溶融することを意味する。第三級アミド連結への前駆体である第二級アミン反応物を調達する1つの方法は、アミン含有モノマーの窒素原子(複数可)をアルキル基と置換することである。第二級アミン反応物を調達する別の方法は、アミンの窒素が環構造の一部である複素環分子を使用することである。ピペラジンは、一般的な環状ジアミンであり、両方の窒素が第二級であり、複素環の一部である。
【0032】
ポリアミドのソフトセグメントのTgを低減させる別の修飾は、最小数のモノマーを超えて少なくとも1つのさらなるモノマーを使用して、ポリアミドを形成させることである。このように、ラクタム重合から、例えば、N−メチル−ドデシルラクタムから形成されるポリアミドについて、重合のためのモノマーにおいてさらなるラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、またはジカルボン酸を含み、モノマーによって形成されるアミド連結の間の間隔(繰り返し単位の間の)を変化させ、その結果、ポリアミド中のアミド連結の間の間隔は主鎖に沿って不規則であり、同じ物理的寸法ではない。アミノカルボン酸の重合のために、重合のためのモノマーブレンドにおいてさらなるラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン、またはジカルボン酸(モノマーの第一級反応性基の間の異なる物理的長さを伴う)を含み、アミド連結の間の繰り返し単位の間の間隔を変化させる。モノマー上の末端基を切り換えることはまた、極性アミド連結の間隔における規則性を撹乱し、コポリマーの有効なTgを低下し得る。このように、C
6アミノカルボン酸またはラクタムとC
6二酸およびC
6ジアミンとの共重合は、アミド連結の規則性を撹乱し得る。二酸およびジアミン単位は、アミド連結の配向をヘッドトゥーテール配向からテールトゥーヘッド配向へと切り換え、ポリアミド主鎖に沿ったアミド連結の間隔の均一性を僅かに撹乱するからである。典型的には、この手順に従うとき、ポリアミド中の主モノマーとして使用されるモノマー(複数可)のアミド形成末端基の間の原子の数を増加させた、または減少させた撹乱モノマーを加えることを試みる。環状構造(例えば、ピペラジン、環状ジアミンモノマーであり、2個のメチレン原子が環の上の半分を形成し、2個のメチレン原子が環の下の半分を形成する)を有し、ジアミンの窒素原子の間に2個のメチレン原子を有するジアミンモノマーと反応する二酸から形成されるポリアミドの規則性を撹乱する第2の撹乱モノマーをまた使用することができる。
【0033】
ポリアミドのTgおよび結果的に硬度を低減させるための共重合方法の使用を表す別の方法は、ポリアミドが、a、bまたはc
a)前記アミド連結が1つまたは複数のモノマーの重合に由来し、前記モノマーの90モル%超がラクタムおよびアミノカルボン酸モノマーから選択されるモノマーの重合に由来するとき、前記ポリアミドは、少なくとも2つの異なるモノマーのコポリマーとして定義され、前記モノマーは、アミンおよびカルボン酸基の間の異なる間隔の長さのヒドロカルビル部分を有するため、少なくとも2つの異なるモノマーであることによって特徴付けられることを意味し、前記少なくとも2つの異なるモノマーのそれぞれは、前記ポリアミド中の総ラクタムおよび/またはアミノカルボン酸モノマーの少なくとも10%、より望ましくは少なくとも20%または30%のモル濃度で存在すること、あるいは
b)前記アミド連結が2つまたは2つより多くのモノマーの重合に由来し、前記モノマーの90モル%超がジカルボン酸およびジアミンモノマーの重合に由来したとき、前記ポリアミドは、少なくとも3つの異なるモノマーのターポリマーとして定義される(前記アミド連結は、ジカルボン酸およびジアミンモノマーの群から選択される少なくとも3つの異なるモノマーから形成されることを意味し、前記少なくとも3つの異なるモノマーは、ジカルボン酸のカルボン酸基の間の異なる間隔の長さ、またはジアミンのアミン基の間の異なる間隔の長さのヒドロカルビル基によって互いに異なると特徴付けられ、前記少なくとも3つの異なるモノマーのそれぞれは、前記ポリアミド中の総モノマーの少なくとも10モル%、より望ましくは少なくとも20モル%または30モル%の濃度で存在する)こと、あるいは
c)ただし、総ジカルボン酸モノマー(複数可)およびジアミンモノマー(複数可)が、10モル%もしくは10モル%より多く、より望ましくは20モル%または30モル%もしくは30モル%より多く存在し、総ラクタムおよびアミノカルボン酸モノマーが、モノマーブレンド中に10モル%もしくは10モル%より多く、より望ましくは20モル%または30モル%もしくは30モル%より多く存在するように、前記アミド連結が、ジカルボン酸、ジアミンならびにラクタムおよび/またはアミノカルボン酸モノマーの組合せを重合させることに由来する場合、さらなる異なるモノマーを必要とする制約は存在しないこと
の範囲内であることによって特徴付けられることである。
【0034】
ポリアミドセグメントの大部分が当初低分子量であり、低分子量オリゴマーのTgを測定することは容易に可能でなく、例えば、測定した値は分子量によって劇的に影響されることを本発明者らは認識するにも関わらず、本発明者らは用語低Tg、ガラス転移温度を使用する。示差走査熱量測定法(DSC)によって測定して、例えば、70℃、80℃、または90℃超のTg値を有する高Tgのポリマーは、低分子量においてでさえ固体またはゲルを形成する傾向がある。このように、ポリアミドオリゴマー、テレケリックポリアミド、およびさらにテレケリックポリアミドまたはポリアミドオリゴマーからのプレポリマーは、この明細書において特定の温度でのこれらの粘度によって説明されることが多い。低Tgのポリアミドオリゴマーは、20,000g/モル超の分子量である場合、50℃未満、25℃未満、または0℃未満のTgを有するこれらの組成物と定義される。
【0035】
一実施形態において、テレケリックプレポリマーは、70℃の温度にて100,000cps未満、より望ましくは70℃にて15,000cps未満または10,000cps未満、さらにより望ましくは60℃にて100,000cps未満、より好ましくは60℃にて15,000cps未満または10,000cps未満、さらにより好ましくは50℃にて15,000cps未満または10,000cps未満の、5rpmでスピンする円形ディスクを有するブルックフィールド円形ディスク粘度計によって測定した粘度を有する。好ましくは、これらの粘度は、溶剤または可塑剤を有さない未希釈のプレポリマーである。これらのタイプの粘度は、プレポリマーを連続媒体中の微細な液滴として分散させることを促進し、コロイド状に安定的な分散物を形成させる。いくつかの実施形態において、テレケリックプレポリマーは、溶剤または可塑剤で希釈して、これらの範囲の粘度を達成することができる。
【0036】
ポリアミドオリゴマーという用語は、2つまたは2つより多くのアミド連結を有するオリゴマーを指し、またはアミド連結の量が特定されることがある。ポリアミドオリゴマーのサブセットは、テレケリックポリアミドである。テレケリックポリアミドは、高百分率、または特定の百分率の単一の化学タイプの2つの官能基、例えば、2つの末端アミン基(第一級、第二級、または混合物を意味する)、2つの末端カルボキシル基、2つの末端ヒドロキシル基(再び、第一級、第二級、または混合物を意味する)、または2つの末端イソシアネート基(脂肪族、芳香族、または混合物を意味する)を有するポリアミドオリゴマーである。テレケリックの定義に合致するのに好ましい二官能性のパーセントについての範囲は、より高いまたはより低い官能性とは対照的に、少なくとも70モル%または80モル%、より望ましくは少なくとも90モル%または95モル%のオリゴマーが二官能性であることである。反応性アミン末端テレケリックポリアミドは、末端基が両方のアミンタイプであり、第一級または第二級およびこれらの混合物であり、すなわち、第三級アミン基を除く、テレケリックポリアミドオリゴマーである。
【0037】
この明細書のオリゴマー、テレケリック、およびポリマーの多くは、所望のモノマー(複数可)上の反応性基の縮合反応によって作製される。反応性基の縮合反応は、モノマーの間に化学連結を生じさせることと定義される。オリゴマーまたはポリマー中に組み込まれるモノマーの部分は、特定のモノマーからの繰り返し単位と定義される。いくつかのモノマー、例えば、アミノカルボン酸、またはジアミンの1つの末端と反応する二酸の1つの末端は、モノマーが、モノマーからポリマーの繰り返し単位となるときに水の1個の分子を失う。他のモノマー、例えば、ラクタム、イソシアネート、イソシアネートと反応するアミン、イソシアネートと反応するヒドロキシル基などは、環境に分子の一部を放出せず、むしろこのように得られたポリマー中のモノマーの全てを保持する。
【0038】
本発明者らは、ポリアミドオリゴマーを、オリゴマー毎に2つまたは2つより多くのアミド連結を有する、20,000g/モル未満の分子量、例えば、多くの場合、10,000g/モル未満;5,000g/モル未満;2,500g/モル未満;または2,000g/モル未満の種として定義する。後で、本発明者らは、様々なオリゴマー種において繰り返し単位毎に平均して1つのアミド連結を実現するアミド連結またはモノマーの好ましい百分率を定義する。ポリアミドオリゴマーのサブセットは、テレケリックオリゴマーである。テレケリックポリアミドは、上記のポリアミドオリゴマーと同一の分子量について優先度を有する。テレケリックという用語は、上で定義してきた。複数のポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドは、縮合反応物と連結して、一般に100,000g/モル超のポリマーを形成することができる。
【0039】
一般に、アミド連結は、カルボン酸基とアミン基との反応、またはラクタムの開環重合から形成され、例えば、環構造におけるアミド連結は、ポリマーにおけるアミド連結に変換される。好ましい実施形態において、モノマーのアミン基の大部分は、第二級アミン基であり、またはラクタムの窒素は、第三級アミド基である。第二級アミン基は、アミン基がカルボン酸と反応してアミドを形成するとき、第三級アミド基を形成する。本開示の目的のために、例えば、ラクタム中のアミドのカルボニル基は、カルボン酸基に由来すると考えられる。これは、ラクタムのアミド連結は、アミノカルボン酸のカルボキシル基と同じアミノカルボン酸のアミン基との反応から形成されるためである。カルボン酸基とアミン基との間の反応からのアミドの形成は、ホウ酸、ホウ酸エステル、ボラン、亜リン酸、ホスフェート、リン酸エステル、アミン、酸、塩基、シリケート、およびシルセスキオキサンによって触媒することができる。さらなる触媒、条件などは、テキスト、例えば、Larockによる「Comprehensive Organic Transformations」において入手可能である。
【0040】
