特許第6507154号(P6507154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6507154糖尿病及びその合併症を治療するためのDDP−4阻害薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6507154
(24)【登録日】2019年4月5日
(45)【発行日】2019年4月24日
(54)【発明の名称】糖尿病及びその合併症を治療するためのDDP−4阻害薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/522 20060101AFI20190415BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20190415BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20190415BHJP
   A61L 33/04 20060101ALI20190415BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190415BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20190415BHJP
【FI】
   A61K31/522
   A61K45/00
   A61L27/54
   A61L33/04
   A61P43/00 111
   A61P9/10
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-518513(P2016-518513)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-520661(P2016-520661A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014062398
(87)【国際公開番号】WO2014198906
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】13003042.2
(32)【優先日】2013年6月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】クライン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】野見山 崇
(72)【発明者】
【氏名】寺脇 悠一
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 敏彦
【審査官】 渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−503013(JP,A)
【文献】 特開2013−091654(JP,A)
【文献】 特表2013−521293(JP,A)
【文献】 ECKHARDT, M. et al.,"8-(3-(R)-Aminopiperidin-1-yl-7-but-2-ynyl-3-methyl-1-(4-methyl-quinazolin-2-ylmethyl)-3,7-dihydropurine-2,6-dione (BI 1356), a Highly Potent, Selective, Long-Acting, and Orally Bioavailable DPP-4 Inhibitor for the Treatment of Type 2 Diabetes",J. Med. Chem.,2007年12月27日,Vol.50,No.26,p.6450-6453,ISSN 0022-2623
【文献】 稲垣暢也,"次世代の胆汁排泄型DPP−4阻害薬リナグリプチンのプロファイル",Ther. Res.,日本,2011年 9月,Vol.32,No.9,p.1141-1148,ISSN 0289-8020
【文献】 LIM, S. et al.,"Effect of a Dipeptidyl Peptidase-IV Inhibitor, Des-Fluoro-Sitagliptin, on Neointimal Formation after Baloon Injury in Rats",PLos ONE,2012年 4月 6日,Vol.7,No.4, e35007,p.1-11,[online], [検索日 2017年12月28日] <URL,http://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0035007&type=printable>, doi:10.1371/journal.pone.0035007
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 45/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DPP−4阻害薬を含む医薬組成物であって、前記DPP−4阻害薬が、1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチンであり、血管形成術及び/若しくはステント術が必要であるか又はそれに適応しているか又はそれを受けたことがある患者において、血管形成術及び/又はステント術に付随するかもしくはその後の合併症の治療、予防、及び/又はそのリスクの低減に使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた、医薬組成物。
【請求項2】
DPP−4阻害薬を含む、血管形成術及び/若しくはステント術に付随するかまたはその後の合併症の治療、予防、及び/又はそのリスクの低減に使用するための医薬組成物であって、前記DPP−4阻害薬が、1−[(4−メチル−キナゾリン−2−イル)メチル]−3−メチル−7−(2−ブチン−1−イル)−8−(3−(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル)−キサンチンであり、記DPP−4阻害薬が血管形成術及び/又はステント術と共に使用され、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた、医薬組成物。
【請求項3】
血管形成術及び/又はステント術に付随したか又はその後の合併症であって、再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又は主要有害心イベント(MACE)から選ばれる合併症、例えばステント内再狭窄(ISR)又は血管形成術後再狭窄(PARS)等の治療、予防及び/又はそのリスクの低減のために使用される、請求項1又は2に記載された医薬組成物。
【請求項4】
血管形成術若しくはステント術由来又は血管形成術若しくはステント術中の再狭窄の治療、予防及び/又はそのリスクの低減のために使用される、請求項1、2又は3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記血管形成術が末梢又は冠血管形成術である、請求項1、2、3又は4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記血管形成術がステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテル術として行なわれる、請求項1、2、3、4又は5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記血管形成術がステント移植術として行なわれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記DPP−4阻害薬が、例えば同時に、同時発生的に、個別に、逐次に又は引き続いて、血管形成術又はステント術と併用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記DPP−4阻害薬が、例えば固定形又はフリー形等のステントと併用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記DPP−4阻害薬が、任意で血管形成術又はステント術と組み合わせて、経口投与される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記DPP−4阻害薬が、例えば該DPP−4阻害薬放出用の薬剤溶出ステントの形態等の移植可能なステントと共に適用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記患者が糖尿病患者である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
さらに糖尿病を治療するための、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記患者が非糖尿病患者である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、血管形成術及び/若しくはステント術が必要であるか又はそれに適応しているか又はそれを受けたことがある患者に使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた特定DPP-4阻害薬(好ましくはリナグリプチン)に関する。
