(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は業務用として使用される流しの一例についてその概略を示す。業務用の流しとは飲食業の調理場で使用され、営業中に洗浄することが難しく、営業後に集中して洗浄することが求められる流しを意味し、随時洗浄できる家庭用の流しと異なる。但し、構造は家庭用の流しと大差がない。
【0010】
流しのシンク10の下方には排水部11が設けられている。
排水部11は、大径の筒状部材である排水ダクト12と、これより小径の排水ホース13を備える。
排水ダクト12の上端部はシンク10の底部10aに接続し、内部下方には防臭トラップ(後述)が設けられている。
排水ホース13の上端部は排水ダクト12の底部へ接続し、下端部は床下へ延びている。
【0011】
図2は、清掃用具を使用した清掃時における排水ダクト12を断面にした拡大図であり、
図3は、排水ダクト12の構成部品を展開して示す図である。また、
図4には清掃用具を用いない通常使用状態における流しの断面図を示してある。
図3にも示すように、排水ダクト12は、上方へ開放された大きな上部開口を有する有底筒状のプラスチック製部材である。大きな上部開口は、排水ダクト12の上端部に設けられている。この排水ダクト12の外形部を特にダクト本体部20とする。
【0012】
排水ダクト12の上端部外周には、大きな上部開口を囲んでリング状のフランジ27が一体に設けられている。このフランジ27は、底部10aに設けられた開口10bを貫通し、パッキン19aを介してナット19で底部10aを上下から挟持することにより、底部10aと液密に接続している(
図2)。
排水ダクト12の下端部には、排水ホース13の上端部が接続されている。
排水ホース13の下端部は床11aの排水キャップ11b(
図1)を貫通し、床下の下水配管(図示省略)へ接続している。
シンク10内の排水は、排水ダクト12から排水ホース13を通り、床下へ流れる。
【0013】
排水ダクト12のダクト本体20内には、防臭トラップ14が設けられ、下水側の臭気が矢示a(
図4)のように、排水ホース13から、排水ダクト12を通って、シンク10内へ漏れ出すことを防いでいる。
防臭トラップ14は、ダクト本体20の内側へ一体に設けられた排水パイプ21と、その上端21aに被せられる防臭キャップ15とを備える。
【0014】
排水ダクト12内には、防臭キャップ15の上方に、かご16、ゴムキャップ17及び密閉蓋18がこの順に重なって収容される(
図3及び
図4参照)。
排水ダクト12は、これらの構成部品(防臭キャップ15、かご16、ゴムキャップ17及び密閉蓋18)を排水ダクト12内へ収容して組立てて使用される。但し、密閉蓋18は殆どの場合、外されて別置きされる(
図4)。しかし、この実施例の清掃時には、密閉蓋18を
図2のようにゴムキャップ17の上に重ねられている。
【0015】
なお、
図3には本願発明の第1実施例に係る清掃用具30も一緒に示してある。但し、清掃用具30は通常の流し使用時(
図4の状態)には用いられず、清掃時(
図2の状態)に使用するものであり、排水ダクト12内を洗浄するとき、排水部11の排水路11cを閉じて、排水ダクト12内に洗浄液を充満させるための部材である。詳細は後述する。
【0016】
以下、
図2〜
図4を中心にして流しの各構成部品について詳細を説明する。
まず、排水ダクト12を詳細に説明する。
図2に示すように、排水ダクト12のダクト本体20は下部側に段部22が設けられ、この段部22より下方が小径部24をなし、その底部25は排水パイプ21に連続している。
【0017】
ダクト本体20における段部22より上方部分の内径は大きな上部開口の開口径にほぼ同じく、小径部24の内径は段部22の内方突出分だけ小さくなっている。
段部22は、排水パイプ21の上端21aとほぼ同じ高さに形成され、ダクト本体20の内面20aで段部22から上方へ若干離れた位置にダクト側突起23が形成されている。
【0018】
排水パイプ21は排水ダクト12の内側に底部25と一体に設けられたパイプ状部材であり、排水ダクト12の軸心に沿って上下方向へ延びている。
排水パイプ21の上部は底部25から上方へ比較的長く延出している。
排水パイプ21の下部は底部25の下方へ若干量突出している。
【0019】
排水パイプ21には上下に貫通する軸穴が設けられ、この軸穴が排水ダクト12の排水穴21bをなし、上下端部は開放されている。この排水穴21bは、排水ホース13のホース穴13gとともに排水部11の排水路11cになっている。排水穴21bの穴径(後述のD1)は小径部24の内径より小さくなっている。
【0020】
ダクト本体20、排水パイプ21及び底部25に囲まれた空間は、液封部26をなし、ここに封止液26aが滞留している。封止液26aの液面は、防臭トラップ14の高さ、より厳密には上端21aの位置を示す直線Q(
図4)と同程度であり、段部22の高さともほぼ同じになっている。封止液26aは、排水の一部が排水ダクト12内の液封部26内に残留する部分であり、臭気の漏れ出しを防いでいる。
【0021】