本開示のポリアミドオリゴマーおよびテレケリックポリアミドは、これらの連結を形成するために使用されるさらなるモノマーがポリマーの使用目的にとって有用である場合、少量のエステル連結、エーテル連結、ウレタン連結、尿素連結などを含有することができる。これによって他のモノマーおよびオリゴマーがポリアミド中に含まれ、特定の特性を実現することが可能となり、これは必要であり得、100%ポリアミドセグメントオリゴマーでは達成可能ではない。加えられたポリエーテル、ポリエステル、またはポリカーボネートは、よりソフトな、例えば、より低いTgのセグメントを実現することがある。ポリアミドのカルボン酸末端基または第一級もしくは第二級アミン末端基を、縮合重合をすることができる他の官能性末端基に変換することが望ましいことがある。アミド連結を生じさせない、ラクタムのオリゴマー連鎖重合のための開始剤を使用することがある。ポリエーテルはポリアミドのセグメントまたは部分として使用され、Tgを低減させ、またはこのように得られたポリアミドオリゴマーのソフトセグメントを実現し得ることがある。ポリアミドセグメント、例えば、カルボン酸またはアミン末端基を伴う二官能性は、例えば、Jeffamine(商標)D230からの2つのポリエーテル末端セグメントで官能化し、Tgをさらに低減させ、またはポリアミドオリゴマーにおいてソフトセグメントを実現し、アミンまたはヒドロキシル末端基を有するテレケリックポリアミドを生じさせることができることがある。カルボン酸末端テレケリックポリアミドセグメントは、アミノアルコール、例えば、N−メチルアミノエタノールまたはHN(R
α)(R
β)と反応することによって官能化されることがあり、式中、R
αは、C
1〜C
4アルキル基であり、R
βは、アルコール基およびC
2〜C
12アルキレン基を含み、代わりに、R
αおよびR
βは、相互接続して、環状構造およびペンダントヒドロキシル基(例えば、2−ヒドロキシメチルピペリジンにおいて)を含めてC
3〜C
16アルキレン基を形成することができ、これらのいずれも末端ヒドロキシル基を有するテレケリックポリアミドを生じさせることができる。第二級アミン(ヒドロキシル基とは対照的に)とカルボン酸との反応は、100%過剰なモル濃度のアミノアルコールを使用し、160℃+/−10°または20°での反応を行うことによって好まれることがある。過剰なアミノアルコールは、反応後に蒸留によって除去することができる。一実施形態において、高百分率の第三級アミド連結、例えば、少なくとも80%の前記アミド連結が第三級アミド連結として特徴付けられるポリアミドを使用して、ヒドロキシル末端ポリアミドとポリイソシアネートおよび任意選択で他の分子との反応生成物として特徴付けられるテレケリックプレポリマーを作製し、前記テレケリックポリアミドは、2個または4〜10個の炭素原子を有するラクトンからの1つまたは複数の繰り返し単位、および/または3〜30個の炭素原子を有するヒドロキシルカルボン酸からなる。一実施形態において、アミン末端ポリアミドの重合の後に前記ラクトンおよび/またはヒドロキシルカルボン酸を加え、前記アミン末端ポリアミドと反応させ、前記テレケリックポリアミドの一方または両方の末端上の末端繰り返し単位(複数可)であることによって、これをヒドロキシル末端ポリアミドに変換する。
【0041】
既に示したように、多くのアミド形成モノマーは、繰り返し単位毎に平均して1つのアミド連結を生じさせる。これらは、二酸およびジアミン(互いに反応するとき)、アミノカルボン酸、およびラクタムを含む。本発明者らがこれらのモノマー、またはこれらのモノマーからの繰り返し単位を考察するとき、本発明者らは一般に、これらのモノマー、これらの繰り返し単位およびこれらの反応性同等物(示したモノマーと同じ繰り返し単位を生じさせるモノマーを意味する)を意味する。これらの反応性同等物は、二酸の無水物、二酸のエステルなどを含み得る。これらのモノマーはまた、同じ群における他のモノマーと反応するとき、形成された繰り返し単位の両方の末端においてアミド連結を生じさせる。このように、本発明者らは、アミド連結のモル百分率、およびアミド形成モノマーの重量百分率の両方を使用する。アミド形成モノマーを使用して、通常のアミド形成縮合連結反応において繰り返し単位毎に平均して1つのアミド連結を形成するモノマーを指す。
【0042】
一実施形態において、ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミド中の炭化水素タイプ連結を接続するヘテロ原子含有連結の数の望ましくは少なくとも10モル%、より望ましくは少なくとも25モル%、30モル%、45モル%、50モル%、55モル%、より望ましくは少なくとも60モル%、70モル%、75モル%、76モル%、80モル%、90モル%、または95モル%は、アミド連結であることによって特徴付けられる。ヘテロ原子連結は、連結、例えば、アミド、エステル、ウレタン、尿素、エーテル連結であり、ヘテロ原子は、炭化水素(または、炭素−炭素結合、例えば、炭化水素連結を有する)として一般に特徴付けられるオリゴマーまたはポリマーの2つの部分を接続する。ポリアミド中のアミド連結の量が増加するにつれ、ポリアミド中のアミド形成モノマーからの繰り返し単位の量は増加する。
【0043】
一実施形態において、ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドの望ましくは少なくとも25重量%、より望ましくは少なくとも30重量%、40重量%、50重量%、より望ましくは少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、または95重量%は、繰り返し単位の両方の末端においてアミド連結を形成するモノマーからの繰り返し単位としてまた同定される、アミド形成モノマーからの繰り返し単位である。このようなモノマーには、ラクタム、アミノカルボン酸、ジカルボン酸およびジアミンが含まれる。一実施形態において、ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドの望ましくは少なくとも25重量%、より望ましくは少なくとも30重量%、40重量%、または50重量%、より望ましくは少なくとも60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、または95重量%は、繰り返し単位のアミン末端において第三級アミド連結を形成するモノマーからの繰り返し単位としてまた同定される、第三級アミド形成モノマーである。このようなモノマーには、第三級アミド基を有するラクタム;第二級アミン基を有するアミノカルボン酸;両方のアミン末端基が第二級アミンであるジカルボン酸およびジアミンが含まれる。
【0044】
一実施形態において、ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミド中の炭化水素タイプ連結を接続するヘテロ原子含有連結の数の望ましくは少なくとも50モルパーセント、75モルパーセント、76モルパーセント、80モルパーセント、90モルパーセント、または95モルパーセントは、第三級アミド連結であることによって特徴付けられる。一実施形態において、ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミン中の連結の望ましくは少なくとも25モルパーセント、50モルパーセント、75モルパーセント、76モルパーセント、80モルパーセント、90モルパーセント、または95モルパーセントは、第三級アミド連結である。上で説明したように、第三級アミド連結は、第三級アミドを有するラクタムの開環重合、または第二級アミンとカルボン酸基との反応からもたらされる。
第三級アミド連結%の計算:
アミド連結の総数に対する第三級アミド連結の%は、下記の等式で計算した。
【数1】
式中、nは、モノマーの数であり、
指数iは、特定のモノマーを指し、
w
tertNは、重合における第三級アミド連結の部分を形成する、または部分である、モノマーにおける窒素原子の平均数であり(注:末端基形成アミンは、重合の間にアミド基を形成せず、これらの量は、w
tertNから除外される)、
w
totalNは、重合における第三級アミド連結の部分を形成する、または部分である、モノマーにおける窒素原子の平均数であり(注:末端基形成アミンは、重合の間にアミド基を形成せず、これらの量は、w
totalNから除外される)、n
iは、指数iを伴うモノマーのモル数である。
アミド連結%の計算:
全てのヘテロ原子含有連結(炭化水素連結を接続)の総数のアミド連結の%は、下記の等式で計算した。
【数2】
式中、w
totalSは、モノマー中のヘテロ原子含有連結(炭化水素連結を接続)の平均数およびこのモノマー重合から形成されるヘテロ原子含有連結(炭化水素連結を接続)の数の合計である。「炭化水素連結」は、繰り返し単位における連続的炭素−炭素結合(すなわち、ヘテロ原子、例えば、窒素または酸素を伴わない)から形成される各繰り返し単位の炭化水素部分のみである。この炭化水素部分は、エチレンオキシドまたは酸化プロピレン;ドデシルラクタムのウンデシル基、エチレンジアミンのエチレン基、およびアジピン酸の(CH
2)
4(またはブチレン)基のエチレンまたはプロピレン部分である。
【0045】
好ましいアミドまたは第三級アミド形成モノマーには、ジカルボン酸、ジアミン、アミノカルボン酸およびラクタムが含まれる。好ましいジカルボン酸は、ジカルボン酸のアルキレン部分が、3個または10個の炭素原子毎に1個までのヘテロ原子を任意選択で含む、2〜36個の炭素原子、より好ましくは4〜36個の炭素原子を有する環状、直鎖状、または分岐状(芳香族基を任意選択で含む)アルキレンであるものである(二酸は、アルキレン部分より炭素原子を2個多く含む)。これらは、ダイマー脂肪酸、水素化ダイマー酸、セバシン酸などを含む。一般に、本発明者らはより大きなアルキレン基を有する二酸を好む。これが一般に、より低いTg値を有するポリアミド繰り返し単位を実現するからである。
【0046】
好ましいジアミンは、ジアミンの各3個または10個の炭素原子について1個のヘテロ原子(2個の窒素原子に加えて)を任意選択で含み、種々の環状、芳香族または複素環基を任意選択で含む、60個までの炭素原子を有するものを含み、ただし、アミン基の一方または両方は、第二級アミンであり、好ましい式は、
【化1】
であり、式中、R
bは、直接結合、あるいは2〜36個の炭素原子、より好ましくは2個または4〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状(任意選択で環式、複素環式、または芳香族部分(複数可)であり、またはこれを含む)アルキレン基(ジアミンの10個の炭素原子毎に1個までまたは3個までのヘテロ原子を任意選択で含有する)であり、R
cおよびR
dは、個々に、1〜8個の炭素原子、より好ましくは1個または2〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基であり、あるいはR
cおよびR
dは、一緒に接続され、1〜8個の炭素原子を有する単一の直鎖状または分岐状アルキレン基を形成し、あるいは任意選択でR
cおよびR
dの1つは、炭素原子においてR
bに接続しており、より望ましくはR
cおよびR
dは、1個または2〜4個の炭素原子である。このようなジアミンには、AlbermarleからのEthacure(商標)90(推定では、N,N’−ビス(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン);両方ともHuntsmanからのClearlink(商標)1000またはJefflink(商標)754;N−メチルアミノエタノール;ジヒドロキシ末端、ヒドロキシルおよびアミン末端またはジアミン末端ポリ(アルキレンオキシド)(アルキレンは、2〜4個の炭素原子を有し、100〜2000の分子量を有する);N,N’−ジイソプロピル−1,6−ヘキサンジアミン;N,N’−ジ(sec−ブチル)フェニレンジアミン;ピペラジン;ホモピペラジン;およびメチル−ピペラジンが含まれる。Jefflink(商標)754は、構造
【化2】
を有する。Clearlink(商標)1000は、構造
