(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より、失禁パッド、パンティライナー、生理用ナプキンなどの女性用吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、表面シートとの間に粉砕パルプ等の紙綿からなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
前記表面シートは肌当接面を形成するものであるため、柔軟であることや、排泄液の吸収後でも乾燥した肌触りが得られること、肌に対して刺激が少ないこと等が要求される。このような要求を満たす素材として、合成繊維の不織布、樹脂製メッシュシートが吸収性物品の分野で広く採用されている。しかし、合成繊維からなる表面シートは、痒みやかぶれ等が生じやすい点で充分に満足できるものではなかった。
【0004】
これを解決するものとして、コットン繊維(綿繊維)を素材とした表面シートが提案されている。コットン繊維からなる表面シートは、下着のような柔らかい肌触りを実現できる利点を有しているが、吸収性物品においては、表面シートが高い透液性を有し、素早く液を吸収体に移行させることが望まれるのに対し、通常の脱脂綿繊維を表面シートに含有させた場合、表面シート自体が高い保液性を有し、表面にべたつき感が残り易いという問題があった。
【0005】
このような問題を改善するものとして、下記特許文献1には、表面シートをコットン不織布によって構成するとともに、該表面シートの下層であって吸収体との間に、前記コットン不織布よりも低繊維密度でかつ親水性を有する熱融着性繊維シートを介在させ、これらの積層状態で、表面側から多数のエンボスが施されている吸収性物品が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2においては、表面シートが、コットン及び熱可塑性樹脂繊維から構成される第1繊維層と、疎水性の熱可塑性樹脂繊維から構成される第2繊維層とを含む、少なくとも2層の繊維層からなる不織布であり、前記不織布は、肌対向面側の面であって前記第2繊維層により形成される第1面と、非肌対向面側の面であって吸収体と対向する第2面とを有し、前記不織布は、前記第1面の方向に向けて突出する複数の凸部と、隣り合う前記凸部の間に設けられ、前記第2面の方向に向けて窪む複数の凹部とを備えていて、前記凸部は、前記不織布の第2面が面する空隙部を有する吸収性物品が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載された吸収性物品では、表面側、すなわち肌面に対向するコットン不織布の外面側からの圧搾によりエンボスが施されているため、エンボス加工の際に、エンボスロールに備えられたエンボス凸部の先端と熱融着性繊維層との間に非熱融着性のコットン不織布が介在することとなる。このため、エンボス凸部先端の熱が熱融着性繊維に充分に伝わらず、表面シートの非肌側に配設したセカンドシートと表面シートとの接合強度が低くなる傾向にあり、表面シートからセカンドシートへ体液が移行しにくいという欠点があった。
【0009】
また、コットン不織布に対して加熱を伴う凹凸加工を行うと、コットン不織布の水流交絡などによる繊維の絡み合いが解かれて繊維端が飛び出たり、コットン不織布の壊れが生じたりするおそれがり、表面の平滑性が損なわれることによる肌触り感の悪化や、強度の低下が問題となっていた。
【0010】
一方、上記特許文献2に記載された吸収性物品では、コットンを含む層が直接肌に触れない表面シートの非肌対向面側に配置されているため、コットンの柔らかい肌触り感を活かすことができない。
【0011】
そこで本発明の主たる課題は、コットンの柔らかい肌触り感を低下させずに、表面シートに吸収された体液が非肌側に移行できるようにした吸収性物品
の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、
表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在され、前記表面シートが肌側に配設されたセルロース系繊維からなる非熱融着層と、非肌側に配設された熱融着性繊維からなる熱融着層とを含み、前記表面シートの非肌側に、熱融着性繊維からなるセカンドシートが配設され、前記セカンドシートの非肌側面に、前記セカンドシート及び表面シートを一体的に肌側に向けて窪ませた多数の圧搾部が形成された吸収性物品の製造方法であって、
前記表面シートとセカンドシートとの積層体を、表面が平坦な加熱しないフラットロールと、表面に前記圧搾部に対応する多数の凸部が形成された、少なくとも圧搾時に加熱する凸ロールとの間を通過させることにより、前記セカンドシート及び熱融着層の熱融着性繊維を熱融着して接合すると同時に、前記圧搾部を形成することを特徴とする吸収性物品の製造方法が提供される。