なお、排水ダクト12内に洗浄液を充満させるには、排水路11c、例えば、排水パイプ21の排水穴21bを閉じる必要がある。排水穴21bを閉じない限り、排水ダクト12内には封止液26aが残留するだけであり、それより上方に洗浄液を滞留させることができない。また、排水パイプ21の排水穴21b内も同時に洗浄するには、排水路11cの内部を閉じて排水穴21b内に洗浄液を充満させなければならない。
【0022】
排水パイプ21の下端部は排水ダクト12の底部25から下方へ突出する突部21dをなし、この下端が排水パイプ21の下端21cになっている。排水パイプ21の下端21cには、排水穴21bの下端が開口し、これが排水ダクト12の排水口穴になっている。
突部21dの外周部には、排水ホース13の上端部に設けられたナット13aが締結されるようになっている。
【0023】
排水穴21bの穴径は上下方向全長で一定のD1である。この例における排水ホース13におけるホース穴13gの穴径もD1と同じであり、排水穴21bとホース穴13gは連通接続し、通路径一定の排水路11cになっている(
図4)。
なお、流しの仕様により、ホース穴13gの穴径は、排水穴21bの穴径D1よりも大きい場合も、小さい場合もある。
【0024】
次に、
図3を中心に防臭キャップ15の詳細を説明する。
防臭キャップ15は天井部15aを有する下向きに開放された略カップ状をなすプラスチック製の部材であり、排水パイプ21の外側を囲む筒状部15bが天井部15aと一体に設けられている。
【0025】
天井部15aの上部には、つまみ15cが上方へ突出して設けられている。
筒状部15bの上部にはキャップ側突起15dが径方向外方へ突出して設けられている。
筒状部15bの内径は排水パイプ21の外径よりも大きく、外径は小径部24の内径よりも小さい。
また、筒状部15bの上下方向長さは、排水パイプ21に被せたとき、排水パイプ21の大半に重なる程度であり、好ましくは下端部15e(
図4)が排水ダクト12の底部25近傍に達する程度である。
【0026】
防臭キャップ15は、通常時において、排水パイプ21の上端21a上方へ間隔を持って被せられ、キャップ側突起15dを段部22とダクト側突起23の間に係合することにより排水ダクト20側へ固定されている(
図4)。
また、清掃用具30の使用時には、キャップ側突起15dと排水ダクト12側との係合を解除し、排水ダクト12側と非固定にされる(
図2)。
【0027】
図4に示すように、防臭キャップ15の固定状態では、天井部15aは上端21aの上方を、若干の間隔を持って覆う。また、筒状部15bの下端部15eと底部25との間にも若干の間隙が形成される。
その結果、防臭キャップ15と排水パイプ21及び小径部24の内側には、矢示aで示す迷路状の通路が形成される。
【0028】
排水ホース13を通って上昇する臭気は、この迷路状の通路を通ることになるが、小径部24、排水パイプ21及び底部25に囲まれた液封部26には封止液26aが滞留し、この封止液26aにより臭気が封止され、排水ダクト12の上部開口側へ漏れ出さない。
【0029】
かご16は、上方へ開放された有底筒状のプラスチック製又は金属製(好ましくはステンレス製)の部材であり、フランジ16a、網で構成された筒状の本体部16b及び底部16cを備える。
フランジ16aは排水ダクト12の上端部に設けられているフランジ凹部27a(
図2)に嵌合する。
【0030】
ゴムキャップ17はゴム等の弾性体からなり、
図3に示すように、外周部に形成される厚肉のパッキン部17aと、その内側に一段低くなって形成される可動膜弁17bを備える。
ゴムキャップ17は 菊割れふたとも称され、複数の可動膜弁17bが放射状に形成されている。
パッキン部17aは、
図4に示すように、フランジ凹部27a内に支持されているフランジ16aの上へ重なり、密に嵌合することにより、フランジ16aをフランジ凹部27aに固定している。
【0031】
次に、清掃用具30について説明する。
図5は、第1実施例に係る清掃用具30の斜視図、
図6はその断面図である。これらに示すように、清掃用具30は、栓31と、この栓31を下端部に固定した柄32を備える。
柄32の上端部にはハンドル33が設けられ、柄32の長さ方向中間部にはセンタリング部材34が設けられている。
【0032】
栓31はゴム等の弾性体からなる部材であり、排水穴21bを所定位置で閉じる。
栓31は略円錐台状の形状をなし、上面31aは外径がD4なる大径部をなす。この外径D4は排水パイプ21の内径D1より若干大きくなっており(D1<D4)、栓31を排水穴21b内へ押し込んだとき、上面31aの外周部が圧縮され、外径D4が縮径されるように上面31aの外周部が弾性変形して排水パイプ21の排水穴21b内面へ密着することにより密栓するようになっている。
下面31bは外径がD5なる小径部をなす(D4>D5)。D4は栓31における最大外径部の外径、D5は最小外径部の外径である。側面31cは下方が中心方向へ向かって傾斜するテーパー面をなす。
【0033】
柄32は、中実もしくはパイプ状で比較的剛性のある金属製もしくはプラスチック製で直線状の棒状部材が好ましい。
この実施例における柄32は比較的細径で中実のステンレス棒であり、その上端部に上部ボス36が外嵌され、これと柄32を軸直交方向へ貫通する丸棒状のハンドル33により連結一体化されている。
【0034】
柄32の長さは、