【化3】
を有する。芳香族基を有する別のジアミンは、N,N’−ジ(sec−ブチル)フェニレンジアミンである。下記の構造を参照されたい。
【化4】
好ましいジアミンは、両方のアミン基が第二級アミンであるジアミンである。
【0047】
好ましいラクタムは、4〜12個の炭素原子のその中に直鎖または分岐状のアルキレンセグメントを含み、ラクタムの窒素上の置換基を有さない環構造は、全部で5〜13個の炭素原子を有し(カルボニルを含むとき)、ラクタムの窒素上の置換基(ラクタムが第三級アミドである場合)は、1〜8個の炭素原子を有するアルキル、より望ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキルである。ドデシルラクタム、アルキル置換ドデシルラクタム、カプロラクタム、アルキル置換カプロラクタム、およびより大きなアルキレン基を有する他のラクタムは、より低いTg値を有する繰り返し単位を実現するため好ましいラクタムである。アミノカルボン酸は、ラクタムと同じ数の炭素原子を有する。望ましくは、アミノカルボン酸のアミンおよびカルボン酸基の間の直鎖状または分岐状アルキレン基における炭素原子の数は4〜12であり、アミン基の窒素上の置換基(これが第二級アミン基である場合)は、1〜8個の炭素原子、より好ましくは1個または2〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。第二級アミン基を有するアミノカルボン酸が好ましい。
【0048】
一実施形態において、前記ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドの望ましくは少なくとも50重量%、より望ましくは少なくとも60重量%、70重量%、80重量%または90重量%は、繰り返し単位の構造の二酸およびジアミンからの繰り返し単位を含み、
【化5】
式中、R
aは、ジカルボン酸のアルキレン部分であり、二酸の3個または10個の炭素原子毎に1個までのヘテロ原子を任意選択で含む、2〜36個の炭素原子、より好ましくは4〜36個の炭素原子を有する環状、直鎖状、または分岐状(任意選択で芳香族基を含む)アルキレンであり(二酸はアルキレン部分より炭素原子を2個多く含む)、
R
bは、直接結合、あるいは2〜36個または60個の炭素原子、より好ましくは2個または4〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状(任意選択で環式、複素環式、または芳香族部分(複数可)であり、またはこれを含む)アルキレン基(10個の炭素原子毎に1個までまたは3個までのヘテロ原子を任意選択で含有する)であり、R
cおよびR
dは、個々に、1〜8個の炭素原子、より好ましくは1個または2〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基であり、あるいはR
cおよびR
dは、一緒に接続され、1〜8個の炭素原子を有する単一の直鎖状または分岐状アルキレン基を形成し、あるいは任意選択でR
cおよびR
dの1つは、炭素原子においてR
bに接続しており、より望ましくはR
cおよびR
dは、1個または2〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0049】
一実施形態において、前記ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドの望ましくは少なくとも50重量%、より望ましくは少なくとも60重量%、70重量%、80重量%または90重量%は、構造
【化6】
のラクタムまたはアミノカルボン酸からの繰り返し単位を含む。繰り返し単位は、ラクタムまたはアミノカルボン酸に由来するオリゴマー中の開始剤タイプによって種々の配向でよく、各R
eは、独立に、4〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキレンであり、各R
fは、独立に、1〜8個(より望ましくは1〜4個)の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキルである。
【0050】
上記のポリアミドオリゴマーおよびテレケリックポリアミドは、ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドとポリイソシアネートとを反応させることによってプレポリマーを作製するのに有用である。ポリイソシアネートは、この明細書において、1分子当たり2つまたは2つより多くのイソシアネート基を有するイソシアネート含有種を指すために使用される。望ましくは、ポリアミドオリゴマーおよびテレケリックポリアミドは、イソシアネートと反応性の末端基を有し、尿素連結および/またはウレタン連結を形成する。イソシアネートと化学的に反応性であり、化学連結を形成する基は、ツェレビチノフ基として公知であり、第一級および第二級アミン、ならびに第一級および第二級アルコールを含む。第一級または第二級アミンの窒素は、イソシアネートのカルボニルに結合し、第一級または第二級アミンからの水素は、アミンから移動し、イソシアネートのNH基に結合する。第一級または第二級アルコールの酸素は、イソシアネートのカルボニルに結合し、アルコールのヒドロキシル基からの水素は、移動し、イソシアネートのNH基に結合する。
【0051】
ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドとポリイソシアネートとの反応の間に、このように得られたポリマーネットワーク中に共反応するツェレビチノフ基と共に存在する他の種を有することができる。これらは、低分子量化学種(例えば、500g/モル未満のジオールもしくはジアミン)、またはより高い分子量の種(例えば、加えられこのように得られたポリマーにおいて高いまたは低いTg相を形成する500〜5000g/モルのオリゴマー)であり得る。一般に、水中のポリマー分散物を作製したい場合、プレポリマーと称される中程度の分子量種を生じさせる反応性基の間に化学量論的不均衡を有する構成要素と、大部分のプレポリマー単位の主要な末端として過剰に存在する官能基とを反応させるのみである。これは通常、化学量論のイソシアネート基とツェレビチノフ基とを1:1比ではなく維持することによって達成される(限定された分子量のイソシアネートまたはツェレビチノフ基末端プレポリマーが生成されるように)。プレポリマーの分子量は、プレポリマーが室温または僅かに室温超(一般に約80℃まで)で液体であるように、かなり低く(5000g/モル〜100,000g/モル)保持される。これは、プレポリマーの粘度が妨害することなしに、水中の小さなコロイド状に安定的な粒子としてプレポリマーの混合およびプレポリマーの分散を促進する。プレポリマーがイソシアネートで終端するように、過剰なイソシアネート基が使用されることが多い。
【0052】
プレポリマーの分子量は、プレポリマーの分散物が作製された後に増加させることができる(または、ウレタンポリマー中にプレポリマーを鎖延長すると称されることがある)。これは、分散物に、これらをより高い分子量種に連結するイソシアネート末端プレポリマーと反応することができる低分子量化学種、例えば、ジオール、トリオール、テトロール、またはジアミン、トリアミンまたはテトラアミンを加えることによって行うことができる。プレポリマー上のイソシアネート基はまた、連続して水と反応して、CO
2ガスおよびプレポリマーのいくつかの上の末端アミン基を生じさせることができる。次いで、プレポリマーのいくつかの上のアミン基は、他のプレポリマー上のイソシアネート基と反応して、両方の種を鎖延長することができる。下記のパラグラフはプレポリマー/ポリマー中に組み込むことができる分散基を記載する一方、アニオン性、カチオン性、非イオン性、もしくは双性イオン性タイプの分散剤および界面活性剤、またはこれらの混合物を利用して、連続媒体中のプレポリマー/ポリマーの分散を促進することがまた可能である。
【0053】
プレポリマー(またはポリマー)を連続水相に分散させることが望ましい場合、分散種、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または双性イオン種を、プレポリマー(またはポリマー)に望ましくは加える。これらの分散種は、分散相に対してコロイドの安定化を実現することを助ける。表面活性分散基がポリマーに組み込まれる場合、ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドの反応にこれらを含むことが望ましい(例えば、プレポリマー調製の間)。イソシアネート基と反応して尿素またはウレタン連結を形成する、ツェレビチノフ活性基を有する分散基は、この目的のために特に好ましい。
【0054】
ポリアミドオリゴマーまたはテレケリックポリアミドから作製したポリ尿素およびポリウレタンは一般に疎水性であり、固有に水分散性ではない。したがって、少なくとも1種の水分散性増強化合物、すなわち、少なくとも1つの親水性、イオン性基または潜在的イオン性基を有する分散官能性を伴うモノマーは、本発明のポリ尿素またはポリウレタンポリマーおよびプレポリマーのための反応物中に任意選択で含まれ、水へのポリマー/プレポリマーの分散を助ける。典型的には、少なくとも1つの親水基、または例えば、化学修飾、例えば、中和によって親水性とすることができる基を担持する化合物を、ポリマー/プレポリマー鎖中に組み込むことによって、これは行われる。これらの化合物は、非イオン性、アニオン性、カチオン性または双性イオン性の性質またはこれらの組合せのものであり得る。例えば、アニオン基、例えば、カルボン酸基は、プレポリマー中に組み込み、それに続いて塩形成化合物、例えば、本明細書の下記でより十分に定義する第三級アミンによってイオン化することができる。カルボン酸基をベースとするアニオン分散性プレポリマー/ポリマーは一般に、約1〜約60mgKOH/グラム、典型的には1〜約40mgKOH/グラム、またはさらに10〜35mgKOH/グラムまたは12〜30mgKOH/グラムまたは14〜25mgKOH/グラムの酸価を有する。他の水分散性増強化合物はまた、外側または末端親水性エチレンオキシドまたはウレイド単位を含むウレタン連結または尿素連結を介してプレポリマー主鎖中に反応することができる。
【0055】
特に対象とする水分散性増強化合物は、プレポリマー中に弱いカルボキシル基を組み込むことができるものである。通常、これらは、一般式(HO)
xQ(COOH)
y(式中、Qは、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の炭化水素ラジカルであり、xおよびyは、1〜3である)を有するヒドロキシ−カルボン酸に由来する。このようなヒドロキシ−カルボン酸の例には、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、ジヒドロキシリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸など、およびこれらの混合物が含まれる。ジヒドロキシカルボン酸がより好ましく、ジメチロールプロパン酸およびジメチロールブタン酸が最も好ましい。
【0056】
特に対象とする水分散性増強化合物の別の群は、側鎖親水性モノマーである。いくつかの例には、アルキレンオキシドポリマーおよびコポリマーが含まれ、アルキレンオキシド基は、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,897,281号において示されているように2〜10個の炭素原子を有する。