【0013】
上記請求項1記載の発明
に係る吸収性物品は、表面シートの肌当接面にセルロース系繊維からなる非熱融着層が配設されているため、セルロース系繊維(例えばコットン繊維)の柔らかい肌触り感が得られるようになる。また、前記表面シートが肌側の非熱融着層と非肌側の熱融着層とを含む積層構造からなり、この表面シートの非肌側に、熱融着性繊維からなるセカンドシートを配設した状態で、前記セカンドシートの非肌側面に、前記セカンドシート及び表面シートを一体的に肌側に向けて窪ませた多数の圧搾部を形成しているため、前記圧搾部によって熱融着性のセカンドシートと表面シートの熱融着層(非肌側層)とが強固に接合され、表面シートからその下層側に配置されたセカンドシートに体液が移行しやすくなる。また、前記圧搾部は、前記表面シートの非肌側からの圧搾によって、前記セカンドシートと表面シートの非肌側層を構成する熱融着層とを熱融着しているため、肌側のセルロース系繊維からなる非熱融着層が高温に加熱された状態で圧搾されることがなく、加熱や圧搾に伴う非熱融着層の繊維の交絡が解かれて不織布の壊れなどが生じるのが防止できるとともに、表面の平滑性が維持でき、肌触りの悪化や強度の低下が防止できる。
【0014】
前記吸収性物品の製造に際して、表面シートとセカンドシートとを積層した状態でフラットロールと凸ロールとの間を通過させている。これによって、表面が平坦で肌触り感に優れるとともに、表面シートの熱融着層とセカンドシートとが前記圧搾部において強固に接合された表面シートとセカンドシートとの積層体が得られるようになる。
【0015】
請求項
2に係る本発明として、
表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在され、前記表面シートが肌側に配設されたセルロース系繊維からなる非熱融着層と、非肌側に配設された熱融着性繊維からなる熱融着層とを含み、前記表面シートの非肌側に、熱融着性繊維からなるセカンドシートが配設され、前記セカンドシートの非肌側面に、前記セカンドシート及び表面シートを一体的に肌側に向けて窪ませた多数の圧搾部が形成された吸収性物品の製造方法であって、
前記表面シートを、表面が平坦な加熱しないフラットロールと、表面に多数の凸部が形成された少なくとも圧搾時に加熱する凸ロールとの間を通過させることにより、前記表面シートの非肌側面に、前記熱融着層及び非熱融着層を一体的に肌側に向けて窪ませた多数の中間圧搾部を形成した後、表面が平坦な加熱しない第2のフラットロールと、表面に前記圧搾部に対応する多数の凸部が形成された少なくとも圧搾時に加熱する第2の凸ロールとの間を通過させることにより、前記セカンドシート及び熱融着層の熱融着性繊維を熱融着して接合すると同時に、前記圧搾部を形成することを特徴とする吸収性物品の製造方法が提供される。
【0016】
上記請求項
2記載の発明では、予め、表面シートに中間圧搾部を形成することにより、非熱融着層と熱融着層との接合強度を高めた後、表面シートとセカンドシートとを積層した状態で、フラットロールと凸ロールとの間を通過させている。
【0017】
請求項
3に係る本発明として、前記圧搾部は、間隔を空けて多数配置された間欠的なパターンで形成されている請求項1
、2いずれかに記載の吸収性物品
の製造方法が提供される。
【0018】
上記請求項
3記載の発明では、前記圧搾部のパターンとして、間隔を空けて多数配置した間欠的なパターンとすることによって、圧搾部の全体の面積を小さくすることができ、非熱融着層の肌触り(平滑性)や強度が確実に維持できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
以上詳説のとおり本発明によれば、コットンの柔らかい肌触り感を低下させずに、表面シートに吸収された体液が非肌側に移行できる吸収性物品の製造方法が提供できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0022】
<生理用ナプキンの基本構造の一例>
本発明に係る生理用ナプキン1は、
図1〜