本発明はさらに、例えば(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)後の又はそれに付随した狭窄、(大)血管狭小化若しくは再狭小化、血行再建若しくは再狭窄の治療及び/又は予防(並びに/或いは狭窄、血管狭小化、再狭小化若しくは閉塞、血行再建若しくは再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又は主要有害心イベント(MACE、例えば再狭窄のための死亡、心筋梗塞又は反復インターベンション等)の治療、予防、そのリスクの低減、その進行の減速、その発症/発生/再発の遅延、及び/又はそれに対する保護)に使用するための、任意で1種以上の他の治療薬及び/又は治療原理、例えば血管形成術若しくはステント(例えば末梢ステント又は冠動脈ステント)等(ベアメタルステント又は薬剤溶出ステント(例えば細胞増殖を妨げるための薬剤を放出する該ステント)を含めて)と組み合わせた特定DPP-4阻害薬(好ましくはリナグリプチン)、該治療成分を含む医薬組成物又は組み合わせ、並びにその特定の治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アテローム性動脈硬化症、閉鎖性血管疾患の続発、及び治療手法の失敗、例えば血管形成術後の再狭窄は重篤な相関プロセスを伴う。
内皮機能障害及び炎症に加えて、平滑筋細胞(SMC)の増殖は、アテローム性動脈硬化症の病態形成及び特に糖尿病における関連閉塞性血管合併症を治療するために用いたインターベンション手法の失敗又は合併症において中心的役割を果たすと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
血管形成術後に起こり得る問題は、血管の治療部分(例えば血管形成術で用いたステント内又はステント周囲の組織成長)内の過剰な組織成長(例えば新生内膜形成、SMC増殖、新生内膜過形成等)である。これは、多くの場合6カ月以内に再び血管を狭小化するか又は遮断する恐れがある。この合併症は再狭窄として知られている。
インクレチンに基づく療法が2型糖尿病の有望な療法として現れた。最近、インクレチンの血糖降下役割に加えて組織保護効果のためインクレチンが注目を浴びている。
糖尿病の患者は、非糖尿病患者に比べて高い心血管イベントのリスクを有し、インターベンションを薬剤溶出ステントで行なうときでさえ、冠血管形成術後の再狭窄で失敗することも多い。
インクレチン関連抗糖尿病薬が心血管系を改善できるかどうかは調査されている。
エキセンディン-4、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1受容体作動薬の血管保護効果は実証されている。
血管SMC1内における5’アデノシン一リン酸活性化型タンパク質キナーゼの活性化を介した、血管損傷後の内膜肥厚の低減が以前に報告されている。
しかしながら、ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害が新生内膜形成及びSMC増殖を直接減弱できるかどうかを調査したデータはない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明は、血管形成術及び/又はステント術と共に使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた特定DPP-4阻害薬(好ましくはリナグリプチン)に関する。
本発明は、血管形成術又はステント術における再狭窄の予防に使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた特定DPP-4阻害薬(好ましくはリナグリプチン)に関する。
本発明はさらに、血管形成術若しくはステント術に伴う特定DPP-4阻害薬の医学的使用、並びに/或いは血管形成術若しくはステント術由来の再狭窄を治療及び/又は予防するためのその使用に関する。
本発明は、例えば(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテル術を用いて行なわれる等)後の又はそれに付随した狭窄、(大)血管狭小化若しくは再狭小化、血行再建若しくは再狭窄の治療、予防及び/又はそのリスクの低減(並びに/或いは狭窄、血管狭小化、再狭小化若しくは閉塞、血行再建若しくは再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又は主要有害心イベント(MACE、例えば再狭窄のための死亡、心筋梗塞又は反復インターベンション等)の治療、予防、そのリスクの低減、その進行の減速、その発症/発生/再発の遅延、及び/又はそれに対する保護)に使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた特定DPP-4阻害薬(好ましくはリナグリプチン)に関する。
【0005】
本発明は、血管形成術及び/又はステント術由来の合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)の治療、予防及び/又はそのリスクの低減のための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた特定DPP-4阻害薬(好ましくはリナグリプチン)を企図する。
本発明はさらに、ステント内再狭窄(ISR)及び/又は血管形成術後再狭窄(PARS)の治療、予防及び/又はそのリスクの低減のための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた特定DPP-4阻害薬(好ましくはリナグリプチン)を企図する。
さらに、本発明は、例えばステント術由来の合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)を治療、予防及び/又はそのリスクを低減するために使用できる医薬組成物、キット、医療用品又はデバイス(例えば薬剤溶出ステント、例えばDPP-4阻害薬を含有する薬物放出フィルムコーティングを含むステント等)の調製に使用するための、任意でステントと組み合わせた特定DPP-4阻害薬、特にリナグリプチンに関する。
さらに、本発明は、例えばステント術由来の合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)を治療、予防及び/又はそのリスクを低減するための、DPP-4阻害薬、特にリナグリプチンと、任意で1種以上の医薬的に許容できる担体とを含有する(例えば血管損傷部位に移植又は留置するための)薬剤溶出ステント(例えば放出用DPP-4阻害薬を含有する薬物放出フィルムコーティングを含むステント等)に関する。
【0006】
さらに、本発明は、血管形成術及び/又はステント術に付随したか又はその後の合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)の治療、予防及び/又はそのリスクの低減方法であって、有効量のDPP-4阻害薬、特にリナグリプチンを、任意で1種以上の他の治療薬及び/又は治療原理、例えばステント等と組み合わせて、それが必要な患者に投与又は適用する工程を含む方法に関する。
さらに、本発明は、ステント術に付随するか又はその後にあり得る合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)の治療、予防及び/又はそのリスクの低減方法であって、有効量のDPP-4阻害薬、特にリナグリプチンと、任意で1種以上の他の活性薬とを、それが必要な患者(ステント留置患者であり得る)に投与する工程を含む方法に関する。
さらに、本発明は、ステント術に付随したか又はその後の合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)の治療、予防及び/又はそのリスクの低減方法であって、ステントを適用する工程及び有効量のDPP-4阻害薬、特にリナグリプチンと、任意で1種以上の他の治療薬とを、それが必要な患者に投与する工程を含む方法に関する。
さらに、本発明は、ステント術に付随したか又はその後の合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)の治療、予防及び/又はそのリスクの低減方法であって、有効量のDPP-4阻害薬、特にリナグリプチンと、任意で1種以上の他の治療薬とを含有するステントを、それが必要な患者に投与又は適用する工程を含む方法に関する。
さらに、本発明は、例えば、ステント術に付随したか又はその後の合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)の治療、予防及び/又はそのリスクの低減に使用するための、DPP-4阻害薬、特にリナグリプチンと、ステントと、任意で1種以上の他の治療薬との組み合わせに関する。
前述及び後述の所見(実施例及び/又は特許請求の範囲を含めて)から当業者には本発明の他の態様が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】コントロールに対してリナグリプチンは非糖尿病マウスの体重を変えないことを示す図である。
図1B】コントロールに対してリナグリプチンは非糖尿病マウスの血中グルコースを変えないことを示す図である。
図2】コントロールに対してリナグリプチンは非糖尿病マウスの血清活性GLP-1濃度を高めることを示す図(ELISA)である。
図3A】コントロールに対してリナグリプチンは非糖尿病マウスの血管損傷(ガイドワイヤー及び弾性染色)後の大腿動脈における新生内膜形成を減弱することを示す(組織解析)図である。
図3B】コントロールに対してリナグリプチンは非糖尿病マウスの血管損傷(ガイドワイヤー及び弾性染色)後の大腿動脈における新生内膜形成を減弱することを示す図(内膜面積、中膜面積)である。
図3C】コントロールに対してリナグリプチンは非糖尿病マウスの血管損傷(ガイドワイヤー及び弾性染色)後の大腿動脈における新生内膜形成を減弱することを示す図(内膜/中膜比)である。
図4】リナグリプチンはin vitro(BrdUアッセイ)でFBS誘発血管平滑筋(SMC)増殖を低減することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
本発明の範囲内で、任意で1種以上の活性薬又は治療原理(例えばステント等)と組み合わせた特定DPP-4阻害薬、好ましくはリナグリプチン(それぞれ本明細書の記載どおり)は、それらを本発明の目的に適合させる特性を有することが分かった。