【0057】
水分散性増強化合物は、ポリウレタンにカチオン性の性質を与えることができる。カチオン性ポリウレタンは、主鎖に組み込まれまたは付着されたカチオン性の中心を含有する。このようなカチオン性の中心は、アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム基を含む。これらの基は、イオン性形態で主鎖中に重合させることができ、あるいは任意選択で、これらは対応する窒素、リン、または硫黄部分の事後中和または事後四級化によって生じさせることができる。上記の基の全ての組合せおよび非イオン性の安定化とのこれらの組合せを使用することができる。アミンの例には、Jeffcat(登録商標)商品名、例えば、DPA、ZF−10、Z−110、ZR−50などでHuntsmanから入手可能なN−メチルジエタノールアミンおよびアミノアルコールが含まれる。これらは、実質的に任意の酸と共に塩を形成することができる。酸の例には、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、クエン酸、酒石酸、クロロ酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、2−カルボキシエチルアクリレートおよびその他が含まれる。四級化剤には、塩化メチル、塩化エチル、ハロゲン化アルキル、塩化ベンジル、臭化メチル、臭化エチル、臭化ベンジル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、クロロ酢酸などが含まれる。四級化されたジオールの例には、ジメチルジエタノールアンモニウムクロリドおよびN,N−ジメチル−ビス(ヒドロキシエチル)第四級アンモニウムメタンスルホネートが含まれる。カチオン性の性質は、他の事後重合反応、例えば、エポキシ第四級アンモニウム化合物とジメチロールプロパン酸のカルボキシル基との反応によって与えられることができる。
【0058】
他の適切な水分散性増強化合物には、チオグリコール酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、スルホイソフタル酸、ポリエチレングリコールなど、およびこれらの混合物が含まれる。
【0059】
水分散性増強化合物の使用が好ましいが、本発明の分散物は、高剪断分散方法を使用して、界面活性剤によって安定化することによって、これらを伴わずに調製することができる。
(i)ポリイソシアネート
【0060】
適切なポリイソシアネートは、1分子当たり平均で約2つまたは2つより多くのイソシアネート基、好ましくは平均で約2〜約4のイソシアネート基を有し、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、および複素環ポリイソシアネート、ならびに単独でまたは2つまたは2つより多くの混合物中で使用されるこれらのオリゴマー化の生成物を含む。ジイソシアネートがより好ましい。
【0061】
適切な脂肪族ポリイソシアネートの具体例には、5〜20個の炭素原子を有するアルファ、オメガ−アルキレンジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネートなどが含まれる。5個未満の炭素原子を有するポリイソシアネートを使用することができるが、これらの高い揮発性および毒性によってより好ましくない。好ましい脂肪族ポリイソシアネートには、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−ジイソシアネート、および2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートが含まれる。
【0062】
適切な脂環式ポリイソシアネートの具体例には、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(Bayer CorporationからのDesmodur(商標)Wとして市販されている)、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどが含まれる。好ましい脂環式ポリイソシアネートには、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが含まれる。
【0063】
適切な芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例には、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネートなどが含まれる。好ましい芳香脂肪族ポリイソシアネートは、テトラメチルキシリレンジイソシアネートである。
【0064】
適切な芳香族ポリイソシアネートの例には、4,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネート、ジイソシアン酸トルエン、これらの異性体、ナフタレンジイソシアネートなどが含まれる。好ましい芳香族ポリイソシアネートには、4,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネートおよびジイソシアン酸トルエンが含まれる。
【0065】
適切な複素環イソシアネートの例には、5,5’−メチレンビスフルフリルイソシアネートおよび5,5’−イソプロピリデンビスフルフリルイソシアネートが含まれる。
【0066】
ポリアミドをベースとするポリ尿素/ウレタン組成物を、高分子量、例えば、Mw>80,000g/mol、高固形分含量、例えば、25〜40重量%、様々な粒径、例えば、40〜200nmを伴う水性分散形態中で作製した。分散物を、NMP、N−メチルピロリドン、溶剤、例えば、配合物中の0〜11%で、またはIPAを使用した溶剤プロセス(NMP非含有の方法)で作製した。
【0067】
分散物から形成されたフィルムの形態のポリアミドセグメントを有する良好な質で透明無色(または非常にかすかな黄色)のポリ尿素および/またはポリウレタン。フィルムは、高い引張強度、例えば、35,000〜55,000psi、中程度の伸長、例えば、250〜300%のフィルムを有した。
【0068】
本発明者らは、通常の二官能性酸およびアミンから一連のポリアミドオリゴマーを作製した。これらのオリゴマーは、アミン終端を含有し、ジイソシアネートと反応してポリアミド−ポリ尿素主鎖を形成した。本発明者らの新規な分散ポリマー中のポリアミド構造ブロックは、ポリエステルおよびポリエーテルセグメントと比較して、優れた加水分解安定性、優れた熱および紫外線抵抗性、ならびにより良好な全体的な機械的性質を実現する。さらに、これらのポリアミドオリゴマーにおけるアミン連鎖終端は、イソシアネートとの反応において尿素連結を形成する(ポリオールからのウレタン連結に対して)。これらのポリ尿素連結は、より本当の架橋ポリマーのように作用するより強い分子間引力を有することが公知であり、これらに限定されないが、より良好な耐溶剤性および弾性を含めた、ウレタンを超えた性能の利点をもたらす。
他のポリマーとの通常のブレンド
【0069】
本発明の分散物は、当業者には周知の方法によって適合性のポリマーおよびポリマー分散物と合わせることができる。このようなポリマー、ポリマー溶液、および分散物は、A. S. Teot.「Resins, Water−Soluble」、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、John Wiley & Sons、第3版、第20巻、H. F. Markら編、207〜230頁(1982年)に記載されているものを含む。
相のより良好な相互浸透を実現する複合ポリマー組成物(例えば、フリーラジカル的に重合可能なモノマーを有するポリ尿素/ウレタン)
【0070】
この実施形態において、プレポリマーまたはポリ尿素/ウレタンの調製および分散の間のプレポリマーの粘度を低減させ、それに続いて不飽和モノマー(複数可)を重合してポリマーを形成させる溶剤として、エチレン系不飽和モノマー(複数可)を使用することができる。エチレン系不飽和モノマーおよび他のフリーラジカル的に重合可能なモノマーを、通常のフリーラジカル源によって重合させ、ポリ尿素/ウレタン粒子内にポリマーを形成し、分散物のポリ尿素/ウレタンポリアミドと複合ポリマーを形成することができる。ビニルポリマーは、これらのモノマーに由来する不飽和モノマーまたはポリマーの相当な部分に由来するポリマーについての総称である。ビニルのサブセットと考えられることが多いアクリルは、アクリル酸、アクリル酸のエステルであるアクリレート、およびアルカクリレート(alkacrylates)、例えば、メタクリレートおよびエタクリレート(ethacrylates)、およびここからのポリマーを指す。さらなるフリーラジカル的に重合可能な材料、例えば、他の不飽和モノマーをビニルまたはアクリルモノマーに加えて、共重合し得る。これらの他のモノマーは、モノマー、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、および他のモノマーでよく、炭素−炭素二重結合は、エチレン系不飽和モノマーと殆ど同じくらい反応性である(かつこれと共重合可能である)。ジエンはエチレン系不飽和と考えられ、広義のカテゴリーのビニルモノマーおよび狭いカテゴリーのアクリルモノマーの両方と共重合する。
【0071】
ポリウレタン粒子内の重合は、ポリ尿素/ウレタン複合体の水性分散液を形成し、次いで、さらなるモノマーを、これらの分散物の存在下で乳化重合または懸濁重合によって重合することによって行うことができる。複合ポリマーを作製する別の方法は、ポリ尿素/ウレタンプレポリマーにおいてエチレン系不飽和モノマーを含むことであり、例えば、反応物と共にプレポリマーを形成し、かつ/あるいはウレタンプレポリマーが分散する前の任意のとき、プレポリマーが水性媒体に分散する前、間および/または後にこれらのモノマーが重合することをもたらす。一実施形態において、100部の合わせた尿素/ウレタンおよびビニル(またはより狭い実施形態においてアクリル)に基づいたビニルモノマーからのポリマー(複数可)の重量パーセントは、少なくとも1重量パーセント、5重量パーセント、または10重量パーセントであり、補完的量の尿素/ウレタンプレポリマーまたはポリマーによって全部で100重量部となる。別の実施形態において、少量の尿素/ウレタンプレポリマーまたはポリマーが望ましい場合、尿素/ウレタンプレポリマーまたはポリマーは、合わせた重量の少なくとも0.1重量パーセント、0.5重量パーセント、1重量パーセント、5重量パーセントまたは10重量パーセントであり、ビニル(またはより狭い実施形態においてアクリル)ポリマーは、補完的量である。