図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、肌当接面をなし、体液を速やかに透過させる表面シート3と、これら両シート2、3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために前記吸収体4の少なくとも肌側面及び非肌側面を覆うクレープ紙又は不織布などからなる被包シート5と、前記表面シート3と吸収体4との間に介在されたセカンドシート6と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも着用者の体液排出部Hを含むように前後方向に所定の区間内において肌側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSを形成するサイド不織布7、7とから主に構成され、かつ吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では前記裏面シート2と表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記裏面シート2とサイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合されている。図示例においては、吸収体4は1層構造となっているが、中高部を形成する多層構造としてもよく、また、同一の大きさ、形状の吸収体を重ねた多層構造としてもよい。
【0023】
前記裏面シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年ではムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。裏面シート2の非使用面側(外面)には1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記裏面シート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
【0024】
前記吸収体4は、体液を吸収・保持し得るものであり、フラッフ状のパルプ繊維中に粉粒状の高吸水性ポリマーを分散混入したもの、又は、肌側に配置された上層シートと非肌側に配置された下層シートとの間の所定領域に高吸水性ポリマーが介在されたポリマーシートを用いることができる。
【0025】
前記パルプ繊維としては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。前記パルプ繊維の目付は、150〜500g/m
2、好ましくは250〜400g/m
2とするのがよく、前記高吸水性ポリマーの目付は、70〜470g/m
2、好ましくは140〜240g/m
2とするのがよい。
【0026】
前記高吸水性ポリマーとしては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸収倍率(吸水力)と吸収速度の調整が可能である。
【0027】
図示例では、表面シート3は吸収体4の幅よりも若干幅が広い程度とされ、吸収体4を覆うだけに止まり、表面シート3の幅方向外側は、表面シート3の両側部表面から延在するサイド不織布7(表面シート3とは別の部材)により覆われている。前記サイド不織布7の幅方向中央側の部分は、立体ギャザーBSを形成している。サイド不織布7としては、体液が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いることができる。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を15〜23g/m
2として作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系や、パラフィン系等の撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
【0028】
前記サイド不織布7は、
図2及び
図3に示されるように、幅方向中間部より外側部分を吸収体4の内側位置から吸収体側縁を若干越えて裏面シート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着している。
【0029】
一方、前記サイド不織布7の内方側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部に、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された1本または複数本の、図示例では2本の糸状弾性伸縮部材8、8が両端または長手方向の適宜の位置が固定された状態で配設されている。この二重シート部分は前後端部では、
図3に示されるように、折り畳まれた状態で表面シート3側に固定されている。
【0030】
<表面シート>
前記表面シート3は、吸収体4の肌側を覆う部分である肌当接面を形成するものであり、
図4に示されるように、肌側に配設されたセルロース系繊維からなる非熱融着層10と、非肌側に配設された熱融着性繊維からなる熱融着層11とを含む多層構造を成している。前記表面シート3は、前記非熱融着層10と熱融着層11とからなる2層構造とするのが望ましいが、その中間にセルロース系繊維や合成繊維などからなる中間層を設けてもよい。
【0031】