図2に示すように、清掃用具30の使用時にて、柄32の上端である上部ボスの上端36aと排水パイプ21の上端21aとの距離である突出量Aが所定量になるように設定される。
すなわち、突出量Aは、上端36aが防臭キャップ15の天井部15a下面へ点接触し、同時にキャップ側突起15dが段部22から所定量Bだけ離れるように防臭キャップ15を持ち上げ、さらに防臭キャップ15がかご16を所定量Cだけ持ち上げることができる量である。
【0035】
ハンドル33は、栓31を排水穴21b内へ挿入するとき、指先で清掃用具30を持つ部分であり、ハンドル33に力を加えて押し下げることにより、栓31で排水路11cを密栓できる。
また、洗浄後に、清掃用具30を排水パイプ21から取り外すとき、専用の取り出し工具(図示せず)で引き出す部分でもある。ハンドル33の大きさや形状は、指で持ちやすい程度であれば良く、長さは、防臭キャップ15内へ収容可能な程度である。
専用の取り出し工具は、ハンドル33を引っかけることにより、清掃用具30を排水パイプ21から上方へ引き出すようにした工具であり、種々な構造のものがある
【0036】
センタリング部材34は、天井壁34aを有する下向きに開放された略カップ状の部材であり、排水パイプ21の上部に外嵌する筒状壁34bが天井壁34aと一体に設けられている。センタリング部材34は、金属製もしくはプラスチック製であり、金属の場合はステンレスが好ましい。
天井壁34aには洗浄液を通すための穴34cが柄32の回りに複数設けられている。
【0037】
天井壁34aの中心部には柄32が貫通し、センタリング部材34は柄32に対してその長さ方向へ相対移動可能である。但し、排水穴21b内へ押し込まれた栓31が所定の密栓位置にあるとき、天井壁34aが排水パイプ21の上端21aに当接するとともに、天井壁34aがこの位置からさらに上方へ移動しないように、天井壁34aの上方移動を規制する柄側ストッパ38が柄32に設けられている。すなわち、センタリング部材34は柄32に対してその長さ方向へある程度の範囲で移動自在であるが、栓31が所定の密栓位置になったときは、それ以上の上動が規制されるようになっている。柄側ストッパ38については後から詳述する。
【0038】
筒状壁34bの内径は排水パイプ21の外径よりも僅かに大きい程度であり、栓31を排水穴21b内へ挿入すると、筒状壁34bが排水パイプ21の上部に微小クリアランスで外嵌する。これにより、柄32がほぼ排水穴21bの中心に沿う状態で維持されるようにセンタリングされるので、柄32の倒れ込みを防ぎ、栓31の密栓状態を維持できる。
【0039】
図7は、清掃用具30で排水パイプ21を閉じた状態を示し、栓31が所定の密栓位置Pにあり、センタリング部材34は、天井壁34aの下面が排水パイプ21の上端21aに当接し、上面が柄側ストッパ38に当接している。
センタリング部材34は、本願発明における位置決め手段をなす部材であり、位置決め手段を構成するストッパをなしている。より厳密には、天井壁34aが位置決め手段を構成するストッパの一部をなしている。
【0040】
ストッパは、柄32に対して長さ方向移動を規制されて固定されるものと、可動にされたものがある。この例におけるセンタリング部材34は可動ストッパに相当する。なお、天井壁34aを柄32に固定して長さ方向移動不能にした固定ストッパとすることは自由である。
また、可動ストッパは可動部と柄32側の固定部とに分離される。栓31が所定の密栓位置Pに至らない段階では、可動部は柄32に対して長さ方向移動可能であり、天井壁34aが相当する。固定部は予め柄32上へ長さ方向へ移動不能に固定された柄側ストッパ38が相当する。
【0041】
栓31が所定の密栓位置Pに至ると、可動部の天井壁34aが固定部の柄側ストッパ38により、長さ方向上方への移動を規制されるようになっている。
さらに、柄側ストッパ38は、固定位置を柄32の長さ方向で調整移動可能にしたものと、調整移動不能にしたものがある。この例では調整移動不能にしてあるが、いずれにするかは自由であり、これについての詳細は後述する。
【0042】
センタリング部材34は、位置決め手段のストッパとして、栓31が排水パイプ21内の所定位置で密栓するように位置決めする。この位置決めは、排水パイプ21内における栓31を、排水パイプ21の上端21aから密栓所定距離Dまで挿入したとき、挿入移動を強制的に停止させることにより行われる。
【0043】
密栓所定距離Dは、排水パイプ21の上端21a(直線Q)から所定の密栓位置Pまでの距離である。この密栓所定距離Dは、柄側ストッパ38の位置で決定される。すなわち、柄側ストッパ38と栓31(密栓部)との距離は、密栓所定距離Dに天井壁34aの板厚分を加えたものである。したがって、柄側ストッパ38の柄32上における位置を、例えば、長さ方向上方へ移動させれば、柄側ストッパ38と栓31との距離が大きくなり、密栓所定距離Dが大きくなる。その結果、所定の密栓位置Pは下方へ移動することになる。柄側ストッパ38を反対側へ移動させれば、密栓所定距離Dは小さくなり、所定の密栓位置Pは上方へ移動する。
【0044】