例えば、ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害薬リナグリプチンは、新生内膜形成及びSMC増殖を減弱することが分かったので、新生内膜過形成及び再狭窄の治療及び/又は予防に有用である。
DPP-4は、T細胞活性化及び免疫調節において役割を果たすCD26 T細胞抗原に類似する。さらに、選択的DPP-4阻害薬であるリナグリプチンは、特定の抗酸化及び/又は抗炎症特徴のため本発明の目的にさらに適している。
一実施形態では、本明細書に記載の患者は、糖尿病(例えば1型若しくは2型糖尿病又はLADA、特に2型糖尿病)を有する等の糖尿病患者(特にヒト)である。
別の実施形態では、本明細書に記載の患者は、糖尿病(例えば1型若しくは2型糖尿病又はLADA、特に2型糖尿病)でない非糖尿病患者(特にヒト)である。
さらなる実施形態では、本明細書に記載の患者は、例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等の血管形成術(例えば末梢又は冠血管形成術)が必要であるか又はそれに適応しているか又はそれを受けたことがある(糖尿病又は非糖尿病)患者(特にヒト患者)である。
従って、本発明は、血管形成術又はステント術と共に使用するための特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)を提供する。
本発明は、血管形成術又はステント術中の再狭窄の予防に使用するための特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)をさらに提供する。
【0009】
本発明はさらに、下記患者:
(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)が必要であるか又はそれに適応しているか又はそれを(以前に)受けたことがある患者(特にヒト患者);及び/又は
例えば(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)後の又はそれに付随した再狭窄を有するか又はそのリスクがある患者(特にヒト患者);及び/又は
例えば(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)後の又はそれに付随した狭窄、血管狭小化、再狭小化若しくは閉塞、血行再建若しくは再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又は主要有害心イベント(MACE、例えば再狭窄のための死亡、心筋梗塞又は反復インターベンション等)を有するか又はそのリスクがある患者(特にヒト患者)
を治療するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)に関する。
本発明はさらに、例えば治療又は予防において同時、逐次又は個別の医学的使用のため等の、任意で1種以上の他の治療薬又は治療原理(例えば血管形成術又はステント等)と組み合わせて又は交互に、特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)(それぞれ本明細書の記載どおり)を含むか又は本質的にそれらから成る医薬組成物又は組み合わせに関する。
本発明はさらに、例えば治療又は予防において同時、逐次又は個別の医学的使用のため等の、(冠又は末梢)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)と、特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)と、任意で1種以上の他の活性薬(それぞれ本明細書の記載どおり)とを含むか又は本質的にそれらから成る医学的組み合わせに関する。
【0010】
本発明はさらに、治療等が必要な患者(特にヒト患者)の狭窄、血管狭小化、再狭小化若しくは閉塞、血行再建若しくは再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又は主要有害心イベント(MACE、例えば再狭窄のための死亡、心筋梗塞又は反復インターベンション等)の治療、予防、そのリスクの低減、その進行の減速、その発症/発生/再発の遅延、及び/又はそれに対する保護方法であって、有効量の特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)を、任意で1種以上の他の治療薬又は治療原理(例えば血管形成術、例えばステント術等)(それぞれ本明細書の記載どおり)と共に患者に投与又は適用する工程を含む方法に関する。
本発明はさらに、血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)に適応している患者の治療方法であって、有効量の特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)と、任意で1種以上の他の治療薬とを患者に投与又は適用する工程と共に血管形成術を適用する工程を含む方法に関する。
本発明はさらに、血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)に付随したか又はその後の合併症(例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又はMACE)の治療、予防及び/又はそのリスクの低減方法であって、有効量の特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)を、任意で1種以上の他の治療薬又は治療原理と組み合わせて患者に投与又は適用する工程を含む方法に関する。
本発明はさらに、血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)を患者に適用する方法であって、患者に血管形成術を適用する工程と、有効量の特定DPP-4阻害薬(特にリナグリプチン)及び任意で1種以上の他の治療薬を投与又は適用する工程とを含む方法に関する。
【0011】
本発明の範囲内で、本発明の組み合わせ又は併用は、治療成分の同時、逐次又は個別投与を想定し得ることを理解すべきである。
この文脈では、本発明の意義の範囲内の「組み合わせ」又は「併用」には、限定するものではないが、固定形及び非固定(例えばフリー)形(キット、又は他の投与形、適用形又は剤形を含めて)、並びに成分の使用、例えば同時、逐次又は個別使用等が含まれる。
本発明の併用投与又は適用は、治療成分を、例えば1つの単一又は2つの個別製剤又は形態で同時にそれらを投与又は適用することによって等、治療成分を一緒に投与又は適用することによって行なわれる。或いは、投与又は適用は、例えば2つの個別製剤又は形態で連続的に等、治療成分を逐次投与又は適用することによって行なわれる。
本発明の併用療法では、治療成分を個別に投与又は適用するか(治療成分を個別に調合することを意味する)或いは全部で調合する(治療成分を同一製剤又は同一形態に調合することを意味する)ことができる。従って、本発明の組み合わせの一要素の投与は、組み合わせの他要素の投与前、投与と同時、又は投与後であってよい。
本発明の意義の範囲内のDPP-4阻害薬には、限定するものではないが、前述及び後述の当該DPP-4阻害薬のいずれもが含まれ、経口で有効なDPP-4阻害薬が好ましい。さらなる実施形態では、本発明の意義の範囲内のDPP-4阻害薬として、好ましくは経口及び/又は皮下及び/又は局所に有効なDPP-4阻害薬が挙げられる。
【0012】
第一実施形態(実施形態A)では、本発明の文脈のDPP-4阻害薬は、下記式(I)
【化1】
又は下記式(II)
【化2】
又は下記式(III)
【化3】
又は下記式(IV)
【化4】
【0013】
(式中、R1は([1,5]ナフチリジン-2-イル)メチル、(キナゾリン-2-イル)メチル、(キノキサリン-6-イル)メチル、(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル、2-シアノ-ベンジル、(3-シアノ-キノリン-2-イル)メチル、(3-シアノ-ピリジン-2-イル)メチル、(4-メチル-ピリミジン-2-イル)メチル、又は(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチルを表し、R2は3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル、(2-アミノ-2-メチル-プロピル)-メチルアミノ又は(2-(S)-アミノ-プロピル)-メチルアミノを表す)
のいずれかのDPP-4阻害薬、
又はその医薬的に許容できる塩である。
第一実施形態(実施形態A)に関して、好ましいDPP-4阻害薬は、下記化合のいずれか又は全て及びそれらの医薬的に許容できる塩である。
【0014】
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2004/018468、実施例2(142)と同等):
【化5】
【0015】
・1-[([1,5]ナフチリジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2004/018468、実施例2(252)と同等):
【化6】
【0016】
・1-[(キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2004/018468、実施例2(80)と同等):
【化7】
【0017】
・2-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(ブタ-2-イニル)-5-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3,5-ジヒドロ-イミダゾ[4,5-d]ピリダジン-4-オン(WO 2004/050658、実施例136と同等):
【化8】
【0018】
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-[(2-アミノ-2-メチル-プロピル)-メチルアミノ]-キサンチン(WO 2006/029769、実施例2(1)と同等):