前記表面シート3の肌当接面を形成する非熱融着層10は、親水性のセルロース系繊維を含有する不織布で構成されている。前記親水性のセルロース系繊維としては、コットン繊維(綿繊維)やパルプ繊維などの天然由来のものや、レーヨン繊維、アセテート繊維、リヨセル繊維などの人工セルロース系繊維が挙げられる。前記コットン繊維としては、木綿の原綿、精錬・漂白した綿繊維あるいは精錬・漂白後、染色を施した綿繊維、精錬・漂白した脱脂綿繊維、さらには糸もしくは布帛になったものを解繊した反毛等、あらゆるコットン繊維を使用できるが、下層側のシートにおける液の吸収スピード及び拡散性を高めるため、特にコットン繊維の表面に付着しているコットンワックスの天然油脂を脱脂した脱脂綿繊維を使用するのが好ましい。
【0032】
前記非熱融着層10は、特に、コットン繊維100重量%からなるスパンレース不織布で構成するのが望ましい。コットン繊維のみで構成することによって、柔らかい肌触りが得られ、長時間装着しても痒みやかぶれ等装着時の肌トラブルを生じ難くできる。また、スパンレース不織布は、接着剤を使用しない、柔軟性を有する等の利点を有する。
【0033】
前記非熱融着層10の目付としては、セルロース系繊維の柔軟性や風合いが発揮できるように、10〜30g/m
2、好ましくは10〜15g/m
2とするのがよい。不織布の目付は50mm×50mm(±2mm)の寸法の試料を切り取って重量を測定し、1m
2当たりの重さに換算して求めたものである。不織布の部分的な領域に多数の開孔が形成される場合は、開孔が形成されない領域の不織布を用いて測定を行う。また、不織布の全面に多数の開孔が形成される場合は、開孔の存在しない部分を多数切り取り、切り取った多数の部分の合計面積が2500mm
2となるようにして合計重量を測定し、合計面積で割ることで目付を求めることができる。
【0034】
前記表面シート3の非肌当接面を形成する熱融着層11は、有孔または無孔の不織布が用いられる。不織布の繊維素材としては、合成繊維が含有されている。たとえば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の熱可塑性の合成繊維の他、これら合成繊維に、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を含めることができる。前記不織布としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。前記熱融着層11が合成繊維を含有する不織布からなることにより、熱融着性繊維の熱溶融によって接合性を高めることができ、且つ熱融着層11が液保持しにくく、下層側への通液性が良好になるとともに、熱融着層11に体液が保持されて肌側に逆戻りする現象が生じにくくできる。
【0035】
前記熱融着層11は、非熱融着性の繊維、具体的には上述のセルロース系繊維を含まないのが好ましく、熱融着性繊維、具体的には合成繊維のみによって構成するのが好ましい。この熱融着層11は、後段で詳述するように、圧搾部15において下層側のセカンドシート6と熱融着されるため、非熱融着性の繊維が含まれていると、圧搾部15において熱融着しにくく、熱融着層11とセカンドシート6との接合強度が低下するおそれがある。
【0036】
前記熱融着層11の目付としては、前記非熱融着層10の目付より大きいのが好ましく、具体的には10〜40g/m
2、好ましくは15〜20g/m
2とするのがよい。熱融着層11の目付を非熱融着層10より大きくすることにより、セカンドシート6及び熱融着層11を加熱しながら圧搾する際に、非熱融着層10に与える影響が小さくなる。
【0037】
前記非熱融着層10と熱融着層11とは、所定の接合法によって接合するのが望ましい。仮に、各層10、11を接合しないで単に積層しただけの状態で設けた場合には、セルロース系繊維からなる非熱融着層10の強度が弱く、破れやすくなるので好ましくない。すなわち、非熱融着層10を熱融着層11と接合することにより、非熱融着層10が熱融着層11によって補強され、表面シート3の破れが防止できる点で好ましい。また、表面シートを同じ目付とした場合、非熱融着層10のみで構成したときと比べて、非熱融着層10と熱融着層11との積層構造とすることにより、合成繊維に比べて高価なセルロース系繊維の使用量を低減できるため、表面シート3のコストを抑えることができる点でも、非熱融着層10と熱融着層11とを接合した積層構造とするのが好ましい。
【0038】
前記非熱融着層10と熱融着層11との接合は、接着剤などによるのではなく、互いの繊維を交絡させて接合するのが好ましい。これらの繊維を互いに交絡させて接合することにより、接着剤などによって接合した場合に比べて、非熱融着層10と熱融着層11との間に接着剤などの体液の移行を阻害しやすい部材が介在しないため、非熱融着層10から熱融着層11に体液が移行しやすくなるとともに、互いに交絡した繊維を通じて非熱融着層10から熱融着層11に体液が移行しやすくなる。また、繊維の交絡による接合は接合強度がそれほど強くならないので、熱融着層11を加熱・圧搾した際に、非熱融着層10への加熱や圧搾の影響が少なくて済むという利点も有する。このような繊維の交絡による接合法としては、高圧水流を噴射して繊維同士を絡み合わせる水流交絡法や、針の突き刺しにより機械的に繊維同士を絡み合わせる突き刺し法などがある。