1つのアプローチにおいて、エチレン系不飽和モノマーは、プレポリマー形成の間に賦形剤(または可塑剤)として作用する。ビニルモノマーがポリ尿素/ウレタン構成要素のための賦形剤として使用されるとき、ビニルモノマーは、ポリ尿素/ウレタンおよびビニル構成要素(重合が起こったか、または起こらなかったかによってモノマーまたはポリマー)の合わせた重量の約5重量パーセントまたは10重量パーセント〜約50重量パーセントである。アクリル樹脂を伴う本発明のポリ尿素/ウレタンの複合体は、これらのアプローチのいずれかによって作製することができる。一実施形態において、アルコール末端基を有するテレケリックポリアミドは、同様のポリマー分散物より低い加工温度およびより低い最小限のフィルム形成温度を有する水中のポリウレタンおよびポリウレタン分散物を形成するのに有用であり、第二級アミノ基は、末端ヒドロキシル基の位置にある。これらは、より良好なフィルム、またはポリマー分散物中により多くのポリアミドを組み込む能力、またはポリマー分散物中のより高い温度で溶融するポリアミドをもたらすことができる。パラグラフ0040に記載するように、これらのアルコール末端基が、第二級アミノ基を有するアミノアルコール(aminoalchohols)とカルボン酸末端ポリアミドとの反応に由来することが望ましい。これは、第二級アミノ基がジイソシアネートまたはポリイソシアネートと尿素連結を形成し、ヒドロキシル基がジイソシアネートまたはポリイソシアネートとウレタン連結を形成するからである。尿素連結は、より高い加工温度を必要とし、かつ同様のポリマーにおけるウレタン連結より高い最小限のフィルム形成温度を有するポリマーをもたらす。
水に分散している複合および/またはハイブリッドポリマーの拡大された定義
【0072】
その中にかなりの量のポリアミドセグメントを有する水性媒体(水)に分散した複合および/またはハイブリッドポリマーは、文献において広く開示されてこなく、前記複合および/またはハイブリッドポリマーは、市販されている現在のウレタンおよび/またはポリアミド組成物より、望ましいより低いフィルム形成温度、いくつかの極性基材へのより良好な接着、より良好な破断時伸び、より良好な引張強度、経年変化後の特性のより良好な保持などを有することができる。複合および/またはハイブリッド組成物は、縮合ポリマー中の他の繰り返し単位(例えば、任意選択で、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルセグメント、ポリシロキサンなど)に対する、ポリアミド繰り返し単位の重量百分率を調節することを可能とし、特定の温度での弾性率を最適化し、またはポリアミドに対してよりソフトまたはよりハードなポリマーセグメントを加えることによって最小限のフィルム形成温度を上げもしくは下げることができる。縮合ポリマーは、反応性基、例えば、アミン、カルボン酸、イソシアネート、ヒドロキシルなどをカップリングし、化学結合を形成することによって作製されるポリマーについての総称である(フリーラジカル連鎖重合とは対照的に)。複合および/またはハイブリッド組成物はまた、ポリアミドの量を増加させることなくビニルポリマーの重量百分率を増加させることによって、ポリアミドの重量百分率の調節を可能とする。このように、この技術は、複合粒子中のポリアミドの量を独立に制御するいくつかの方法を提供し、これらは複合粒子の極性もしくは水素結合、複合粒子の表面張力、および/または特定の重要な温度における複合ポリマーの弾性率、引張強度などに対して効果を有することができる。
【0073】
複合および/またはハイブリッドという用語によって、本発明者らは、ポリアミドに富んだポリマータイプとの他のポリマーの種々の混合物を含むことを意図する。本開示の焦点は、望ましくはポリアミドのフィーチャーがいくつかの有害なフィーチャー、例えば、高いポリマー加工温度を伴わずに達成することができるように、水中のポリマー分散物にポリアミドセグメントを加える方法である。ポリアミドセグメントを含有するポリマーは、ポリアミドセグメントに直接的または間接的に連結している他のコモノマーまたはコモノマーセグメントを有し得る。これらのコモノマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリシロキサンなどのものを含むことができる。複合および/またはハイブリッド分散物の複合および/またはハイブリッドポリマーは、水中のポリアミド分散物について開示されているのと概ね同じ粒径範囲を有する。
【0074】
複合および/またはハイブリッドポリマー分散物は、水中のポリアミド分散物について既に開示されたような、ポリアミドセグメントを含むポリマー内で、アニオン性、非イオン性、または双性イオン性のコロイドの安定化基を有し得る。
【0075】
一実施形態において、本発明者らは、水性媒体中の分散したハイブリッドポリマー粒子の形態の複合および/またはハイブリッドポリマー分散物であって、前記複合および/またはハイブリッドポリマー分散物は、ジアミン、アミノカルボン酸、ラクタム、およびジカルボン酸から選択されるモノマーのアミド形成縮合重合に由来する、少なくとも5重量%(いくつかの実施形態において、より望ましくは少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、30重量%または40重量%)のポリアミドセグメントを含み、前記重量%は、水性媒体中の前記ハイブリッドポリマー分散物の重量に対するものであり、前記ポリアミドセグメントは、前記モノマーからの繰り返し単位の一方または両方の末端において末端アミド連結(複数可)を有する前記モノマーからの繰り返し単位の全重量として特徴付けられる、複合および/またはハイブリッドポリマー分散物を開示する。より好ましい実施形態において、前記アミド連結は、少なくとも50モル%、70モル%、90モル%、または95モル%の、第二級アミンとカルボン酸との反応から形成されるタイプのアミド連結(すなわち、第三級アミド連結)として特徴付けられる。本発明者らは、ラクタムモノマー形成第三級アミド連結は第三級アミド連結として開始し、開環し、次いで、第三級アミド連結と共にポリマーを形成することを留意する。本発明者らは、カルボン酸と反応する第二級アミンから形成されるタイプのアミド連結に関する上記の言葉遣いが、第三級アミド連結を有するラクタムに由来するものを含むことを意図する。
【0076】
複合粒子はまた、少なくとも5重量%(いくつかの実施形態において、より望ましくは少なくとも10重量%、15重量%、20重量%、30重量%または40重量%)の、前記ポリアミドセグメントとして同じポリマー粒子内に前記ポリアミドセグメントが散在したビニルポリマーを含み、前記ビニルポリマーは、前記ポリアミドセグメント(ビニルモノマーは、この状況において、これらに限定されないが、(アルク)アクリレート((alk)acrylates)、ビニルエステル、不飽和アミド、アクリロニトリル、ジエン、スチレン、AMPモノマーなどを含めた、少なくともアルファ−ベータ不飽和を有し、かつ望ましくは3〜約30個の炭素原子を有すると定義される)、ならびに水の存在下で1つまたは複数のビニルモノマーのフリーラジカル重合に由来する。水は、ポリマー分散物の約10重量パーセント、20重量パーセント、または30重量パーセントからポリマー分散物の約70重量パーセント、80重量パーセント、または90重量%の量で存在することができる。典型的にはより低い水分含有量は、同じ量のポリマーについての運送費を軽減するが、分散物の粘度は水分含有量が最小化したとき上昇する傾向がある。
【0077】
一実施形態において、ポリアミドセグメントを含有するポリマーが部分的に架橋して、ポリマーの物理的特性、例えば、引張強度および弾性率が増加することが望ましい。一実施形態において、複合またはハイブリッドポリマー中のケトン架橋可能な官能基の量は、1グラムの前記ポリマー分散物毎に少なくとも0.05ミリ当量、または1グラムの前記ポリマー分散物毎に約1ミリ当量まで、好ましくは、約0.05〜約0.5ミリ当量、より好ましくは約0.1〜約0.3ミリ当量である。この実施形態において、ケトン基は、ポリアミド含有ポリマーまたはビニルポリマー上であり得る。別の実施形態において、前記複合またはハイブリッドポリマー分散物は、前記ポリマー毎に平均して1つまたは複数のケトン基を含むポリマー中に化学的に結合している、少なくとも10重量%、20重量%、30重量%、40重量%または50重量%の前記ポリアミドセグメントを有する。別の実施形態において、前記ポリマー分散物は、前記ケトン基のモルに基づいてヒドラジンおよび/またはヒドラジド基の10モル%〜約200モル%の量でヒドラジンおよび/またはヒドラジド基(低分子量化学種の形態であるときがあり、ヒドラジド基を有するポリマーの形態であるときがある)をさらに含む。これはヒドラジンとのケトン化学反応を実現し、化学的架橋として機能することができる化学結合を形成する。典型的には、架橋のためにヒドラジンを加えるとき、ヒトに対するヒドラジンの潜在的な望ましくない反応のために過剰なヒドラジンを使用しない。一実施形態において、ヒドラジンまたはヒドラジド基の量は、望ましくはケトン官能基の量の約20〜100モル%である。
【0078】
一実施形態において、前記ヒドラジンおよび/またはヒドラジド基は、400g/モル未満、300g/モル未満または220g/モル未満の分子量の反応性のヒドラジンまたはヒドラジド化合物(例えば、アジピン酸ジヒドラジド)の一部である。別の実施形態において、前記ヒドラジド基は存在し、前記ヒドラジド基は、300g/モルまたは400g/モルから500,000g/モルの分子量のヒドラジド反応性オリゴマーまたはポリマー化学化合物の一部である。
【0079】
別の実施形態において、前記ビニルポリマーは、ビニルポリマー毎に平均して1つまたは複数(乾燥ビニルポリマーの重量ベースで、1グラムのビニルポリマー毎に、より望ましくは約1ミリ当量まで、好ましくは約0.05〜約0.5ミリ当量、より好ましくは約0.1〜約0.3ミリ当量)のケトン基を含み、前記分散物は、前記ケトン基のモルに基づいて10モル%〜約200モル%の量でヒドラジンおよび/またはヒドラジド基をさらに含む。
【0080】
上記のケトン−ヒドラジン架橋は、揮発性塩基の蒸発によって、および溶液のpHの僅かに塩基性から中性または酸pHへのシフトによって、概ね室温にてポリマー分散物のための有効な架橋剤としてウレタンおよびアクリルポリマー分散物の技術分野において周知である。著者Anthony D.Pajerskiは、ケトン−ヒドラジン架橋によって架橋されまたは分子量が増加した水中のウレタンおよび関連する化合物についてのいくつかの特許を有する。この技術はまた、時折アゾメチン連結として公知である。
【0081】
空気酸化し得る自己架橋可能な(不飽和)架橋剤はまた、複合またはハイブリッド分散物のポリマーに移すことができる。自己架橋可能な基は、活性水素含有(イソシアネート反応性)不飽和脂肪酸エステルポリオール(複数可)(例えば、油変性ポリオール)を介してポリマー主鎖中に挿入することができる。ポリマーにおけるこのように得られた不飽和は、空気硬化性不顕性の架橋性を与え、そのためこのような構成要素を含有するコーティング組成物が空気中で乾燥するとき(乾燥塩(drier salt)と併せることが多い)、コーティングは自己架橋反応を受ける。イソシアネート反応性とは、不飽和脂肪酸ポリオールが、ポリイソシアネート上のイソシアネート基との反応のために利用可能な少なくとも2つのヒドロキシル基(活性水素原子を含有)を含有することを意味する。本発明において用いられる油変性ポリオールは、当技術分野で通常である。これらは一般に、多官能性アルコール(ポリオール)と乾性油(グリセリド)または遊離脂肪酸とを反応させることによって生成される。乾性油および遊離脂肪酸の脂肪酸構成要素(複数可)は、少なくとも1つのオレフィン炭素−炭素二重結合を含有することによって特徴付けられ、2つ、3つまたはこれ超のオレフィン二重結合を有することができる。利用する不飽和脂肪酸エステルポリオール(または乾性油)の量は、多くの要因、例えば、最終組成物において望ましい可撓性の程度、ならびにプレポリマー形成において使用される他の反応物の性質および量、ならびにポリマーについて望ましい空気硬化の程度および速度によって決まる。
【0082】