【化9】
【0019】
・1-[(3-シアノ-キノリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(30)と同等):
【化10】
【0020】
・1-(2-シアノ-ベンジル)-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(39)と同等):
【化11】
【0021】
・1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-[(S)-(2-アミノ-プロピル)-メチルアミノ]-キサンチン(WO 2006/029769、実施例2(4)と同等):
【化12】
【0022】
・1-[(3-シアノ-ピリジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(52)と同等):
【化13】
【0023】
・1-[(4-メチル-ピリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(81)と同等):
【化14】
【0024】
・1-[(4,6-ジメチル-ピリミジン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(82)と同等):
【化15】
【0025】
・1-[(キノキサリン-6-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-((R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン(WO 2005/085246、実施例1(83)と同等):
【化16】
【0026】
これらのDPP-4阻害薬は、並外れた効力及び持続性効果と有利な薬理特性、受容体選択性及び有利な副作用プロファイルを併せ持ち、或いは他の医薬的に活性な物質と併用すると予想外の治療上の利点又は改善をもたらすので、構造的に同等のDPP-4阻害薬と区別される。それらの製法は、言及した公報に開示されている。
第二実施形態(実施形態B)では、本発明の文脈のDPP-4阻害薬は、下記:
シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、ジェミグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン(evogliptin)、
(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、
(2S)-1-{[1,1,-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、
(S)-1-((2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-3-イル)-4-フルオロメチル-ピロリジン-2-オン、
(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-((2S,4S)-4-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)メタノン、
(1((3S,4S)-4-アミノ-1-(4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピロリジン-3-イル)-5,5-ジフルオロピペリジン-2-オン、
(2S,4S)-1-{2-[(3S,1R)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]-アセチル}-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル、
(R)-2-[6-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イルメチル]-4-フルオロ-ベンゾニトリル、
5-{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-プロピル}-5-(1H-テトラゾール-5-イル)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-2,8-ジカルボン酸ビス-ジメチルアミド、
3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン、
[(2R)-1-{[(3R)-ピロリジン-3-イルアミノ]アセチル}ピロリジン-2-イル]ボロン酸、
(2S,4S)-1-[2-[(4-エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミノ]アセチル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル、
2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル、
6-[(3R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロ-ベンジル)-1,3-ジメチル-1,5-ジヒドロ-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4-ジオン、及び
(S)-2-メチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-6-カルボン酸{2-[(2-シアノピロリジン-1-イル)-2-オキソエチルアミノ]-2-メチルプロピル}アミド
から成る群より選択されるDPP-4阻害薬、
又はその医薬的に許容できる塩である。
【0027】
本発明の実施形態Aの上記DPP-4阻害薬の中でさらに好ましいDPP-4阻害薬は、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン、特にその遊離塩基(リナグリプチン又はBI 1356とも呼ばれる)である。
好ましくは本発明のDPP-4阻害薬は、リナグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、サキサグリプチン、テネリグリプチン、アナグリプチン、ジェミグリプチン及びデュトグリプチンから成る群より選択され、或いはここで言及したDPP-4阻害薬の1つの医薬的に許容できる塩、又はそのプロドラッグである。
本発明の範囲内で強調すべき特に好ましいDPP-4阻害薬はリナグリプチンである。本明細書で使用する用語「リナグリプチン」は、その水和物及び溶媒和物、並びにその結晶形を含めたリナグリプチン又はその医薬的に許容できる塩を指し、好ましくはリナグリプチンは、1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンを指す。結晶形はWO 2007/128721に記載されている。リナグリプチンの製造方法は例えば特許出願WO 2004/018468及びWO 2006/048427に記載されている。リナグリプチンは並外れた効力及び持続性効果と有利な薬理特性、受容体選択性及び有利な副作用プロファイルを併せ持ち、或いは予想外の治療上の利点又は療法の改善をもたらすので、構造的に同等のDPP-4阻害薬と区別される。
【0028】
実施形態Aに関して、本発明の実施形態AのDPP-4阻害薬の合成方法は当業者に知られている。有利には、本発明の実施形態AのDPP-4阻害薬は、文献記載の合成方法を利用して調製可能である。従って、例えば式(I)プリン誘導体は、開示内容をここに援用するWO 2002/068420、WO 2004/018468、WO 2005/085246、WO 2006/029769又はWO 2006/048427の記載どおりに得ることができる。
式(II)のプリン誘導体は、例えば、開示内容をここに援用するWO 2004/050658又はWO 2005/110999の記載どおりに得ることができる。
式(III)及び(IV)のプリン誘導体は、例えば、開示内容をここに援用するWO 2006/068163、WO 2007/071738又はWO 2008/017670の記載どおりに得ることができる。具体的に上述した当該DPP-4阻害薬の製法は、それと関連して言及した公報に開示されている。特定のDPP-4阻害薬の多形性結晶変態及び製剤は、それぞれその開示内容全体をここに援用するWO 2007/128721及びWO 2007/128724に開示されている。特定のDPP-4阻害薬とメトホルミン又は他の組み合わせ相手の製剤は、その開示内容全体をここに援用するWO 2009/121945に記載されている。
実施形態Bに関して、実施形態BのDPP-4阻害薬の合成方法は、科学文献及び/又は公開された特許文書、特に本明細書で引用したものに記載されている。
【0029】
一実施形態では、本発明のDPP-4阻害薬を経口投与するのが好ましい。
さらなる実施形態では、本発明のDPP-4阻害薬は血管形成術と併用される。
さらなる実施形態では、本発明のDPP-4阻害薬は血管形成術、例えばステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテル術手順と共に使用され、好ましくはDPP-4阻害薬は経口投与される。
さらなる実施形態では、本発明のDPP-4阻害薬は、血管形成術又はステント術手順と組み合わせて患者に(好ましくは経口)投与される。
別の実施形態では、本発明のDPP-4阻害薬は、例えばDPP-4阻害薬を含有する薬剤コーティング又は薬剤放出ステント、例えば血管内での局所放出のため等のDPP-4阻害薬でコーティングされた移植可能なステントのように、ステントと一緒に適用される。
DPP-4阻害薬の適切な用量及び剤形は、当業者により決定可能であり、本明細書又は関連文献に記載のものが挙げられる。