図8は密栓位置について説明する図である。所定の密栓位置Pは、上記したように、密栓所定距離Dを変化させることにより、排水パイプ21の排水穴21b内において自由に設定される位置である。例えば、図示のP1〜P3を含む、ある程度の範囲になる。
排水穴21b内の洗浄面積を可及的に大きくするためには、できるだけ排水パイプ21の下方側を密栓することが好ましく、まず下端部P1が最も好ましいことになる。なお、下端部P1は底部25より下方かつ排水パイプ21の下端21cまでの範囲を指称することにする。
【0045】
P2は、底部25より若干上方の位置であり、P3はさらに上方の位置である。いずれにしろ、できるだけ排水パイプ21の下部を密栓して、排水穴21bにおける洗浄液が充満される長さを長くすることが好ましい。
なお、P4は排水ホース13のホース穴13g内を密栓した例である。この例のように、
ホース穴13gの穴径が排水穴21bの穴径と同じであり、かつ排水ホース13の材料が密栓に耐えるだけの十分に高い剛性がある場合には、このような位置を所定の密栓位置とすることも可能である。
【0046】
次に、清掃用具30を用いた清掃手順を説明する。
図4の状態において、排水ダクト12から、密閉蓋18、ゴムキャップ17、かご16を取り出す。さらに、防臭キャップ15を取り出す。これにより、排水パイプ21の上端開口が露出する。
【0047】
そこで、
図7に示すように、排水パイプ21の上方に配置した清掃用具30を、下方(矢示b方向)へ向かって栓31を先頭にして排水穴21bへ挿入する。
このとき、清掃用具30を排水穴21bへ挿入する当初段階では、センタリング部材34は、筒状壁34bが排水パイプ21の外周へ外嵌するとともに、天井壁34aが排水パイプ21の上端21aに当接する。また、この段階のセンタリング部材34は上方移動可能になっているため、さらに栓31を押し込むと、排水パイプ21の上端21aにより、柄32に対して相対的に上方へ移動する。
【0048】
やがて、栓31が所定の密栓位置Pになると、栓31の挿入距離が密栓所定距離Dとなり、天井壁34aの上面が柄側ストッパ38へ当接することにより、天井壁34aは上下方向の移動を規制されて停止する。すなわち、天井壁34aの下面が直線Qに重なると、センタリング部材34は上下いずれの方向にも移動を停止されることになる。
同時に、柄32も下方移動を規制されるため、この位置から下方へのさらなる栓31の押し込みが不能になる。
【0049】
これにより、栓31は所定の密栓位置Pにて確実に位置決めされて固定される。
したがって、排水パイプ21内を直接目視せずに、単に柄32を持って栓31を押し込んだだけでも、栓31は所定の密栓位置Pへ確実に位置決め固定されるから、排水パイプ21内に対する密栓作業が確実で容易かつ迅速になる。
【0050】
続いて、シンク10から排水ダクト12内へ洗浄液28を入れる。洗浄液28は、排水路11cが栓31で閉じられているため、排水穴21bを含む排水ダクト12内に充填され、さらに液面Hがシンク10の底部10aより若干上方になる位置まで充填される。このときの洗浄液28の液面Hの高さEは、底部10aからの高さである(
図2参照)。
【0051】
洗浄液は、漂白剤・中性洗剤・酸性洗剤・アルカリ洗剤等の適宜洗浄剤を水に溶かしたものである。漂白剤や洗剤など排水ダクトの洗浄用として市販されている洗浄剤を単品もしくは複数を混合して適宜使用可能である。
なお、排水パイプ21内は汚れが酷く、周囲と同じ濃度の洗浄液では十分に洗浄できない場合がある。この場合には、センタリング部材34の天井壁34aに向かって、所定濃度の洗浄液を投下する。この洗浄液は天井壁34aの穴34cから排水パイプ21の排水穴21a内へ入り、排水穴21a内の洗浄液濃度を濃くすることができる。
【0052】
続いて、
図2に示すように、防臭キャップ15を排水ダクト12内へ入れ、その上にかご16を入れる。さらにかご16の上にゴムキャップ17を重ね、必要により、さらに密閉蓋18を重ねる。
防臭キャップ15は、天井部15aが清掃用具30の柄32における上部ボス36の上端36aへ当接する。このとき、上端36aは、排水パイプ21の上端21aより上方へ所定量Aだけ突出しているので、防臭キャップ15は清掃用具30により持ち上げられた状態になり、キャップ側突起15dがダクト側突起23と段部22との間から脱して所定量Bだけ上方へ離れた状態になる。また、つまみ15cが底部16cに当接し、かご16により防臭キャップ15の浮き上がりを阻止する。
【0053】
さらに、かご16が押し上げられて、フランジ16aがフランジ凹部27aから所定量Cだけ持ち上げられ、パッキン部17aもフランジ16aとの間に間隙C1を形成する。
これにより、少なくともかご16の一部が、柄32により押し上げられてシンク10内へ突出し、シンク10内の洗浄液中へ浸漬される。
このときのシンク10内における液面Hの高さEは、密閉蓋18、ゴムキャップ17及びフランジ16aがシンク10内にて洗浄液28中へ浸漬されるように設定される。
【0054】
この状態で、所定時間(例えば、一晩)放置し、洗浄液28により洗浄をおこなう。
翌日、防臭キャップ15、かご16、ゴムキャップ17及び密閉蓋18を取り出し、シンクの底部10a上へ置く。
但し、一晩放置するのは、流しが業務用のためである。家庭用の場合は、これより遙かに短い放置時間にする。
【0055】