【0039】
ところで、前記表面シート3の少なくとも非熱融着層10は、
図5に示されるように、透液性を高めるため、少なくとも体液排出部Hに対応する領域に表裏を貫通する多数の開孔12、12…を設けるのが好ましい。具体的には、前記開孔12は、スパンレース製造時の水流交絡工程において、繊維材料をメッシュ状支持体に担持させることで形成することができる。この場合、使用するメッシュの条件を変更することで、個々の開孔サイズ、開孔率を調整することが可能である。もちろん、製造後の不織布にパンチ(打ち抜き)加工を施して開孔を形成しても良い。前記開孔12は、表面シート全体に設けても良いが、少なくとも体液排出部Hに対応する領域に設けるのがよい。好ましくは、体液排出部Hに対応する領域を含み、製品長さ方向に吸収体長さの15%以上、製品幅方向に吸収体幅の50%以上、さらに好ましくは、体液排出部Hに対応する領域を含み、製品長さ方向に吸収体長さの50%以上、製品幅方向に吸収体幅の70%以上の領域に設けるようにする。開孔12の形成領域が、製品長さ方向に吸収体長さの15%未満でかつ製品幅方向に吸収体幅の50%未満である場合には、体液排出範囲をカバーすることができない事態が発生し、表面シート3に体液が残りべたつき感を感じるようになるとともに、痒みやかぶれ等装着時の肌トラブルが生じ易くなる。前記開孔12は、非熱融着層10にのみ設けてもよいし、非熱融着層10及び熱融着層11の両方に設けてもよい。
【0040】
前記開孔12は、
図5に示されるように、生理用ナプキン1の長手方向に長い縦長の形状で形成されている。このため、円形の開孔よりも液体が透過しやすくなるので、この開孔12を通じて体液が表面シート3を通過しやすくなり、表面シート3への保水が低減する。また、体液が開孔12を通過する際、液体が縦長に変形しながら通り抜けるため、体液の拡散方向がナプキン長手方向に制御でき、横方向への拡散が抑えられ、横漏れしづらくなる。なお、スパンレースの場合は、開孔形状が一様にはなりずらいが、前記開孔12の形状は、概ね矩形状〜角の取れた長孔形状若しくは楕円形状のような形状となる。
【0041】
前記開孔12の寸法としては、生理用ナプキン1の長手方向の長さL1が、1.0〜4.0mm、好ましくは1.5〜3.0mmとするのがよく、生理用ナプキン1の幅方向の長さL2が、0.5〜1.5mm、好ましくは0.5〜1.0mmとするのがよい。開孔12の寸法が0.5mm未満では体液が通過しにくいとともに、繊維の毛羽立ちにより明確な開孔が形成されにくく、開孔12の最大寸法が4.0mmを超えると開孔12からの液の逆戻り、吸収体4構成素材の表面露出の要因となる。また、前記L1とL2との比(L1/L2)は、1.2〜5.0、好ましくは2.0〜3.0とするのがよい。前記開孔12の面積Aは、0.9〜3.0mm
2、好ましくは0.9〜2.5mm
2とするのがよい。更に、開孔率は15〜45%、好ましくは17〜30%、より好ましくは18〜25%とするのがよい。前記開孔12の寸法は、全体に亘って一様である必要はなく、上記の範囲内であれば任意の大きさで形成することができる。
【0042】
前記表面シート3の少なくとも非熱融着層10は、
図5に示されるように、前記綿繊維によって、生理用ナプキン1の長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間隔をあけて形成された多数の縦筋13、13…と、生理用ナプキン1の幅方向に沿って延びるとともに長手方向に間隔をあけて形成された隣接する前記縦筋13、13間を繋ぐ多数の横筋14、14…とが形成されるとともに、前記縦筋13と横筋14とで囲まれた部分に前記開孔12が形成された構造を有しているのが好ましい。
【0043】
前記縦筋13の幅W1は、0.5〜2.5mm、好ましくは0.8〜2.3mmとするのがよく、前記横筋14の幅W2は、0.2〜1.6mm、好ましくは0.3〜1.4mmとするのがよい。また、前記幅W1とW2との比(W1/W2)は、1.2〜2.0、好ましくは1.5〜2.0とするのがよい。前記縦筋13の幅W1を横筋14の幅W2より大きくすることによって、縦筋13に沿った生理用ナプキン1の長手方向への液拡散が生じやすくなる。
【0044】