温血脊椎動物、特にヒトでの医薬用途では、本発明の化合物は、一般的に0.001〜100mg/kg(体重)、好ましくは0.01〜15mg/kg又は0.1〜15mg/kgの薬用量で、いずれの場合も1日1〜4回用いられる。この目的では、任意で他の活性物質と併用される本化合物は、1種以上の不活性な通常の担体及び/又は希釈剤、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪性物質、例えば硬脂肪等又はその適切な混合物と一緒に通常のガレヌス製剤、例えばプレーン若しくはコーティング錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤又は座剤に組み入れ可能である。
従って、本明細書に記載のDPP-4阻害薬を含む本発明の医薬組成物は、当技術分野で記載され、かつ所望の投与経路に適した医薬的に許容できる製剤賦形剤を用いて当業者により調製される。該賦形剤の例としては、限定するものではないが、希釈剤、結合剤、担体、充填剤、潤沢剤、流動促進剤、結晶化遅延剤、崩壊剤、可溶化剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤及び乳化剤が挙げられる。
本発明のDPP-4阻害薬の経口製剤又は剤形は既知技術により調製可能である。
【0030】
本発明の実施形態AのDPP-4阻害薬の医薬組成物又は剤形(例えば経口錠剤)は、典型的に(活性成分に加えて)賦形剤として、例えば、好ましくはそれぞれ本明細書で後述するような1種以上の希釈剤、結合剤、崩壊剤、及び潤沢剤を含有し得る。一実施形態では、崩壊剤は任意的であってよい。
実施形態Aの化合物に適した希釈剤の例としては、セルロース粉末、リン酸水素カルシウム、エリスリトール、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール、アルファ化デンプン又はキシリトールが挙げられる。
実施形態Aの化合物に適した潤沢剤の例としては、タルク、ポリエチレングリコール、ベヘン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、水素化ヒマシ油又は又はステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
実施形態Aの化合物に適した結合剤の例としては、コポビドン(ビニルピロリドンと他のビニル誘導体の共重合物)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、アルファ化デンプン、又は低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)が挙げられる。
実施形態Aの化合物に適した崩壊剤の例としては、トウモロコシデンプン又はクロスポビドンが挙げられる。
【0031】
本発明の実施形態AのDPP-4阻害薬の(経口)製剤又は剤形の適切な調製方法は、
粉末混合物の活性物質と適切な錠剤化賦形剤の直接錠剤化;
適切な賦形剤との造粒後に適切な賦形剤と混合した後の錠剤化及びフィルムコーティング;又は
粉末混合物又は顆粒のカプセルへのパッキング
である。
適切な造粒方法は、
強力ミキサー内での湿式造粒後の流動床乾燥;
ワンポット造粒;
流動床造粒;又は
適切な賦形剤との乾式造粒(例えばローラー圧縮)後の錠剤化又はカプセルへのパッキング
である。
本発明の実施形態AのDPP-4阻害薬の経口使用に典型的な組成物(例えば錠剤コア)は、第1の希釈剤マンニトール、第2の希釈剤としてさらに結合剤特性を有するアルファ化デンプン、結合剤コポビドン、崩壊剤トウモロコシデンプン、及び潤沢剤としてステアリン酸マグネシウムを含み;コポビドン及び/又はトウモロコシデンプンは任意的であってよい。
本発明の実施形態AのDPP-4阻害薬の錠剤は、フィルムコーティング可能であり、好ましくはフィルムコーティングはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール(PEG)、タルク、二酸化チタン及び酸化鉄(例えば赤及び/又は黄色)を含む。
本発明のDPP-4阻害薬の剤形、製剤及び投与に関する詳細については、科学文献及び/又は公開された特許文書、特に本明細書で引用したものを参照されたい。
【0032】
第一実施形態(実施形態A)に関して、実施形態Aで言及したDPP-4阻害薬の典型的に必要とされる薬用量は、静脈内投与のときは0.1mg〜10mg、好ましくは0.25mg〜5mgであり、経口投与のときは0.5mg〜100mg、好ましくは2.5mg〜50mg又は0.5mg〜10mg、さらに好ましくは2.5mg〜10mg又は1mg〜5mgであり、いずれの場合も1日1〜4回投与される。従って、例えば経口投与のときの1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンの薬用量は、患者毎に1日当たり0.5mg〜10mg、好ましくは患者毎に1日当たり2.5mg〜10mg又は1mg〜5mgである。
実施形態Aで言及したDPP-4阻害薬を含む医薬組成物を用いて調製される剤形は0.1〜100mgの薬用量範囲で活性成分を含有する。従って、例えば1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンの特定の経口有効性成分含量(dosage strength)は0.5mg、1mg、2.5mg、5mg及び10mgである。
本発明のDPP-4阻害薬の特殊な実施形態は、低用量レベルで、例えば経口用量レベル<患者毎に1日当たり100mg又は<70mg、好ましくは<50mg、さらに好ましくは<30mg又は<20mg、なおさらに好ましくは患者毎に1日当たり1mg〜10mg、特に1mg〜5mg(さらに特に5mg)(必要な場合は、同一サイズであってよい1〜4の単一用量、特に1又は2の単一用量に分けて、好ましくは1日1回又は2回(さらに好ましくは1日1回)、有利には、1日のいつでも、食物の有無にかかわらず投与される)で治療的に有効である、経口投与される当該DPP-4阻害薬に関係する。従って、例えば、1日の経口量5mgのBI 1356を、1日1回投与計画(すなわち1日1回5mgのBI 1356)又は1日2回投与計画(すなわち1日2回2.5mgのBI 1356)で、1日のいつでも、食物の有無にかかわらず与えることができる。
本発明の組み合わせ又は組成物中の活性成分の薬用量は変動し得るが、活性成分の量は、適切な剤形が得られるような量にすべきである。従って、選択薬用量及び選択剤形は、所望の治療効果、投与経路及び治療持続期間によって決まることになる。組み合わせの薬用量範囲は、単一薬剤の最大耐用量乃至より少ない用量であり得る。
【0033】
血管形成術及び/又はステント(薬剤溶出ステント及びステントの薬剤コーティング技術を含めて)に関するさらなる詳細については、科学文献及び/又は公開された特許文書を参照されたい。
本発明はさらに、例えば(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)後の又はそれに付随した狭窄、血管狭小化、再狭小化若しくは閉塞、血行再建若しくは再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又は主要有害心イベント(MACE、例えば再狭窄のための死亡、心筋梗塞又は反復インターベンション等)を有するか又はそのリスクがある患者(特にヒト患者)の代謝疾患、特に糖尿病、特に2型糖尿病、及び/又はそれに関連する状態(例えば糖尿病合併症)の治療及び/又は予防のために用いる、本明細書に記載どおりの特定DPP-4阻害薬(任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた、好ましくはリナグリプチン)を提供する。
本発明はさらに、例えば(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)後の又はそれに付随した再狭窄を有するか又はそのリスクがある患者(特にヒト患者)の代謝疾患、特に糖尿病、特に2型糖尿病、及び/又はそれに関連する状態(例えば糖尿病合併症)の治療及び/又は予防のために用いる、本明細書に記載どおりの特定DPP-4阻害薬(任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた、好ましくはリナグリプチン)を提供する。
本発明はさらに、血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)に適応しているか又はそれを(以前に)受けたことがある患者(特にヒト患者)の代謝疾患、特に糖尿病、特に2型糖尿病、及び/又はそれに関連する状態(例えば糖尿病合併症)の治療及び/又は予防のために用いる、本明細書に記載どおりの特定DPP-4阻害薬(任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた、好ましくはリナグリプチン)を提供する。
【0034】
本発明の療法を受け入れられる代謝障害又は疾患の例としては、限定するものではないが、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖症、吸収後高血糖症、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、過体重、肥満症、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高非エステル型脂肪酸血症(hyperNEFA-emia)、空腹時若しくは食後高脂血症、例えば食後脂肪血症(例えば食後高トリグリセリド血症)、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、内皮機能障害、骨粗しょう症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、網膜症、神経障害、腎症、多嚢胞性卵巣症候群、及び/又は代謝症候群が挙げられる。
【0035】
本発明はさらに、
治療等が必要な患者(例えば本明細書に記載の患者、例えば糖尿病を有する患者等)、
特に