次に、清掃用具30を排水路11cから取り出し、シンク10及び排水ダクト12内の洗浄液28(封止液26aを除く)を排水ホース13から排水し、さらに、シンク10内に清水を流し、防臭キャップ15、ゴムキャップ17及び密閉蓋18、排水ダクト12の内部(排水パイプ21及び排水穴21bを含む)及び排水ホース13上部内の汚れや洗浄液28を洗い流す。これにより、洗浄液28と接触していた部分は、ヌメリ等の汚れが除去された清潔な状態となり、手で気持ちよく触ることができる。
その後、防臭キャップ15を排水パイプ21へ取付け、さらにかご16、ゴムキャップ17及び密閉蓋18を排水ダクト12内へ入れると、洗浄を終えて、流しとして通常の使用をする、
図4に示す当初状態になる。
【0056】
このようにすると、排水ダクト12内全体へ洗浄液28を充満させて、排水ダクト12の内部全体を洗浄液28へ浸漬させ、所定時間このままに放置するだけで、全体をムラなく洗浄できる。したがって、排水ダクト12内へ殆ど手を入れることなく、排水ダクト12内の汚れを均一かつ確実に除去でき、手間がかからずに除去できる。しかも、洗浄作業が快適かつ容易になる。特に、従来は洗浄されなかった、排水パイプ21の排水穴21b内も同時に洗浄されるので、排水パイプ21内を確実に洗浄でき、流しの衛生向上に貢献できるとともに、そのための作業が容易かつ迅速になった。
【0057】
さらに、柄32に、センタリング部材34を設けたので、栓31を排水穴21b内へ差し込んだとき、センタリング部材34が排水パイプ21の上部へ嵌合して、柄32の心出しをして柄32の倒れを防ぎ、栓31の密栓状態を維持できる。同時に、センタリング部材34が、栓31の位置決め手段をなすストッパとしても機能することができる。
【0058】
なお、センタリング部材34をストッパにする構造は種々の変形例が可能であり、これを
図9に示す。
図9のAは、柄側ストッパ38を調整移動不能にする例である。柄側ストッパ38は丸囲み部内に示すように種々なものが可能である。例えば、(a)に示すように圧着リング38aとし、この圧着リング38aを柄の外周へ圧入等で密に固定することができる。
【0059】
(b)は柄側ストッパをクリップ38bとした例であり、柄32の外周に設けた溝32aにクリップ38bを係合させて取付けるようになっている。なお、クリップとしては、サークリップなど各種のものが使用可能である。
(c)は、リング状などの遊嵌部材38cを柄側ストッパとして用いた例であり、これを溶接により柄32の外周へ固定したものである。
【0060】
図9のB〜Dは、柄側ストッパ38を調整移動可能にした例である。
まず、
図9のBは、オーリングのような弾性リング38dを柄側ストッパとして用いた例である。この弾性リング38dを弾性変形させて拡径しながら柄32の外周所定位置へ密着固定し、天井壁34aの上動を規制する。弾性リング38dの弾性を、天井壁34aが位置決め時に当接する程度の力では動かないように予め設定することで、柄側ストッパとしての機能を果たすことができる。
【0061】
一方、より大きな力を加えると、弾性リング38dは長さ方向へ移動可能になって、弾性リング38dの位置を調整可能になる。そこで、弾性リング38dの位置を変更することにより、密栓所定距離Dを変化させることができる。その結果、所定の密栓位置を容易に変更できるようになる。
【0062】
図9のCは、柄32にねじ32bを設け、これに締結するナット38eを柄側ストッパとしたものである。ねじ32bの上でナット38eを回転させることにより、ナット38eの位置を変化させれば、所定の密栓位置を容易に変更できる。
なおこの例では、ねじ32bは柄32の上端まで形成されており、ここに上部ボス36を締結できるようになっている。
【0063】
図9のDは、上部ボスを柄側ストッパとした例である。この上部ボス36Aは、
図9のCに記載したものよりも上下方向に長く形成され、その軸心部に下方へ開放された雌ネジ穴36bが形成されている。一方、柄32の上部には上端までねじ32bが設けられている。そこで、上部ボス36Aの雌ネジ穴36bを柄32のねじ32bに締結し、下端36cが密栓所定距離Dで天井壁34aへ当接するように設定する。
【0064】
これにより、特別に柄側ストッパを設けなくても、天井壁34aの移動規制が可能になる。また、上部ボス36Aを回転すれば、下端36cの位置を調整自在になる。
なお、柄32を上部が太径をなす段付き状にすれば、太径部が上部ボスと同様に機能するとともに、天井壁34aの上方移動を規制する柄側ストッパとしても機能させることができる。但し、この場合の太径部は、調整移動不能タイプの柄側ストッパとなる。
【0065】
図10は第2実施例に係る清掃用具30Aを用いた流しの清掃時状態を示す断面図である。清掃用具30Aは清掃用具30と一部のみが相違するだけであり、他の部分は共通するため、相違点を中心に説明し、共通部分は共通符号を用い、説明を簡略もしくは省略する。
清掃用具30Aは、前実施例の清掃用具30(
図5及び
図6参照)に対して、長尺の柄32Aと、握り37を備える点が相違している。
【0066】
柄32Aは、柄32を上方へ長く延長したものに相当し、その長さは、栓31の密栓時に、握り37がシンク10内の液面Hより上方へ突出するように設定されている。