前記縦筋13は、横筋14より、繊維量が多く、かつ高密度に形成されている。これによって、前記縦筋13部分のみが肌に接触するようになり、肌への接触面積の低減により、長時間着用しても痒みやかぶれ等装着時の肌トラブルを生じ難くできると同時に、排液後においてもべたつき感が軽減されるようになる。また、体液が表面シート3を通過する際、繊維の毛細管現象により相対的に高密度の前記縦筋13に沿った生理用ナプキン1の長手方向への拡散が生じやすくなる。更に、前記開孔12を通過する体液と表面シート3を浸透する体液の拡散方向が生理用ナプキン1の長手方向で一致するため、前記開孔13を通過する体液に引き込まれるようにして表面シート3の縦筋13を浸透するので、表面シート3の液残りが極力抑制されるようになる。
【0045】
前記繊維量の測定は、JIS P8207:2009の「パルプ−ふるい分け試験方法」に従い行うことができる。また、前記密度の測定は、自動厚み測定器(カトーテック社製のハンディー圧縮試験機、KES−G5)を用いて厚みT
0(荷重:0.5gf/cm
2)を自動測定し、目付/T
0から算出することができる。
【0046】
前記表面シート3の少なくとも非熱融着層10には少なくとも体液排出部Hに対応する領域に撥水剤が外添塗布されるのが好ましい。撥水剤としては、パラフィン系、シリコン系等の既知のもののうち、肌への刺激性の少ないものを適宜選択して使用することができるが、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸マグネシウム等の刺激性の少ない油脂を適宜選択して使用することがより好ましい。中でも、ステアリン酸グリセリルが特に好ましい。生理用ナプキン1においてステアリン酸グリセリルからなる撥水剤を用いる場合、その塗布量は、繊維100重量部に対して、0.05〜1.50重量部とするのが好ましい(両面塗布の場合は両面の塗布量合計)。より好ましい塗布量は、0.03〜1.50重量部である。撥水剤塗布量は、0.05重量部未満であると撥水効果が不足することがあり、1.50重量部を超えると撥水性が高過ぎ、かえって水分を透過しづらくなる。
【0047】
前記撥水剤は、肌当接面のみに塗布しても、肌当接面と吸収体4側の面との両面に塗布してもよいが、少なくとも後述の吸水量試験から求めた吸水量が、0.03g以下、好適には0.02g以下となるようにするのが好ましい。
【0048】
前記表面シート3の吸水量は、次の手順により求めたものである。(1)10cm角の試料を準備し重量を測定する(A)。(2)10cm角の濾紙を表面が平滑な側を上にして3枚重ね、その上に前記試料をセットする。(3)セットした試料の上に常温の水道水を3ml滴下し、5分間放置する。(4)5分間放置後の試料の重量を測定する(B)。(5)(B)−(A)=吸水量(g)により表面シート3の吸水量(保水量)を求める。
【0049】
前記撥水剤の塗布方法は、転写、噴霧、刷毛塗り、含浸、ディッピング等の既知の方法を適宜使用できる。シートの両面の吸水度に差異を持たせる場合には、転写による塗布方法を好ましく使用できる。
【0050】
前記撥水剤は、製造効率の観点から、全面塗布することが好ましいが、少なくとも体液排出部Hに対応する領域に塗布してあればよく、排泄液を受ける部分のみに塗布してもよい。
【0051】
<セカンドシート>
前記セカンドシート6は、前記表面シート3と吸収体4との間であって、前記表面シート3の非肌側に隣接して配設されている。つまり、表面シート3の非肌側層を構成する熱融着層11の非肌側面と、セカンドシート6の肌側面とが対面して配設されている。前記セカンドシート6は、表面シート3とほぼ同形状の平面形状を有しているのが好ましい。このセカンドシート6は、後述するように、前記透液性表面シート3の熱融着層11に対し、圧搾部15における熱融着により接合される。
【0052】
前記セカンドシート6は、前記表面シート3の熱融着層11と同様に、有孔または無孔の不織布が用いられる。不織布の繊維素材としては、合成繊維が含有されている。たとえば、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の熱可塑性の合成繊維の他、これら合成繊維に、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を含めることができる。前記不織布としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。
【0053】
前記セカンドシート6は、非熱融着性の繊維、具体的には上述のセルロース系繊維を含まないのが好ましく、熱融着性繊維、具体的には合成繊維のみによって構成するのが好ましい。このセカンドシート6は、後段で詳述するように、圧搾部15において上層側の表面シート3の熱融着層11と熱融着されるため、非熱融着性の繊維が含まれていると、圧搾部15において熱融着しにくく、セカンドシート6と熱融着層11との接合強度が低下するおそれがある。前記セカンドシート6の熱融着性繊維と、前記熱融着層11の熱融着性繊維とは、ほぼ同程度の融点を持つ繊維素材であるのが好ましく、両者の繊維素材が同じであるのが特に好ましい。