(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)が必要であるか又はそれに適応しているか又はそれを(以前に)受けたことがある患者(特にヒト患者);及び/又は
例えば(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)後の又はそれに付随した再狭窄を有するか又はそのリスクがある患者(特にヒト患者);及び/又は
例えば(末梢又は冠)血管形成術(例えばステント、ステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテルを用いて行なわれる等)後の又はそれに付随した狭窄、血管狭小化、再狭小化若しくは閉塞、血行再建若しくは再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又は主要有害心イベント(MACE、例えば再狭窄のための死亡、心筋梗塞又は反復インターベンション等)を有するか又はそのリスクがある患者(特にヒト患者)において、
下記方法:
−代謝障害又は疾患、例えば1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、高血糖症、食後高血糖症、吸収後高血糖症、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、過体重、肥満症、脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、高非エステル型脂肪酸血症(hyperNEFA-emia)、食後脂肪血症(例えば食後高トリグリセリド血症)、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、内皮機能障害、骨粗しょう症、慢性全身性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、網膜症、神経障害、腎症、多嚢胞性卵巣症候群、及び/又は代謝症候群の予防、その進行の減速、その発症の遅延又は治療;
−血糖コントロールの改善及び/又は維持並びに/或いは空腹時血漿グルコース、食後血漿グルコース、吸収後血漿グルコース及び/又はグリコシル化ヘモグロビンHbA1cの低減、或いは血糖コントロールの悪化又は劣化、インスリン療法の必要又は治療にもかかわらずHbA1c上昇の予防、そのリスクの低減、その進行の減速、その発症の遅延又は治療;
−糖尿病前症、耐糖能障害(IGT)、空腹時血中グルコース異常(IFG)、インスリン抵抗性及び/又は代謝症候群から2型糖尿病への進行の予防、減速、その発症の遅延又は逆転;
−糖尿病合併症、例えば微小血管疾患及び大血管疾患、例えば腎症、ミクロ若しくはマクロアルブミン尿、タンパク尿、網膜症、白内障、神経障害、学習障害又は記憶障害、神経変性障害又は認知障害、心血管疾患又は脳血管疾患、組織虚血、糖尿病性足病変又は糖尿病性潰瘍、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、内皮細胞機能障害、心筋梗塞、急性冠症候群、不安定狭心症、安定狭心症、末梢動脈閉塞性疾患、心筋症、心不全、心拍障害、血管再狭窄、及び/又は脳卒中の予防、そのリスクの低減、その進行の減速、その発症の遅延又は治療;
−体重及び/又は体脂肪及び/又は肝臓脂肪及び/又は筋細胞内脂肪の低減或いは体重及び/又は体脂肪及び/又は肝臓脂肪及び/又は筋細胞内脂肪の増加の予防或いは体重及び/又は体脂肪及び/又は肝臓脂肪及び/又は筋細胞内脂肪の低減の促進;
−膵β細胞の変性及び/又は膵β細胞の機能性低下の予防、減速、その発症の遅延又は治療並びに/或いは膵β細胞の機能性の改善、保存及び/又は回復並びに/或いは膵臓インスリン分泌の機能性の刺激及び/又は回復又は保護;
−脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び/又は肝線維症を含めた非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の予防、減速、その発症の遅延又は治療(例えば脂肪肝、(肝)炎症及び/又は肝臓脂肪の異常蓄積の予防、その進行の減速、その発症の遅延、軽減、治療又は逆転等);
−通常の抗糖尿病単剤又は併用療法に失敗した2型糖尿病の予防、その進行の減速、その発症の遅延又は治療;
−適切な治療効果のために必要な通常の抗糖尿病薬物療法の用量低減の達成;
−通常の抗糖尿病薬物療法に付随する有害作用のリスク(例えばインスリン又はスルホニル尿素薬物療法に付随する等の低血糖症又は体重増加)の低減;及び/又は
−インスリン感受性の維持及び/又は改善並びに/或いは高インスリン血症及び/又はインスリン抵抗性の治療又は予防
の少なくとも1つで使用するための特定DPP-4阻害薬(任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせた、好ましくはリナグリプチン)に関する。
【0036】
異なる代謝障害又は機能障害が同時に起こることが多いので、いくつかの異なる有効原理を互いに併用する必要が示されることが非常に多い。従って、診断された機能障害に応じて、DPP-4阻害薬を、それぞれの障害に通例の1種以上の活性物質、例えば他の抗糖尿病物質、特に血糖レベル又は血中脂質レベルを下げるか、血中のHDLレベルを上げるか、血圧を下げるか又はアテローム性動脈硬化症若しくは肥満症の治療に適応とされる活性物質の中から選択される1種以上の活性物質と併用すれば、改善された治療成績を得ることができる。
上述したDPP-4阻害薬は、それらの単剤療法に加えて、他の活性物質と併用してもよく、これを利用して、改善された治療結果を得ることができる。該併用治療は、物質のフリーの組み合わせとして、又は固定組み合わせ、例えば錠剤又はカプセル剤の形態で与えることができる。このために必要な組み合わせ相手の医薬製剤は、医薬組成物として商業的に入手可能であるか又は通常の方法を用いて当業者により調合可能である。医薬組成物として商業的に入手可能な活性物質は、従来技術の多くの場所、例えば毎年出版される薬物リスト、連邦医薬品産業協会の「Rote Liste(登録商標)」、又は「医師用添付文書集(Physicians’Desk Reference)」として知られる処方薬に関する製造業者の情報の毎年更新される編集物に記載されている。
【0037】
抗糖尿病薬の組み合わせ相手の例はメトホルミン;スルホニル尿素、例えばグリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリボルヌリド及びグリクラジド;ナテグリニド;レパグリニド;ミチグリニド;チアゾリジンジオン、例えばロシグリタゾン及びピオグリタゾン;PPARγ修飾薬、例えばメタグリダーゼ;PPARγ作動薬、例えばリボグリタゾン、ミトグリタゾン、INT-131及びバラグリタゾン;PPARγ拮抗薬;PPARγ/α修飾薬、例えばテサグリタザル、ムラグリタザル、アレグリタザル、インデグリタザル及びKRP297;PPARγ/α/δ修飾薬、例えばロベグリタゾン;AMPK活性化薬、例えばAICAR;アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC1及びACC2)阻害薬;ジアシルグリセロール-アセチルトランスフェラーゼ(DGAT)阻害薬;膵β細胞GCRP作動薬、例えばGPR119作動薬(SMT3受容体作動薬);11β-HSD阻害薬;FGF19作動薬又は類似体;α-グルコシダーゼ遮断薬、例えばアカルボース、ボグリボース及びミグリトール;α2拮抗薬;インスリン及びインスリン類似体、例えばヒトインスリン、インスリンリスプロ、インスリングルシリン、r-DNA-インスリンアスパルト、NPHインスリン、インスリンデテミル、インスリンデグルデク、インスリントレゴピル、インスリン亜鉛懸濁液及びインスリングラルギン;胃抑制ペプチド(GIP);アミリン及びアミリン類似体(例えばプラムリンチド又はダバリンチド);GLP-1及びGLP-1類似体、例えばエキセンディン-4、例えばエキセナチド、エキセナチドLAR、リラグルチド、タスポグルチド、リキシセナチド(AVE-0010)、LY-2428757(GLP-1のPEG化型)、ズラグルチド(LY-2189265)、セマグルチド又はアルビグルチド;SGLT2阻害薬、例えばダパグリフロジン、セルグリフロジン(KGT-1251)、アチグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン又はトホグリフロジン;タンパク質チロシンホスファターゼの阻害薬(例えばトロズスクェミン);グルコース-6-ホスファターゼの阻害薬;フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ修飾薬;グリコーゲンホスホリラーゼ修飾薬;グルカゴン受容体拮抗薬;ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)阻害薬;ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDK)阻害薬;チロシンキナーゼ、例えばPDGF受容体キナーゼの阻害薬(50mg〜600mg)(EP-A-564409、WO 98/35958、US 5093330、WO 2004/005281、及びWO 2006/041976参照)又はセリン/スレオニンキナーゼの阻害薬;グルコキナーゼ/調節タンパク質修飾薬(グルコキナーゼ活性化薬を含めて);グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害薬;SH2ドメイン含有イノシトール5-ホスファターゼ2型(SHIP2)の阻害薬;IKK阻害薬、例えば高用量サリチラート;JNK1阻害薬;タンパク質キナーゼC-θ阻害薬;β3作動薬、例えばリトベグロン、YM 178、ソラベグロン、タリベグロン、N-5984、GRC-1087、ラファベグロン、FMP825;アルドースレダクターゼ阻害薬、例えばAS 3201、ゼナレスタット、フィダレスタット、エパルレスタット、ラニレスタット、NZ-314、CP-744809、及びCT-112;SGLT-1又はSGLT-2阻害薬;KV 1.3チャネル阻害薬;GPR40修飾薬、例えば[(3S)-6-({2’,6’-ジメチル-4’-[3-(メチルスルホニル)プロポキシ]ビフェニル-3-イル}メトキシ)-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-3-イル]酢酸;SCD-1阻害薬;CCR-2拮抗薬;ドーパミン受容体作動薬(ブロモクリプチンメシル酸塩[Cycloset]);4-(3-(2,6-ジメチルベンジルオキシ)フェニル)-4-オキソブタン酸;サーチュイン刺激薬;及び他のDPP IV阻害薬である。