なお、この例では、柄32Aが長いので、これが倒れないようにするため、センタリング部材34が大いに役立つ。このとき、センタリング部材34は柄32Aに対して長さ方向へ移動自在であるが、柄側ストッパ38を設けて、その上方移動を所定位置で規制している。この位置は、密栓所定距離Dを得るためのものであって、前実施例と同じように設定される。
【0067】
したがって、栓31を上端21a内へ入れて、清掃用具30Aを押し下げると、センタリング部材34が排水パイプ21に外嵌して、柄32Aの倒れを防ぐ。同時に、天井壁34aが上端21aに当接し、かつ天井壁34aに柄側ストッパ38が当接して、それ以上押し下げできなくなるので、栓31を所定の位置にて密栓でき、栓31の位置決めが可能になる。
【0068】
また、防臭キャップ15、かご16、ゴムキャップ17、密閉蓋18は、長い柄32Aが上下方向へ通っているため、排水ダクト12内へ収容できないので、底部10a上に置く。
この状態で排水ダクト12内へ洗浄液28を入れ、底部10a上の防臭キャップ15、かご16、ゴムキャップ17、密閉蓋18が浸漬されるように、底部10aからの液面Hの高さEを調整する。このEは、
図2におけるものよりも大きくなっている。
【0069】
次に、位置決め部材を、第1実施例及び第2実施例におけるセンタリング部材と異なるものにした第3実施例を説明する。
すなわち、上記各実施例におけるセンタリング部材34は、排水パイプ21へ外嵌されるものであったが、センタリング部材は、排水パイプ21へ外嵌するものばかりでなく、排水穴21b内へ内嵌するものでもよい。
図11はこのようなセンタリング部材34Bを示し、
図11のAにセンタリング部材34Bの使用状態における断面図、
図11のBにセンタリング部材34Bを構成するストッパ部及びセンタリング部の上方視図、
図11のCに同Bの変形例を示す。
【0070】
この清掃用具30Bは、
図6に示す第1実施例に係る清掃用具30について、そのセンタリング部材34のみに若干変更を加えたセンタリング部材34Bを用いたものであり、センタリング部材34Bは同34の変形例である。
このセンタリング部材34Bは、カップ状をせず、板状のストッパ部34g及びセンタリング部34hからなる2部材で構成されている。
【0071】
これらのストッパ部34g及びセンタリング部34hは、それぞれ
図11のBに示す円板状をなし、ストッパ部34gが大径部材であり、センタリング部34hが小径部材である。
ストッパ部34gは外周部が排水パイプ21の上端21aへ重なる大きさである。
センタリング部34hは、排水パイプ21の肉厚分だけ小径であり、外周が排水穴21b内にて排水パイプ21の内面へ当接する。
なお、
図11のBはストッパ部34gを示し、センタリング部34hは下に重なって見えていない。但し同形である。また、
図11のCも同様である。
【0072】
ストッパ部34g及びセンタリング部34hには、洗浄液を通すための穴34c及び柄32を通過させるための中央穴34iがそれぞれ形成されている。中央穴34iは各部材の中心部に設けられる同一寸法のものであり、柄32の外径よりも若干大きな穴径をなしている。これら2部材は同心で重ね合わされ、好ましくは一体化されて積層体のセンタリング部材34Bになっている。
【0073】
このセンタリング部材34Bの中心穴34iに柄32を通すと、センタリング部材34Bは柄32に対して長さ方向移動可能になる。
一方、柄32にはねじ32bが設けられており、センタリング部材34Bは、ねじ32bに締結するナット38eにより、上方移動を規制される。ねじ32b、ナット38e並びに柄32の上端部へネジ止めされる上部ボス36は、
図9のCに示すものと同じである。
【0074】
栓31を排水パイプ21内へ挿入すると、センタリング部34hが排水パイプ21の内側へ嵌合して柄32の心出しを行うとともに、ストッパ部34gの外周部が排水パイプ21の上端21aに当接する。
そこで、排水パイプ21の上端21aに当接しているストッパ部34gが、密栓所定距離Dにて上動を阻止されるようにナット38eの位置を設定すると、センタリング部材34Bは位置決め手段のストッパとなる。
【0075】
なお、ストッパ部34g及びセンタリング部34hは一体化することが好ましいが、別体のままでもよい。この場合は、センタリング部34hが下方へ落ちてしまわないよう、別のナット38eで適当位置に固定することが好ましい。
【0076】
また、ストッパ部34g及びセンタリング部34hは、
図11のCに上方視図を示すように、リング状のハブ34jから径方向へ張り出す複数の腕部34kからなるものとしてもよい。ストッパ部34gとセンタリング部34hは腕部34kの長さが異なり、ストッパ部34gの腕部34kは、先端部が排水パイプ21の上端21aへ重なって当接するように長くし、センタリング部34hの腕部34kは排水パイプ21の内側へ嵌合するよう短くする。ハブ34jには中央穴34iが設けられている。
このようにしても、上記
図11のBのものと同様に、位置決め手段のストッパをなすセンタリング部材として機能する。
【0077】
なお、ストッパ部34g及びセンタリング部34hのいずれか一方を
図11のBに示すものとし、他方を