不飽和脂肪酸エステルポリオールはまた、不飽和脂肪酸とエポキシ基含有化合物とを反応させることによって得ることができる。本発明の一態様において、油変性ポリオールを調製するために使用することができる多官能性アルコールは一般に、2〜約12個の炭素原子を含有する。本発明の別の態様において、多官能性酸および酸無水物は、多官能性アルコールと反応して、多官能性アルコールとして使用するためのポリエステルポリオールを得ることができる。本発明のこの態様において有用なこのような酸および無水物は一般に、4〜約36個の炭素原子を含有する。本発明の油変性ポリオールの調製において利用することができる不飽和脂肪酸は、エチレン系不飽和および多価不飽和脂肪酸およびこれらのエステルを含む。脂肪酸は、1〜約3つのオレフィン二重結合またはそれ以上を含有し、共役および非共役合成の不飽和を含むことができる。脂肪酸は、不飽和炭素間二重結合の位置に関する全ての天然および合成位置異性体を包含し、含むことが意図される。本発明の別の態様において、脂肪酸は、2〜3つの不飽和二重結合を含有する。油変性ポリオールの調製において用いることができる不飽和脂肪酸には、これらに限定されないが、いわゆる乾性油または半乾性油のいずれか、例えば、亜麻仁油、ケシ油、キリ油などの加水分解によって形成されるものが含まれる。合成的に修飾した不飽和脂肪酸はまた、本発明の不飽和脂肪酸エステルポリオールの調製において用いることができる。不飽和脂肪酸およびこれらの誘導体の特性は、脂肪酸の分子の立体的位置または炭素鎖における位置に関して、二重結合の構造の再構成、すなわち、異性化によって変化させることができる。
【0083】
複合および/またはハイブリッドポリマー分散物は、前記分散物の重量に対して約0.5〜約10重量%のC
1またはC
3〜C
12第二級アルコールをさらに含み、ポリアミドセグメントへの単純な水素結合供与構成要素として機能し、組成物を軟化または可塑化し得る(分散プロセスの間のより低い温度またはより低い粘度でのフィルム形成を増強させる)。複合および/またはハイブリッドポリマー分散物はまた、ポリマー分散物の約0.5〜約10重量%の量で300g/モル未満または400g/モル未満の分子量のアルキレンオキシドグリコールエーテルを含み得る。複合および/またはハイブリッドポリマー分散物はまた、アニオン性、非イオン性、または双性イオン性の界面活性剤を含み、分散物をコロイド状に安定化させる助けをし得る。
【0084】
複合および/またはハイブリッドポリマー分散物は、約1〜約10重量%の前記ポリアミドセグメントの1つまたは複数に直接的または間接的に化学的に結合しているポリシロキサンをさらに含み得る。ポリシロキサンポリオールは、C
1〜C
3−アルキルまたはアリール基を含有することができる、−Si(R
1)(R
2)−O−繰り返し単位、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン(dimethysiloxane)−co−ジフェニルシロキサン)、ポリジフェニルシロキサン、ポリ(メチルフェニル)シロキサンなど、およびこれらの組合せの存在によって特徴付けられる。例には、Momentive Performance Materialsからのエトキシ化ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)Y−17256、およびGelestからの側鎖PDMSジオールMCR−C61が含まれる。
【0085】
従前の開示による複合および/またはハイブリッドポリマー分散物は、前記ポリアミドセグメントの1つまたは複数に直接的または間接的に結合している尿素および/またはウレタン連結をさらに含み得る。これはポリアミドセグメントを使用し(アミド連結の大部分は、既に考察したように第三級アミド連結である)、ポリアミドのセグメントは、ポリイソシアネートとヒドロキシルおよび/またはアミン基との反応に由来するウレタンまたは尿素連結と連結することがあり、または連結することが多い。このように、ポリアミドセグメントは、ウレタンまたは尿素連結によって鎖延長される。一実施形態において、アミン(第一級または第二級)反応性基がイソシアネート基と反応する場合、前記ポリマーにおいて20個のアミド連結毎に平均して少なくとも4つの尿素連結が存在する。別の実施形態において、ウレタン連結が好ましく、ヒドロキシル末端セグメントとイソシアネート基との反応から作製される場合、前記ポリアミドセグメントにおいて20個のアミド連結毎に平均して少なくとも4つのウレタン連結が存在する。
プロセス
【0086】
ポリ尿素/ウレタン粒子の水性分散液は、実質的に水の非存在下で(水はイソシアネート基と反応するため)ポリ尿素/ウレタンプレポリマーを形成し、次いで、水性媒体にこのプレポリマーを分散させることによって本発明によって作製する。これは、当技術分野にとって公知の方法のいずれかで行うことができる。典型的には、プレポリマー形成は、プレポリマーの成分をバルク重合または溶液重合することによって行われる。
【0087】
ポリ尿素/ウレタンプレポリマー混合物が形成されると、任意選択で前記プレポリマー/ポリマー中に組み込まれた分散性部分と共に、これは水性媒体に分散し、分散物または溶液を形成する。プレポリマーを水性媒体に分散させることは、バルク重合または溶液重合によって作製されたポリウレタンプレポリマーが水に分散するのと同様に、任意の通常の技術によって行うことができる。通常、これはプレポリマーブレンドと水とを混合しながら合わせることによって行われる。溶剤重合が用いられる場合、溶剤および他の揮発性構成要素は、必要に応じて、最終分散物から任意選択で留去することができる。プレポリマーが、十分な水分散性増強化合物、例えば、アニオン性、カチオン性、および/または非イオン性のモノマーを含み、加えた乳化剤(界面活性剤)を伴わずに安定的な分散物が形成される場合、分散物は、このような化合物を伴わずに、すなわち、必要に応じて界面活性剤が実質的に非含有で作製することができる。このアプローチの利点は、低分子量界面活性剤を伴わずにポリ尿素/ウレタンから作製したコーティングまたは他の生成物が、より少ない感水性、しばしばより良好なフィルム形成およびより少ない泡立ちを示すことである。
【0088】
水性ポリウレタン分散物を作製する他の公知の方法をまた使用して、本発明の分散物を作製することができる。これらの概説は、D. Dieterich、Progress in Organic Coatings、第9巻、281〜340頁(1981年)を含めていくつかの公開資料において見出すことができる。プロセスの例には、下記が含まれる。
【0089】
剪断混合 − 乳化剤(外部乳化剤、例えば、界面活性剤、またはポリマー主鎖の一部またはポリマー主鎖へのペンダントとして、および/またはポリマー主鎖上の末端基として、アニオン性、非イオン性、カチオン性および/もしくは双性イオン性基を有する内部乳化剤)による剪断力によるプレポリマーの分散。
【0090】
アセトンプロセス − イソシアネートと非反応性であり、容易に蒸留される、アセトン、MEK、および/または他の極性溶剤の存在下または非存在下で、プレポリマーを形成する。プレポリマーを、必要に応じて前記溶剤にさらに希釈し、活性水素含有化合物で鎖延長する。水を鎖延長されたポリマーに加え、溶剤を留去する。このプロセスに対するバリエーションは、水へのその分散の後にプレポリマーを鎖延長することである。
【0091】
溶融分散プロセス − イソシアネート末端プレポリマーを形成し、次いで、過剰なアンモニアまたは尿素と反応させて、末端尿素またはビウレット基を有する低分子量オリゴマーを形成させる。このオリゴマーは水に分散し、ホルムアルデヒドによるビウレット基のメチロール化によって鎖延長する。
【0092】
ケタジンおよびケチミンプロセス − ヒドラジンまたはジアミンはケトンと反応して、ケタジンまたはケチミンを形成させる。これらをプレポリマーに加え、イソシアネートに対して不活性なままとする。プレポリマーが水に分散すると、ヒドラジンまたはジアミンは遊離し、分散が起こるにつれ鎖伸長が起こる。
【0093】
連続プロセス重合 − イソシアネート末端プレポリマーが形成される。このプレポリマーは、高剪断混合頭部(複数可)を通してポンプ注入され、水に分散し、次いで、前記混合頭部(複数可)において鎖延長し、または前記混合頭部(複数可)において同時に分散および鎖延長する。これはプレポリマー(もしくは中和されたプレポリマー)、任意選択の中和剤、水、および任意選択の連鎖延長剤および/または界面活性剤からなる複数の流れによって達成される。
【0094】
逆転フィードプロセス − 水および任意選択の中和剤(複数可)および/または鎖延長剤アミン(複数可)を、かき混ぜながらプレポリマーに導入する。水および/またはジアミン連鎖延長剤を加える前に、プレポリマーを中和することができる。
添加物および適用
【0095】
ポリアミドおよび尿素連結は、ポリエーテル、ポリエステル、およびウレタン連結より高い軟化温度を有するため、本開示のプレポリマーおよびポリマー分散物中に融合助剤を含めて、所望の温度でポリマー粒子が互いに融合し、およびポリマー粒子と組成物中の任意の固体添加物との融合の促進を助けることが望ましい。融合助剤はまた、これらの機能によって溶剤または可塑剤として公知であり得る。1種の融合助剤は、複合ポリマーブレンドを伴う既に考察したビニルモノマーである。好ましいビニルモノマーには、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸エチルおよびスチレンが含まれる。融合溶剤には、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジメチルカーボネート、イソプロピルアルコール、ジブチレングリコールジメチルエーテル、およびTexanol(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールのイソ酪酸エステル)が含まれる。
【0096】
中和剤は、本発明の分散物およびこのような分散物から調製されるコーティング組成物において任意選択で用いることができる。組成物のpHは、約7〜約10の範囲であり得る。適切な中和剤には、これらに限定されないが、水酸化アルカリ、例えば、リチウム、ナトリウムおよびカリウム、および有機塩基、例えば、アンモニアおよび第三級アミン、例えば、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンモルホリン、およびこれらの混合物が含まれる。
架橋剤
【0097】
少なくとも1つの架橋可能な官能基を有する化合物はまた、必要に応じて本発明のポリ尿素/ウレタン中に組み込むことができる。このような化合物の例には、カルボキシル、カルボニル、アミン、ヒドロキシル、エポキシ、アセトアセトキシ、オレフィンおよびヒドラジド基、ブロック化イソシアネートなど、およびこのような基の混合物、およびそこからこれらが由来する本来の基に逆行することができる保護された形態の同じ基を有するものが含まれる。架橋性を実現する他の適切な化合物には、チオグリコール酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、メラミンおよびその誘導体、多価金属化合物など、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0098】
プレポリマー中に架橋可能な官能基を有する任意選択の化合物の量は、乾重量ベースで1グラムの最終ポリウレタン毎に、典型的には約1ミリ当量まで、好ましくは約0.05〜約0.5ミリ当量、より好ましくは約0.1〜約0.3ミリ当量である。