【0038】
メトホルミンは通常1日に約500mg〜2000mg乃至2500mgまで変動する用量で約100mg〜500mg若しくは200mg〜850mg(1日1〜3回)、又は1日1回若しくは2回約300mg〜1000mgの種々の投与計画、或いは1日1回若しくは2回約100mg〜1000mg、好ましくは500mg〜1000mg又は1日1回約500mg〜2000mgの用量の遅延放出メトホルミンを用いて与えられる。特定の有効性成分含量は250、500、625、750、850及び1000mgのメトホルミン塩酸塩であり得る。
ピオグリタゾンの薬用量は通常1日1回約1〜10mg、15mg、30mg、又は45mgである。
ロシグリタゾンは通常4〜8mgの用量で1日1回(又は2回に分けて)与えられる(典型的な有効性成分含量は2、4及び8mgである)。
グリベンクラミド(グリブリド)は通常2.5〜5乃至20mgの用量で1日1回(又は2回に分けて)与えられ(典型的な有効性成分含量は1.25、2.5及び5mgである)、又は微粒子化グリベンクラミドは0.75〜3乃至12mgの用量で1日1回(又は2回に分けて)与えられる(典型的な有効性成分含量は1.5、3、4.5及び6mgである)。
グリピジドは通常2.5乃至10〜20mgの用量で1日1回(又は40mgまでを2回に分けて)与えられ(典型的な有効性成分含量は5及び10mgである)、又は持続放出グリベンクラミドは5〜10mg(20mgまで)の用量で1日1回与えられる(典型的な有効性成分含量は2.5、5及び10mgである)。
グリメピリドは通常1〜2乃至4mg(8mgまで)の用量で1日1回与えられる(典型的な有効性成分含量は1、2及び4mgである)。
【0039】
グリベンクラミド/メトホルミンの二剤組み合わせは通常1日1回1.25/250乃至1日2回10/1000mgの用量で与えられる(典型的な有効性成分含量は1.25/250、2.5/500及び5/500mgである)。
グリピジド/メトホルミンの二剤組み合わせは通常1日2回2.5/250〜10/1000mgの用量で与えられる(典型的な有効性成分含量は2.5/250、2.5/500及び5/500mgである)。
グリメピリド/メトホルミンの二剤組み合わせは通常1日2回1/250〜4/1000mgの用量で与えられる。
ロシグリタゾン/グリメピリドの二剤組み合わせは通常1日1回又は2回4/1mg乃至1日2回4/2mgの用量で与えられる(典型的な有効性成分含量は4/1、4/2、4/4、8/2及び8/4mgである)。
ピオグリタゾン/グリメピリドの二剤組み合わせは通常1日1回30/2〜30/4mgの用量で与えられる(典型的な有効性成分含量は30/4及び45/4mgである)。
ロシグリタゾン/メトホルミンの二剤組み合わせは通常1日2回1/500〜4/1000mgの用量で与えられる(典型的な有効性成分含量は1/500、2/500、4/500、2/1000及び4/1000mgである)。
ピオグリタゾン/メトホルミンの二剤組み合わせは通常1日1回又は2回15/500mg乃至1日3回15/850mgの用量で与えられる(典型的な有効性成分含量は15/500及び15/850mgである)。
非スルホニル尿素インスリン分泌促進薬ナテグリニドは通常、食事と一緒に60〜120mgの用量で与えられ(360mg/日まで、典型的な有効性成分含量は60及び120mgである);
レパグリニドは通常、食事と一緒に0.5〜4mgの用量で与えられる(16mg/日まで、典型的な有効性成分含量は0.5、1及び2mgである)。レパグリニド/メトホルミンの二剤組み合わせは1/500及び2/850mgの有効性成分含量で利用可能である。
アカルボースは通常、食事と一緒に25〜100mgの用量で与えられる。ミグリトールは通常、食事と一緒に25〜100mgの用量で与えられる。
【0040】
血中脂質レベルを下げる組み合わせ相手の例は、HMG-CoA-レダクターゼ阻害薬、例えばシムバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン及びロスバスタチン;フィブラート系薬剤、例えばベザフィブラート、フェノフィブラート、クロフィブラート、ゲンフィブロジル、エトフィブラート及びエトフィルリンクロフィブラート;ニコチン酸及びその誘導体、例えばアシピモックス;PPARα作動薬;PPARδ作動薬、例えば{4-[(R)-2-エトキシ-3-(4-トリフルオロメチル-フェノキシ)-プロピルスルファニル]-2-メチル-フェノキシ}-酢酸;アシル補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT;EC 2.3.1.26)の阻害薬、例えばアバシミベ;コレステロール吸収阻害薬、例えばエゼチミブ;胆汁酸に結合する物質、例えばコレスチラミン、コレスチポール及びコレセベラム;胆汁酸輸送の阻害薬;HDL調節活性物質、例えばD4F、リバースD4F、LXR調節活性物質及びFXR調節活性物質;CETP阻害薬、例えばトルセトラピブ、JTT-705(ダルセトラピブ)又はWO 2007/005572の化合物12(アナセトラピブ);LDL受容体修飾薬;MTP阻害薬(例えばロミタピド);及びApoB100アンチセンスRNAである。
アトルバスタチンの薬用量は通常1日1回1mg〜40mg又は10mg〜80mgである。
【0041】
血圧を下げる組み合わせ相手の例は、β遮断薬、例えばアテノロール、ビソプロロール、セリプロロール、メトプロロール及びカルベジロール;利尿薬、例えばヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、キシプアミド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、スピロノラクトン、エプレレノン、アミロリド及びトリアムテレン;カルシウムチャネル遮断薬、例えばアムロジピン、ニフェジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニピジン、マニジピン、イスラジピン、ニルバジピン、ベラパミル、ガロパミル及びジルチアゼム;ACE阻害薬、例えばラミプリル、リシノプリル、シラザプリル、キナプリル、カプトプリル、エナラプリル、ベナゼプリル、ペリンドプリル、ホシノプリル及びトランドラプリル;並びにアンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、例えばテルミサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、アジルサルタン及びエプロサルタンである。
テルミサルタンの薬用量は通常1日当たり20mg〜320mg又は40mg〜160mgである。
【0042】
血中HDL値を上昇させる組み合わせ相手の例は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害薬;内皮リパーゼの阻害薬;ABC1の調節薬;LXRα拮抗薬;LXRβ作動薬;PPARδ作動薬;LXRα/β調節薬、並びにアポリポタンパク質A-Iの発現及び/又は血漿濃度を上昇させる物質である。
肥満治療のための組み合わせ相手の例は、シブトラミン;テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット);アリザイム(セチリスタット);デクスフェンフルラミン;アクソカイン;カンナビノイド受容体1拮抗薬、例えばCB1拮抗薬リモノバント;MCH-1受容体拮抗薬;MC4受容体作動薬;NPY5及びNPY2拮抗薬(例えばベルネペリト);β3-AR作動薬、例えばSB-418790及びAD-9677;5HT2c受容体作動薬、例えばAPD 356(ロルカセリン);ミオスタチン阻害薬;Acrp30及びアディポネクチン;ステロイルCoAデサチュラーゼ(SCD1)阻害薬;脂肪酸シンターゼ(FAS)阻害薬;CCK受容体作動薬;グレリン受容体修飾薬;Pyy 3-36;オレキシン受容体拮抗薬;及びテソフェンシン;並びに二剤組み合わせブプロピオン/ナルトレキソン、ブプロピオン/ゾニサミド、トピラマート/フェンテルミン及びプラムリンチド/メトレレプチンである。
アテローム性動脈硬化症治療のための組み合わせ相手の例はホスホリパーゼA2阻害薬;チロシンキナーゼ、例えばPDGF受容体キナーゼの阻害薬(50mg〜600mg)(EP-A-564409、WO 98/35958、US 5093330、WO 2004/005281、及びWO 2006/041976参照);oxLDL抗体及びoxLDLワクチン;アポA-1ミラノ;ASA;及びVCAM-1阻害薬である。
【0043】
さらに、本発明の特定DPP-4阻害薬は、DPP-4の基質(特にDPP-4の抗炎症性基質)と併用可能であり、この基質は、本発明の目的では、GLP-1以外であってよく、DPP-4の該基質としては、例えば、限定するものではないが、下記:
インクレチン:
グルカゴン様ペプチド(GLP)-1
グルコース依存性インスリン分泌性ペプチド(GIP)
向神経活性:
サブスタンスP
ニューロペプチドY(NPY)
ペプチドYY
エネルギー恒常性:
GLP-2
プロラクチン
脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)
他のホルモン:
PACAP 27
ヒト絨毛性ゴナドトロピンα鎖
成長ホルモン放出因子(GHRF)
黄体ホルモンα鎖