【0054】
前記セカンドシート6は、前記熱融着層11より低目付かつ低密度で形成するのが好ましい。これによって、後段で詳述する圧搾部15を施した際に、セカンドシート6が熱融着層11に接合しやすくなるとともに、熱融着層11の繊維の一部がセカンドシート6の繊維間に入り込み、熱融着層11からセカンドシート6に体液が移行しやすくなる。前記セカンドシート6の目付としては、13〜35g/m
2、好ましくは13〜18g/m
2とするのがよい。
【0055】
前記セカンドシート6は、体液に対して親水性を有する素材繊維を用いるのが好ましい。具体的には、合成繊維を親水化剤によって表面処理し親水性を付与した繊維を用いることができる。前記セカンドシート6は、表面シート3の熱融着層11より親水性を高くするのが好ましい。
【0056】
<圧搾部>
前記セカンドシート6の非肌側面には、
図4に示されるように、前記セカンドシート6及び表面シート3を一体的に肌側に向けて窪ませた多数の圧搾部15、15…が形成されている。前記圧搾部15は、表面シート3の非肌側(熱融着層11の外面側)にセカンドシート6を積層した状態で、前記セカンドシート6の非肌側から圧縮すると同時に熱又は超音波を加えることにより、前記熱融着層11及びセカンドシート6の熱融着性繊維を溶融・固化して、圧搾状態を保形することにより形成した窪み部である。この圧搾部15において熱融着層11とセカンドシート6とが強固に固着され、表面シート3とセカンドシート6とが一体化されている。前記表面シート3及びセカンドシート6の積層体は、肌側面が平坦に形成され、非肌側面に前記圧搾部15…に対応する窪み部が多数形成されている。
【0057】
このように、前記圧搾部15によって表面シート3とセカンドシート6とが強固に固着しているため、表面シート3及びセカンドシート6の間が隙間なく密着し、これらの層間に液溜まりなどが発生せず、表面シート3からセカンドシート6に体液が移行しやすくなる。
【0058】
また、前記圧搾部15がセカンドシート6の非肌側からの圧搾によって形成されているため、肌側の非熱融着層10は高温状態で凹凸加工されるようなことがなく、高温状態での圧搾による繊維交絡の解除や、これに伴う不織布の壊れなどが防止できるとともに、表面の平滑性が維持でき、肌触りの悪化や強度の低下が防止できる。
【0059】
前記圧搾部15は、
図1に示されるように、間隔を空けて多数配置された間欠的なパターンで形成するのが好ましい。図示例では、ドット状の圧搾部15が、所定の間隔を空けて千鳥格子状に配置されている。前記圧搾部15の配置は、生理用ナプキン1の幅方向及び長手方向に沿って所定の間隔で配置した正格子状としてもよい。
【0060】
また、
図1に示される例では、圧搾部15が表面シート3のほぼ全体に施されているが、体液排出部Hに対応する領域など所要の領域にのみ施し、それ以外の領域には施さないようにしてもよい。これにより、体液排出部Hに対応する領域では、表面シート3からセカンドシート6への体液の移行がスムーズに行われ、それ以外の領域では、圧搾によってシートが硬くなるのが防止でき、セルロース系繊維の柔軟な風合いをより一層感じることができるようになる。
【0061】
前記圧搾部15の大きさは、1〜10mm、好ましくは1〜3mとするのがよい。1mmより小さいと、熱融着層11とセカンドシート6との圧搾部15の1箇所当たりの接合強度が小さく、熱融着層11とセカンドシート6との密着性が低下して体液の移行がスムーズに行われにくくなる。一方、10mmより大きいと、圧搾部15の硬さを感じやすくなり、装着感が悪化するおそれがある。
【0062】
前記圧搾部15の形状は、図示例では円形であるが、楕円形や多角形など任意の形状で形成することができる。
【0063】
図1に示されるように、隣り合う圧搾部15、15の間隔Bは、3〜15mm、好ましくは5〜10mmとするのがよい。この間隔Bが3mmより小さいと、圧搾部15、15が近接しすぎて、表面シート3が硬くなる原因となる。一方、15mmより大きいと、熱融着層11とセカンドシート6との密着性が低下して、体液の移行がスムーズに行われにくくなる。この間隔Bは、
図1に示される例では全面に亘ってほぼ一定であるが、領域によって変化させてもよい。例えば、体液排出部Hに対応する領域では、熱融着層11とセカンドシート6との密着性を高めて体液を移行しやすくするため前記間隔Bを相対的に小さくし、それ以外の領域では、柔軟な感触を維持するため相対的に大きくすることができる。また、体液排出部Hに対応する領域を中心として、生理用ナプキン1の外縁側に向かうにしたがって徐々に間隔Bが大きくなるようにしてもよい。
【0064】