【0099】
当業者には周知の他の添加物を使用して、本発明の分散物の調製を助けることができる。このような添加物には、界面活性剤、安定剤、消泡剤、増粘剤、均展剤、抗微生物剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、色素、染料などが含まれる。これらの添加物は、製造工程の任意の段階において加えることができる。
【0100】
本発明の分散物は典型的には、総コーティング組成物の重量に対して、一態様において、少なくとも約20重量パーセント、別の態様において、少なくとも約30重量パーセント、さらなる態様において、少なくとも約40重量パーセント、また別の態様において、約45重量パーセントの全固体を有する。
【0101】
コーティング組成物または接着剤として、これらは、ブラッシング、液浸、フローコーティング、噴霧などを含めた任意の通常の方法によって木材、金属、ガラス、布、革、紙、プラスチック、フォームなどを含めた任意の基材に適用し得る。
【0102】
本発明の組成物およびこれらの配合物は、同様のポリウレタン組成物より長い有用な寿命、または他の改善された特性を有する、自己支持型フィルム、様々な基材上のコーティング、または接着剤として有用である。
【実施例】
【0103】
これらの実施例において、下記の試薬を使用した。
H12MDI − Desmodur(登録商標)WとしてBayer Corporationからの1,1’−メチレンビス−(4−イソシアナトシクロヘキサン)。
IPDI − Bayer Corporationからのイソホロンジイソシアネート。
Tegomer(登録商標)D−3403 − Evonikからのトリメチロールプロパンモノエトキシレートメチルエーテル(Mn=1,220g/mol)。
Jeffamine−D230:ジ−第一級アミン末端ポリプロピレングリコール、Mn=230g/mol。
PC−4672は、アルコール鎖末端を有するヘキサンジオールおよびブタンジオールカーボネートのコポリマーである約2000g/モルの分子量のポリカーボネートである。触媒(DBTL)は、ジ−n−ブチルスズジラウレートである
Santisizer(商標)−148可塑剤:Ferroから入手可能なイソデシルジフェニルホスフェート。
VeoVa(商標)10:Momentiveから入手可能なバーサチック酸のビニルエステル、バーサチック酸は、HO−C(=O)(R
1)(R
2)であり、R
1およびR
2は、7個の炭素原子を有する(分岐状)アルキル基である。
tBHPOは、第三級ブチルヒドロペルオキシドである
ErA(+TEA)は、エリトルビン酸およびいくらかのトリエタノールアミンである
Fe(EDTA)
2は、エチレンジアミン四酢酸と錯体化した鉄である
Y14209は、Momentiveからのビス−ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、Mn=1650g/モルである
IBOZは、アクリル酸イソボルニルである
BHTは、ブチルヒドロキシトルエンである
EC−90:Ethacure−90、N,N’−ジ(3,3−ジメチルブタン−2−イル)ヘキサンジアミン、下記の構造を参照されたい。
【化7】
ポリアミドA
全ての二酸、ピペラジン(量:処方における「ブロック」および「ジアミン」の合計)および水を、N
2雰囲気下で反応器に導入した。反応器を100℃に加熱し、水を蒸発させた。170℃まで加熱を続け、この温度を3時間維持した。反応器の圧力を1〜30ミリバールに減少させ、さらに10時間反応を続けた。生成物は、<3.0mgKOH/gポリマーの酸価を伴って室温にて僅かに黄色がかったペーストであった。末端基は、第二級アミンであった。
ポリアミドB
全ての二酸、EC−90およびホウ酸を、N
2雰囲気下で反応器に導入した。反応器を250℃に加熱し、この温度にて5時間維持した。反応器を130℃に冷却し、ピペラジンを導入した(量:処方における「ブロック」および「ジアミン」の合計)。反応器を170℃に加熱し、大気圧にて2時間でポリマーが形成された。反応器の圧力を1〜30ミリバールに減少させ、さらに10時間反応を続けた。生成物は、<3.0mgKOH/gポリマーの酸価を伴って室温にて僅かに黄色がかったペーストであった。末端基は、第二級アミンであった。
ポリアミドC
全ての二酸、ピペラジン、ホモピペラジン、2−メチルピペラジンおよび水を、N
2雰囲気下で反応器に導入した。反応器を100℃に加熱し、水を蒸発させた。180℃まで加熱を続け、この温度を3時間維持した。反応器を130℃に冷却し、エチレンジアミンを導入した。反応器を170℃に加熱し、2時間で大気圧にてポリマーが形成された。反応器の圧力を1〜30ミリバールに減少させ、さらに10時間反応を続けた。生成物は、<3.0mgKOH/gポリマーの酸価を伴って室温にて僅かに黄色がかったペーストであった。末端基は、第一級アミンであった。
ポリアミドD
(参考例)
全ての二酸、ピペラジンおよび水を、N
2雰囲気下で反応器に導入した。反応器を100℃に加熱し、水を蒸発させた。180℃まで加熱を続け、この温度を3時間維持した。反応器を130℃に冷却し、Jeffamine−D230を反応器に導入した。反応器を170℃に加熱し、2時間で大気圧にてポリマーが形成された。反応器の圧力を1〜30ミリバールに減少させ、さらに10時間反応を続けた。生成物は、<3.0mgKOH/gポリマーの酸価を伴って室温にて僅かに黄色がかったペーストであった。末端基は、第一級アミンであった。
ポリアミドE
(参考例)
全ての二酸、EC−90およびホウ酸を、N
2雰囲気下で反応器に導入した。これを250℃に加熱し、この温度で5時間維持した。反応器を130℃に冷却し、ピペラジン(量:処方における「ブロック」および「ジアミン」の合計)を反応器に導入した。反応器を170℃に加熱し、4時間で大気圧にてポリマーが形成された。反応器を130℃に冷却し、エチレンジアミン(装填の重量の5%)を反応器に加え、反応を完了させた。温度を170℃に上昇させ、反応を3時間続けた。反応器の圧力を1〜30ミリバールに減少させ、反応をさらに1時間続けた。生成物は、酸価<3.0を伴って室温にて僅かに黄色がかったペーストであった。末端基は、第二級および第一級アミンの混合物であった。
【表1】
【表2】
(実施例PUD#I)
ジメチロールブタン酸(42.9g)およびジメチルカーボネート(溶剤)(85.8g)を反応器中へと秤量し、反応器を90℃に加熱し、ジメチロールブタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。反応器を70℃に冷却し、撹拌および冷却している間にDes W(346.3g)を加えた。反応器温度を、1.5時間または理論的NCO%に達するまで55℃に維持した。混合物を24℃または25℃に冷却し、250gのイソプロパノールを加えた。溶液を10℃にさらに冷却した。ポリアミドのイソプロパノール溶液(743g、固形含量:66.6重量%、Mn=920g/mol;ポリアミドA:セバシン酸、ドデカン二酸、水素化ダイマー酸およびピペラジンのアミン末端コポリマー)を、冷却している間に反応器に導入した。ポリアミドを、イソシアネートと15分間反応させた。次いで、トリエチルアミン(43.91g)を加え、調製したプレポリマーを水(2700g)に分散させた。分散物を15分でヒドラジン(40.7g、水中の35%溶液)で鎖延長させた。溶剤を減圧にて50〜55℃で蒸発させた。生成物は、白色の水性ポリ尿素/ウレタン分散物であった。
(実施例PUD#II)
ジメチロールブタン酸(14.8g)およびジメチルカーボネート(14.8g)を反応器中へと秤量し、反応器を90℃に加熱し、ジメチロールブタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。反応器を70℃に冷却し、撹拌および冷却している間にHDI(66.5g)を加えた。反応器温度は、1.5時間または理論的NCO%に達するまで50℃にて維持した。混合物を24℃または25℃に冷却し、100gのイソプロパノールを加えた。溶液を10℃にさらに冷却した。ポリアミドのイソプロパノール溶液(262g、固体含量:75.5重量%、Mn=1700g/mol;ポリアミドB:セバシン酸、ドデカン二酸、水素化ダイマー酸、EC−90およびピペラジンのアミン末端コポリマー)を、冷却している間に反応器に導入した。ポリアミドを、イソシアネートと15分間反応させた。次いで、トリエチルアミン(20.1g)およびアセトン(100g)を加え、調製したプレポリマーを水(1080g)に分散させた。分散物を、15分でヘキサンジアミン(16.6g、アセトン中の50%溶液)で鎖延長させた。減圧にて50〜55℃にて溶剤を蒸発させた。生成物は、白色の水性ポリ尿素/ウレタン分散物であった。
(実施例PUD III)
ジメチロールブタン酸(9.8g)およびジメチルカーボネート(19.6g)を反応器中へと秤量し、反応器を90℃に加熱し、ジメチロールブタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。反応器を70℃に冷却し、撹拌および冷却している間にDes W(78.5g)を加えた。反応器温度は、1.5時間または理論的NCO%に達するまで55℃にて維持した。混合物を24℃または25℃に冷却し、140gのイソプロパノールを加えた。溶液を10℃にさらに冷却した。ポリアミドのイソプロパノール溶液(344g、固体含量:55重量%、Mn=1780g/mol;ポリアミドC:セバシン酸、ドデカン二酸、水素化ダイマー酸、メチルピペラジン、ホモピペラジン、エチレンジアミンおよびピペラジンのアミン末端コポリマー)を、冷却している間に反応器に導入した。ポリアミドを、イソシアネートと15分間反応させた。次いで、トリエチルアミン(8.7g)を加え、調製したプレポリマーを水(1100g)に分散させた。分散物をヒドラジン(11.1g、水中の35%溶液)で15分に亘り鎖延長させた。減圧にて50〜55℃にて溶剤を蒸発させた。生成物は、白色の水性ポリ尿素/ウレタン分散物であった。
(
参考例PUD#IV)
ジメチロールブタン酸(18.7g)、NMP(88.5g)、ポリアミド(212.6g、Mn=1530g/mol;ポリアミドD:セバシン酸、水素化ダイマー酸、Jeffamine−D(Mn=250g/mol)およびピペラジンのアミン末端コポリマー)を反応器中へと秤量し、反応器を90℃に加熱し、ジメチロールブタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。反応器を70℃に冷却し、DBTL(70mg)およびDes W(117.2g)を加えた。反応器温度を1.5時間または理論的NCO%に達するまで90℃にて維持し、次いで、トリエチルアミン(14.1g)を70℃にて加えた。プレポリマーを55℃に冷却し、これをRT水(1100g)に分散させた。分散物を15分でヒドラジン(5.8g、水中の35%溶液)で鎖延長させた。生成物は、白色の水性ポリ尿素/ウレタン分散物であった。
(
参考例V)
複合ポリ尿素/ウレタン(メタ)アクリレート