インスリン様成長因子(IGF-1)
CCL8/エオタキシン
CCL22/マクロファージ由来ケモカイン
CXCL9/インターフェロンγ誘導モノカイン
ケモカイン:
CXCL10/インターフェロンγ誘導タンパク質10
CXCL11/インターフェロン誘導性T細胞ケモアトラクタント
CCL3L1/マクロファージ炎症性タンパク質1αイソ型
LD78β
CXCL12/ストロマ細胞由来因子1α及びβ
その他:
エンケファリン、ガストリン放出ペプチド、バソスタチン-1、
ペプチドヒスチジンメチオニン、サイロトロピンα
の1種以上が挙げられる。
【0044】
さらに又は加えて、本発明の特定DPP-4阻害薬は、例えば利尿薬、ACE阻害薬及び/又はARBから選択されるような、腎症の治療に適応とされる1種以上の活性物質と併用可能である。
さらに又は加えて、本発明の特定DPP-4阻害薬は、心血管疾患又はイベント(例えば主要心血管イベント)の治療又は予防に必要が示される1種以上の活性物質と併用可能である。 さらに、任意に加えて、本発明の特定DPP-4阻害薬は、1種以上の抗血小板薬、例えば(低用量)アスピリン(アセチルサリチル酸)、選択的COX-2又は非選択的COX-1/COX-2阻害薬、又はADP受容体阻害薬、例えばチエノピリジン(例えばクロピドグレル又はプラスグレル)、エリノグレル若しくはチカグレロール、又はトロンビン受容体拮抗薬、例えばボラパクサール等と併用可能である。
なおさらに、任意に加えて、本発明の特定DPP-4阻害薬は、1種以上の抗凝固薬、例えばヘパリン、クマリン(例えばワルファリン又はフェンプロクモン)、直接トロンビン阻害薬(例えばダビガトラン)、第Xa因子の五糖阻害薬(例えばフォンダパリヌクス)又は直接第Xa因子阻害薬(例えばリバーロキサバン又はアピキサバン又はエドキサバン又はオタミキサバン)等と併用可能である。
なおさらに、任意に加えて、本発明の特定DPP-4阻害薬は、心不全の治療用の1種以上のの薬剤と併用可能である。
本明細書で引用した全ての特許出願は、参照によってその内容全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の具体的実施形態によって本発明の範囲を限定すべきでない。当業者には、本開示から本明細書に記載の当該実施形態に加えて本発明の種々の変更形態が明白に成り得る。該変更形態は、本発明の範囲内に入るように意図されている。
下記実施例から本発明のさらなる実施形態、特徴及び利点が明白になり得る。下記実施例は、本発明の原理を限定することなく、例として説明するのに役立つ。
【実施例】
【0045】
リナグリプチンは、血管損傷後の血管平滑筋細胞増殖及び新生内膜形成を減弱する
動物:
6週齢の雄性C57BL/6マウスを購入し、床上に木質チップマットを備えたポリカーボネートケージに収容し;自由に水を入手できるようにした。C57BL/6マウスを2群:コントロール群(n=14)及びリナグリプチン処置群(n=14)に分けた。7週齢で、コントロールマウスには普通の固形飼料(22.6%のタンパク質、53.8%の炭水化物、5.6%の脂肪、6.6%のミネラルとビタミンの混合物及び3.3%の繊維;総計:356kcal/100g)とビヒクルを与え;リナグリプチン処置マウスには普通の固形飼料とリナグリプチン(0.083g/kgの固形飼料、50〜150nMの平均血漿レベルをもたらし、3mg/kg/日の経口用量に相当)を与えた。動物の部屋は、実験期間を通じて12時間の明/暗サイクルで一定温度(22±1℃)と相対湿度55±5%に維持した。8週齢で、大腿動脈に内皮裸出損傷を誘発した後、12週齢で新生内膜形成を評価した。
ガイドワイヤー誘発内皮裸出損傷:
前述したように、コントロール及びリナグリプチン群の8週齢のC57BL/6マウスに大腿動脈の内皮裸出損傷を誘発した。手短に言えば、0.25mmのSilverSpeed-10親水性ガイドワイヤー(Micro Therapeutics Inc., Irvine,CA)を左大腿動脈に4回通すことにより血管内損傷を誘発した。反対の右側には損傷させないシャム手術を行なった。損傷4週間後にマウスを安楽死させ、組織解析のために大腿動脈を単離した。
組織調製及び形態計測:
屠殺後、カニューレを介してマウスの左心室にリン酸緩衝食塩水を5分間、次に4%パラホルムアルデヒドを30分間100cmH2Oの圧力で灌流させた。さらなる解析のため大腿動脈をパラフィンに包埋し、5μm切片にカットした。ワイヤー挿入のための切開部位から1.5mmの近位領域の連続切片をElastica van Gieson染色キット(4033-4037, Muto Pure Chemicals Co., Tokyo, Japan)で染色して内弾性板を可視化することにより評価した。
細胞培養:
0.1%のウシ胎仔血清(FBS)を含有するダルベッコ変法イーグル培地中で少なくとも24時間ラット大動脈血管SMC(VSMC)及びマウス大動脈VSMCを血清欠乏性にし、指示濃度BrdUアッセイでリナグリプチンの12時間の前処置の有り無しで24時間、10%のFBSによる分裂促進刺激に供した。ラット大動脈SMCの細胞増殖を評価するため、以前に述べたように細胞増殖酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キット(1647229, Roche Applied Science, Mannheim, Germany)を用いてブロモデオキシウリジン(BrdU)取り込みアッセイを行なった。
【0046】
結果:
上記結果は、対応図面を参照して下記結論をもたらす。
リナグリプチンは、非糖尿病マウスの体重又は血中グルコースを変えない(図1A及び1B)。
リナグリプチンは、非糖尿病マウスの血清活性GLP-1濃度(ELISA)を高める(図2)。
リナグリプチンは、非糖尿病マウスの血管損傷(ガイドワイヤー及び弾性染色)後の新生内膜形成を減弱する(図3A、3B及び3C)。
リナグリプチンは、in vitro(BrdUアッセイ)で血清誘発血管平滑筋(SMC)増殖を低減する(図4)。
また、本発明は、以下の事項を含んでいる。
[付記1]
血管形成術及び/若しくはステント術が必要であるか又はそれに適応しているか又はそれを受けたことがある患者に使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記2]
前記DPP-4阻害薬が血管形成術及び/又はステント術と共に使用される、付記1に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記3]
血管形成術及び/又はステント術に付随したか又はその後の合併症、例えば再狭窄、凝血、新生内膜過形成及び/又は主要有害心イベント(MACE)、例えばステント内再狭窄(ISR)又は血管形成術後再狭窄(PARS)等の治療、予防及び/又はそのリスクの低減のために付記1又は2に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記4]
血管形成術若しくはステント術由来又は血管形成術若しくはステント術中の再狭窄の治療、予防及び/又はそのリスクの低減のために付記1、2又は3に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記5]
前記血管形成術が末梢又は冠血管形成術である、付記1、2、3又は4に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記6]
前記血管形成術がステント移植術、バイパス手術又はバルーンカテーテル術として行なわれる、付記1、2、3、4又は5に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記7]
前記血管形成術がステント移植術として行なわれる、付記1〜6のいずれか1項に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記8]
前記DPP-4阻害薬が、例えば同時に、同時発生的に、個別に、逐次に又は引き続いて、血管形成術又はステント術と併用される、付記1〜7のいずれか1項に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記9]
前記DPP-4阻害薬が、例えば固定形又はフリー形等のステントと併用される、付記1〜8のいずれか1項に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記10]
前記DPP-4阻害薬が、任意で血管形成術又はステント術と組み合わせて、経口投与される、付記1〜9のいずれか1項に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記11]
前記DPP-4阻害薬が、例えば該DPP-4阻害薬放出用の薬剤溶出ステントの形態等の移植可能なステントと共に適用される、付記1〜9のいずれか1項に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記12]
前記患者が糖尿病患者である、付記1〜11のいずれか1項に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記13]
さらに糖尿病を治療するために付記1〜12のいずれか1項に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記14]
前記患者が非糖尿病患者である、付記1〜11のいずれか1項に従って使用するための、任意で1種以上の他の活性薬と組み合わせたDPP-4阻害薬。
[付記15]
1-[(4-メチル-キナゾリン-2-イル)メチル]-3-メチル-7-(2-ブチン-1-イル)-8-(3-(R)-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチンである、付記1〜14のいずれか1項に従って使用するためのDPP-4阻害薬。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4