図11のCに示すものとして組み合わせてもよい。
また、ストッパ部34g及びセンタリング部34hを一体にする場合は、別部材を重ね合わせるのでなく、予め厚肉の一部材で形成し、その外周部を2段の段付き状に形成したものでもよい。
さらに、中央穴34iに代えて雌ネジ穴にすれば、直接ねじ32bへねじ結合でき、ナット38eを省略できる。
【0078】
次に、位置決め手段のストッパをセンタリング部材ではないものにした第4実施例を説明する。
図12のAは、第4実施例に係る清掃用具30Cで排水穴21bを塞いだ状態を示す排水パイプ近傍部の断面図であり、
図8と同様部位の断面図である。
図12のB〜Fはストッパの上方視図である。
この清掃用具30Cは、柄32の軸直交方向へ突出するストッパ40を備える。この例では、ストッパ40は棒状をなし、柄32を軸直交方向へ貫通し、柄32と一体になっている。また、ストッパ40の突出する先端は、栓31が所定の密栓位置Pにあるとき、排水パイプ21の上端21aへ重なって当接する(
図12のB参照)。
【0079】
すなわち、ストッパ40は固定式ストッパを構成するが、センタリング機能を備えていない。このようにしても、栓31を所定の密栓位置Pへ確実に位置決めできる。
なお、
図12のBに示すストッパ40は柄32を軸直交方向へ貫通する1本のものであったが、
図12のCに示すように、柄32から別々に軸直交方向へ突出させる複数のストッパ40Aとしてもよい。この場合、各ストッパ40Aは溶接等により柄32の外周へ固定される。ストッパ40Aの本数は自由である。
【0080】
図12のD〜Fは、板状のストッパ40B〜40Dにした例である。
図12のDに示すストッパ40Bは、
図11のCに示すものと同様に、リング状のハブ41とその径方向へ張り出す複数の腕部43からなる。ハブ41には中央穴42が設けられ、柄32が貫通し、ストッパ40Bは柄32に対して長さ方向へ可動である。ストッパ40Bは可動式であり、
図9や
図11に示した適宜構造により、所定の密栓位置Pにて上方移動を規制される。
このようにしても、ストッパ40Bは位置決め手段をなし、栓31を所定の密栓位置Pへ位置決めできる。
【0081】
図12のEは、
図12のDに示したものに対して腕部43の数を増やしたストッパ40Cを示す。このように、腕部43の数は任意であり、かつ隣り合う腕部43の間隔も自由である。
図12のFは、
図11のBに示したものと同様の円板状をなす本体部44からなるストッパ40Dを示す。本体部44の外径は、外周部が排水パイプ21の上端21aへ重なって当接するように設定されている。また、柄32を通過させる中心穴45や洗浄液を通す穴46が形成されている。このストッパ40Dも
図11のBに示したものと同様に、可動式のストッパとして構成される。
【0082】
次に、位置決め手段を柄32自体に設けた第5実施例を説明する。
この実施例の位置決め手段は、栓31を強制的に位置決めするものではなく、栓31が所定の密栓位置Pになったことを明示し、その結果、栓31の挿入移動を停止して、所定位置に位置決めするものである。
【0083】
図13のAは、この位置決め手段として、清掃用具30Dの柄32に位置決め表示50を施したものを示す。この位置決め表示50は、栓31が所定の密栓位置Pにあるとき、排水パイプ21の上端21aを通る直線Qと交わる柄32の外周面に形成された位置決めマークであり、ペイントや刻設等の適宜手段で設けられている。
作業者は、位置決め表示50が排水パイプ21の上端21aと横に重なったとき、挿入動作を停止する。すると、位置決め表示50と所定の密栓位置Pの距離が密栓所定距離Dと一致しているので、栓31は確実に所定の密栓位置Pに位置決めされる。
【0084】
なお、このような位置決め表示50は種々な形態が可能である。図中の丸囲み部には、この数例を示す。まず、(a)に示すものは、柄32の直線Qと重なる位置に、位置決め表示としての位置決めライン51を設けたものである。
(b)に示すものは、柄32の直線Qと重なる位置に、位置決め表示としての位置決め溝52を設けたものである。
(c)に示すものは、柄32の直線Qと重なる位置に、位置決め表示としての目盛り53を設けたものである。
作業者はこれらの位置決め表示に基づいて、排水穴21b内を直接目視確認できなくても、排水穴21bの外での目視により栓31の確実な位置決めが可能になる。
【0085】
図13のBは、特別な位置決め表示を設けない例である。この例では、栓31が所定の密栓位置Pにあるとき、清掃用具30Eの柄32の上端を直線Qと一致する位置決め端面54としたものである。作業者は位置決め端面54が直線Qと一致したとき、栓31が所定の密栓位置Pに達したことを認識し、栓31の挿入を停止することにより、栓31の位置決めが可能になる。この場合も、排水穴21bの外での目視により栓31の確実な位置決めが可能になる。
【0086】
図中の符号55は柄32の上端部に設けた取り出し用の紐である。この例では柄32の上端が直線Qと一致するため、取り出し用のハンドル33を設けることができないが、その代わりに紐55を付けておき、栓31の密栓時に、紐55の自由端側を排水ダクト12の外まで延ばしておけば、紐55を引っ張ることにより、容易に清掃用具30Eを排水パイプ21から取り出すことができる。