ジメチロールブタン酸(2.86g)およびジメチルカーボネート(5.6g)を反応器中へと秤量し、反応器を90℃に加熱し、ジメチロールブタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。反応器を70℃に冷却し、撹拌および冷却している間にDes W(g)を加えた。反応器温度は、1.5時間または理論的NCO%に達するまで55℃にて維持した。混合物を24または25℃に冷却し、10.5gのアクリル酸ブチルを加えた。ポリアミドのメタクリル酸メチル溶液(60.3g、固体含量:ポリアミドE、59.3重量%、Mn=g/mol)を、冷却している間に反応器に導入した。ポリアミドを、イソシアネートと15分間反応させた。次いで、トリエチルアミン(3.51g)を調製したプレポリマーに加え、温度を50℃に設定し、プレポリマーを水(176g)に分散させた。分散物を15分でピペラジン(3.51g)で鎖延長させた。次いで、0.05mgのFeEDTA、60mgのt−ブチルペルオキシドおよび40mgのエリトルビン酸の存在下で、(メタ)アクリレートを50℃にて1.5時間重合させた。生成物は、白色の水性アクリルポリウレタン分散物であった。
さらなるポリアミド
(実施例F)
セバシン酸、ドデカ二酸、水素化ダイマー酸、Ethacure−90、およびピペラジンからのアミン末端ポリアミド。
セバシン酸、ドデカ二酸、水素化ダイマー酸、ホウ酸およびEthacure−90を、反応器中へと測定した。N
2雰囲気下で、撹拌しながら温度を250℃に上昇させた。構成要素を250℃にて5時間反応させ、その間に、アミド形成の結果として水が反応器から留去した。反応器を130℃に冷却し、ピペラジンを導入した。次いで、反応器を150℃に1時間、180℃に1時間加熱した。ジプロピレングリコールジメチルエーテルを反応器に導入し、温度を240℃に上昇させた。モノマーを大気圧にて8時間重合させ、次いで、減圧を1時間かけた。
(
参考例G)
水素化ダイマー酸、ピペラジン、およびカプロラクトンからのヒドロキシル末端ポリアミド
水素化ダイマー酸およびピペラジンを導入した。次いで、反応器を150℃に1時間、および180℃に1時間加熱した。ジプロピレングリコールジメチルエーテルを反応器に導入し、温度を240℃に上昇させた。モノマーを大気圧にて8時間重合させ、次いで、温度を180℃に減少させた。カプロラクトンを導入し、180℃にて6時間大気圧にて反応させ、次いで、減圧を180℃にて1時間かけた。
(
参考例H)
ダイマー酸、ピペラジンおよびカプロラクトンからのヒドロキシル末端ポリアミド
水素化ダイマー酸およびピペラジンを導入した。次いで、反応器を150℃に1時間、および180℃に1時間加熱した。ジプロピレングリコールジメチルエーテルを反応器に導入し、温度を240℃に上昇させた。モノマーを大気圧にて8時間重合させ、次いで、温度を180℃に減少させた。カプロラクトンを導入し、180℃にて6時間大気圧にて反応させ、次いで、減圧を180℃にて1時間かけた。
(
参考例I)
水素化ダイマー酸、セバシン酸、ピペラジン、およびカプロラクトンからのヒドロキシル末端ポリアミド
水素化ダイマー酸、セバシン酸およびピペラジンを導入した。次いで、反応器を150℃に1時間、および180℃に1時間加熱した。ジプロピレングリコールジメチルエーテルを反応器に導入し、温度を240℃に上昇させた。モノマーを大気圧にて8時間重合させ、次いで、温度を180℃に減少させた。カプロラクトンを導入し、180℃にて6時間大気圧にて反応させ、次いで、減圧を180℃にて1時間かけた。
ケトンジオール合成。これは、約1モルのビスフェノールAジグリシジルエーテルと、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのモルに基づいて約1.25モル%のトリフェニルホスフィン触媒を伴う約2モルのレブリン酸とを100〜120Cにて窒素雰囲気下にて約3時間反応させることによって作製する(望ましくは、レブリン酸に起因する酸価は、反応物の0.9mgKOH/g未満となる)。酸価が達成されず、反応時間が続く場合、過剰なビスフェノールAジグリシジルエーテルを加えることができる。レブリン酸の酸基はグリシジル環を開環し、開環において第二級ヒドロキシル基を生じさせ、酸基のカルボニルはグリシジル環の炭素原子に化学的に付着させる。次いで、(ビスフェノールAジグリシジルエーテルのモルに基づいて)約4モルパーセントのIPDIを加え、約8モルパーセントのビスフェノールAジグリシジルエーテルをカップリングさせる。レブリン酸およびビスフェノールAジグリシジルエーテルの反応生成物の間の反応は通常、85〜90℃にて低水分環境において約0.5時間で、または0.1%未満のイソシアネート基が残るまで達成することができる。
【化8】
式中、R’C(O)OHは、レブリン酸であり、tは、約0であり、R’は、炭素、水素およびレブリン酸のケトン基を含有する。
分散物
ハイブリッドPUD VI(ポリアミド実施例Fを使用)加えたDMBA分散基を有し、アクリレートに溶解し、水性媒体に分散し、ヒドラジンで鎖延長したポリアミド。次いで、アクリレートをフリーラジカル的に重合した。
ジメチロールブタン酸、ポリアミドFおよび可塑剤(複数可)をプレミックス反応器中に秤量し、反応器を90℃に加熱し、ジメチロールブタン酸が完全に溶解するまで撹拌した。次いで、全てのメタクリレートを、プレミックス反応器に加えた。全てのイソシアネートおよびアクリレートをプレポリマー反応器に導入し、プレミックスをプレポリマー反応器に5〜10分で導入した。反応器温度は90℃に設定し、理論的NCO%に達するまでこの温度にて保持した。次いで、温度を70℃に変化させ、トリエチルアミンを加え、次いで、55℃にさらに冷却し、次いで、プレポリマーを水に分散させた。分散物を15分で連鎖延長剤で鎖延長させた。次いで、FeEDTA、t−ブチルペルオキシドおよびエリトルビン酸の存在下で、(メタ)アクリレートを50℃にて1.5時間重合させた。生成物は、白色の水性アクリルポリウレタン分散物であった。
ハイブリッドPUD VII(ポリアミド
参考例Gを使用)ヒドロキシル末端ポリアミド、他のポリオール、およびDMBA分散基を脂肪族ポリイソシアネートとカップリングし、アクリレートおよびスチレンに溶解し、水性媒体に分散させ、ヒドラジンで鎖延長する。次いで、アクリレートおよびスチレンを重合させた。
全てのポリオール、ジメチロールブタン酸およびケトンジオールをプレポリマー反応器に導入し、ジメチロールブタン酸を90℃にて溶融ポリマーに溶解した。次いで、全てのメタクリレート、それに続いてイソシアネートおよびアクリレート、スチレンおよび触媒を反応器に導入した。反応器温度を90℃に設定し、理論的NCO%に達するまでこの温度にて保持した。次いで、温度を70℃に変化させ、トリエチルアミンを加え、次いで、55℃にさらに冷却し、プレポリマーを水に分散させた。分散物を15分で連鎖延長剤で鎖延長させた。次いで、FeEDTA、t−ブチルペルオキシドおよびエリトルビン酸の存在下で、(メタ)アクリレートを50℃にて1.5時間重合させた。最終的に、アジピン酸ジヒドラジドを加えた。生成物は、白色の水性アクリルポリウレタン分散物であった。
ハイブリッドPUD VIII(ポリアミド
参考例Hを使用)ポリアミド
参考例H、ポリカーボネートジオール、ケトンジオール、ジメチロールブタン酸、およびHMDIをビニルモノマーと混合し、イソシアネートおよびポリオールをイソシアネートと反応させ、溶剤として作用するビニルモノマーと共にプレポリマーを形成させた。プレポリマーを水に分散させ、鎖延長させ、ビニルモノマーを重合させた。
【0104】
全てのポリオール、ジメチロールブタン酸およびケトンジオールをプレポリマー反応器に導入し、ジメチロールブタン酸を溶融ポリマーに90℃にて溶解した。次いで、全てのメタクリレート、それに続いてイソシアネートおよびアクリレート、スチレンおよびイソシアネート触媒を、反応器に導入した。反応器温度を90℃に設定し、理論的NCO%に達するまでこの温度で保持した。次いで、温度を70℃に変化させ、トリエチルアミンおよびアクリロニトリルを加え、次いでこれを55℃に冷却し、プレポリマーを水に分散させた。分散物を15分で連鎖延長剤で鎖延長させた。次いで、FeEDTA、t−ブチルペルオキシドおよびエリトルビン酸の存在下で、ビニルモノマーを50℃にて1.5時間重合させた。最終的に、アジピン酸ジヒドラジドを加えた。生成物は、白色の水性アクリルポリウレタン分散物であった。
ハイブリッドPUD IX(ポリアミド実施例Iを使用)ポリアミド、ケトンジオール、ポリジメチルシロキサンジオール、ジメチロールブタン酸、およびIPDIを反応させ、プレポリマーを形成させた。プレポリマーをビニルモノマーと共に、水相に分散させた。プレポリマーを3.3gのエチレンジアミンで鎖延長させた。
【0105】
ポリアミド、ポリオール、およびジメチロールブタン酸、および非架橋用ビニルモノマーのいくつか、およびブチルヒドロキシトルエン抗酸化剤を、約80Cに加熱して、ジメチロールブタン酸を均質化した。反応物を70〜75Cに冷却し、その後IPDIを加えた。次いで、反応物を90〜96℃に加熱し、プレポリマーを形成させた。プレポリマーを65〜70℃に冷却し、トリエチルアミンを架橋用モノマー(ジアセトンアクリルアミドおよびヘキサンジオールジメタクリレート(dimethyacrylate))と共に加えた。次いで、プレポリマー(約55〜65℃)を水(約20〜25℃)に分散させた。次いで、いくらかのヒドラジンおよびエチレンジアミンを加え、プレポリマーを鎖延長させた。次いで、FeEDTA、t−ブチルペルオキシドおよびエリトルビン酸の存在下で、ビニルモノマーを45℃にて1.25時間重合させた(注、FeEDTAおよびBHPOを最初に45分間重合させ、次いで、第2の用量のBHPOおよびエリトルビン酸を加え、さらに30分重合を続けた。)
【表3】
【表4】
【0106】
上で言及した文献のそれぞれは、参照により本明細書中に組み込まれている。実施例を除いて、または他に示さない限り、量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定するこの記載における全ての数量は、「約」という語によって修飾されると理解される。他に示さない限り、全てのパーセントおよび配合値は、モルベースである。他に示さない限り、全ての分子量は、数平均分子量である。他に示さない限り、本明細書において言及する各化学物質または組成物は、異性体、副生成物、誘導体、および商業グレードにおいて存在すると通常理解される他のこのような材料を含有し得る商業グレードの材料であると解釈すべきである。しかし、各化学物質構成要素の量は、他に示さない限り、商業材料中に通例存在し得る任意の溶剤または賦形剤を除いて存在する。本明細書において記載するより上およびより下の量、範囲、および比の限度は、独立に合わせ得ることを理解すべきである。同様に、本発明の各要素についての範囲および量は、他の要素のいずれかについての範囲または量と一緒に使用することができる。本明細書において使用する場合、「から本質的になる」という表現は、想定している組成物の基礎的および新規な特徴に実質的に影響しない物質を含むことを許容する。本明細書に記載されている本発明の実施形態の全ては、拡張可能な包括的観点(すなわち、「を含む」という言葉を使用)、ならびに閉じられた排他的観点(すなわち、「からなる」という言葉を使用)の両方から意図され、かつこれらの両方から読み取り得る。本明細書において使用する場合、括弧は、1)モノマー(複数可)が1つまたは複数のモノマーを意味し、または(メタ)アクリレートがメタクリレートまたはアクリレートを意味するように、何かが任意選択で存在し、2)既に記述した用語を限定またはさらに定義し、あるいは3)より狭い実施形態を列挙することを示すために使用する。
【0107】
特定の代表的な実施形態および詳細を本発明を例示する目的のために示してきたが、本発明の範囲から逸脱することなくこの中に様々な変更および修正を加えることができることは当業者には明らかである。