多数の圧搾部15、15…の合計面積が前記セカンドシート6の面積に占める割合であるエンボス率は、セカンドシート6と熱融着層11との接合強度を高めて体液を移行しやすくする一方で、圧搾部15の硬さにより装着感が悪化しないようにする観点から、1〜20%、好ましくは6〜15%とするのがよい。
【0065】
前記圧搾部15の圧搾深さは、
図4に示されるように、非熱融着層10の中間位置までとし、非熱融着層10の大部分、好ましくは厚みの半分以上が圧搾されないようにするのが好ましい。これによって、圧搾部15を施した部分においても非熱融着層10の肌側面が柔軟な風合いを充分に保持できるようになる。圧搾部15においては、圧搾時に、底部の熱融着層11及びセカンドシート6の熱融着性繊維が溶融し固化することにより、所定の窪み形状が保持されている。また、溶融した熱融着性繊維の一部が、圧搾部15の底部において非熱融着層10の繊維間に流れ込んで固化することにより、熱融着層11と非熱融着層10との接合強度を高めることができる。
【0066】
前記圧搾部15を施すことによって、非熱融着層10は、非肌側の一部が圧縮され、繊維密度が高くなっている。このため、繊維の密度差に伴う毛管作用によって、非熱融着層10に吸収された体液が圧搾部15に引き込まれやすくなっており、この圧搾部15に引き込まれた体液は、圧搾加工に伴う各層間の繊維の絡み合いや繊維の密度差によって、セカンドシート6に移行しやすくなっている。したがって、前記圧搾部15を施すことによって、非熱融着層10における表面の液残りが少なく、べたつき感が低減できるとともに、蒸れによるかぶれが防止できる利点もある。
【0067】
<製造方法>
次に、前記生理用ナプキン1の製造方法について説明する。ここでは、本発明の特徴である前記圧搾部15を形成する方法について詳細に説明する。その他の工程は、一般的な生理用ナプキンの製造方法と同様である。
【0068】
第1の形態例としては、
図6に示されるように、表面シート3とセカンドシート6との積層体を、表面が平坦な加熱しないフラットロール20と、表面に前記圧搾部15…に対応する多数の凸部22、22…が形成された、少なくとも圧搾時に加熱する凸ロール21との間を通過させることにより、前記セカンドシート6及び熱融着層11の熱融着性繊維を熱融着して接合すると同時に、前記圧搾部15…を形成する方法を挙げることができる。
【0069】
これにより、表面シート3の肌側面が平坦で肌触り感に優れるとともに、表面シート3の熱融着層11とセカンドシート6とが前記圧搾部15において強固に接合された表面シート3とセカンドシート6との積層体が得られるようになる。また、表面シート3の非熱融着層10に対向するロールとしてフラットロール20を用いているため、非熱融着層10側からの部分的な圧縮力が作用しないとともに、前記フラットロール20を加熱せず、凸ロール21のみを加熱して圧搾を行っているため、圧搾時の加熱や圧搾加工によって非熱融着層10の繊維の交絡が解かれて不織布の壊れなどが生じるのが防止できるとともに、非熱融着層10表面の平滑性が維持でき、肌触りの悪化や強度の低下が防止できる。
【0070】
次いで、第2の形態例としては、
図7に示されるように、非熱融着層10及び熱融着層11の2層構造からなる表面シート3を、表面が平坦な加熱しないフラットロール23と、表面に多数の凸部25、25…が形成された少なくとも圧搾時に加熱する凸ロール24との間を通過させることにより、表面シート3の非肌側面に、熱融着層11及び非熱融着層10を一体的に肌側に向けて窪ませた多数の中間圧搾部15’、15’…を形成した後、表面が平坦な加熱しない第2のフラットロール26と、表面に前記圧搾部15…に対応する多数の凸部28、28…が形成された少なくとも圧搾時に加熱する第2の凸ロール27との間を通過させることにより、セカンドシート6及び熱融着層11の熱融着性繊維を熱融着して接合すると同時に、前記圧搾部15を形成する方法を挙げることができる。
【0071】
第2の形態例では、予め、表面シート3に中間圧搾部15’…を形成することによって、非熱融着層10と熱融着層11との接合強度を高めている。その後、表面シート3とセカンドシート6とを積層した状態で圧搾部15を形成している。この圧搾部15…は、前記中間圧搾部15’…の窪み部に対して施してもよいし、中間圧搾部15’…以外の部位に施してもよい。
【解決手段】表面シート3が肌側に配設されたセルロース系繊維からなる非熱融着層10と、非肌側に配設された熱融着性繊維からなる熱融着層11とを含む多層構造からなり、表面シート3の非肌側に、熱融着性繊維からなるセカンドシート6が配設され、セカンドシート6の非肌側面に、セカンドシート6及び表面シート3を一体的に肌側に向けて窪ませた多数の圧搾部15…が形成されている。前記非熱融着層10と熱融着層11とは、互いの繊維が交絡して接合されている。前記セカンドシート6は、熱融着層11より低目付かつ低密度で形成されている。前記圧搾部15は、間欠的なパターンで形成されている。