【0087】
図14は、位置決め手段を排水パイプ側に設けた第6実施例を説明するものであり、
図14のAは栓31による密栓部近傍の断面図、
図14のBは排水パイプ21Aの下端部を上方から示す図である。これらの図に示すように、排水パイプ21Aの下端には、排水穴21bを狭めるように内方へ張り出す底部ストッパ60が一体に設けられている。底部ストッパ60は排水穴21bの内側へ突出する上方視でリング状をなしており(
図14のB参照)、本願発明における排水パイプ21側に形成されるストッパ部に相当する。
【0088】
底部ストッパ60の中心部には排水穴21bと連通する貫通穴61が設けられている。貫通穴61の穴径D2は栓31の下面31bにおける外径D5より小さい(D5>D2)。また、底部ストッパ60の上面が所定の密栓位置Pになっている。
栓31の上面31aの外径D4は排水穴21bの穴径D1より小さく(D1>D4>D5)、栓31の上面31aと排水パイプ21Aの内面との間には間隙Sが形成され、栓31は側面31cが排水パイプ21Aの内面へ接触しないようになっている。
【0089】
そこで、栓31を排水穴21b内へ挿入して下方へ押し込むと、栓31は排水パイプ21Aと非接触のため、スムースに下方へ押し込まれ、やがて下面31bが底部ストッパ60の上面へ密接すると、この位置で押し当てられて停止し、密栓状態で位置決めされる。
したがって、清掃用具30を排水パイプ21Aへ取付けようとする作業者は、単に清掃用具30を排水パイプ21A内へ挿入して、停止するまで押し込むだけで確実に所定位置へ位置決めできる。しかも、栓31と排水パイプ21Aとの間に間隙Sを設けたので、清掃用具30の着脱が容易になる。なお、所定の密栓位置Pは排水パイプ21Aの下端に限らず、それよりも上方位置へ任意に設定できる。
【0090】
図15は、
図14に記載したものの変形例であり、
図15のAは栓31による密栓部近傍の断面図、
図15のBは排水パイプ21Bの下端部を上方から示す図である。
これらの図に示すように、排水パイプ21Bの下端に設けられた底部ストッパ60Aは排水パイプ21Bの下端へねじ込み式に着脱される別体部材であり、その中心に設けられる貫通穴はテーパー穴62になっている。
テーパー穴62における下端開口63の穴径は
図14の貫通穴61と同じD2であるが、上端開口64の穴径はより広いD3になっている。D3>D4>D2>D5の関係になっている。
【0091】
栓31はテーパー穴62内へ嵌合し、側面31cがテーパー穴62のテーパー面と密に接触している。所定の密栓位置Pは、栓31の上面31aとテーパー穴62との接触位置P5と、下端開口63と栓31の側面31cとの接触位置P6との範囲になる。
栓31の上面31aにおける外径D4は排水パイプ21Bの内径D1より小さく、挿入時に栓31が排水パイプ21Bの内側面へ非接触となるようになっている。
【0092】
そこで、栓31を排水穴21b内へ押し込むと、栓31は排水パイプ21Bと非接触のため、スムースに下方へ押し込まれ、やがて底部ストッパ60Aのテーパー穴62内へ嵌合し、側面31cがテーパー穴62のテーパー面へテーパー接合で密接し、この位置で停止して位置決めされる。
【0093】
このようにすると、栓31をテーパー接合でテーパー穴62へ嵌合するので、密栓時の状態が強固に維持されシール性が高まる。また、挿入方向で密栓かつ位置決めされるので、作業が容易になる。さらに底部ストッパ60Aを別体部材としたため、テーパー穴62を有する底部ストッパ60Aの形成が容易になる。
但し、底部ストッパ60Aを排水パイプ21Bと一体に成形することは自由である。
【0094】
なお、本願発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。
例えば、
図5及び
図6に示した可動式ストッパを、固定式にすることは任意にできる。また、可動式ストッパとしたとき、柄側ストッパ38は、
図9に示したもの等種々可能である。なお、
図5及び
図6に示した可動式ストッパにおける柄側ストッパ38の構成としては、
図5及び
図6に示すハンドル33を、柄側ストッパ38としての所定位置にすることでも容易に実現できる。
【0095】
また、
図9・11に示したセンタリング部材及び
図12に示したストッパ並びに
図13のA及び
図14・15に示した位置決め手段は、柄32が長短いずれになっている清掃用具にも適用できる。
さらに、所定の密栓位置Pにおける柄32側に設けたストッパの移動規制は、排水パイプ21の上端21aのみならず、例えば、長さ方向の中間部等で行うこともできる。
また、排水パイプ21側に設けられるストッパ部は、排水パイプ21の底部ではなくその上方位置に設けてもよい。
【構成】流しのシンク10下方に、防臭トラップ14を内部に設けた排水ダクト12を配置し、この排水ダクト12内に、防臭トラップ14を構成する排水パイプ21を設け、この排水パイプ21に設けられた排水穴21b内を、清掃用具30で閉じることにより、排水パイプ21内へ洗浄液を充満させて洗浄する。清掃用具30は栓31と柄32を備え、栓31を排水穴21b内へ挿入すると、柄32に設けられたストッパであるセンタリング部材34により、栓31が所定の密栓位置Pへ確実に位置決めされる。